(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043220
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】チューブ容器の肩部、およびチューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/02 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
B65D35/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150711
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】521064484
【氏名又は名称】有限会社美和化工
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】西田 正三
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA11
3E065DA04
3E065DB05
3E065FA11
3E065HA01
3E065HA02
(57)【要約】
【課題】内容物を無駄なく押し出すことができるチューブ容器の樹脂製の肩部を提供する。
【解決手段】チューブ容器(1)は、樹脂製の肩部(2)と、この肩部(2)に融着されている胴体部(4)とから構成されている。樹脂製の肩部(2)は、チューブ容器(1)内の内容物を押し出す口部(6)と、該口部(6)に接続されている円錐状のスカート部(7)とを備えている。本発明においてスカート部(7)には複数本の溝(13)を形成するようにし、複数本の溝(13)が山折りされるとスカート部(7)が折り畳まれるように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の肩部と、該肩部に接続されている樹脂製の胴体部とからなるチューブ容器の前記肩部であって、
前記肩部は、前記チューブ容器内の内容物を押し出す口部と、該口部に接続されている円錐状のスカート部とを備え、前記胴体部は前記スカート部に接続されるようになっており、
前記スカート部には、山折り可能な線分である山折可能線分が複数本形成され、前記複数本の山折可能線分が山折りされると前記スカート部が折り畳まれるようになっている、チューブ容器の樹脂製の肩部。
【請求項2】
前記複数本の山折可能線分は2本からなり、該2本の山折可能線分は前記スカート部を形成している円錐の母線方向に形成されていると共に、前記口部を中心として互いに180度の位置に配置されている、請求項1に記載のチューブ容器の樹脂製の肩部。
【請求項3】
請求項1または2に記載の肩部と、前記胴体部とからなるチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を押し出す口部を備えた樹脂製の肩部と、この肩部に接続されているチューブ状の胴体部と、からなるチューブ容器の肩部、およびチューブ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チューブ容器は、従来周知であり歯磨き粉や化粧品等の流動物を入れる容器として利用されている。チューブ容器は、特許文献1等に記載されているように、肩部と、この肩部に接続されているチューブ状の胴体部とからなる。肩部は、チューブ容器の内容物を押し出す小径の口部と、この口部に接続されて円錐状に広がっているスカート部とからなり、口部には着脱可能な、あるいは開閉可能なキャップが設けられている。胴体部は筒状に形成され、肩部のスカート部に接続されている。このような胴体部に内容物が入れられ、そして胴体部の端部が折り曲げられ、あるいは圧着されて内容物が密封されている。
【0003】
チューブ容器の多くは樹脂製からなり、肩部は射出成形、あるいは圧縮成形により成形され、そして胴体部はブロー成形あるいは押出成形により成形されている。そして胴体部が肩部のスカート部に融着により接合されている。チューブ容器が樹脂製からなる場合、胴体部は柔らかい樹脂から形成されているので、胴体部を実質的に完全に押しつぶすことができる。したがってチューブ容器の内容物は、そのほとんどを口部から押し出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂製のチューブ容器は、胴体部が柔らかい樹脂から形成されているので、胴体部を実質的に完全に押しつぶすことができ、口部から内容物のほとんどを押し出すことができる。つまり無駄になる内容物を少なくすることができる、という優れた特徴がある。しかしながら解決すべき課題も見受けられる。具体的には肩部と胴体部の接続部分についてである。肩部は円錐状になっており比較的硬いので、胴体部は肩部との接続部分の近傍において十分に押しつぶすことができない。したがって、接続部分の近傍の内容物は押し出すことができず、無駄になってしまう。
【0006】
本発明は、肩部と胴体部の接続部分の近傍の内容物であっても、十分に押し出すことができ、それによってチューブ容器に残存する内容物を可及的に少なくすることができ、無駄が生じないチューブ容器の肩部、およびチューブ容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
チューブ容器は、樹脂製の肩部と、この肩部に融着されている胴体部とから構成されている。本発明はこの樹脂製の肩部を対象とする。樹脂製の肩部は、チューブ容器内の内容物を押し出す口部と、該口部に接続されている円錐状のスカート部とを備えている。本発明においてスカート部には溝、あるいは凸状の筋からなり山折り可能な線分である山折可能線分を複数本形成するようにする。複数本の山折可能線分が山折りされるとスカート部が折り畳まれるように構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、樹脂製の肩部はスカート部に溝、あるいは凸状の筋からなり山折り可能な線分である山折可能線分が複数本形成され、これらが山折りされるとスカート部が折りたたまれるようになっている。スカート部が折りたたまれるようになっているので、胴体部はスカート部近傍においても実質的に完全に押しつぶすことができる。したがってチューブ容器内の内容物は実質的に全て押し出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】その(A)は本実施の形態に係るチューブ容器を示す斜視図であり、その(B)は本実施の形態に係る樹脂製の肩部を(A)におけるX-X断面で切断した正面断面図、その(C)は本実施の形態に係る樹脂製の肩部の上面図である。
