(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043147
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】部品供給システムの運用方法、その方法を遂行するプログラムを記録した記録媒体、及び部品積込スケジュールを修正するサーバー
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230320BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125832
(22)【出願日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0123511
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヨン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨン ウ
【テーマコード(参考)】
3C100
3F522
【Fターム(参考)】
3C100AA05
3C100AA12
3C100AA16
3C100AA47
3C100BB05
3C100BB14
3C100BB22
3C100EE01
3F522AA03
3F522BB01
3F522CC01
3F522GG49
3F522LL53
(57)【要約】
【課題】部品供給システム及びその運用方法を提供する。
【解決手段】部品供給システムをプロセッサで運用する運用方法であって、プロセッサにおいて、モビリティを生産する各工程における時間帯別に必要な部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成する段階、プロセッサにおいて、部品供給スケジュールに応じて部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成する段階、プロセッサにおいて、デジタルツイン(digital twin)を介して部品積込スケジュールが部品供給スケジュールを満たすかどうかを検証する段階、及びプロセッサにおいて、デジタルツインの検証結果によって部品積込スケジュールを修正する段階、を含む、部品供給システムの運用方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティの生産過程における各工程別に必要な部品を積み込んで各工程に供給する部品供給システムをプロセッサで運用する運用方法であって、
前記プロセッサにおいて、前記モビリティを生産する各工程における時間帯別に必要な前記部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成する段階、
前記プロセッサにおいて、前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき前記部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成する段階、
前記プロセッサにおいて、デジタルツイン(digital twin)を介して前記部品積込スケジュールが前記部品供給スケジュールを満たすかどうかを検証する検証段階、及び
前記プロセッサにおいて、前記デジタルツインの検証結果によって前記部品積込スケジュールを修正する段階、を含むことを特徴とする、部品供給システムの運用方法。
【請求項2】
前記検証段階において、
部品輸送量(quantity of parts transported)を含む前記部品供給スケジュールが目標輸送量以上の部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
前記検証段階以後、
前記目標輸送量未満の前記部品輸送量を供給する場合、前記部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを修正してから検証する段階に戻ることを特徴とする、請求項1に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項3】
前記検証段階において、
部品輸送量を含む前記部品供給スケジュールが目標輸送量以上の前記部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
前記検証段階以後、
前記目標輸送量未満の輸送量を供給する場合、
時間帯別に前記部品を供給する各作業台から、作業済みの部品が移動される移動経路を含む前記部品積込スケジュールを修正した後に検証する段階に戻ることを特徴とする、請求項1に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項4】
前記部品供給スケジュールを生成する段階は、
各工程における時間帯別に必要な複数の前記部品を積み込んだ部品セット箱、前記部品セット箱を積み込んだ前記部品セット箱の棚、及び前記部品セット箱に積み込めない部品を積載するパレダイスがスケジューリングされた前記部品供給スケジュールを生成することを特徴とする、請求項1に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項5】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、
前記部品セット箱の棚に前記部品セット箱を積み込むまでに必要なすべての作業時間が最小作業時間を満たすように、各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することを特徴とする、請求項4に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項6】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、
各作業台間の稼動率のばらつきが最小化できるよう、各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することを特徴とする、請求項4に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項7】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、
各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムを考慮して、前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき前記部品の作業割り当て(allocation)及び作業間の前後関係(sequencing)がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することを特徴とする、請求項1に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項8】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、
