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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043144
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】分析装置の監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/32 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
G01N3/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100349
(22)【出願日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021149853
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】松浦 融
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AB05
2G061BA15
2G061DA19
2G061EA01
2G061EA02
2G061EB05
2G061EB06
2G061EC04
(57)【要約】
【課題】分析装置の状態を、ユーザが容易に把握できるようにする。
【解決手段】監視装置10は、分析装置を制御する制御装置40の表示パネル41の撮像画像を取得する取得部111と、撮像画像を記憶する画像記憶部12と、撮像画像に基づき、分析装置の状態を判定する状態判定部113と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置を制御する制御装置の表示パネルの撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像を記憶する画像記憶部と、
前記撮像画像に基づき、前記分析装置の状態を判定する状態判定部と、
を備える分析装置の監視装置。
【請求項2】
前記表示パネルは、表示器として複数の表示ランプを含み、
前記状態判定部は、
前記撮像画像に含まれ、前記複数の表示ランプに対応する第1撮像画像に基づき、前記複数の表示ランプの点灯態様の組み合わせが示す前記分析装置の状態を判定する、
請求項1に記載の分析装置の監視装置。
【請求項3】
前記第1撮像画像における第1領域と、前記表示ランプの点灯態様が変化した場合の画像の変化が前記第1領域よりも大きい第2領域とを決定し、前記第2領域の画像を含む判定用画像を生成する画像処理部を備え、
前記状態判定部は、前記第1撮像画像として前記判定用画像を取得する、
請求項2に記載の分析装置の監視装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第1領域をマスクするマスク画像を前記第1撮像画像に適用することによって、前記判定用画像を生成する、
請求項3に記載の分析装置の監視装置。
【請求項5】
前記複数の表示ランプの種々の点灯態様の前記第1撮像画像と、前記分析装置の状態と、の関係を機械学習により学習させた状態認識モデルを備え、
前記状態判定部は、前記第1撮像画像を前記状態認識モデルに入力することにより、前記分析装置の状態を判定する、
請求項2または請求項3に記載の分析装置の監視装置。
【請求項6】
前記状態判定部は、前記状態認識モデルを用いて前記分析装置の状態を判定したときは、前記状態の判定結果に当該判定の確度に応じた警告情報を付す、
請求項5に記載の分析装置の監視装置。
【請求項7】
前記撮像画像に対して画像認識処理を行う画像認識部を備え、
前記表示パネルには、前記表示器が設けられた領域である表示器領域の各々の少なくとも2つの隅に、前記表示器領域の識別コードを示すバーコードが付されたマーカが配置され、
前記画像認識部は、
前記撮像画像に含まれる前記マーカの撮像画像から、前記識別コードを取得し、
前記マーカの位置および、前記識別コードに基づいて、前記撮像画像における前記表示器領域の各々に対応する画像領域を特定する、
請求項2または請求項3に記載の分析装置の監視装置。
【請求項8】
前記表示器領域の少なくとも一つは矩形であり、前記表示パネルには、少なくとも一つの矩形の前記表示器領域の4隅に前記マーカが配置され、
前記画像認識部は、前記矩形の表示器領域の4隅に配された前記マーカの位置に基づき、前記画像領域の画像の歪みを補正する、
請求項7に記載の分析装置の監視装置。
【請求項9】
前記表示器の少なくとも一つは、特定の記号と数値とを表示する数値表示器であり、
前記画像認識部は、
前記数値表示器に表示される前記記号のサイズに基づいて、前記数値表示器に表示される前記数値の文字サイズを推定し、
前記推定した文字サイズを用いた画像認識処理により、前記数値表示器に表示される数値データを生成する、
請求項7に記載の分析装置の監視装置。
【請求項10】
前記分析装置は疲労試験を実行し、
前記数値表示器が表示する数値は、前記疲労試験のサイクル数を含み、
前記取得部は、前記疲労試験において所定の時間間隔で撮像された複数の前記撮像画像を取得し、
前記画像認識部は、前記複数の撮像画像の各々から前記サイクル数の値を表す前記数値データを生成し、
前記監視装置は、前記画像認識部が生成した前記サイクル数の数値データに基づいて前記撮像画像に対応付けるサイクル数の値であるサイクル数判定値を更新する更新部を備え、
前記更新部は、
前記複数の撮像画像の一つである注目画像よりも前に撮像された少なくとも3つの前記撮像画像の各々から生成された前記サイクル数の数値データの時間に対する回帰直線を求め、
前記注目画像から生成された前記サイクル数の数値データの値である注目値の前記回帰直線との差分量が所定量以内である場合には、前記注目値により前記サイクル数判定値を更新する、
請求項9に記載の分析装置の監視装置。
【請求項11】
前記更新部は、
前記注目値の前記回帰直線からの差分量が所定量以内ではない場合において、注目画像より前に撮像された所定数の前記撮像画像から生成された前記サイクル数の数値データの全てが同じ値であるときは、前記同じ値により前記サイクル数判定値を更新すると共に、前記回帰直線を更新する、
請求項10に記載の分析装置の監視装置。
【請求項12】
前記更新部は、
前記注目値の前記回帰直線からの差分量が所定量以内ではない場合において、注目画像より前に撮像された所定数の前記撮像画像から生成された前記サイクル数の数値データの少なくとも一つが他と異なる値であるときは、前記サイクル数判定値を更新しない、
請求項10に記載の分析装置の監視装置。
【請求項13】
前記更新部は、
前記サイクル数判定値を更新しないときは、前記サイクル数判定値に警告情報を付す、
請求項12に記載の分析装置の監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分析装置の動作状態は、分析装置のユーザによって管理されている。例えば、特許文献1に記載の疲労試験機は、試験を制御する制御装置が表示器を備え、試験条件等を表示器に表示する。ユーザは、表示器の表示を目視することによって、疲労試験機の動作状態を把握し、管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-292400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成では、ユーザは、疲労試験機の動作状態を確認すべく、制御装置が設置された場所へ出向く必要がある。疲労試験機における状態の変化等を遠隔地で、あるいは疲労試験の後に把握できるように、制御装置の表示パネルの画像や映像を遠隔地に設置された装置へ送信すること、及び、記憶装置に記憶させておくことができる。しかしながら、この方法では、表示パネルを映した膨大な画像又は映像の中から、ユーザが目視によって、材料試験機の状態の判断、或いは、その変化点等を把握する必要があり、これは容易なことではない。
【0005】
また、疲労試験機等の材料試験機に限らず、複数の分析装置を保有するユーザが近年増加している。これら複数の分析装置には、通信ネットワークに接続できない制御装置を有する分析装置が含まれる場合がある。また、メーカーの異なる分析装置が混在する場合もある。これらの場合には、通信ネットワークを利用可能であったとしても、通信ネットワークを利用して分析結果を収集・解析することができないことがある。例えば、分析装置の制御に使用される制御アプリケーションが単一の制御アプリケーションに限られる場合、通信ネットワークが存在していても、分析結果を収集・解析することができない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ユーザが分析装置の状態を容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る監視装置は、分析装置を制御する制御装置の表示パネルの撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像を記憶する画像記憶部と、前記撮像画像に基づき、前記分析装置の状態を判定する状態判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、分析装置を制御する制御装置の表示パネルの撮像画像に基づいて分析装置の状態が判定される。このため、ユーザは、分析装置の状態を容易に把握することができる。また、制御装置の表示パネルの撮像画像に基づいて分析装置の状態を判定するため、制御装置そのものが通信ネットワークに接続されていたり、通信機能を搭載していたりする必要がない。また、状態判定の対象に、メーカーの異なる制御装置が含まれる場合であっても、表示パネルに表示されている情報を状態判定部により判定することによって、共通のアプリケーションを用いて制御情報や分析情報の抽出や解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る、材料試験機の状態を監視する監視装置の利用形態の一例を示す図である。
図2】材料試験機を制御する制御装置の、表示パネルの構成の一例を示す図である。
図3A】制御装置のパワーユニット操作キーに設けられた4つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の油圧源状態と、の関係の一例を示す図である。
図3B】制御装置のパワーユニット操作キーに設けられた4つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の油圧源状態と、の関係の一例を示す図である。
図3C】制御装置のパワーユニット操作キーに設けられた4つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の油圧源状態と、の関係の一例を示す図である。
図3D】制御装置のパワーユニット操作キーに設けられた4つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の油圧源状態と、の関係の一例を示す図である。
図3E】制御装置のパワーユニット操作キーに設けられた4つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の油圧源状態と、の関係の一例を示す図である。
図3F】制御装置のパワーユニット操作キーに設けられた4つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の油圧源状態と、の関係の一例を示す図である。
図4A】制御装置の試験操作キーに設けられた2つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の試験状態と、の関係の一例を示す図である。
図4B】制御装置の試験操作キーに設けられた2つの表示ランプの点灯態様と、材料試験機の試験状態と、の関係の一例を示す図である。
図5】監視装置の構成の一例を示す図である。
図6】注目画像から表示器領域の部分画像を取得する画像認識部の動作について説明するための図である。
図7】出力部が表示部に出力するデータ表示画面の一例を示す図である。
図8】監視装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9図8における画像抽出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10図8における油圧源状態判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11図8における試験状態判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12図8における数値データ生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13図8における第1サイクル数更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14図8における第2サイクル数更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図15】出力部が表示部に出力するデータ表示画面の他の一例を示す図である。
図16】監視装置の表示パネルの他の一例を示す図である。
図17】第2実施形態の監視装置の構成の一例を示す図である。
図18】マスク画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
図19】マスク画像生成処理の一例を示す模式図である。
図20】判定前画像処理の一例を示すフローチャートである。
図21】第3実施形態におけるマスク画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
図22】第4実施形態における状態判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[1.第1実施形態]
[1.1.監視装置の利用形態]
以下では分析装置の例として、材料試験機を挙げる。ただし、本願発明は材料試験機に限定されるものではなく、分析装置一般に適用される発明である。分析装置としては、例えば、クロマトグラム装置、質量分析装置、光学分析装置、電子天びんなどが挙げられるが、その他の装置であってもよい。
図1は、監視装置10の利用形態の一例を示す図である。監視装置10は、カメラ80と接続されている。カメラ80は、制御装置40の表示パネル41の画像を撮像する。制御装置40は、材料試験機20を制御する。
【0011】
材料試験機20は、例えば疲労試験機であり、基台21上に、一対の支柱22a,22bと、ヨーク23と、によって負荷枠を形成し、支柱22a,22bに、クロスヘッド24を固定して構成される。
【0012】
