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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043044
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】空調設備
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20230320BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230320BHJP
   E02D 29/05 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F13/02 Z
E02D29/05 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150528
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】名取 義之
【テーマコード(参考)】
2D147
3L053
3L080
【Fターム(参考)】
2D147AA09
2D147AC04
3L053BB07
3L080AA04
3L080AC05
3L080AE05
(57)【要約】
【課題】結露水による冷却効率の低下、配管内におけるカビの発生、及び、配管の腐食を抑制する空調設備を提供する。
【解決手段】本実施形態による空調設備は、外気取入口と、外気取出口と、外気取入口と外気取出口とを互いに連結するとともに、少なくとも一部が地中に埋設された、給気管と、を備える。給気管は、第1の通路と、第2の通路と、を有する。第1の通路の内部には、冷却媒体が流れる冷却配管が配置されている。第1の通路には、結露水の排水部が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気取入口と、
外気取出口と、
前記外気取入口と前記外気取出口とを互いに連結するとともに、少なくとも一部が地中に埋設された、給気管と、を備え、
前記給気管は、第1の通路と、第2の通路と、を有し、
前記第1の通路の内部に、冷却媒体が流れる冷却配管が配置され、
前記第1の通路に、結露水の排水部が設けられている、空調設備。
【請求項2】
前記給気管の給気経路を前記第1の通路と前記第2の通路との間で変更可能なバルブユニットをさらに備える、請求項1に記載の空調設備。
【請求項3】
前記給気管に流入する外気の温度を測定する温度センサと、
前記バルブユニットを制御する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記温度センサの測定結果に基づいて、前記バルブユニットの開閉を制御する、請求項2に記載の空調設備。
【請求項4】
前記第1の通路は、前記温度センサの測定温度が設定温度よりも高いときに用いられ、前記第2の通路は、前記温度センサの測定温度が前記設定温度よりも低いときに用いられる、請求項3に記載の空調設備。
【請求項5】
前記第1の通路には、前記第1の通路内における気流の向きを制御するプレートが設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の空調設備。
【請求項6】
前記プレートは、前記冷却配管の上方部分に設けられる第1プレートと、前記冷却配管の下方部分に設けられる第2プレートと、を有し、
前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記第1の通路の上流側から下流側に向けて交互に設けられている、請求項5に記載の空調設備。
【請求項7】
前記第1の通路の底面は、前記排水部に向けて、下方に傾斜している、請求項1~6のいずれか一項に記載の空調設備。
【請求項8】
前記排水部を開閉可能な排水バルブをさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の空調設備。
【請求項9】
前記外気取出口は、建屋内に配置され、前記冷却配管は、前記建屋内に冷却媒体を送り込むものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の空調設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調設備に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設した配管を通して、屋外から屋内に給気する空調設備が知られている。このような空調設備は、地中の温度と外気温との温度差を利用して、配管と、配管内の空気との間で熱交換を行う。これにより、比較的少ないエネルギーによって、屋内に給気する空気を冷却又は加温できる。
【0003】
