(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043287
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】通行監視装置
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230322BHJP
【FI】
G07B15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150806
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】大串 寧
(72)【発明者】
【氏名】日高 顕
(72)【発明者】
【氏名】石川 智之
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA02
3E127BA21
3E127BA45
3E127CA02
3E127DA07
3E127DA16
3E127FA03
3E127FA08
3E127FA16
3E127FA41
(57)【要約】
【課題】処理に要する時間を抑えつつ、通行者が携行している荷物を人物(すなわち、別の通行者)と誤検知してしまうことを防止することのできる通行監視装置を提供する。
【解決手段】ゲート装置1において、通行監視装置2は、通路を通行する物体を検知する検知部5と、前記通路の上方の点群データ取得部6で取得された点群データの最高点を通行者の頭頂部とし、前記頭頂部の位置を基準に荷物の探索範囲を設定し、前記探索範囲における高さ位置毎の点群数に基づき前記通行者が荷物を携行しているかを判定する判定部7と、検知部5の検知結果及び判定部7の判定結果に基づき前記通路を通行する通行者を監視する監視部8とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を通行する物体を検知する検知部と、
前記監視領域上方の点群データ取得部で取得された点群データの最高点を通行者の頭頂部とし、前記頭頂部の位置を基準に荷物の探索範囲を設定し、前記探索範囲における高さ位置毎の点群数に基づき前記通行者が荷物を携行しているかを判定する判定部と、
前記検知部の検知結果及び前記判定部の判定結果に基づき前記監視領域を通行する通行者を監視する監視部と、
を含む、通行監視装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記頭頂部の位置から前記監視領域における前記通行者の通行方向の前方に所定距離だけ離れた位置、及び、前記頭頂部の位置から前記監視領域における前記通行者の通行方向の後方に所定距離だけ離れた位置の少なくとも一方に前記探索範囲を設定する、請求項1に記載の通行監視装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記高さ位置毎の点群数のいずれかが閾値以上である場合に前記通行者が荷物を携行していると判定する、請求項1又は2に記載の通行監視装置。
【請求項4】
前記判定部は、合計点群数が最も多くなる高さ位置の組み合わせを特定し、特定された高さ位置の組み合わせの合計点群数が閾値以上である場合に前記通行者が荷物を携行していると判定する、請求項1又は2に記載の通行監視装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一つの記載の通行監視装置と、
通行券媒体から通行券情報を読み取る情報読取部と、
開放時に前記通行者による前記監視領域の通過を許容する一方、閉鎖時に前記通行者による前記監視領域の通過を阻止するゲートと、
前記ゲートを開閉する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記通行券情報に基づき前記ゲートを開放し、前記通行券情報に含まれた通過可能人数と前記通行監視装置の監視結果とに基づき前記ゲートを閉鎖するように構成されている、
ゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行者を監視する通行監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動改札機などのゲート装置の多くは、通路の通行方向に沿って配置された複数の光電センサからなる通過センサを含み、この通過センサにより、通路を通過しようとする人物(以下「通行者」という)を検知するようにしている(特許文献1等を参照)。この種の装置は、前記通過センサの検知結果に基づき、いわゆる「共連れ」が発生したと判定すると、ゲートを閉鎖して前記通路の通行を阻止するように構成されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記通過センサでは、例えば、通行者がキャリーケースのような荷物を携行している場合、通行者が携行している荷物を、人物として、すなわち、前記通行者とは別の通行者として誤検知してしまうことがある。このような誤検知は、前記ゲート装置による「共連れ」の誤判定、及び誤判定に伴う不必要なゲートの閉鎖を招き、その結果、通路の円滑な通行を妨げる原因になる。このため、上記のような誤検知を避けることができ、且つリアルタイム性を満たすことのできる技術が要望されている。