基台21には、油圧アクチュエータ25が配置され、油圧アクチュエータ25のピストンロッド25aには、試験片SPの下端を固定する下部治具26aが取り付けられる。また、クロスヘッド24には、ロードセル27を介して、試験片SPの上端を固定する上部治具26bが取り付けられる。下部治具26a、及び、上部治具26bは、それぞれ、試験片SPを把持するチャック機構を備える。
ロードセル27は、試験片SPに作用する試験力を検出する。
【0013】
油圧アクチュエータ25は、サーボ弁28によって、圧油方向と圧油量とが制御されて、ピストンロッド25aが伸縮する。その結果、上部治具26bと下部治具26aとの間に固定された試験片SPに試験力が印加される。油圧アクチュエータ25のストローク、すなわち試験片SPの変位は、油圧アクチュエータ25に取り付けられた差動トランス29によって検出される。
【0014】
材料試験機20には、油圧源30が設けられる。油圧源30は、油圧アクチュエータ25に油圧を供給し、油圧アクチュエータ25を駆動する。すなわち、油圧アクチュエータ25は、油圧源30から供給される油圧によって駆動され、サーボ弁28により油圧が調整されることによりピストンロッド25aが伸縮される。油圧源30は、油圧ポンプ30aと、マニフォールド30bと、配管バルブ30cと、ロードバルブ30dと、を有する。マニフォールド30bは、油圧ポンプ30aが発生した油圧を、材料試験機20に供給するほか、他の装置(例えば、他の材料試験機)にも供給し得る。
【0015】
配管バルブ30cおよびロードバルブ30dは、制御装置40からの指示によりオープンし、及びクローズする。配管バルブ30cがオープンすることにより、油圧ポンプ30aにより発生した油圧が、マニフォールド30bに導入される。また、ロードバルブ30dがオープンすることにより、マニフォールド30b内の油圧が油圧アクチュエータ25に導入される。配管バルブ30cとロードバルブ30dの両方がオープンすることにより、油圧ポンプ30aで発生した油圧が、サーボ弁28を介して油圧アクチュエータ25に導入できる状態となる。
【0016】
制御装置40は、ロードセル27から出力される試験力信号FSを取得し、試験力信号FSをA/D変換して試験力情報を生成する。制御装置40は、差動トランス29から出力される変位信号DSを取得し、変位信号DSをA/D変換して変位情報を生成する。制御装置40は、試験力情報、及び、変位情報に基づいて、指令情報を生成する。制御装置40は、指令情報をD/A変換することによって指令信号CSを生成し、生成した指令信号CSをサーボ弁28に出力する。
【0017】
サーボ弁28は、制御装置40から出力される指令信号CSに従って、油圧アクチュエータ25に対して、圧油方向と圧油量とを制御する。なお、材料試験機20と制御装置40の間に、試験力信号FS、変位信号DS、及び指令信号CSをそれぞれ増幅する増幅器を配置してもよい。
【0018】
材料試験機20は、制御装置40によって制御され、例えば、試験片SPの疲労試験を行う。疲労試験では、材料試験機20は、試験片SPに引張応力σを繰り返し印加する。引張応力σ及び繰り返し印加の上限回数は、予め設定される。上記上限回数は、例えば、10回~10回である。
【0019】
カメラ80は、例えば、三脚81に固定され、制御装置40の表示パネル41の全体を撮像できる位置に配置される。監視装置10は、カメラ80により、制御装置40の表示パネル41の撮像画像を所定の時間間隔で取得する。監視装置10は、取得した撮像画像に基づき、制御装置40の表示パネル41に設けられた表示器の表示をデータ化する。
「データ化」については、図5を参照して更に説明する。
【0020】
[1.2.制御装置の表示パネル構成]
図2は、制御装置40の表示パネル41の構成の一例を示す図である。
表示パネル41には、電源スイッチ410、ファンクションキー411、及びダイヤル412が配置される。電源スイッチ410は、制御装置40の電源をオン及びオフする。ファンクションキー411は、制御装置40に特定の機能の実行を指示する。ダイヤル412は、設定値の変更等の操作に利用される。
また、表示パネル41には、設定キー413、テンキー414、及び、非常停止スイッチ415が配置される。設定キー413は、制御装置40の動作を設定する。テンキー414は、数値を入力する際に利用される。非常停止スイッチ415は、材料試験機20を非常停止させる。
【0021】
また、表示パネル41には、ディスプレイ50、パワーユニット操作キー51、及び、試験操作キー52が配置される。パワーユニット操作キー51は、材料試験機20の油圧源30を操作する際に利用される。試験操作キー52は、材料試験機20における試験の開始及び停止を指示する。
ディスプレイ50は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示スクリーンと、表示スクリーン上に配置されたタッチセンサと、を備えるタッチパネルである。
【0022】
ディスプレイ50には、材料試験機20が実行している疲労試験での試験力、ピストン変位、疲労試験終了までの残り時間等の、材料試験機20の動作についての種々の情報が表示される。第1実施形態及び後述する各実施形態では、ディスプレイ50の表示画面には、特に、サイクル数表示部501と、特定記号表示部502と、が設けられる。サイクル数表示部501は、疲労試験における応力印加のサイクル数を表示する。特定記号表示部502は、予め定められた特定記号(例えば、アイコン)を表示する。
また、ディスプレイ50の表示画面には、試験状態表示部503が設けられる。試験状態表示部503は、材料試験機20において試験が実行されているか否かを表示する。試験状態表示部503には、例えば所定の背景色に重ねて「試験中」または「停止中」の文字が表示される。第1実施形態及び後述する各実施形態では、試験状態表示部503には、例えば、試験の実行中には緑色の背景に重ねて「試験中」の文字が表示され、試験停止中には赤色の背景に重ねて「停止中」の文字が表示される。
【0023】
パワーユニット操作キー51は、起動ボタン511と、停止ボタン512と、マニフォールドボタン513と、加圧ボタン514とを有する。起動ボタン511および停止ボタン512は、それぞれ、油圧ポンプ30aを起動および停止するために用いられる。マニフォールドボタン513は、配管バルブ30cをオープン/クローズするために用いられる。また、加圧ボタン514は、ロードバルブ30dをオープン/クローズするために用いられる。起動ボタン511、停止ボタン512、マニフォールドボタン513、および加圧ボタン514は、それぞれ、表示ランプ51a、表示ランプ51b、表示ランプ51c、および表示ランプ51dを有する。
【0024】
試験操作キー52は、開始キー521と停止キー522とを有する。開始キー521および停止キー522は、それぞれ、表示ランプ52aおよび表示ランプ52bを有する。ユーザが開始キー521を押下すると、材料試験機20は疲労試験を開始し、ディスプレイ50の試験状態表示部503に「試験中」の文字が表示される。また、ユーザが停止キー522を押下すると、材料試験機20は実行中の試験動作を停止し、ディスプレイ50の試験状態表示部503に「停止中」の文字が表示される。
【0025】
ここで、ディスプレイ50と、パワーユニット操作キー51が備える表示ランプ51a、51b、51c、51dと、試験操作キー52が備える表示ランプ52aおよび52bとは、それぞれ、表示パネル41に備えられた表示器の一例に対応する。ディスプレイ50は、また、特定の記号と数値とを表示する数値表示器の一例に対応する。
【0026】
表示パネル41には、表示器が設けられた領域である表示器領域の各々の少なくとも2つの隅に、それらの表示器領域の識別コードを示すバーコードが付されたマーカが配置される。表示器領域の少なくとも一つは矩形である。マーカは、少なくとも一つの矩形の表示器領域に対しては、当該表示器領域の4隅に設けられる。後述するように、矩形の表示器領域の4隅に設けられたマーカにより、表示パネル41の撮像画像における画像歪みが補正さる。
【0027】
図2に示す例では、数値表示器であるディスプレイ50が設けられる矩形の表示器領域53の4つの隅に、4つのマーカ531、マーカ532、マーカ533、マーカ534が、それぞれ配置される。また、パワーユニット操作キー51が設けられる矩形の表示器領域54の2つの隅に、マーカ541、マーカ542が、それぞれ配置される。さらに、試験操作キー52が設けられる矩形の表示器領域55の2つの隅に、マーカ551、マーカ552が、それぞれ置配される。これらのマーカは、カメラ80による撮像に先立って表示パネル41に貼付されるラベルであってもよいし、表示パネル41に予め印刷されていてもよい。
【0028】
各マーカには、対応するそれぞれの表示器領域の識別コードを示すバーコードが付されている。バーコードは、そのバーコードが付されたマーカが、対応する表示器領域のどの位置に配されたものかを示す情報、例えば、その表示器領域の「左上」「右上」「右下」又は「左下」等の情報を含む。
例えば、マーカ531、532、533、534に付されたバーコードは、それぞれ、ディスプレイ50が設けられる表示器領域53の識別コード、および表示器領域53におけるそれぞれの位置を示す情報を含む。また、マーカ541、542に付されたバーコードは、パワーユニット操作キー51が設けられた表示器領域54の識別コード、および表示器領域54におけるそれぞれの位置を示す情報を含む。同様に、マーカ551、552に付されたバーコードは、試験操作キー52が設けられる表示器領域55の識別コード、および表示器領域54におけるそれぞれの位置を示す情報を含む。
【0029】
表示ランプ51a、51b,51c、51d、及び52a、52bは、例えばLED(Light Emitting Diode)である。これらの表示ランプは、一つの(単色の)点灯色を有するものであってもよいし、2色以上の点灯色を選択的に点灯することのできるものであってもよい。
【0030】
表示ランプ51a、51b、51c、および51dは、それらの点灯態様の組み合わせにより材料試験機20における油圧源状態、すなわち、油圧源30の動作の状態を表示する。また、表示ランプ52aおよび52bは、それらの点灯態様の組み合わせにより材料試験機20における試験動作の実行状態、すなわち、試験中であるか停止中であるかを表示する。
ここで、「点灯態様」とは、それぞれのランプの点灯または消灯の状態、点灯状態における点灯色又は輝度を含む。第1実施形態及び後述する各実施形態では、表示ランプ51a、51b,51c、51d、及び52a、52bは、単色のLEDであり、点灯態様とは、それぞれの表示ランプの点灯及び消灯の組み合わせをいう。
【0031】
図3A図3B図3C図3D図3E、および図3Fは、パワーユニット操作キー51が備える表示ランプ51a、51b,51c、51dの点灯態様の組み合わせと、材料試験機20の油圧源状態と、の関係の一例を示す図である。図3A図3B図3C図3D図3E、および図3Fにおいて、表示ランプ51a、51b,51c、および51dは、それぞれ、点灯状態が黒色で、消灯状態が白色で示される。
【0032】
図3Aでは、表示ランプ51aが点灯し、他の表示ランプ51b、51c、51dが消灯することにより、材料試験機20の油圧源状態がRUN状態、すなわち、油圧ポンプ30aが起動された状態であることが示される。
図3Bでは、表示ランプ51bが点灯し、他の表示ランプ51a、51c、51dが消灯することにより、材料試験機20の油圧源状態がSTOP状態、すなわち、油圧ポンプ30aが停止した状態であることが示される。
【0033】
図3Cでは、表示ランプ51a、51c、51dが点灯し、表示ランプ51bが消灯することにより、材料試験機20の油圧源状態がLOAD_MANI状態、すなわち、配管バルブ30cがオープンされた状態であることが示される。
図3Dでは、表示ランプ51b、51cが点灯し、表示ランプ51a、51dが消灯することにより、材料試験機20の油圧源状態がSTOP_MANI状態、すなわち、配管バルブ30cがクローズされた状態であることが示される。
【0034】
図3Eでは、表示ランプ51a、51dが点灯し、表示ランプ51b、51cが消灯することにより、材料試験機20の油圧源状態がLOAD状態、すなわち、配管バルブ30cおよびロードバルブ30dの双方がオープンされた状態であることが示される。
また、図3Fでは、表示ランプ51a、51b、51c、51dが全て消灯することにより、材料試験機20の油圧源状態がPOWER OFF状態、すなわち、油圧ポンプ30a、配管バルブ30c、およびロードバルブ30dの動作のための電源がオフされた状態であることが示される。
【0035】
図4Aおよび図4Bは、試験操作キー52の表示ランプ52aおよび52bの点灯状態の組み合わせと、材料試験機20における試験状態と、の関係の一例を示す図である。図4Aでは、表示ランプ52aが点灯し、表示ランプ52bが消灯することにより、材料試験機20がSTART状態、すなわち疲労試験を実行している状態であることが示される。
また、図4Bでは、表示ランプ52aが点灯し、表示ランプ52bが消灯することにより、材料試験機20がSTOP状態、すなわち、疲労試験を中止または停止している状態であることが示される。
【0036】
[1.3.監視装置の構成]
図5は、監視装置10の構成の一例を示す図である。監視装置10は、例えばパーソナルコンピュータで構成され得るが、これに限らず、1つ又は複数の適宜の電子回路によって構成されてもよい。そのような電子回路は、DSP(Digital Signal Processor)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)-FPGA等の、プログラムされたハードウェアを含み得る。
【0037】
監視装置10は、プロセッサ11、メモリ12、入力部13、表示部14、機器接続インタフェース(機器接続I/F)15、及び、通信インタフェース(通信I/F)16を備える。
【0038】
プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等で構成される。
【0039】
メモリ12は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成される。メモリ12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置を含んでもよい。メモリ12には、プロセッサ11が実行する監視プログラム121、画像データ122、油圧状態認識モデル123a、試験状態認識モデル123b、判定結果データ124、および数値データ125が記憶される。メモリ12は、画像記憶部の一例に対応する。
【0040】
入力部13は、ユーザがデータやコマンドを監視装置10に入力する際に使用する入力装置であり、例えば、キーボード、スイッチ、及びマウス等のポインティングデバイスを含む。表示部14は、文字、図形、画像等を表示するディスプレイであり、例えばLCD等で構成される。入力部13と表示部14とは、例えば、LCD等の表示スクリーン上にタッチセンサを配置したタッチパネルとして構成されてもよい。
