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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043196
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ロータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20230320BHJP
   H02K 1/276 20220101ALI20230320BHJP
【FI】
H02K1/28 D
H02K1/276
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189035
(22)【出願日】2022-11-28
(62)【分割の表示】P 2018536756の分割
【原出願日】2017-01-10
(31)【優先権主張番号】1600730.4
(32)【優先日】2016-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】522462041
【氏名又は名称】アドヴァンスト・エレクトリック・マシーンズ・グループ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Advanced Electric Machines Group Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(72)【発明者】
【氏名】ウィドマー,ジェイムズ・デュメニル
(72)【発明者】
【氏名】キミアベイジ,モハマド
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601AA09
5H601BB16
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601DD22
5H601EE12
5H601EE19
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA33
5H601GA40
5H601GA50
5H601GB05
5H601GB12
5H601GC02
5H601GC12
5H601GD03
5H601GD07
5H601GD12
5H601GD13
5H601GD18
5H601HH04
5H601JJ10
5H601KK01
5H601KK08
5H601KK17
5H601KK30
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB03
5H622CB05
5H622DD01
5H622PP10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2部品、すなわち、中心の非磁性支持ハブの周りに配置された複数の強磁性極を備えるロータアセンブリを提供する。
【解決手段】ロータアセンブリ10は、ロータ支持ハブ12であって、ロータ支持ハブ12の周囲の周りに配置された複数の第1の接続部を備える、ロータ支持ハブ12を有する。ロータアセンブリ10は、各々が第2の接続部を有する複数のロータセグメント14をさらに有する。第2の接続部の各々は、ロータセグメント14の各々をロータ支持ハブ12の周囲の周りに接続するために、複数の第1の接続部の少なくとも1つと協働可能になっている。複数の固定部26は、各々、ロータセグメント14をロータ支持ハブ12に固定するために、互いに協働する第1及び第2の接続部間に受け入れられ、それらの間に締まり嵌めを生じさせるように、構成されている。ロータ支持ハブ12は、複数の薄板から構成されているとよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ支持ハブであって、前記ロータ支持ハブの周囲の周りに配置された複数の第1の
接続部を有する、ロータ支持ハブと、
各々が第2の接続部を有する複数のロータセグメントであって、前記第2の接続部の各
々は、前記ロータセグメントの各々を前記ロータ支持ハブの前記周囲の周りに接続するた
めに、前記複数の第1の接続部の少なくとも1つと協働可能になっている、複数のロータ
セグメントと、
複数の固定部であって、前記固定部の各々は、前記ロータセグメントを前記ロータ支持
ハブに固定するために、互いに協働する第1及び第2の接続部間に受け入れられ、それら
の間に締まり嵌めを生じさせるように構成されている、複数の固定部と、
を備えている電気機械用ロータアセンブリ。
【請求項2】
