(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043214
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】磁気浮上システム
(51)【国際特許分類】
F16C 32/04 20060101AFI20230322BHJP
H02P 31/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
F16C32/04 A
H02P31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150695
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 隆一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 達朗
【テーマコード(参考)】
3J102
5H501
【Fターム(参考)】
3J102AA01
3J102BA03
3J102CA19
3J102DA03
3J102DA09
3J102DA10
3J102DB10
3J102DB29
3J102DB30
3J102GA12
5H501CC01
5H501GG05
5H501HB16
5H501LL22
(57)【要約】
【課題】少ない部品からなる回路で多くの電磁石巻線の電流を制御する磁気浮上システムを提供する。
【解決手段】磁気浮上システムは、直流源DCと、三相ブリッジ回路と、三相ブリッジ回路の三相出力のそれぞれに一端が接続され他端がY結線で接続された電磁石1
U,1
V,1
Wと、三相ブリッジ回路の三相出力のうち少なくとも二相に設けられた電流センサ2と、能動素子のゲート信号を生成する制御部と、を備える。三相ブリッジ回路は、ある1相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続し、ある2相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続し、または、ある1相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続し、ある2相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続し、直流源DCの出力を直流交流変換して出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向する電磁石とそれ以外の1つの電磁石を有し、強磁性体を非接触で浮上させる磁気浮上システムであって、
直流源と、
ある1相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続し、ある2相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続し、または、ある1相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続し、ある2相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続し、前記直流源の出力を直流交流変換して出力する三相ブリッジ回路と、
前記三相ブリッジ回路の三相出力のそれぞれに一端が接続され、他端がY結線で接続された各前記電磁石と、
前記三相ブリッジ回路の三相出力のうち少なくとも二相に設けられた電流センサと、
前記能動素子のゲート信号を生成する制御部と、
を備えたことを特徴とする磁気浮上システム。
【請求項2】
前記制御部は、
2つの対向する前記電磁石が接続されたV相,W相のV相電流,W相電流を(11)式となるように制御し、それ以外の1つの前記電磁石が接続されたU相のU相電流を(18)式となるように制御し、かつ、(12)式~(13)式、(15)式~(17)式の制約のもとで制御されることを特徴とする請求項1記載の磁気浮上システム。
【数11】
【数12】
【数13】
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
i
V:V相電流
i
W:W相電流
i
U:U相電流
I
0:バイアス電流
I
0U:U相バイアス電流
Δi
U:U相電流制御量
Δi
VW:VW相電流制御量
【請求項3】
前記制御部は、
U相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してU相電流制御量を出力する第1乗算器と、
VW相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してVW相電流制御量を出力する第2乗算器と、
前記U相電流制御量にU相バイアス電流を加算してU相電流指令値を出力する第1加算器と、
前記U相電流指令値に-1/2を乗算してバイアス電流を出力する第3乗算器と、
前記VW相電流制御量に前記バイアス電流を加算してV相電流指令値を出力する第2加算器と、
