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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043247
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】廃液収容装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
B41J2/17 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150752
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】青木 和之
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EC23
2C056EC35
2C056JC13
2C056JC29
2C056KB40
(57)【要約】
【課題】廃液収容装置において、印刷装置のメンテナンスを容易にすることができる。
【解決手段】印刷装置10の外部に配置される廃液収容装置1は、この廃液収容装置1を、印刷装置10の外部の第1位置P1と、印刷装置10の外部で且つ第1位置P1とは異なる第2位置P2とに移動可能に印刷装置10に連結するための連結部5とを備える。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置の外部に配置される廃液収容装置であって、
前記廃液収容装置を、前記印刷装置の外部の第1位置と、前記印刷装置の外部で且つ前記第1位置とは異なる第2位置とに移動可能に前記印刷装置に連結するための連結部
を備えることを特徴とする廃液収容装置。
【請求項2】
廃液タンクを収容する廃液筐体と、
前記印刷装置及び前記廃液タンクに接続され、前記印刷装置から排出される廃液を前記廃液タンクへ流す廃液管とを更に備え、
前記連結部は、前記廃液筐体を前記廃液収容装置の前記第1位置と前記第2位置との間で回転可能に前記印刷装置に連結する
ことを特徴とする請求項1記載の廃液収容装置。
【請求項3】
前記廃液管は、直方体形状を呈する前記印刷装置の第1面に沿って廃液を流し、
前記廃液収容装置の前記第1位置は、前記印刷装置の前記第1面の周縁の1辺を挟んで前記第1面に隣接する前記印刷装置の第2面に前記廃液筐体が沿う位置であり、
前記連結部は、前記廃液筐体の回転中心が前記第1面に対向する領域と前記第2面に対向する領域との間において前記1辺に平行となるように、配置されている
ことを特徴とする請求項2記載の廃液収容装置。
【請求項4】
前記廃液管から流出する流出液を受けるための流出液受けを更に備え、
前記廃液管は、直進する直進部と、当該直進部よりも廃液の流路の下流側に位置し、前記廃液筐体の回転に伴って湾曲する湾曲部とを有し、
前記流出液受けは、前記印刷装置に固定され、前記廃液管の前記直進部の下方に配置された第1受け部と、前記廃液筐体に固定され、前記廃液管の前記湾曲部の下方に配置された第2受け部とを有し、
前記第2受け部は、前記廃液筐体の回転範囲の全体に亘って、前記第1受け部から流れる流出液を受けるように前記第1受け部の下方に配置されている
ことを特徴とする請求項2又は3記載の廃液収容装置。
【請求項5】
前記廃液管は、直進する直進部と、当該直進部よりも廃液の流路の下流側に位置し、前記廃液筐体の回転に伴って湾曲する湾曲部とを有し、
前記連結部は、前記廃液管の前記直進部を通る仮想直線に前記廃液筐体の回転中心が交差するように、配置されている
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の廃液収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置の外部に配置される廃液収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドのクリーニング動作によって生じるインクの廃液を回収する廃インクタンクを備えるインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-202837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、廃液収容装置は、印刷装置の内部に配置されている。そのため、廃液が満タンになると、ユーザが、印刷装置の側面や背面などのカバーを開放して、廃液収容装置を取り出した上で、廃液収容装置内の廃液を廃棄する。