前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに、時間帯別に積み込まれるべき前記部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを生成する段階をさらに含み、
前記部品保管スケジュールを生成する段階は、
一定周期ごとに各部品の払い出し(Release)頻度及び各部品の前記部品積込スケジュールを考慮して前記部品保管スケジュールを生成することを特徴とする、請求項1に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項9】
前記部品保管スケジュールを生成する段階において、
自動倉庫は、複数の自動倉庫を備え、それぞれの自動倉庫別に保管される前記部品の体積が異なるように設定され、
一定周期ごとにそれぞれの自動倉庫別に保管された前記部品の払い出し頻度及びそれぞれの自動倉庫別に保管された前記部品の前記部品積込スケジュールを考慮して前記部品保管スケジュールを生成することを特徴とする、請求項8に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項10】
前記部品積込スケジュールを生成する段階において、
各作業台は、各自動倉庫に対応する前記部品を部品セット箱に積み込む部品セット箱作業台を含み、
前記部品セット箱の棚に各自動倉庫に対応する部品が積み込まれた前記部品セット箱を積み込むまでに必要なすべて作業時間が、最小作業時間を満たすように、各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき前記部品がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することを特徴とする、請求項9に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項11】
前記自動倉庫は、各作業台での作業済みの部品のうちあらかじめ設定された体積範囲内の部品が保管されるバッファー倉庫をさらに含み、
前記部品積込スケジュールを生成する段階において、
体積範囲外の部品を供給する各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムを考慮して、部品の作業割り当て(allocation)及び作業間の前後関係(sequencing)がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することを特徴とする、請求項10に記載の部品供給システムの運用方法。
【請求項12】
モビリティの生産過程における各工程別に必要な部品を積み込んで各工程に供給する部品供給システムを運用するサーバーであって、
前記サーバーの機能を制御するプロセッサを含み、
前記プロセッサは、
前記モビリティを生産する各工程における時間帯別に必要な部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成し、
前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成し、
デジタルツイン(digital twin)を介して前記部品積込スケジュールが前記部品供給スケジュールを満たすかどうか検証し、
デジタルツインの検証結果によって部品積込スケジュールを修正することを特徴とする、サーバー。
【請求項13】
前記プロセッサは、
部品輸送量(quantity of parts transported)を含む前記部品供給スケジュールが目標輸送量以上の部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
前記目標輸送量未満の前記部品輸送量を供給する場合、前記部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを修正した後に再度検証することを特徴とする、請求項12に記載のサーバー。
【請求項14】
前記プロセッサは、
部品輸送量を含む前記部品供給スケジュールが目標輸送量以上の前記部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
前記目標輸送量未満の輸送量を供給する場合、時間帯別に部品を供給する各作業台での作業済みの部品が移動される移動経路を含む前記部品積込スケジュールを修正した後に検証することを特徴とする、請求項12に記載のサーバー。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を遂行させるプログラムを記録したことを特徴とする、一つ以上のコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給システム及びその運用方法に係り、より詳しくは、ルールベースのアルゴリズムで部品供給に係わる作業計画を樹立することにより発生する作業遅延を解消するために、完成品生産計画に合わせて部品供給に係わる作業割り当てを最適化し、自動倉庫から部品供給が行われないなどの最適化された作業割り当て及び運用とのばらつきを解消するために、最適化された作業割り当てを検証することで、しっかりとした作業割り当ての頑健性を確保する部品供給システム及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫システム(AS/RS;Automated Storage and Retrieval System)は、ある保管位置から他の保管位置へ物品を積込し、保管された物品を検索してピッキングするために用いられるシステムであって、あらかじめ定められた位置に物品を正確に保管して除去し、特定の処理やインターフェース地点へ物品を移す作業に人間を介入させないことがその特徴である。
【0003】
このような自動倉庫からピッキングした物品を積載し、積載した物品を完成品の生産に供する工程に投入する物流運用方法として、従来の物流運用方法は、物品(部品)が必要な順に作業を分配する方法である、ルールベースのアルゴリズム(Rule-based algorithm)で運用された。
【0004】
これは、(1)異なる最小包装単位であるボックスピッキング作業処理時間を考慮して、汎用の並列的作業場別の一つの棚入れ作業に必要な多数のセット箱を同時に考慮するなどの作業割り当てにならず、(2)物流自動化設備の複雑化によるバッファーが設置されていない区間には、前後工程間の待機ブロッキングを防止することができず、(3)自動倉庫の部品保管位置が効率よく割り当てられることができず、(4)運用計画に蹉跌が発生した場合、頑健性を確保することができなかった。
【0005】
