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特開2023-43068部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法
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  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図1
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図2
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図3
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図4
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図5
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図6
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図7
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図8
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図9A
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図9B
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図10
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図11A
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図11B
  • 特開-部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043068
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20230320BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150565
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】永冶 利彦
(72)【発明者】
【氏名】北 貴之
(72)【発明者】
【氏名】古市 聖
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルディヴィエルソ アレックス
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC12
5E353EE02
5E353EE62
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ08
5E353QQ09
5E353QQ11
5E353QQ22
(57)【要約】
【課題】保持部の異常を早期に検出することができる部品実装システム等を提供する。
【解決手段】部品実装システム1は、部品Pを基板3に実装する部品実装装置M2と、通信部110と、判定部140とを備える。部品実装装置M2は、部品Pを保持する保持部と、部品Pを撮像する撮像部とを有する。通信部110は、撮像部が保持部に保持された部品Pを撮像した画像に基づく保持部に対する部品Pの第1位置ずれ情報と、撮像部が基板3に実装された部品Pを撮像した画像に基づく部品Pの第2位置ずれ情報とを取得する。そして、判定部140は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、保持部の不調を判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に実装する部品実装部と、
取得部と、
判定部と、を備え、
前記部品実装部は、
前記部品を保持する保持部と、
前記部品を撮像する撮像部と、を有し、
前記取得部は、前記撮像部が前記保持部に保持された前記部品を撮像した第1画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記撮像部が前記基板に実装された前記部品を撮像した第2画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得し、
前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する、
部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装部は、複数の前記保持部を有し、
前記取得部は、複数の前記保持部の各々に対応する前記第1位置ずれ情報と、前記第2位置ずれ情報とを取得し、
前記判定部は、複数の前記保持部の各々に対応する前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあるか否かに基づいて、複数の前記保持部の各々について、当該保持部の不調を判定する、
請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記判定部は、さらに、前記部品の種類毎に、当該部品の種類に対応する前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあるか否かに基づいて、当該保持部及び当該部品の種類における不調を判定する、
請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とに基づいて算出された、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報との相関関係を示す指標に基づいて、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあるか否かを判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記指標は相関係数であり、
前記判定部は、前記相関係数が所定値以上の場合、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあると判定する、
請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記所定値は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とに弱い正の相関があることを示す値である、
請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にある場合、前記保持部が不調である旨を出力する出力部をさらに備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記撮像部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にある場合、さらに、前記保持部の先端部を撮像し、
前記判定部は、前記撮像部によって撮像された前記先端部の第3画像に基づいて、前記先端部に異常があるか否かをさらに判定し、判定結果に基づいて、前記保持部の不調を判定する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記保持部は、前記部品を吸着して保持する吸着ノズルであり、
前記部品実装部は、前記吸着ノズルを流れる空気の真空流量を測定する測定部をさらに有し、
前記測定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にある場合、さらに真空流量を測定し、
前記判定部は、測定された前記真空流量に異常があるか否かをさらに判定し、判定結果に基づいて、前記保持部の不調を判定する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記吸着ノズルに空気を供給する空気供給部をさらに備え、
前記空気供給部は、前記判定結果に異常があることが含まれる場合、前記吸着ノズルが前記基板の上方以外の場所に位置しているときに前記吸着ノズルに前記空気を供給する、
請求項9に記載の部品実装システム。
【請求項11】
部品を基板に実装する部品実装装置であって、
前記部品を保持する保持部と、
前記部品を撮像する撮像部と、
取得部と、
判定部と、を備え、
前記取得部は、前記撮像部が前記保持部に保持された前記部品を撮像した画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記撮像部が前記基板に実装された前記部品を撮像した画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得し、
前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する、
部品実装装置。
【請求項12】
部品を基板に実装するために前記部品を保持する保持部を備える部品実装装置における前記保持部の不調を検出する不調検出装置であって、
前記保持部に保持された前記部品を撮像した画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記基板に実装された前記部品を撮像した画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得する取得部と、
前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する判定部と、を備える、
不調検出装置。
【請求項13】
部品を基板に実装するために前記部品を保持する保持部を備える部品実装装置を用いた部品実装方法であって、
前記保持部に保持された前記部品を撮像し、
撮像された画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報を取得し、
前記基板に実装された前記部品を撮像し、
撮像された画像に基づく前記基板に実装された前記部品の第2位置ずれ情報を取得し、
前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する部品実装装置において、部品の実装位置(装着位置)の精度を向上することが検討されている。例えば、特許文献1には、基板に実装された部品のうち選択された部品の位置ずれ量から吸着保持部(保持部)毎のフィードバック補正値を算出し、当該フィードバック補正値を用いて部品実装装置の実装動作を補正することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-113800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品を吸着する保持部を備える部品実装装置では、保持部が不調である場合、部品の装着位置がずれてしまい装着不良の発生につながる。そして、部品実装装置の下流側の検査装置において装着不良が検出されてから保持部の状態を確認し対処する場合、実際に装着不良の製品が発生しているので、不良コストが増大する。そのため、保持部の不調は、早期に検出されることが望まれるが、特許文献1には保持部の不調を早期に検出することについては開示されていない。
