(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043179
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】アミド化合物を含むフォトレジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230320BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20230320BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20230320BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20230320BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230320BHJP
C07C 233/05 20060101ALN20230320BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/039 601
G03F7/038 601
C08F220/10
G03F7/20 521
C07C233/05
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022145390
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】17/475,436
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、カンモ
(72)【発明者】
【氏名】カン、ピルチェ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウォンスク
(72)【発明者】
【氏名】イム、ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ユジョン
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4H006
4J100
【Fターム(参考)】
2H197AA12
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197GA01
2H197HA03
2H197JA22
2H225AF24P
2H225AF25P
2H225AF53P
2H225AF67P
2H225AF70P
2H225AF99P
2H225AH12
2H225AH17
2H225AH19
2H225AJ12
2H225AJ13
2H225AJ53
2H225AJ54
2H225AJ55
2H225AN11P
2H225AN39P
2H225AN54P
2H225AN56P
2H225AN63P
2H225AN68P
2H225BA02P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB10
2H225CC01
2H225CC15
2H225CD05
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB80
4H006BV22
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AL08S
4J100BA11P
4J100BA11S
4J100BC03Q
4J100BC09R
4J100BC53P
4J100BC53S
4J100JA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アミド化合物を含むフォトレジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】本明細書では、酸不安定基を含む第1のポリマーと;光酸発生剤と;11を超える親油性(logP)値を有するトリアルキルアミド化合物を含む酸拡散制御剤と;を含有するフォトレジスト組成物が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸不安定基を含む第1のポリマーと;
光酸発生剤と;
11を超える親油性(logP)値を有するトリアルキルアミド化合物を含む酸拡散制御剤と;
を含有するフォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記トリアルキルアミド化合物が、置換若しくは無置換の、直鎖、環状、又は分岐のC7~C20アルキルを含む、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記トリアルキルアミド化合物が式(1):
【化1】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、置換若しくは無置換であってよい直鎖、環状、又は分岐のC
7~C
20アルキル基である)の構造を有する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
R1がR2及びR3とは異なる数の炭素原子を有する、請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
R2とR3が同じ数の炭素原子を有する、請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
R1が7~13個の炭素原子を有する直鎖アルキルであり、R2及びR3が同じ数の炭素原子を有し、且つ7~15個の炭素原子を有する直鎖アルキルである、請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記第1のポリマーが、以下のモノマー:
【化2】
のうちの少なくとも2種の重合により誘導される、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
(a)基板において、請求項1に記載のフォトレジスト組成物の層を塗布する工程と、
(b)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターンごとに露光する工程と、
(c)レジストレリーフ画像を提供するために、前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像する工程と
を含むパターン形成方法。
【請求項9】
前記レジストレリーフ画像のパターンを前記基板に転写する工程を更に含む、請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記露光されたフォトレジスト組成物層が有機溶剤系現像液で現像される、請求項8に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明は、フォトレジスト組成物、及びネガ型現像プロセスを使用する微細パターンの形成を可能にするフォトリソグラフィープロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
