(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043146
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】電力システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230320BHJP
B60L 7/22 20060101ALI20230320BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20230320BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230320BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230320BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L7/22 Z
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L58/12
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022119792
(22)【出願日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】17/476,180
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ダス,サブハス チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ラタディーヤ,サリット
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA05
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503DA07
5G503DA08
5G503FA06
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BB00
5H125BC05
5H125BC12
5H125CB03
5H125EE27
5H125EE44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力システムを有する車両システム及び方法を提供する。
【解決手段】電力システム350は、モータ304と結合されたインバータデバイス310を含む。インバータデバイスは、モータの発電制動によって生成された電気エネルギーをモータから受け取る。エネルギー貯蔵デバイス312は、インバータデバイスと結合され、可変抵抗構成要素320は、インバータデバイスとエネルギー貯蔵デバイスとの間に配置される。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド又はシステム負荷に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御する。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスから伝導される第1の量の電気エネルギー、インバータデバイスから伝導される電気エネルギーの伝達速度又はエネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性に基づいて、インバータデバイスからの電気エネルギーの伝導方向を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力システムであって、
モータと結合されたインバータデバイスであって、前記モータの発電制動によって生成された電気エネルギーを前記モータから受け取るように構成されたインバータデバイスと、
前記インバータデバイスと結合されたエネルギー貯蔵デバイスと、
前記インバータデバイスと前記エネルギー貯蔵デバイスとの間に配置された可変抵抗構成要素であって、前記インバータデバイスから前記エネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド、またはシステム負荷のうちの1つ以上に向かう前記電気エネルギーの前記伝導方向を制御するように構成されている、可変抵抗構成要素と、を備え、
前記可変抵抗構成要素が、
前記インバータデバイスから伝導される第1の量の前記電気エネルギー、
前記インバータデバイスから伝導される前記電気エネルギーの伝達速度、または
前記エネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいて、前記インバータデバイスからの前記電気エネルギーの前記伝導方向を制御するように構成されている、電力システム。
【請求項2】
前記可変抵抗構成要素が、前記電気エネルギーの第1の部分の伝導を前記エネルギー貯蔵デバイスに向け、前記電気エネルギーの第2の部分の伝導を前記抵抗グリッドまたは前記システム負荷のうちの1つ以上に向けるように構成されている、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記インバータデバイスが、前記モータの前記発電制動の変化に基づいて、前記モータから、第2の変更量の前記電気エネルギーを受け取るように構成されている、請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
前記可変抵抗構成要素が、前記エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に基づいて、前記第1の部分の、変更量の前記電気エネルギーを前記エネルギー貯蔵デバイスに向けるように構成されている、請求項2に記載の電力システム。
【請求項5】
前記可変抵抗構成要素が、前記エネルギー貯蔵デバイスの分類に基づいて、前記第1の部分の、変更量の前記電気エネルギーを前記エネルギー貯蔵デバイスに向けるように構成されている、請求項2に記載の電力システム。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性が、前記エネルギー貯蔵デバイスが受け取ることができる電気エネルギーの総量、または前記エネルギー貯蔵デバイスの伝達速度を含む、請求項1に記載の電力システム。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵デバイスが受け取ることができる電気エネルギーの前記総量、または前記エネルギー貯蔵デバイスの前記伝達速度のうちの1つ以上が、前記エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に基づく、請求項6に記載の電力システム。
【請求項8】
前記可変抵抗構成要素が、前記モータの前記発電制動の変化に応答して変化する、前記インバータデバイスから伝導される前記第1の量の前記電気エネルギーに基づいて、前記電気エネルギーの前記伝導方向を変化させるように構成されている、請求項1に記載の電力システム。
【請求項9】
前記可変抵抗構成要素と前記エネルギー貯蔵デバイスとの間に配置されたブースト回路をさらに備え、前記ブースト回路が、前記エネルギー貯蔵デバイスに向けられた前記電気エネルギーの電圧を変化させるように構成されている、請求項1に記載の電力システム。
【請求項10】
オペレータが、前記可変抵抗構成要素の動作を制御して、前記電気エネルギーの前記伝導方向、前記エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量、または前記抵抗グリッドもしくは前記システム負荷のうちの1つ以上に向けられた電気エネルギーの量のうちの1つ以上を変化させるように構成されている、請求項1に記載の電力システム。
【請求項11】
前記システム負荷が、車両システムの補助負荷または前記車両システムの推進負荷のうちの1つ以上である、請求項1に記載の電力システム。
【請求項12】
方法であって、
インバータデバイスからモータの発電制動によって生成された電気エネルギーを受け取ることと、
前記インバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド、またはシステム負荷のうちの1つ以上に向かう前記電気エネルギーの伝導方向を制御することであって、前記電気エネルギーの前記伝導方向が、前記インバータデバイスから伝導される第1の量の前記電気エネルギー、前記インバータデバイスから伝導される前記電気エネルギーの伝達速度、または前記エネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づく、制御することと、を含む、方法。
【請求項13】
可変抵抗構成要素の動作モードに基づいて前記電気エネルギーの前記伝導方向を制御することをさらに含み、第1の量の電気エネルギーが、第1の動作モードで動作する前記可変抵抗構成要素に応答して前記エネルギー貯蔵デバイスに向かって伝導されるように構成され、第2の量の電気エネルギーが、第2の動作モードで動作する前記可変抵抗構成要素に応答して前記エネルギー貯蔵デバイスに向かって伝導されるように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モータの前記発電制動、前記エネルギー貯蔵デバイスの充電状態、または前記エネルギー貯蔵デバイスの分類の変化のうちの1つ以上に基づいて、前記可変抵抗構成要素の前記動作モードを変更することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法であって、
インバータデバイスからモータの発電制動によって生成された電気エネルギーを受け取ることと、
エネルギー貯蔵デバイスの充電状態を判定することと、
前記エネルギー貯蔵デバイスの前記充電状態に基づいて、第1の動作モードまたは第2の動作モードで可変抵抗構成要素を動作させることと、を含み、
