(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043143
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 201F
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 201L
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099616
(22)【出願日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122914
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、フイ デ
(72)【発明者】
【氏名】シム、ウォン チュル
(72)【発明者】
【氏名】リー、テク ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ジン オ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨン ギュ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AD02
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
(57)【要約】
【課題】強度特性及び外部電極の構造的安定性が向上した積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、誘電体層、並びに上記誘電体層を間に挟んで積層された第1及び第2内部電極を含む本体と、上記本体で互いに隣接していない第1角及び第2角にそれぞれ配置され、上記第1内部電極と接続された一対の第1外部電極と、上記本体で互いに隣接していない第3角及び第4角にそれぞれ配置され、上記第2内部電極と接続された一対の第2外部電極及び少なくとも上記第1及び第2外部電極で覆われない上記本体の表面に配置され、セラミック焼結体を含む補強部を含む積層型キャパシタを提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、並びに前記誘電体層を間に挟んで積層された第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、
前記本体で互いに隣接していない第1角及び第2角にそれぞれ配置され、前記第1内部電極と接続された一対の第1外部電極と、
前記本体で互いに隣接していない第3角及び第4角にそれぞれ配置され、前記第2内部電極と接続された一対の第2外部電極と、
少なくとも前記第1外部電極及び前記第2外部電極で覆われない前記本体の表面に配置され、セラミック焼結体を含む補強部と、を含む、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記セラミック焼結体は、前記誘電体層に含まれたセラミック成分と異なるセラミック成分を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記誘電体層はチタン酸バリウム成分を含み、前記セラミック焼結体はアルミナ成分を含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記本体において前記補強部と接する領域は、前記セラミック焼結体を構成する成分を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記本体において前記補強部と接する領域は、前記セラミック焼結体に含まれた焼結助剤成分を含む、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記焼結助剤成分はMgOを含む、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記補強部において前記本体に接する領域は、前記本体において前記補強部と接する領域を構成する成分を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極の積層方向に測定した長さを厚さと定義する際に、前記補強部が位置する前記本体の表面から測定した第1外部電極及び第2外部電極の厚さt1及び前記補強部の厚さt2は、0≦(t1-t2)/t1<1/3の条件を満たす、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記本体において前記第1内部電極及び前記第2内部電極の積層方向に対向する第1面及び第2面に形成され、前記本体の側面の一部を覆うように延長した形態である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一つに配置されたシード層及び前記シード層を覆うめっき層を含む、請求項9に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記めっき層は、前記第1面及び前記第2面を覆い、前記本体の側面の一部を覆うように延長した形態である、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記シード層は、前記本体において前記第1内部電極及び前記第2内部電極が露出した側面は覆わない形態である、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極の積層方向から見たとき、正方形である、請求項1から12の何れか1つに記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極の積層方向から見たとき、一辺が(250+n×350)μmの-10%と+10%との間に該当する長さを有し、ここで、nは自然数である、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極の積層方向に測定した長さを厚さとするとき、70μm以下の厚さを有する、請求項14に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