前記バイアス電流から前記VW相電流制御量を減算してW相電流指令値を出力する第1減算器と、
U相検出電流を前記U相電流指令値,V相検出電流を前記V相電流指令値,W相検出電流を前記W相電流指令値に一致させるPI制御によりU相電圧指令,V相電圧指令,W相電圧指令を出力するPI制御部と、
前記U相電圧指令,前記V相電圧指令,前記W相電圧指令を正規化する正規化部と、
正規化したU相電圧指令,V相電圧指令,W相電圧指令の三角波比較を行い、U相比較結果,V相比較結果,W相比較結果を出力するPWM制御部と、
を備え、前記U相比較結果,前記V相比較結果,前記W相比較結果に基づいてU相,V相,W相の前記能動素子の前記ゲート信号を出力することを特徴とする請求項2記載の磁気浮上システム。
【請求項4】
前記制御部は、
三相のうち二相の検出電流を電流指令値に一致させるPI制御を行い二相の電圧指令を生成し、二相の前記電圧指令から残りの一相の電圧指令を算出し、三相の電圧指令に基づいてPWM制御を行い、前記PWM制御の結果に基づいて前記能動素子の前記ゲート信号を生成することを特徴とする請求項1または2記載の磁気浮上システム。
【請求項5】
前記制御部は、
U相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してU相電流制御量を出力する第1乗算器と、
VW相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してVW相電流制御量を出力する第2乗算器と、
前記U相電流制御量にU相バイアス電流を加算してU相電流指令値を出力する第1加算器と、
前記U相電流指令値に-1/2を乗算してバイアス電流を出力する第3乗算器と、
前記バイアス電流から前記VW相電流制御量を減算してW相電流指令値を出力する第1減算器と、
U相検出電流を前記U相電流指令値,W相検出電流を前記W相電流指令値に一致させるPI制御によりU相電圧指令,W相電圧指令を出力するPI制御部と、
前記U相電圧指令の符号を反転した値と前記W相電圧指令の符号を反転した値を加算してV相電圧指令を出力する第4加算器と、
前記U相電圧指令,前記V相電圧指令,前記W相電圧指令を正規化する正規化部と、
正規化したU相電圧指令,V相電圧指令,W相電圧指令の三角波比較を行い、U相比較結果,V相比較結果,W相比較結果を出力するPWM制御部と、
を備え、前記U相比較結果,前記V相比較結果,前記W相比較結果に基づいてU相,V相,W相の前記能動素子の前記ゲート信号を出力することを特徴とする請求項4記載の磁気浮上システム。
【請求項6】
前記強磁性体は電動機の軸であり、
能動型磁気軸受として前記軸を安定浮上させることを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載の磁気浮上システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上システムにおける電磁石制御用の電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体の軸を浮上させ、非接触で回転させる技術として磁気軸受が知られている。磁気軸受には、軸受のオイルレス化が可能になる、軸受の機械損を大幅に低減できる、軸受剛性を任意に設計できる、といった利点がある。そのため高速回転機などに適用されている。
【0003】
磁気軸受システムの構成として、電磁石を用いた磁気浮上がよく知られている。電磁石を用いる磁気軸受では、電磁石巻線の電流を制御し、電磁石の磁界で強磁性体(軸)に対して適切な吸引力を発生させることで安定浮上を達成する。電流制御によって吸引力を能動制御することから、この構成は能動形磁気軸受と呼ばれる。
【0004】
能動形磁気軸受における電磁石制御用の回路について考える。電磁石巻線の電流制御用回路としては、半導体素子特性を利用したリニアアンプが用いられることがある。ただし、これは一般的に軽量のロータ用であり、重量物の場合、すなわち大電流を要する場合には損失が大きく問題になる。
【0005】
数十kW以上の大容量モータ用には半導体素子のスイッチングにより回路を切り替えて高効率に電流を制御するブリッジ回路が用いられる。この構成はリニアアンプに対してPWMアンプとも呼ばれる。以下では、このようなスイッチングを用いる構成の主回路を単にブリッジ回路と呼ぶことにする。
【0006】
なお、上では数十kW以上の大容量モータを例に挙げたが、本願発明のブリッジ回路は電磁石の吸引力を用いた磁気浮上であれば適用先は限定しないものとする。
【0007】
ブリッジ回路に関する先行技術文献について説明する。特許文献1~3では、一般的な磁気軸受用ブリッジ回路として能動素子とダイオードで構成した単相ブリッジを用いている。
図12に単相ブリッジ回路を示す。電磁石1には片方の極性の電流しか流さないという前提のもと、能動素子2個(S1,S2)という簡素な構成で電流制御用回路を構築している。
【0008】