【0005】
例えば、印刷装置の外周面のうち廃液収容装置が収容されている面側に、媒体を搬送する搬送装置や媒体を排出する排出装置などの他の装置が連結されている印刷システムにおいて、廃液収容装置を取り出す(交換する)ためには、印刷装置と他の装置との連結を解除する必要が生じ、手間がかかる。特に、印刷システムが、直列に配置された複数の印刷装置を備える場合には、連結される装置の数が増えるため、より一層手間がかかる。
【0006】
廃液収容装置を印刷装置の外部に配置することも考えられるが、廃液収容装置が印刷装置の側面や背面を塞いでしまい、廃液収容装置によって塞がれた面において、印刷装置のメンテナンスを行うのが困難になる。
【0007】
本発明の目的は、印刷装置のメンテナンスを容易にすることができる廃液収容装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、廃液収容装置は、印刷装置の外部に配置される廃液収容装置であって、前記廃液収容装置を、前記印刷装置の外部の第1位置と、前記印刷装置の外部で且つ前記第1位置とは異なる第2位置とに移動可能に前記印刷装置に連結するための連結部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、印刷装置のメンテナンスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態における印刷システムの配置例を示す正面図である。
図2】一実施の形態における第1位置の廃液収容装置及び印刷装置を示す右背面側斜視図である。
図3】一実施の形態における第1位置の廃液収容装置及び印刷装置を示す平面図である。
図4】一実施の形態における第1位置の廃液収容装置及び印刷装置を示す右側面図である。
図5】一実施の形態における廃液収容装置(第1位置及び第2位置の両方で図示)及び印刷装置を示す平面図である。
図6】一実施の形態における第2位置の廃液収容装置及び印刷装置を示す右背面側斜視図である。
図7】一実施の形態における第1位置の廃液収容装置の内部を透視的に示す右背面側斜視図である。
図8】一実施の形態における第1位置の廃液収容装置(カバーを省略)の内部を透視的に示す右背面側斜視図である。
図9】一実施の形態における第1位置の廃液収容装置(カバーを省略)の内部を透視的に示す部分右側面図である。
図10】一実施の形態における第1受け部を示す右背面側斜視図である。
図11】一実施の形態における第2受け部を示す右背面側斜視図である。
図12】一実施の形態におけるカバーを示す右背面側斜視図である。
図13】一実施の形態における第1位置の廃液収容装置(カバーを省略)の内部を透視的に示す部分平面図である。
図14】一実施の形態における第2位置の廃液収容装置(第1廃液管、第2廃液管、及びカバーを省略)の内部を透視的に示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る廃液収容装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、印刷システム100の配置例を示す正面図である。なお、図1並びに後述する図2図14に示す、前後方向、左右方向、及び上下方向は、例えば、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0013】
印刷システム100は、2つの印刷装置10と、供給装置20と、2つの中間搬送装置30と、排出装置40とを備える。各装置は、隣接する装置に連結され、例えば用紙である媒体Mの搬送方向(右方向)に向かって、供給装置20、印刷装置10、中間搬送装置30、印刷装置10、中間搬送装置30、排出装置40の順に直列に配置されている。
【0014】
また、印刷システム100は、2つの印刷装置10のそれぞれの右後方に配置された廃液収容装置1を備える。この廃液収容装置1については、詳しく後述する。
【0015】