誘電体層、並びに前記誘電体層を間に挟んで積層された第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、
前記本体の側面を覆って前記第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ接続され、前記本体において前記第1内部電極及び前記第2内部電極の積層方向を基準に互いに対向する第1面及び第2面のうち第2面のみに延長した第1外部電極及び第2外部電極と、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極で覆われない前記本体の表面の少なくとも前記第2面に配置され、セラミック焼結体を含む補強部と、を含む、積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記補強部は、前記本体の第2面のみに配置された、請求項16に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記補強部は、前記本体の第1面及び第2面に配置された、請求項16に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは電気を蓄えることができる素子であり、一般的に2つの電極を対向させて電圧をかけると、各電極に電気が蓄積される原理を用いる。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されてキャパシタ内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が交変しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
このようなキャパシタは、電極間に備えられる絶縁体の種類に応じて、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシタ、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシタ、電極間にチタン酸バリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシタ、電極間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で用いる積層セラミックキャパシタ(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシタなど様々な種類に区分することができる。
【0004】
この中で、積層セラミックキャパシタは温度特性及び周波数特性に優れ、小型で実現可能であるという利点を有しており、最近では、高周波回路などの多様な分野で多く応用されている。最近では、積層セラミックキャパシタをさらに小さく実現するための試みが続けられており、このために誘電体層及び内部電極を薄く形成している。
【0005】
最近では、電子部品の厚さの減少要求が高まっており、これにより、積層セラミックキャパシタの厚さを薄くするための研究が続けられているが、厚さが薄くなる場合、積層セラミックキャパシタの強度を十分に確保することが難しく、これに伴い、基板などに実装する際に欠陥が発生する可能性が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一つは、強度特性が向上した積層型キャパシタを提供することである。本発明の目的の他の一つは、外部電極の構造的安定性が向上した積層型キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は一例によって積層型キャパシタの新規構造を提案しようとするものであり、具体的には、誘電体層、並びに上記誘電体層を間に挟んで積層された第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、上記本体において互いに隣接していない第1角及び第2角にそれぞれ配置され、上記第1内部電極と接続された一対の第1外部電極と、上記本体で互いに隣接していない第3角及び第4角にそれぞれ配置され、上記第2内部電極に接続された一対の第2外部電極、並びに少なくとも第1外部電極及び第2外部電極で覆われない上記本体の表面に配置され、セラミック焼結体を含む補強部を含む。
【0008】
一実施形態において、上記セラミック焼結体は、上記誘電体層に含まれたセラミック成分と異なるセラミック成分を含むことができる。
【0009】
一実施形態において、上記誘電体層はチタン酸バリウム成分を含み、上記セラミック焼結体はアルミナ成分を含むことができる。
【0010】
一実施形態において、上記本体において上記補強部と接する領域は、上記セラミック焼結体を構成する成分を含むことができる。