【0005】
そこで、本開示は、保持部の不調を早期に検出することができる部品実装システム、部品実装装置、不調検出装置、及び、部品実装方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る部品実装システムは、部品を基板に実装する部品実装部と、取得部と、判定部と、を備え、前記部品実装部は、前記部品を保持する保持部と、前記部品を撮像する撮像部と、を有し、前記取得部は、前記撮像部が前記保持部に保持された前記部品を撮像した第1画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記撮像部が前記基板に実装された前記部品を撮像した第2画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得し、前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する。
【0007】
本開示の一態様に係る部品実装装置は、部品を基板に実装する部品実装装置であって、前記部品を保持する保持部と、前記部品を撮像する撮像部と、取得部と、判定部と、を備え、前記取得部は、前記撮像部が前記保持部に保持された前記部品を撮像した画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記撮像部が前記基板に実装された前記部品を撮像した画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得し、前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する。
【0008】
本開示の一態様に係る不調検出装置は、部品を基板に実装するために前記部品を保持する保持部を備える部品実装装置における前記保持部の不調を検出する不調検出装置であって、前記保持部に保持された前記部品を撮像した画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記基板に実装された前記部品を撮像した画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得する取得部と、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する判定部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る部品実装方法は、部品を基板に実装するために前記部品を保持する保持部を備える部品実装装置を用いた部品実装方法であって、前記保持部に保持された前記部品を撮像し、撮像された画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報を取得し、前記基板に実装された前記部品を撮像し、撮像された画像に基づく前記基板に実装された前記部品の第2位置ずれ情報を取得し、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様に係る部品実装システム等によれば、保持部の不調を早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る部品実装システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る部品実装システムの機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る部品実装装置を示す平面図である。
図4図4は、実施の形態に係る部品実装装置に用いられる実装ヘッド部を示す斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る吸着ノズルの吸着ばらつきの一例を説明するための図である。
図6図6は、実施の形態に係る部品の装着ばらつきを説明するための図である。
図7図7は、実施の形態に係る部品実装システムの動作を示すフローチャートである。
図8図8は、吸着ばらつきの一例を示す図である。
図9A図9Aは、吸着ノズルが正常である場合の装着ばらつきの一例を示す図である。
図9B図9Bは、吸着ノズルが不調である場合の装着ばらつきの一例を示す図である。
図10図10は、実施の形態に係る吸着ばらつきの他の一例を説明するための図である。
図11A図11Aは、吸着ノズルが正常である場合における、吸着位置ずれ、及び、装着位置ずれの間の相関関係を示す図である。
図11B図11Bは、吸着ノズルが不調である場合における、吸着位置ずれ、及び、装着位置ずれの間の相関関係を示す図である。
図12図12は、相関係数と、相関関係の強弱との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一態様に係る部品実装システムは、部品を基板に実装する部品実装部と、取得部と、判定部と、を備え、前記部品実装部は、前記部品を保持する保持部と、前記部品を撮像する撮像部と、を有し、前記取得部は、前記撮像部が前記保持部に保持された前記部品を撮像した第1画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記撮像部が前記基板に実装された前記部品を撮像した第2画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得し、前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する。
【0013】
これにより、判定部は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係を有する場合、不良な製品が生産される前であっても保持部の不調を判定することができる。つまり、判定部は、実際に部品の装着不良が発生する前に、保持部の不調を検出でき得る。よって、部品実装システムは、保持部の不調を早期に検出することができる。
【0014】
また、例えば、前記部品実装部は、複数の前記保持部を有し、前記取得部は、複数の前記保持部の各々に対応する前記第1位置ずれ情報と、前記第2位置ずれ情報とを取得し、前記判定部は、複数の前記保持部の各々に対応する前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあるか否かに基づいて、複数の前記保持部の各々について、当該保持部の不調を判定してもよい。
【0015】
これにより、複数の保持部のうちどの保持部が不調であるかを特定することができる。よって、不調な保持部が発生した場合にどの保持部が不調であるかを作業者又は管理者(以降において、作業者等とも記載する)が確認する作業を短縮することができるので、不調な保持部に対する対処を迅速に行うことが可能となる。
【0016】
また、例えば、前記判定部は、さらに、前記部品の種類毎に、当該部品の種類に対応する前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあるか否かに基づいて、当該保持部及び当該部品の種類における不調を判定してもよい。
【0017】
これにより、保持部が不調と判定される場合、保持部が実際に不調であるのか、部品の種類により保持部が不調と判定されたのかを判定することができるので、保持部の不調をより正確に判定することができる。判定部は、例えば、特定の部品を用いて生産を行う場合に保持部が不調と判定される場合、部品の種類により保持部が不調と判定されたと判定することができる。
【0018】
また、例えば、前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とに基づいて算出された、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報との相関関係を示す指標に基づいて、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあるか否かを判定してもよい。
【0019】
これにより、相関関係を示す指標を用いることで、保持部の不調を容易に判定することができる。
【0020】
また、例えば、前記指標は相関係数であり、前記判定部は、前記相関係数が所定値以上の場合、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にあると判定してもよい。
【0021】
これにより、相関係数といった一般的に用いられる指標を用いることで、保持部の不調を容易に判定することができる。よって、指標を算出するために特殊な計算を行う必要がないので、部品実装システムの不調の判定における処理量を低減し得る。
【0022】
また、例えば、前記所定値は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とに弱い正の相関があることを示す値であってもよい。
【0023】
これにより、判定部は、相関係数と弱い正の相関があることを示す値とを比較するだけで、保持部の不調を判定することができる。
【0024】
また、例えば、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にある場合、前記保持部が不調である旨を出力する出力部をさらに備えてもよい。
【0025】
これにより、保持部が不調であることを、作業者等に知らせることができる。
【0026】
また、例えば、前記撮像部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にある場合、さらに、前記保持部の先端部を撮像し、前記判定部は、前記撮像部によって撮像された前記先端部の第3画像に基づいて、前記先端部に異常があるか否かをさらに判定し、判定結果に基づいて、前記保持部の不調を判定してもよい。
【0027】
これにより、相関係数が所定値以上である場合、保持部が本当に不調であるか否かを、画像に基づいて自動で判定することができる。よって、保持部の不調をさらに正確に判定することができる。また、保持部が本当に不調であるか否かを作業者等が判定しなくてもよいので、生産ラインの省人化に寄与する。
【0028】
また、例えば、前記保持部は、前記部品を吸着して保持する吸着ノズルであり、前記部品実装部は、前記吸着ノズルを流れる空気の真空流量を測定する測定部をさらに有し、前記測定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが前記所定の相関関係にある場合、さらに真空流量を測定し、前記判定部は、測定された前記真空流量に異常があるか否かをさらに判定し、判定結果に基づいて、前記保持部の不調を判定してもよい。
【0029】