図12の能動素子S1,S2はMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)だが、電流仕様などの関係でIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いてもよい。また、直流源DCについては直流電圧が供給されていれば構成は限定されない。例えば、バッテリ、交流電源を入力とするAC/DC変換器出力、モータ駆動用インバータの直流リンク部、が考えられる。
【0009】
特許文献4では、三相ブリッジ(いわゆる三相インバータ)の構成で2つの電磁石巻線の電流を独立に制御している。
【0010】
図13に三相ブリッジ回路を示す。3つのハーフブリッジにより三相の出力を得る三相インバータの形になっている。三相出力のうち二相に電磁石1u,1vと電流センサ2が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11-82511号公報
【特許文献2】特許第6695541号
【特許文献3】特開2020-148308号公報
【特許文献4】特開平8-145056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1~4では制御対象の巻線数に対し部品点数が最適化されていない。
【0013】
特許文献1~3では、電磁石巻線1個に対し単相ブリッジ回路1個を必要とする。言い換えれば、能動素子(IGBTやMOSFET)2個、ダイオード2個、電流センサ1個を必要とする。また、この構成は電磁石巻線をすべて独立に制御する構成である。
【0014】
特許文献4では、電磁石巻線2個に対し三相インバータ回路1個を必要とする。言い換えれば、能動素子6個、ダイオード6個、電流センサ2個を必要とする。また、この構成は電磁石巻線をすべて独立に制御する構成であり、かつ電磁石巻線に正負両極性の電流を流せる構成である。
【0015】
後述のように磁気浮上用の電磁石であれば、電磁石巻線の電流は片極性でよく、また個々の電磁石がすべて独立に制御できる必要はない。このことを考慮すれば部品点数を削減でき、コスト・サイズの減少といった利点を得られる。
【0016】
以上示したようなことから、少ない部品からなる回路で多くの電磁石巻線の電流を制御する磁気浮上システムを提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、2つの対向する電磁石とそれ以外の1つの電磁石を有し、強磁性体を非接触で浮上させる磁気浮上システムであって、直流源と、ある1相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続し、ある2相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続し、または、ある1相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続し、ある2相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続し、前記直流源の出力を直流交流変換して出力する三相ブリッジ回路と、前記三相ブリッジ回路の三相出力のそれぞれに一端が接続され、他端がY結線で接続された各前記電磁石と、前記三相ブリッジ回路の三相出力のうち少なくとも二相に設けられた電流センサと、前記能動素子のゲート信号を生成する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、その一態様として、前記制御部は、2つの対向する前記電磁石が接続されたV相,W相のV相電流,W相電流を(11)式となるように制御し、それ以外の1つの前記電磁石が接続されたU相のU相電流を(18)式となるように制御し、かつ、(12)式~(13)式、(15)式~(17)式の制約のもとで制御されることを特徴とする。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
iV:V相電流
iW:W相電流
iU:U相電流
I0:バイアス電流
I0U:U相バイアス電流
ΔiU:U相電流制御量
ΔiVW:VW相電流制御量。
【0027】
また、その一態様として、前記制御部は、U相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してU相電流制御量を出力する第1乗算器と、VW相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してVW相電流制御量を出力する第2乗算器と、前記U相電流制御量にU相バイアス電流を加算してU相電流指令値を出力する第1加算器と、前記U相電流指令値に-1/2を乗算してバイアス電流を出力する第3乗算器と、前記VW相電流制御量に前記バイアス電流を加算してV相電流指令値を出力する第2加算器と、前記バイアス電流から前記VW相電流制御量を減算してW相電流指令値を出力する第1減算器と、U相検出電流を前記U相電流指令値,V相検出電流を前記V相電流指令値,W相検出電流を前記W相電流指令値に一致させるPI制御によりU相電圧指令,V相電圧指令,W相電圧指令を出力するPI制御部と、前記U相電圧指令,前記V相電圧指令,前記W相電圧指令を正規化する正規化部と、正規化したU相電圧指令,V相電圧指令,W相電圧指令の三角波比較を行い、U相比較結果,V相比較結果,W相比較結果を出力するPWM制御部と、を備え、前記U相比較結果,前記V相比較結果,前記W相比較結果に基づいてU相,V相,W相の前記能動素子の前記ゲート信号を出力することを特徴とする。