材料と加工の観点の両方から、液浸リソグラフィーにおけるポジ型現像の実際の解像能を拡げるために多くの努力が払われてきた。そのような例の1つには、ネガ型現像(NTD)が含まれ、これは、明視野マスクで得られた優れた画像品質を使用して重要な暗視野層を印刷できる画像反転技術である。NTDレジストは、典型的には、酸不安定基を有する樹脂と光酸発生剤とを使用する。化学線への露光により、光酸発生剤が酸を形成し、これは露光後ベーク中に、樹脂中の酸不安定基を開裂させる。その結果、レジストの露光領域と未露光領域との間に有機現像液に対する溶解特性の差が形成され、結果としてレジストの未露光領域が現像液によって除去され、不溶性の露光領域によって形成されたパターンが残される。そのようなプロセスは、例えば、Goodallらの(特許文献1)に記載されている。記載されているレジストの化学について、レジスト層の露光領域をアルカリ現像液で選択的に除去することができ、或いはその代わりに未露光領域をネガ型現像用の適切な非極性溶媒で処理することにより選択的に除去することができる。
【0003】
発明者らは、NTDプロセスにおけるフォトレジストの表面阻害が、コンタクトホールの「ネッキング」又は現像されたレジストパターンのラインパターン及びトレンチパターンにおける「Tトッピング」をもたらし得ることを観察した。ネッキングやTトッピングが発生すると、一般的に、焦点深度や露出ラチチュードなどのプロセスウィンドウが不十分になる。これらの問題は、例えば、コンタクトホールのランダムな欠落や、狭いトレンチ又はラインパターン形成の場合のマイクロブリッジの欠陥をもたらし、デバイスの歩留まりに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
Baeらの、(特許文献2)には、酸に敏感なマトリックスポリマーと、第1のポリマーの表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する特定の添加剤ポリマーと、光酸発生剤と、溶剤とを含むフォトレジスト組成物が開示されている。この文献は表面阻害に関連する問題を認識しているものの、この問題に対するさらに改善された解決手段が必要とされている。
【0005】
電子デバイス製造における微細パターンの形成を可能にし、且つ従来技術に関連する1つ以上の問題に対処する、ネガ型現像用の改良された組成物及びフォトリソグラフィー法が、当該技術分野において継続的に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,790,579号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0294069A1号明細書
【特許文献3】米国特許第6057083号明細書
【特許文献4】米国特許第6136501号明細書
【特許文献5】米国特許第8206886号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第01008913A1号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第00930542A1号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2012/0064456A1号明細書
【特許文献9】米国特許第6,042,997号明細書
【特許文献10】米国特許第5,492,793号明細書
【特許文献11】米国特許第5,929,176号明細書
【特許文献12】米国特許第6,090,526号明細書
【特許文献13】米国特許第6,692,888号明細書
【特許文献14】米国特許第6,680,159号明細書
【特許文献15】米国特許第5,843,624号明細書
【特許文献16】米国特許第6,048,664号明細書
【特許文献17】米国特許第6,048,662号明細書
【特許文献18】国際公開第0186353A1号パンフレット
【特許文献19】米国特許第6,306,554号明細書
【特許文献20】米国特許第7,244,542号明細書
【特許文献21】米国特許第8,431,325号明細書
【特許文献22】米国特許第4,189,323号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、酸不安定基を含む第1のポリマーと;光酸発生剤と;11を超える親油性(logP)値を有するトリアルキルアミド化合物を含む酸拡散制御剤と;を含有するフォトレジスト組成物が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で用いられる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0009】
本明細書で用いられる場合、「酸不安定基」は、結合が、酸の触媒作用によって、任意選択的に及び典型的に熱処理で開裂され、ポリマー上に形成される、カルボン酸又はアルコール基などの、極性基をもたらす基を指し、任意選択的に及び典型的に開裂された結合に接続した部分は、ポリマーから切り離される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーキング中に結合開裂が起こる光発生酸である。好適な酸不安定基には、例えば:三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基が含まれる。酸不安定基はまた一般に、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」、及び「酸感受性基」とも言われる。
【0010】
本明細書では、酸不安定基を含むポリマーと;光酸発生剤と;11より大きい親油性(logP)値を有するトリアルキルアミド化合物を含む酸拡散制御剤と;を含有するフォトレジスト組成物が開示される。トリアルキル官能基の各アルキル鎖は、置換若しくは無置換のC7~C20アルキルを含んでいてもよく、これは直鎖、環状、又は分岐であってもよい。
【0011】
フォトレジストにおける直鎖又は分岐のトリアルキル置換アミド化合物の使用は、コンタクトホールなどのレリーフ画像の形状を大幅に向上させることができる。特に、各アルキル鎖が7~20個の炭素原子数を有するトリアルキル置換アミド化合物を使用すると、より短いアルキル鎖長を有するアミド錯体又は他のタイプの塩基性添加剤(アミン含有化合物など)を含む他のフォトレジストと比較して、向上したリソグラフィー結果を示す。
【0012】
最も一般的にはLogPと呼ばれる親油性は、油相と液相の2つの相の間の化合物の濃度の平衡時点における比を表す。LogP値は、次の方法で定義される定数である:LogP=log10(分配係数)分配係数、P=[有機]/[水性]、角括弧「[]」は、有機画分及び水性画分中の溶質の濃度を表す。
【0013】