しかしながら、このような空調設備において、配管に流入した高温多湿の外気が冷却されることで、管内に結露が生じやすい。管内に結露水が留まる場合、空調設備の冷却効率の低下や、管内におけるカビの発生といった問題が生じる。また、プラントにおいて腐食性ガスが発生している場合、管内に結露水が留まることによって、配管の腐食が助長される問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-209637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結露水による冷却効率の低下、配管内におけるカビの発生、及び、配管の腐食を抑制する空調設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による空調設備は、外気取入口と、外気取出口と、前記外気取入口と前記外気取出口とを互いに連結するとともに、少なくとも一部が地中に埋設された、給気管と、を備える。前記給気管は、第1の通路と、第2の通路と、を有する。前記第1の通路の内部には、冷却媒体が流れる冷却配管が配置されている。前記第1の通路には、結露水の排水部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による空調設備を概略的に示す正面図であって、第1の通路が使用されている状態を示す正面図。
図2】一実施形態による空調設備を概略的に示す正面図であって、第2の通路が使用されている状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
図1は、一実施形態による空調設備を概略的に示す正面図である。本実施形態による空調設備1は、温度が調節された空気を供給する。空調設備1は、地中に埋設した配管を通して、屋外から屋内に給気するものであっても良く、例えばアースチューブであっても良い。空調設備1は、例えば工場、住居、オフィス、ビル、駅、空港、発電所、プラント(電気、ガス、上下水処理等)等の建屋に、温度が調節された空気を供給してもよい。
【0010】
本実施形態による空調設備1は、外気取入口11と、外気取出口12と、給気管20と、を備えている。給気管20の少なくとも一部分は、地中に埋設されている。給気管20は、外気取入口11と外気取出口12とを互いに連結する。給気管20は、第1の通路21と、第2の通路22と、を有している。第1の通路21の内部には、冷却媒体が流れる冷却配管30が配置される。また、第1の通路21には、結露水の排水部40が設けられている。
【0011】
本明細書中において、空調設備1、及び、空調設備1の構成要素に対して用いる「上下方向」とは、地表面Sに直交する方向を意味する。地表面Sが水平面である場合、「上下方向」とは鉛直方向を指す。上下方向は、各図における紙面の上下方向に相当する。また、「水平方向」とは、上下方向に垂直な方向であり、各図における紙面の左右方向に相当する。
【0012】
図1及び図2を参照して、空調設備1の構成要素についてさらに説明する。
【0013】
外気取入口11は、屋外に位置している。外気取入口11は、地表面Sよりも上方に位置している。外気取入口11は、屋外に開口している。空調設備1に用いられる空気は、外気取入口11を介して、給気管20に流入する。
【0014】
図1に示されるように、外気取入口11付近には、給気管20に流入する外気の温度を測定する温度センサ50が設けられている。温度センサ50は、後述する制御装置60に電気的に接続されている。温度センサ50は、制御装置60との電気的な接続を通して、測定結果を制御装置60に伝送できる。温度センサ50は、例えば、セラミックス製のサーミスタを含んでいてもよい。
【0015】
外気取出口12は、外気取入口11から水平方向に離れた位置に存在している。外気取出口12は、地表面Sよりも上方に位置している。外気取出口12は、建屋100内に開口している。外気取出口12は、給気管20のうち地中に埋設された部分において温度が調節された空気を、建屋100内に供給する。図1に示されるように、外気取出口12には、ファン12fが設けられている。空調設備1は、ファン12fの回転によって、外気取出口12から建屋100内に空気を供給してもよい。
【0016】
図1及び図2に示された例において、外気取入口11と、外気取出口12との間の水平方向における距離は、例えば5m以上25m以下であってもよい。
【0017】
給気管20は、外気取入口11と外気取出口12とを互いに連結している。給気管20には、外気取入口11から、外気取出口12に向けて、空気の流れが生じている。空気は、外気取入口11から流入し、給気管20内を流れて、外気取出口12から取り出される。給気管20、第1の通路21、及び第2の通路22において、より外気取入口11に近い側が上流側である。給気管20において、より外気取出口12に近い側が下流側である。給気管20は、外気取入口11から外気取出口12まで、例えば10m以上30m以下の長さを有していてもよい。
【0018】
