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▶ 新光機器株式会社の特許一覧

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  • 特開-コンタクトチップ 図1
  • 特開-コンタクトチップ 図2
  • 特開-コンタクトチップ 図3
  • 特開-コンタクトチップ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043123
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】コンタクトチップ
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/26 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
B23K9/26 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021169913
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
(72)【発明者】
【氏名】増岡 悦男
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001LH03
4E001MC01
(57)【要約】
【課題】簡単な加工により安価に、ハウジングの嵌入孔先端の円錐部に銅メッキワイヤの銅の削りカスが発生するのを防止したコンタクトチップを提供すること。
【解決手段】ハウジング2に第1の挿通孔5後部に連通する先細状の円錐部6を設けた大径の嵌入孔7を形成し、アダプタ3の先端に、ハウジング2の嵌入孔7に対応する先端に円錐突部9を設けた突起部10を突出させ、ハウジング2の嵌入孔7にアダプタ3の突起部10を嵌入してハウジング2にアダプタ3を結合した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の挿入孔を軸方向に形成したハウジングと、第2の挿通孔を軸方向に形成したアダプタからなり、ハウジングとアダプタを結合して、第1の挿通孔と第2の挿通孔を連通させて溶接ワイヤの挿通孔としたコンタクトチップにおいて、前記ハウジングに第1の挿通孔後部に連通する先細状の円錐部を設けた大径の嵌入孔を形成し、前記アダプタの先端に、ハウジングの嵌入孔に対応する先端に円錐突部を設けた突起部を突出させ、ハウジングの嵌入孔にアダプタの突起部を嵌入してハウジングにアダプタを結合したことを特徴としたコンタクトチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ワイヤを案内するとともに、溶接ワイヤに溶接電流を供給するアーク溶接用のコンタクトチップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のコンタクトチップとしては、図3で示すように、コンタクトチップ50をハウジング51とアダプタ52から構成し、ハウジング51の溶接ワイヤに対応した孔径の第1の挿通孔53に連通した大径の嵌入孔54に第1の挿通孔53と同径の第2の挿通孔55を形成したアダプタ52の突起部56が嵌入されコンタクトチップ50の中心軸方向に溶接ワイヤの挿通孔がハウジング51の第1の挿通孔53とアダプタ52の第2の挿通孔にて形成されたものがある。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
このようなものでは、ハウジング51の嵌入孔は旋盤等にてドリルによって孔加工を施しているので、通常、図4に示すように嵌入孔54aは先端に先細状の円錐部58aが形成され、この円錐部58aを削って嵌入孔54aを、図3にて示すような円筒状にすることは非常に手間が掛かるので、現実的には図4に示すようハウジング51aの第1の挿通孔53aの後端とアダプタ52aの第2の挿通孔55aの先端の間に円錐部58aが形成されたものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2021/059707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のものでは、特許文献1で記載のように、ハウジング50、50aがTZM製のものであると、長時間の連続運転ができるが、銅メッキワイヤにて長時間の連続運転を行うと、ワイヤの銅メッキがハウジング50aの第1の挿通孔53aの後端角にて削られ、削られた微粉末の銅が円錐部58aに溜まり、溶接中に溜まった微粉末の銅が溶融し、溶接ワイヤに融着して溶接ワイヤの送り不良による溶接不良や溶接中止になるという問題があった。