フォトレジスト組成物は、酸不安定基を含む1種以上のマトリックスポリマーを含む。酸不安定基は、酸の存在下で容易に脱保護反応を受ける化学部位である。フォトレジスト組成物の層の一部としてのマトリックスポリマーは、ソフトベーク、活性化放射線の照射、及びポスト露光ベーク後に光酸発生剤から発生した酸と反応する結果として、現像液中での溶解度が変化する。これは、マトリックスポリマーの極性の変化を引き起こす酸不安定基の光酸誘導開裂に起因する。酸不安定基は、例えば、三級アルキルカーボネート、三級アルキルエステル、三級アルキルエーテル、アセタール、及びケタールから選択することができる。好ましくは、酸不安定基は、マトリックスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した三級非環状アルキル炭素又は三級脂環式炭素を含むエステル基である。そのような酸不安定基の開裂により、カルボン酸基が形成する。
【0014】
適切な酸不安定基含有単位としては、例えば、t-ブチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-プロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-プロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、エチルフェンチル(メタ)アクリレートなど、並びに脂環式などの他の環状、及び非環状の(アルキル)アクリレートのような酸不安定(アルキル)アクリレート単位が挙げられる。アセタール及びケタール系の酸不安定基は、カルボキシル基やヒドロキシル基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子を置換して酸素原子と結合することができる。酸が発生すると、アセタール基又はケタール基と、アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合している酸素原子との間の結合が酸によって開裂する。そのような酸不安定基の例は、例えば、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、及び(特許文献7)に記載されている。例えば(特許文献8)に記載されているように、開裂によりヒドロキシル基が形成される、糖誘導体構造の一部としてのアセタール基及びケタール基も適切である。
【0015】
248nmなどの200nm以上の波長では、適切な樹脂材料としては、例えば酸不安定基を含むフェノール樹脂が挙げられる。この分類の特に好ましい樹脂には以下が含まれる:(i)(特許文献9)及び(特許文献10)に記載されているポリマーなどの、ビニルフェノールと上述した酸不安定(アルキル)アクリレートとの重合した単位を含むポリマー;(ii)(特許文献9)に記載されているポリマーなどの、ビニルフェノールと、ヒドロキシ又はカルボキシ環置換基を含まない任意選択的に置換されていてもよいビニルフェニル(例えばスチレン)と、上述したような酸不安定(アルキル)アクリレートとの重合した単位を含むポリマー;(iii)(特許文献11)及び(特許文献12)に記載されているポリマーなどの、光酸と反応するアセタール又はケタール部位を含む繰り返し単位と、任意選択的なフェニル基やフェノール基などの芳香族繰り返し単位とを含むポリマー;並びに(i)及び/又は(ii)及び/又は(iii)のブレンド。
【0016】
193nmなどの特定の200nm未満の波長で画像化するために、マトリックスポリマーは、典型的には、フェニル、ベンジル又は他の芳香族基を実質的に含まず(例えば15モル%未満)、好ましくは完全に含まず、このような基は放射を高度に吸収する。芳香族基を実質的に又は完全に含まない適切なポリマーは、(特許文献7)、(特許文献13)及び(特許文献14)に記載されている。
【0017】
他の適切なマトリックスポリマーには、例えば、任意選択的に置換されたノルボルネンなどの非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合単位を含有するもの、例えば、(特許文献15)及び(特許文献16)に記載されているポリマーが含まれる。更に他の適切なマトリックスポリマーには、(特許文献6)及び(特許文献17)に開示されているものなどの、重合した酸無水物単位、特に重合したマレイン酸無水物及び/又はイタコン酸無水物単位を含有するポリマーが含まれる。
【0018】
ヘテロ原子、特に酸素及び/又は硫黄を含有する繰り返し単位(ただし酸無水物以外、すなわち単位がケト環原子を含有しない)を含む樹脂も、マトリックスポリマーとして適している。ヘテロ脂環式単位は、ポリマーの主鎖に縮合することができ、ノルボルネン基の重合によって提供されるなどの縮合炭素脂環式単位及び/又はマレイン酸無水物若しくはイタコン酸無水物の重合によって提供されるなどの酸無水物単位を含むことができる。そのようなポリマーは、(特許文献18)及び(特許文献19)に開示されている。他の適したヘテロ原子基含有マトリックスポリマーには、(特許文献20)に開示されているような、1つ以上のヘテロ原子(例えば酸素又は硫黄)含有基、例えばヒドロキシナフチル基で置換された重合した炭素環アリール単位を含有するポリマーが含まれる。
【0019】
193nm及びEUV(例えば13.5nm)などの200nm未満の波長の場合、マトリックスポリマーは、典型的には、マトリックスポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解速度を制御するためのラクトン部位を含む単位をさらに含む。ラクトン部位を含むマトリックスポリマーにおける使用に適したモノマーとしては、例えば以下のものが挙げられる:
【化1】
【0020】
そのようなマトリックスポリマーは、典型的には極性基を含む単位をさらに含み、この極性基は、マトリックスポリマー及びフォトレジスト組成物の耐エッチング性を高め、且つマトリックスポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解速度を制御する追加の手段を提供する。そのような単位を形成するためのモノマーとしては、例えば以下のものが挙げられる:
【化2】
【0021】
マトリックスポリマーは、上述したタイプの1種以上の追加の単位を含むことができる。典型的には、マトリックスポリマーの追加の単位は、ポリマーの他の単位を形成するために使用されるモノマーに使用されるものと同じ又は同様の重合性基を含むが、同じポリマー主鎖に他の異なる重合性基を含んでいてもよい。
【0022】
マトリックスポリマーは、後述する添加剤ポリマーよりも高い表面エネルギーを有し、添加剤ポリマーと実質的に非混和性である必要がある。表面エネルギーの相違の結果として、マトリックスポリマーからの添加剤ポリマーの分離がスピンコーティング中に生じる。マトリックスポリマーの適切な表面エネルギーは、典型的には20~50mN/m、好ましくは30~40mN/mである。
【0023】
これに限定されるものではないが、例示的なマトリックスポリマーとしては、例えば以下のものが挙げられる:
【化3】
【0024】
第1のポリマーとして使用することができる他の例示的なコポリマーとしては、例えば以下のものが挙げられる:
【化4】
【化5】
【化6】
【0025】