給気管20は、外気取入口11付近及び外気取出口12付近を除き、地中に埋設されている。給気管20は、外気取入口11及び外気取出口12付近において、地表面Sから上方に突出している。図1に示すように、地中に埋設された給気管20は、地表面Sよりも下方、すなわち上下方向における下側に位置している。外気取入口11及び外気取出口12付近における、給気管20の地表面Sからの突出高さ(上下方向における長さ)は、例えば0m以上5m以下であってもよい。
【0019】
地中に埋設された給気管20の表面温度は、給気管20を取り囲む土の温度から、影響を受ける。給気管20内において、空気の温度と、給気管20の表面温度とが異なる場合、給気管20と、給気管20内の空気との間で、熱交換が行われる。したがって、このような場合、給気管20内において、空気の温度が変化する。給気管20の表面温度が空気の温度よりも低い場合、空気は、給気管20内において冷却される。給気管20の表面温度が空気の温度よりも高い場合、空気は、給気管20内において加温される。給気管20の材料としては、硬質塩化ビニル等の樹脂や、SUS316等のステンレス鋼材等が、例示される。給気管20にこのような材料を用いることで、給気管20の耐食性を向上できる。
【0020】
給気管20は、第1の通路21と、第2の通路22と、を有している。第1の通路21は、第2の通路22よりも下方に位置している。図1に示されるように、給気管20は、分岐点23において、上下方向に延びる第1の通路21と、水平方向に延びる第2の通路22と、に分岐している。第1の通路21と第2の通路22とは、分岐点23よりも下流側に位置する合流点24において、合流している。給気管20において、空気は、第1の通路21を通って外気取出口12まで流れることができる。給気管20において、空気は、第1の通路21又は第2の通路22を通って外気取出口12まで流れることができる。したがって、給気管20は、給気経路として、第1の通路21又は第2の通路22のいずれか一方又は両方を取り得る。
【0021】
図1に示されるように、給気管20には、給気経路を変更可能なバルブユニット70が設けられている。バルブユニット70は、給気管20の給気経路を第1の通路21と第2の通路22との間で変更可能である。バルブユニット70として、給気管20内における流体の流れを制御可能な、種々のバルブを用いることができる。バルブユニット70の材料としては、ステンレス鋼材等の金属が、例示される。
【0022】
バルブユニット70は、第1の通路21を開閉可能な第1バルブ71と、第2の通路22を開閉可能な第2バルブ72と、を有している。第1バルブ71は、第1の通路21において、給気管20の分岐点23付近及び合流点24付近に、それぞれ1つずつ設けられている。第2バルブ72は、第2の通路22において、分岐点23と合流点24との間に、1つ設けられている。
【0023】
図1に示された例において、第1バルブ71は開状態に操作され、第2バルブ72は閉状態に操作されている。このときの給気管20内での空気の流れは、第1の通路21内に矢印AP1によって示されている。図1において、給気管20の給気経路として、第1の通路21が使用されている。図2に示された例において、第1バルブ71は閉状態に操作され、第2バルブ72は開状態に操作されている。このときの給気管20内での空気の流れは、第2の通路22内に矢印AP2によって示されている。図2において、給気管20の給気経路として、第2の通路22が使用されている。
【0024】
バルブユニット70の開閉は、バルブユニット70に電気的に接続された制御装置60によって制御されてもよい。バルブユニット70は、手動で開閉されてもよい。
【0025】
制御装置60は、バルブユニット70を制御する。図1に示されるように、制御装置60は、温度センサ50にも電気的に接続されている。制御装置60は、温度センサ50の測定結果に基づいて、バルブユニット70の開閉を制御し得る。制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサを含んでもよい。制御装置60は、ROMやRAM等のメモリを更に含んでもよい。制御装置60は、メモリに記録されたプログラムを実行することにより、バルブユニット70の開閉を制御してもよい。制御装置60は、メモリに予め記録された設定温度と、温度センサ50の測定結果との比較に基づいて、バルブユニット70の開閉を制御してもよい。制御装置60は、温度センサ50の測定結果を、一定の間隔を空けて継続的に取得してもよい。制御装置60は、例えば、3分以上10分以下の間隔を空けて、温度センサ50の測定結果を継続的に取得することが好ましい。制御装置60は、例えば5分の間隔を空けて、温度センサ50の測定結果を継続的に取得することが、さらに好ましい。
【0026】
図1に示された例において、第1の通路21は、正面視において略五角形形状を有している。第1の通路21は、上下方向に、ある程度の長さを有している。第1の通路21は、水平方向に、ある程度の長さを有している。第1の通路21は、地中に埋設されている。第1の通路21の下方における端部は、底面21aを形成している。