少なくとも前記第1の接続部の1つ又は前記第2の接続部の1つは、前記複数の固定部
の少なくとも1つを受けれるように構成された凹みを備えている、請求項1に記載のロー
タアセンブリ。
【請求項3】
前記固定部の少なくとも1つは、ピンである、請求項1又は2に記載のロータアセンブ
リ。
【請求項4】
前記固定部の少なくとも1つは、非磁性である、請求項1,2又は3に記載のロータア
センブリ。
【請求項5】
前記固定部の少なくとも1つは、ポリマー材料からなるか又はポリマー材料を含む、先
行する請求項のいずれかに記載のロータアセンブリ。
【請求項6】
前記固定部の少なくとも1つは、繊維強化材料からなるか又は繊維強化材料を含む、先
行する請求項のいずれかに記載のロータアセンブリ。
【請求項7】
少なくとも前記複数の第1の接続部の1つ又は前記複数の第2の接続部の1つは、モミ
の木の輪郭を有している、先行する請求項のいずれかに記載のロータアセンブリ。
【請求項8】
前記ロータ支持ハブは、複数の薄板から構成されている、先行する請求項のいずれかに
記載のロータアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の薄板の1つ又は複数は、前記複数の薄板の少なくとも他の1つに接合されて
いる、請求項8に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
前記複数の薄板の1つ又は複数は、前記複数の薄板の少なくとも他の1つに機械的に固
定されている、請求項8又は9に記載のロータアセンブリ。
【請求項11】
前記ロータアセンブリは、複数の永久磁石をさらに備えている、先行する請求項のいず
れかに記載のロータアセンブリ。
【請求項12】
複数のロータセグメントを支持するためのロータ支持ハブであって、複数の薄板から構
成されている、ロータ支持ハブ。
【請求項13】
前記薄板は、使用時に前記ロータ支持ハブの回転軸となる軸に対して実質的に直交して
いる、請求項12に記載のロータ支持ハブ。
【請求項14】
前記薄板は、単一片薄板である、請求項12又は13に記載のロータ支持ハブ。
【請求項15】
前記ロータ支持ハブは、非磁性材料からなるか又は非磁性材料を含む、請求項12,1
3,又は14に記載のロータ支持ハブ。
【請求項16】
前記ロータ支持ハブは、金属材料からなるか又は金属材料を含む、請求項12~15の
いずれかに記載のロータ支持ハブ。
【請求項17】
前記ロータ支持ハブは、複数のロータセグメントを接続するために前記ロータ支持ハブ
の周囲の周りに配置された複数の第1の接続部を有している、請求項12~16のいずれ
かに記載のロータ支持ハブ。
【請求項18】
前記薄板は、シート材料から作製されている、請求項12~17のいずれかに記載のロ
ータ支持ハブ。
【請求項19】
前記薄板は、パンチ又は金型を用いて又はレーザ切断によって作製されている、請求項
12~18のいずれかに記載のロータ支持ハブ。
【請求項20】
請求項12~19のいずれかに記載のロータ支持ハブを備えている、電気機械用ロータ
アセンブリ。
【請求項21】
前記ロータ支持ハブの周囲の周りに配置された複数のロータセグメントをさらに備えて
いる、請求項20に記載のロータアセンブリ。
【請求項22】
請求項1~11のいずれかに記載のロータアセンブリ又は請求項12~19のいずれか
に記載のロータ支持ハブを備えている電気機械。
【請求項23】
請求項22に記載の電気機械を備えている車両。
【請求項24】
添付の図面を参照して本明細書に記載されるような及び添付の図面に示されるようなロ
ータアセンブリ、ロータ支持ハブ、又は電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータアセンブリに関する。さらに詳細には、限定されるものではないが、
本発明は、電気機械用ロータアセンブリ、電気機械、及び電気機械を備える車両に関する
【背景技術】
【0002】
車両、例えば、ハイブリッド電気車両(HEV)又は電気車両(EV)を推進するため
の牽引力を生じさせるために、電気機械を用いることがますます一般的になっている。永
久磁石モータは、これらの用途に適する高出力密度及び高効率をもたらすことができる。
しかし、これらの特性は、(所定の出力密度に対する必要なレベルの電気負荷及び付随す
る巻線損失を低減させる)高エネルギー密度の永久磁石の使用に依存している。ネオジム
鉄ボロン(NdFeB)のような希土類元素から作製された永久磁石は、高出力密度及び
良好な減磁抵抗を有している。しかし、この種の永久磁石は、比較的高価であり、歴史的
に価格高騰を受けてきており、著しい環境負荷(environmental footprint)を有すると