【0028】
また、他の態様として、前記制御部は、三相のうち二相の検出電流を電流指令値に一致させるPI制御を行い二相の電圧指令を生成し、二相の前記電圧指令から残りの一相の電圧指令を算出し、三相の電圧指令に基づいてPWM制御を行い、前記PWM制御の結果に基づいて前記能動素子の前記ゲート信号を生成することを特徴とする。
【0029】
また、その一態様として、前記制御部は、U相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してU相電流制御量を出力する第1乗算器と、VW相浮上力指令に吸引力係数の2倍の逆数を乗算してVW相電流制御量を出力する第2乗算器と、前記U相電流制御量にU相バイアス電流を加算してU相電流指令値を出力する第1加算器と、前記U相電流指令値に-1/2を乗算してバイアス電流を出力する第3乗算器と、前記バイアス電流から前記VW相電流制御量を減算してW相電流指令値を出力する第1減算器と、U相検出電流を前記U相電流指令値,W相検出電流を前記W相電流指令値に一致させるPI制御によりU相電圧指令,W相電圧指令を出力するPI制御部と、前記U相電圧指令の符号を反転した値と前記W相電圧指令の符号を反転した値を加算してV相電圧指令を出力する第4加算器と、前記U相電圧指令,前記V相電圧指令,前記W相電圧指令を正規化する正規化部と、正規化したU相電圧指令,V相電圧指令,W相電圧指令の三角波比較を行い、U相比較結果,V相比較結果,W相比較結果を出力するPWM制御部と、を備え、前記U相比較結果,前記V相比較結果,前記W相比較結果に基づいてU相,V相,W相の前記能動素子の前記ゲート信号を出力することを特徴とする。
【0030】
また、その一態様として、前記強磁性体は電動機の軸であり、能動型磁気軸受として前記軸を安定浮上させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、少ない部品からなる回路で多くの電磁石巻線の電流を制御する磁気浮上システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施形態1における磁気浮上システムの主回路構成を示す回路図。
【
図2】実施形態1における磁気浮上システムの制御部を示すブロック図。
【
図4】対向する電磁石による吸引制御を示す説明図。
【
図7】三相ブリッジ回路の不適切な接続例を示す図。
【
図10】吸引制御のシミュレーション結果を示す図。
【
図11】実施形態2における磁気浮上システムの制御部を示すブロック図。
【
図12】従来における磁気浮上システムの主回路構成の一例を示す回路図。
【
図13】従来における磁気浮上システムの主回路構成の他例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本願発明における磁気浮上システムの実施形態1~3を
図1~
図11に基づいて詳述する。
【0034】
[実施形態1]
図1に本実施形態1の三相ブリッジ回路を示す。この回路構成においては、直流源DCに対して能動素子S
U,S
V,S
WとダイオードD
U,D
V,D
Wを上下アームに配置したブリッジを3並列にする。三相ブリッジ回路の三相出力をそれぞれ電磁石巻線1
U,1
V,1
Wの一端(一次側)と接続する。3つの電磁石巻線1
U,1
V,1
Wは他端(二次側)でY結線される。三相出力のうち少なくとも二相に電流センサ2が接続される。
【0035】
能動素子S
U,S
V,S
WとダイオードD
U,D
V,D
Wの配置について述べる。
図1では、一相において能動素子を上アーム(正側)かつダイオードを下アーム(負側)に配置し、二相では逆に能動素子を下アームかつダイオードを上アームに配置する。
【0036】
ここで重要なのは、能動素子とダイオードの上下配置について、三相をすべて同じにせず一相と二相に分ける点である。すなわち、ある1相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続し、ある2相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続する。または、ある1相において下アームに能動素子を接続して上アームにダイオードを接続し、ある2相において上アームに能動素子を接続して下アームにダイオードを接続する。
【0037】
図1は本実施形態1の代表的な構成であり、構成は
図1に限らない。例えば、