【0027】
第1の通路21の内部には、冷却配管30が配置されている。図1に示されるように、冷却配管30は、第1の通路21を水平方向に貫通している。第1の通路21内の冷却配管30は、水平方向に直線状に延びている。なお、第1の通路21は、折り曲げられて第1の通路21内に配置されていてもよい。冷却配管30は、第1の通路21外において、第2の通路22及び建屋100よりも下方に埋設されている。冷却配管30は、例えば、銅、チタン、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属製の配管であってもよい。
【0028】
冷却配管30内には、水、フロン等の冷却媒体が流れている。冷却媒体は、冷却配管30内をいずれの方向に流れていてもよい。冷却配管30の表面温度は、冷却媒体の温度から、影響を受ける。冷却媒体は、冷却配管30を冷却する。冷却配管30は、冷却媒体によって、外気よりも冷却されている。冷却された冷却配管30の表面温度は、給気管20の表面温度より低くなっている。
【0029】
冷却媒体は、空調設備1が設けられた施設内において、冷却配管30を冷却する目的以外の目的で使用されてもよい。例えば、空調設備1がプラント内に設けられる場合、すなわち、外気取出口12がプラントの建屋100内に配置される場合、冷却配管30は、プラント内に冷却媒体を送り込むものであってもよい。この場合、冷却配管30としては、予めプラント内に冷却媒体を送り込むために設置された既設の配管であっても良い。このような具体例によれば、プラント内に予め設けられた冷却設備を利用して、給気管20内の空気を冷却できる。したがって、空調設備1による空気の冷却時に、エネルギー効率を向上できる。また、既設の冷却配管30を利用することで、空調設備1の設置コストを低減できる。なお、これに限らず、冷却配管30は、本実施の形態による空調設備1のために設けられた専用の配管であっても良い。
【0030】
図1に示されるように、第1の通路21内に位置する冷却配管30の表面には、フィン31が設けられていてもよい。フィン31は、冷却配管30の表面積を増大させる。これにより、第1の通路21を通る空気は、冷却配管30の表面に接触しやすくなる。したがって、このような具体例によれば、第1の通路21を通る空気を、より効果的に冷却できる。
【0031】
第1の通路21には、結露水の排水部40が設けられている。図1に示された例において、排水部40は、第1の通路21の底面21aであって、水平方向における中央部分に設けられている。詳しくは後述するように、排水部40は、第1の通路21内に生じた結露水を、給気管20外に排出する。図1において、排水部40から排出される結露水は、矢印WPによって示されている。排水部40は、空調設備1が設けられた施設内における他の配管に接続されていてもよい。排水部40は、結露水を貯留するタンクに接続されていてもよい。排水部40は、第1の通路21と一体的に設けられていてもよい。
【0032】
図1に示されるように、第1の通路21の底面21aは、排水部40に向けて、下方に傾斜している。排水部40は、底面21aのうち最も下方に位置する部分に設けられている。
【0033】
図1に示されるように、排水部40には、排水部40を開閉可能な排水バルブ73が設けられている。図1に示された例において、排水バルブ73は開状態に操作され、排水部40を開いている。図2に示された例において、排水バルブ73は閉状態に操作され、排水部40を閉じている。排水バルブ73は、逆止弁であっても良い。また排水バルブ73は、一定重量の水が貯留されると自動で開放され、貯留された水が排出されると自動で閉鎖する自動開閉弁であっても良い。あるいは、排水バルブ73は、排水バルブ73に電気的に接続された制御装置60によって、その開閉を制御されてもよい。すなわち、制御装置60は、排水バルブ73の開閉を制御してもよい。排水バルブ73は、手動で開閉されてもよい。
【0034】
第1の通路21には、第1の通路21内における気流の向きを制御するプレート80が設けられている。プレート80の奥行(幅方向における長さ)は、第1の通路21の奥行(幅方向における長さ)と等しくてもよい。プレート80は、冷却配管30が貫通可能な孔を有していてもよい。プレート80の材料として、例えばステンレス鋼材が用いられてもよい。
【0035】
図1に示された例において、プレート80は、冷却配管30の上方部分に設けられる第1プレート81と、冷却配管30の下方部分に設けられる第2プレート82と、を有している。第1プレート81及び第2プレート82は、それぞれ上下方向に延びている。図示された例において、複数(この場合は2枚)の第1プレート81及び複数(この場合は2枚)の第2プレート82が、冷却配管30に設けられている。第1プレート81及び第2プレート82は、第1の通路21の上流側から下流側に向けて、交互に設けられている。第1プレート81及び第2プレート82がこのように設けられることで、第1の通路21が蛇行し、第1の通路21内の空気と冷却配管30との間で熱交換が促進される。第1の通路21は、給気経路として、分岐点23から合流点24まで、例えば0.5m以上1.5m以下の長さを有していてもよい。なお、第2プレート82のうち、第1の通路21の底面21a側の部分には、排出される結露水を排水部40へ向けて流すための穴又は切欠き(図示せず)が設けられていてもよい。