前記第1の動作モードでは、前記可変抵抗構成要素が、前記エネルギー貯蔵デバイスに第1の量の電気エネルギーを向け、前記第2の動作モードでは、前記可変抵抗構成要素が、前記エネルギー貯蔵デバイスに第2の量の電気エネルギーを向ける、方法。
【請求項16】
前記第1の量の電気エネルギーをバンキングデバイスに向けることであって、前記バンキングデバイスが、前記エネルギー貯蔵デバイスのために前記第1の量の電気エネルギーを貯蔵するように構成され、前記バンキングデバイスが、前記エネルギー貯蔵デバイスの前記充電状態が所定の閾値に達したことに応答して、前記第1の量の電気エネルギーの少なくとも一部を前記エネルギー貯蔵デバイスに向けるように構成されている、ことを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の動作モードで前記可変抵抗構成要素を操作することが、前記電気エネルギーの少なくとも一部を前記エネルギー貯蔵デバイスに向けることと、前記電気エネルギーの少なくとも一部を抵抗グリッドまたはシステム負荷の1つ以上に向けることとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記システム負荷が、車両システムの補助負荷または前記車両システムの推進負荷のうちの1つ以上である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー貯蔵デバイスが前記電気エネルギーを受け取ることができる伝達速度、前記エネルギー貯蔵デバイスの前記充電状態、または前記エネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいて、前記エネルギー貯蔵デバイスに向けられた前記電気エネルギーの伝達速度を制御することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギー貯蔵デバイスの前記充電状態が所定の閾値に達したことに応答して、前記可変抵抗構成要素の動作を前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに変更することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、電力システムを有する車両システムおよび関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の考察
いくつかのバッテリ電気システム(例えば、車両、静止システムなど)では、バッテリは、様々な要因により、様々な例で電力吸収能力が限定されていることもある。このような要因は、充電状態レベル、電力の許容伝達速度などを含むこともある。システムの発電制動中に電気エネルギーを生成するシステムでは、生成される制動電力の一部が、抵抗グリッドに散逸される必要があるか、またはシステム負荷(例えば、推進負荷、非推進負荷など)に向けられる場合もある。固定抵抗値を有する電力システム内では、バッテリ電圧に一定量の電力損失が発生する場合もあり、残りの電力を使用してバッテリを充電することもできる。例えば、バッテリ充電電力に対する制御がない場合もある。追加的に、電力システムが抵抗グリッドに接続されていないシステムでは、電力システムは、(例えば、電池の充電状態に関係なく)電池に供給される電力に対する制御をしない場合もある。
【0003】
例えば、
図1は、車両システムの既存の電力システム100の概略図を示す。電力システムは、インバータ104と電気的に結合されるトラクションモータなどのモータ102を含む。電力システムは、インバータ、エネルギー貯蔵デバイス110(例えば、バッテリなど)および車両負荷または抵抗グリッド106と電気的に結合され、その間に配置された抵抗構成要素112をさらに含む。抵抗構成要素は、抵抗構成要素が単一の方向に電気エネルギーを向けることができるように、固定抵抗構成要素であってもよい。
【0004】
モータは、車両システムのモータの発電制動によって生成される電気エネルギー(例えば、制動電力)を生成することができる。車両システムの移動速度が増加するにつれて、車両システムの移動を制動するまたは遅延させるために必要な電気エネルギーの量が減少し、余分な電気エネルギーは、モータからインバータを通って抵抗構成要素に向けられる。抵抗構成要素は、モータからの電気エネルギーの伝導(例えば、流れ、移動など)の方向を制御するスイッチ114を含む。電気エネルギーは、スイッチが開位置にある間、エネルギー貯蔵デバイスに向けて第1の方向116に誘導されてもよく、あるいは電気エネルギーは、スイッチが閉位置にある間、車両負荷またはグリッドに向けて第2の方向118に誘導されてもよい。任意に、電力システムは、抵抗構成要素および車両負荷または抵抗グリッドを欠いていてもよく、それによって、モータからのすべての電気エネルギーは、エネルギー貯蔵デバイスに向けられてもよい。
【0005】
開位置と閉位置との間のスイッチの位置は、DCリンク電圧120に対するエネルギー貯蔵デバイス122の電圧に基づいている。車両負荷またはグリッドがDCリンクに接続されている場合(例えば、
図1に示すように)、グリッド電力は、エネルギー貯蔵デバイスの電圧およびグリッド抵抗の関数であり、エネルギー貯蔵充電電力は、車両システムの電気エネルギー(例えば、制動電力)およびグリッド電力に基づいている。例えば、グリッド電力は制御できないので、エネルギー貯蔵充電電力はグリッド散逸後の残りの電力である。代替的に、車両負荷またはグリッドがDCリンクに接続されていない場合、すべての電気エネルギー(例えば、制動電力)は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に関係なく、エネルギー貯蔵デバイスに向けられる。
【0006】
図2は、
図1に示された電力システムの動作を示すグラフ130を示す。
図2の例示された実施形態では、車両負荷またはグリッドは、DCリンクと接続されている。グラフは、電力(例えば、ボルト)を表す縦軸132と、車両システムの移動速度(例えば、マイル/時)を表す横軸134とを含む。データ線136は、モータからの電気エネルギーのDCリンク電圧を表し、データ線138は、車両システムのモータの発電制動によって生成される利用可能な電気エネルギーの量(例えば、制動電力)を表し、データ線140は、車両負荷または抵抗グリッドに向けられた電気エネルギーの量を表し、データ線142は、車両システムのエネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量を表す。
【0007】
エネルギー貯蔵デバイスの電圧がDCリンク電圧よりも大きい間、スイッチは閉位置にあり、電気エネルギーは車両負荷またはグリッドに向けられる。車両システムの移動速度が増加するにつれて、車両システムによって生成される制動電力および対応するDCリンク電圧が増加する。スイッチの位置は、DCリンク電圧が、エネルギー貯蔵デバイスの電圧と実質的に等しいまたはそれよりも大きいレベルまで増加することに応答して、開位置に移動する。
【0008】
例えば、車両システムの速度が増加するにつれて、モータからインバータを通ってくる電力の量が変化する。速度S0から速度S1まで、DCリンクの両端電圧は、エネルギー貯蔵デバイスの電圧よりも小さく、したがって、抵抗構成要素のスイッチは閉位置に留まり、電気エネルギーは、車両負荷またはグリッドに向けられる(例えば、データ線140)。車両システムの移動速度が増加するにつれて、DCリンクの両端電圧が変化する。移動速度S1で、DCリンクの両端電圧がエネルギー貯蔵デバイスの電圧よりも大きくなるようにDCリンクの両端電圧が変化し、
図1に示される抵抗構成要素のスイッチが閉位置から開位置に変わり、電気エネルギーがエネルギー貯蔵デバイスに向けられる。
【0009】
しかしながら、エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスに向けられるよりも大きい電気エネルギーを吸収することが可能であってもよい。例えば、電気エネルギーは、グリッドまたは負荷散逸の後にエネルギー貯蔵デバイスにのみ向けられ、したがって、エネルギー貯蔵デバイスに向けられたモータからの電力の量は最適化されない場合がある。代替的に、車両負荷またはグリッドがDCリンクに接続されていない場合、モータからエネルギー貯蔵デバイスへの電気エネルギーは制御されない場合がある。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に関係なく、一定量の電気エネルギーを受け取ってもよく、またはエネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスが受け取り可能な速度よりも大きい速度で電気エネルギーを受け取ってもよい。現在利用可能なものとは異なるシステムおよび方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に記載される主題の1つ以上の実施形態では、電力システムは、モータと結合されたインバータデバイスを含む。インバータデバイスは、モータの発電制動によって生成された電気エネルギーをモータから受け取る。エネルギー貯蔵デバイスは、インバータデバイスと結合され、可変抵抗構成要素は、インバータデバイスとエネルギー貯蔵デバイスとの間に配置される。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド、またはシステム負荷の1つ以上に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御する。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスから伝導される第1の量の電気エネルギー、インバータデバイスから伝導される電気エネルギーの伝達速度、またはエネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいて、インバータデバイスからの電気エネルギーの伝導方向を制御する。
【0011】