本発明のフォトレジスト組成物において使用するための適切なマトリックスポリマーは市販されており、当業者が容易に製造することができる。マトリックスポリマーは、レジストの露光されたコーティング層を適切な現像剤溶液中で現像可能にするのに十分な量でレジスト組成物中に存在する。典型的には、マトリックスポリマーは、レジスト組成物の全固形分を基準として70~95重量%の量で組成物中に存在する。マトリックスポリマーの重量平均分子量Mwは典型的には100,000未満、例えば4000~100,000、より典型的には4000~15,000である。上記マトリックスポリマーの2種以上のブレンドを本発明のフォトレジスト組成物において好適に使用することができる。
【0026】
フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光時に組成物のコーティング層に潜像を生み出すのに十分な量で用いられる光酸発生剤(PAG)を更に含む。例えば、光酸発生剤は好適には、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて約1~30重量%の量で存在している。典型的には、化学増幅型レジストのためには、より少ない量の光活性成分が適している。
【0027】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の光酸発生剤(PAG)を更に含む。適切な光酸発生化合物は、式G
+A
-を有し得、この場合、G
+は、有機カチオンであり、A
-は、典型的には、スルホネート、スルホンアミドのアニオン、スルホンイミドのアニオン又はメチドアニオンを含む有機アニオンである。適切な有機アニオンは、例えば、フルオロアルキル及びアルキルスルホネート、フルオロ-シクロアルキル及びシクロアルキルスルホネートを含む。
【化7】
【0028】
適切な有機カチオンは、例えば、2つのアルキル基、アリール基又はアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン及び3つのアルキル基、アリール基又はアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンを含む。いくつかの実施形態では、G
+は、2つのアルキル基、アリール基又はアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン又は3つのアルキル基、アリール基若しくはアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンである。いくつかの実施形態では、G
+は、式(2A)を有する置換スルホニウムカチオンである:
【化8】
(式中、各R
aaは、独立して、C
1~20アルキル基、C
1~20フルオロアルキル基、C
3~20シクロアルキル基、C
3~20フルオロシクロアルキル基、C
2~20アルケニル基、C
2~20フルオロアルケニル基、C
6~30アリール基、C
6~30フルオロアリール基、C
6~30ヨードアリール基、C
1~30ヘテロアリール基、C
7~20アリールアルキル基、C
7~20フルオロアリールアルキル基、C
2~20ヘテロアリールアルキル基、又はC
2~20フルオロヘテロアリールアルキル基であり、これらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり、各R
aaは、別のR
aa基と離れているか、又は単結合若しくは二価の連結基を介して連結して環を形成する)。各R
aaは、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、-C
1~12ヒドロカルビレン-、-O-(C
1~12ヒドロカルビレン)-、-C(O)-O-(C
1~12ヒドロカルビレン)-、及び-C(O)-O-(C
1~12ヒドロカルビレン)-O-から選択される1つ以上の基を含み得る。各R
aaは、独立して、任意選択で、例えば三級アルキルエステル基、二級又は三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級又は三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基から選択される、酸に不安定な基を含み得る。R
aa基の連結に適した二価連結基としては、例えば、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-C(S)-、-C(Te)-又は-C(Se)-、置換若しくは無置換C
1~5アルキレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
式(2A)の例示的なスルホニウムカチオンには、以下が含まれる:
【化9】
【化10】
【0030】
適切なPAGとしては、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。そのようなPAGの1つ以上を使用することができる。
【0031】
適切な光酸発生剤は、Hashimotoらの(特許文献21)の37列11~47行及び41~91列に詳しく記載されている。他の適切なスルホネートPAGは、(特許文献22)及び(特許文献21)に記載されているような、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートを含む。典型的には、光酸発生剤は、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて1~30重量%、より典型的には5~27重量%、より好ましくは8~25重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0032】
本発明のフォトレジスト組成物のための適切な溶媒には、例えば:2-メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;乳酸メチル及び乳酸エチルなどの乳酸エステル;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのプロピオン酸エステル、及び2-ヒドロキシイソ酪酸メチル;メチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;並びにメチルエチルケトン、シクロヘキサノン及び2-ヘプタノンなどのケトンが含まれる。上で記載された溶媒の2つ、3つ以上のブレンドなどの溶媒のブレンドもまた適している。溶媒は、典型的には、フォトレジスト組成物の総重量を基準として、90~99重量%、より典型的には95~98重量%の量で組成物中に存在する。
【0033】
フォトレジスト組成物のための他の任意選択的な添加剤としては、例えば、化学染料及びコントラスト染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度向上剤、増感剤などが挙げられる。このような任意選択的な添加剤は、使用される場合、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.1~10重量%などの少量で組成物中に存在するが、充填剤及び染料は、例えばフォトレジスト組成物の総固形分を基準として5~30重量%などの比較的高い濃度で存在することができる。
【0034】