されてきている。その結果、もし十分なレベルの出力密度、効率、及び減磁抵抗を有する
新規のモータが開発されるとするなら、希土類元素をわずかしか含まないか又は全く含ま
ない磁石、例えば、フェライト磁石の使用が、少なくともいくつかの用途において望まし
いことになる。
【0003】
2部品、すなわち、中心の非磁性支持ハブの周りに配置された複数の強磁性極を備える
スポーク式ロータは、要求される新規モータの開発に適するロータトポロジー(rotor to
pology)をもたらす。(非磁性の中心支持体によって比較的高レベルの出力密度が得られ
ると共に、高速運転に必要なロータの構造学的完全性が確保される。)しかし、このよう
な2部品ロータは、通常、追加的なロータ構成要素並びにロータ極と中心支持体とを互い
に連結するのに必要な対策によって、追加的なコストを負うことになる。これらの構成部
品は、それらの間の十分な接続を確実にするために、通常、高精度の機械加工プロセスに
よって作製される。この機械加工は、比較的高価であり、2部品ロータのコスト競争力対
性能を最小限にするので、望ましくない。これらの構成部品を比較的安価な押出プロセス
を用いて作製することも可能である。しかし、押出プロセスに用いられるのに適しかつ良
好なロータ特性をもたらす材料、例えば、銅ベリリウム合金は、不必要に高価である。本
発明は、このような状況に対して考案されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、周知の構成に付随する問題の1つ又は複数を少なくとも軽
減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、ロータ支持ハブであって、ロータ支持ハブの周囲の周り
に配置された複数の第1の接続部を有する、ロータ支持ハブと、各々が第2の接続部を有
する複数のロータセグメントであって、第2の接続部の各々は、ロータセグメントの各々
をロータ支持ハブの周囲の周りに接続するために、複数の第1の接続部の少なくとも1つ
と協働可能になっている、複数のロータセグメントと、複数の固定部であって、固定部の
各々は、ロータセグメントをロータ支持ハブに固定するために、互いに協働する第1及び
第2の接続部間に受け入れられ、それらの間に締まり嵌めを生じさせるように構成されて
いる、複数の固定部と、を備える電気機械用ロータアセンブリが提供される。ロータセグ
メントをロータ支持ハブに固定するために固定部を用いることによって、ロータ支持ハブ
及び/又はロータセグメントを高精度の機械加工プロセスを用いて作製する必要性が排除
される。
【0006】
いくつかの実施形態では、少なくとも第1の接続部の1つ又は第2の接続部の1つは、
複数の固定部の少なくとも1つを受けれるように構成された凹みを備えていてもよい。こ
の凹みによって、第1の接続部、第2の接続部、又は両方に対する最適な位置における固
定具の挿入が容易になる。
【0007】
任意選択的に、固定部の少なくとも1つは、ピンであってもよい。付加的又は代替的に
、固定部の少なくとも1つは、非磁性であってもよく、及び/又は固定部の少なくとも1
つは、ポリマー材料からなっていてもよいし又はポリマー材料を含んでいてもよい。付加
的又は代替的に、固定部の少なくとも1つは、繊維強化材料からなっていてもよいし又は
繊維強化材料を含んでいてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも複数の第1の接続部の1つ又は複数の第2の接続
部の1つは、モミの木の輪郭を有していてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、ロータ支持ハブは、複数の薄板から構成されていてもよい。
任意選択的に、複数の薄板の1つ又は複数は、複数の薄板の少なくとも他の1つに接合さ
れていてもよい。付加的又は代替的に、複数の薄板の1つ又は複数は、複数の薄板の少な
くとも他の1つに機械的に固定、例えば、クランプされていてもよい。
【0010】
薄板は、使用時にロータ支持ハブの回転軸となる軸に対して実質的に直交していてもよ
い。付加的又は代替的に、薄板は、単一片薄板であってもよい。いくつかの実施形態では
、ロータ支持ハブは、非磁性材料からなっていてもよいし又は非磁性材料を含んでいても
よい。付加的又は代替的に、ロータ支持ハブは、金属材料からなっていてもよいし又は金
属材料をんでいてもよい。いくつかの実施形態では、薄板は、シート材料から作製されて
いてもよい。薄板は、パンチ又は金型を用いて又はレーザ切断によって作製されていても
よい。
【0011】