前記背景技術欄で説明した事項は、本発明の背景に対する理解増進のためのものであって、発明者が本発明の実施例の導出のために保有していたか、導出過程で知得した技術情報に過ぎず、出願前に当該技術分野における通常の知識を有する者や一般公衆に既に公開済みの公知になった技術にあたるものであることを認めると受け入れられてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2004-0092568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、ルールベースのアルゴリズムで部品供給に係わる作業計画を樹立することにより発生する作業遅延を解消するために、完成品生産計画に合わせて部品供給に係わる作業割り当てを最適化し、自動倉庫から部品供給が行われないなどの最適化された作業割り当て及び運用とのばらつきを解消するために、最適化された作業割り当てを検証することで、しっかりとした作業割り当ての頑健性を確保する部品供給システム及びその運用方法を提供することにある。
前述のような技術的課題に限定されず、以下の説明から更なる技術的課題が導出されることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した技術的課題を達成するための技術的手段として、
本開示(disclosure)による部品供給システムの運用方法は、モビリティの生産過程における各工程別に必要な部品を積み込んで各工程に供給する部品供給システムをプロセッサで運用する運用方法であって、前記プロセッサにおいて、前記モビリティを生産する各工程における時間帯別に必要な前記部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成する段階、
前記プロセッサにおいて、前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき前記部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成する段階、
前記プロセッサにおいて、デジタルツイン(digital twin)を介して前記部品積込スケジュールが前記部品供給スケジュールを満たすかどうかを検証する検証段階、及び
前記プロセッサにおいて、前記デジタルツインの検証結果によって前記部品積込スケジュールを修正する段階、を含む。
【0009】
前記検証段階において、部品輸送量(quantity of parts transported)を含む前記部品供給スケジュールが目標輸送量以上の部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
前記検証段階以後、前記目標輸送量未満の前記部品輸送量を供給する場合、前記部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを修正してから検証する段階に戻ることができる。
検証段階において、部品輸送量(quantity of goods transported)を含む部品供給スケジュールが目標輸送量以上の部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
検証段階以後、目標輸送量未満の輸送量を供給する場合、
時間帯別に部品を供給する各作業台で作業済みの部品が移動される移動経路を含む部品積込スケジュールを修正した後に検証段階に戻ることができる。
【0010】
前記部品供給スケジュールを生成する段階は、各工程における時間帯別に必要な複数の前記部品を積み込んだ部品セット箱、前記部品セット箱を積み込んだ前記部品セット箱の棚、及び前記部品セット箱に積み込めない部品を積載するパレダイスがスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成することができる。
【0011】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、前記部品セット箱の棚に前記部品セット箱を積み込むまで必要なすべての作業時間が最小作業時間を満たすように、各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することができる。
【0012】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、各作業台間の稼動率のばらつきが最小化できるよう、各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することができる。
【0013】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムを考慮して、前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき前記部品の作業割り当て(allocation)及び作業間の前後関係(sequencing)がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することができる。
【0014】
前記部品積込スケジュールを生成する段階は、前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに、時間帯別に積み込まれるべき前記部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを生成する段階をさらに含み、前記部品保管スケジュールを生成する段階は、一定周期ごとに各部品の払い出し(Release)頻度及び各部品の前記部品積込スケジュールを考慮して前記部品保管スケジュールを生成することができる。
【0015】
前記部品保管スケジュールを生成する段階において、自動倉庫は、複数の自動倉庫を備え、それぞれの自動倉庫別に保管される前記部品の体積が異なるように設定され、一定周期ごとにそれぞれの自動倉庫別に保管された前記部品の払い出し頻度及びそれぞれの自動倉庫別に保管された前記部品の前記部品積込スケジュールを考慮して前記部品保管スケジュールを生成することができる。
【0016】
前記部品積込スケジュールを生成する段階において、各作業台は、各自動倉庫に対応する前記部品を部品セット箱に積み込む部品セット箱作業台を含み、前記部品セット箱の棚に各自動倉庫に対応する部品が積み込まれた前記部品セット箱を積み込むまで所要となるすべて作業時間が、最小作業時間を満たすように各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき前記部品がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することができる。
【0017】
自動倉庫は、各作業台での作業済みの部品のうちあらかじめ設定された体積範囲内の部品が保管されるバッファー倉庫をさらに含み、
前記部品積込スケジュールを生成する段階において、体積範囲外の部品を供給する各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムを考慮して、部品の作業割り当て(allocation)及び作業間の前後関係(sequencing)がスケジューリングされた前記部品積込スケジュールを生成することができる。
【0018】