【0005】
なお、このような要望は、ゲート装置に限られるものではなく、通行者を監視する必要のある装置等に共通するものである。
【0006】
そこで、本発明は、処理に要する時間を抑えつつ、通行者が携行している荷物を人物(すなわち、別の通行者)と誤検知してしまうことを防止することのできる通行監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、通行監視装置は、監視領域を通行する物体を検知する検知部と、前記監視領域上方の点群データ取得部で取得された点群データの最高点を通行者の頭頂部とし、前記頭頂部の位置を基準に荷物の探索範囲を設定し、前記探索範囲における高さ位置毎の点群数に基づき前記通行者が荷物を携行しているかを判定する判定部と、前記検知部の検知結果及び前記判定部の判定結果に基づき前記監視領域を通行する通行者を監視する監視部と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理に要する時間を抑えつつ、通行者が携行している荷物を人物(すなわち、別の通行者)と誤検知してしまうことを防止することのできる通行監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るゲート装置の外観構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るゲート装置の制御系構成を示すブロック図である。
【
図3】判定部による判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】判定部による判定処理を説明するための図である
【
図5】判定部による判定処理を説明するための図である。
【
図6】監視部による監視処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】監視部による監視処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】制御部の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るゲート装置1の外観構成を示す図であり、
図2は、ゲート装置1の制御系構成を示すブロック図である。実施形態に係るゲート装置1は、監視領域である通路Tの通行者を監視する通行監視装置2を含み、後述するように、通行券情報に基づいてゲートを開放する一方、通路Tの通過可能人数と通行監視装置2の監視結果とに基づいてゲートを閉鎖するように構成されている。
【0012】
図1及び
図2を参照すると、実施形態に係るゲート装置1は、装置本体3、制御部4、検知部5、点群データ取得部6、判定部7、及び監視部8を含む。そして、本実施形態においては、主に検知部5、点群データ取得部6、判定部7、及び監視部8によって通行監視装置2が構成されている。
【0013】
装置本体3は、通路Tに側方に通路Tに隣接して設置されている。装置本体3は、情報読取部31、ゲート32及び報知部33を有している。
【0014】
情報読取部31は、通路Tに向かって移動してくる通行者から見て手前側、つまり、装置本体3における通路Tの入口側の部位に設けられている。情報読取部31は、例えば通行者が所持する通行券媒体からそこに記録された通行券情報を読み取るとともに、読み取った前記通行券情報を制御部4に出力するように構成されている。前記通行券情報は、通路Tを通過するために必要な情報である。本実施形態において、前記通行券情報は、通路Tを通過することできる人数を示す通過可能人数を含む。また、前記通行券媒体は、前記通行券情報を記録可能な各種の媒体であり、入場券媒体、乗車券媒体及び搭乗券媒体などを含む。なお、情報読取部31は、前記通行券媒体から前記通行券情報を読み取ることに加えて、前記通行券媒体に情報を書き込むことができる情報読取/書込部として構成されてもよい。
【0015】
ゲート32は、通路Tに向かって移動してくる通行者から見て奥側、つまり、装置本体3における通路Tの出口側の部位に設けられている。ゲート32は、回動により開閉し、開放時には通行者が通路Tを矢印方向に通過することを許容し、閉鎖時には通行者が通路Tを矢印方向に通過することを阻止するように構成されている。
【0016】