【0041】
機器接続I/F15は、監視装置10を周辺機器と接続するためのインタフェースであり、例えば、USB(登録商標)通信を行うUSBトランシーバでる。第1実施形態では、監視装置10は、機器接続I/F15を介してカメラ80と接続される。
【0042】
通信I/F16は、監視装置10がインターネットやイントラネットなどの通信ネットワークを介して他の装置(例えば、他のコンピュータ装置またはサーバ装置)と通信するための、有線通信又は無線通信を行う通信デバイスである。
【0043】
プロセッサ11は、機能要素又は機能ユニットとして、取得部111と、画像認識部112と、状態判定部113と、更新部114と、出力部115と、を備える。プロセッサ11が備えるこれらの機能要素は、例えば、プロセッサ11が、メモリ12に記憶された監視プログラム121を実行することにより実現される。
【0044】
取得部111は、所定の時間間隔で、制御装置40の表示パネル41を撮像した撮像画像を、機器接続I/F15を介してカメラ80から取得する。第1実施形態では、取得部111により取得される撮像画像は、材料試験機20が疲労試験を実行または中止しているときの、表示パネル41の撮像画像である。なお、第1実施形態では、取得部111は、表示パネル41の撮像画像をカメラ80から直接取得するものとしたが、撮像画像の取得先はカメラ80に限られない。例えば、取得部111は、所定の時間間隔で予め撮像されてメモリ12または他の装置(例えば、通信ネットワーク上のサーバ装置)に記憶された撮像画像を順次読み出すことで、撮像画像を取得してもよい。以下、取得部111が特定のタイミングで取得した撮像画像を「注目画像」ともいい、それ以前に取得した撮像画像と区別する。第1実施形態では、取得部111は、取得した撮像画像を、メモリ12の画像データ122の一部として保存する。
【0045】
画像認識部112は、取得部111が取得した注目画像に対して画像認識処理を行う。画像認識部112は、画像認識処理により、注目画像に含まれる表示パネル41上のマーカ531、532、533、534、541、542,551、552の画像から、それらのマーカに付されたバーコードが示す識別コードを取得する。そして、画像認識部112は、これらのマーカの位置および識別コードに基づいて、表示器が配されている表示器領域53、54、55のそれぞれに対応する注目画像上の画像領域を特定する。
【0046】
これにより、材料試験機20の疲労試験の途中において、カメラ80の位置がずれた場合でも、注目画像上における各表示器領域の画像領域が適切に特定され得る。このようなカメラ80の位置ずれは、例えば、ユーザが制御装置40の操作を行うためにカメラ80の位置を移動させた場合に発生し得る。
【0047】
また、画像認識部112は、矩形の表示器領域53の4隅に配されたマーカ531、532、533、および534の注目画像上の位置に基づき、上記特定した注目画像における表示器領域53、54、55に対応する画像領域の画像歪みを補正する。これにより、例えば、材料試験機20の疲労試験の途中において、撮像画像における画像歪みの態様が変化した場合でも、マーカの配置から画像歪みを適切に把握して、画像補正を迅速に行うことができる。このような画像歪みの態様の変化は、例えば、ユーザが制御装置40の操作を行うためにカメラ80の光軸方向を移動させた場合に発生し得る。
【0048】
図6は、画像認識部112が行う画像歪みの補正について説明するための図である。図6の上段の図は、取得部111がカメラ80から取得した注目画像の例である。図示の例では、注目画像は台形状に歪んでいる。このような画像歪みは、カメラ80の光軸に対して表示パネル41の法線方向が傾いていることにより発生する。
【0049】
画像認識部112は、図6上段の注目画像から、それぞれ同一の識別コードを示すバーコードが付されたマーカの群を特定する。具体的には、画像認識部112は、表示器領域53の識別コードが付された4つのマーカ531、532、533、534の群と、表示器領域54の識別コードが付された2つのマーカ541、542の群と、表示器領域55の識別コードが付された2つのマーカ551、552の群を特定する。これにより、画像認識部112は、図6中段の左の図に示すように、注目画像における4つのマーカ531、532、533、534の位置を4隅とする台形の画像領域として表示器領域53を特定する。
【0050】
また、画像認識部112は、図6中段の中央の図のように、注目画像における2つのマーカ541、542の位置を2つの対角の隅とする矩形の画像領域として、表示器領域54を特定する。同様に、画像認識部112は、図6中段の右図のように、注目画像における2つのマーカ551、552の位置を2つの対角の隅とする矩形の画像領域として、表示器領域55を特定する。
【0051】
次に、画像認識部112は、特定した表示器領域53の台形の画像領域(図6中段の左図)に基づき、画像歪みを補正するための補正関数を算出する。第1実施形態では、補正関数は、特定した表示器領域53の台形の画像領域を矩形の画像に補正するための射影変換行列で規定される。
画像認識部112は、算出した補正関数を規定する射影変換行列を用いて図6中段の各画像を補正し、図6下段に示すような、表示器領域53、54、55についての補正後の部分画像を得る。画像認識部112は、表示器領域53、54、55についての補正後の部分画像を、状態判定部113に送信する。また、画像認識部112は、表示器領域53、54、および55についての補正後の部分画像を、注目画像に関連付けて、画像データ122の一部としてメモリ12に保存する。
【0052】
なお、図6に示す例では、図6上段の注目画像から特定された、図6中段に示す表示器領域53、54、55のそれぞれの画像領域に対して画像補正が行われて、図6下段に示す補正された部分画像が取得されるものとしたが、画像補正の手順は、これには限られない。例えば、画像認識部112は、上記のように算出した補正関数により、図6上段に示す注目画像の全体を画像補正し、画像補正した注目画像から、図6下段のような補正された表示器領域53、54、55の部分画像を直接的に取得してもよい。
【0053】
画像認識部112は、また、取得部111が取得した注目画像に基づき、ディスプレイ50に表示されている数値を表す数値データを生成する。
具体的には、画像認識部112は、ディスプレイ50が配された表示器領域53についての補正後の部分画像に基づき、ディスプレイ50の特定記号表示部502に表示されている特定記号の、注目画像におけるサイズを算出する。そして、画像認識部112は、算出した特定記号のサイズに基づいて、ディスプレイ50に表示された数値の、その注目画像における文字サイズを推定する。画像認識部112は、上記推定した文字サイズを用いた画像認識処理により、ディスプレイ50に表示された数値を表す数値データを生成する。これにより、適切な文字サイズを用いて文字認識が行われるので、表示数値が誤認識されて誤った数値データが生成されてしまう可能性を低減できる。
【0054】
この数値データには、ディスプレイ50のサイクル数表示部501に表示されたサイクル数の数値データのほか、図2に示す「50.1215」「16.6601」等の、試験力、ピストン変位等についての数値データが含まれ得る。画像認識部112は、上記生成したサイクル数の数値データを更新部114へ送信する。また、画像認識部112は、サイクル数を除く上記生成した数値データを、注目画像に関連付けて、数値データ125の一部としてメモリ12に記憶する。
【0055】
状態判定部113は、取得部111が取得した注目画像に基づき、材料試験機20の状態を判定する。具体的には、画像認識部112が抽出した表示器領域54の部分画像および表示器領域55の部分画像に基づき、それぞれ、表示ランプ51a、51b、51c、51dの点灯態様の組み合わせが示す材料試験機20の油圧源状態、および表示ランプ52a、52bの点灯態様の組み合わせが示す材料試験機20の試験状態を判定する。これにより、ユーザは、点灯態様の組み合わせが示す材料試験機の状態を自身で判定する必要がないので、ユーザの利便性が向上する。なお、表示ランプ51a、51b、51c、51dが配された表示器領域54の部分画像、および表示ランプ52a、52bが配置された表示器領域55の部分画像は、それぞれ、「第1撮像画像」の一例に対応する。
【0056】
状態判定部113は、例えば人工知能を用いて、第1撮像画像から材料試験機20の状態を推定する。メモリ12には、表示ランプ51a、51b、51c、51dの種々の点灯態様の組み合わせを撮影した画像と、それらの組み合わせに対応する材料試験機20の油圧源状態と、の関係を機械学習により学習させた油圧状態認識モデル123aが、予め記憶されている。また、メモリ12には、表示ランプ52a、52bの種々の点灯態様の組み合わせを撮影した画像と、それらの組み合わせに対応する材料試験機20の試験状態と、の関係を機械学習により学習させた試験状態認識モデル123bが、予め記憶されている。油圧状態認識モデル123aおよび試験状態認識モデル123bは、状態認識モデルに相当する。
【0057】
状態判定部113は、注目画像から抽出された表示器領域54の部分画像である第1撮像画像を油圧状態認識モデル123aに入力することにより、材料試験機20の油圧源状態を推定する。また、状態判定部113は、注目画像から抽出された表示器領域55の部分画像である第1撮像画像を試験状態認識モデル123bに入力することにより、材料試験機20の試験状態を推定する。これにより、状態判定部113は、個々の表示ランプの点灯態様を個別に認識する必要がないので、材料試験機20の状態を迅速に判定し得る。なお、油圧状態認識モデル123aに入力する表示器領域54の部分画像である第1撮像画像、および試験状態認識モデル123bに入力する表示器領域55の部分画像である第1撮像画像は、それぞれ、画像認識部112において画像歪みの補正が行われたあとの部分画像であるものとすることができる。
【0058】
油圧状態認識モデル123aおよび試験状態認識モデル123bの出力には、それぞれ、油圧源状態についての推定結果と当該推定の確度、および試験状態についての推定結果と当該推定の確度が含まれる。上記推定の確度は、それぞれ、対応する推定の確からしさを百分率で表した値である。
【0059】
状態判定部113は、油圧状態認識モデル123aを用いた上記推定の結果に基づき、材料試験機20の油圧源状態を判定し、油圧状態認識モデル123aが出力した上記推定の確度を、当該判定の判定確度とする。状態判定部113は、油圧源状態の判定結果を示すデータに、上記判定確度に応じた警告情報を付して、出力部115に出力する。警告情報は、例えば、判定確度が所定値以上であって良好であることを示す「GOOD」、または判定確度が所定値未満であって良好でないことを示す「WARNING」、とする。これにより、ユーザは、上記判定結果に付された警告情報から、その判定結果の信頼性の高低を容易に把握することができる。油圧源状態判定の具体的な手順については、図10を参照して後述する。
【0060】
同様に、状態判定部113は、試験状態認識モデル123bを用いた上記推定の結果に基づき、材料試験機20の試験状態を判定し、試験状態認識モデル123bが出力した上記推定の確度を、当該判定の判定確度とする。状態判定部113は、試験状態の判定結果を示すデータに、上記判定確度に応じた警告情報を付して、出力部115に出力する。警告情報は、例えば、判定確度が所定値以上か未満かに応じて、「GOOD」または「WARNING」とする。試験状態判定の具体的な手順については、図11を参照して後述する。
【0061】
更新部114は、画像認識部112が疲労試験中における一連の撮像画像から生成したサイクル数の数値データに基づき、撮像画像に対応付けるべきサイクル数の値であるサイクル数判定値を決定する。具体的には、更新部114は、上記一連の撮像画像から生成したサイクル数の数値データに基づき、注目画像に対応付けるべきサイクル数判定値を、直前画像に対応付けたサイクル数判定値(前回値)に対して更新するか、または前回値の値に維持する。ここで、直前画像とは、注目画像の直前に取得部111が取得した撮像画像である。以下、画像認識部112が撮像画像から生成したサイクル数の数値データの値をサイクル数生成値というものとする。
【0062】
より具体的には、更新部114は、注目画像よりも前に撮像された少なくとも3つの撮像画像から生成されたサイクル数生成値の、時間に対する回帰直線を求める。そして、更新部114は、注目画像から生成されたサイクル数生成値である注目値の、上記回帰直線からの差分量が所定量以内であるときは、上記注目値によりサイクル数判定値を更新する。これにより、更新部114は、回帰直線が表すサイクル数の時間変化傾向を考慮した信頼性の高いサイクル数判定値を、撮像画像に対応付けることができる。更新部114は、上記更新したサイクル数判定値を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に対応付けて、数値データ125の一部としてメモリ12に保存する。
【0063】
一方、上記差分量が所定量以内ではない場合には、更新部114は、注目画像より前に撮像された所定数の撮像画像から生成された所定数のサイクル数生成値が連続して同じ一定値であったか否かを判断する。そして、更新部114は、所定数のサイクル生成値が連続して同じ一定値であったときは、当該一定値により、注目画像に対応付けるサイクル数判定値を更新する。また、更新部114は、所定数のサイクル生成値が連続して同じ一定値であったときは、回帰直線を更新する。すなわち、更新部114は、現在の回帰直線を破棄して、その後に撮像される撮像画像から生成される3つ以上のサイクル数生成値により新たに回帰直線を算出する。これにより、更新部114は、疲労試験の応力印加の周期が変更されて、サイクル数の時間変化傾向が変化した場合でも、誤ったサイクル数判定値が撮像画像に対応付けられること回避できる。また、回帰直線を更新した後は、更新部114は、更新した回帰直線によりサイクル数の新たな時間変化傾向を適切に把握して、信頼性の高いサイクル数判定値を撮像画像に対応付けることができる。
【0064】
一方、所定数のサイクル数生成値の少なくとも一つが他と異なる値であるときは、更新部114は、注目画像に対応付けるサイクル数判定値を更新せず、前回値と同じ値に維持する。これにより、更新部114は、サイクル数の時間変化がない期間においてサイクル数の数値データに誤った変化が発生したような場合には、サイクル数判定値を前回値に維持して、サイクル数判定値の誤差を小さく留めることができる。更新部114は、サイクル数判定値を更新しないときは、上記前回値と同じ値に維持したサイクル数判定値に警告情報を付して、出力部115へ送信する。警告情報は、例えば、「WARNING」とすることができる。これにより、ユーザは、サイクル数判定値に付された警告情報から、そのサイクル数判定値の信頼性が低い可能性があることを容易に把握することができる。なお、更新部114は、サイクル数判定値を更新したときは、そのサイクル数判定値に、例えば「GOOD」という警告情報を付してもよい。更新部114は、警告情報を付した上記サイクル数判定値を、注目画像に対応付けて、数値データ125の一部としてメモリ12に保存する。