本明細書に記載される主題の1つ以上の実施形態では、方法は、インバータデバイスからモータの発電制動によって生成された電気エネルギーを受け取ることと、インバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド、またはシステム負荷のうちの1つ以上に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御することと、を含む。電気エネルギーの伝導方向は、インバータデバイスから伝導される第1の量の電気エネルギー、インバータデバイスから伝導される電気エネルギーの伝達速度、またはエネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいている。
【0012】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、方法は、インバータデバイスからモータの発電制動によって生成された電気エネルギーを受け取ることと、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態を決定することと、第1の動作モードまたは第2の動作モードで可変抵抗構成要素を動作させることと、を含む。第1の動作モードでは、可変抵抗構成要素は、第1の量の電気エネルギーをインバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイスに向かって誘導し、第2の動作モードでは、可変抵抗構成要素は、第2の量の電気エネルギーをインバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイスに向かって誘導する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の主題は、添付の図面を参照しながら、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことから理解され得る。
【0014】
【
図1】車両システムの電力システムの概略図の例を示す。
【
図4】一実施形態による電力システムの概略図を示す。
【
図5】一実施形態による
図4に示す概略図のグラフを示す。
【
図6】第1の動作条件下で
図1に示された電力システムの動作を示す棒グラフを示す。
【
図7】第1の動作条件下で
図4に示された電力システムの動作を示す棒グラフを示す。
【
図8】第2の動作条件下で
図1に示された電力システムの動作を示す棒グラフを示す。
【
図9】第2の動作条件下で
図4に示された電力システムの動作を示す棒グラフを示す。
【
図10】一実施形態による電力システムの概略図を示す。
【
図11】一実施形態による、車両システムの発電制動によって生成される電気エネルギーの伝導を制御する一例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の主題の実施形態は、電力システムおよび動作方法に関する。電力システムは、電気システムのモータと結合されたインバータデバイスと、インバータデバイスと結合されたエネルギー貯蔵デバイスとを含んでもよく、可変抵抗構成要素は、インバータデバイスとエネルギー貯蔵デバイスとの間に配置されてもよい。一実施形態では、電気システムは、モータを含んでもよく、車両システムの一部であってもよい。好適なモータは、ある動作モードでは車両を推進し、別の動作モードでは電気エネルギーを生成するトラクションモータであってもよい。トラクションモータは、車両システムに動的に制動をかけることによって発電してもよい。可変抵抗構成要素は、モータからインバータデバイスを介してエネルギー貯蔵デバイスおよび/または抵抗グリッドもしくは車両負荷のうちの1つ以上に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御してもよい。本明細書に記載の電力システムの実施形態は、散逸および/または車両負荷のために抵抗グリッドに向かって電気エネルギーを誘導するよりも、エネルギー貯蔵デバイスに向かって電気エネルギーを誘導することを優先してもよい。
【0016】
可変抵抗構成要素は、1つ以上の異なる動作モードで動作するように、電力システムの動作を制御してもよい。異なる動作モードは、電気エネルギーの伝導または流れの方向、およびエネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド、またはシステム負荷(例えば、車両システム負荷)に向けて誘導され得る電気エネルギーの量を制御してもよい。一実施形態では、第1の動作モードでは、可変抵抗構成要素は、すべての電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けてもよい。別の実施形態では、第2の動作モードでは、可変抵抗構成要素は、電気エネルギーの一部をエネルギー貯蔵デバイスに向け、電気エネルギーの一部を抵抗グリッドまたはシステム負荷の一方または両方に向けてもよい。別の実施形態では、第3の動作モードでは、可変抵抗構成要素は、電気エネルギーのすべてを抵抗グリッドまたはシステム負荷の一方に向けるか、あるいは電気エネルギーの一部を抵抗グリッドに向け、電気エネルギーの別の一部をシステム負荷に向けてもよい。
【0017】
1つ以上の実施形態では、インバータデバイスからの電気エネルギーの伝導方向は、インバータデバイスからの電気エネルギーの量、インバータデバイスからの電気エネルギーの伝達速度、またはエネルギー貯蔵デバイスの特性に基づいてもよい。エネルギー貯蔵デバイスの特性は、エネルギー貯蔵デバイスが受け取り可能である電気エネルギーの総量、エネルギー貯蔵デバイスの伝達速度、エネルギー貯蔵デバイスの種類(例えば、メーカ、モデルなど)、エネルギー貯蔵デバイスの使用年数、エネルギー貯蔵デバイスの動作時間の長さ(例えば、エネルギー貯蔵デバイスが動作した累積時間、エネルギー貯蔵デバイスが電力システムの1つ以上の動作で動作した時間の長さ)などであってもよく、かつ/またはそれらを含んでもよい。一例では、可変抵抗構成要素は、すべての電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けてもよい。別の例では、可変抵抗構成要素は、電気エネルギーの一部をエネルギー貯蔵デバイスに向け、電気エネルギーの別の一部を抵抗グリッドおよび/または車両負荷(例えば、車両システムの推進負荷および/または車両システムの非推進負荷)に向けてもよい。抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられる電気エネルギーの量は、インバータデバイスからの電気エネルギーの総量の残りの部分であってもよい。
【0018】
エネルギー貯蔵デバイスに向けられる電気エネルギーの量は、車両システムの発電制動の変化に基づいて変化してもよい。任意に、エネルギー貯蔵デバイスに向けられる電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に基づいて変化してもよい。1つ以上の実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態は、車両システムの動作中に変化してもよい。任意に、エネルギー貯蔵デバイスに向けられる電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスの分類(例えば、種類、メーカ、モデル、使用年数など)に基づいて変化してもよい。
【0019】
1つ以上の実施形態では、インバータデバイスからの電気エネルギーの量は、車両システムの発電制動の変化に応答して変化してもよい。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスからの新しい電気エネルギー量に基づいて、電気エネルギーの伝導方向を変化させてもよい。任意に、可変抵抗構成要素は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの第1の部分の量を変化させてもよい。電気エネルギーの第1の部分の量を変化させることにより、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられる電気エネルギーの第2の部分の量が変化する。例えば、電気エネルギーの一部は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられてもよく、電気エネルギーの総量の残りの部分は、抵抗グリッドまたは車両負荷の一方または両方に向けられてもよい。
【0020】
一実施形態では、電気システムは、車両システムであってもよい。適切な車両システムは、推力発生車両であってもよい。好適な車両システムの例は、鉄道車両、自動車、トラック、バス、採鉱車両、船舶、航空機(ドローンなどの有人または無人航空機)、農業車両、産業機器、または別のオフハイウェイ車両を含んでもよい。好適なレール車両は、機関車、スイッチャ、シャンタなどを含んでもよい。任意に、車両システムは、船舶または航空機であってもよく、車輪が無くてもよい。例えば、車両システムは、水路、飛行経路などに沿って移動することもできる。一実施形態において、車両システムは、単一の車両である。他の実施形態では、車両システムは、共に走行し得る2つ以上の車両を含んでもよい。グループ移動は、列車、警護艦、編成、グループ、群、小隊、艦隊などにおいてのように、車両が機械的にまとめて結合されていることによって、または機械的に分離されているが論理的もしくは仮想的に結合されて、共に走行するように互いに通信することによって達成されてもよい。車両システムの少なくとも1つの車両は、推力発生車両であってもよく、任意に、車両システムは、1つ以上の非推力発生車両を含んでもよい。
【0021】