これにより、相関係数が所定値以上である場合、吸着ノズルが本当に不調であるか否かを、流量に基づいて自動で判定することができる。よって、保持部の不調をさらに正確に判定することができる。また、保持部が本当に不調であるか否かを作業者等が判定しなくてもよいので、生産ラインの省人化に寄与する。
【0030】
また、例えば、前記吸着ノズルに空気を供給する空気供給部をさらに備え、前記空気供給部は、前記判定結果に異常があることが含まれる場合、前記吸着ノズルが前記基板の上方以外の場所に位置しているときに前記吸着ノズルに前記空気を供給してもよい。
【0031】
これにより、先端部又は流量に異常がある場合、保持部に空気を供給することにより、自動で当該異常を解消し得る。また、空気の供給により解消できる程度の不調を人が作業することなく解消できるので、生産ラインの省人化にさらに寄与する。
【0032】
また、本開示の一態様に係る部品実装装置は、部品を基板に実装する部品実装装置であって、前記部品を保持する保持部と、前記部品を撮像する撮像部と、取得部と、判定部と、を備え、前記取得部は、前記撮像部が前記保持部に保持された前記部品を撮像した画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記撮像部が前記基板に実装された前記部品を撮像した画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得し、前記判定部は、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する。
【0033】
これにより、上記の部品実装システムと同様の効果を奏する。また、外部の装置と通信しなくてもよいので、通信ネットワークの状態によらず保持部の不調をより早期に及びより確実に検出することができる。
【0034】
また、本開示の一態様に係る不調検出装置は、部品を基板に実装するために前記部品を保持する保持部を備える部品実装装置における前記保持部の不調を検出する不調検出装置であって、前記保持部に保持された前記部品を撮像した画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報と、前記基板に実装された前記部品を撮像した画像に基づく前記部品の第2位置ずれ情報と、を取得する取得部と、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する判定部と、を備える。
【0035】
これにより、上記の部品実装システムと同様の効果を奏する。
【0036】
また、本開示の一態様に係る部品実装方法は、部品を基板に実装するために前記部品を保持する保持部を備える部品実装装置を用いた部品実装方法であって、前記保持部に保持された前記部品を撮像し、撮像された画像に基づく前記保持部に対する前記部品の第1位置ずれ情報を取得し、前記基板に実装された前記部品を撮像し、撮像された画像に基づく前記基板に実装された前記部品の第2位置ずれ情報を取得し、前記第1位置ずれ情報と前記第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、前記保持部の不調を判定する。
【0037】
これにより、上記の部品実装システムと同様の効果を奏する。
【0038】
なお、これらの全般的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0039】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0040】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(工程)、ステップ(工程)の順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0041】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0042】
また、本明細書及び図面において、基板搬送方向をX軸方向(図3における左右方向)と規定し、基板搬送方向と直交する方向であり水平面と平行な方向をY軸方向と規定し、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向(上下方向)と規定する。
【0043】
また、本明細書において、同じ等の要素間の関係性を示す用語、及び、直方体状、柱状等の要素の形状を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(例えば、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0044】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る部品実装システムについて、図1図12を参照しながら説明する。
【0045】
[1.部品実装システムの構成]
まず、本実施の形態に係る部品実装システムの構成について、図1図6を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る部品実装システム1の概略構成を示す図である。
【0046】
図1に示すように、部品実装システム1は、基板3(図3図6を参照)に部品P(図5図6を参照)を実装して実装基板を製造するシステムであり、半田印刷装置M1と、部品実装装置M2及びM3と、検査装置M4と、管理コンピュータ100とを備える。半田印刷装置M1と、部品実装装置M2及びM3と、検査装置M4と、管理コンピュータ100とは、通信ネットワーク200を介して互いに通信可能に接続されている。なお、部品実装システム1が備える、半田印刷装置M1、部品実装装置M2及びM3、並びに、検査装置M4の数は図1に示す数に限定されない。例えば、部品実装装置M2及びM3の数は2台に限定されず、1台であってもよいし3台以上であってもよい。半田印刷装置M1と、部品実装装置M2及びM3と、検査装置M4とにより、生産ライン(部品実装ライン)が構成される。
【0047】
半田印刷装置M1は、実装対象の基板3に部品接合用のクリーム半田をスクリーン印刷する。
【0048】
部品実装装置M2及びM3は、半田印刷装置M1の下流側に設けられ、実装ヘッド部8(図2図4を参照)によって部品接合用のクリーム半田が印刷された基板3に部品供給部4(図3を参照)から取り出した部品Pを移送搭載する部品実装動作を行う。
【0049】
検査装置M4は、部品実装装置M2及びM3の下流側に設けられ、部品実装装置M2及びM3によって部品Pが実装された(装着された)基板3における部品Pの実装状態を検査して、部品Pの正規位置からの位置ずれ状態等を検出する。部品実装装置M2及びM3は、部品実装部の一例である。
【0050】
管理コンピュータ100は、生産ライン管理機能と、実装ヘッド部8の吸着ノズル15(図4を参照)の不調を検出する不調検出機能とを有する。なお、不調とは、吸着ノズル15の生産性能が低下している状態であり、例えば、本来の生産性能(例えば、本来の部品保持力)を発揮できない状態、又は、動作しない(機能しない)状態等である。また、不調には、正常な生産性能の範囲内であるが将来的に(例えば、所定時間内に)本来の生産性能を発揮できないことが予測される状態又は故障が含まれてもよい。不調の予測は、例えば、流量センサ34の測定結果の勾配(時系列データの変化度合い)に基づいて行われてもよい。
【0051】
半田印刷装置M1と、部品実装装置M2及びM3と、検査装置M4とは、例えば、工場内に設けられる装置である。また、管理コンピュータ100は、工場内に設けられてもよいし、工場とは異なる遠隔地に設けられてもよい。
【0052】
続いて、部品実装システム1の機能構成について、さらに、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係る部品実装システム1の機能構成を示すブロック図である。なお、図2では、半田印刷装置M1の図示を省略している。
【0053】
図2に示すように、部品実装装置M2及びM3は、機能構成として、通信部20と、実装制御部21と、実装記憶部22と、認識処理部40と、表示部50と、入力部52と、実装ヘッド部8と、を有する。
【0054】
通信部20は、通信ネットワーク200を介して部品実装装置M2及びM3、検査装置M4、並びに、管理コンピュータ100との間で信号及びデータの送受信を行う。通信部20は、通信ネットワーク200を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部20によって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0055】
実装制御部21は、実装記憶部22に記憶されたプログラム、データ等に基づいて各構成部を制御することにより、実装ヘッド部8による基板3に部品Pを実装する実装動作を制御する。実装制御部21は、実装データ23、基板3の位置、及び、実装ヘッド部8に保持された部品Pの位置に基づいて、実装ヘッド部8による実装動作を補正して基板3に部品Pを実装させる。また、実装制御部21は、吸着ノズル15が保持する部品Pを実装データ23において指定された回転角度だけ回転させて基板3に部品Pを実装させる。実装制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置により実現される。
【0056】
実装記憶部22は、実装データ23、実装動作を含む部品実装作業を実行するための実装プログラム(図示しない)等を記憶する記憶装置である。実装記憶部22は、半導体メモリ等により実現されるが、これに限定されない。なお、部品実装作業とは、部品実装装置M2及びM3により行われる部品供給部4から供給された部品Pを基板3に実装する作業である。
【0057】
実装データ23は、部品Pを基板3に実装する際に参照されるデータであって、基板3における部品Pの正規位置(実装位置)の座標、実装する際の部品Pの回転角度、実装される部品Pの種類などの情報を含む。
【0058】
また、実装記憶部22は、さらに、実装ヘッド部8が部品Pを吸着した状態における、部品Pの吸着位置に関する吸着情報を含む。吸着情報は、部品Pの目標となる正規位置(吸着位置)の座標、吸着される際の部品Pの回転方向の位置等を含む吸着ばらつきに関する情報(図5を参照)を含む。吸着位置は、例えば、吸着ノズル15の中心位置が部品Pを吸着するときの当該部品P上の目標位置であってもよい。吸着ばらつきに関する情報は、吸着時の部品Pの位置ずれ量を含む位置ずれ量データである。
【0059】
認識処理部40は、基板認識カメラ12による撮像結果(例えば、画像)を認識処理することにより、基板3の位置を検出する。また、認識処理部40は、部品認識カメラ11による撮像結果(例えば、画像)を認識処理することにより、実装ヘッド部8に保持された部品Pの位置を検出する。例えば、認識処理部40は、部品認識カメラ11による撮像結果を認識処理することにより、実装ヘッド部8に保持された部品Pの位置ずれを検出する。位置ずれは、例えば、実装ヘッド部8の吸着ノズル15の中心位置と、部品Pの中心位置との位置ずれ、部品Pの回転方向における位置ずれ等を含む。