【0006】
本発明は、前記の問題を解決し、簡単な加工により安価に、ハウジングの嵌入孔先端の円錐部に銅メッキワイヤの銅の削りカスが発生するのを防止したコンタクトチップを提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明のコンタクトチップは、第1の挿入孔を軸方向に形成したハウジングと、第2の挿通孔を軸方向に形成したアダプタからなり、ハウジングとアダプタを結合して、第1の挿通孔と第2の挿通孔を連通させて溶接ワイヤの挿通孔としたコンタクトチップにおいて、前記ハウジングに第1の挿通孔後部に連通する先細状の円錐部を設けた大径の嵌入孔を形成し、前記アダプタの先端に、ハウジングの嵌入孔に対応する先端に円錐突部を設けた突起部を突出させ、ハウジングの嵌入孔にアダプタの突起部を嵌入してハウジングにアダプタを結合したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、第1の挿入孔を軸方向に形成したハウジングと、第2の挿通孔を軸方向に形成したアダプタからなり、ハウジングとアダプタを結合して、第1の挿通孔と第2の挿通孔を連通させて溶接ワイヤの挿通孔としたコンタクトチップにおいて、前記ハウジングに第1の挿通孔後部に連通する先細状の円錐部を設けた大径の嵌入孔を形成し、前記アダプタの先端に、ハウジングの嵌入孔に対応する先端に円錐突部を設けた突起部を突出させ、ハウジングの嵌入孔にアダプタの突起部を嵌入してハウジングにアダプタを結合したので簡単な加工により安価に、ハウジングの嵌入孔先端の円錐部に銅メッキワイヤの銅の削りカスが発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の断面図である。
図2図1の分解図である。
図3】第1の従来例の断面図である。
図4】第2の従来例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図1及び図2に基づいて説明すると、1は銅合金製のコンタクトチップであり、コンタクトチップ1は、ハウジング2とこのハウジング2に着脱可能に結合されたアダプタ3によって構成されている。
【0011】
前記ハウジング2は、溶接ワイヤ4の線径に対応した孔径の第1の挿通孔5が中心部軸方向に形成されるとともに、後部に、第1の挿通孔5に連通し、先端に先細の円錐部6が形成された大径の嵌入孔7が形成され、嵌入孔7の中間部内周壁にはねじ部8が形成されている。
【0012】
前記アダプタ3は、先端に前記ハウジング2の嵌入孔7に嵌入される、ハウジング2の円錐部6に対応した円錐突部9を先端に形成した突起部10が形成され、この突起部10の中間部外周面には前記嵌入孔7のねじ部8に螺合されるねじ部11が形成されるとともに、アダプタ3の後部には図示されていないトーチに螺合してコンタクトチップ1を取付けるねじ部12が形成されており、アダプタ3の中心部軸方向にはハウジング2の第1の挿通孔5と略同径の第2の挿通孔13が形成されている。
【0013】
次に、コンタクトチップ1の組立方法について説明すると、ハウジング2の嵌入孔7にアダプタ3の突起部10を嵌め込み、ハウジング2の嵌入孔7のねじ部7にアダプタ3の突起部10のねじ部9を螺合して、ハウジング2にアダプタ3を結合する。このとき、ハウジング2の第1の挿通孔5後端の円錐部6にアダプタ3の突起部10の先端の円錐突部9が嵌入し、第1の挿通孔5と、第2の挿通孔13が連通した中心部軸方向に貫通する挿通孔が形成され、この挿通孔に溶接ワイヤ4が挿通される。
【0014】
以上のように、本発明では第1の挿入孔5を軸方向に形成したハウジング2と、第2の挿通孔13を軸方向に形成したアダプタ3からなり、ハウジング2とアダプタ3を結合して、第1の挿通孔5と第2の挿通孔13を連通させて溶接ワイヤ4の挿通孔としたコンタクトチップ1において、前記ハウジング2に第1の挿通孔5後部に連通する先細状の円錐部6を設けた大径の嵌入孔7を形成し、前記アダプタ3の先端に、ハウジング2の嵌入孔7に対応する先端に円錐突部9を設けた突起部10を突出させ、ハウジング2の嵌入孔7にアダプタ3の突起部10を嵌入してハウジング2にアダプタ3を結合したのでハウジング2の嵌入孔7の加工は通常の孔加工だけでよく、アダプタ3の突起部10の加工は通常の外表面を切削することにより加工できるので加工が容易でき、更に、ハウジング2の第1の挿通孔5とアダプタ3の第2の挿通孔13との間の隙間を無くすことができ、銅メッキワイヤの銅メッキの削りカスが発生するのを防止して、長時間の連続運転を可能にした。
【符号の説明】
【0015】
1 コンタクトチップ
2 ハウジング
3 アダプタ
4 溶接ワイヤ
5 第1の挿通孔
6 円錐部
7 嵌入孔
9 円錐突部
10 突起部
13 第2の挿通孔
図1
図2
図3
図4