【0036】
次に、このような構成からなる本実施形態の作用について説明する。具体的には、空調設備1を用いて、温度が調節された空気を供給する方法について説明する。
【0037】
まず制御装置60は、給気管20の給気経路を決定する。制御装置60は、温度センサ50の測定結果に基づいて、給気管20の給気経路を決定する。この場合、例えば、制御装置60は、予め記録された設定温度と、温度センサ50の測定結果とを比較することにより、第1バルブ71及び第2バルブ72を操作する。例えば夏場等、温度センサ50の測定結果が設定温度を上回る場合、図1に示されるように、第1バルブ71が開かれることで、第1の通路21を給気経路として使用する。この場合、第2バルブ72が閉じられることで、第1の通路21のみを給気経路として使用できる。これに対して、例えば冬場等、温度センサ50の測定結果が設定温度を下回る場合、図2に示されるように、第2バルブ72が開かれることで、第2の通路22を給気経路として使用する。この場合、第1バルブ71が閉じられることで、第2の通路22のみを給気経路として使用できる。
【0038】
図1に示すように、第1の通路21を給気経路として使用する場合、外気取入口11から給気管20に流入した外気は、第1の通路21に流入する。第1の通路21に流入した空気は、冷却配管30に接触する。第1の通路21内において、空気の温度と、冷却配管30の表面温度とが異なる場合、冷却配管30と、冷却配管30に接触する空気との間で、熱交換が行われる。すなわち、第1の通路21内において、冷却配管30によって、空気の温度が変化する。冷却配管30の表面温度が、外気の温度及び給気管20の表面温度よりも低い場合、空気は、第1の通路21内において、主に冷却配管30によって冷却される。冷却された空気は、外気取出口12から、建屋100に供給される。
【0039】
図2に示すように、第2の通路22を給気経路として使用した場合、外気取入口11から給気管20に流入した空気は、第2の通路22に流入する。第2の通路22に流入した空気は、冷却配管30に接触しない。これにより、給気管20と、給気管20内の空気との間で熱交換が行われる。すなわち、第2の通路22内において、給気管20によって、空気の温度が変化する。埋設された給気管20の温度が、給気管20内の空気の温度よりも高い場合、給気管20内の空気は、第2の通路22内において、給気管20との熱交換により加温される。加温された空気は、外気取出口12から、建屋100に供給される。
【0040】
ところで、空気が冷却されると、空気の飽和水蒸気量は低下する。飽和水蒸気量を超える水蒸気が空気に含まれている場合、空気からは、結露水として、結露による水滴が生じる。水滴は、給気管20、冷却配管30、及びプレート80等の表面に付着する。水滴量が増加していくと、水滴は下方に流れていき、結露水として、給気管20内に留まる。給気管20内に結露水が留まる場合、空調設備の冷却効率の低下や、管内におけるカビの発生といった問題が生じる。また、プラントにおいて腐食性ガスが発生している場合、給気管20内に結露水が留まることによって、配管の腐食が助長される問題も生じる。
【0041】
これに対して本実施形態における空調設備1は、外気取入口11と外気取出口12とを互いに連結する給気管20を備えている。給気管20は、少なくとも一部が地中に埋設されている。給気管20は、第1の通路21と、第2の通路22と、を有している。第1の通路21の内部には、冷却配管30が配置されている。第1の通路21には、結露水の排水部40が設けられている。このような具体例によれば、まず、冷却配管30が第1の通路21内に配置されることで、空気は、第1の通路21を給気経路として使用したときに、冷却されやすくなる。また、空気の冷却により第1の通路21に生じた結露水は、排水部40を介して給気管20外に排出される。これにより、空気の冷却により給気管20に留まる結露水が、低減される。したがって、このような空調設備1は、結露水による冷却効率の低下、及び、配管内におけるカビの発生、を抑制できる。また、プラントにおいて腐食性ガスが発生している場合、配管の腐食を抑制できる。
【0042】
また一般に、発電所等の電気関連施設、ガス貯蔵タンク等のガス関連施設、及び、上下水処理施設等のプラントの電気室において、室温上昇によりコントローラ等の回路部品が過熱を起こさないように、空調設備によって内部の空気が冷却されている。本実施形態によれば、地中の温度と外気温との温度差を利用した空調設備1を用いることで、プラントが大規模化し、建屋100内の電気室が増大しても、空調設備1による消費電力及び環境負荷の増大を抑制できる。