2つの印刷装置10は、インクを用いて印刷を行うインクジェット印刷装置である。印刷装置10は、直方体形状を呈する。通常、印刷装置10は、媒体Mの挿入口や排出口などの各部が凹凸を有したり、外面である前後上下左右の各面(右側面11、背面12など)内に段差を有したり、或いは、各面の間の辺が曲面となっていたりすることなどによって、完全な直方体形状を呈さない。そのため、印刷装置10の各面に凹凸部や段差が設けられていたり或いは各辺が曲面となっていたりしても、印刷装置10の形状を直方体形状とみなすことができる。なお、印刷装置10としては、廃液を排出する印刷装置であればよく、インクジェット印刷装置以外の、インクを用いて印刷を行う印刷装置(例えば孔版印刷装置)、或いは、印刷にインクを用いない印刷装置であってもよい。印刷にインクを用いない印刷装置であれば、印刷装置内のクリーニング液などが廃液となる。
【0016】
一例ではあるが、搬送方向における上流側(左側)の印刷装置10は、媒体Mの表面に印刷を行い、搬送方向における下流側(右側)の印刷装置10は、媒体Mの裏面に印刷を行う。或いは、下流側の印刷装置10は、上流側の印刷装置10とは異なるインクで、上流側の印刷装置10が印刷を行う面と同一面又は反対面において媒体Mに印刷を行う。
【0017】
媒体供給装置20は、例えば上下2段の積載台のそれぞれに積載された媒体Mを印刷装置10に供給する。
【0018】
2つの中間搬送装置30は、印刷装置10から排出される媒体Mを搬送する。なお、2つの印刷装置10の間に配置される中間搬送装置30が省略され、2つの印刷装置10が互いに連結されていてもよい。
【0019】
排出装置40は、下流側の中間搬送装置30から排出される媒体Mを積載台に排出する。
【0020】
図2図4は、第1位置P1の廃液収容装置1及び印刷装置10を示す右背面側斜視図、平面図、及び右側面図である。
【0021】
図5は、廃液収容装置1(第1位置P1及び第2位置P2の両方で図示)及び印刷装置10を示す平面図である。
【0022】
図6は、第2位置P2の廃液収容装置1及び印刷装置10を示す右背面側斜視図である。
【0023】
図7は、第1位置P1の廃液収容装置1の内部を透視的に示す右背面側斜視図である。
【0024】
図8は、第1位置P1の廃液収容装置1(カバー7を省略)の内部を透視的に示す右背面側斜視図である。
【0025】
図9は、第1位置P1の廃液収容装置1(カバー7を省略)の内部を透視的に示す部分右側面図である。
【0026】
図10図12は、第1受け部6a、第2受け部6b、及びカバー7を示す右背面側斜視図である。なお、第2受け部6b及びカバー7は、回転可能な廃液筐体2に固定されているが、図11及び図12に示す、前後方向、左右方向、及び上下方向は、廃液収容装置1が第1位置P1にあるときの方向である。
【0027】
図13は、第1位置P1の廃液収容装置1(カバー7を省略)の内部を透視的に示す部分平面図である。
【0028】
図14は、一実施の形態における第2位置P2の廃液収容装置1(第1廃液管3、第2廃液管4、及びカバー7を省略)の内部を透視的に示す部分平面図である。
【0029】
図2図4に示すように、廃液収容装置1は、廃液筐体2と、第1廃液管3及び第2廃液管4(後述する図7図9及び図13参照)と、連結部5と、流出液受け6と、カバー7とを備える。廃液収容装置1は、印刷装置10の外部(例えば、図2図4に示すように第1位置P1のときは印刷装置10の背面右側)に配置されている。
【0030】
廃液筐体2は、図7図9に示す廃液タンク2aを収容する。この廃液タンク2aは、印刷装置10から排出され、第1廃液管3及び第2廃液管4を流れる廃液を収納する。なお、第1廃液管3を流れる廃液は、例えば、インクジェットヘッドのパージ処理などで排出されるインクである。また、第2廃液管4を流れる廃液は、例えば、インク循環経路の加圧タンク及び負圧タンクの余剰分のインク、インクカートリッジの脱着時において液だれしたインクなどである。なお、廃液筐体2は、廃液タンク2aを収容する直方体形状を呈し、上部の蓋を開くことで廃液タンク2aを取り出すことができるが、廃液タンク2aが外部に露出する状態(例えば、廃液タンク2aの上部が露出した状態)で廃液筐体2に収容されていてもよい。
【0031】