【0060】
部品認識カメラ11は、部品Pを撮像する。部品認識カメラ11は、例えば、部品Pを保持した実装ヘッド部8を、部品Pの下方から撮像可能に取り付けられるが、取り付け態様はこれに限定されない。部品認識カメラ11は、撮像部の一例である。また、部品認識カメラ11が吸着ノズル15に保持された部品Pを撮像した画像は、第1画像の一例である。
【0061】
基板認識カメラ12は、部品Pを実装するための基板3を撮像する。
【0062】
表示部50は、入力部52による操作のための操作画面等の各種情報を表示する。また、表示部50は、吸着ノズル15が不調である場合、吸着ノズル15が不調である旨を示す情報を表示する。表示部50は、液晶パネルなどの表示装置により実現される。
【0063】
入力部52は、操作コマンド、データ等の入力をユーザ(例えば、作業者又は管理者であり、以降において、作業者等とも記載する)から受け付ける。入力部52は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置により実現されるが、例えば、音声により入力を受け付ける装置(例えば、マイクロフォン)により実現されてもよい。
【0064】
実装ヘッド部8は、部品Pを基板3に実装するための部品実装作業を実行する。
【0065】
ここで、実装ヘッド部8について、図2に加え、さらに、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態に係る部品実装装置M2を示す平面図である。図4は、本実施の形態に係る部品実装装置M2に用いられる実装ヘッド部8を示す斜視図である。なお、部品実装装置M3の平面図は、部品実装装置M2の平面図と同じであってもよく説明を省略する。
【0066】
まず、部品実装装置M2の構成について説明する。部品実装装置M2は、基台1aと、基板搬送部2と、部品供給部4と、Y軸ビーム6と、X軸ビーム7と、実装ヘッド部8と、部品廃棄箱10と、部品認識カメラ11と、基板認識カメラ12とを備える。
【0067】
基台1aは、基板3及び基板搬送部2等を配置することが可能である。基台1aには、その上面に、X軸方向に沿って延びる基板搬送部2が配設されている。
【0068】
基板搬送部2は、上流側装置(例えば、半田印刷装置M1)から受け渡された基板3を搬送することで、実装作業位置に基板3を位置決めして保持する。基板搬送部2に対するY軸方向の両側には、部品供給部4がそれぞれ配置されている。
【0069】
部品供給部4は、実装ヘッド部8が部品Pを取り出すため、言い換えれば、実装ヘッド部8に部品Pを供給するための構造体である。部品供給部4には、複数のテープフィーダ5が並設して装着されている。テープフィーダ5が部品Pを保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品実装機構を構成する実装ヘッド部8は、実装位置に部品Pを位置させることができる。なお、部品供給部4には、テープフィーダ5が装着されることに限定されず、例えば、バルクフィーダ等が装着されていてもよい。
【0070】
また、基台1aの上面におけるX軸プラス方向側の一端部には、長尺状のY軸ビーム6がY軸方向に沿って水平に配設されている。また、Y軸ビーム6には、長尺状の一対のX軸ビーム7がY軸方向に沿ってスライド自在に装着されている。
【0071】
一対のX軸ビーム7のうちの一方が基板搬送部2に対してY軸プラス方向側に配設され、一対のX軸ビーム7のうちの他方が基板搬送部2に対してY軸マイナス方向側に配設されている。また、一対のX軸ビーム7は、X軸方向に沿って水平に配設されている。
【0072】
一対のX軸ビーム7は、Y軸ビーム6が有するリニア駆動機構によってY軸方向に移動することができる。一対のX軸ビーム7のそれぞれには、実装ヘッド部8がスライド自在に装着されている。
【0073】
吸着ノズル15は、部品Pを吸着(保持)し、部品Pを基板3の実装面と平行な回転方向(θ方向)に所定の角度で回転させて、部品Pを実装する部品吸着部である。そして、実装ヘッド部8は、部品吸着部を有する。具体的には、実装ヘッド部8は、複数の吸着ノズル15を有し、吸着ノズル15により部品Pを基板3の実装面と平行な回転方向に回転させて基板3に部品Pを実装する。吸着ノズル15は、保持部の一例である。
【0074】
実装ヘッド部8は、複数のノズルユニット9を有している。また、実装ヘッド部8は、X軸ビーム7が有するリニア駆動機構によりX軸方向に沿って移動することができる。
【0075】
リニア駆動機構の駆動によってX軸ビーム7及び実装ヘッド部8がX-Y平面において、自在に移動することにより、実装ヘッド部8は、ノズルユニット9に設けられた複数の吸着ノズル15によって、それぞれの部品供給部4に配置されたテープフィーダ5から部品Pを真空吸引(部品Pを吸着)して取り出し、基板3の上方に移動して部品Pを基板3の実装位置に搭載する。
【0076】
また、基台1aにおいて基板搬送部2とそれぞれの部品供給部4との間には、部品認識カメラ11と部品廃棄箱10とが配設されている。部品供給部4から部品Pを取り出した実装ヘッド部8が部品認識カメラ11の上方を通過することにより、部品認識カメラ11は、実装ヘッド部8が通過する撮像タイミングで、実装ヘッド部8に装着された複数の吸着ノズル15に保持された状態の部品Pを撮像する。このため、部品認識カメラ11は、複数の吸着ノズル15に吸着された部品Pを認識することができる。複数の吸着ノズル15は、同じ種類の部品Pを吸着するためのノズルであってもよいし、互いに異なる種類の部品Pを吸着するためのノズルであってもよい。
【0077】
部品廃棄箱10は、実装ヘッド部8が部品認識カメラ11の上方を通過する経路上であり、部品認識カメラ11と隣り合う様に、部品認識カメラ11とX軸方向に沿って配列されている。部品Pを吸着した実装ヘッド部8は、部品廃棄箱10の上方に位置した際に、部品Pを廃棄することができる。また、本実施の形態では、部品廃棄箱10の上方において、さらに吸着ノズル15に付着した異物等を除去するためのエアブローが行われる。
【0078】
また、複数の吸着ノズル15は、部品Pを吸着(真空吸着)することができ、吸着した部品Pを離間させたりすることができる。また、複数の吸着ノズル15は、このような真空吸着だけでなく、ブローしたりすることもできる。
【0079】
実装ヘッド部8が取り付けられている結合プレート8aには、X軸ビーム7の下面側に位置し、実装ヘッド部8と一体的に移動する基板認識カメラ12が配設されている。基板認識カメラ12は、撮像方向を下向きにした姿勢で結合プレート8aに配設されている。基板搬送部2に保持された基板3の上方に実装ヘッド部8を移動させることにより、基板認識カメラ12は、基板3の位置認識マーク等を撮像したり、部品実装後に基板3の上方に移動して基板3に搭載された部品を撮像したりする。
【0080】
部品認識カメラ11、及び、基板認識カメラ12によって取得された画像データを画像認識処理することにより、実装ヘッド部8において吸着ノズル15に保持された状態の部品Pの位置ずれ、及び、基板搬送部2に保持された基板3の位置ずれを検出することができる。実装ヘッド部8は、部品実装動作において、これらの位置ずれを加味して、位置を補正して部品Pを基板3の実装位置に実装する。
【0081】
図3及び図4に示すように、実装ヘッド部8は、結合プレート8aを介してX軸ビーム7に装着されている。実装ヘッド部8は、複数のノズルユニット9を並べた状態で配置している。それぞれのノズルユニット9は、ノズル駆動部9aからノズル軸13を下方に延出させるように配置している。ノズル軸13の下端部に結合されたノズル装着部14には、複数の吸着ノズル15が着脱自在に装着されている。それぞれのノズル駆動部9aは、ノズル軸13と結合された昇降軸をリニアモータにより昇降させるノズル昇降機構を有している。ノズル駆動部9aが駆動することにより、ノズル装着部14に装着された複数の吸着ノズル15は、個別に昇降する。このような、実装ヘッド部8は、複数のノズルユニット9の他に、ノズル駆動部9a、ノズル軸13、ノズル装着部14及び吸着ノズル15を有している。なお、実装ヘッド部8は、複数のノズルユニット9、複数のノズル駆動部9a、複数のノズル軸13、複数のノズル装着部14及び複数の吸着ノズル15を有しているが、特に言及しない限り、1つのノズルユニット9、1つのノズル駆動部9a、1つのノズル軸13、1つのノズル装着部14及び1つの吸着ノズル15について説明する。
【0082】
吸着ノズル15は、真空吸引する部品のサイズ、及び、形状に応じて複数の種類が用意されている。例えば、大きなサイズの部品には、吸着ノズル15の下端部における吸着面が大きな吸着ノズル15が使用される。
【0083】
また、実装ヘッド部8は、装着する吸着ノズル15の種類に応じて複数の種類が用意されている。例えば、大きな部品を吸着する大きな吸着ノズル15を装着する場合は、大きなノズルユニット9を有する実装ヘッド部8が使用される。
【0084】
ノズル軸13は、ノズル装着部14を挿通して吸着ノズル15に連通している。ノズル軸13の内部に設けられた流路孔は、流量センサ34を介して吸着ノズル15に連通する出力経路に接続されている。すなわち、ノズル軸13の吸引孔が、流量センサ34及び出力経路を介して、切換バルブ36の出力ポートに接続されることで、切換バルブ36と吸着ノズル15とを接続する吸引・エアブロー回路となる。
【0085】
流量センサ34は、吸着ノズル15を流れる空気の流量を測定する。例えば、流量センサ34は、複数の吸着ノズル15における所定の吸着ノズル15の内部を流れる空気の流量を測定する。例えば、流量センサ34は、流量センサ34からノズル軸13の方向に流れ出る正方向と、ノズル軸13から流量センサ34の方向に流れ込む負方向の、正逆2方向の空気の流量を測定する。言い換えれば、流量センサ34は、吸着ノズル15が吸引した場合の真空流量(吸引流量)、及び、吸着ノズル15がブローした場合のブロー流量を測定する。流量センサ34は、真空流量の測定結果、及び、ブロー流量の測定結果を少なくとも管理コンピュータ100に出力する。流量センサ34は、測定部の一例である。
【0086】
切換バルブ36は、2つの入力ポートと、1つの出力ポートとを有する電磁弁等で構成されている。2つの入力ポートは、真空ポンプ(図示しない)に接続される第1の入力ポートと、ブローバルブ38に接続される第2の入力ポートとを有する。1つの出力ポートは、流量センサ34に通じる出力経路に接続される第1の出力ポートである。切換バルブ36では、外部からの選択信号により、第1の入力ポートから第1の出力ポートへの経路を開通させた状態と、第2の入力ポートから第1の出力ポートへの経路を開通させた状態とが切り換えられる。真空ポンプは、負の圧力(真空)を発生させることができる。
【0087】