図12と同様、能動素子や直流部は図示した記号に限定されない。すなわち、能動素子にIGBTではなくMOSFETを用いる構成、直流源DCに交流電源を入力とするAC/DC変換器出力を用いる構成なども許容される。その他の部分についても、電流センサ2を異なる相の組み合わせに設ける構成、直流部に平滑用コンデンサを持つ構成なども本実施形態1に含まれる。
【0038】
図2に本実施形態1における制御部のブロック図を示す。
【0039】
第1乗算器3は、U相浮上力指令FU
*と電流に関する吸引力係数Kiの2倍の逆数との積を取り、U相電流制御量ΔiUを算出する。第2乗算器4は、VW相浮上力指令FVW
*と電流に関する吸引力係数Kiの2倍の逆数との積を取り、VW相電流制御量ΔiVWを算出する。この際、対向する電磁石の差分で吸引力が発生することを考慮し、差分でちょうどU相電流制御量ΔiU,VW相電流制御量ΔiVWという値になるよう、1/Kiに1/2を乗算している。
【0040】
第1加算器5は、U相電流制御量ΔiUとU相バイアス電流I0Uを加算する。第1加算器5の出力がU相電流指令値IUとなる。第3乗算器6,7は、第1加算器5の出力であるU相電流指令値IUに-1/2を乗算する。第3乗算器6,7の出力がバイアス電流I0となる。第2加算器8は、バイアス電流I0にVW相電流制御量ΔiVWを加算する。第2加算器8の出力がV相電流指令値IVとなる。第1減算器9はバイアス電流I0からVW相電流制御量ΔiVWを減算する。第1減算器9の出力がW相電流指令値IWとなる。
【0041】
このように、U相電流制御量ΔiUとVW相電流制御量ΔiVW、およびU相バイアス電流I0Uから、後述する(11)式,(15)式,(18)式を満たすよう加減算を行い、これらの結果を電流指令とする。
【0042】
第3加算器10は、U相検出電流iUdetの符号を反転した値とW相検出電流iWdetの符号を反転した値を加算してV相検出電流iVdetを演算する。
【0043】
PI制御部11U,11V,11Wは、U相検出電流iUdet,V相検出電流iVdet,W相検出電流iWdetをU相電流指令値IU,V相電流指令値IV,W相電流指令値IWに一致させるPI制御によりU相電圧指令vU
*,V相電圧指令vV
*,W相電圧指令vW
*を生成する。
【0044】
正規化部12U,12V,12Wは、U相電圧指令vU
*,V相電圧指令vV
*,W相電圧指令vW
*にそれぞれ2/vdcを乗算して、直流電圧vdc基準に正規化し、PWM制御部13に出力する。
【0045】
PWM制御部13では正規化されたU相電圧指令,V相電圧指令,W相電圧指令とキャリア三角波との三角波比較を行い、各相の大小比較結果が出力される。U相比較結果は
図1の能動素子S
Uを駆動するゲート信号g
Uとなる。V相比較結果は第1NOT素子14により反転する。第1NOT素子14の出力が能動素子S
Vを駆動するゲート信号g
Vとなる。W相比較結果は第2NOT素子15により反転する。第2NOT素子15の出力が能動素子S
Wを駆動するゲート信号g
Wとなる。V相、W相の比較結果を反転する理由は、
図1の構成でV相,W相が下アームに能動素子を配置していることを考慮したものである。
【0046】
図1の動作を明らかにする前に、まず、磁気浮上システムにおける電磁石巻線電流について考える。
【0047】
電磁石巻線の電流について検討した後、電流制御の前提を示し、それを達成するための
図1の制御方法・動作を示す。
【0048】
図3に電磁石1による吸引力制御を示す。電磁石1によって軸16を安定浮上させるとき、重力などの定常的な力をつり合わせた後の平衡点を基準として、軸16の運動は(1)式で、また個々の吸引力は(2)式で表される。mは軸の質量[kg]、xは軸の変位[m]、iは巻線電流[A]、Fxはx軸方向の吸引力[N]、F
distは外力[N]、Kxは変位に関する吸引力係数[N/m]、Kiは電流に関する吸引力係数[N/A]であり、変数上部のドットは1つにつき1階の微分を表すものとする。
【0049】
【0050】
【0051】
(2)式の電流iを変位xや外力Fdistの変化に応じて適切に増減することで、(1)式で表される運動を安定化することができる。軸16の運動には回転運動や軸方向(スラスト方向)の推進運動もあるが、議論は同様であり、該当運動方向を制御可能な電磁石1について電流制御を行えば安定浮上が達成できる。
【0052】
ここで、(2)式は動作点まわりで吸引力が線形に変化するという仮定に基づいた立式であることに注意する。電流ゼロの状態を基準に電流を増減させる場合、一般に吸引力は非線形に増減する。このとき(2)式の関係が成り立たず、吸引力の制御は複雑化する。そこで、電磁石を対向設置してバイアス電流を流し、バイアス電流を基準に吸引力が線形な領域で電流を増減するという構成がしばしば用いられる。
【0053】
図4に対向する電磁石1,1による吸引力制御を示す。左側の電磁石巻線にはI
0+Δi、右側の電磁石巻線にはI
0-Δiの電流が流れている。変位に応じて発生する吸引力を除いて電流起因の吸引力を考えると、バイアス電流I