本発明のレジスト組成物の好ましい任意選択的な添加剤は、現像されたレジストレリーフ画像の解像度を高めることができる添加塩基である。適切な塩基性失活剤としては、例えば、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル-)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド及びそれらの誘導体;ピリジン及びジ-tert-ブチルピリジンなどの芳香族アミン;トリイソプロパノールアミン、n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザントリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、1-ピロリジンカルボン酸tert-ブチル、2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボン酸tert-ブチル、ピペラジン-1,4-ジカルボキン酸ジ-tert-ブチル及びN(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミンが挙げられる。これらの塩基性失活剤の中でも、1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン及びトリイソプロパノールアミンが好ましい。添加される塩基は、比較的少量で、例えば、PAGに対して1~30重量%、より典型的にはPAGに対して5~15重量%で適切に使用される。
【0035】
フォトレジスト組成物は、11を超える、12を超える、13を超える、及び15を超える親油性(logP)値を有するトリアルキルアミド化合物を含む酸拡散制御剤も含有する。トリアルキルアミド化合物は、式(1)の構造を有する
【化11】
(式中、R
1、R
2、及びR
3のうちの少なくとも1つは、独立して、置換若しくは無置換であってよい直鎖、環状、又は分岐のC
7~C
20アルキル基である)。一実施形態では、好ましくは、R
1、R
2、及びR
3のそれぞれは、独立して、置換若しくは無置換であってよい直鎖、環状、又は分岐のC
7~C
20アルキル基である。置換アルキル基は、少なくとも1つのアルキレン基がN、S、又はOで置換されているものである。
【0036】
一実施形態では、R1、R2、又はR3は、独立して、7~15個の炭素原子を有するアルキル、7~15個の炭素原子を有するシクロアルキル、少なくとも1つの-CH2-がN、S、又はOで置換された7~15個の炭素原子を有するアルキルであってよい。
【0037】
一実施形態では、R1、R2、及びR3は、同じ数又は異なる数の炭素原子を有するアルキル基又はシクロアルキル基である。一実施形態では、R1は、R2又はR3とは異なる数の炭素原子を有するが、R2及びR3は同じ数の炭素原子を有する。一実施形態では、R1は7~13個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル又はシクロアルキルであり、R2及びR3は、それぞれ同じ数の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル又はシクロアルキルである。一実施形態では、R2及びR3は、それぞれ同じ数の7~15個の炭素原子、好ましくは8~13個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル又はシクロアルキルである。一実施形態では、R1は、奇数個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル又はシクロアルキルであり、R2及びR3は、偶数個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル又はシクロアルキルである。
【0038】
トリアルキルアミド化合物は、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として、0.3~5重量%、より典型的には0.8~2重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0039】
本発明に従って使用されるフォトレジストは、概して以下の公知の手順に従って調製される。例えば、本発明のレジストは、フォトレジストの成分を適切な溶媒、例えば、2-メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;乳酸エチル乳酸やメチルなどの乳酸エステル(乳酸エチルが好ましい);プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、及びエトキシプロピオン酸エチル;セロソルブ酢酸メチル等のセロソルブエステル;トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素;又はメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び2-ヘプタノンなどのケトン;のうちの1つ以上に溶解させることによってコーティング組成物として調製することができる。フォトレジストの所望の全固形分は、組成物中の特定のポリマー、最終層厚さ及び露光波長などの要因に依存するであろう。典型的にフォトレジストの固形分は、フォトレジスト組成物の全重量に基づいて1~10重量%、より典型的に2~5重量%変化する。
【0040】
フォトレジスト組成物は、1種以上の追加の任意選択的な添加剤を更に含み得る。例えば、任意の添加剤は、1つ以上の光分解性失活剤(光分解性塩基としても知られる)、上記のジアミド失活剤化合物に加えて塩基性失活剤、界面活性剤、レジスト安定剤、化学染料及び造影剤、ストライエーション防止剤、可塑剤、速度向上剤、増感剤など、又はこれらの組み合わせを含み得る。以下に別段の記載がない限り、任意の添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0041】
光分解性失活剤は、照射時に弱酸を生成する。光分解性失活剤から生成された酸は、レジストマトリックスに存在する酸に不安定な基と迅速に反応するほど強力ではない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは例えばC1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸等の強酸発生剤化合物であるが、弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。例示的なカルボン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。好ましい実施形態では、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレート等の光分解性有機双性イオン化合物である。
【0042】