ブローバルブ38は、1つ以上の入力ポートと、1つの出力ポートとを有する電磁弁等で構成されている。1つ以上の入力ポートは、空気供給部38aに接続される第3の入力ポートを有する。1つの出力ポートは、切換バルブ36の第2の入力ポートに接続される第2の出力ポートを有する。ブローバルブ38では、外部からの選択信号により、第3の入力ポートから第2の出力ポートへの経路を開通させた状態と、当該経路を閉じた状態とが切り換えられる。空気供給部38aは、正圧空気を供給するエア供給装置である。なお、1つ以上の入力ポートは、大気圧の空気を供給する大気供給部(図示しない)と接続される第4の入力ポートを有していてもよい。大気供給部は、ブローバルブ38の第4の入力ポートを開放状態にすることでも実現することができる。
【0088】
切換バルブ36及びブローバルブ38は、ノズル制御部30が有するバルブ制御部31に接続されている。流量センサ34の測定結果は、ノズル制御部30に入力される。ノズル制御部30が有するバルブ記憶部32には、バルブ制御部31によって切換バルブ36とブローバルブ38との状態を切り換えるタイミング情報、流量センサ34が測定した空気の流量が正常であるか否かを判定するタイミング情報、及び、所定値(例えば、各種判定に用いられる閾値)が記憶されている。また、バルブ記憶部32には、さらに、流量センサ34によって測定された流量値が記憶されている。
【0089】
ノズル制御部30は、実装ヘッド部8に配設されている。
【0090】
バルブ制御部31が切換バルブ36を制御して、第1の入力ポートから第1の出力ポートへの経路を開通させた状態(吸引状態)にすると、真空ポンプが切換バルブ36及び流量センサ34を介して吸着ノズル15と連通し、吸着ノズル15は下端部の吸着面から部品Pを真空吸引する。
【0091】
吸着面に部品Pが当接している状態で吸着ノズル15が部品Pを真空吸引すると、吸着ノズル15によって部品Pが真空吸着される。この時、流量センサ34が測定する空気の流量(真空流量)は、実質的にゼロとなる。吸着面に部品Pが当接していない状態で吸着ノズル15から真空吸引すると、吸着ノズル15より外気(空気)が吸引される。この時、流量センサ34によって、負の空気の流量が測定される。
【0092】
バルブ制御部31が切換バルブ36を制御して第2の入力ポートから第1の出力ポートへの経路を開通させ、ブローバルブ38を制御して第3の入力ポートから第2の出力ポートへの経路を開通させた状態(ブロー状態)にすると、空気供給部38aがブローバルブ38、切換バルブ36及び流量センサ34を介して吸着ノズル15と連通し、吸着ノズル15から正圧空気が吐出される。すなわち、空気供給部38aは、吸着ノズル15から正圧空気を吐出させる。この時、流量センサ34によって、正の空気の流量が測定される。
【0093】
このように、切換バルブ36及びブローバルブ38は、真空ポンプと空気供給部38aとを選択的に吸着ノズル15に接続させる。そして、流量センサ34は、切換バルブ36及びブローバルブ38と吸着ノズル15とを接続する吸引・エアブロー回路に介設され、吸引・エアブロー回路を通過する空気の流量を正逆2方向で測定する。
【0094】
ここで、吸着ノズル15が部品Pを吸着するときの吸着ばらつきについて、さらに、図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係る吸着ノズル15の吸着ばらつきの一例を説明するための図である。図5を用いて、実装記憶部22に記憶される、吸着ノズル15に吸着された部品Pの正規位置からの位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1について説明する。
【0095】
図5の(a)は、実装ヘッド部8の吸着ノズル15が部品Pを吸着して持ち上げている様子を示す。図5の(b)は、部品認識カメラ11が吸着ノズル15に吸着された部品Pを撮像した画像11aを示す。具体的には、図5の(b)は、吸着ノズル15の中心位置であるノズル中心Cnと、画像11aの中心11cとが一致するように撮像した画像11aを示す。また、図5の(b)では、画像11a上にうつる吸着ノズル15を、吸着ノズル11bとして図示している。
【0096】
図5の(a)に示すように、吸着ノズル15によって部品Pを吸着保持した実装ヘッド部8を、部品認識カメラ11の上方を所定方向に移動させる動作が行われる。これにより、吸着ノズル15に吸着保持された状態の部品Pの画像が取得される。なお、部品Pの形状は、直方体状であることに限定されず、柱状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0097】
図5の(b)に示すように、画像11aには、例えば、X軸方向の中心線11xとY軸方向の中心線11yとが重ねて表示されており、X軸方向の中心線11xとY軸方向の中心線11yとの交点が画像11aの中心11cとなる。このような画像11aを認識処理部40によって認識処理することにより、部品Pの中心位置である部品中心Cpが抽出され、さらに、画像11aの中心11cからの部品中心CpのX軸方向、Y軸方向、θ方向の位置ずれ量を示す吸着時の位置ずれ量△X1、△Y1及び△θ1が算出される。θ方向は、Z軸方向の軸(Z軸)を回転軸とする回転の方向である。吸着時の位置ずれは、吸着ノズル15の不調に応じて生じ得る。吸着位置ずれは、例えば、吸着ノズル15の詰まり、異物の付着等に応じて生じ得る。また、吸着位置ずれは、テープフィーダ5によってピッチ送りされるキャリアテープ(対象ポケット)の停止位置のばらつき、対象ポケット内の部品Pの位置又は姿勢のばらつき、吸着ノズル15が部品Pを吸着する際の吸着位置のばらつき等に応じても生じ得る。
【0098】
なお、位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1は、例えば、複数の吸着ノズル15のそれぞれにおいて算出されてもよい。また、位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1は、部品Pの種類ごとに算出されてもよい。位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1は、吸着ばらつきを示す情報(第1位置ずれ情報)の一例である。
【0099】
図2を再び参照して、検査装置M4は、通信部60と、検査制御部61と、検査用カメラ63と、検査記憶部64と、表示部67と、入力部69とを備える。
【0100】
通信部60は、通信ネットワーク200を介して部品実装装置M2及びM3、並びに、管理コンピュータ100との間で信号及びデータの送受信を行う。通信部60は、通信ネットワーク200を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部60によって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0101】
検査制御部61は、検査装置M4の各構成要素を制御する。また、検査制御部61は、検査装置M4における検査に関する管理を行う。検査制御部61は、内部処理機能として位置ずれ量算出部62を有する。検査制御部61は、CPU等の演算装置により実現される。
【0102】
位置ずれ量算出部62は、検査用カメラ63により撮像された画像から、基板3に実装された部品Pの正規位置からの位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2(図6を参照)を算出する位置ずれ量算出処理を実行する。算出された位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2は、位置ずれ量データ66として検査記憶部64に記憶される。また、位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2は、通信部60を介して管理コンピュータ100に出力される。なお、位置ずれ量算出部62は、位置ずれ量△X2、△Y2及び△θ2のうち少なくとも1つを算出すればよい。
【0103】
ここで、吸着ノズル15が部品Pを基板3に実装した後の当該部品Pの装着ばらつきについて、さらに、図6を参照して説明する。図6は、本実施の形態に係る部品Pの装着ばらつきを説明するための図である。
【0104】
実装ヘッド部8による実装動作では、部品供給部4のテープフィーダ5から実装ヘッド部8の吸着ノズル15によって取り出された部品Pが、基板3に設定された実装位置である正規位置Csを目標として移送搭載される。このとき部品Pの部品中心Cpが必ずしも正規位置Csに対して正しく一致するとは限らず、X軸方向に位置ずれ量△X2、Y軸方向に位置ずれ量△Y2、θ方向(実装面と平行な回転方向)に位置ずれ量△θ2だけ位置ずれした状態で実装されることがある。
【0105】
この位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2は、基板3に実装された部品Pを検査用カメラ63によって撮像した画像を位置ずれ量算出部62によって位置ずれ量算出処理することにより取得される。位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2は、1つの基板3に実装される複数の部品Pについてそれぞれ取得されて位置ずれ量データ66として記憶される。また、位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2は、例えば、複数の吸着ノズル15のそれぞれにおいて算出される。また、位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2は、部品Pの種類ごとに算出されてもよい。位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2は、装着ばらつきを示す情報(第2位置ずれ情報)の一例である。
【0106】
検査用カメラ63は、基板3に実装された部品Pを撮像する。検査用カメラ63は、例えば、部品Pが実装された基板3を、部品Pの上方から撮像可能に取り付けられるが、取り付け態様はこれに限定されない。検査用カメラ63は、撮像部の一例である。また、検査用カメラ63が基板3に実装された部品Pを撮像した画像は、第2画像の一例である。
【0107】
検査記憶部64は、実装データ65、位置ずれ量データ66等を記憶する記憶装置である。実装データ65には、部品Pが実装された基板3に関するデータであって、基板3における部品Pの実装位置(正規位置)の座標、実装する際の部品Pの回転角度、実装された部品Pの種類などの情報が含まれている。検査記憶部64は、半導体メモリ等により実現されるが、これに限定されない。
【0108】
表示部67は、入力部69による操作のための操作画面等の各種情報を表示する。表示部67は、液晶パネルなどの表示装置により構成される。
【0109】
入力部69は、操作コマンド、データ等の入力を作業者等から受け付ける。入力部69は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置により実現されるが、例えば、音声により入力を受け付ける装置(例えば、マイクロフォン)により実現されてもよい。
【0110】