本開示による他の部品供給システムの態様として、モビリティの生産過程における各工程別に必要な部品を積み込んで各工程に供給する部品供給システムを運用するサーバーであって、サーバーの機能を制御するプロセッサを含み、
前記プロセッサは、前記モビリティを生産する各工程における時間帯別に必要な部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成し、前記部品供給スケジュールに応じて前記部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成し、デジタルツイン(digital twin)を介して前記部品積込スケジュールが前記部品供給スケジュールを満たすかどうか検証し、デジタルツインの検証結果によって部品積込スケジュールを修正するサーバーであることができる。
【0019】
前記プロセッサは、部品輸送量(quantity of parts transported)を含む前記部品供給スケジュールが目標輸送量以上の部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
前記目標輸送量未満の前記部品輸送量を供給する場合、前記部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを修正した後に再度検証することができる。
【0020】
前記プロセッサは、部品輸送量を含む前記部品供給スケジュールが目標輸送量以上の前記部品輸送量を満たすかどうかを検証し、
前記目標輸送量未満の輸送量を供給する場合、時間帯別に部品を供給する各作業台での作業済みの部品が移動される移動経路を含む前記部品積込スケジュールを修正した後に検証することができる。
【0021】
前述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本開示の幾つかの実施例は、上記の方法を遂行させるプログラムを記録した、一つ以上のコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の部品供給システム及びその運用方法によれば、ルールベースのアルゴリズムで部品供給に係わる作業計画を樹立することにより発生される作業遅延を解消するために、完成品生産計画に合わせて部品供給に係わる作業割り当てを最適化し、自動倉庫から部品供給が行われないなど最適化された作業割り当て及び運用とのばらつきを解消するために、最適化された作業割り当てを検証することで、しっかりとした作業割り当ての頑健性を確保することができる。
前述したような技術的効果に限定されず、以下の説明からまた他の技術的効果が導出されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法を示したフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図である。
【
図3】従来例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図である。
【
図4】本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図である。
【
図5】本発明の一実施例による部品供給システムを示した図である。
【
図6】本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法による設備構成を示した図である。
【
図7】本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法による各作業場及び作業台別作業処理状態を示した図である。
【
図8】本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に開示する本発明の実施例について特定の構造的ないし機能的説明は、ただ本発明による実施例を説明するための目的で例示されたものであって、実施例は、多様な形態で実施でき、本明細書に説明された実施例に限定されるものと解釈されてはならない。
【0025】
また、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略しており、明細書の全体を通じて、同一または類似の構成要素に対しては同一の符号を付してある。そして、単数の表現は、文脈上明白に異なる意味で用いられる場合を除き、複数の表現を含む。
【0026】
さらに、下記の詳細な説明において、構成部材の名称を第1、第2などで使い分けたことは、その構成が同一であることからこれらを区分するためであり、下記の説明にて必ずしもその手順に限定されるものではない。例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱しない限り、第1の構成要素は第2の構成要素とも呼ばれることができ、同様に、第2の構成要素は第1の構成要素と呼ばれることがあり得る。
【0027】
そして、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」または「有する」というとき、これは特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除くわけではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。すなわち、本明細書において、「含む」または「有する」の用語は、説示された特徴、領域、数字、段階、動作、構成要素、構成成分、部分品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴、領域や数字、段階、動作、構成要素、構成成分、部分品またはこれらを組み合わせた群の存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0028】
また、本明細書に開示した実施例を説明するにおいて、関連公知技術に関する具体的な説明が、本明細書に開示の実施例の要旨を濁らす恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0029】
最後に、特に定義しない限り、技術的や科学的な用語を含めて、ここで使うすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者によって一般的に理解されるものと同一の意味である。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上に有する意味と一致する意味であるものと解されなければならなく、本明細書で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解されない。
【0030】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳術する。
図1は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法を示したフローチャートであり、