例示的な塩基性失活剤としては、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン:n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザントリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの直鎖脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート、及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン、及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン、及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド並びにその誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート、及びホスホネートの四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;一級及び二級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン、及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール、及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンなどの任意選択的に置換されたピロリドンが挙げられる。
【0043】
例示的な界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、イオン性又は非イオン性であることができ、非イオン性界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤としては、3M Corporationから入手可能なFC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC4界面活性剤並びにOmnovaのPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールが挙げられる。一態様では、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーを更に含む。
【0044】
フォトレジスト組成物は、公知の手順に従って調製することができる。例えば、組成物は、組成物の固体(非溶媒)成分を溶媒成分に溶解することによって調製することができる。
【0045】
次に、本発明のフォトレジスト組成物を使用するパターン化方法について説明する。フォトレジスト組成物をコーティングすることができる適切な基板は、電子デバイス基板を含む。多種多様の電子デバイス基板、例えば:半導体ウェハー;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板等などが、本発明において使用され得、半導体ウェハーが典型的である。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあってもよい。そのような基板は、任意の適切なサイズであってもよい。典型的なウェハー基板直径は、200~300ミリメートル(mm)であるが、より小さい直径及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って適切に用いられ得る。基板は、形成されつつあるデバイスの動作中の部分又は動作可能な部分を任意選択的に含んでいてもよい1つ以上の層又は構造体を含んでいてもよい。
【0046】
典型的には、ハードマスク層、例えば、スピンオンカーボン(SOC)、非晶質炭素、若しくは金属ハードマスク層、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、若しくはオキシ窒化シリコン(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下層、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィー層が、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上表面上に提供される。そのような層は、オーバーコートされたフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィー材料スタックを形成する。
【0047】
任意選択的に、接着促進剤の層が、フォトレジスト組成物をコーティングする前に基板表面に塗布され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、典型的には、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカップリング剤などの、ポリマー膜用の任意の適切な接着促進剤が使用され得る。特に適切な接着促進剤としては、DuPont Electronics&Imaging(Marlborough,Massachusetts)から入手可能な、AP 3000、AP 8000、及びAP 9000Sの名称で販売されているものが挙げられる。
【0048】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング等などの、任意の適切な方法によって基板上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、その場合に、フォトレジストは、回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーを典型的には毎分4,000回以下の回転数(rpm)の速度で回転させ、例えば200~3,000rpm、例えば1,000~2,500rpmで15~120秒にわたって回転させ、基板上にフォトレジスト組成物の層を得る。コートされる層の厚さは、スピン速度及び/又は組成物の固形分量を変えることによって調節することができる。本発明の組成物から形成されたフォトレジスト層の厚さは、用途に応じて大きく変動し得る。特定の用途では、フォトレジストは、10~400ナノメートル(nm)、好ましくは15~200nm、より好ましくは50~100nmの乾燥された層の厚さを有することができる。
【0049】
フォトレジスト組成物は、典型的には、次に、層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度と時間は、例えば、特定のフォトレジストの組成と厚さに依存する。ソフトベーク温度は、典型的には、70~170℃、例えば70~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分、例えば1分~10分又は1分~5分である。加熱時間は、組成物の成分を基づいて当業者により容易に決定することができる。