【0065】
出力部115は、取得部111が撮像画像を取得するごとに、当該取得した撮像画像、すなわち注目画像と、当該注目画像について状態判定部113が判定した油圧源状態および試験状態の表示と、更新部114が決定したサイクル数判定値と、を含んだデータ表示画面を、表示部14に出力する。これに加えて又はこれに代えて、出力部115は、油圧源状態および試験状態の表示とサイクル数判定値とを、プリンタ装置(不図示)により印字して出力してもよい。
【0066】
図7は、出力部115が表示部14に出力するデータ表示画面の一例を示す図である。図7に示すデータ表示画面141は、注目画像表示部142と、部分画像表示部143、144、145と、判定結果表示部146と、数値表示部147と、を含む。
【0067】
注目画像表示部142には、注目画像が表示される。部分画像表示部143、144、および145には、それぞれ、注目画像から抽出されて画像歪みが補正された表示器領域53、54、および55の部分画像が表示される。判定結果表示部146には、注目画像に基づいて判定された、材料試験機20の油圧源状態および試験状態の判定結果が示される。また、数値表示部147には、注目画像についてのサイクル数判定値が表示される。
【0068】
図7において、判定結果表示部146に表示されている「油圧源確度」および「試験状態確度」は、それぞれ、状態判定部113から受信した油圧源状態および試験状態の判定結果に付された警告情報を示す。また、図7において数値表示部147に表示されている「サイクル数確度」は、出力部115が更新部114から受信した、サイクル数表示値に付された警告情報に基づいて表示される。
【0069】
上記の構成を有する監視装置10は、制御装置40の表示パネル41に設けられた表示器であるディスプレイ50および表示ランプ51a、51b、51c、51d、52a、52bの撮像画像から、数値データおよび材料試験機20の状態判定の結果を示すデータを生成する。また、生成された数値データおよび判定結果のデータは、表示部14に出力されると共に、撮像画像に関連付けてメモリ12に保存される。
【0070】
これにより、ユーザは、上記生成された数値データおよび判定結果のデータから、材料試験機20の動作状態を容易に把握することができる。したがって、例えば、ユーザは、材料試験機20による疲労試験の実行中において所定の時間間隔で撮像される撮像画像が膨大な数となる場合でも、撮像画像のそれぞれに基づいて生成された数値データおよび判定結果のデータの出力を見ることで、それら膨大な数の撮像画像から材料試験機20の状態の変化点(又は、変化タイミング)を容易に把握することができる。
なお、本実施例では材料試験機を例に挙げているが、他の複数の分析装置の表示画面に表示される波形に代表される図表情報を取得し、取得した図表情報について既知の波形解析アルゴリズムや図表解析アルゴリズムを適用することによって、撮影画像から情報を抽出することができる。また、図表情報に限らず、警告表示等を単に抽出するだけでも本願の効果は達成される。
【0071】
[1.4.監視装置における処理]
[1.4.1 全体フロー]
次に、監視装置10の動作の手順について、図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図8に示す処理は、例えば、ユーザが入力部13を介して実行指示を入力したときに開始する。実行指示の入力に際し、ユーザは、撮像画像の取得終了条件、例えば、撮像画像の目標取得回数または目標取得時間を入力するものとすることができる。
【0072】
処理を開始すると、取得部111は、カメラ80から一の撮像画像を取得する(S11)。取得された撮像画像は、注目画像となる。次に、画像認識部112は、注目画像について画像抽出処理を実行する(S12)。画像抽出処理において、画像認識部112は、注目画像から、ディスプレイ50が配された表示器領域53の部分画像、表示ランプ51a、51b、51c、51dが配された表示器領域54の部分画像、および表示ランプ52a、52bが配された表示器領域55の部分画像を抽出する。画像抽出処理の詳細については、後述において図9を参照して説明する。
【0073】
次に、状態判定部113は、状態判定処理を実行する。状態判定処理には、油圧源状態判定処理(S13)と試験状態判定処理(S14)とが含まれる。油圧源状態判定処理では、状態判定部113は、注目画像から抽出された表示器領域54の部分画像を油圧状態認識モデル123aに入力して油圧源状態を推定し、当該推定の結果および確度に基づいて、材料試験機20の油圧源状態を判定する。また、試験状態判定処理では、状態判定部113は、注目画像から抽出された表示器領域55の部分画像を試験状態認識モデル123bに入力して試験状態を推定し、当該推定の結果および確度に基づいて、材料試験機20の試験状態を判定する。油圧源状態判定処理および試験状態判定処理の詳細については、後述において図10図11を参照して説明する。
【0074】
次に、画像認識部112は、数値データ生成処理を実行する(S15)。数値データ生成処理では、画像認識部112は、注目画像から抽出された表示器領域53の部分画像に基づき、ディスプレイ50に表示されている数値表示から数値データを生成する。数値データ生成処理については、後述において図12を参照して説明する。
【0075】
続いて、更新部114は、サイクル数更新処理を実行する。サイクル数更新処理では、更新部114は、まず、状態判定部113が試験状態判定処理(S14)で判定した試験状態が「START」(すなわち、試験開始状態)であるか否かを判断する(S16)。そして、試験状態が「START」であるときは(S16;YES)、更新部114は、第1サイクル数更新処理を実行する(S17)。一方、試験状態が「START」でないとき、すなわち「STOP」(すなわち、試験停止状態)であるときは(S16;NO)、更新部114は、第2サイクル数更新処理を実行する(S18)。
【0076】
第1サイクル数更新処理では、疲労試験の実行中においてサイクル数は増加するものであることに基づき、更新部114は、一連の撮像画像から生成されたサイクル数生成値の変化から、注目画像に対応付けるべきサイクル数判定値を決定する。また、第2サイクル数更新処理では、疲労試験の停止中においてサイクル数は変化しないことに基づき、更新部114は、一連の撮像画像から生成されたサイクル数生成値から、注目画像に対応付けるべきサイクル数判定値を決定する。第1サイクル数更新処理および第2サイクル数更新処理については、後述において図13および図14を参照して説明する。
【0077】
次に、出力部115は、状態判定処理およびサイクル数更新処理の結果を表すデータを表示部14に出力する(S19)。具体的には、出力部115は、例えば図7に示すような、注目画像についてのデータ表示画面を表示部14に表示する。続いて、取得部111は、ユーザが図8の処理の実行開始の際に入力部13に入力した上述の取得終了条件に基づき、撮像画像の取得が終了したか否かを判断する(S20)。
【0078】
そして、撮像画像の取得が終了したときは(S20;YES)、取得部111は、本処理を終了する。一方、撮像画像の取得が終了していないときは(S20;NO)、取得部111は、ステップS11に戻って新たな撮像画像を取得する。
【0079】
[1.4.2 画像抽出処理における動作]
図9は、図8に示す処理における画像抽出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
「画像抽出処理」とは、注目画像から、ディスプレイ50が配された表示器領域53の部分画像、表示ランプ51a、51b、51c、51dが配された表示器領域54の部分画像、および表示ランプ52a、52bが配された表示器領域55の部分画像を抽出する処理である。
画像抽出処理では、まず、画像認識部112は、注目画像に写っているマーカを検出する(S121)。マーカには、そのマーカが付されている表示器が配された領域を識別するバーコードが付されている。画像認識部112は、同一の識別コードを持つマーカのグループごとに、それぞれのマーカの位置および識別コードに基づいて、表示器が配された領域に対応する注目画像上の画像領域を特定する(S122)。第1実施形態及び後述する各実施形態では、表示器が配された領域とは、数値表示器であるディスプレイ50が配された表示器領域53、表示ランプ51a、51b、51c、51dが配された表示器領域54、および表示ランプ52a、52bが配された表示器領域55である。
【0080】
画像認識部112は、同一の識別コードを持つ4つのマーカの、撮像画像上の位置に基づき、撮像画像の画像歪みを補正するための補正関数を算出する(S123)。上述したように、この補正関数は、例えば射影変換行列で規定される。画像認識部112は、上記算出した補正関数を用いて、ステップS122で特定した画像領域の画像歪みを補正する(S124)。画像認識部112は、上記補正した画像領域のそれぞれを部分画像として抽出する(S125)。画像認識部112は、上記抽出した各領域の部分画像を、状態判定部113に送信すると共に、撮像画像に関連付けて画像データ122の一部としてメモリ12の画像データに保存する。
【0081】
[1.4.3 油圧源状態判定処理における動作]
図10は、図8における油圧源状態判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
「油圧源状態判定処理」とは、注目画像から抽出された表示器領域54の部分画像に基づき、材料試験機20の油圧源状態を判定する処理である。
油圧源状態判定処理では、まず、状態判定部113は、画像認識部112から受信した表示ランプ51a、51b、51c、51dが配された表示器領域54の部分画像を油圧状態認識モデル123aに入力して、材料試験機20の油圧源状態を推定する(S131)。次に、状態判定部113は、油圧状態認識モデル123aが出力する上記推定の推定確度が所定値(例えば、70%)以上であるか否かを判断する(S132)。
【0082】
そして、上記推定確度が所定値以上であるときは(S132;YES)、状態判定部113は、油圧状態認識モデル123aによる推定結果を、注目画像についての油圧源状態の判定結果として決定する(S133)。一方、上記推定確度が所定値未満であるときは(S132;NO)、状態判定部113は、注目画像についての判定結果を、直前画像について既に決定した油圧源状態の判定結果と同じとする(S134)。
【0083】
次に、状態判定部113は、油圧状態認識モデル123aが出力した上記推定確度を判定確度とし、当該判定確度に応じた警告情報を、ステップS133またはS134で決定した判定結果に付す(S135)。状態判定部113は、警告情報を付した油圧源状態の判定結果を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に関連付けて判定結果データ124の一部としてメモリ12に保存する。
【0084】
[1.4.4 試験状態判定処理における処理]
図11は、図8における試験状態判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
「試験状態判定処理」とは、注目画像から抽出された表示器領域55の部分画像に基づき、材料試験機20の試験状態を判定する処理である。
試験状態判定処理では、まず、状態判定部113は、画像認識部112から受信した表示ランプ52a、52bが配された表示器領域55の部分画像を試験状態認識モデル123bに入力して、材料試験機20の試験状態を推定する(S1401)。この推定を、第1推定とする。この推定の際に、試験状態認識モデル123bは、その推定についての推定確度を出力する。
【0085】
次に、状態判定部113は、画像認識部112から受信した表示器領域53の部分画像に基づき、ディスプレイ50の試験状態表示部503の表示から、材料試験機20の試験状態を推定する(S1402)。この推定を、第2推定とする。具体的には、状態判定部113は、例えば、試験状態表示部503における緑色画素の数と赤色画素の数とをカウントし、総カウント数に対する緑色画素数の比率と赤色画素数の比率とを、例えば百分率で算出する。そして、状態判定部113は、緑色画素数の比率が赤色画素数の比率より20%以上大きいときは、試験状態表示部503の表示が「試験中」であって、試験状態が「START」であるものと推定し、緑色画素数の比率を当該推定の推定確度とする。
【0086】
また、状態判定部113は、赤色画素数の比率が緑色画素数の比率より20%以上大きいときは、試験状態表示部503の表示が「停止中」であって、試験状態が「STOP」であるものと推定し、赤色画素数の比率を当該推定の推定確度とする。一方、緑色画素数の比率と赤色画素数の比率との差が20%未満であるときは、状態判定部113は、試験状態表示部503の表示および試験状態の推定は不定であるものとする。
【0087】
次に、状態判定部113は、ステップS141における第1推定の結果とステップS1402における第2推定の結果とが同じであるか否かを判断する(S1403)。そして、第1推定の結果と第2推定の結果とが同じであるときは(S1403;YES)、状態判定部113は、第1推定又は第2推定の結果を、試験状態についての判定結果とする(S1404)。
【0088】
一方、ステップS1403において、第1推定と第2推定の結果が同じでないときは(S1403;NO)、状態判定部113は、第2推定の結果が不定であるか否かを判断する(S1405)。そして、第2推定の結果が不定でないときは(S1405;NO)、状態判定部113は、第2推定の結果を、試験状態についての判定結果とする(S1406)。
【0089】
一方、ステップS1405において第2推定の結果が不定であるときは(S1405;YES)、状態判定部113は、第1推定の推定確度が所定値(例えば、90%)以上であるか否かを判断する(S1407)。そして、第1推定の推定確度が所定値以上であるときは(S1407;YES)、状態判定部113は、第1推定の結果を、試験状態についての判定結果とする(S1408)。
【0090】
また、一方、ステップS1407において第1推定の推定確度が所定値未満であるときは(S1407;NO)、状態判定部113は、今回の(すなわち、注目画像についての)試験状態の判定結果を、直前画像について既に決定した試験状態の判定結果と同じとする(S1409)。
【0091】