図7及び図8に示すように、廃液収容装置1が第1位置P1にあるときの廃液筐体2の内部の右後部には、廃液タンク2aの有無や廃液量(例えば満タン)を検知するセンサ2bが配置されている。このセンサ2bの検知信号は、図示しない配線を介して、印刷装置10の制御部(プロセッサ)に送られる。なお、配線は、第1廃液管3又は第2廃液管4の上部に沿って廃液筐体2から印刷装置10に延び、廃液筐体2の回転に伴って、印刷装置10とセンサ2b(或いは廃液筐体2の制御部)とに接続された状態のまま湾曲することが望ましい。
【0032】
また、廃液収容装置1は、図5に示すように、廃液筐体2が印刷装置10(例えば、印刷装置10の背面12)に沿って配置される印刷装置10の外部の第1位置P1(図2図4参照)と、この第1位置P1から例えば90度回転した位置である印刷装置10の外部の第2位置P2(図6参照)とに回転可能(移動可能の一例)に配置されている。廃液収容装置1の第2位置P2は、例えば、印刷装置10の斜め右後方である。廃液筐体2は、印刷装置10の背面12に沿って配置される第1位置P1から第2位置P2へ回転することによって、図6に示すように背面12に設けられた背面カバー12a(外装の一例)から離れた位置に移動することができる。これにより、背面カバー12aを取り外して印刷装置10の内部のメンテナンスを行うことが可能となる。なお、廃液収容装置1の第2位置P2も廃液筐体2が印刷装置10(例えば、印刷装置10の右側面11)に沿って配置される位置であってもよい。ここで、廃液筐体2は、廃液収容装置1の第1位置P1(又は第2位置P2)において印刷装置10に沿って配置される場合、印刷装置10に接触していてもよく、わずかに離間していてもよい。また、廃液収容装置1が第1位置P1と第2位置P2とのうち少なくとも一方にあるときに印刷装置10のメンテナンスが行われるとよい。また、図5の例とは異なり、第1位置P1における廃液筐体2の一部と第2位置P2における廃液筐体2の一部とが重複するように廃液筐体2が回転してもよい。この場合でも、廃液収容装置1は、廃液筐体2が回転することによって第1位置P1から第2位置P2へ移動しているため、第2位置P2を、第1位置P1とは異なる位置、或いは第1位置P1から離隔した位置と呼ぶことができる。また、廃液筐体2の下部には、コロなどのキャスタが設けられ、廃液筐体2の手動による回転を容易にするとよい。
【0033】
図7図9に示す第1廃液管3及び第2廃液管4は、印刷装置10及び廃液タンク2aに接続されている。第1廃液管3は、図7図9では一部のみ図示する印刷装置10の右側面11から排出される廃液を廃液タンク2aへ流す。また、第2廃液管4は、印刷装置10の右側面11のうち第1廃液管3との接続部分よりも後方から排出される廃液を廃液タンク2aへ流す。第2廃液管4は、第1廃液管3の真上を通る。なお、本実施の形態では、廃液管の一例として第1廃液管3及び第2廃液管4の2本が配置される例について説明しているが、印刷装置10の廃液の排出経路を共通にし、印刷装置10からの廃液の排出口を単一にすることができれば、第1廃液管3及び第2廃液管4を単一の廃液管に変更することができる。
【0034】
第1廃液管3及び第2廃液管4は、印刷装置10の右側面11(第1面の一例)に沿って廃液を流す、直進する直進部3a,4aと、この直進部3a,4aよりも廃液の流路の下流側に位置し、廃液筐体2の回転に伴って湾曲する湾曲部3b,4bとを有する。第1廃液管3及び第2廃液管4は、可撓性を有し、直進部3a,4aと湾曲部3b,4bとが一体に形成されているとよい。なお、上述のように第2廃液管4が第1廃液管3よりも後方で印刷装置10に接続されているため、図7及び図8に示すように、第2廃液管4の湾曲部4bは、余剰分が廃液筐体2の内部でループ状に湾曲している。但し、第2廃液管4を第1廃液管3よりも短い管とすれば、湾曲部4bのループ状の湾曲部分は省略可能である。
【0035】
図2図4図7、及び図8に示す連結部5は、廃液タンク2aが第1廃液管3及び第2廃液管4に接続された状態のまま、廃液筐体2を、上述のように、印刷装置10に沿って配置される廃液収容装置1の第1位置P1と、この第1位置P1とは異なる廃液収容装置1の第2位置P2とに回転可能に印刷装置10に連結する。なお、廃液収容装置1は、第1位置P1と第2位置P2との間を廃液筐体2の回転によって移動するが、廃液筐体2(廃液収容装置1)が、例えばガイドレールに沿って、直進移動によって移動可能であってもよい。
【0036】
連結部5は、例えば、ブラケット5aと、アーム5bと、回転軸部5cとを有する。
【0037】