【0050】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の違いを生み出すために活性化放射線にパターン様露光される。組成物のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。露光は、典型的には、レジスト層の露光領域と非露光領域とにそれぞれ対応する、光学的に透明な領域と光学的に不透明な領域とを有するパターン化フォトマスクを通して行われる。代わりに、そのような露光は、典型的には電子ビームリソグラフィーのために用いられる、直接描画法において、フォトマスクなしで行われ得る。活性化放射線は、典型的には、248nm(KrF)、193nm(ArF)及び13.5nm(EUV)の波長で未満-400nm、未満-300nm若しくは未満-200nmの波長を有するか、又は電子ビームリソグラフィーが好ましい。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィー技術で使用される。露光エネルギーは、典型的には、1平方センチメートル当たり1~200ミリジュール(mJ/cm2)、好ましくは10~100mJ/cm2、より好ましくは20~50mJ/cm2であり、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存する。
【0051】
フォトレジスト層の露光後に、露光されたフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBの条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物及び層厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、80~150℃の温度及び30~120秒の時間で実施される。極性が切り替わった領域(露光領域)と切り替わっていない領域(非露光領域)とによって規定される潜像がフォトレジストに形成される。
【0052】
次いで、露光されたフォトレジスト層が適切な現像液で現像されて、現像液に可溶な層の領域を選択的に除去し、残りの不溶性領域は、結果として生じるフォトレジストパターンレリーフ画像を形成する。ポジ型現像(PTD)プロセスの場合、フォトレジスト層の露光領域は、現像中に除去され、未露光領域が残る。逆に、ネガ型現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、未露光領域が現像中に除去される。現像液の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上述されたような任意の適切な方法によって達成され得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶領域を除去するのに有効な時間であり、5~60秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0053】
PTDプロセス用の適切な現像液には、水性塩基現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化第四級アンモニウム溶液、好ましくは0.26規定(N)のTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が含まれる。NTDプロセス用の適切な現像液は、有機溶媒系であり、現像液中の有機溶媒の累積含有量が、現像液の総重量を基準として、50重量%以上、典型的には95重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、又は100重量%であることを意味する。NTD現像液に適した有機溶媒は、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素及びこれらの混合物から選択されるものを含む。現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0054】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層に渡るフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0055】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用され得、それによって公知のエッチング技術により、典型的には反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングにより、パターンが1つ以上の連続した下位層に転写されることを可能にし得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位ハードマスク層へのパターン転写のために使用され得、それは、順繰りに、ハードマスク層の下の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチマスクとして使用される。別の態様では、フォトレジストパターンは、イオン注入プロセスのマスクとして、例えば基板表面にドーパントを選択的に導入するために使用することができる。フォトレジストパターンがパターン転写又は注入プロセス中に消失されない場合、それは、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化などによって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のこのようなパターン化プロセスで使用される場合、メモリデバイス、プロセッサーチップ(CPU)、グラフィックスチップ、光電子チップ、LED、OLED及び他の電子デバイスなどの半導体デバイスを製造するために使用され得る。
【0056】
本明細書に開示されるフォトレジスト組成物は、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例0057】
実施例1
この実施例は、トリアルキル置換アミドの合成を詳述する。トリエチルアミン(Et
3N)(20.3g、0.3mol)とジオクチルアミン(36.1g、0.15mol)のジクロロメタン(DCM)(250ml)溶液に、0℃でオクタノイルクロリド(17.6g、0.1mol)を滴下した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。撹拌後、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物をヘプタンで希釈し、シリカフィルターで精製した。溶媒を除去した後、トリオクチルアミン(TOAm)の透明なオイルが得られた(28.4g、収率:77%)。この反応を以下に示す。
【化12】
【0058】
ミリストイルジオクチルアミン(MDOAm)の合成
【化13】
Et
3N(20.3g、0.3mol)とジオクチルアミン(36.1g、0.15mol)のDCM(250ml)溶液に、0℃でミリストイルクロリド(24.6g、0.1mol)を滴下した。反応混合物を室温で6時間(h)撹拌した。撹拌後、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物をヘプタンで希釈し、シリカフィルターで精製した。溶媒を除去した後、MDOAmの透明なオイルが得られた(40.1g、収率:89%)。反応を上に示す。
【0059】
オクタノイルジデシルアミン(ODDAm)の合成
【化14】
Et