このように、検査装置M4は、部品Pを撮像する検査用カメラ63と、検査用カメラ63により撮像された画像から部品Pの正規位置Csからの位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2を算出する位置ずれ量算出部62とを備える。
【0111】
図2を再び参照して、管理コンピュータ100は、通信部110と、管理制御部120と、管理記憶部130と、判定部140と、表示部150と、入力部152とを備える。管理コンピュータ100は、部品実装装置M2及びM3における吸着ノズル15の不調を検出する不調検出装置の一例である。また、管理コンピュータ100は、サーバ装置により実現されてもよい。
【0112】
通信部110は、通信ネットワーク200を介して、半田印刷装置M1、部品実装装置M2及びM3、管理コンピュータ100との間で信号及びデータの送受信を行う。通信部110は、例えば、部品実装装置M2及びM3から実装データ23(例えば、吸着情報)を取得し、検査装置M4から位置ずれ量データ66を取得する。通信部110は、取得部の一例である。
【0113】
通信部110は、通信ネットワーク200を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部110によって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0114】
本実施の形態では、通信部110は、後述する第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にある場合、吸着ノズル15が不調である旨を示す情報を通信ネットワーク200、又は、外部の通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して他の装置に出力してもよい。通信部110は、当該情報を出力する出力部として機能してもよい。
【0115】
管理制御部120は、管理コンピュータの各構成要素を管理する。また、管理制御部120は、生産ラインにおける生産の管理を行う。管理制御部120は、CPU等の演算装置により実現される。
【0116】
管理記憶部130は、実装データ131、部品情報132、位置ずれ量データ133等を記憶する記憶装置である。管理記憶部130は、半導体メモリ等により実現されるが、これに限定されない。
【0117】
実装データ131には、部品Pを基板3に実装する際に参照されるデータであって、基板3における部品Pの実装位置(正規位置)の座標、実装する際の部品Pの回転角度、実装される部品Pの種類などの情報が含まれる。
【0118】
部品情報132には、基板3に実装される部品Pの形状、サイズ、及び、部品Pが格納される部品供給部4(例えば、キャリアテープ)のポケットの大きさと部品Pの大きさとのギャップの少なくとも1つが含まれる。
【0119】
位置ずれ量データ133は、部品Pの位置ずれに関するデータである。位置ずれ量データ133は、部品実装装置M2及びM3から取得された吸着ばらつきに関する情報(第1位置ずれ情報)、及び、検査装置M4から取得された装着ばらつきに関する情報(第2位置ずれ情報)を含む。本実施の形態では、位置ずれ量データ133は、位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1、△X2、△Y2及び△θ2を含む。
【0120】
判定部140は、位置ずれ量データ133に基づいて、吸着ノズル15に不調が発生しているか否かを判定する。具体的には、判定部140は、位置ずれ量データ133に含まれる吸着ばらつき、及び、装着ばらつきに基づいて、吸着ノズル15に不調が発生しているか否かを判定する。より具体的には、判定部140は、吸着ばらつき、及び、装着ばらつきの相関関係に基づいて、吸着ノズル15に不調が発生しているか否かを判定する。本実施の形態において、吸着ノズル15における不調の発生を判定するために、吸着ばらつき、及び、装着ばらつきの相関関係を用いることに特徴を有する。
【0121】
判定部140は、生産ラインによる生産中に当該判定を行う。判定部140は、例えば、部品Pが基板3に実装されるごとに、当該判定を行ってもよい。判定部140における判定方法は、後述する。
【0122】
表示部150は、入力部152による操作のための操作画面等の各種情報を表示する。本実施の形態では、表示部150は、後述する第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にある場合、吸着ノズル15が不調である旨を示す情報を表示してもよい。表示部150は、当該情報を出力する出力部として機能してもよい。表示部150は、液晶パネルなどの表示装置により構成される。
【0123】
入力部152は、操作コマンド、データ等の入力を作業者等から受け付ける。入力部152は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置により実現されるが、例えば、音声により入力を受け付ける装置(例えば、マイクロフォン)により実現されてもよい。
【0124】
[2.部品実装システムの動作]
次に、上記の部品実装システム1の動作について図7図12を参照しながら説明する。図7は、本実施の形態に係る部品実装システム1の動作(部品実装方法)を示すフローチャートである。なお、図7に示すステップS16~S20までの処理は、行われなくてもよい。
【0125】
図7に示すように、まず生産が開始される(S11)。例えば、管理コンピュータ100からの制御情報に基づいて、生産ラインが稼働する。
【0126】
次に、管理コンピュータ100の通信部110は、部品Pの吸着位置に関する第1位置ずれ情報を部品実装装置M2及びM3から取得する(S12)。第1位置ずれ情報は、第1画像に基づく吸着ノズル15に対する部品Pの吸着位置のずれを示す情報である。本実施の形態では、通信部110は、第1位置ずれ情報として、吸着ばらつきを示す情報(位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1)を取得する。
【0127】
図8は、吸着ばらつきの一例を示す図である。図8の横軸は、X軸方向の吸着位置のずれ量(△X)を示し、図8の縦軸は、Y軸方向の吸着位置のずれ量(△Y)を示す。図8は、吸着ばらつきを示す情報をグラフ上にプロットした図である。図8には、複数の点がプロットされている。吸着ノズル15が複数ある場合、複数の吸着ノズル15それぞれの位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1がグラフ上にプロットされてもよい。また、1つの吸着ノズル15の複数回の吸着動作のときの位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1がグラフ上にプロットされてもよい。
【0128】
なお、吸着ばらつきを示す情報には、吸着ばらつきを測定した吸着ノズル15の識別情報、測定した時刻(例えば、吸着ノズル15を撮像した時刻)、部品Pの種類を示す情報等が含まれてもよい。
【0129】
なお、図8に示す吸着ばらつきは、吸着ノズル15が正常である場合にも起こり得るばらつきの範囲内である。つまり、図8に示す吸着ばらつきは、吸着ばらつきの正常範囲内のばらつきである。つまり、位置ずれ量△X1、△Y1、△θ1は、正常範囲内の値である。
【0130】
部品実装装置M2及びM3は、吸着した部品Pを基板3の所定位置に実装する。吸着ノズル15は、吸着した部品Pを基板3のクリーム半田上に載置する。部品Pが実装された基板3は、検査装置M4に搬送され、検査用カメラ63により部品Pを含む基板3が撮像される。
【0131】
次に、通信部110は、基板3上の部品Pの実装位置に関する第2位置ずれ情報を検査装置M4から取得する(S13)。第2位置ずれ情報は、第2画像に基づく基板3における正規位置Csからの部品Pの実装位置ずれ(装着位置ずれ)を示す情報である。本実施の形態では、通信部110は、第2位置ずれ情報として、装着ばらつきを示す情報(位置ずれ量△X2、△Y2、△θ2)を取得する。
【0132】
図9Aは、吸着ノズル15が正常である場合の装着ばらつきの一例を示す図である。図9Bは、吸着ノズル15が不調である場合の装着ばらつきの一例を示す図である。図9A及び図9Bの横軸は、X軸方向の装着位置のずれ量(△X)を示し、図9A及び図9Bの縦軸は、Y軸方向の装着位置のずれ量(△Y)を示す。
【0133】
図9A及び図9Bに示すように、吸着ノズル15の不調の有無により、装着ばらつきの程度が異なる。具体的には、吸着ノズル15が不調である場合の装着ばらつきは、吸着ノズル15が正常である場合の装着ばらつきよりばらつきが大きい。これは、吸着ノズル15に不調がある場合、部品Pを吸着してから基板3に部品Pを実装するまでの間の吸着ノズル15の移動に伴う、部品Pの位置のずれが起こることが原因であると考えられる。例えば、吸着ノズル15が不調である場合、吸着ノズル15の部品Pを吸着する吸着力(部品Pを保持する部品保持力)が弱いので、吸着ノズル15のX軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向(主にX軸方向、及び、Y軸方向)への移動、並びに、θ方向の回転による慣性、空気抵抗等により、吸着位置から部品Pがずれてしまう。一方、吸着ノズル15が正常である場合、吸着ノズル15の部品Pを吸着する吸着力が強いので、吸着ノズル15のX軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向(主にX軸方向、及び、Y軸方向)への移動、並びに、θ方向の回転による慣性、空気抵抗等により、吸着位置から部品Pがずれにくい。
【0134】
本願発明者らは、図9A及び図9Bに示すように、吸着ノズル15の移動に伴う部品Pの吸着位置からのずれ量が、吸着ノズル15の不調の有無により異なることを見出した。そして、部品実装システム1では、吸着位置からの部品Pのずれ量の違いに着目して、吸着ノズル15の不調を検出する。
【0135】
なお、図9Bに示す装着ばらつきは、吸着ノズル15が正常である場合にも起こり得るばらつきの範囲内である。つまり、図9Bに示す装着ばらつきは、装着ばらつきの正常範囲内のばらつきである。また、図9Bに示す吸着ばらつきは、部品Pの装着時の吸着ノズル15の位置が正常である場合に発生する装着ばらつきである。
【0136】
なお、ステップS12及びS13において、通信部110は、複数の吸着ノズル15の各々に対応する第1位置ずれ情報と、第2位置ずれ情報とを取得してもよい。
【0137】
なお、位置ずれ量は、上記に限定されない。図10は、本実施の形態に係る吸着ばらつきの他の一例を説明するための図である。
【0138】
図10に示すように、吸着ばらつきは、位置ずれ量△X1及び△Y1に基づいて算出される位置ずれ量(距離)Rであってもよい。判定部140は、吸着ばらつきに関する情報に基づいて、吸着時の位置ずれ量R(以降において、吸着位置ずれRvとも記載する)を算出してもよい。吸着位置ずれRvは、第1位置ずれ情報の一例である。
【0139】