次に、状態判定部113は、ステップS1404、S1406、S1408、またはS1409において決定した試験状態の判定結果に、その判定確度に応じた警告情報を付す(S1410)。判定確度は、例えば、ステップS1404において判定結果を決定したときは、95%とすることができる。また、ステップS1406において判定結果を決定したときは、その判定結果の判定確度を、第2推定における推定確度と同じ値とすることができる。
【0092】
また、ステップS1408またはS1409において判定結果を決定したときは、それらの判定結果の判定確度を、第1推定における推定確度と同じ値とすることができる。状態判定部113は、判定確度が所定値(例えば90%)以上であるときは、警告情報として「GOOD」を判定結果に付し、判定確度が所定値未満であれば、警告情報として「WALNING」を付すものとすることができる。
【0093】
状態判定部113は、警告情報を付した試験状態の判定結果を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に関連付けて、判定結果データ124の一部としてメモリ12に保存する。
【0094】
[1.4.5 数値データ生成処理における処理]
図12は、図8における数値データ生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
「数値データ生成処理」とは、注目画像から抽出された表示器領域53の部分画像に基づき、ディスプレイ50に表示されている数値表示から数値データを生成する処理である。
まず、画像認識部112は、画像抽出処理において抽出した表示器領域53の部分画像から特定記号を検出し、その部分画像における特定記号のサイズを算出する(S151)。第1実施形態では、特定記号は、ディスプレイ50の特定記号表示部502に表示される特定のアイコンである。次に、画像認識部112は、上記算出した特定記号のサイズに基づき、上記表示器領域53の部分画像における数値表示の文字サイズを推定する(S152)。そして、画像認識部112は、上記推定した文字サイズに基づき、表示器領域53の部分画像に写されているディスプレイ50上の数値表示の数字を文字認識処理により認識して、その数値表示から数値データを生成する(S153)。画像認識部112は、生成した数値データのうち、サイクル数の数値データを更新部114へ送信する。また、画像認識部112は、サイクル数の数値データを除く、上記生成した数値データを、注目画像に関連付けて、数値データ125の一部としてメモリ12に保存する。
【0095】
[1.4.6 第1サイクル数更新処理における動作]
図13は、図8における第1サイクル数更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。
「第1サイクル数更新処理」とは、材料試験機20が試験開始状態であるときに、注目画像に対応付けるべきサイクル数判定値を決定する処理である。
上述したように、第1サイクル数更新処理では、疲労試験の実行中においてサイクル数は増加するものであることに基づき、更新部114は、一連の撮像画像から生成されたサイクル数生成値の変化から、注目画像に対応付けるべきサイクル数判定値を、前回値(直前画像に対応付けたサイクル数判定値)に対して更新するか否か決定する。上述したように、画像認識部112が撮像画像から生成したサイクル数の数値データが表す値をサイクル数生成値といい、注目画像についてのサイクル数生成値を注目値という。また、注目画像の直前に撮像された撮像画像を直前画像といい、更新部114が直前画像について決定したサイクル数判定値を前回値というものとする。
【0096】
第1サイクル数更新処理において、更新部114は、まず、注目値が前回値より大きいか否かを判断する(S1601)。更新部114は、注目値が前回値より大きいときは(S1601;YES)、注目画像よりも前に撮像された少なくとも3つの撮像画像のサイクル数生成値から、サイクル数生成値の時間に対する回帰直線を求める(S1602)。第1実施形態では、回帰直線は、注目画像よりも前に撮像された直前画像を含む3以上100以下の数の直近の撮像画像からのサイクル数生成値を用いて算出される。例えば、更新部114は、回帰直線の算出に用いる直近の撮像画像のサイクル数生成値を、回帰直線用データとしてメモリ12に一時記憶しておき、一時記憶したこれらのサイクル数生成値から回帰直線を算出するものとすることができる。
【0097】
更新部114は、注目値の回帰直線からの差分量が所定量(例えば、±5%)以内であるか否かを判断する(S1603)。そして、更新部114は、差分量が所定量以内であるときは(S1603;YES)、注目値によりサイクル数判定値を更新する(S1604)。更新部114は、更新したサイクル数判定値を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に関連付けて数値データ125の一部としてメモリ12に保存する。
【0098】
一方、ステップS1603において、差分量が所定量を超えているときは(S1603;NO)、更新部114は、直近の第1所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けたか否かを判断する(S1605)。ここで、「直近の第1所定数のサイクル数生成値」とは、注目画像と、注目画像の直前に撮像された複数の撮像画像と、を含む、直近の第1所定数の撮像画像から生成されたサイクル数生成値をいう。第1実施形態では、第1所定数は、例えば10である。更新部114は、例えば、直近の第1所定数の撮像画像から生成された直近のサイクル数生成値をメモリ12に一時記憶させておくことにより、ステップS1603における判断を行うものとすることができる。
【0099】
ステップS1605において直近の第1所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けたときは(S1605;YES)、更新部114は、上記一定値によりサイクル数判定値を更新する(S1606)。更新部114は、更新したサイクル数判定値を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に関連付けて数値データ125の一部としてメモリ12に保存する。
【0100】
また、更新部114は、注目画像および注目画像より前に撮像された撮像画像からのサイクル数生成値を、ステップS1602における回帰直線の算出対象から除外することにより、回帰直線を初期化して更新する(S1607)。具体的には、例えば、更新部114は、メモリ12に一時記憶した上述の回帰直線用データから、上記除外するサイクル数生成値を削除する。
【0101】
一方、ステップS1605において直近の第1所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けていないときは(S1605;NO)、更新部114は、サイクル数判定値を更新しない(S1609)。すなわち、更新部114は、前回値(すなわち、直前画像におけるサイクル数判定値の値)を、注目画像についてのサイクル数判定値として決定する。また、更新部114は、決定したサイクル数判定値に警告情報を付す(S1610)。この警告情報は、例えば「WALNING」である。更新部114は、警告情報を付したサイクル数判定値を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に関連付けて数値データ125の一部としてメモリ12に保存する。
【0102】
また、一方、ステップS1601において注目値が前回値以下であるときは(S1601;NO)、更新部114は、直近の第2所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けたか否かを判断する(S1608)。第1実施形態では、第2所定数は、例えば50である。更新部114は、例えば、直近の第2所定数のサイクル数生成値をメモリ12に一時記憶させておくことにより、ステップS1608における判断を行うものとすることができる。
【0103】
そして、ステップS1608において直近の第2所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けたときは(S1608;YES)、更新部114は、ステップS1606に処理を移し、上記一定値によりサイクル数判定値を更新する。
【0104】
一方、ステップS1608において直近の第2所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けていないときは(S1608;NO)、更新部114は、ステップS1609に処理を移し、サイクル数判定値を更新しない。すなわち、更新部114は、前回値を注目画像についてのサイクル数判定値として決定する。
【0105】
[1.4.7 第2サイクル数更新処理における動作]
図14は、図8における第2サイクル数更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。
「第2サイクル数更新処理」とは、材料試験機20が試験停止状態であるときに、注目画像に対応付けるべきサイクル数判定値を決定する処理である。
上述したように、第2サイクル数更新処理では、疲労試験の停止中においてサイクル数は変化しないことに基づき、更新部114は、一連の撮像画像から生成されたサイクル数生成値から、注目画像に対応付けるべきサイクル数判定値を決定する。
【0106】
まず、更新部114は、直近の第3所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けたか否かを判断する(S171)。ここで、「直近の第3所定数のサイクル数生成値」とは、注目画像と、注目画像の直前に撮像された複数の撮像画像と、を含む、直近の第3所定数の撮像画像から生成されたサイクル数生成値をいう。第1実施形態では、第3所定数は、例えば10である。更新部114は、例えば、直近の第3所定数の撮像画像から生成された直近のサイクル数生成値をメモリ12に一時記憶させておくことにより、ステップS171における判断を行うものとすることができる。
【0107】
ステップS171において直近の第3所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けたときは(S171;YES)、更新部114は、上記一定値によりサイクル数判定値を更新する(S172)。更新部114は、更新したサイクル数判定値を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に関連付けてメモリ12の数値データ125に保存する。
【0108】
一方、直近の第3所定数のサイクル数生成値が一定値に保持され続けていないときは(S171;NO)、更新部114は、サイクル数判定値を更新しない(S173)。すなわち、更新部114は、前回値を、注目画像についてのサイクル数判定値として決定する。また、更新部114は、決定したサイクル数判定値に警告情報を付す(S174)。この警告情報は、例えば「WALNING」である。更新部114は、警告情報を付したサイクル数判定値を、出力部115へ送信すると共に、注目画像に関連付けて数値データ125の一部としてメモリ12に保存する。
【0109】
[1.5.変形例]
[1.5.1 変形例1]
上述した実施形態においては、監視装置10には、制御装置40の表示パネル41を撮像する1台のカメラ80が接続されるものとしたが、監視装置10に接続するカメラの数は1台には限られない。例えば、監視装置10には、表示パネル41を撮像するカメラ80のほか、材料試験機20の全体を撮像する追加のカメラが接続されるものとすることができる。この場合、取得部111は、例えば、カメラ80が撮像した表示パネル41の撮像画像を取得して注目画像とすると共に、注目画像と同じタイミングで上記追加のカメラから材料試験機20の全体画像を取得する。
【0110】
また、この場合、出力部115は、図15に示すようなデータ表示画面60を表示部14に出力するものとすることができる。データ表示画面60は、例えば、判定結果表示部61と、数値表示部62と、注目画像表示部63と、全体画像表示部64と、試験片画像表示部65と、を含む。判定結果表示部61および数値表示部62には、図7に示すデータ表示画面における判定結果表示部146および数値表示部147と同様に、それぞれ、油圧源状態と試験状態の判定結果、およびサイクル数判定値が表示される。また、注目画像表示部63には、図7の注目画像表示部142と同様に、注目画像(すなわち、取得部111が今回取得した表示パネル41の撮像画像)が表示される。さらに、全体画像表示部64には、注目画像と同時に撮影された材料試験機20の全体画像が表示され、試験片画像表示部65には、その全体画像の中の試験片SPの近傍部分を拡大した画像が表示される。
【0111】
[1.5.2 変形例2]
上述した実施形態においては、材料試験機20を制御する制御装置の一例として、1個のディスプレイ50と、6個の表示ランプ51a、51b、51c、51d、52a、52bを有する表示パネル41を備えた制御装置40を示した。ただし、制御装置の表示パネルは、表示パネル41のような構成のものには限られない。制御装置の表示パネルは、表示器として、ディスプレイを備えていなくてもよいし、2つの以上のディスプレイを備えていてもよい。また、表示パネルは、表示器として、6以外の任意の個数の表示ランプを備えているものとすることができる。
【0112】
例えば、制御装置は、図16に示すような簡素な構成の表示パネル70を備えるものとすることができる。このような簡素な構成の表示パネル70は、例えば、制御装置40に接続される付属品としての操作ボックスの表示パネルであり得る。一例として、図16に示す表示パネル70には、表示器として、油圧源30の電源状態を示す表示ランプ71と、異常状態の発生を警告する表示ランプ72と、が配されている。表示ランプ71と表示ランプ72は、それらの点灯態様の組み合わせにより、材料試験機20の特定の状態を表現するものであり得る。
【0113】
また、表示パネル70には、異常状態の警告を解除するリセットボタン73と、図2に示す非常停止スイッチ415と同様の、非常停止スイッチ74が配されている。また、矩形形状である表示パネル70の4つの隅には、図2に示すマーカ531等と同様の、バーコードが付されたマーカ751,752、753、754が配されている。これらのマーカのバーコードには、これらのマーカが囲む領域が、表示器である表示ランプ71、72が配された領域であることを示す識別コードの情報が含まれる。
【0114】
この場合にも、監視装置10は、上述した動作と同様の動作により、表示パネル70の撮像画像を取得し、表示ランプ71、72の点灯態様の組み合わせが示す材料試験機20の特定の状態を判定し、当該判定の結果を示すデータを、表示部14に出力するものとすることができる。例えば、監視装置10のメモリ12には、表示ランプ71、72の種々の点灯態様と材料試験機20の特定の状態との関係を学習した学習済みの状態認識モデルが記憶されており、状態判定部113は、当該状態認識モデルを用いて、上記特定の状態を判定するものとすることができる。