ブラケット5aは、廃液筐体2に固定され、上下2つの水平部分が水平に突出する。ブラケット5aは、上記の2つの水平部分によって、鉛直方向に延びる回転軸部5cの上端及び下端を支持する。
【0038】
アーム5bは、印刷装置10の右側面11に固定され、印刷装置10の後方まで直進して延びる。アーム5bの後端には、回転軸部5cが貫通している。
【0039】
回転軸部5cは、上述のブラケット5aによって上端及び下端を支持される。回転軸部5cは、廃液筐体2の回転中心Cとして機能する。この回転中心Cは、図8に示すように回転軸部5cを通る鉛直方向の直線とみなすことができ、図13に示すように、第1廃液管3及び第2廃液管4の直進部3a,4aを通る仮想直線Vに交差する。なお、仮想直線Vは、直進部3a,4aの一方を通るものであればよく、また、直進部3a,4aの中心を通るものでなくともよい。
【0040】
ここで、上述のように、第1廃液管3及び第2廃液管4(直進部3a,4a)は、印刷装置10の右側面11(第1面の一例)に沿って廃液を流す。また、廃液筐体2の第1位置P1は、印刷装置10の右後部辺13(第1面の周縁の1辺の一例)を挟んで右側面11に隣接する背面12(第2面の一例)に沿う位置である。そして、廃液筐体2の回転中心C(回転軸部5c)は、右側面11に対向する領域(すなわち印刷装置10の右方)と背面12に対向する領域(すなわち印刷装置10の後方)との間(すなわち印刷装置10の右後方)に位置し、右後部辺13に平行である。
【0041】
図8図9等に示す流出液受け6は、第1廃液管3及び第2廃液管4から流出する流出液を受ける。この流出液は、第1廃液管3及び第2廃液管4が破損して廃液が漏れ出すことは稀であるため、例えば、第1廃液管3及び第2廃液管4と印刷装置10との接続部分から流出して、第1廃液管3又は第2廃液管4を伝う廃液である。
【0042】
流出液受け6は、第1受け部6a(図10参照)及び第2受け部6b(図11参照)を有する。第1受け部6aは、印刷装置10(右側面11)に固定され、第1廃液管3及び第2廃液管4の直進部3a,4aの下方に配置されている。第2受け部6bは、廃液筐体2に固定され、第1廃液管3及び第2廃液管4の湾曲部3b,4bの下方に配置されている。なお、第1受け部6aは、図10に示すように横向きのU字形状を呈するため、直進部3a,4aの下方のみならず、直進部3a,4aの右方及び上方を覆うように配置されている。第1受け部6aが印刷装置10と他の装置(例えば、中間搬送装置30、排出装置40、検査装置、後処理装置)との間に配置される場合には、これらが隣接する方向(左右方向)において第1受け部6aの幅が狭いことが望ましい。
【0043】
図4に示すように、第1受け部6aは、印刷装置10の右側面11において、廃液筐体2へ向かって水平(図4に破線で水平線を図示)よりも角度θ下方に傾斜している。これは、第1廃液管3及び第2廃液管4の内部で廃液が自重で流れるように、廃液の流路を下流側に向かって下方に傾斜させているためである。
【0044】
図9図13、及び図14に示すように、第2受け部6bは、廃液筐体2の回転範囲(廃液収容装置1の第1位置P1及び第2位置P2、並びにこれらの中間の位置)の全体に亘って、第1受け部6aから流れる流出液を受けるように第1受け部6aの下方に配置されている。なお、第2受け部6bも、第1受け部6aと同様に、廃液筐体2へ向かって水平よりも下方に傾斜しているとよい。
【0045】
図7に示すように、カバー7(図12参照)は、廃液筐体2に固定されており、第1受け部6aと廃液筐体2との間において、湾曲部3b,4bの上方及び右後方を覆うように配置されている。なお、廃液筐体2が廃液収容装置1の第1位置P1と第2位置P2との間で回転する際に、カバー7が第1受け部6aや第2受け部6bと干渉する場合などには、図8等に示すようにカバー7が取り外された状態で、廃液筐体2を回転させるとよい。
【0046】
上述の説明では、印刷システム100は、2つの印刷装置10、2つの廃液収容装置1などを備えるが、印刷システムとしては、単一の廃液収容装置1及び単一の印刷装置10を備えるものであってもよい。なお、印刷システムが、廃液収容装置1と印刷装置10と他の装置(例えば、中間搬送装置30、排出装置40、検査装置、後処理装置)とを備える場合、廃液収容装置1の第1廃液管3及び第2廃液管4は、印刷装置10と他の装置との間に沿って廃液を流すとよい。
【0047】