図3は、一実施形態による車両システム300を示す。例示された実施形態では、車両システムは、車両システムが移動する経路と接触する複数の車輪302を含む単一の車両であってもよい。車両システムは、車両システム上に配置されたコントローラ308を含んでもよい。コントローラは、制御モジュールを表していてもよく、本明細書に記載の1つ以上の動作を実行するための、1つ以上のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の論理ベースデバイス、および/または関連するソフトウェアもしくは命令を含んでもよい。コントローラは、モータ304(例えば、トラクションモータ、エンジンなど)および制動システム306などの推進システムによって提供される牽引力および/または制動力を制御することなどによって、車両システムの動作を制御する。コントローラは、入力デバイス(図示せず)におけるオペレータからの手動入力に基づいて、入力デバイス(例えば、限定されないが、タッチスクリーン、ジョイスティック、キーボード、スイッチ、ホイール、マイクなどのオペレータから入力を受信するデバイス)から命令信号を受信することによって手動で操作されてもよい。出力デバイス(図示せず)は、車両システムの現在の動作設定、走行計画の指定された動作設定、車両システム上に貯蔵される電気エネルギーの現在の量、オンボードエネルギー貯蔵デバイス312の現在の貯蔵容量などの情報をオペレータに提供することができる。
【0022】
1つ以上の実施形態では、コントローラは、車両システムの動作を自律的に制御するように自動的に動作されてもよい。例えば、走行計画は、エネルギー管理システム(図示せず)によって提供されてもよく、および/またはコントローラによってアクセス可能である有形および非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、またはメモリ(図示せず)に記憶されてもよい。コントローラおよびエネルギー管理システムは、1つ以上の実施形態において、2つ以上の制御モジュールを表してもよい。走行計画は、車両システムの動作設定を、車両システムの目的地への走行の経路に沿った時間または距離の関数として指定してもよい。走行計画の指定された動作設定は、走行のために車両システムによって消費された燃料、発生した排出物質、または走行に費やされた時間のうちの1つ以上を削減するために確立されてもよい。エネルギー管理システムは、本明細書に記載の1つ以上の動作を実行するための1つ以上のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の論理ベースデバイス、および/または関連するソフトウェアもしくは命令を含んでもよい。
【0023】
推進および/または制動システム(例えば、トラクションモータ、空気ブレーキなどのブレーキなど)と動作可能に結合された牽引構成要素は、車両システムの車輪302(および/または車輪に結合された車軸、図示せず)の運動を制御して、経路に沿って車両システムを推進するための牽引力を生成してもよい。車両システムを推進するための推進力を提供することに加えて、推進システムおよび/または制動システムは、発電制動を使用して車両システムの移動を遅延または停止させるように作用することができる。
【0024】
推進システムおよび/または制動システムは、1つ以上のオンボードおよび/またはオフボード電源によって供給される電気エネルギー(例えば、電流)によって電気的に動力供給されてもよい。例えば、車両システムは、車両システムがオフボード外部電源、オンボード電源、または外部電源とオンボード電源の組み合わせによって動力供給されるような、ハイブリッド車両システムと称されてもよい。オンボード電源に関して、車両システムは、オンボードエネルギー貯蔵デバイス312および/または1つ以上の燃料電池、バッテリなどの電源(図示せず)を含んでもよい。オンボード電源は、追加的または代替的に、車両上で電流を生成する1つ以上のオンボードエネルギー源(図示せず)を含むことができる。例えば、オンボードエネルギー源は、シャフトによってモータ304に接続され得る発電機および/または交流発電機を含んでもよい。モータによるシャフトの回転により、発電機の回転子を回転させて、電気エネルギー(例えば、電流)を生成する。
【0025】
1つ以上の実施形態では、オンボードエネルギー源は、1つ以上の太陽電池、風力タービンなどの車両上で電気エネルギーを生成または貯蔵する別の種類のデバイスを含んでもよい。別の例では、オンボードエネルギー源は、トラクションモータが発電制動モードで動作する場合の推進システムのトラクションモータを含んでもよく、このモードでは車両システムの減速中にトラクションモータによって電気エネルギーが生成される。発電制動によって生成された少なくとも一部の電気エネルギーは、貯蔵するためにオンボードエネルギー貯蔵デバイスに提供されてもよい。追加的または代替的に、発電制動によって生成された少なくとも一部の電気エネルギーは、システム負荷(例えば、車両負荷)および/または抵抗グリッド314に提供されてもよい。1つ以上の実施形態では、車両負荷は、車両システムの補助負荷(例えば、空調、コーチ照明、乗客用電源コンセントなどの非推進負荷)、および/または車両システムと動作可能に結合された他の車両であってもよい。任意に、車両負荷は、車両システムの推進負荷および/または車両システムと動作可能に結合された他の車両であってもよい。
【0026】
オンボードエネルギー貯蔵デバイスは、車両システム上に配置され、インバータデバイス310を介して推進システムおよび制動システムと動作可能に結合されるように示されるが、代替的に、オンボードエネルギー貯蔵デバイスは、車両システム300と結合される別の車両上に配置されてもよい。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、1つ以上の機械的接続によって車両システム300と接続されるエネルギー補給車両上に配置されて、車両システムの移動により補給車両も移動するようにしてもよい。そのようなエネルギー貯蔵デバイスは、1つ以上の導電体(例えば、バス、ケーブル、ワイヤなど)によって車両システムの推進システムと接続されてもよい。
【0027】
エネルギー貯蔵デバイスは、トラクションモータ(複数を含む)と直接結合されることによって(例えば、エネルギー貯蔵デバイスとモータとの間に中間導電バス、変圧器などを配置しないで)、推進システムのトラクションモータに電流を直接供給して、モータに動力供給することができる。代替的または追加的に、エネルギー貯蔵デバイスは、1つ以上の導電性バス、変圧器などを介して電流をモータに伝達することによって、電流をトラクションモータに間接的に供給することができる。任意に、エネルギー貯蔵デバイスは、車両システムのインバータデバイス、コンバータデバイス(図示せず)などに直接および/または間接的に電流を供給することができる。さらに、任意に、エネルギー貯蔵デバイスは、車両システムと動作可能に結合された(例えば、機械的および/または論理的に)1つ以上の異なる車両に電流を直接および/または間接的に供給して、異なる車両の1つ以上のシステムに動力供給してもよい。
【0028】
図4は、一実施形態による電力システム350の概略図を示す。電力システムは、車両システムの発電制動によって生成されるモータからの電気エネルギーの伝導を制御する。1つ以上の実施形態では、発電制動によって生成された電気エネルギーの一部は、車両システムの移動を遅延または停止させるのに必要な制動電力の量を超えてもよい。例えば、車両システムの移動の速度が増加するにつれて、車両システムの移動を制動する(例えば、遅延または停止させる)のに必要な電気エネルギーの量が減少し、余分な電気エネルギー(例えば、制動電力)は、車両システムのオンボードエネルギー貯蔵デバイスまたは抵抗グリッドもしくは車両負荷のうちの1つ以上に向けられてもよい。
【0029】
抵抗グリッドは、電気エネルギーが中に散逸されるデバイスを表してもよい。電気エネルギーの一部は、抵抗グリッドに向けられてもよく、電気エネルギーの別の一部は、車両負荷に向けられてもよい。任意に、車両システムは、抵抗グリッドを含まないか、または抵抗グリッドから切り離されてもよく、電気エネルギーは、車両負荷に向けられてもよい。1つ以上の実施形態では、電気エネルギーの一部は、複数の異なる車両負荷(例えば、推進および/または非推進負荷)に向けられてもよい。任意に、一部の電気エネルギーは、1つ以上の異なる車両負荷に向けられてもよく、一部の電気エネルギーは、抵抗グリッド内で散逸されてもよい。
【0030】
電力システムは、モータ304(例えば、トラクションモータ)およびインバータデバイス310(
図3に示されるモータおよびインバータデバイスに対応する)を含んでもよい。インバータデバイスは、車両システムの発電制動によって生成される電気エネルギーをモータから受け取る。電力システムは、エネルギー貯蔵デバイス312、抵抗グリッドおよび/または車両負荷314、ならびに抵抗グリッドおよび/または車両負荷と電気的に結合された補助インバータ318を含んでもよい。
【0031】
電力システムは、インバータデバイス、エネルギー貯蔵デバイス、ならびに抵抗グリッドおよび/または車両負荷の間に配置される可変抵抗構成要素320を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、可変抵抗構成要素は、チョッパまたはチョッパ回路と称されてもよい。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイスまたは抵抗グリッドおよび/もしくは車両負荷の一方または両方への電気エネルギーの伝導方向を制御する。例えば、可変抵抗構成要素は、電気エネルギーの第1の部分352をエネルギー貯蔵デバイスに向けてもよく、かつ/あるいは電気エネルギーの第2の部分354を抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けてもよい。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスからの電気エネルギーの伝導方向を制御するために、1つ以上の異なる動作モードで動作してもよい。可変抵抗構成要素の動作モード、および結果として生じる電気エネルギーの伝導方向は、インバータデバイスからの電気エネルギーの量、インバータデバイスからの電気エネルギーの伝達速度(例えば、電気エネルギーがインバータデバイスから誘導される速度)、またはエネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性(例えば、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態、エネルギー貯蔵デバイスが保持し得るエネルギーの総量、エネルギー貯蔵デバイスのメーカおよび/またはモデル、エネルギー貯蔵デバイスの使用年数、エネルギー貯蔵デバイスが電気エネルギーを受け取り得る速度など)に基づいてもよい。