【0011】
一実施形態において、上記本体において上記補強部と接する領域は、上記セラミック焼結体に含まれた焼結助剤成分を含むことができる。
【0012】
一実施形態において、上記焼結助剤成分はMgOを含むことができる。
【0013】
一実施形態において、上記補強部において上記本体に接する領域は、上記本体において上記補強部と接する領域を構成する成分を含むことができる。
【0014】
一実施形態において、上記第1内部電極及び第2内部電極の積層方向に測定した長さを厚さと定義するとき、上記補強部が位置する上記本体の表面から測定した第1外部電極及び第2外部電極の厚さt1と上記補強部の厚さt2は、0≦(t1-t2)/t1<1/3の条件を満たすことができる。
【0015】
一実施形態において、上記第1外部電極及び第2外部電極は、上記本体において上記第1内部電極及び第2内部電極の積層方向に対向する第1面及び第2面に形成され、上記本体の側面の一部を覆うように延長した形態であることができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1外部電極及び第2外部電極は、上記第1面及び第2面の少なくとも1つに配置されたシード層及び上記シード層を覆うめっき層を含むことができる。
【0017】
一実施形態において、上記めっき層は、上記第1面及び第2面を覆い、上記本体の側面の一部を覆うように延長した形態であることができる。
【0018】
一実施形態において、上記シード層は、上記本体において上記第1内部電極及び第2内部電極が露出した側面は覆わない形態であることができる。
【0019】
一実施形態において、上記本体は、上記第1内部電極及び第2内部電極の積層方向から見たとき、正方形であることができる。
【0020】
一実施形態において、上記第1内部電極及び第2内部電極の積層方向から見たとき、一辺が(250+n×350)μmの-10%と+10%との間に該当する長さを有し、ここで、nは自然数であることができる。
【0021】
一実施形態において、上記第1内部電極及び第2内部電極の積層方向に測定した長さを厚さとするとき、70μm以下の厚さを有することができる。
【0022】
一方、本発明の他の側面は、誘電体層、並びに上記誘電体層を間に挟んで積層された第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、上記本体の側面を覆って上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ接続され、上記本体において上記第1内部電極及び第2内部電極の積層方向を基準に互いに対向する第1面及び第2面のうち第2面のみに延長した第1外部電極及び第2外部電極及び上記第1外部電極及び第2外部電極で覆われない上記本体の表面の少なくとも上記第2面に配置され、セラミック焼結体を含む補強部を含む積層型キャパシタを提供する。
【0023】
一実施形態において、上記補強部は上記本体の第2面のみに配置されることができる。
【0024】
一実施形態において、上記補強部は上記本体の第1面及び第2面に配置されることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一例に係る積層型キャパシタの場合、強度特性、外部電極の構造的安定性などの特性の少なくとも一つの特性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを製造する工程例を示した図面である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを製造する工程例を示した図面である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを製造する工程例を示した図面である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを製造する工程例を示した図面である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを製造する工程例を示した図面である。
【
図12】変形例に係る積層型キャパシタを示した図面である。
【
図13】変形例に係る積層型キャパシタを示した図面である。
【
図14】変形例に係る積層型キャパシタを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0028】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図であり、
図2~
図6は、
図1の断面図に該当する図面である。
【0030】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタ100は、誘電体層102、並びにこれを間に挟んで積層された第1内部電極111及び第2内部電極112を含む本体101、第1外部電極121及び第2外部電極122、そして本体101の表面に配置された補強部103を含む。
【0031】
本体101は、誘電体層102を含み、例えば、複数のグリーンシートを積層した後、焼結して得られる。このような焼結工程によって、複数の誘電体層102は一体化した形態を有することができる。そして、
図2~
図4に示したように、本体101は、第1内部電極111及び第2内部電極112の積層方向(X方向)から見たとき、正方形構造を有することができる。
【0032】