【0043】
本実施形態において、空調設備1は、給気管20の給気経路を第1の通路21と第2の通路22との間で変更可能なバルブユニット70を備えている。このような具体例によれば、空気を冷却する場合、給気管20の給気経路として第1の通路21を使用することで、第2の通路22に流入する空気を抑制できる。これにより、排水部40の設けられていない、第2の通路22に生じる結露水を抑制できる。一方、空気を加温する場合、給気管20の給気経路として第2の通路22を使用することで、第1の通路21に流入する空気を抑制できる。これにより、冷却配管30による空気の冷却を抑制できる。したがって、このような空調設備1によれば、冷却時に、結露水による冷却効率の低下、配管内におけるカビの発生、及び配管の腐食を抑制しながら、加温時にエネルギー効率を向上できる。
【0044】
本実施形態において、空調設備1は、給気管20に流入する外気の温度を測定する温度センサ50と、バルブユニット70を制御する制御装置60と、をさらに備えている。制御装置60は、温度センサ50の測定結果に基づいて、バルブユニット70の開閉を制御してもよい。このような具体例によれば、給気管20に流入する外気の温度に基づいて、バルブユニット70を自動で操作できる。これにより、給気管20の給気経路を容易に変更できる。
【0045】
本実施形態において、第1の通路21は、温度センサ50の測定温度が設定温度よりも高いときに用いられ、第2の通路22は、温度センサ50の測定温度が設定温度よりも低いときに用いられてもよい。温度センサ50の測定温度と、設定温度との比較は、温度センサ50に電気的に接続された制御装置60によって行われてもよい。温度センサ50の測定結果が設定温度よりも低いとき、制御装置60は、第1バルブ71を開き、且つ、第2バルブ72を閉じるための信号を、バルブユニット70に伝送してもよい。温度センサ50の測定結果が設定温度よりも高いとき、制御装置60は、第2バルブ72を開き、且つ、第1バルブ71を閉じるための信号を、バルブユニット70に伝送してもよい。このような具体例によれば、給気管20に流入する外気の温度に応じて、給気管20内の給気経路を容易に変更できる。
【0046】
本実施形態において、第1の通路21には、第1の通路21内における気流の向きを制御するプレート80が設けられている。プレート80によって気流を制御することで、給気管20によって形成される第1の通路21のスペースを、空気の冷却のために効率的に活用できる。したがって、第1の通路21内の空気を効果的に冷却できる。
【0047】
とりわけ、本実施形態において、プレート80は、冷却配管30の上方部分に設けられる第1プレート81と、冷却配管30の下方部分に設けられる第2プレート82と、を有している。第1プレート81を設けることにより、冷却配管30よりも上方に位置する空気をより確実に下方に移動させ、冷却配管30に接触させることができる。第2プレート82を設けることにより、冷却配管30よりも下方に位置する空気をより確実に上方に移動させ、冷却配管30に接触させることができる。さらに、第1プレート81及び第2プレート82を、第1の通路21の上流側から下流側に向けて交互に設けることで、空気と冷却配管30との接触回数を増加できる。したがって、このような具体例によれば、第1の通路21内の空気をより効果的に冷却できる。
【0048】
本実施形態において、第1の通路21の底面21aは、排水部40に向けて下方に傾斜している。このような具体例によれば、図1において矢印WPによって示されるように、底面21a上の結露水を、重力によって排水部40に向けて流すことができる。これにより、給気管20内における結露水の残留を効果的に抑制できる。
【0049】
本実施形態において、空調設備1は、排水部40を開閉可能な排水バルブ73をさらに備えている。このような具体例によれば、排水部40を介した第1の通路21への水の逆流を抑制できる。例えば、空調設備1が設けられた施設内における他の配管に、排水部40が接続されている場合、この配管から排水部40への流れによって、第1の通路21に結露水等の水が意図せず侵入することを抑制できる。
【0050】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で、実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1・・・空調設備、11・・・外気取入口、12・・・外気取出口、12f・・・ファン、20・・・給気管、21・・・第1の通路、21a・・・底面、22・・・第2の通路、23・・・分岐点、24・・・合流点、30・・・冷却配管、31・・・フィン、40・・・排水部、50・・・温度センサ、60・・・制御装置、70・・・バルブユニット、71・・・第1バルブ、72・・・第2バルブ、73・・・排水バルブ、80・・・プレート、81・・・第1プレート、82・・・第2プレート、100…建屋
図1
図2