また、上述の説明では、廃液筐体2の回転中心Cが鉛直方向である場合を例としているが、廃液筐体2の回転中心Cが鉛直方向とは異なる方向(例えば水平方向)であってもよい。
【0048】
以上説明した本実施の形態では、印刷装置10の外部に配置される廃液収容装置1は、この廃液収容装置1を、印刷装置10の外部の第1位置P1と、印刷装置10の外部で且つ第1位置P1とは異なる第2位置P2とに移動可能に印刷装置10に連結するための連結部5を備える。
【0049】
これにより、まず、廃液収容装置1が印刷装置10の外部に配置されていることによって、例えば、満タンになった廃液タンク2aを取り出して交換するのが容易となる。また、廃液収容装置1を第1位置P1と第2位置P2とに移動させることができるため、廃液収容装置1が一方の位置(例えば、第2位置P2)にあるときに、例えば、背面カバー12aを外して印刷装置10の内部のメンテナンスを行うことができる。よって、本実施の形態によれば、印刷装置10のメンテナンスを容易にすることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、廃液収容装置1は、廃液筐体2と、廃液管の一例である第1廃液管3及び第2廃液管4ととを更に備える。廃液筐体2は、廃液タンク2aを収容する。第1廃液管3及び第2廃液管4は、印刷装置10及び廃液タンク2aに接続され、印刷装置10から排出される廃液を廃液タンク2aへ流す。連結部5は、廃液筐体2を廃液収容装置1の第1位置P1と第2位置P2との間で回転可能に印刷装置10に連結する。
【0051】
そのため、第1廃液管3及び第2廃液管4に接続された廃液タンク2aを収容する廃液筐体2を、印刷装置10に連結されたまま回転させることによって、廃液収容装置1を印刷装置10のメンテナンスを行いやすい位置(例えば、第2位置P2)に簡単に移動させることができる。したがって、印刷装置10のメンテナンスをより容易にすることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、第1廃液管3及び第2廃液管4は、直方体形状を呈する印刷装置10の右側面11(第1面の一例)に沿って廃液を流す。廃液収容装置1の第1位置P1は、印刷装置10の右側面11の周縁の1辺(右後部辺13)を挟んで右側面11に隣接する印刷装置10の背面12(第2面の一例)に廃液筐体2が沿う位置である。連結部5は、廃液筐体2の回転中心Cが右側面11に対向する領域と背面12に対向する領域との間において右後部辺13に平行となるように、配置されている。
【0053】
これにより、廃液筐体2を、廃液収容装置1の第1位置P1において沿う印刷装置10の背面12から、第2位置P2において遠ざけることができるため、例えば背面カバー12aを外して印刷装置10の内部のメンテナンスをより容易に行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態では、廃液収容装置1は、第1廃液管3及び第2廃液管4から流出する流出液を受けるための流出液受け6を更に備える。第1廃液管3及び第2廃液管4は、直進する直進部3a,4aと、この直進部3a,4aよりも廃液の流路の下流側に位置し、廃液筐体2の回転に伴って湾曲する湾曲部3b,4bとを有する。流出液受け6は、第1受け部6aと、第2受け部6bとを有する。第1受け部6aは、印刷装置10に固定され、第1廃液管3及び第2廃液管4の直進部3a,4aの下方に配置されている。第2受け部6bは、廃液筐体2に固定され、第1廃液管3及び第2廃液管4の湾曲部3b,4bの下方に配置されている。また、第2受け部6bは、廃液筐体2の回転範囲の全体に亘って、第1受け部6aから流れる流出液を受けるように第1受け部6aの下方に配置されている。
【0055】
これにより、廃液筐体2が廃液収容装置1の第1位置P1と第2位置P2との間で回転しても、第1廃液管3及び第2廃液管4から流出する流出液が外部に漏れるのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、第1廃液管3及び第2廃液管4は、直進する直進部3a,4aと、この直進部3a,4aよりも廃液の流路の下流側に位置し、廃液筐体2の回転に伴って湾曲する湾曲部3b,4bとを有する。連結部5は、第1廃液管3及び第2廃液管4の直進部3a,4aを通る仮想直線Vに廃液筐体2の回転中心Cが交差するように、配置されている。