【0032】
1つ以上の実施形態では、電力システムは、エネルギー貯蔵デバイスと電気的に結合されたバンキングデバイス(図示せず)を含んでもよい。バンキングデバイスは、燃料電池、コンデンサバンク、またはエネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーを一時的に受け取り、保持し得る他の貯蔵デバイスであってもよい。例えば、バンキングデバイスは、可変抵抗構成要素とエネルギー貯蔵デバイスとの間に配置されてもよい。バンキングデバイスは、可変抵抗構成要素から電気エネルギーを受け取り、エネルギー貯蔵デバイスに意図される電気エネルギーの貯蔵、保持、維持などを行ってもよい。バンキングデバイスは、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態が所定の閾値に達したことに応答して、少なくとも一部の電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けてもよい。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、充電の状態を有してもよく、かつ/またはそれ以上の電気エネルギーの受け取りを禁止するエネルギー量を有してもよい。バンキングデバイスは、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態が所定の閾値に低下するまで、一部の電気エネルギーを一時的に保持または維持して、エネルギー貯蔵デバイスがより多くの電気エネルギーを受け取ることが可能であること、および/または許可されていることを示してもよい。
【0033】
図5は、一実施形態による
図4に示す電力システムの概略図のグラフ500を示す。このグラフは、車両システムの1つ以上の動作条件に基づいて、エネルギー貯蔵デバイスおよび/または抵抗グリッド/車両負荷の間の電気エネルギーの分布を示す。グラフは、機関車の移動速度(例えば、マイル/時)を表す横軸504、増加する電力を表す第1の縦軸502、および可変抵抗構成要素のデューティサイクルの増加するパーセンテージを表す第2の縦軸506を含んでもよい。
【0034】
データ線520は、可変抵抗構成要素のデューティサイクルを表す。デューティサイクルを使用して、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられる電気エネルギーの量を決定してもよい。コントローラは、複数の要因に基づいて可変抵抗構成要素のデューティサイクルを計算してもよい。まず、抵抗グリッドおよび/または車両負荷で散逸される推定電力は、発電制動、エネルギー貯蔵デバイスの充電電流、およびエネルギー貯蔵デバイスの電圧によって車両システムによって生成される電力量に基づいてもよい。デューティサイクルは、グリッド内で散逸される推定電力、エネルギー貯蔵デバイスの充電電流、エネルギー貯蔵デバイスの電圧、グリッド抵抗、エネルギー貯蔵デバイスの内部抵抗、および電力システムの任意の付加浮遊抵抗に基づいてもよい。
【0035】
データ線536は、電池の電圧レベルおよびDCリンクの電圧を表し、電池の電圧は、電力システムのDCリンクの電圧(の5%以内)に実質的に等しい。データ線538は、車両システムの発電制動によって生成された電気エネルギー(例えば、制動電力)を表す。データ線542は、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、エネルギー貯蔵デバイス充電電力)に向けられた電気エネルギーの量を表す。データ線540は、車両システムの抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量を表す。
【0036】
図4に示す電力システムは、抵抗グリッドおよび/または車両負荷よりもエネルギー貯蔵デバイスを優先する。例えば、電力システムは、すべての電気エネルギーをまずエネルギー貯蔵デバイスに向け、次いで、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態が所定の閾値に達したことに応答して、電気エネルギーの一部を抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けてもよい。例えば、例示される実施形態では、移動速度S2から速度S3まで、可変抵抗構成要素は、第1の動作モードで動作し、電力システムは、すべての電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向ける。速度S3から増加する速度で、可変抵抗構成要素は、第1の動作モードから第2の動作モードで動作するように動作モードを変更し、電力システムは、電気エネルギーの第1の部分をエネルギー貯蔵デバイスに向け、同時に電気エネルギーの第2の部分を抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向ける。第1の部分および/または第2の部分内の電気エネルギーの量は、車両システム、エネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッドおよび/または車両負荷などの1つ以上の要因および/または特性に基づいてもよい。
【0037】
デューティサイクルに関して、この比率は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた第1の部分の電気エネルギーの量、ならびに抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量を決定し得る、または少なくともその要因となり得る。第1の部分の電気エネルギーの量(例えば、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた)は、車両システムの発電制動(例えば、発電制動によって車両システムによって生成された電力の量)、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態(例えば、エネルギー貯蔵デバイスの充電電流)、エネルギー貯蔵デバイスの種類または分類(例えば、エネルギー貯蔵デバイスのあるモデルは、別のエネルギー貯蔵デバイスの別のモデルよりも大きい充電容量を有してもよく、あるモデルは、エネルギー貯蔵デバイスの別のモデルの伝達速度とは異なる、モデルが受け取ってもよい電気エネルギーの伝達速度を有してもよい、など)などの変化に基づいてもよい。1つ以上の実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスの総量および/または伝達速度は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に基づいてもよく、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態は、車両システムの動作中に変化してもよい。例えば、エネルギー貯蔵デバイス内に貯蔵された電流の一部が、車両システムの1つ以上のシステム(推進および/または非推進システム)内で使用されるにつれて、充電状態(例えば、エネルギー貯蔵デバイス内に貯蔵された電流の量)が減少することもある。
【0038】
一実施形態では、コントローラは、以下の式に基づいて、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量を決定および/または計算することができる。
Pg=Pブレーキ-Pb(Pブレーキ>Pbの場合) 式.1
【0039】
式1では、Pgは、抵抗グリッド電力を表し、Pブレーキは、データ線538によって示される総電気エネルギー(例えば、制動電力)を表し、Pbは、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、バッテリ)電力を表す。式1を使用して、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、Pb)の許容容量がブレーキ電力(Pブレーキ)より小さい場合に、車両システムの抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられる電気エネルギーの量を決定することができる。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、車両システム(例えば、推進システムおよび/または非推進システムなど)上の1つ以上のシステムに動力供給するために使用される所定の量の電気エネルギーを含有または保持することができる。
【0040】
代替的に、コントローラは、可変抵抗構成要素がインバータデバイスから受け取る電気エネルギーの総量、および車両システムの発電制動の変化に応じて変化する電気エネルギーの総量に基づいて、可変抵抗構成要素の動作モードを変更して、エネルギー貯蔵デバイスまたは抵抗グリッドおよび/もしくは車両負荷の一方または両方に向けられる電気エネルギーの伝導方向またはその量を変更してもよい。例えば、電気エネルギーの総量がエネルギー貯蔵デバイスの許容容量より小さい場合、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量は、以下の式に基づいてもよい。
Pg=D*Vバッテリ
2/Rグリッド(Pブレーキ<Pbの場合) 式.2
【0041】
式2において、Dは、可変抵抗構成要素(例えば、電力システムのチョッパ)のデューティサイクルを表し、V