いくつかの実施形態では、ロータアセンブリは、複数の永久磁石をさらに備えていても
よい。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、複数のロータセグメントを支持するためのロータ支持ハ
ブであって、複数の薄板から構成されている、ロータ支持ハブが提供される。第2の態様
による本発明の実施形態では、ロータ支持ハブは、第1の態様のロータ支持ハブに関して
前述した特徴のいずれかを有していてもよい。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、前述のロータ支持ハブを備える、電気機械用ロータアセ
ンブリが提供される。ロータ支持アセンブリは、ロータ支持ハブの周囲の周りに配置され
た複数のロータセグメントをさらに備えていてもよい。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、前述のロータアセンブリを備える電気機械が提供される
【0015】
本発明の第4の態様によれば、前述の電気機械を備える車両が提供される。車両は、自
動車であってもよいし、航空機であってもよいし、又は船舶であってもよい。
【0016】
以下、添付の図面を参照して、単なる例にすぎないが、本発明の実施形態について説明
する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態によるロータアセンブリの斜視図である。
図2図1のロータアセンブリのロータ支持ハブの平面図である。・
図3図1のロータアセンブリのロータセグメントの平面図である。
図4】本発明の実施形態によるロータ支持ハブの斜視図である。
図5】本発明の実施形態による電気機械が組み込まれた車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態によるロータアセンブリ10について
説明する。ロータアセンブリ10は、(図5に示される)車両100に用いられる走行用
モータに特定の用途を有している。図1は、ロータ支持ハブ12と、複数の(ロータ極又
はロータ極セグメントと呼ばれることもある)ロータセグメント14とを備える2部品ロ
ータアセンブリ10を示している。ロータアセンブリ10は、長軸X-Xを有しており、
使用時、ロータアセンブリ10は、この長軸を中心として回転する。本明細書において半
径方向への言及は、長軸X-Xに対するものである。
【0019】
ロータ支持ハブ12は、ロータアセンブリ10の中心区域を占め、略環状の輪郭を有し
ている。中心開口16が、支持ハブ12の中心を通って長軸X-Xと真っ直ぐに並んで延
在している。ロータセグメント14は、ロータ支持ハブ12の(図2に最もよく示される
)半径方向外周12Aの周りにおいて周方向に互いに離間している。このように配置され
たロータセグメント14は、支持ハブ12から半径方向外方に延在するスポークを形成す
ることになる。互いに隣接するロータセグメント14間の周方向の隙間は、複数のロータ
長孔18をもたらす。図1に示されるロータアセンブリ10は、140mmの外径と、3
9mmの積層長さとを有している。積層長さは、長軸X-Xの方向における支持ハブ12
の寸法である。勿論、他の寸法も考えられる。何故なら、ロータ支持ハブ12の正確な直
径及び/又は積層長さは、ロータアセンブリ10の仕様によって、すなわち、その設計速
度、出力及び/又は臨界回転速度によって決まるからである。いくつかの実施形態では、
ロータハブ12の直径は、70mmから280mmの間のどのような適切な直径であって
もよい。いくつかの実施形態では、積層長さは、20mmから400mmの間のどのよう
な適切な長さであってもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の支持ハブ12が連続
して積層されてもよい。
【0020】
本実施形態では、ロータアセンブリ10は、出力シャフト20及び複数の永久磁石22
をさらに備えている。永久磁石22の各々は、複数のロータスロット18の1つに取り付
けられている。本実施形態では、10個のロータセグメント14が設けられ、従って、1
0個のロータ長孔18及び10個の永久磁石22が設けられている。勿論、いくつかの実
施形態が、10個以外の個数のロータセグメント14、10個以外の個数のロータスロッ
ト18、及び10個以外の個数の永久磁石22を有してもよいことを理解されたい。永久
磁石22は、フェライト磁石、例えば、FB9B等級フェライト磁石であるとよい。しか
し、永久磁石22は、他の材料、例えば、NdFeB磁石、SmCo磁石、又はAlNi
Co磁石のような希土類磁石であってもよい。いくつかの実施形態は、例えば、リラクタ