図2は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図であり、
図3は、従来例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図であり、
図4は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図であり、
図5は、本発明の一実施例による部品供給システムを示した図であり、
図6は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法による設備構成を示した図であり、
図7は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法による各作業場及び作業台別作業処理状態を示した図であり、
図8は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法によるフローチャートである。
【0031】
図1は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法を示したフローチャートであって、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法は、モビリティの生産過程における各工程別に必要な部品を積み込んで各工程に供給する部品供給システムをプロセッサで運用する運用方法であって、プロセッサにおいて、モビリティを生産する各工程における時間帯別に必要な部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成する段階(S202)、プロセッサにおいて、部品供給スケジュールに応じて部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成する段階(S204)、プロセッサにおいて、デジタルツイン(digital twin)を介して部品積込スケジュールが部品供給スケジュールを満たすかどうかを検証する段階(S300)、及びプロセッサにおいて、デジタルツインの検証結果によって、部品積込スケジュールを修正するかどうかを決める段階(S400)を含む。
【0032】
図1に示したように、本発明の一実施例による部品供給システムは、モビリティの生産過程における各工程別に必要な部品を供給するためのシステムである。モビリティで行われる工程の例示は、下記表1のとおりである。
【表1】
【0033】
表1のように、モビリティの中で、車の車体トリムを組み立てるラインであるTE(Trim Equipment)1~5、車のシャシを構成するラインであるPM~AM、車のトリム工程及び最終工程をすべて行うラインであるT/Fコンバータブル(T/F Convertible)、車の仕上げ取付作業を行う最終ラインであるFE1~FE6の順に、モビリティが生産される各工程が行われることができる。本発明の一実施例による部品供給システムは、前記のようなモビリティの生産過程における各工程別に必要な部品を積み込んで各工程に供給する部品供給システムである。
【0034】
本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法において、第一の段階として、モビリティを生産する各工程における時間帯別に必要な部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成する(S202)。ここで、部品は、各工程に必要な複数の部品の一部または全体、一部または全体部品を積み込んだ部品セット箱、単一または複数の部品セット箱を積み込んだ部品セット箱の棚(rack)、部品セット箱に積み込めない部品を積載するパレダイスのパレット(pallet)のいずれか一つであることができる。前記の工程は、モビリティの日間/週間/月間の生産計画によって時間帯別にスケジューリングされた工程であって、各工程同士間が直列または並列に連結されることができ、これによって前後関係があり得る。これによって、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法は、各工程の予想開始時間/予想終了時間に合わせて各工程に必要な部品もスケジューリングする部品供給スケジュールを生成する。
【0035】
次の段階において、プロセッサで部品供給スケジュールに応じて部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成する(S204)。ここで、部品が積み込まれるものは、例えば、部品セット箱、部品セット箱の棚、及び/またはパレダイスのパレットが挙げられる。前記の部品の移動は、コンベヤーベルトによって行われることができる。コンベヤーベルトによって移動される部品は、自動倉庫(AS/RS)に格納されてピッキングされることができる。
【0036】
その次の段階において、プロセッサでデジタルツイン(digital twin)を介して部品積込スケジュールが部品供給スケジュールを満たすかどうかを検証し(S300)、デジタルツインの検証結果によって、部品積込スケジュールを修正するか、または確定する(S400)。ここで、デジタルツインとは、コンピュータ上に、現実における事物のツイン(twin)を作って、現実で発生し得る状況をコンピュータでシミュレーションすることで、その結果をあらかじめ予測する技術をいう。すなわち、センサーなどから入力されるデータが、デジタル環境にリアルタイムで反映され、これに基づきプロセッサ上でシステムを仮想で運用することにより発生される問題点をあらかじめ予測して解決する技術である。これによって、本段階では部品積込スケジュールが部品供給スケジュールを満たすかどうかを検証し、目標値に達していないなどの問題点が生じたら部品積込スケジュールを修正し、これによって、再度シミュレーションした結果を基に問題点が発生されなければ部品積込スケジュールを確定する。
【0037】
図2は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図であって、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法において、部品積込スケジュールを生成する段階(S204)は、部品セット箱の棚に部品セット箱を積み込むまでの所要のすべての作業時間が最小作業時間を満たすように、各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成することができる。そして、部品積込スケジュールを生成する段階(S204)は、各作業台間の稼動率のばらつきが最小化されるように、各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成することができる。すなわち、各工程に必要な部品を工程の手順に従って順に積み込むものではなく、目的に合わせて部品積込スケジュールを最適化することができる。
【0038】