【0115】
[2.第2実施形態]
図17は、第2実施形態に係る監視装置10aの構成の一例を示す図である。監視装置10aは、第1実施形態で説明した監視装置10と同様に、材料試験機20と組み合わせて使用可能である。監視装置10aの使用態様は第1実施形態と共通であるため、説明を省略する。また、第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0116】
図17に示すように、監視装置10aはプロセッサ11aを備える。プロセッサ11aは、プロセッサ11と同様に構成される。すなわち、プロセッサ11aは、上述した取得部111、画像認識部112、状態判定部113、更新部114、及び、出力部115を備える。さらに、プロセッサ11aは、画像処理部211を備える。
【0117】
監視装置10aは、メモリ12aを有する。メモリ12aは、メモリ12と同様に構成される。すなわち、メモリ12aは、監視プログラム121、画像データ122、油圧状態認識モデル123a、試験状態認識モデル123b、判定結果データ124、及び、数値データ125を記憶する。さらに、メモリ12aは、マスク画像データ221を記憶する。マスク画像データ221は、マスク画像の画像データである。マスク画像データ221は、例えば、図2に示す表示器領域54の部分画像に対応するマスク画像のデータと、図2に示す表示器領域55の部分画像に対応するマスク画像のデータとを含む。
【0118】
画像処理部211は、画像認識部112が抽出した表示器領域54の部分画像および表示器領域55の部分画像に対し、マスク画像データ221を利用して画像処理を実行することにより、判定用の部分画像を生成する。判定用の部分画像とは、表示ランプ51a、51b、51c、51dの点灯態様、或いは、表示ランプ52a、52bの点灯態様を容易に判定できるように加工された画像である。判定用の部分画像は、判定用画像の一例に対応する。
【0119】
マスク画像は、部分画像の一部を隠す画像である。すなわち、マスク画像を、画像認識部112が抽出した部分画像に重ねると、部分画像の一部が隠され、残りが隠されない状態となる。ここで、部分画像においてマスク画像によって隠される部分をマスク領域と呼び、部分画像においてマスク画像によって隠されない部分を非マスク領域と呼ぶ。画像処理部211は、部分画像から非マスク領域を抽出することにより、判定用の部分画像を生成する。非マスク領域は、表示ランプ51a、51b、51c、51d或いは表示ランプ52a、52bの点灯態様が判定しやすい領域である。マスク領域は第1領域の一例に対応し、非マスク領域は第2領域の一例に対応する。
【0120】
例として、状態判定部113が表示ランプ51aの点灯態様を判定する場合を挙げる。この場合、状態判定部113は、表示ランプ51aが点灯しているか消灯しているかの判定、或いは、表示ランプ51aの点灯色の判定を行う。表示器領域54に対応するマスク画像は、画像認識部112が抽出した部分画像において、表示ランプ51aの点灯態様の変化に伴って変化しない領域や、変化が小さい領域をマスクする。点灯態様の変化とは、表示ランプ51aの点灯と消灯との切り替え、及び、表示ランプ51aの点灯色の変化を含む。従って、表示ランプ51aの点灯態様の変化に伴って、部分画像の非マスク領域が大きく変化する。このため、画像処理部211が生成する判定用の部分画像を利用することにより、状態判定部113は、マスク画像を使用しない場合と比較して、より高精度で表示ランプ51aの点灯態様を判定できる。表示ランプ51b、51c、51d、表示ランプ52a、52b、及び表示器領域55についても同様である。
【0121】
表示器領域54に対応するマスク画像は、表示器領域54を撮像した部分画像の全体に重なる画像であってもよい。また、表示器領域54に対応するマスク画像は、起動ボタン511、停止ボタン512、マニフォールドボタン513、及び加圧ボタン514のそれぞれに対応する画像であってもよい。すなわち、表示器領域54に対応するマスク画像は4つのマスク画像を含んでもよい。
同様に、表示器領域55に対応するマスク画像は、表示器領域55を撮像した部分画像の全体に重なる画像であってもよい。また、表示器領域55に対応するマスク画像は、開始キー521、及び停止キー522のそれぞれに対応する画像であってもよい。すなわち、表示器領域55に対応するマスク画像は2つのマスク画像を含んでもよい。
【0122】
画像処理部211は、変形例2で示した図16に示す表示ランプ71、72の点灯態様を状態判定部113が判定する場合に、部分画像の画像処理を行ってもよい。表示ランプ71及び表示ランプ72は、例えば、点灯と消灯とを切り替え可能な簡素な構成である。状態判定部113は、表示パネル70の部分画像をもとに、表示ランプ71が点灯しているか消灯しているかの判定、及び、表示ランプ72が点灯しているか消灯しているかの判定を行う。
この場合、表示パネル70に対応するマスク画像は、表示ランプ71の点灯時と消灯時とで明るさの変化が小さい部分、及び、表示ランプ72の点灯時と消灯時とで明るさの変化が小さい部分をマスクする。
【0123】
マスク画像データ221は、監視装置10aとは異なる装置によって予め生成され、メモリ12に記憶されてもよいし、監視装置10aによって生成されてもよい。
ここで、監視装置10aがマスク画像データ221を生成する場合の動作を、図18に示す。
【0124】
図18は、画像処理部211が実行するマスク画像生成処理の一例を示すフローチャートである。図19は、マスク画像生成処理の一例を示す模式図であり、表示ランプ71の撮像画像を処理する例である。「マスク画像生成処理」とは、マスク画像を生成する処理である。
【0125】
図18の動作は、例えば画像処理部211が実行する。
画像処理部211は、マスク画像の生成の対象となる対象部位のON画像を取得する(S201)。ON画像とは、対象部位のランプが点灯している状態の撮像画像である。画像処理部211は、対象部位のOFF画像を取得する(S202)。OFF画像とは、対象部位のランプが消灯している状態の撮像画像である。ステップS202で取得されるOFF画像は、ステップS201で取得されるON画像と同じ対象部位を撮像した画像である。
【0126】
図19には、対象部位が表示ランプ71である場合のON画像301、及び、OFF画像302を示す。ON画像301は、表示ランプ71がONとなっている状態における撮像画像であり、具体的には表示ランプ71が点灯している状態の撮像画像である。OFF画像302は、表示ランプ71がOFFとなっている状態における撮像画像であり、具体的には表示ランプ71が消灯している状態の撮像画像である。ON画像301及びOFF画像302は、例えば、注目画像から切り出される。ON画像301及びOFF画像302は、歪みを補正する画像補正が施されていない画像であってもよく、画像補正後の画像であってもよい。
【0127】
図18に戻り、画像処理部211は、ON画像とOFF画像との明度差を、ON画像及びOFF画像の位置毎に算出する(S203)。例えば、画像処理部211は、ON画像における座標とOFF画像における座標との対応付けを行い、ON画像における第1の位置の明度と、OFF画像において第1の位置に対応する第2の位置の明度とを求め、求めた明度の差を算出する。画像処理部211は、明度を算出する処理において、所定の面積を有する領域の明度の平均値を算出してもよいし、1画素の明度を算出してもよい。
画像処理部211は、ステップS203で算出した明度差が閾値以下の領域をマスクするマスク画像を生成する(S204)。明度の値は、例えば、0~255である。この場合、明度差の閾値は、0~255の間の値とすることができる。
【0128】
図19に示すマスク画像311は、マスク領域312、及び、非マスク領域313を含む。マスク領域312は、ON画像301とOFF画像302との明度の差が閾値以下の領域である。非マスク領域313は、マスク画像311においてマスク領域312以外の領域である。非マスク領域313におけるON画像301とOFF画像302との明度の差は、閾値を超える値であり、マスク領域312より大きい。
言い換えれば、非マスク領域を抽出することにより生成された判定用の部分画像は、対象部位の点灯態様によって明度が顕著に変化する領域を抽出した画像である。従って、判定用の部分画像を利用すれば、対象部位の点灯態様を、判定用の部分画像を利用しない場合と比較して、より容易に且つより高精度で判定できる。
【0129】
図18の動作は、対象部位毎に実行される。これにより、対象部位毎のマスク画像が生成される。生成されたマスク画像のデータはマスク画像データ221に含まれる。対象部位は、状態判定部113が表示態様あるいは点灯態様を判定する対象であり、表示ランプ51a~51d、表示ランプ52a、52b、表示ランプ71、72等である。マスク画像データ221は、状態判定部113が判定の対象とする全ての対象部位に対応するマスク画像のデータを含むことが可能である。
【0130】
図20は、画像処理部211が実行する判定前画像処理の一例を示すフローチャートである。判定前画像処理は、状態判定部113が判定を行う前に画像処理部211が判定用の部分画像を生成する処理である。判定前画像処理は、例えば、図8に示したステップS12の後であって、ステップS14の前に実行される。
【0131】
判定前画像処理において、画像処理部211は、画像認識部112が抽出した部分画像を取得する(S211)。画像処理部211は、状態判定部113が実行する処理に対応するマスク画像を選択して取得する(S212)。例えば、状態判定部113が表示ランプ71の点灯態様を判定する処理を行う場合、画像処理部211は、ステップS212で、表示ランプ71の部分画像に対応するマスク画像のデータを、マスク画像データ221から取得する。ステップS212で選択されるマスク画像のサイズは、ステップS211で取得された部分画像と完全に一致していなくてもよい。例えば、画像処理部211は、ステップS211で取得された部分画像の一部に重なるマスク画像を、ステップS212で取得してもよい。
【0132】
画像処理部211は、ステップS212で取得したマスク画像を利用して、ステップS211で取得した部分画像から非マスク領域を抽出することによって、判定用の部分画像を生成する(S213)。ステップS213で生成される判定用の部分画像は、状態判定部113が処理を行う対象部位の画像である。画像処理部211は、生成した判定用の部分画像を、状態判定部113が処理可能な状態で出力する(S214)。
【0133】
図20の処理で生成される判定用の部分画像は、1つの対象部位のみを含む画像に限定されない。例えば、画像処理部211は、複数の対象部位を含む部分画像の一部の領域に1つのマスク画像を適用してもよい。この場合、ステップS213において、マスク画像が適用される対象部位の画像では非マスク領域が抽出され、他の対象部位の画像が未処理の状態で抽出される。これにより、部分画像に写っている複数の対象部位の一部が画像処理部211により処理された状態となる。
【0134】
ステップS214で、画像処理部211は、ステップS211で取得した1つの部分画像に、複数のマスク画像を適用してもよい。例えば、画像処理部211は、ステップS212で複数のマスク画像を取得し、これら複数のマスク画像を1つの部分画像に適用することにより、判定用の部分画像を生成してもよい。
また、マスク画像が、複数の対象部位の画像を含んでもよい。
【0135】
第2実施形態では、状態判定部113は、画像処理部211によって生成された部分画像を利用して、試験状態判定処理(ステップS14)を実行する。これにより、監視装置10aの試験状態を、部分画像を利用しない場合と比較して、より高精度で判定することが可能となる。
【0136】
マスク画像は、対象部位を撮影したON画像とOFF画像とを利用して生成される。ON画像及びOFF画像は、例えば、材料試験機20及び監視装置10aの設置状態において、カメラ80が撮影した画像である。この場合、マスク画像生成処理で生成されるマスク画像は、環境光を含むカメラ80の撮影環境の影響を受ける領域をマスクする。画像処理部211は、マスク画像を利用することで、カメラ80の撮影画像において対象部位の点灯態様に対応して画像の変化が現れやすい領域を、非マスク領域として抽出できる。このため、状態判定部113の判定に関する撮影環境の影響を抑制し、状態判定部113による判定を、環境光の変化等に影響されにくくし、ロバスト性の高い判定を可能とする。これにより、状態判定部113の判定の精度を、より一層高めることが期待できる。
【0137】
監視装置10aは、マスク画像を利用した画像処理を、表示器領域53、54、55のいずれにも適用することが可能である。
また、図18に示す判定前画像処理で生成された判定用の部分画像を、ステップS12の油圧源状態判定処理に利用してもよい。この場合、画像処理部211は、マスク画像を利用して表示器領域53の部分画像の画像処理を行うことにより、表示器領域53の判定用の部分画像を生成する。状態判定部113は、画像処理部211によって生成された、表示器領域53に関する判定用の部分画像を利用して、油圧源状態判定処理を実行する。これにより、材料試験機20の油圧源の状態を、部分画像を利用しない場合と比較して、より高精度で判定できる。
【0138】
[3.第3実施形態]
第2実施形態では、マスク画像生成処理においてON画像とOFF画像との明度の差に基づいてマスク画像を生成する処理を説明した。監視装置10aは、明度のほか、彩度および色相に基づいてマスク画像を生成する処理を行ってもよい。この例について、第3実施形態として説明する。第3実施形態における監視装置10a、及び材料試験機20の構成は、第2実施形態と共通である。
【0139】
図21は、第3実施形態におけるマスク画像生成処理の一例を示すフローチャートである。図21のマスク画像生成処理は、例えば、カメラ80の撮影画像を利用して画像処理部211が実行する。
【0140】
ステップS201、及びステップS202の動作は、図18を参照して説明した動作と共通である。画像処理部211は、ステップS202に続いて、ON画像とOFF画像の色相差を、ON画像及びOFF画像の位置毎に算出する(S211)。例えば、画像処理部211は、ON画像における座標とOFF画像における座標との対応付けを行い、ON画像における第1の位置の色相の値と、OFF画像において第1の位置に対応する第2の位置の色相の値とを求め、求めた値の差を算出する。画像処理部211は、色相の値を算出する処理において、所定の面積を有する領域の色相の値の平均値を算出してもよいし、1画素の色相の値を算出してもよい。
その後、画像処理部211は、ステップS221で算出した色相差が閾値以下の領域をマスクするマスク画像を生成する(S222)。色相の値は、例えば、0~255である。この場合、色相差の閾値は、0~255の間の値とすることができる。