【
図2】樹脂製の肩部が折りたたまれた状態の本実施の形態に係るチューブ容器を示す斜視図である。
【
図3】第2の実施の形態に係る樹脂製の肩部の上面図である。
【
図4】その(A)は本実施の第3の形態に係るチューブ容器を示す斜視図であり、その(B)は本実施の第3の形態に係る樹脂製の肩部を(A)におけるY-Y断面で切断した正面断面図である。
【
図5】その(A)は本実施の第4の形態に係るチューブ容器の肩部を示す正面断面図であり、その(B)は本実施の第5の形態に係るチューブ容器の肩部を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
本実施の形態を説明する。
<チューブ容器>
本実施の形態に係るチューブ容器1は、
図1の(A)に示されているように、樹脂製からなる本実施の形態に係る肩部2と、この肩部2に融着されている胴体部4とから構成されている。
図1の(A)において胴体部4は二点鎖線により示されている。胴体部4は、チューブ状を呈し、比較的柔らかい樹脂からなり、必要に応じてバリア性を高めるためのフィルム、遮光性を高めるアルミ箔、等が積層されている。この胴体部4に流動性を備えた内容物が封入されており、胴体部4の端部5が熱により圧着されている。あるいは端部5が接着剤により接着されている。
【0012】
<肩部>
本実施の形態に係る肩部2は、射出成形、圧縮成形等により一体成形されており、次の各部から構成されている。すなわち肩部2は、チューブ容器1の内容物を押し出す口部6と、この口部6に接続されている円錐状のスカート部7と、スカート部7に接続されている円筒状のリング部9と、から構成されている。本実施の形態において口部6には雄ねじ11が形成されている。図に示されていないが、雌ねじが形成されたキャップが、この口部6に螺合して口部6を閉鎖するようになっている。前記した胴体部4は、スカート部7の外縁部とリング部9において融着されている。
【0013】
本実施の形態においてスカート部7には、
図1の(A)に示されているように2本の溝13、13が形成されている。
図1の(B)には、肩部2の断面が示されているが、スカート部7は厚さが一様な薄肉に形成されており、溝13および溝13の近傍においても肉厚は一定になっている。前記したようにスカート部7は円錐状を呈しており、
図1の(A)
に示されているように、これら2本の溝13、13は、円錐の母線に沿って形成されている。つまり溝13、13は口部6からリング部9に達するようにスカート部7に形成されている。次に本実施の形態の作用を説明するが、これらの溝13、13は山折可能な線分である山折可能線分になっている。
図1の(C)には肩部2を上面から見た図が示されているが、このような2本の溝13、13、すなわち山折可能線分は口部6を中心にして互いに180度になるように位置している。
【0014】
<本実施の形態に係るチューブ容器の作用>
本実施の形態に係るチューブ容器1から内容物を押し出す。すなわち口部6を開口させ、胴体部4を潰すようにする。そうすると内容物が口部6から押し出される。やがて胴体部4は、肩部2の近傍を残して全体が押し潰された状態になる。そうすると大部分の内容物が押し出されるが、肩部2の近傍には内容物が残存している。本実施の形態に係る肩部2は、2本の山折可能線分すなわち溝13、13が山折りできるようになっている。
図2に示されているように、肩部2を二つ折りにする。そうすると、肩部2近傍の胴体部4も完全に押しつぶすことができる。肩部2近傍に残存していた内容部について、口部6から押し出すことができる。すなわち、本実施の形態に係るチューブ容器1は、内容物の残存量を可及的に少なくして、無駄なく押し出すことができる。
【0015】
<変形例>
本実施の形態に係る肩部2は色々な変形が可能である。例えば山折可能線分である溝13、13を変形することができる。
図3には第2の実施の形態に係る肩部2aが示されている。第2の実施の形態に係る肩部2’は、スカート部7に形成されている溝13a、13a、…が4本からなる。そしてこれら4本の溝13a、13a、…は、口部6の中心をずらすようにして平行に形成されている。つまり円錐状に形成されているスカート部7において円錐の母線に沿ってはいない。これらの4本の溝13a、13a、…も山折可能線分であり、これらが山折りされても、スカート部7が折りたたまれる。
【0016】
山折可能線分は溝13、13の代わりに凸状の筋から形成することもできる。
図4の(A)、(B)には、スカート部7に凸状の筋15、15からなる山折可能線分が形成された第3の実施の形態に係る肩部2b、およびこの肩部2bを備えたチューブ容器1bが示されている。このような凸状の筋15、15において山折りしても、肩部2bを折り畳むことができる。
【0017】
図5の(A)には、第4の実施の形態に係る肩部2cが示されている。この実施の形態において溝13cはスカート部7の表面を切り欠くようにして形成されており、溝13cの部分だけスカート部7が薄肉になっている。このような溝13cも山折可能線分である。このような溝13cは、スカート部7の表面側でなく裏面側に設けても良い。
図5の(B)には溝13dがスカート部7の裏面側に設けられている、第4の実施の形態に係る肩部2dが示されている。この実施の形態においても溝13dにおいてスカート部7を山折りにすることができる。
【0018】
本実施の形態に係る肩部2は他にも変形が可能である。例えば、口部6には雄ねじ11が形成されていて、雌ねじが形成されたキャップが螺合するように説明した。しかしながら、肩部2にヒンジ構造を介して開閉自在なキャップを設けるようにし、このキャップを開閉することによって口部6を開閉するようにすることもできる。本実施の形態に係る肩部2はリング部9を備えているように説明した。しかしながらリング部9は必須ではない。リング部9を備えていない場合には、胴体部4はスカート部7の外縁部に融着される。
【0019】
本実施の形態において、肩部2と胴体部4は別々に成形されて互いに融着されるように説明した。しかしながら、これらは一体的に成形するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 チューブ容器 2 肩部
4 胴体部 6 口部
7 スカート部 9 リング部
11 雄ねじ 13 溝
15 凸状の筋