バッテリは、エネルギー貯蔵デバイスの電圧を表し、R
グリッドは、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の抵抗を表す。例えば、
図2に示されるグラフとは異なり、
図4に示される電力システムは、電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けることを優先し、次に、電気エネルギーの一部を車両システムの抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向ける。追加的に、デューティサイクルのパーセンテージが増加するにつれて(例えば、車両システムの移動速度の増加で)、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量または一部が増加する。例えば、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量が変化することに応じて変化してもよい。
【0042】
1つ以上の実施形態では、車両システムのコントローラは、車両システムの発電制動によって生成される電気エネルギーの総量および/またはエネルギー貯蔵デバイスの充電状態を監視してもよい。任意に、コントローラは、可変抵抗構成要素の動作を自動的に(例えば、オペレータ入力なしで)制御して、可変抵抗構成要素の動作モードを変更してもよい。可変抵抗構成要素の動作モードを変更することにより、電気エネルギーの伝導方向を変更し、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量を変更し、かつ/あるいは車両システムの抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量を変更する。
【0043】
一実施形態では、コントローラは、可変抵抗構成要素の動作を制御して、第1の動作モードで動作することにより、すべての電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けてもよい。別の実施形態では、コントローラは、可変抵抗構成要素の動作を制御して、第2の動作モードで動作することにより、少なくとも一部の電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向け、少なくとも一部の電気エネルギーを抵抗グリッドまたは車両負荷の一方または両方に向けてもよい。可変抵抗構成要素が第2の動作モードで動作する間、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態、インバータデバイスからの電気エネルギーの量などに基づいて変化する場合もある。別の実施形態では、コントローラは、可変抵抗構成要素の動作を制御して、第3の動作モードで動作することにより、すべての電気エネルギーを抵抗グリッドまたは車両負荷に向けるか、あるいは一部の電気エネルギーを抵抗グリッドに向け、かつ一部の電気エネルギーを車両負荷に向けてもよい。
【0044】
コントローラは、電気エネルギーの総量が変化する、所定の閾値を超える、または所定の下限閾値を下回ることに応答して、可変抵抗構成要素の動作モードを変更してもよい。任意に、コントローラは、可変抵抗構成要素の動作モードを変更する必要があることを車両システム(例えば、オンボードおよび/またはオフボード車両システム)のオペレータに指示してもよい。任意に、コントローラは、可変抵抗構成要素の動作モードを手動で変更する方法をオペレータに指示してもよい。
【0045】
図6は、第1の動作条件下で
図1に示される電力システムを動作させることに応答する棒グラフ600を示す。
図7は、同じ第1の動作条件下で
図4に示される電力システムを動作させることに応答する棒グラフ700を示す。一例として、車両システムの第1の動作条件は、車両システムを操作して、車両システムの車軸ごとに約1050馬力(hp)を生成することを含んでもよい。グラフ600および700は、増加する電力を表す縦軸602を含む。データ線604は、車軸電力制限を表し、データ線606は、車軸ごとの発電制動によって生成される公称電気エネルギー(例えば、制動電力)を表す。
図6および7の例示される実施形態では、抵抗グリッドおよび/または車両負荷は、それぞれ
図1および4に示される電力システムと電気的に接続される。
【0046】
棒610および710は、車両システムの車軸1を表し、棒612および712は、車両システムの車軸2を表し、棒614および714は、車両システムの車軸3を表し、棒616および716は、車両システムの車軸4を表す。各車軸の棒Aは、エネルギー貯蔵デバイスによって必要とされる電気エネルギーの量を表し、各車軸の棒Bは、散逸(例えば、抵抗グリッド損失)のために抵抗グリッドに向けられる電気エネルギーの量を表し、各車軸の棒Cは、エネルギー貯蔵デバイスによって受け取られる電気エネルギーの実際の量を表す。
【0047】
グラフ600に示されるように、線620は、各車軸610、612、614、および616によって生成された実質的に同じ量の電気エネルギーが、抵抗グリッドに向けられ、抵抗グリッド内に散逸されることを示す。追加的に、
図6に示すように、各車軸は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた実際の電力量と比較して、エネルギー貯蔵デバイスの電力要件を達成できない。例えば、車軸610、612、614、および616の棒Aは、車軸610、612、614、および616の棒Cよりも量が多い、またはそれより大きい。各車軸610~616によって生成される電気エネルギー(例えば、電力)の実際の量は、エネルギー貯蔵デバイスの電気エネルギー(例えば、電力)要件よりも少ない。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスが実際に受け取っているよりも多くの電気エネルギーを受け取ることができる。
図1に示される電力システムは、エネルギー貯蔵デバイスより先に抵抗グリッドを選択的に優先してもよい。
【0048】
代替的に、グラフ700に示されるように、
図4に示される電力システムは、抵抗グリッドおよび/または車両負荷よりもエネルギー貯蔵デバイスを優先する。例えば、車軸710、712、714、および716の棒Aは、車軸710、712、714、および716の棒Cと実質的に同じである。エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスが必要とする電気エネルギーの量と実質的に同じ量の電気エネルギーを受け取る。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスが受け取ることができる電気エネルギーの量と同じ、または実質的に同じ量の電気エネルギーを受け取る。追加的に、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられる電気エネルギーの量は、車軸710、712、714、および716の間で変化している。例えば、可変抵抗構成要素は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量、ならびに抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量を制御し、抵抗グリッドおよび/または車両負荷よりもエネルギー貯蔵デバイスを優先させる。
【0049】
図8は、第2の動作条件下で
図1に示される電力システムを動作させることに応答する棒グラフ800を示す。
図9は、同じ第2の動作条件下で
図4に示される電力システムを動作させることに応答する棒グラフ900を示す。一例として、車両システムの第2の動作条件は、車両システムを操作して、車両システムの車軸ごとに約750馬力(hp)を生成することを含んでもよい。グラフ600および700と同様に、グラフ800および900は、増加する電力を表す縦軸602を含む。データ線804は、車軸電力制限を表し、データ線806は、車軸ごとの発電制動によって生成される公称電気エネルギー(例えば、制動電力)を表す。
図8および9の例示される実施形態では、抵抗グリッドおよび/または車両負荷は、それぞれ
図1および4に示される電力システムと電気的に接続される。
【0050】
棒810および910は、車両システムの車軸1を表し、棒812および912は、車両システムの車軸2を表し、棒814および914は、車両システムの車軸3を表し、棒816および916は、車両システムの車軸4を表す。各車軸の棒Aは、エネルギー貯蔵デバイスによって必要とされる電気エネルギーの量を表し、各車軸の棒Bは、散逸(例えば、抵抗グリッド損失)のために抵抗グリッドに向けられる電気エネルギーの量を表し、各車軸の棒Cは、エネルギー貯蔵デバイスによって受け取られる電気エネルギーの実際の量を表す。
【0051】
グラフ600と同様に、グラフ800は、各車軸810、812、814、および816によって生成される実質的に同じ量の電気エネルギーが、抵抗グリッドに向けられ、抵抗グリッド内に散逸することを示す線820を含んでもよい。追加的に、各車軸は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた実際の電力量と比較して、エネルギー貯蔵デバイスの電力要件を達成することができない。例えば、車軸810、812、814、および816の棒Aは、車軸810、812、814、および816の棒Cよりも大きい。各車軸で発生する電気エネルギーの実際の量は、エネルギー貯蔵デバイスの電気エネルギーの必要量より少ない。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスが実際に受け取っているよりも多くの電気エネルギーを受け取ることができる。
図1に示す電力システムは、エネルギー貯蔵デバイスより先に抵抗グリッドを優先する。
【0052】
代替的に、グラフ700と同様に、グラフ900は、