【0141】
また、画像処理部211は、ON画像とOFF画像の彩度差を、ON画像及びOFF画像の位置毎に算出する(S223)。例えば、画像処理部211は、ON画像における座標とOFF画像における座標との対応付けを行い、ON画像における第1の位置の彩度の値と、OFF画像において第1の位置に対応する第2の位置の彩度の値とを求め、求めた値の差を算出する。画像処理部211は、彩度の値を算出する処理において、所定の面積を有する領域の彩度の値の平均値を算出してもよいし、1画素の彩度の値を算出してもよい。その後、画像処理部211は、ステップS221で算出した彩度差が閾値以下の領域をマスクするマスク画像を生成する(S224)。彩度の値は、例えば、0~255である。この場合、彩度差の閾値は、0~255の間の値とすることができる。
明度、彩度、及び、色相の閾値は、例えば、監視装置10aの実際の設置状態、または、実際の設置状態を模した試験環境において、試験的に撮像された撮像画像をもとに定められる。
【0142】
また、画像処理部211は、ON画像とOFF画像の明度差を、ON画像及びOFF画像の位置毎に算出する(S225)。例えば、画像処理部211は、ON画像における座標とOFF画像における座標との対応付けを行い、ON画像における第1の位置の明度の値と、OFF画像において第1の位置に対応する第2の位置の明度の値とを求め、求めた値の差を算出する。画像処理部211は、明度の値を算出する処理において、所定の面積を有する領域の明度の値の平均値を算出してもよいし、1画素の明度の値を算出してもよい。その後、画像処理部211は、ステップS221で算出した明度差が閾値以下の領域をマスクするマスク画像を生成する(S226)。
【0143】
ここで、ステップS221、S223、S225の処理について説明する。
色相の値は、例えば、次の手順1~3により算出することができる。
手順1.ON画像の第1の位置のR、G、Bの値を取得する。ここで、R、G、Bの値とは画素値を指す。ここでは、ON画像が24ビットカラー画像であり、Rの値が0~255、Gの値が0~255、Bの値が0~255である例を説明する。
手順2.Rの値、Gの値、Bの値のうち、最大の値及び最小の値を特定し、最大の値をNMAX、最小の値をNMINとする。
手順3.色相の値Hを求める。詳細には、Rの値が最大である場合、下記式(1)により色相Hの値を求める。Gの値が最大である場合、下記式(2)により色相Hの値を求める。Bの値が最大である場合、下記式(3)により色相Hの値を求める。Rの値、Gの値、及びBの値が全て同一の値である場合は、H=0とする。
H=60×((G-B)÷(NMAX-NMIN)) …(1)
H=60×((B-R)÷(NMAX-NMIN))+120 …(2)
H=60×((R-G)÷(NMAX-NMIN))+240 …(3)
【0144】
彩度の値Sは、例えば、上記手順1~2で求めたNMAX及びNMINを用いて下記式(4)により算出することができる。
S=(NMAX-NMIN)÷NMAX …(4)
【0145】
明度の値Vは、例えば、上記手順1~2で求めたNMAX及びNMINを用いて下記式(5)により算出することができる。
V=NMAX …(5)
この方法は、上記第2実施形態においてON画像の明度を算出する処理にも適用できる。
【0146】
画像処理部211は、上記の手順によりON画像の色相、彩度、及び明度を算出し、同様の手順によりOFF画像の色相、彩度、及び明度を算出する。
【0147】
以上の動作により、色相マスク画像、彩度マスク画像、及びマスク画像が生成される。色相マスク画像、彩度マスク画像、及びマスク画像は、第2実施形態で説明したように、マスク画像データ221に含まれる。色相マスク画像とは、ステップS222で生成されるマスク画像であり、彩度マスク画像とは、ステップS224で生成されるマスク画像である。換言すれば、色相マスク画像とは、色相差が閾値以下の領域をマスクするマスク画像であり、彩度マスク画像とは、彩度差が閾値以下の領域をマスクするマスク画像である。これらのマスク画像は、画像認識部112による画像認識処理、及び、状態判定部113による油圧源状態判定処理(ステップS13)、試験状態判定処理(ステップS14)に利用可能である。これらのマスク画像を利用することは、ディスプレイ50の表示態様、または、表示器領域53、54、55の点灯態様を認識または判定する処理の精度を高める効果がある。
【0148】
画像認識部112が認識する対象、及び、状態判定部113が判定する対象を、対象部位とする。対象部位は、例えば、ディスプレイ50の表示全体、ディスプレイ50に表示されるサイクル数表示部501、特定記号表示部502、或いは、試験状態表示部503である。また、対象部位は、例えば、起動ボタン511、停止ボタン512、マニフォールドボタン513、加圧ボタン514、開始キー521、停止キー522、表示ランプ71、或いは、表示ランプ72である。
【0149】
第3実施形態では、画像認識部112による認識、及び、状態判定部113による判定を、色相、彩度、及び、明度のいずれか1以上に基づき実行することができる。対象部位の表示態様または点灯態様が変化した場合にカメラ80の撮像画像に色の変化を生じる場合には、色相または彩度により認識または判定を行うことが好ましい。例えば、表示ランプ51a~51d、52a、52bは、2色以上の点灯色が切り替わる構成とすることができる。表示ランプ51aが第1の点灯色と第2の点灯色とを切り替える場合、色相の差または彩度の差により第1の点灯色と第2の点灯色とを識別することは容易である。また、例えば、ディスプレイ50に表示される項目の色が変化する場合にも好適である。
【0150】
そして、対象部位の表示態様または点灯態様の変化により色相の変化が小さい場合、彩度の差を利用すると、彩度の差を利用しない場合と比較して、より高精度で認識および判定を行うことができる。具体的には、第1の点灯色と第2の点灯色とが同系色である場合や似た色である場合が挙げられる。また、対象部位が、1つの光源の点灯と消灯とを切り替える構成である場合にも、彩度の差を利用して認識または判定を行うことが好適である。
【0151】
また、対象部位の表示態様または点灯態様の変化により色相の変化が大きい場合、色相の差を利用すると、色相の差を利用しない場合と比較して、より高精度で認識および判定を行うことができる。具体的には、第1の点灯色と第2の点灯色とが同系色でない場合や、補色である場合が挙げられる。
【0152】
また、対象部位の表示態様または点灯態様の変化により明るさの変化が大きい場合、明度の差を利用すると、明度の差を利用しない場合と比較して、より高精度で認識および判定を行うことができる。具体的には、対象部位が、光源の点灯と消灯とを切り替える構成である場合が挙げられる。
【0153】
画像処理部211は、色相マスク画像、彩度マスク画像、及び明度マスク画像の少なくともいずれかを利用して、図20に示した判定前画像処理を実行する。この場合、画像処理部211は、状態判定部113が実行する判定の対象である対象部位に合わせて、色相マスク画像、彩度マスク画像、及び明度マスク画像のいずれかを選択してもよい。この場合、対象部位毎に、適用されるマスク画像が色相マスク画像、彩度マスク画像、及び明度マスク画像のいずれであるかが予め設定されてもよい。
【0154】
例えば、画像処理部211は、対象部位のON画像とOFF画像とについて、非マスク領域の色相の平均値、非マスク領域の彩度の平均値、及び、非マスク領域の明度の平均値を算出する。画像処理部211は、対象部位のON画像とOFF画像とにおける色相の平均値の差、彩度の平均値の差、及び、明度の平均値の差のそれぞれを算出する。そして、画像処理部211は、色相の平均値の差、彩度の平均値の差、及び、明度の平均値の差のうち最も大きい差を特定する。画像処理部211は、色相の平均値の差が最も大きい場合に対象部位に色相マスク画像を対応付ける。また、彩度の平均値の差が最も大きい場合に対象部位に彩度マスク画像を対応付ける。また、明度の平均値の差が最も大きい場合に対象部位に明度マスク画像を対応付ける。
【0155】
また、画像処理部211は、色相マスク画像を利用する判定前画像処理、彩度マスク画像を利用する判定前画像処理、及び、明度マスク画像を利用する判定前画像処理をそれぞれ実行してもよい。この場合、状態判定部113は、色相マスク画像を利用して生成された判定用の部分画像、彩度マスク画像を利用して生成された判定用の部分画像、及び明度マスク画像を利用して生成された判定用の部分画像のいずれかを選択する。状態判定部113は、選択した判定用の部分画像を用いて、ステップS13の油圧源状態判定処理やステップS14の試験状態判定処理を実行する。
【0156】
画像処理部211は、画像認識部112が使用する判定用の部分画像を生成する場合も同様に、色相マスク画像を利用する判定前画像処理、彩度マスク画像を利用する判定前画像処理、及び、明度マスク画像を利用する判定前画像処理をそれぞれ実行してもよい。この場合、画像認識部112は、色相マスク画像を利用して生成された判定用の部分画像、彩度マスク画像を利用して生成された判定用の部分画像、及び明度マスク画像を利用して生成された判定用の部分画像のいずれかを選択して利用する。
【0157】
このように、第3実施形態の構成によれば、監視装置10aが、色相マスク画像、彩度マスク画像、及び明度マスク画像を含むマスク画像データ221を有し、これらの各マスク画像を利用する画像処理を画像処理部211が実行する。これにより、状態判定部113がディスプレイ50の表示態様や表示器領域53、54、55における点灯態様を判定する場合に、判定制度をより一層高め、容易に判定を行うことができる。具体的には、表示態様の変化または点灯態様の変化に伴う色相の差、彩度の差、及び、明度の差のいずれかが乏しい対象部位について、高精度の判定を行うことができる。画像認識部112が行う処理についても、色相マスク画像、彩度マスク画像、及び明度マスク画像を利用する画像処理を画像処理部211が実行することによって、精度を高めることができる。
【0158】
また、撮像画像の色相、彩度、及び明度を基準として表示態様や点灯態様を判定できるので、カメラ80の撮影環境の影響を抑制し、環境光の変化等に影響されにくくロバスト性の高い判定を可能とする。
さらに、表示態様や点灯態様の変化による明度の変化に加え、色相の変化や彩度の変化を利用して判定を行える。このため、対象部位の表示態様や点灯態様が3通り、4通りと多くの状態を変化する場合にも、表示態様や点灯態様を正確に判定できる。
【0159】
[4.第4実施形態]
第2実施形態及び第3実施形態では、画像処理部211が判定用の部分画像を生成し、この判定用の部分画像を利用して、状態判定部113が油圧源状態判定処理(ステップS13)及び/または試験状態判定処理(ステップS14)を実行する例を説明した。
本発明の適用例として、状態判定部113が油圧源状態判定処理(ステップS13)及び/または試験状態判定処理(ステップS14)において、マスク画像を利用してもよい。この例について、図22を参照して説明する。
【0160】
図22は、第4実施形態における状態判定部113の動作の一例を示すフローチャートである。図22に示す動作は、図11のステップS1402に代えて実行される。
第4実施形態における材料試験機20及び監視装置10aの構成は、第3実施形態と同様である。監視装置10aは、画像処理部211または他の装置によって生成される色相マスク画像、彩度マスク画像、及び明度マスク画像を含むマスク画像データ221を、メモリ12に記憶する。
【0161】
状態判定部113は、画像認識部112によって補正された部分画像を取得する(S231)。状態判定部113は、マスク画像データ221に含まれる色相マスク画像を部分画像に重ねて、非マスク領域を抽出する(S232)。状態判定部113は、非マスク領域の色相の平均値を算出する(S233)。
【0162】
状態判定部113は、ステップS231で取得した部分画像に、マスク画像データ221に含まれる彩度マスク画像を重ねて、非マスク領域を抽出する(S234)。状態判定部113は、非マスク領域の彩度の平均値を算出する(S235)。
【0163】
状態判定部113は、ステップS231で取得した部分画像に、マスク画像データ221に含まれる明度マスク画像を重ねて、非マスク領域を抽出する(S236)。状態判定部113は、非マスク領域の明度の平均値を算出する(S237)。
【0164】
状態判定部113は、ステップS233で算出した色相の平均値、ステップS235で算出した彩度の平均値、及び、ステップS237で算出した明度の平均値に基づいて、点灯態様を判定する(S238)。ステップS238の判定の対象は、表示ランプ51a~51d、52a、52b等である。状態判定部113は、ステップS238の判定結果から材料試験機20の試験状態を推定する(S239)。ステップS239の推定の結果は、第2推定に対応する。
【0165】
ステップS239で、状態判定部113は、例えば、ステップS233で算出した色相の平均値が、ON画像とOFF画像のどちらに近いかを判定する。すなわち、状態判定部113は、部分画像の色相の平均値が、ON画像における非マスク領域の色相の平均値と、OFF画像における非マスク領域の色相の平均値とのどちらに近い値であるかを判定する。同様に、状態判定部113は、ステップS235で算出した彩度の平均値が、ON画像とOFF画像のどちらに近いかを判定する。同様に、状態判定部113は、ステップS237で算出した明度の平均値が、ON画像とOFF画像のどちらに近いかを判定する。
【0166】
状態判定部113は、部分画像の色相の平均値、彩度の平均値、及び、明度の平均値のそれぞれが、ON画像とOFF画像のどちらに近いかによって、点灯態様を判定する。例えば、色相の平均値、彩度の平均値、及び、明度の平均値のうち2以上がON画像に近い場合、状態判定部113は、判定対象の対象部位がON状態であると判定する。また、状態判定部113は、色相の平均値、彩度の平均値、及び、明度の平均値のうち2以上がOFF画像に近い場合、判定対象の対象部位がOFF状態であると判定する。
【0167】
この判定において、状態判定部113は、予め色相、彩度、及び明度のそれぞれに設定された重み付けを行ってもよい。
具体的には、色相の判定結果をHDとし、色相の平均値がON画像に近いと判定した場合は「HD=1」とし、色相の平均値がOFF画像に近いと判定した場合は「HD=-1」とする。また、彩度の判定結果をSDとし、彩度の平均値がON画像に近いと判定した場合は「SD=1」とし、彩度の平均値がOFF画像に近いと判定した場合は「SD=-1」とする。また、明度の判定結果をVDとし、明度の平均値がON画像に近いと判定した場合は「VD=1」とし、明度の平均値がOFF画像に近いと判定した場合は「VD=-1」とする。
【0168】
ここで、色相に対応する重み付けの値をWH、彩度に対応する重み付けの値をWS、明度に対応する重み付けの値をWVとする。状態判定部113は、下記式(6)により、判定値DDを算出する。