0の分の吸引力は左右で打ち消されるため、軸16の運動に寄与する吸引力は電流差分2Δiで生じる分のみとなる。したがって、この構成ではバイアス電流I
0が軸16の運動に寄与することなく、線形に吸引力を制御できる。
【0054】
また、強磁性体の軸16と電磁石1の間に発生する力については、電磁石1の磁極方向に関わらず吸引方向の力となる。つまり、電流極性に関わらず軸16には吸引力が発生し、電流絶対値によって力の大きさが変動する。なお、もし電磁石磁極の向きが問題となる構成を用いるとしても、ブリッジ回路と電磁石の接続端子を入れ替えるだけで磁極方向を反転でき、容易に適切な磁極方向へと変更できる。よって、いずれにせよ軸の磁気浮上において電流極性は問題にならない。
【0055】
以上を考慮すると、電磁石巻線の電流制御では以下の項目を前提としてよい。
A)動作中、電磁石ごとの電流極性は一定である。
B)電流の正負は自由に選択できる。
C)対向する電磁石の電流はバイアス電流を基準に増減する。
【0056】
【0057】
図1の回路構成は三相のブリッジ回路の出力に3つの電磁石1
U,1
V,1
Wを接続している。ただし、各相のブリッジは上下アームの一方に能動素子S
U,S
V,S
Wを、もう一方にダイオードD
U,D
V,D
Wを接続する。また、電磁石巻線の他端は電磁石同士でY結線される。
【0058】
まず、三相のブリッジのうち一相の動作を確認する。
図5に単相ハーフブリッジ回路を示す。わかりやすさのために直流源DCの直流電圧vdcを仮想的に2つに分割し中間の点を中性点とする。また、
図5の通り出力電流i
outと出力電位v
outを定義する。
【0059】
この回路では能動素子Sを上アーム、ダイオードDを下アームに接続しているため、出力電流ioutが負の場合に電流経路が存在しない。よって、(3)式のように出力電流ioutは0あるいは正のみとなる。上述の前提のように電流極性が片側でも磁気浮上制御では問題とならない。
【0060】
【0061】
次に、能動素子Sの動作状態ごとの出力電位voutを考える。能動素子Sはゲート信号によって導通状態と絶縁状態を切り替えることができるが、本実施形態1では導通状態をON、絶縁状態をOFFと呼ぶことにする。上アームの能動素子SのON/OFFによって出力電位voutを場合分けすると、ONでは上アームを通る経路、OFFでは下アームを通る経路となるため、(4)式の形になる。
【0062】
【0063】
(4)式から、上アームの能動素子Sのスイッチングにより正負の値を持つパルス電圧を出力できることがわかる。そして、指令電圧と三角波の大小比較などといったPWM手法でパルス幅を管理すれば、-(vdc/2)から+(vdc/2)の間の任意の電圧値を近似的に出力することができる。
【0064】
なお、下アームに能動素子Sが接続された単相ハーフブリッジ回路では極性が逆転し、(5)式、(6)式の関係が成り立つ。以上が単相ハーフブリッジ回路の動作である。
【0065】
【0066】
【0067】
以下では、三相ブリッジ回路について考える。三相ブリッジ回路は単相ハーフブリッジ回路を3つ組み合わせることで構成される。ただし、上アームと下アームのどちらに能動素子を配置するかについては注意を要する。
【0068】
図6に三相ブリッジ回路の定数定義を示す。
図5と同様、直流源DCの直流電圧vdcを2分割した。また、三相のブリッジ回路をU相、V相、W相とみなし、電流i
U,i
V,i
W、能動素子S
U,S
V,S
W、出力電位v
U,v
V,v
Wを定義した。
【0069】
背景技術の
図12は単相であり、電流経路のために電磁石1の左右にブリッジ回路を接続するフルブリッジ構成を用いていた。それに対して
図6では電磁石1
U,1
V,1
Wの他端のY結線により相同士が電流経路を作るため、ハーフブリッジ3つで三相の電流を制御することができる。
【0070】
ここで、他端のY結線部に流れ込む電流を考えると(7)式の関係が成り立つ。
【0071】
【0072】
(7)式は電流の極性という点で重要な制約であり、この制約により三相ブリッジ回路の接続は限定される。
【0073】
図7に三相ブリッジ回路の不適切な接続例を示す。これは、三相全てで上アームに能動素子S
U,S
V,S
Wを接続した場合の三相ブリッジ回路である。上述の単相ハーフブリッジ回路の議論から、
図7の構成においては(8)式の関係が成り立つ。しかし、(7)式と(8)式の両立を考えると明らかに(9)式のように全相で電流が流れない結果になってしまう。この構成は電磁石巻線の電流制御用回路として不適切であると言える。
【0074】
【0075】
【0076】
このようにY結線の制約である(7)式を考えると、すべての相が上アームに能動素子SU,SV,SWを接続する構成、およびすべての相が下アームに能動素子SU,SV,SWを接続する構成は許容されない。言い換えると、三相のうち上アームに能動素子を持ち下アームにダイオードを持つ相と、上アームにダイオードを持ち下アームに能動素子を持つ相が、それぞれ一相と二相、あるいは二相と一相、で構成されなければならない。