図2の上段に示したように、一つまたは複数の部品が積み込まれる部品セット箱の例示として、次のような5種の部品セット箱が示されている。部品1個当り8秒の積込時間が必要であることを仮定して、各部品セット箱(SB1-SB5の順)別に、2個、10個、4個、1個、8個の部品がそれぞれ積み込まれるとしたら、予想される所要時間は、
図2の上段に示されているとおりである。このような部品点数の差は、一定した体積の部品セット箱に積み込まれる各部品の体積の差に起因することができる。
【0039】
図2の下段に示したように、各部品セット箱に部品が積み込まれる作業が行われる複数の作業場が示されている。ここで、各部品セット箱が投入される作業場及び各作業場に投入される順序は、
図2の下段の通りである。このとき、Aは従来例の部品供給システムのルールベースのアルゴリズムによる投入結果を示したものである。すなわち、Aは、作業場1にSB1、作業場2にSB2、作業場3にSB3、更に作業場1にSB4、作業場2にSB5を投入したものである。これによって、従来例では、複数の部品セット箱を要する作業(例えば、部品セット箱の棚卸し作業)をするに際してブロックタイム(blocked time)が発生する。
【0040】
これと異なり、B、Cは、本発明の一実施例による部品供給システムの数理最適化アルゴリズムによる投入結果を示したものである。つまり、本発明の一実施例による部品供給システムは、BとCのように、各部品セット箱が投入される作業場及び投入手順を列挙し、そのうち部品セット箱の棚に部品セット箱を積み込むまでの所要のすべての作業時間が最小作業時間を満たすか、各作業台間の稼動率のばらつきが最小化されるか、各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムが最小化されるような目的に合わせて最適の投入結果を選択する。これによって、目的に合わせて部品積込スケジュールが最適化されて効率的な部品供給が可能になる。
【0041】
ここでは数理最適化(Mathematical Optimization)アルゴリズムが活用されてもよい。また、数理最適化アルゴリズムには、整数計画モデルとして前記各作業台に投入される部品セット箱、その個数及び投入手順のように、一部の変数だけが整数であることを求める混合整数計画モデル(MIP、Mixed integer programming)が活用されることができる。ここで、目的関数(objection function)は、部品を積み込むまでの所要のすべての作業時間であってもよい。そして、ここで、決定変数(decision variables)は、部品セット箱及び部品セット箱の棚に投入される作業台、作業台に投入される投入時間であってもよい。そして、ここで制約条件(Constraint condition)は、作業場のうち選択される作業場の数、作業台内における作業間の前後関係、部品の体積が所定範囲や所定水準以下の中間部品を格納するバッファー倉庫が設置できない部品の積込の滞積によるブロックタイム(blocked time)、ある作業台と異なる作業を行う作業台との間の移動時間及び移動経路スケジュールを含む。
【0042】
図3は、従来例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図である。従来の部品供給システムで使われる自動倉庫(AS/RS)は、部品が保管されてピッキングされる倉庫であって、各部品の位置、当該位置に所在する部品点数、部品の特性などがデータベース化されている。従来の部品供給システムの一部として部品を積み込む前に部品を自動倉庫に保管する部品保管システムであって、従来例では部品供給システムで求める部品の払い出し(Release)頻度が高い順にA/B/Cの等級を付けた。すなわち、従来例では払い出し頻度が高い部品を、自動倉庫から積込場所へ部品を移動させるコンベヤーベルトに近くで、部品点数を少なく、保管領域を広く配置して、払い出し頻度が低い部品を、コンベヤーベルトに遠く、部品点数を多く、保管領域を狭く配置した。そして、従来例では1ヶ月ごとに払い出し頻度実績に基づいて当該等級を再算出した。
【0043】
図3に示したように、A等級とC等級との間の間隔が遠いから、部品の払い出し時間が最大数分の時間差が発生することができる。ところが、従来例では、実際のモビリティの生産計画に応じた各工程に必要な部品が互いに符合しないためタイムラグを発生させる可能性がある。例えば、C部品が車両の当日車体生産計画の中で特定時間帯に一時的に払い出される場合が多くなったら、後続作業が遅延するおそれがあるからである。
【0044】
したがって、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法は、部品積込スケジュールを生成する段階(S204)において、部品供給スケジュールに応じて部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを生成する段階をさらに含み(図示せず)、部品保管スケジュールを生成する段階は、一定周期ごとに各部品の払い出し(Release)頻度及び各部品の部品積込スケジュールを考慮して部品保管スケジュールを生成することができる。また他の実施例において、部品保管スケジュールを生成する段階(S204)において、自動倉庫は複数の自動倉庫を備え、それぞれの自動倉庫別に保管される部品の体積が異なっているように設定されており、一定周期ごとにそれぞれの自動倉庫別に保管された部品の払い出し頻度及びそれぞれの自動倉庫別に保管された部品の部品積込スケジュールを考慮して部品保管スケジュールを生成することができる。
【0045】
このようなスケジューリングにも数理最適化(Mathematical Optimization)アルゴリズムが用いられることができる。ここで、目的関数は、部品払い出しのアイドルタイム(idletime)及び/またはブロックタイムを含むことができる。また、ここで決定変数は、自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び/または部品点数を含むことができる。なお、ここで制約条件は、自動倉庫の保管可能な部品セット箱数、体積が相異なっている各部品セット箱別に保管可能な部品セット箱数、保管できない部品セット箱数の保管位置を含むことができる。
【0046】
図4は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法の一部の段階を示した図であって、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法において、部品積込スケジュールを生成する段階(S204)は、各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムを考慮して、部品供給スケジュールに応じて部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品の作業割り当て(allocation)及び作業間の前後関係(sequencing)がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成することができる。つまり、本発明の一実施例は、各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムが最小化されるように部品の積込、作業台間の移動などの作業を割り当て、積み込まれる部品の順序や積み込まれた部品の移動順序を最適化することができる。