報知部33は、装置本体3の任意の部位に設けられている。報知部33は、主に通行者による通路Tの通過を阻止する場合にそのことを通行者や監視員などに報知するために設けられている。特に限定されないが、報知部33は、報知光を発光する発光部、報知音を発生させる発音部、及び/又は報知表示を行う表示部を含み得る。
【0017】
制御部4は、主にゲート32の開閉及び報知部33の動作を制御する。制御部4による制御については後述する。
【0018】
検知部5は、通路Tを通行する物体を検知する。さらに言えば、検知部5は、通路Tへの物体の進入、通路T内における物体の位置、及び通路Tからの物体の進出を検知可能に構成されている。本実施形態において、検知部5は、装置本体3の通路T側の面に上下2段に設置された上側受光部5a及び下側受光部5bと、通路Tを挟んでこれらに対向する上側発光部及び下側発光部(いずれも図示省略)とを有している。
【0019】
上側受光部5aは、通路Tに沿って配置された複数の受光素子を含み、前記上側発光部は、通路Tを挟んで上側受光部5aの前記複数の受光素子に対向配置された複数の発光素子を含む。下側受光部5bは、通路Tに沿って配置された複数の受光素子を含み、前記下側発光部は、通路Tを挟んで下側受光部5bの前記複数の受光素子に対向配置された複数の発光素子を含む。
【0020】
そして、検知部5は、上側受光部5aの受光素子が前記上側発光部の対応する発光素子からの光を受光しない場合、及び/又は下側受光部5bの受光素子が前記下側発光部の対応する発光素子からの光を受光しない場合、つまり、前記上側発光部及び/又は前記下側発光部からの光が物体によって遮られることにより、通路T内に物体が存在すること及びその位置を検知するように構成されている。
【0021】
ここで、ゲート装置1は、通路Tを挟んで装置本体3と対向して対をなすもう一つの装置本体を含んでもよい。この場合、前記もう一つの装置本体は、ゲート32と対をなすゲートを有する。また、前記上側発光部及び前記下側発光部が、前記もう一つの装置本体の通路T側の面に上下二段に設置される。
【0022】
点群データ取得部6は、例えばToFセンサ(測距センサ)で構成され、通路Tの上方に配置されている。点群データ取得部6は、通路Tの入口周辺を含む所定範囲にレーザ光などの測距光を照射して当該所定範囲の三次元距離計測を行い、当該所定範囲における多数の測距点の三次元計測データ、すなわち、点群データを取得することが可能に構成されている。特に限定されないが、点群データ取得部6は、例えば、検知部5によって物体の通路Tへの進入が検知されると、前記所定範囲についての点群データを取得するように構成され得る。
【0023】
判定部7は、必要に応じて、点群データ取得部6で取得された点群データに基づいて、通路Tを通行する通行者が荷物を携行しているか否かを判定するように構成されている。すなわち、判定部7は、荷物の有無判定を行う。判定部7による判定処理については後述する。
【0024】
監視部8は、検知部5の検知結果及び判定部7の判定結果に基づいて通路Tを通行する通行者(人物)を監視する。監視部8による監視処理については後述する。
【0025】
[判定部7による判定処理]
次に、
図3を参照して判定部7による判定処理について説明する。
図3は、判定部7による判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0026】
図3において、ステップS11では、物体が通路Tに進入したか否かを判定する。かかる判定は、検知部5の検知結果に基づいて行われる。そして、物体が通路Tに進入するとステップS12に進む。
【0027】
ステップS12では、複数(ここでは主に2つ)の物体が通路Tに連続して進入したか否かを判定する。そして、複数の物体が通路Tに連続して進入していない場合(つまり、1つの物体が通路Tに進入した場合)にはステップS11に戻り、複数の物体が通路Tに連続して進入した場合にはステップS13に進む。1つの物体しか通路Tに進入していない場合は、通行者が荷物を携行しているかを判定する必要がないからである。
【0028】
ステップS13では、点群データ取得部6で取得された点群データを入力する。
【0029】
ステップS14では、ステップS13で入力された点群データに基づいて物体範囲ORを画定する。
【0030】
ステップS15では、ステップS13で入力された点群データの最高点(最も高い位置にある測距点)を通行者の頭頂部Hとして検出する。
【0031】
ステップS16では、荷物の探索範囲を設定する。本実施形態においては、ステップS14で画定された物体範囲ORのうち、ステップS15で検出された頭頂部Hの位置から通路Tにおける通行者の通行方向に所定距離d以上離れた範囲を荷物の探索範囲SRとして設定する。所定距離dは、通行者がキャリーケースのような荷物を携行している場合における通行者の頭頂部から荷物本体までの距離に相当する距離として事前に設定される。