本体101に含まれた誘電体層102は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、当技術分野で知られている他の物質も使用可能である。誘電体層102には、主成分であるこのようなセラミック材料に併せて必要な場合には添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤の場合、これらは製造過程において金属酸化物の形態で添加されることができる。このような金属酸化物の添加剤の例として、MnO2、Dy2O3、BaO、MgO、Al2O3、SiO2、Cr2O3及びCaCO3の少なくとも1つの物質を含むことができる。
【0033】
本体101内には第1内部電極111及び第2内部電極112が配置され、これらは例えば、セラミックグリーンシートの一面に所定厚さで導電性金属を含むペーストを印刷した後、これを焼結して得られる。第1内部電極111及び第2内部電極112をなす主要構成物質は、Cu、Ni、Ag、Pdなどが例として挙げられ、これらの合金も使用することができる。
図3を参照すると、第1内部電極111は一対の第1外部電極121と接続され、第1メイン部131及び第1引き出し部132を含むことができる。第1引き出し部132の場合、第1メイン部131から本体101の第1角C1及び第2角C2を連結する斜め方向に延長して第1外部電極121と接続されることができる。
【0034】
図4を参照すると、第2内部電極112は一対の第2外部電極122と接続され、第2メイン部141及び第2引き出し部142を含むことができる。第2引き出し部142の場合、第2メイン部141から本体101の第3角C3及び第4角C4を連結する斜め方向に延長して第2外部電極122と接続されることができる。
【0035】
第1外部電極121は、本体101において互いに隣接していない第1角C1及び第2角C2にそれぞれ配置され、第1内部電極111と接続され、このために一対以上備えられることができる。これと類似して、第2外部電極122は、本体101において互いに隣接していない第3角C3及び第4角C4にそれぞれ配置され、第2内部電極112と接続され、このために一対以上備えられることができる。
図2に示した形態のように、第1外部電極121及び第2外部電極122は、本体101において第1内部電極111及び第2内部電極112の積層方向(X方向)に対向する第1面S1及び第2面S2に形成され、本体101の側面の一部を覆うように延長した形態であることができる。
【0036】
第1外部電極121及び第2外部電極122は、金属などの電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに、多層構造を有することができる。例えば、第1外部電極121及び第2外部電極122は、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極を含むことができ、これを覆うめっき層をさらに含むことができる。このような焼成電極に含まれることができる導電性金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができる。また、上記めっき層の場合、実装特性を向上させる役割を果たすことができ、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。但し、後述する実施形態のように、第1外部電極121及び第2外部電極122はシード層及びめっき層を含むことができ、この場合、第1外部電極121及び第2外部電極122は薄くて均一である形態で実現することができる。
【0037】
本実施形態のように積層型キャパシタ100が4端子構造を有する場合、薄い厚さを有する場合にも剛性を維持する上で有利であるが、積層型キャパシタ100の薄型化の要求増加に伴い、剛性特性の確保には限界がある。ここで、積層型キャパシタ100の厚さTは第1内部電極111及び第2内部電極112の積層方向(X方向)に測定した長さを基準に定義されることができ、積層型キャパシタ100は約70μm以下の厚さを有することができる。また、互いに異なる極性の外部電極121、122が本体101の角C1、C2、C3、C4に交互に配置されることによって、ESL(Equivalent Series Inductance)が低減することができる。
【0038】
補強部103は、本体101の表面において第1外部電極121及び第2外部電極122で覆われない領域に配置され、セラミック焼結体を含む。補強部103は、本体101の第1面S1及び第2面S2を覆い、これと同時に本体101の側面も覆うことができる。本実施形態では、補強部103が本体101の表面において第1外部電極121及び第2外部電極122で覆われない領域の全体を覆っているが、補強部103として機能することができるのであれば、一部領域は覆われない構造に変形することもできる。上述のように、4端子構造を有する積層型キャパシタ100の厚さが薄くなる場合(例えば、70μm以下)、剛性特性が低下することがあるが、補強部103を採用することで本体101の厚さが増加する効果をもたらすことができ、これによって積層型キャパシタ100の剛性特性が向上することができる。また、補強部103は、本体101及び外部電極121、122の高さの段差を減らすことができるため、高さの段差によって発生し得る問題、例えば、部品の傾き、電極剥離などを防止することができる。
【0039】