DD=WH×HD+WS×SD+WV×VD …(6)
状態判定部113は、算出したDDの値が0以上の値である場合は点灯態様がON状態であると判定し、DDの値が負の値である場合は点灯態様がOFF状態であると判定する。
【0169】
第4実施形態で説明したように、状態判定部113がマスク画像を利用して判定を行うことによって、材料試験機20による試験状態を、マスク画像を利用しない場合と比較して、より高精度で判定することが可能となる。
【0170】
図22の動作は一例であり、状態判定部113は、例えば、油圧源状態判定処理(図10)のステップS131で、マスク画像を利用した判定を行ってもよい。また、図22に示す動作は、状態判定部113のみが実行してもよいし、少なくとも一部の処理をマスク画像データ221が実行してもよい。
【0171】
[5.態様と効果]
上述した第1~第4実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0172】
(第1項)
一の態様に関わる分析装置の監視装置は、分析装置を制御する制御装置の表示パネルの撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像を記憶する画像記憶部と、前記撮像画像に基づき、前記分析装置の状態を判定する状態判定部と、を備える。
【0173】
第1項に記載の監視装置によれば、状態判定部は、分析装置を制御する制御装置の表示パネルの撮像画像に基づき、分析装置の状態を判定する。
よって、ユーザは、その判定の結果を表すデータにより、分析装置の状態を容易に把握することができる。
【0174】
(第2項)
第1項に記載の監視装置において、前記表示パネルは、表示器として複数の表示ランプを含み、前記状態判定部は、前記撮像画像に含まれ、前記複数の表示ランプに対応する第1撮像画像に基づき、前記複数の表示ランプの点灯態様の組み合わせが示す前記分析装置の状態を判定する。
【0175】
第2項に記載の監視装置によれば、状態判定部は、表示パネルが備える表示ランプの画像から、それら表示ランプの点灯態様の組み合わせが示す分析装置の状態を判定する。
よって、ユーザは、点灯態様の組み合わせが示す分析装置の状態を自身で判定する必要がない。したがって、ユーザの利便性を向上できる。
【0176】
(第3項)
第2項に記載の監視装置において、前記第1撮像画像における第1領域と、前記表示ランプの点灯態様が変化した場合の画像の変化が前記第1領域よりも大きい第2領域とを決定し、前記第2領域の画像を含む判定用画像を生成する画像処理部を備え、前記状態判定部は、前記第1撮像画像として前記判定用画像を取得する。
【0177】
第3項に記載の監視装置によれば、表示ランプの点灯態様が変化した場合の画像の変化が大きい領域を含む判定用画像を利用することによって、より高精度で判定を行うことが可能となる。
【0178】
(第4項)
第3項に記載の監視装置において、前記画像処理部は、前記第1領域をマスクするマスク画像を前記第1撮像画像に適用することによって、前記判定用画像を生成する。
【0179】
第4項に記載の監視装置によれば、表示ランプの点灯態様が変化した場合の画像の変化が大きい領域を含む判定用画像を、容易に生成できる。
【0180】
(第5項)
第2項または第3項に記載の監視装置において、前記複数の表示ランプの種々の点灯態様の前記第1撮像画像と、前記分析装置の状態と、の関係を機械学習により学習させた状態認識モデルを備え、前記状態判定部は、前記第1撮像画像を前記状態認識モデルに入力することにより、前記分析装置の状態を判定する。
【0181】
第5項に記載の監視装置によれば、状態判定部は、複数の表示ランプの種々の点灯態様の組み合わせと分析装置の状態との関係を機械学習により学習させた状態認識モデルを用いて、分析装置の状態を判定する。
よって、個々の表示ランプの点灯態様を個別に認識する必要がないので、分析装置の状態が迅速に判定され得る。
【0182】
(第6項)
第5項に記載の監視装置において、前記状態判定部は、前記状態認識モデルを用いて前記分析装置の状態を判定したときは、前記状態の判定結果に当該判定の確度に応じた警告情報を付す。
【0183】
第6項に記載の監視装置によれば、状態判定部は、状態認識モデルを用いて分析装置の状態を判定したときは、判定結果にその判定確度に応じた警告情報を付す。
よって、ユーザは、判定結果に付された警告情報から、その判定結果の信頼性の高低を容易に把握することができる。
【0184】
(第7項)
第2項ないし第6項のいずれか一項に記載の監視装置において、前記撮像画像に対して画像認識処理を行う画像認識部を備え、前記表示パネルには、前記表示器が設けられた領域である表示器領域の各々の少なくとも2つの隅に、前記表示器領域の識別コードを示すバーコードが付されたマーカが配置され、前記画像認識部は、前記撮像画像に含まれる前記マーカの撮像画像から、前記識別コードを取得し、前記マーカの位置および、前記識別コードに基づいて、前記撮像画像における前記表示器領域の各々に対応する画像領域を特定する。
【0185】
第7項に記載の監視装置によれば、画像認識部は、表示パネルに配されたマーカの画像から識別コードを取得し、撮像画像上におけるマーカの位置および上記識別コードに基づいて、表示器が配されている画像領域を特定する。
よって、試験途中においてカメラの位置が移動された場合でも、撮像画像上において表示器が配されている画像部分をマーカの位置から容易に特定して、状態判定の処理を迅速に行うことができる。
【0186】
(第8項)
第7項に記載の監視装置において、前記表示器領域の少なくとも一つは矩形であり、前記表示パネルには、少なくとも一つの矩形の前記表示器領域の4隅に前記マーカが配置され、前記画像認識部は、前記矩形の表示器領域の4隅に配された前記マーカの位置に基づき、前記画像領域の画像の歪みを補正する。
【0187】
第8項に記載の監視装置によれば、画像認識部は、表示器が配された矩形の表示器領域の4隅に配されたマーカの位置に基づいて画像の歪みを補正する。
よって、試験途中においてカメラの位置が移動されて画像歪みの態様が変化する場合でも、マーカの配置から画像歪みを適切に把握して、画像補正を迅速に行うことができる。
【0188】
(第9項)
第7項または第8項に記載の監視装置において、前記表示器の少なくとも一つは、特定の記号と数値とを表示する数値表示器であり、前記画像認識部は、前記数値表示器に表示される前記記号のサイズに基づいて、前記数値表示器に表示される前記数値の文字サイズを推定し、前記推定した文字サイズを用いた画像認識処理により、前記数値表示器に表示される数値データを生成する。
【0189】
第9項に記載の監視装置によれば、画像認識部は、数値表示器に表示される特定の記号のサイズから表示数値の文字サイズを推定し、推定した文字サイズを用いて表示数値を認識して数値データを生成する。
よって、不適切な文字サイズを用いた文字認識により表示数値が誤認識され、誤った数値データが生成されてしまう可能性を低減することができる。
【0190】
(第10項)
第9項に記載の監視装置において、前記分析装置は疲労試験を実行し、前記数値表示器が表示する数値は、前記疲労試験のサイクル数を含み、前記取得部は、前記疲労試験において所定の時間間隔で撮像された複数の前記撮像画像を取得し、前記画像認識部は、前記複数の撮像画像の各々から前記サイクル数の値を表す前記数値データを生成し、前記監視装置は、前記画像認識部が生成した前記サイクル数の数値データに基づいて前記撮像画像に対応付けるサイクル数の値であるサイクル数判定値を更新する更新部を備え、前記更新部は、前記複数の撮像画像の一つである注目画像よりも前に撮像された少なくとも3つの前記撮像画像の各々から生成された前記サイクル数の数値データの時間に対する回帰直線を求め、前記注目画像から生成された前記サイクル数の数値データの値である注目値の前記回帰直線との差分量が所定量以内である場合には、前記注目値により前記サイクル数判定値を更新する。
【0191】
第10項に記載の監視装置によれば、更新部は、注目画像より前の撮像画像から生成されたサイクル数の値の時間に対する回帰直線と、注目画像から生成されたサイクル数の数値(注目値)と、の差分量が所定量以内である場合に、その注目値により、注目画像に対応付けるサイクル数判定値を更新する。
よって、回帰直線が表すサイクル数の時間変化傾向を考慮した信頼性の高いサイクル数判定値を、撮像画像に対応付けることができる。
【0192】
(第11項)
第10項に記載の監視装置において、前記更新部は、前記注目値の前記回帰直線からの差分量が所定量以内ではない場合において、注目画像より前に撮像された所定数の前記撮像画像から生成された前記サイクル数の数値データの全てが同じ値であるときは、前記同じ値により前記サイクル数判定値を更新すると共に、前記回帰直線を更新する。
【0193】
第11項に記載の監視装置によれば、注目値と回帰直線との差分量が所定量以内でなく、その前の所定数の撮像画像から生成されたサイクル数の数値データが全て同じ値であるときは、更新部は、その同じ値によりサイクル数判定値を更新し、かつ回帰直線を更新する。
よって、例えば疲労試験の応力印加の周期が変更されて、サイクル数の時間変化傾向が変化した場合でも、誤ったサイクル数判定値が撮像画像に対応付けられるのを回避すると共に、その後は、更新した回帰直線によりサイクル数の新たな時間変化傾向を把握して、信頼性の高いサイクル数判定値を撮像画像に対応付けることが可能となる。
【0194】
(第12項)
第10項または第11項に記載の監視装置において、前記更新部は、前記注目値の前記回帰直線からの差分量が所定量以内ではない場合において、注目画像より前に撮像された所定数の前記撮像画像から生成された前記サイクル数の数値データの少なくとも一つが他と異なる値であるときは、前記サイクル数判定値を更新しない。
【0195】
第12項に記載の監視装置によれば、更新部は、回帰直線からの注目値の差分量が所定量以内でなく、その前の所定数の撮像画像から生成されたサイクル数の数値データの少なくとも一つが他と異なる値であるときは、サイクル数判定値を更新しない。
よって、サイクル数の時間変化がない期間においてサイクル数の数値データに誤った変化が発生したような場合には、サイクル数判定値を前回値に維持して、サイクル数判定値の誤差を小さく留めることができる。
【0196】
(第13項)
第12項に記載の監視装置において、前記更新部は、前記サイクル数判定値を更新しないときは、前記サイクル数判定値に警告情報を付す。
【0197】
第13項に記載の監視装置によれば、更新部は、サイクル数判定値を更新しないときは、サイクル数判定値に警告情報を付す。
よって、ユーザは、サイクル数判定値に付された警告情報から、そのサイクル数判定値の信頼性が低い可能性があることを容易に把握することができる。
【0198】
[6.その他の実施形態]
なお、上述した第1実施形態~第4実施形態に係る監視装置10、10a及び材料試験機20は、あくまでも本発明に係る材料試験機の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
【0199】
例えば、上記各実施形態では、材料試験機20は、例えば疲労試験機であるものとしたが、材料試験機20は、疲労試験機には限定されない。材料試験機20は、試験片SPに試験力を付与し、試験片SPを変形させて材料試験を行う任意の試験機であり得る。例えば、材料試験機20は、引張試験機、圧縮試験機、曲げ試験機、又はねじり試験機でもよい。
【0200】
また、図5に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。図17についても同様である。
【0201】
また、図8ないし図14図18図20図21図22に示すフローチャートの処理単位は、監視装置10における処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図8ないし図14図18図20図21、f図22のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0202】
また、監視装置10、10aのプロセッサ11が実行する監視プログラム121は、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、監視装置10が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。また、監視プログラム121をサーバ装置等に記憶させておき、サーバ装置から監視装置10のメモリ12に、監視プログラム121をダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0203】
10、10a 監視装置
11 プロセッサ
111 取得部
112 画像認識部
113 状態判定部
114 更新部
115 出力部
12 メモリ
121 監視プログラム
122 画像データ
123a 油圧状態認識モデル
123b 試験状態認識モデル
124 判定結果データ
125 数値データ
211 画像処理部
221 マスク画像データ
13 入力部
14 表示部
141 データ表示画面
142 注目画像表示部
143、144、145 部分画像表示部
146 判定結果表示部
147 数値表示部
15 機器接続インタフェース
16 通信インタフェース
20 材料試験機(分析装置)
21 基台
22a、22b 支柱
23 ヨーク
24 クロスヘッド
25 油圧アクチュエータ
25a ピストンロッド
26a 下部治具
26b 上部治具
27 ロードセル
28 サーボ弁
29 差動トランス
30 油圧源
30a 油圧ポンプ
30b マニフォールド
30c 配管バルブ
30d ロードバルブ
40 制御装置
41 表示パネル
410 電源スイッチ
411 ファンクションキー
412 ダイヤル
413 設定キー
414 テンキー
415 非常停止スイッチ
50 ディスプレイ
501 サイクル数表示部
502 特定記号表示部
503 試験状態表示部
51 パワーユニット操作キー
51a、51b、51c、51d 表示ランプ
511 起動ボタン
512 停止ボタン
513 マニフォールドボタン
514 加圧ボタン
52 試験操作キー
52a、52b 表示ランプ
521 開始キー
522 停止キー
53、54、55 表示器領域
531、532、533、534、541、542、551、552 マーカ
60 データ表示画面
61 判定結果表示部
62 数値表示部
63 注目画像表示部
64 全体画像表示部
65 試験片画像表示部
70 表示パネル
71、72 表示ランプ
73 リセットボタン
74 非常停止スイッチ
751、752、753、754 マーカ
80 カメラ
81 三脚
SP 試験片
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22