また、同様に、吸着ばらつきは、位置ずれ量△X2及び△Y2に基づいて算出される位置ずれ量(距離)Rであってもよい。判定部140は、装着ばらつきに関する情報に基づいて、装着後の位置ずれ量R(以降において、装着位置ずれRmとも記載する)を算出してもよい。装着位置ずれRmは、第2位置ずれ情報の一例である。
【0140】
なお、吸着位置ずれRv、及び、装着位置ずれRmは、例えば、ピタゴラスの定理を用いて算出される。
【0141】
なお、第1位置ずれ情報、及び、第2位置ずれ情報は、X軸方向、Y軸方向、θ方向、及び、距離の少なくとも1つの位置ずれ量を含んでいればよい。
【0142】
次に、判定部140は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報との間の相関係数を算出する(S14)。判定部140は、例えば、X軸方向、Y軸方向、θ方向、距離の位置ずれ量それぞれの相関係数を算出してもよい。例えば、判定部140は、位置ずれ量△X1及び△X2の間の相関係数、位置ずれ量△Y1及び△Y2の間の相関係数、位置ずれ量△θ1及び△θ2の間の相関係数、並びに、吸着位置ずれRv及び装着位置ずれRmの間の相関係数のそれぞれを算出してもよい。
【0143】
なお、判定部140は、上記4つの相関係数の少なくとも1つを算出すればよい。また、相関係数は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報との相関関係を示す指標の一例である。
【0144】
相関係数の算出について、吸着位置ずれRv、及び、装着位置ずれRmを例に説明する。吸着位置ずれRv、及び、装着位置ずれRmの共分散をSRvRmとし、吸着位置ずれRvの標準偏差をSRvとし、装着位置ずれRmの標準偏差をSRmとすると、吸着位置ずれRv及び装着位置ずれRmの間の相関係数rは、以下の式1で算出される。
【0145】
r=SRvRm/(SRv×SRm) ・・・(式1)
【0146】
他の3つの相関係数rにおいても、同様に算出される。
【0147】
なお、相関係数rは、部品Pの種類ごとに算出されてもよい。判定部140は、部品Pの種類に対応する第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とに基づいて、当該部品Pの種類に対応する相関係数rを算出してもよい。判定部140は、複数の吸着ノズル15、及び、部品Pの種類の組み合わせのそれぞれにおいて、対応する第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とから相関係数rを算出してもよい。
【0148】
ここで、吸着ノズル15が正常である場合、及び、不調がある場合の相関係数について、図11A及び図11Bを参照しながら説明する。図11Aは、吸着ノズル15が正常である場合における、吸着位置ずれRv、及び、装着位置ずれRmの間の相関関係を示す図である。図11Bは、吸着ノズル15が不調である場合における、吸着位置ずれRv、及び、装着位置ずれRmの間の関係を示す図である。なお、図11A及び図11Bに示す破線は、図上にプロットされた各点に対する回帰直線を示す。
【0149】
図11Aに示すように、吸着ノズル15が正常である場合、吸着位置ずれRv(第1位置ずれ情報の一例)と、装着位置ずれRm(第2位置ずれ情報の一例)との間に相関関係が見られない。これは、吸着時には部品Pの吸着位置ずれRvにばらつきがあるものの、実装ヘッド部8に保持された部品Pの位置(吸着位置)に基づく実装位置の補正により、装着位置ずれRmの値が小さくなるためのである。
【0150】
図11Bに示すように、吸着ノズル15が不調である場合、吸着位置ずれRv(第1位置ずれ情報の一例)と、装着位置ずれRm(第2位置ずれ情報の一例)との間に所定の相関関係が見られる。これは、吸着時には部品Pの吸着位置ずれRvにばらつきがあり、かつ、部品Pを基板3に移載する際に部品Pの吸着位置がずれてしまい、その結果、吸着ノズル15の位置は正規位置であっても装着位置のずれが生じるためである。よって、吸着位置ずれRv、及び、装着位置ずれRmの双方にばらつきが発生するので、吸着位置ずれRvと装着位置ずれRmとの間に、所定の相関関係が見られる。
【0151】
そこで、判定部140は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、吸着ノズル15の不調を判定する。
【0152】
次に、判定部140は、相関係数が所定値以上であるか否かを判定する(S15)。所定値は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とに所定の相関があることを示す値であり、例えば、弱い正の相関があることを示す値であってもよい。所定値は、予め設定され、管理記憶部130に記憶されている。弱い正の相関について、図12を参照しながら説明する。図12は、相関係数と、相関関係の強弱との関係を示す図である。
【0153】
図12に示すように、弱い正の相関は、例えば、相関係数rの値が0.2以上0.4未満の間のいずれかの値である。所定値は、例えば、相関係数rの値が0.2であってもよい。なお、所定値は、弱い正の相関を示す値であることに限定されず、図12に示す数値のうち、相関係数の強弱が「ほとんど関係がない」に対応する数値以外の数値であってもよい。例えば、所定値は、相関係数rが-1以上1以下の範囲の中で、-0.2以上0.2未満以外の値であればよい。なお、所定値は、部品Pの実装位置に不良が発生し始める相関係数rの値未満の値に設定されてもよい。不良が発生し始める相関係数rは、例えば、過去に生産実績等に基づいて予め設定されている。不良が発生し始める相関係数rは、例えば、部品Pの種類ごとに設定されていてもよい。
【0154】
ステップS15の処理は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かを判定することの一例である。
【0155】
なお、複数の位置ずれ量のいずれかの相関係数rが所定値以上である場合、ステップS15においてYesと判定される。
【0156】
次に、判定部140により相関係数rが所定値以上であると判定された場合(S15でYes)、撮像部(例えば、部品認識カメラ11)は、吸着ノズル15の先端部15aを撮像し(S16)、流量センサ34は、吸着ノズル15の流量(例えば、真空流量)を測定する(S17)。ステップS16及びS17は、少なくとも一方が実行されればよい。なお、ステップS15でYesと判定されることは、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあることを意味する。
【0157】
ステップS16において、撮像部は、相関係数rが所定値以上である吸着ノズル15における、部品Pを吸着していない状態の先端部15aを撮像する。撮像部は、例えば、吸着ノズル15の先端部15aを下方から、つまり吸着ノズル15の内側(流路)を撮像可能な方向から先端部15aを撮像してもよいし、吸着ノズル15の側方から先端部15aを撮像してもよい。撮像された画像(第3画像の一例)は、管理コンピュータ100に出力される。
【0158】
ステップS17において、流量センサ34は、相関係数rが所定値以上である吸着ノズル15が部品Pを吸着していない状態において、当該吸着ノズル15が吸引した場合の真空流量を測定する。測定された真空流量は、管理コンピュータ100に出力される。
【0159】
次に、判定部140は、吸着ノズル15の先端部15a、又は、流量(例えば、真空流量)に異常があるか否かを判定する(S18)。判定部140は、第3画像の画像解析により先端部15aに異常があるか否かを判定する。判定部140は、先端部15aに異物が付着している、先端部15aが詰まっている、又は、先端部15aの変形している(例えば、先端部15aが欠けている、曲がっている等)場合、先端部15aに異常があると判定する。また、判定部140は、真空流量が所定の流量以上である場合(例えば、所定の負の流量以上である場合)、先端部15aに異常があると判定する。
【0160】
次に、判定部140は、吸着ノズル15の先端部15a、又は、流量に異常がある場合(S18でYes)、空気供給部38aから吸着ノズル15に空気を供給させる(S19)。判定部140は、吸着ノズル15(実装ヘッド部8)が基板3の上方以外の場所に位置しているときに、空気供給部38aから吸着ノズル15に空気を供給させる。判定部140は、例えば、吸着ノズル15(実装ヘッド部8)が実装位置から吸着位置に戻る移動経路上で通過する部品廃棄箱10上で空気供給部38aから吸着ノズル15に空気を供給させてもよい。この場合、ステップS14~S18までの処理は、吸着ノズル15(実装ヘッド部8)が実装位置から部品廃棄箱10まで移動する間に行われるとよい。
【0161】
このように、ステップS19において、空気供給部38aは、ステップS18の判定結果に異常があることが含まれる場合、吸着ノズル15が基板3の上方以外の場所に位置しているときに吸着ノズル15に空気を供給する。
【0162】
なお、空気供給部38aからの空気の供給量は、例えば、吸着ノズル15が部品Pを基板3上に載置し、基板3から離れる際に空気供給部38aから供給される空気の供給量より多くてもよい。空気供給部38aは、吸着ノズル15が基板3から離れる際に空気を吸着ノズル15の内部から外部に放出するために、部品実装装置M2及びM3に予め設けられている。つまり、ステップS19では、設備を追加することなく、吸着ノズル15の不調を解消するための対処を行う。
【0163】
なお、先端部15aが変形しているためステップS18でYesと判定された場合、ステップS19の処理は実行されなくてもよい。判定部140は、判定結果に基づいて、ステップS19の処理を実行するか否かを判定してもよい。
【0164】
次に、判定部140は、ステップS18の判定結果に応じて、先端部15a又は流量の異常が解消したか否かを判定する(S20)。判定部140は、例えば、第3画像に基づいてステップS18でYesと判定された場合、ステップS20において再度吸着ノズル15の先端部15aの画像を撮像し、異物の付着、詰まり等が解消しているか否かを判定してもよい。また、判定部140は、例えば、真空流量に基づいてステップS18でYesと判定された場合、ステップS20において再度真空流量を測定し、真空流量が正常範囲内となっているか否かを判定してもよい。判定部140は、先端部15a又は流量の異常が解消しない場合、吸着ノズル15が不調であると判定する。
【0165】
なお、ステップS20では、先端部15aを撮像した画像、及び、真空流量の両方に基づいて、異常が解消したか否かの判定が行われてもよい。
【0166】
次に、判定部140は、先端部15a又は流量の異常が解消しない場合(S20でNo)、エラーを報知させる(S21)。判定部140は、例えば、吸着ノズル15が不調であることを示す情報を表示部150に表示させてもよい。また、判定部140は、吸着ノズル15が複数ある場合、さらに不調である吸着ノズル15を特定する情報(例えば、不調である吸着ノズル15の設置位置を示す情報)を表示部150に表示させてもよい。また、判定部140は、ステップS18で異常と判定された原因(例えば、先端部15aの異物付着、真空流量の異常、又は、変形)を示す情報を表示部150に表示させてもよい。なお、報知態様は、表示に限定されず、音声であってもよいし、ランプ等の光源の発光であってもよいし、作業者等の情報端末(例えば、携帯端末)に当該情報を出力することであってもよい。