【0077】
能動素子の配置の三相での組み合わせは様々な態様とすることができるが、ここでは
図6を基準とおくことにする。
図6においてはU相が上アームに能動素子、V相とW相が下アームに能動素子を接続するブリッジであるため、(10)式が成り立つ。
【0078】
【0079】
(10)式のもとであれば、(7)式を考慮しても電流はゼロ以外の値を取ることができる。また、上述の前提A,Bで示したように電流の極性は固定かつ自由に設定してよいので、(10)式の制約がある構成でも磁気浮上制御として問題は生じない。
【0080】
そして、(7)式、(10)式のもとでは三相の電流すべてを独立に制御することはできないが、これは上述の前提Cを考慮すると問題にはならない。これについて以下に詳細を述べる。
【0081】
図8に実施形態1の電磁石配置例を示す。V相、W相の電磁石が対向しているとすると、V相電流i
V,W相電流i
Wを(11)式の形に制御すればよいことになる。ただし、I
0はバイアス電流、Δi
VWは浮上制御のための巻線電流制御量(VW相電流制御量)である。(10)式の制約を考え、バイアス電流I
0とVW相電流制御量Δi
VWは(12)式、(13)式の関係を満たすものとする。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
このとき、U相巻線の電流は(7)式と(11)式より(14)式の形になる。
【0086】
【0087】
U相電磁石に対向する電磁石Xが存在し、別の構成、例えば
図12などで適切に電流制御されているとする場合、U相巻線も何らかのバイアス電流を基準に電流を増減させることになる。このとき、V相とW相の電流に同じだけの電流値を増減しても対向する電磁石によって吸引力基準では打ち消されることから、バイアス電流I
0を(15)式のようにU相バイアス電流I
0UとU相電流制御量Δi
Uの加算と見ることにする。
【0088】
つまり、V相とW相でU相バイアス電流I0U,U相電流制御量ΔiUに応じて同じ値だけバイアス電流を変化させることにする。ただし、U相バイアス電流I0UとU相電流制御量ΔiUは(16)式、(17)式を満たすものとする。このようにすれば、U相電流iUは(18)式の形になり、V相、W相方向の吸引力に影響を与えずにU相巻線の電流をバイアス電流基準で制御できる。
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
以上のように、(7)式かつ(10)式を満たす(11)式~(13)式および(15)式~(17)式の制約のもとで電磁石巻線の電流を磁気浮上制御として適切に制御できる。すなわち、2つの対向する電磁石が接続されたV相,W相のV相電流iv,W相電流iWを(11)式となるように制御し、それ以外の1つの電磁石が接続されたU相のU相電流iUを(18)式となるように制御し、かつ、(12)式~(13)式、(15)式~(17)式の制約のもとで制御される。
【0094】
能動素子のスイッチングパターンと出力電位の関係を表1に示す。ここでは該当素子がONであれば1、OFFであれば0としてスイッチングパターンを示している。能動素子SV,SWは下アームに接続されているため、一般的な三相インバータとはON/OFFの扱いが反転していることに注意されたい。
【0095】
【0096】
図2はここまでの内容をふまえた制御ブロック図である。吸引力のうち電流が寄与する成分を吸引力指令とし、それと1/Kiとの積で電流値に換算する。対向する電磁石の差分で吸引力を発生させるため、相ごとの制御量は半分ずつでよくなることを考慮して1/2倍も行い、U相電流制御量Δi
U,VW相電流制御量Δi
VWという電流制御量が得られる。
【0097】
その後、(11)式,(15)式,(18)式より各相の電流指令値を演算し、検出値との偏差でPI制御を行う。PI制御結果のU相,V相,W相電圧指令vU
*,vV
*,vW
*は直流電圧vdcを用いて正規化され、PWMにて三角波比較を行う。
【0098】
三角波比較結果が、能動素子を駆動するゲート信号となるが、その際、V相とW相は下アームに能動素子を配置していることを考慮し、信号をNOT論理で反転している。
【0099】
以上のように、
図2のブロック図によって
図1の三相ブリッジ回路で磁気軸受用電磁石の電流制御を行うことができる。
【0100】
シミュレーションにより、本実施形態1の動作を検証する。
図8に示すように電磁石が配置されているとみなし、U相に対向する電磁石をX,その巻線電流をi
Xとおく。電磁石Xは別途理想的に制御されているとみなした。電磁石XはU相の電磁石1
Uとの電流差分で吸引力を適切に発生できるように制御される。例えば、電磁石Xを
図12の通りに接続し、特許文献3に記載の方法で制御すればよい。
【0101】
またこの構成では、U相の電磁石1Uの電流iUの制御は、U相に対向する電磁石Xの制御とは独立して行う。よって、U相の電磁石1Uの電流iUの制御では、U相に対向する電磁石Xの制御回路からの情報を得ることなく、軸の上下方向の吸引力をバランスさせることができる。