補強部103はセラミック焼結体を含む。補強部103がセラミック焼結体を含む場合、補強部103及び誘電体層102は一回の焼成工程によって焼結されることができる。この場合、補強部103がセラミック焼結体ではない樹脂などの成分から構成された形態よりも本体101との結合力、構造的安定性などが向上することができる。補強部103に含まれたセラミック焼結体は、誘電体層102に含まれたセラミック成分と異なるセラミック成分を含むことができる。例えば、上記セラミック焼結体は、誘電体層102に含まれたセラミック成分よりも剛性特性に優れた他のセラミック成分を含むことができる。さらに、具体的には、誘電体層102はチタン酸バリウム成分を含み、上記セラミック焼結体はアルミナ成分を含むことができる。誘電体層102及び補強部103のセラミック成分が互いに異なる成分を含む場合、焼結温度は互いに異なる可能性があり、例えば、アルミナはチタン酸バリウムよりもさらに高い温度で焼結される。誘電体層102及び補強部103のセラミック成分が類似した温度で焼結されるように、補強部103は焼結助剤を含むことができ、上記焼結助剤はMgOなどの金属酸化物を含むことができる。そして、焼成工程中にこのような焼結助剤成分を含んで上記補強部103のセラミック焼結体を構成する成分は、上記本体101方向に拡散されることができる。これによって、本体101において補強部103と接する領域は、上記セラミック焼結体を構成する成分を含むことができる。これと類似して本体101を構成する成分も補強部103に拡散されることができ、これにより補強部103において本体101に接する領域は、本体101において補強部103と接する領域を構成する成分を含むことができる。
【0040】
補強部103の厚さt2は、上述した剛性特性及び段差低減機能などを考慮して決定されることができる。本実施形態では、第1内部電極111及び第2内部電極112の積層方向(X方向)で測定した長さを厚さと定義する際に、補強部103が位置する本体101の表面から測定した第1外部電極121及び第2外部電極122の厚さt1及び補強部103の厚さt2は、0≦(t1-t2)/t1<1/3の条件を満たす。補強部103が外部電極121、122よりも厚い場合(t1>t2)には、補強部103によって積層型キャパシタ100の厚さTを増加する。補強部103が外部電極121、122よりも薄い場合、その下限は(t1-t2)/t1<1/3の条件を満たすことが好ましく、補強部103が非常に薄くなって(t1-t2)/t1が1/3よりも大きいかまたは同一である場合には、補強部103と外部電極121、122の段差が大きくなり、剛性特性や電極の構造的安定性も十分に確保できない場合がある。
図2の実施形態では、t1>t2である形態を示しているが、上述した条件に含まれているように、t1 t2、すなわち、補強部103及び外部電極121、122は互いに同一厚さを有することができ、これは
図6の実施形態と同様である。補強部103及び外部電極121、122の厚さを測定する方法の一例として、積層型キャパシタ100の一断面において等間隔で複数(例えば、5回以上)の地点で補強部103及び外部電極121、122の厚さを測定した後、平均値を算出することができる。そして、このような計算を積層型キャパシタ100の複数の断面に対して実行することもできる。
【0041】
下記表1は、補強部及び外部電極の厚さ条件に応じた部品の強度及び剥離テストの結果をまとめたものである。本発明の上述した実施形態で提示した基準を満たない実施例は*で表した。ここで、強度は補強部がないt2=0の場合(実施例1)を1として相対的な強度をシミュレーションした結果である。剥離テストはフラックスなどの残渣を除去するために部品に洗浄液を噴射した際の外部電極の剥離有無を〇(剥離無し)、×(剥離発生)で表したものであり、噴射圧は40~120Psiレベルで調節した。
【0042】
【0043】
実施例1は、補強部がない形態で強度が比較的低く、剥離テストも通過できなかった。実施例2、3は(t1-t2)/t1>1/3であり、補強部の厚さが十分に確保できず、強度特性が比較的低く、剥離テストも通過できなかった。また、実施例6~9の場合、補強部が厚くなるにつれて強度特性に優れたが、部品の厚さが増加するようになるため、積層型キャパシタの薄型化の観点から不適合である。特に、実施例7~9は、補強部と外部電極との厚さの差が過度に大きくなって剥離テストの結果も良くないことが確認できる。これと比較して、補強部の厚さが適切なレベルを有する実施例4、5の場合(0≦(t1-t2)/t1<1/3の条件を満たす)、部品の厚さを増加させることなく強度特性及び電極の構造的安定性の両方が確保できた。
【0044】
一方、上述したように、本体101は、第1内部電極111及び第2内部電極112の積層方向(X方向)から見たとき、正方形構造を有することができ、これにより積層型キャパシタ100も全体的に正方形に類似した形態になることができる。積層型キャパシタ100の大きさは、例えば、X方向から見たとき、一辺の長さA1、A2が(250+n×350)μmであり、ここでnは自然数であることができる。例えば、nが1である場合、積層型キャパシタ100は、600μm×600μmの大きさを有する。但し、誤差範囲を考慮して一辺の長さA1、A2は(250+n×350)μmの-10%と+10%との間に該当する値を有することができる。ここで、一辺の長さが350μmの倍数で大きくなるようにした理由は、実装時のはんだボールなどのピッチ値を考慮するためである。そして、積層型キャパシタ100の厚さTはX方向に測定した長さを基準に70μm以下に薄く実現することができる。一方、積層型キャパシタ100の厚さT及び一辺の長さA1、A2は、多数の領域で測定された値のうち最大値を意味することができ、これとは異なって多数の値を平均した値であることもできる。