図4に示される電力システムが、抵抗グリッドおよび/または車両負荷よりもエネルギー貯蔵デバイスを優先することを示す。例えば、車軸910、912、914、および916の棒Aは、車軸910、912、914、および916の棒Cと実質的に同じである。エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギー貯蔵デバイスが必要とする電気エネルギーの量と実質的に同じ量の電気エネルギーを受け取る。追加的に、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられる電気エネルギーの量は、車軸910、912、914、および916の棒Bによって示されるように変化する。例えば、可変抵抗構成要素は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量、ならびに抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量を制御し、抵抗グリッドおよび/または車両負荷よりもエネルギー貯蔵デバイスを優先させる。
【0053】
1つ以上の実施形態では、車両システムは、1つ以上の車軸を含んでもよく、各車軸は、エネルギー貯蔵デバイスと接続されてもよい。例えば、第1の車軸は、第1のエネルギー貯蔵デバイスと接続されてもよく、第2の車軸は、第2のエネルギー貯蔵デバイスと接続されてもよい。第1のエネルギー貯蔵デバイスは、第1の車軸の発電制動によって生成された電力を受け取ってもよく、第2のエネルギー貯蔵デバイスは、第2の車軸の発電制動によって生成された電力を受け取ってもよい。任意に、車両システムは複数の車軸を含んでもよく、各車軸は単一のエネルギー貯蔵デバイスに接続されてもよい。例えば、単一のエネルギー貯蔵デバイスは、車両システムの複数の車軸のそれぞれから電気エネルギーを受け取ってもよい。
【0054】
図10は、一実施形態による電力システム1000の概略図を示す。
図4に示す電力システムと同様に、電力システム1000は、モータ1004(例えば、トラクションモータ)およびインバータデバイス1010を含んでもよい。インバータデバイスは、車両システムの発電制動によって生成される電気エネルギーをモータから受け取る。電力システムは、エネルギー貯蔵デバイス1012、抵抗グリッドおよび/または車両負荷1016、ならびに抵抗グリッドおよび/または車両負荷と電気的に結合された補助インバータ1018をさらに含んでもよい。電力システムは、インバータデバイス、エネルギー貯蔵デバイス、ならびに抵抗グリッドおよび/または車両負荷の間に配置された可変抵抗構成要素1020を含んでもよく、インバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイスまたは抵抗グリッドおよび/もしくは補助負荷の一方または両方に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御する。例えば、電気エネルギーの第1の部分1052は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられてもよく、かつ/あるいは電気エネルギーの第2の部分1054は、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられてもよい(あるいは、車両システムが抵抗グリッドから切断されている場合は、車両負荷に向けられてもよい)。
【0055】
電力システムは、可変抵抗構成要素とエネルギー貯蔵デバイスとの間に配置されたブースト回路1022をさらに含んでもよい。一実施形態では、ブースト回路は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられる電気エネルギーの一部の電圧を変更し得る。例えば、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの一部は、第1の電圧または第1の電圧レベルを有してもよく、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの一部は、異なる第2の電圧または第2の電圧レベルを有してもよい。
【0056】
図11は、一実施形態による、車両システムの発電制動によって生成される電気エネルギーの伝導を制御する一例のフローチャート1100を示す。ステップ1102では、電気エネルギーが受け取られ、インバータデバイスを介してモータ(例えば、トラクションモータ)から電力システムの可変抵抗構成要素を通して誘導されてもよい。電気エネルギーは、車両システムの発電制動によって生成されてもよい。ステップ1104では、可変抵抗構成要素は、エネルギー貯蔵デバイスまたは抵抗グリッドおよび/もしくは車両負荷の一方または両方に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御する。
【0057】
一例として、車両システムのコントローラは、可変抵抗構成要素がある動作モードで動作して、すべての電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けることを決定してもよい。一実施形態では、コントローラは、可変抵抗構成要素が別の動作モードで動作して、電気エネルギーの第1の部分をエネルギー貯蔵デバイスに向け、電気エネルギーの第2の部分を抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けることを決定してもよい。他の実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量は、インバータデバイスを介してモータから受け取られた電気エネルギーの総量に少なくとも部分的に基づいてもよい。一実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に基づいてもよい。一実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスの分類(例えば、種類、メーカ、モデル、使用年数など)に基づいてもよい。一実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスの伝達速度に基づいてもよい。一実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量は、車両システム、エネルギー貯蔵デバイス、1つ以上の車両負荷(例えば、推進および/または非推進負荷)の電気エネルギー要件などの他の特性に基づいてもよい。
【0058】
ステップ1106において、コントローラは、可変抵抗構成要素によって受け取られる電気エネルギーの量が変化したかどうかを判定する。追加的または代替的に、ステップ1108において、コントローラは、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量が変化する必要があるかどうかを判定する。一例として、エネルギー貯蔵デバイスに向けられる電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスの現在の充電状態、モータからの電気エネルギーの総量、1つ以上の車両負荷の電気エネルギー要件などに基づいて変化する必要がある場合もある。モータからの電気エネルギーの量が変化しなかった場合、および/またはエネルギー貯蔵に向けられた電気エネルギーの量が変化する必要がない場合、方法のフローは、ステップ1102に戻る。
【0059】
代替的に、モータから受け取られた電気エネルギーの総量の一方または両方が変化した場合、あるいはエネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量が変化する必要がある場合、方法のフローは、ステップ1110に進む。ステップ1110において、コントローラは、可変抵抗構成要素を制御して動作モードを変更することにより、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの一部の量を変更し、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの一部の量を変更する。例えば、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向けられた電気エネルギーの量は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量が変化することに応じて変化してもよい。方法のフローは、ステップ1102に向かって戻り、車両システムが動作する間継続して繰り返してもよい。
【0060】
本明細書に記載される主題の1つ以上の実施形態では、電力システムは、モータと結合されたインバータデバイスを含む。インバータデバイスは、モータの発電制動によって生成された電気エネルギーをモータから受け取る。エネルギー貯蔵デバイスは、インバータデバイスと結合され、可変抵抗構成要素は、インバータデバイスとエネルギー貯蔵デバイスとの間に配置される。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスから、エネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド、またはシステム負荷の1つ以上に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御する。可変抵抗構成要素は、インバータデバイスから伝導される第1の量の電気エネルギー、インバータデバイスから伝導される電気エネルギーの伝達速度、またはエネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいて、インバータデバイスからの電気エネルギーの伝導方向を制御する。
【0061】
任意に、可変抵抗構成要素は、電気エネルギーの第1の部分をエネルギー貯蔵デバイスに向け、電気エネルギーの第2の部分の伝導を抵抗グリッドまたはシステム負荷の1つ以上に向けてもよい。
【0062】