【0047】
図4の実施例を説明するに先立って、
図4は各作業台のアイドルタイム及び/またはブロックタイムが発生する部品供給システムの運用方法の一部の段階の例示であって、作業台の数、その他量的・質的表現に限定しないことを明らかにする。
【0048】
図4に示しているように、各部品セット箱は、部品点数によって作業時間が相異しており、これを横長に比例するように図示した。そして、部品の体積別に相異なっているように設定されるそれぞれの自動倉庫であって、大型部品が保管される第1の自動倉庫と、これよりも体積が小さい中型部品が保管される第2の自動倉庫とからピッキングされた部品が積み込まれる第1の部品セット箱作業台(円で図示)と、第2の部品セット箱作業台(正五角形で図示)とを区別して図示した。そして、複数の部品セット箱が積み込まれる部品セット箱の棚(上から、第1~第3の部品セット箱の棚)は、積込済みの部品セット箱(実線で図示)と、積込予定の部品セット箱(点線で図示)とに区分して図示した。
【0049】
図4に示したように、第1の部品セット箱の棚は、3つの中型及び1つの大型で計4つの部品セット箱、第2の部品セット箱の棚は、1つの中型の部品セット箱、第3の部品セット箱の棚は、1つの中型の部品セット箱が必要である。すなわち、必要な部品セット箱がいずれも積み込まれなければ当該部品セット箱の棚卸し作業台は、次の作業を進めることができない。例えば、TE1工程で要する部品セット箱が第1の部品セット箱の棚に含まれた部品セット箱なら、当該部品セット箱(3つの中型、1つの大型)がいずれも積み付けられなければ、次の作業が進められない。これによって、作業が割り当てられない部品セット箱(「EX」で図示)は、ブロックタイム(blocked time)が発生する。よって、このようなブロックタイムや作業者が作業できないアイドルタイム(idle time)を考慮して、部品の作業を各作業台に割り当てて、部品の寸法や所要となる作業時間が相異なっている作業間の前後関係を設定しなければならない。
【0050】
図5は、本発明の一実施例による部品供給システムを示した図である。本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法において、部品供給スケジュールを生成する段階(S202)は、各工程における時間帯別に必要な複数の部品を積み込んだ部品セット箱、部品セット箱を積み込んだ部品セット箱の棚、及び部品セット箱に積み込めない部品を積載するパレダイスがスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成することができる。すなわち、本発明の一実施例による部品供給システムではパレダイス作業までスケジューリングされることができる。
【0051】
図5に示したように、本発明の一実施例による部品供給システムにおいて、コンベヤーベルトを通じて部品が搬送されることで自動倉庫に入庫されて払い出される工程が先に行われる。次の段階で、部品セット箱がGTP(Goods-To-Person)、すなわち自動倉庫から必要な部品セット箱を作業者の手前に移動させる。その次の段階で、部品セット箱の作業者は、部品セット箱に、各工程に必要な部品を積み込み、その部品セット箱は部品セット箱の棚卸し作業者が部品セット箱の棚に積込可能にコンベヤーベルトを通じて移動される。積込済みの部品セット箱の棚は、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)または自律走行搬送ロボット(AMR、Automated Mobile Robot)のような物流装備によって搬送される。最終的に、ボックスの体積や作業台の限界などによって部品セット箱に積み込めない部品をパレダイスのパレットに更に積みつけるようになる。勿論、このような事情のある特定の部品セット箱の棚のみに当該段階を付加的に進行する。
【0052】
ただし、
図5に示したように、実際の最適化以降に部品供給システムを運用するに際して、自動倉庫の入庫/払い出し段階、及び部品セット箱がコンベヤーを通じて搬送される段階では、多様な理由で移動中待ちが発生して移動時間が遅延することがあり得る。また、部品セット箱作業時、自動倉庫から部品セット箱作業台へと部品が供給される時間が遅延し、それに伴い作業時間が遅延することがある。
【0053】
このような問題点を解決するために、
図8に示したデジタルツインについて次に説明する。
図8は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法によるフローチャートであって、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法の検証する段階(S300)において、部品輸送量(quantity of parts transported)を含む部品供給スケジュールが目標輸送量以上の部品輸送量を満たすかどうかを検証し(S302)、検証段階以後、目標輸送量未満の部品輸送量を供給する場合、部品が保管される自動倉庫に保管されるべき各部品の位置及び部品点数を決定する部品保管スケジュールを修正(S304、S306)した後に、検証する段階に戻ることができる。
【0054】
他の一実施例として、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法であって、検証する段階(S300)において、部品輸送量を含む部品供給スケジュールが目標輸送量以上の部品輸送量を満たすかどうかを検証し(S302)、検証段階以後、目標輸送量未満の輸送量を供給する場合、時間帯別に部品を供給する各作業台で作業済みの部品が搬送される搬送経路(S306)を含む部品積込スケジュールを修正した後に検証する段階に戻ることができる。
【0055】
図8に示したように、部品供給前に、モビリティの生産過程で経なければならない各工程及び目標生産量を含む生産計画を最適化する段階が行われることができる(S100)。そして、前述のように各工程における時間帯別に必要な部品がスケジューリングされた部品供給スケジュールを生成するか(S202)、部品供給スケジュールに応じて部品を供給する各作業台ごとに時間帯別に積み込まれるべき部品がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成する(S204)など、物流運営計画を最適化する段階(S200)が行われることができる。
【0056】
また、