【0167】
また、判定部140は、相関係数rが所定値未満である場合(S15でNo)、吸着ノズル15の先端部15a、又は、流量に異常がない場合(S18でNo)、及び、先端部15a又は流量の異常が解消した場合(S20でYes)、生産終了したか否かを判定する(S22)。そして、判定部140は、生産終了している場合(S22でYes)、処理を終了し、生産終了していない場合(S22でNo)、吸着ノズル15が正常であるのでステップS12に戻り生産を継続する。
【0168】
なお、判定部140は、例えば、ステップS15でYesである場合、吸着ノズル15が不調であると判定してもよい。つまり、判定部140は、先端部15aの撮像、及び、流量の測定を行わせなくてもよい。この場合、ステップS15でYesと判定されると、例えば、ステップS21が実行される。また、判定部140は、例えば、ステップS18でYesである場合、吸着ノズル15が不調であると判定してもよい。つまり、判定部140は、空気供給部38aに空気を供給させなくてもよい。この場合、ステップS18でYesと判定されると、例えば、ステップS21が実行される。
【0169】
上記のように、判定部140は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、吸着ノズル15の不調を判定する。
【0170】
判定部140は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報との間に所定の相関関係があるか否かに基づいて吸着ノズル15の不調を判定するので、例えば、第2位置ずれ情報(例えば装着位置ずれRmの標準偏差)のみに基づいて吸着ノズル15の不調を判定する場合に比べて、正確に吸着ノズル15の不調を判定することが可能である。例えば、第2位置ずれ情報のみに基づいて吸着ノズル15の不調を検出する場合、装着ばらつきが小さいと吸着ノズル15は正常であると判定されてしまう。一方、本実施の形態では、吸着ばらつきと装着ばらつきとの相関関係に基づいて判定を行うので、装着ばらつきが小さい場合であっても、吸着ばらつきと装着ばらつきとの間に所定の相関関係があれば、吸着ノズル15の不調を検出可能である。
【0171】
また、例えば、判定部140は、複数の吸着ノズル15の各々に対応する第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、複数の吸着ノズル15の各々について、吸着ノズル15の不調を判定してもよい。この場合、判定部140は、少なくとも1つの吸着ノズル15の相関係数rが所定値以上である場合、ステップS15においてYesと判定する。
【0172】
また、例えば、判定部140は、部品Pの種類に対応する第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とが所定の相関関係にあるか否かに基づいて、当該吸着ノズル15及び当該部品Pの種類における不調を判定してもよい。この場合、判定部140は、特定の部品Pにおいて吸着ノズル15が不調であると判定される場合、吸着ノズル15の不調ではなく、当該吸着ノズル15が当該特定の部品Pに対応していない吸着ノズル15である、つまり当該吸着ノズル15と当該特定の部品Pとが合っていないと判定し、判定結果を報知してもよい。これにより、判定部140は、相関係数rが所定値以上である原因が、吸着ノズル15の不調であるか、吸着ノズル15と部品Pとの組み合わせがよくないのかを判定することができるので、より正確に吸着ノズル15の不調を検出することができる。
【0173】
(その他の実施の形態)
以上、一つ又は複数の態様に係る部品実装システム等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
【0174】
例えば、上記実施の形態では、保持部は吸着ノズルである例について説明したが、保持部は吸着により部品を保持することに限定されない。保持部は、例えば、部品を把持することで当該部品を保持してもよい。また、保持部は、部品を保持することが可能であれば、吸着ノズルであることに限定されない。
【0175】
また、上記実施の形態のステップS15において、所定値(絶対値)に基づいて所定の相関関係があるか否かを判定したが、判定方法はこれに限定されない。判定部は、ステップS15において、相関係数の時系列での変化量(例えば、所定の時間内における変化量)が所定値(相対値)以上であるか否かに基づいて、所定の相関関係があるか否かを判定してもよい。
【0176】
また、上記実施の形態では、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報とに所定の相関関係があるか否かの判定に用いられる閾値(上記の所定値)が部品の種類によらず共通である例について説明したが、これに限定されず、閾値は、部品の種類ごとに設定されていてもよい。
【0177】
また、上記実施の形態では、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報との相関関係を示す指標として相関係数を用いたが、指標は相関係数に限定されない。指標は、第1位置ずれ情報と第2位置ずれ情報との間の関係がわかれば、式1以外の算出式により求められる他の係数であってもよい。
【0178】
また、上記実施の形態の図11A及び図11Bに示す回帰直線は、原点を通る直線であることに限定されない。
【0179】
また、上記実施の形態では、部品実装装置が部品を実装する対象物が基板である例について説明したが、これに限定されず、部品を装着可能な他の物体であってもよい。
【0180】
また、上記実施の形態では、部品認識カメラと検査用カメラとは別体である、つまり2つのカメラにより撮像部が実現される例について説明したが、1つのカメラにより撮像部が実現されてもよい。
【0181】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0182】
また、上記実施の形態に係る不調検出装置は、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。不調検出装置が複数の装置によって実現される場合、当該不調検出装置が有する各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、不調検出装置が複数の装置で実現される場合、当該複数の装置間の通信方法は、特に限定されず、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。また、装置間では、無線通信及び有線通信が組み合わされてもよい。
【0183】
また、上記実施の形態に係る管理コンピュータ(不調検出装置)の一部の機能は、部品実装装置に備えられていてもよい。例えば、管理コンピュータが有する判定部は、部品実装装置又は検査装置に備えられていてもよい。また、上記実施の形態に係る部品実装装置、及び、検査装置の一部の機能は、部品実装装置に備えられていてもよい。例えば、部品実装装置が有する認識処理部、及び、検査装置が有する位置ずれ量算出部の少なくとも1つは、管理コンピュータが備えていてもよい。
【0184】
また、上記実施の形態等で説明した各構成要素は、専用のハードウェアとして実現されてもよいし、ソフトウェアとして実現されてもよいし、典型的には、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)又は、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0185】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0186】
また、本開示の一態様は、図7に示される部品実装方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0187】
また、例えば、プログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布又は流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【0188】
また、図7に示すフローチャートにおける各ステップ(各工程)が実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップ(工程)の一部は実行されなくてもよい。
【0189】
また、上記実施の形態で説明した部品実装方法における各工程は、1つの工程で実施されてもよいし、別々の工程で実施されてもよい。なお、1つの工程で実施されるとは、各工程が1つの装置を用いて実施される、各工程が連続して実施される、又は、各工程が同じ場所で実施されることを含む意図である。また、別々の工程とは、各工程が別々の装置を用いて実施される、各工程が異なる時間(例えば、異なる日)に実施される、又は、各工程が異なる場所で実施されることを含む意図である。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本開示は、ノズル等の保持部を備える部品実装システム等に有用である。
【符号の説明】
【0191】
1 部品実装システム
1a 基台
2 基板搬送部
3 基板
4 部品供給部
5 テープフィーダ
6 Y軸ビーム
7 X軸ビーム
8 実装ヘッド部
8a 結合プレート
9 ノズルユニット
9a ノズル駆動部
10 部品廃棄箱
11 部品認識カメラ
11a 画像
11b、15 吸着ノズル
11c 中心
11x、11y 中心線
12 基板認識カメラ
13 ノズル軸
14 ノズル装着部
15a 先端部
20、60、110 通信部
21 実装制御部
22 実装記憶部
23、65、131 実装データ
30 ノズル制御部
31 バルブ制御部
32 バルブ記憶部
34 流量センサ
36 切換バルブ
38 ブローバルブ
38a 空気供給部
40 認識処理部
50、67、150 表示部
52、69、152 入力部
61 検査制御部
62 位置ずれ量算出部
63 検査用カメラ
64 検査記憶部
66、133 位置ずれ量データ
100 管理コンピュータ(不調検出装置)
120 管理制御部
130 管理記憶部
132 部品情報
140 判定部
200 通信ネットワーク
Cn ノズル中心
Cp 部品中心
Cs 正規位置
M1 半田印刷装置
M2、M3 部品実装装置(部品実装部)
M4 検査装置
P 部品
Rm 装着位置ずれ(第2位置ずれ情報)
Rv 吸着位置ずれ(第1位置ずれ情報)
△X1、△Y1、△θ1、R 位置ずれ量(第1位置ずれ情報)
△X2、△Y2、△θ2 位置ずれ量(第2位置ずれ情報)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12