任意に、インバータデバイスは、モータの発電制動の変化に基づいて、モータから、第2の変更量の電気エネルギーを受け取ってもよい。
【0063】
任意に、可変抵抗構成要素は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に基づいて、第1の部分の、変更量の電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けてもよい。
【0064】
任意に、可変抵抗構成要素は、エネルギー貯蔵デバイスの分類に基づいて、第1の部分の、変更量の電気エネルギーをエネルギー貯蔵デバイスに向けてもよい。
【0065】
任意に、エネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性は、エネルギー貯蔵デバイスが受け取ることができる電気エネルギーの総量、またはエネルギー貯蔵デバイスの伝達速度を含んでもよい。
【0066】
任意に、エネルギー貯蔵デバイスが受け取ることができる電気エネルギーの総量、またはエネルギー貯蔵デバイスの伝達速度は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態に基づいてもよい。
【0067】
任意に、可変抵抗構成要素は、モータの発電制動の変化に応じて変化するインバータデバイスから伝導される第1の量の電気エネルギーに基づいて、電気エネルギーの伝導方向を変更してもよい。
【0068】
任意に、電力システムは、可変抵抗構成要素とエネルギー貯蔵デバイスとの間に配置されたブースト回路を含んでもよい。ブースト回路は、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの電圧を変更してもよい。
【0069】
任意に、オペレータは、可変抵抗構成要素の動作を制御して、電気エネルギーの伝導方向、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの量、または抵抗グリッドもしくはシステム負荷の1つ以上に向けられた電気エネルギーの量のうちの1つ以上を変更してもよい。
【0070】
任意に、システム負荷は、車両システムの補助負荷または車両システムの推進負荷のうちの1つ以上であってもよい。
【0071】
本明細書に記載される主題の1つ以上の実施形態では、方法は、インバータデバイスからモータの発電制動によって生成された電気エネルギーを受け取ることと、インバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイス、抵抗グリッド、またはシステム負荷のうちの1つ以上に向かう電気エネルギーの伝導方向を制御すること、とを含む。電気エネルギーの伝導方向は、インバータデバイスから伝導される第1の量の電気エネルギー、インバータデバイスから伝導される電気エネルギーの伝達速度、またはエネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいている。
【0072】
任意に、方法は、可変抵抗構成要素の動作モードに基づいて電気エネルギーの伝導方向を制御することを含んでもよい。第1の量の電気エネルギーは、第1の動作モードで動作する可変抵抗構成要素に応答してエネルギー貯蔵デバイスに向けて伝導されるように構成され、第2の量の電気エネルギーは、第2の動作モードで動作する可変抵抗構成要素に応答してエネルギー貯蔵デバイスに向けて伝導されるように構成される。
【0073】
任意に、方法は、モータの発電制動、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態、またはエネルギー貯蔵デバイスの分類の変化のうちの1つ以上に基づいて、可変抵抗構成要素の動作モードを変更することを含んでもよい。
【0074】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態では、方法は、インバータデバイスからモータの発電制動によって生成された電気エネルギーを受け取ることと、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態を決定することと、第1の動作モードまたは第2の動作モードで可変抵抗構成要素を動作させることと、を含む。第1の動作モードでは、可変抵抗構成要素は、第1の量の電気エネルギーをインバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイスに向け、第2の動作モードでは、可変抵抗構成要素は、第2の量の電気エネルギーをインバータデバイスからエネルギー貯蔵デバイスに向ける。
【0075】
任意に、第1の量の電気エネルギーは、エネルギー貯蔵デバイスのために第1の量の電気エネルギーを貯蔵するように構成されたバンキングデバイスに向けられてもよい。バンキングデバイスは、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態が所定の閾値に達したことに応答して、エネルギー貯蔵デバイスに電気エネルギーの直接量の少なくとも一部を向けてもよい。
【0076】
任意に、第2の動作モードで可変抵抗構成要素を操作することは、電気エネルギーの少なくとも一部をエネルギー貯蔵デバイスに向けることと、電気エネルギーの少なくとも一部を抵抗グリッドまたはシステム負荷のうちの1つ以上に向けることと、を含む。
【0077】
任意に、システム負荷は、車両システムの補助負荷または車両システムの推進負荷のうちの1つ以上であってもよい。
【0078】
任意に、エネルギー貯蔵デバイスに向けられた電気エネルギーの伝達速度は、エネルギー貯蔵デバイスが電気エネルギーを受け取り得る伝達速度、エネルギー貯蔵デバイスの総量、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態、またはエネルギー貯蔵デバイスの1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいて制御されてもよい。
【0079】
任意に、可変抵抗構成要素の動作は、エネルギー貯蔵デバイスの充電状態が所定の閾値に達したことに応答して、第1の動作モードから第2の動作モードに変更されてもよい。
【0080】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」および「コンピュータ」という用語、ならびに関連する用語、例えば、「処理デバイス」、「コンピューティングデバイス」、および「コントローラ」は、コンピュータとして当技術分野で言及される集積回路に限定されないが、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および特定用途向け集積回路、ならびに他のプログラマブル回路を指してもよい。好適なメモリは、例えば、コンピュータ可読媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリなどのコンピュータ可読不揮発性媒体であってもよい。「非一時的コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびサブモジュール、または任意のデバイス内の他のデータなどの情報の短期および長期記憶のために実施される有形のコンピュータベースデバイスを表す。したがって、本明細書に記載される方法は、記憶デバイスおよび/またはメモリデバイスを含むが、これらに限定されない、有形の非一時的コンピュータ可読媒体に具体化される実行可能命令として符号化されてもよい。このような命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載される方法の少なくとも一部を実行させる。したがって、本用語は、揮発性および不揮発性媒体を含むがこれらに限定されない、非一時的コンピュータ記憶デバイスを含むがこれらに限定されない、有形のコンピュータ可読媒体、ならびにファームウェア、物理的および仮想記憶、CD-ROM、DVD、およびネットワークまたはインターネットなどの他のデジタルソースなどの取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含む。
【0081】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数形の参照を含む。「任意の」または「任意に」は、続いて記載される事象または状況が生じ得るか、または生じ得ず、その記載が、その事象が生じる場合と生じない場合とを含み得ることを意味する。本明細書および条項全体を通してここで使用される近似言語は、それが関連し得る基本機能の変更をもたらすことなく許容可能で変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」、「実質的に」、および「およそ」などの用語または複数の用語によって修飾される値は、指定された正確な値に限定され得ない。少なくともいくつかの場合では、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。ここで、ならびに本明細書および条項を通して、範囲制限は組み合わされ得、かつ/または交換され得、そのような範囲は識別され得、文脈または言語が別途指示しない限り、その中に含まれるすべてのサブ範囲を含み得る。
【0082】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良の態様を含む実施形態を開示し、かつ当業者が、任意のデバイスまたはシステムの製造および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む実施形態を実践することを可能にする。条項は、本開示の特許可能な範囲を定義し、当業者に生じる他の例を含む。そのような他の例は、それらが条項の文字通りの言語と異なることのない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語とは実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【外国語明細書】