ンストルク又はロータ巻線を有するロータに依存する電気機械において、永久磁石22を
備えていなくてもよい。
【0021】
支持ハブ12は、非磁性材料から形成されている。本実施形態では、支持ハブ12は、
非磁性鋼から形成されている。図4を参照すると、支持ハブ12は、支持ハブ12を形成
するために積層配置された複数の第1の単一片薄板24から構成されているとよい。第1
の薄板24は、長軸X-Xと実質的に直交して配置されることを理解されたい。第1の薄
板24の各々は、単一構造を有し、例えば、パンチ又は金型を用いて又はレーザー切断に
よって、シート材料から形成されるとよい。いくつかの実施形態では、第1の薄板24は
、3%加工硬化316ステンレス鋼から作製されるとよい。いくつかの実施形態では、第
1の薄板24は、AKスチール(R)の窒素硬化等級ステンレス鋼の1つ、例えば、AK
スチール(R)の窒素硬化ステンレス鋼50から作製されるとよい。当然のことながら、
他の材料、例えば、302及び304ステンレス鋼及び2024-T3アルミニウム合金
のような非磁性鋼及びアルミニウムも考えられる。第1の薄板24の各々は、第1の薄板
24の少なくとも他の1つに接合されるとよい。付加的又は代替的に、第1の薄板24の
各々は、第1の薄板24の少なくとも他の1つに機械的に固定、例えば、クランプされて
もよい。
【0022】
ロータセグメント14は、磁性材料から形成されている。いくつかの実施形態では、複
数のロータセグメント14の各々は、ロータセグメント14の各々を形成するために積層
配置された複数の第2の単一片薄板(図示せず)から構成されているとよい。いくつかの
実施形態では、ロータアセンブリ14は、M270-35A無方向性電磁鋼から作製され
るとよい。勿論、他の材料、例えば、どのような等級の無方向性電磁鋼が用いられてもよ
いことを理解されたい。ロータセグメント14は、電磁性能を高めるために、例えば、高
透磁率並びに低ヒステリシス及び低渦電流損失を得るために、及び/又は渦電流伝搬を最
小限に抑えるように絶縁するために、合金化材料から作製されてもよい。
【0023】
ロータ支持ハブ12の半径方向外周12Aは、複数のロータセグメント14をロータ支
持ハブ12に取り付けるように構成されているとよい。本実施形態では、半径方向外周1
2Aの輪郭は、(図2に最もよく示される)複数の第1の接続部12Bをもたらすように
形成されている。さらに、ロータセグメント14の各々は、半径方向内側部分14Aを有
している。半径方向内側部分14Aは、付加的又は代替的に、複数のロータセグメント1
4をロータ支持ハブ12に取り付けるように構成されているとよい。本実施形態では、半
径方向内側部分14Aの輪郭は、(図3に最もよく示される)複数の第2の接続部14B
をもたらすように構成されている。第1の接続部12Bは、第2の接続部12Aと相補的
であるとよい。第1及び第2の接続部12B,14Bは、それぞれ、複数の雄接続部及び
複数の雌接続部を形成しているとよく、又はその逆に、複数の雌接続部及び複数の雄接続
部を形成していてもよい。第1の接続部12Bは、ロータ支持ハブ12の半径方向外周1
2Aの周りに第1の接続表面を形成しているとよい。同様に、第2の接続部12Bは、ロ
ータセグメント14の各々の半径方向内側部分14Aの周りに第2の接続表面を形成して
いるとよい。
【0024】
添付の図面に示されるように、複数の第1の接続部12Bの各々は、1つ又は複数の第
1の突起30を備えているとよく、第2の接続部14Bの各々は、1つ又は複数の第1の
凹部32を備えているとよい。第1の凹部32は、第1の突起30と相補的となるように
構成されているとよい。付加的又は代替的に、第2の接続部14Bの各々は、1つ又は複
数の第2の突起34を備えているとよく、第2の接続部14Bの各々は、1つ又は複数の
第2の凹部36を備えているとよい。第2の凹部36は、第2の突起34と相補的となる
ように構成されているとよい。突起30,34は、半径方向から直交して又は半径方向に
接して延在しているとよい。当然のことではあるが、第1の突起30及び/又は第2の凹
部36は、ロータ支持ハブ12の半径方向外周12Aの一部を形成しているとよい。従っ
て、第1の突起30及び/又は第2の凹部36は、第1の接続表面の一部を形成している
とよい。第2の突起34及び/又は第1の凹部32は、ロータセグメント14の各々の半
径方向内側部分14Aの一部を形成しているとよい。従って、第2の突起34及び/又は
第1の凹部32は、第2の接続表面の一部を形成しているとよい。前述の第1及び第2の
接続部12B,14Bは、「モミの木」構造と呼ばれることもある。