3N(2.5g、25mmol)とジデシルアミン(5.95g、20mmol)のDCM(30ml)溶液に、0℃でオクタノイルクロリド(3.5g、20mmol)を滴下した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。撹拌後、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物をヘプタンで希釈し、シリカフィルターで精製した。溶媒を除去した後、ODDAmの透明なオイルが得られた(6.9g、収率:81%)。反応を上に示す。
【0060】
オクタノイルジドデシルアミン(ODDDAm)の合成
【化15】
Et
3N(2.5g、25mmol)とジドデシルアミン(7.1g、20mmol)のDCM(30ml)溶液に、0℃でオクタノイルクロリド(3.5g、20mmol)を滴下した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。撹拌後、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物をヘプタンで希釈し、シリカフィルターで精製した。溶媒を除去した後、ODDDAmの透明なオイルが得られた(7.3g、収率:73%)。反応を上に示す。
【0061】
ミリストイルジデシルアミン(MDDAm)の合成
【化16】
Et
3N(2.5g、25mmol)とジデシルアミン(5.95g、20mmol)のDCM(30ml)溶液に、0℃でミリストイルクロリド(3.5g、20mmol)を滴下した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。撹拌後、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物をヘプタンで希釈し、シリカフィルターで精製した。溶媒を除去した後、MDDAmの透明なオイルが得られた(9.2g、収率:92%)。反応を上に示す。
【0062】
ミリストイルジドデシルアミン(MDDDAm)の合成
【化17】
Et
3N(2.5g、25mmol)とジドデシルアミン(7.1g、20mmol)のDCM(30ml)溶液に、0℃でミリストイルクロリド(3.5g、20mmol)を滴下した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。撹拌後、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物をヘプタンで希釈し、シリカフィルターで精製した。溶媒を除去した後、MDDDAmの白色粉末が得られた(7.6g、収率:67%)。反応を上に示す。
【0063】
実施例2
参照NTDサンプルAの調製
この実施例は、参照NTDフォトレジスト組成物の調製を詳述する。参照のフォトレジスト組成物は、以下の成分、2.98gのポリマー-A、0.26gのPAG-A、0.09gのWPAG-A(弱光酸発生剤)、0.07gのEBL-A(EBL-埋め込みバリア層)、48.30gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、9.66gのγ-ブチロラクトン(aGBLMA)、及び38.64gのメチル-2-ヒドロキシイソブチレートを混合することによって調製し、次いでこの混合物を0.2ミクロンのナイロンフィルターで濾過した。ポリマーAは、1-イソプロピル-アダマンタニルメタクリレート(IPAMA)、1-イソプロピルシクロペンチルメタクリレート(IPCPMA)、α-メタクリルオキシ-γ-ブチロラクトン(aGBLMA)、及び2-オキソ-2-((2-オキソヘキサヒドロ-2H-3,5-メタノシクロペンタ[b]フラン-6-イル)オキシ)エチルメタクリレート(MNLMA)を20:25:40:15のモル比で含む。
【化18】
【0064】
参照NTDサンプルBの調製
この実施例も、参照NTDフォトレジスト組成物の調製を詳述する。参照のフォトレジスト組成物は、以下の成分、2.98gのポリマー-A、0.26gのPAG-A、0.09gのWPAG-A、0.04gの失活剤-A、0.07gのEBL-A、48.30gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、9.66gのγ-ブチロラクトン、及び38.64gのメチル-2-ヒドロキシイソブチレートを混合することによって調製し、次いでこの混合物を0.2ミクロンのナイロンフィルターで濾過した。
【化19】
【0065】
実施例1~8の調製
下に示す構造の失活剤B~Iを使用して、以下の通りにフォトレジストを調製した。本発明のフォトレジスト組成物は、以下の成分、2.98gのポリマー-A、0.26gのPAG-A、0.09gのWPAG-A、0.04gの以下に示す失活剤のうちの1つ(失活剤B~I)、0.07gのEBL-A、48.30gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、9.66gのγ-ブチロラクトン、及び38.64gのメチル-2-ヒドロキシイソブチレートを混合することによって調製し、次いでこの混合物を0.2ミクロンのナイロンフィルターで濾過した。
【化20】
【0066】
実施例3
この一連の実施例は、11より大きいLogPを有するトリアルキルアミド失活剤のフォトレジスト組成物における有用性を実証する。比較の組成物及び本開示の組成物を以下の表に示す。これらは以下に詳述するトレンチを製造するために使用した。
【0067】
300mmのヘキサメチルジシラザン(HMDZ)で下塗りしたシリコンウェハーをAR(商標)40反射防止剤(DuPont Electronics&Industrial)でスピンコートして、TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+(コーティング及び現像ツール)上に第1の下部反射防止コーティング(BARC)を形成し、次いで205℃で60秒間のベークプロセスを行って、710Åの厚さの第1のBARC層を得た。試験サンプルをBARC上にスピンコートして厚さ950Åを形成し、続いて90℃で60秒間ベークプロセスを行った。
【0068】
その後、製造された膜を、以下の照明条件を使用して、Nikon S610C ArF液浸スキャナ上でマスクを通して露光した:1.3NA、アジマス偏光を有するクロスポール、δ0.90~0.59。次に、露光した膜を85℃で60秒間露光後ベークし、続いてTEL CLEAN TRAC LITHIUS i+を使用して酢酸n-ブチルで18秒間現像し、ネガ型現像でパターンを得た。6%のPSMマスクによる54nm、108ピッチのトレンチのパターンの限界寸法(CD)を、Hitachi CG 4000 CD SEMで測定した。結果を以下の表に示す。
【0069】
下の表において、参照A~Eはアルキルアミド失活剤のLogPが11未満である比較組成物であり、実施例1~5は、トリアルキルアミドが11を超えるLogP値を有する本発明の組成物を表す。
【0070】
【0071】
表の結果は、実施例1~5のフォトレジスト組成物(11よりも大きいLogP値を有する)が、トレンチに良好な四角形状を生成することを示している。