【0102】
また、
図8において、U相の電磁石1
Uを軸に鉛直な上方向に配置して、かつ、
図2,
図3のU相浮上力指令F
U
*を軸の重量に見合った値に設定するのならば、
図8の電磁石Xを省いてもよい。
【0103】
直流電圧80[V]、電磁石インダクタンス50[mH]、巻線抵抗1.0[Ω]、電流に関する吸引力係数は4[N/A]、U相バイアス電流5[A]でシミュレーションを行った。
【0104】
図9に電流制御シミュレーション結果を示す。UVW相すべてで、電流指令値i
Uref,i
Vref,i
Wrefに変化があっても各相の電流i
U,i
V,i
Wは指令値通りの値に収束している。電磁石Xの電流i
Xは理想的な動作を仮定したため電流指令値i
Xrefに完全追従している。i
Uとi
X,i
Vとi
Wはバイアス電流を基準に制御電流の分だけ互いに逆の極性で増減している。i
Uの制御量変動時はi
V,i
Wのバイアス電流が変化している様子もわかる。
【0105】
図10に吸引力制御シミュレーション結果を示す。これは
図9と同時刻の吸引力波形を示している。ここでのU相,VW相浮上力F
U,F
VWはU相方向、V相W相方向の吸引力であるが、変位に起因する吸引力や外力を考慮しない電流起因の吸引力のみを考えている。U相,VW相浮上力F
U,F
VWともに指令通りの値に収束している。
【0106】
以上のように、本実施形態1の構成で磁気浮上として適切な電磁石巻線の電流制御を行うことができることが示された。
【0107】
本実施形態1によれば、特許文献1~4に対し、能動素子(IGBT,MOSFET等)、ダイオード、電流センサといった部品の個数を削減できる。
【0108】
部品点数削減の例として電磁石4個について、本実施形態1の構成を1個かつ特許文献1(
図12)の構成を1個で制御する構成、特許文献1(
図12)を4個で制御する構成、特許文献4(
図13)の構成を2個で制御する構成の部品点数で比較を行う。表2に電磁石4個の場合で換算した場合の部品点数の比較を示す。
【0109】
【0110】
表2に示すように、能動素子、ダイオード、電流センサのすべてについて本実施形態1の1個と特許文献1からなる構成が最小の部品点数である。部品点数に関する本実施形態1の優位性が示された。
【0111】
[実施形態2]
図11に本実施形態2の制御部のブロック図を示す。
図2からは、V相電流に関する加減算とPI制御がなくなり、代わりにU相電圧指令v
U
*とW相電圧指令v
W
*からV相電圧指令v
V
*を演算する構成が追加されている点が異なる。
【0112】
すなわち、
図2の第3乗算器6、第2加算器8、第3加算器10、PI制御部11
Vを削除する。一方、第4加算器17において、U相電圧指令v
U
*の符号を反転した値とW相電圧指令v
W
*の符号を反転した値を加算してV相電圧指令v
V
*を出力する。
【0113】
実施形態1の制御部では三相ともにPI制御を行ったが、(7)式の関係を考慮して、(19)式のようにU相電圧指令vU
*とW相電圧指令vW
*からV相電圧指令vV
*を演算してもよい。
【0114】
【0115】
図11ではV相のPI制御を削除し、(19)式の演算によってV相電圧指令v
V
*を生成した。以上が本実施形態2である。なお、PI制御演算を省略するのはV相である必要はない。U相,V相,W相のうちいずれか一相について同様の構成とすることができる。
【0116】
以上示したように、本実施形態2によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0117】
[実施形態3]
上述の磁気浮上システムでは電磁石が
図8のように配置されるとした。しかし、重要なのはV相とW相の電磁石が対向していることであり、U相とVW相で直交する位置になくてもよい。また、U相電磁石のみ離れた位置、異なる制御方向、異なる浮上対象の浮上制御に用いられていてもよい。
【0118】
以上のように、実施形態1の電磁石配置に限らず、磁気浮上のために存在する電磁石のうち対向する1対の電磁石とそれ以外の電磁石1つを制御していれば構成は問わない。これを本実施形態3とする。
【0119】
本実施形態3は多様な電磁石の個数に対して適用可能である。多数ある電磁石のうち少なくとも一部を実施形態1,2の主回路構成、制御部で制御すれば部品点数を削減することができる。
【0120】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【符号の説明】
【0121】
DC…直流源
SU,SV,SW…能動素子
DU,DV,DW…ダイオード
1U,1V,1W…電磁石
2…電流センサ
3…第1乗算器
4…第2乗算器
5…第1加算器
6,7…第3乗算器
8…第2加算器
9…第1減算器
10…第3加算器
11U,11V,11W…PI制御部
12U,12V,12W…正規化部
13…PWM制御部
14…第1NOT素子
15…第2NOT素子
16…軸
17…第4加算器