【0025】
第1及び第2の接続部12B,14Bは、互いに協働(例えば、連結)し、複数のロー
タセグメント14をロータ支持ハブ12の半径方向外周12Aの周りに接続するように構
成されている。第1の接続部12Bは、協働する第2の接続部14B内に少なくとも部分
的に受け入れられるようになっているとよく、又はその逆に、第2の接続部14Bが、協
働する第1の接続部12B内に少なくとも部分的に受け入れられるようになっていてもよ
い。第1及び第2の接続部12B,14Bの協働は、1つ又は複数の第1の凹部32によ
って少なくとも部分的に受け入れられる1つ又は複数の第1の突起30によって促進され
る。同様に、第1及び第2の接続部12B,14Bの協働は、1つ又は複数の凹部36に
よって少なくとも部分的に受け入れられる1つ又は複数の突起34によって促進される。
凹部32,36のそれぞれへの1つ又は複数の突起30,34のこの少なくとも部分的な
受入れの結果として、第1及び第2の接続部12B,14Bが長軸X-Xと直交する平面
内において任意の方向において互いに移動した時、第1の接続部12Bとその協働する第
2の接続部14Bとの当接が生じることになる。従って、第1の接続部12Bは、第2の
接続部14B内に保持され、又はその逆に、第2の接続部14Bは、第1の接続部12B
内に保持される。第1及び第2の接続部12B,14Bの協働は、長軸X-Xと直交する
面内におけるロータ支持ハブ12に対するロータセグメント14の運動を制限する。第1
及び第2の接続部12B,14Bの協働は、ロータ支持ハブ12及びロータセグメント1
4の緩やかな接続をもたらし、すなわち、長軸X-Xと直交する面内においてロータ支持
ハブ12とロータセグメント14の各々との間に近似的嵌合及び/又は遊びをもたらす。
第1及び第2の接続部12B,14Bの協働の結果として、これらの接続部12B,14
Bが長軸X-Xと直交する面内において任意の方向において互いに対して移動した時、第
1及び第2の接続表面の当接が生じることになる。
【0026】
第1及び第2の接続部12B,14Bは、互いに協働し、互いに対して隙間嵌め/すべ
り嵌めをもたらすように構成されているとよい。換言すれば、第1及び第2の接続部12
B,14Bは、互いに協働し、長軸X-Xと平行な方向においてロータ支持ハブ12に対
するロータセグメント124の各々の移動を可能にするように構成されているとよい。実
際、これによって、ロータ要素14の各々をロータ支持ハブ12に容易に組み立てること
ができる。従って、複数の間隙の1つが、ロータ支持ハブ12と複数のロータセグメント
14の各々との間に設けられることになる。重要なことであるが、本発明の実施形態によ
れば、ロータ支持ハブ12及びロータセグメントは、連結する接続部12B,14Bによ
ってのみ緊密に嵌合される必要がない。従って、ロータ支持ハブ12及び/又はロータセ
グメント14は、高精度な機械加工プロセスを用いて作製される必要がない。
【0027】
ロータアセンブリ10は、複数の固定部26をさらに備えている。本実施形態では、固
定部26は、(バネピン又は張力ピンと呼ばれることもある)金属ロールピンである。し
かし、固定部26は、ロールピンに制限されず、及び/又は金属である必要がない。いく
つかの実施形態では、1つ又は複数の固定部26は、ピン、ロッド、バー、シリンダ、又
はプリズムであってもよい。さらに、1つ又は複数の固定部26は、磁性を有していても
よいし、磁性を有していなくてもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の固定部
26は、ポリマー材料、例えば、フェノール樹脂であってもよい。固定部26は、繊維強
化材料から作製されてもよい。固定部26は、ロータ支持ハブ12と複数のロータセグメ
ントの各々との間の間隙の各々内に受け入れられ、それらの間に締まり嵌めを形成するよ
うに構成されている。従って、固定部26は、ロータ支持ハブ12とロータセグメント1
4の各々との間で機能を果たすことになる。固定部26は、ロータセグメント14の各々
をロータ支持ハブ12に固定する。締り嵌めをもたらすために、固定部の各々は、ロータ
支持ハブ12と複数のロータセグメント14の各々との間の間隙よりも大きい幅/直径を
有しているとよい。
【0028】
締り嵌めをもたらすために、固定部26は、第1及び第2の接続部12B,14B間に
強制的に挿入される。固定部26の各々は、ロータ支持ハブ12の積層長さと実質的に等
しい長さを有しているとよい。固定部26の各々は、実質的にその長さに沿って一定の断
面を有しているとよい。強制的な挿入が、固定部26の各々を部分的に圧縮し、その結果