【0045】
図5を参照して、本発明の変形された実施形態を説明する。
図5の実施形態は、前の実施形態において外部電極の形態が変形しており、同一構成については詳細な説明を省略する。第1外部電極221及び第2外部電極222は、シード層141、142及びめっき層151、152をそれぞれ含む。シード層141、142は、本体101の第1面S1及び第2面S2の少なくとも一つに配置されることができ、本実施形態では、シード層141、142は本体101の第1面S1及び第2面S2の両方に配置されている。シード層141、142は、めっき層151、152を形成するためのシードとして機能し、例えば、Ni層を本体101の表面に塗布する方式で形成されることができる。めっき層151、152は、本体101の第1面S1及び第2面S2を覆い、本体101の側面の一部を覆うように延長した形態である。めっき層151、152は、Cu、Niなどの成分を含むことができる。この場合、シード層141、142は、本体101において第1内部電極111及び第2内部電極112が露出した側面は覆わない形態であることができ、めっき層151、152のうち本体101の側面と接触しながらこれを覆う領域は、第1内部電極111及び第2内部電極112をシードとして形成されることができる。
【0046】
一方、
図5の実施形態では、補強部103が外部電極221、222よりも薄く実現されているが、補強部103及び外部電極221、222は互いに同一厚さを有することができ、これは
図11に示された形態と同一である。
図5及び
図11の実施形態のように、第1外部電極221及び第2外部電極222をめっき層で形成することで、電極の厚さが薄く均一に形成されることができ、積層型キャパシタ100を薄型化する上で有利である。
【0047】
図7~11は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを製造する工程例を示す。まず、
図7に示された形態のように、セラミックグリーンシート104及び内部電極パターン110を積層して積層体を形成し、このような積層体の表面にシードパターン140を形成する。これは、
図5の実施形態を基準にしたものであり、実施形態によってシードパターン140を形成する工程を除くこともできる。次に、
図8に示した形態のように、積層体の表面に補強部103を形成し、補強部103は、セラミックグリーンシート104の主成分、例えば、チタン酸バリウムと異なるセラミック材質であるアルミナを含むことができ、これ以外にMgOなどの焼結助剤である。補強部103は、このような成分を含むセラミックグリーンシートの形態に製造されて積層体の表面にネガティブ印刷方式などで形成されることができる。この後、
図9に示された形態のように、キャパシタ単位で切断し、
図10は切断工程と焼結工程後の状態を示した断面図である。この後、
図11に示された形態のように、電解めっきなどの工程を用いてシード層141、142及び本体101の表面を覆うようにめっき層151、152を形成し、この場合、本体101の第1面S1及び第2面S2から測定した高さを基準に第1外部電極221及び第2外部電極222と補強部103の厚さは同一であることができる。
【0048】
図12~14を参照して本発明の他の変形例に係る積層型キャパシタを説明する。上述した実施形態が4端子構造を有することとは異なり、本変形例の場合、積層型キャパシタ200は、2端子構造であり、いわゆる下面電極形態である。下面電極構造の積層型キャパシタ200も薄型化に有利であり、補強部303を採用することで剛性特性の向上及び段差低減効果を期待することができる。積層型キャパシタ200は、本体101と第1及び第2外部電極321、322を含むが、ここで本体101は誘電体層102、並びにこれを間に挟んで積層された第1内部電極311及び第2内部電極312を含む。第1外部電極321及び第2外部電極322は本体101の側面を覆って第1内部電極321及び第2内部電極322とそれぞれ接続され、本体101の第1面S1及び第2面S2のうち第2面S2のみに延長する。この場合、第1外部電極321は、シード層341及びこれを覆うめっき層351を含むこともでき、同様に、第2外部電極322は、シード層342及びこれを覆うめっき層352を含むことができる。補強部303は、セラミック焼結体を含み、第1外部電極321及び第2外部電極322に覆われない本体101の表面の少なくとも第2面S2に配置され、本実施形態では、第2面S2のみに配置された形態を示している。補強層303を本体101の第2面S2のみに配置することで、積層型キャパシタ200の厚さを増加させずに、剛性特性及び段差低減効果を向上させることができる。但し、このような効果をさらに増大させるために、
図14の実施形態のように補強部303を本体101の第1面S1にも配置することもできる。
【0049】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者には自明であり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0050】
100、200 積層型キャパシタ
101 本体
102 誘電体層
103、303 補強部
111、112 内部電極
121、122、221、222 外部電極
141、142 シード層
151、152 めっき層