【0057】
これにより、廃液筐体2の回転に伴う第1廃液管3及び第2廃液管4の配管長の変化を抑制することができる。そのため、第1廃液管3及び第2廃液管4において直進部3a,4aと湾曲部3b,4bとを一体にしても、第1廃液管3及び第2廃液管4や配線にストレスがかかって配管詰まりや断線などの不具合が生じるのを防止することができる。また、直進部3a,4aと湾曲部3b,4bとの間に継手が設けられている場合と比較して、第1廃液管3及び第2廃液管4を簡素な構成にすることができる。ところで、直進部3a,4aと湾曲部3b,4bとの間に継手が設けられている場合には、継手の内部で廃液の流路が狭まるため、流路抵抗が生じたり、或いは、継手の管路を大きくするために印刷装置10の右側面11と隣接する装置(例えば中間搬送装置30)との間隔を狭めることができなくなったりする。一方、本実施の形態では、継手の配置を省略することができるため、継手の配置により流路抵抗が生じるのを回避することができるとともに、印刷装置10と隣接する装置との間隔を狭めることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0059】
[付記1]
印刷装置の外部に配置される廃液収容装置であって、
前記廃液収容装置を、前記印刷装置の外部の第1位置と、前記印刷装置の外部で且つ前記第1位置とは異なる第2位置とに移動可能に前記印刷装置に連結するための連結部
を備えることを特徴とする廃液収容装置。
【0060】
[付記2]
廃液タンクを収容する廃液筐体と、
前記印刷装置及び前記廃液タンクに接続され、前記印刷装置から排出される廃液を前記廃液タンクへ流す廃液管とを更に備え、
前記連結部は、前記廃液筐体を前記廃液収容装置の前記第1位置と前記第2位置との間で回転可能に前記印刷装置に連結する
ことを特徴とする付記1記載の廃液収容装置。
【0061】
[付記3]
前記廃液管は、直方体形状を呈する前記印刷装置の第1面に沿って廃液を流し、
前記廃液収容装置の前記第1位置は、前記印刷装置の前記第1面の周縁の1辺を挟んで前記第1面に隣接する前記印刷装置の第2面に前記廃液筐体が沿う位置であり、
前記連結部は、前記廃液筐体の回転中心が前記第1面に対向する領域と前記第2面に対向する領域との間において前記1辺に平行となるように、配置されている
ことを特徴とする付記2記載の廃液収容装置。
【0062】
[付記4]
前記廃液管から流出する流出液を受けるための流出液受けを更に備え、
前記廃液管は、直進する直進部と、当該直進部よりも廃液の流路の下流側に位置し、前記廃液筐体の回転に伴って湾曲する湾曲部とを有し、
前記流出液受けは、前記印刷装置に固定され、前記廃液管の前記直進部の下方に配置された第1受け部と、前記廃液筐体に固定され、前記廃液管の前記湾曲部の下方に配置された第2受け部とを有し、
前記第2受け部は、前記廃液筐体の回転範囲の全体に亘って、前記第1受け部から流れる流出液を受けるように前記第1受け部の下方に配置されている
ことを特徴とする付記2又は3記載の廃液収容装置。
【0063】
[付記5]
前記廃液管は、直進する直進部と、当該直進部よりも廃液の流路の下流側に位置し、前記廃液筐体の回転に伴って湾曲する湾曲部とを有し、
前記連結部は、前記廃液管の前記直進部を通る仮想直線に前記廃液筐体の回転中心が交差するように、配置されている
ことを特徴とする付記2から4のいずれか記載の廃液収容装置。
【符号の説明】
【0064】
1 廃液収容装置
2 廃液筐体
2a 廃液タンク
2b センサ
3 第1廃液管
3a 直進部
3b 湾曲部
4 第2廃液管
4a 直進部
4b 湾曲部
5 連結部
5a ブラケット
5b アーム
5c 回転軸部
6 流出液受
6a 第1受け部
6b 第2受け部
7 カバー
10 印刷装置
11 右側面(第1面)
12 背面(第2面)
12a 背面カバー
13 右後部辺
20 供給装置
30 中間搬送装置
40 排出装置
100 印刷システム
C 回転中心
P1 第1位置
P2 第2位置
M 媒体
V 仮想直線

図1
図2
図3
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図5
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