、圧縮力が固定部26によって第1及び第2の接続部12B,14Bの各々に加えられる
ことになる。この力によって、第1及び第2の接続部12B,14Bの当接が前述したよ
うに生じるまで、第1及び第2の接続部12B,14Bは、長軸X-Xと直交する面内に
おいて互いに対して移動する。固定部26は、第1及び第2の接続部12B,14B間に
緊密な嵌合をもたらすように、第1及び第2の接続部12B,14Bを互いに対して付勢
することになる。従って、固定部26は、第1及び第2の接続表面を互いに対して付勢す
ることになる。
【0029】
図示される実施形態では、第1の接続部12Bの各々は、複数の凹み28の各々を備え
ている。これらの凹み28の各々は、固定部26の少なくとも1つを少なくとも部分的に
受け入れるように形作られている。凹み28は、第1及び第2の接続部12B,14Bの
いずれか又は両方に対する所望の位置において間隙の各々を意図的にもたらすようになっ
ているとよい。凹み28は、第1及び第2の接続部12B,14B間の間隙を少なくとも
部分的にもたらすとよい。固定部は、第1及び第2の接続部12B,14B間のどこに挿
入されてもよいが、凹み28によって、第1の接続部12B、第2の接続部14B、又は
これらの両方に対する最適な位置への挿入が促進されることになる。
【0030】
図5は、電気機械102を備える車両100の概略図である。電気機械102は、ロー
タアセンブリ10を備えている。電気機械102は、車両100を推進するための牽引力
を生じる。車両は、例えば、ハイブリッド電気車両(HEV)、電気車両(EV)、又は
プラグインハイブリッド電気車両(PHEV)であるとよい、車両100は、自動車、航
空機、又は船舶であるとよい。従来の2部品ロータの使用に付随する課題は、追加的なロ
ータ構成要素並びにロータ極と中心支持体との連結に必要な対策に起因する追加的なコス
トである。少なくともいくつかの実施形態では、固定部28の使用によって、ロータ支持
ハブ12及び/又はロータセグメント14の高価な高精度の機械加工の必要性が低減され
る。いくつかの実施形態では、薄板24によって、ロータ支持ハブ12の高価な機械加工
の必要性が低減される。
【0031】
本発明は、前述の実施形態のいずれの詳細にも制限されるものではない。例えば、ロー
タアセンブリ10は、複数の第1の薄板24から構成されないロータ支持ハブ12を備え
ていてもよい。複数のロータセグメント14は、複数の第2の薄板から構成されてもよい
し、又は複数の第2の薄板から構成されなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の
接続部12B又は第2の接続部14Bのいずれもが複数の凹み28の1つを備えていなく
てもよい。いくつかの実施形態は、第1の接続部12Bを有しないロータハブ12を備え
ていてもよい。(任意の添付の請求項及び図面を含む)本明細書に開示される特徴は、い
ずれも、このような特徴の少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除けば、ど
のように組み合わされてもよい。
【0032】
(任意の添付の請求項及び図面を含む)本明細書に開示される各特徴は、別段の定めが
明示的に記載されない限り、同一、同等、又は同様の目的を果たす代替的特徴と置き換え
られてもよい。従って、別段の定めが明示的に記載されない限り、開示される各特徴は、
一般的な一連の同等又は同様の特徴の単なる一例である。
【0033】
本発明は、(任意の添付の請求項及び図面を含む)本明細書に開示される特徴のどのよ
うな新規のもの又はどのような新規の組合せにも及ぶものである。請求項は、前述の実施
形態を単に包含すると解釈されるべきではなく、請求項の範囲内に含まれるどのような実
施形態も包含すると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ支持ハブであって、前記ロータ支持ハブの周囲の周りに配置された複数の第1の接続部を有する、ロータ支持ハブと、
各々が第2の接続部を有する複数のロータセグメントであって、前記第2の接続部の各々は、前記ロータセグメントの各々を前記ロータ支持ハブの前記周囲の周りに接続するために、前記複数の第1の接続部の少なくとも1つと協働可能になっている、複数のロータセグメントと、
複数の固定部であって、前記固定部の各々は、前記ロータセグメントを前記ロータ支持ハブに固定するために、互いに協働する第1及び第2の接続部間に受け入れられ、それらの間に締まり嵌めを生じさせるように構成されている、複数の固定部と、
を備えている電気機械用ロータアセンブリ。