図8に示したように、本発明の他の一実施例として、デジタルツインを介した物流運営シミュレーションを行い(S300)、その後に目標輸送量を満たしていない場合(S302)、その原因として、自動倉庫部品供給関連異常にあたるかどうかを先に検知することができる(S304)。ここで、部品供給関連異常とは、自動倉庫から部品セット箱作業場へ部品を適時に供給できない状況を含む。例えば、当日のモビリティ生産計画上、C部品が特定時間帯に集中的に多く所要となるにもかかわらず、コンベヤーベルトの付近に多く配置されておらず、そのため部品供給が遅れることがある。もしくは、このような部品供給過程で、異なる位置にある部品が同時に移動されるコンベヤーベルト移動途中、部品セット箱が衝突する可能性があり、該衝突を防止するためにブロックタイムがさらに発生することで、部品供給が遅くなることがある。この場合、
図8に示したように、自動倉庫システムの基準情報を活用してC部品の保管位置をコンベヤーベルトと近く変更させる段階をさらに行うことができる(S305)。
【0057】
または、
図8に示したように、本発明の他の一実施例として、自動倉庫部品供給関連異常がない場合、コンベヤー移動関連異常であるかどうかを検知することができる(S306)。例えば、部品セット箱作業台で作業済みの部品セット箱が、次の作業である部品セット箱の棚卸し作業台へと搬送されるときに共有するコンベヤーラインがあると想定する。そうすると、類似する時間帯に二つの部品セット箱が払い出される場合衝突する恐れがあり、該衝突を防止するためにブロックタイムがさらに発生することがある。この場合、ブロックタイム及びアイドルタイムを考慮して再び物流計画を最適化し(S200)、デジタルツインで検証(S300)を行うことができる。このような検証を経て物流運営計画は確定されて適用できるようになる(S400)。
【0058】
図6は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法による設備構成を示した図であって、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法において、自動倉庫は各作業台での作業済みの部品の中であらかじめ設定された体積範囲内の部品が保管されるバッファー倉庫をさらに含み、部品積込スケジュールを生成する段階において、体積範囲外の部品を供給する各作業台のアイドルタイム及びブロックタイムを考慮して、部品の作業割り当て(allocation)及び作業間の前後関係(sequencing)がスケジューリングされた部品積込スケジュールを生成することができる。言い換えれば、本発明の一実施例による部品供給システムは、大型部品が積み込まれた大型部品セット箱であって、作業時間が長く、バッファー倉庫を利用することができないことを考慮して、部品積込スケジュールを生成するように運用され得る。
【0059】
図6に示したように、自動倉庫は、体積範囲内の中型部品を保管する第1の自動倉庫及び体積範囲外の大型部品を保管する第2の自動倉庫と、中型部品が積み込まれた部品セット箱を保管するバッファー倉庫とを含む。バッファー倉庫は、中型部品が積み込まれた部品セット箱を保管し、当該作業が完了しても大型キットボックス作業が完了することを待機しないで次の作業が行われるまで、引き続き作業させる。ただし、このようなバッファー倉庫のバッファーを確保することができない場合や、バッファー倉庫に保管されることができずに作業が完了した部品セット箱は、ブロックタイムを伴うしかない。このようなブロックタイムを考慮して部品積込スケジュールを生成するように最適化することが、本発明の一実施例による部品供給システムの特徴である。
【0060】
図7は、本発明の一実施例による部品供給システムの運用方法による各作業場及び作業台別の作業処理状態を示した図である。
図7に示したように、各作業台での作業は、バッファー機能を行うことができない場合、ブロック(blocked)タイムが発生する。作業台3のように、特定時間帯に作業者が作業することができないアイドル(idle)タイムまで鑑みると、アイドルタイム及びブロックタイムを考慮した部品積込スケジュールの最適化を行う本発明の一実施例は、バッファー倉庫を活用することで物流供給を円滑にすることができるとともに、最適化することで作業台の利用率を高め、全体としての生産設備効率も向上させる。
【0061】
下記表2は、従来例のルールベースのアルゴリズムを基盤とした部品供給システムと対比して、本発明の数理最適化アルゴリズムとして混合整数モデルを基盤とした部品供給システムのスケジューリングによって改善されるすべての作業時間減少量を示した表である。
【表2】
【0062】
このように、本発明の一実施例による部品供給システムの運営方法は、物流移動による誤謬をデジタルツインを介してシミュレーションして除去するとともに、物流作業割り当てを最適化することによりすべての作業時間の減少を達成する。
【0063】
前述した機能、過程及び/または方法を具現するプロセッサ(processor)は、電源が供給される状態でデータを処理して、制御信号を生成し、制御信号を提供することができる。また、プロセッサはサーバーに含まれることができる。そして、プロセッサは、サーバーの機能を制御するためのプロセッシング回路(processing circuitry)で構成されることができ、サーバーは、プロセッサ、送信部、受信部、及びメモリーを含むことができる。
【0064】
なお、前記プロセッサは、ASIC(application specific integrated circuits)、DSP(digital signal processor)、PLD(programmable logic device)、FPGA(field programmable gate arrays)、コントローラー(controller)、マイクロコントローラー、マイクロプロセッサー、その他機能遂行のための電気的ユニットの中の少なくともいずれか一つを用いて具現されることができる。
【0065】
また、前記プロセッサは、プログラムコード及びデータを格納し、コンピュータで読み取り可能な記録媒体としてのメモリーと電気的に接続されて信号を交換することができる。メモリーは、プロセッサで処理されたデータを格納することができる。ここで、メモリーは、ハードウェア上のROM、RAM、EPROM、フラッシュドライブ、ハードドライブの少なくともいずれか一つで構成されることができる。メモリーは、プログラムと一体形で具現されるか、プロセッサの下位構成に分類されることができる。
【0066】
本発明について実施例を中心に説明した。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で、変形された形態で具現され得ることを理解することができる。
つまり、本発明による実施例は、多様な変更を加えることができ、いろいろな形態を有することができるので、特定の実施例を図面に例示して、本明細書に詳述している。しかし、これは本発明の概念による実施例を特定の開示形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0067】
したがって、開示の実施例は、限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に現われており、それと均等な範囲内にあるあらゆる相違点は、本発明に含まれたものと解されなければならない。