【0032】
例えば、
図4(a)に示されるように、キャリーケースのような荷物を押しながら移動する通行者が通路Tに進入した場合、すなわち、荷物が通行者の前にある場合、判定部7は、検知部5の検知結果に基づき2つの物体が通路Tに連続して進入したと判定する。この場合、判定部7は、例えば、
図4(b)に示されるような点群データ(上面視)を点群データ取得部6から入力する。そして、判定部7は、
図4(c)に示されるように、入力された点群データを囲む矩形範囲を物体範囲ORとして画定し、入力された点群データの最高点を通路Tに進入した通行者の頭頂部Hとして検出する。また、この例の場合、物体範囲ORは、頭頂部Hに対して通路Tにおける通行者の通行方向の前方(以下単に「前方」という)に、頭頂部Hの位置から所定距離d以上離れた範囲を含んでいる。よって、判定部7は、物体範囲ORのうち、頭頂部Hの前方に所定距離d以上離れた範囲を荷物の探索範囲SRとして設定する。換言すれば、判定部7は、頭頂部Hの位置から前方に所定距離dだけ離れた位置に荷物の探索範囲SRを設定する。
【0033】
ここで、図示は省略するが、キャリーケースのような荷物を引きながら移動する通行者が通路Tに進入した場合、すなわち、荷物が通行者の後ろにある場合、判定部7は、検知部5の検知結果に基づき2つの物体が通路Tに連続して進入したと判定し、点群データ取得部6から点群データを入力する。そして、判定部7は、物体範囲ORを画定し、頭頂部Hを検出し、及び荷物の探索範囲SRを設定する。但し、この場合、判定部7は、上記とは逆に、物体範囲ORのうち、頭頂部Hから通路Tにおける通行者の通行方向の後方(以下単に「後方」という)に所定距離d以上離れた範囲を荷物の探索範囲SRとして設定することになる。つまり、判定部7は、頭頂部Hの位置から後方に所定距離dだけ離れた位置に探索範囲SRを設定する。
【0034】
図3に戻り、ステップS17では、探索範囲SR内の点群データについて、通路Tの通路面から所定の高さ(例えば1m)までの高さ位置毎の点群数を計数する。なお、ここでいう「高さ位置」は、ある程度(例えば数cm程度)の幅を持って設定される。
【0035】
ステップS18では、高さ位置毎の点群数の中に閾値以上のものがあるか否かを判定する。そして、高さ位置毎の点群数の中に前記閾値以上のものがある場合にはステップS19に進み、高さ位置毎の点群数の中に前記判定閾値以上のものがない場合にはステップS21に進む。
【0036】
ステップS19では、通路Tに進入した通行者が荷物を携行している(荷物あり)と判定する。そして、ステップS20で判定結果を監視部8に送信する。
【0037】
ステップS21では、通路Tに進入した通行者が荷物を携行していない(荷物なし)と判定する。そして、ステップS22で判定結果を監視部8に送信する。
【0038】
図5は、キャリーケースなどの荷物を押しながら移動する通行者が通路Tに進入した場合における探索範囲SRにおける高さ位置毎の測距点(上面視)の例を示している。
図5(a)は、複数の高さ位置(ここでは、「高さ位置1」~「高さ位置8」の8つの高さ位置)を示し、
図5(b)は、各高さ位置における測距点(上面視)を示している。点群データ取得部6は、物体の表面形状を捉える。このため、物体が人物(例えば、子供)の場合、通路Tの通路面から前記所定の高さまでの各高さ位置における測距点の数(つまり、点群数)は少なくなる傾向があり、物体が荷物の場合には特定の高さ位置における測距点の数(点群数)が多くなる。したがって、このような人物に対して得られる測距点と荷物に対して得られる測距点との違いを利用し、前記閾値を適切に設定した上で高さ位置毎の点群数の中に閾値以上のものがあるか否かを判定することにより、探索範囲SR内の点群が荷物についてのものであるかどうかが分かる。この例の場合、「高さ位置3」の点群数及び「高さ位置4」の点群数が多く、これらは前記閾値を超えている。よって、判定部7は、荷物あり、すなわち、通路Tに進入した通行者が荷物を携行していると判定する。
【0039】
そして、判定部7は、荷物の探索範囲SRを頭頂部Hの前方に設定して荷物ありと判定した場合には、通行者の前方に荷物があることを示す判定結果を監視部8に送信する。他方、判定部7は、荷物の探索範囲SRを頭頂部Hの後方に設定して荷物ありと判定した場合、通行者の後方に荷物があること示す判定結果を監視部8に送信する。なお、判定部7は、荷物なしと判定した場合、通行者が荷物を携行していないことを示す判定結果を監視部8に送信する。
【0040】
なお、
図3に示されたフローチャートは、判定部7による判定処理の一例を示しているにすぎない。判定部7は、点群データ取得部6で取得された点群データを利用して通行者が荷物を携行しているか否かを判定するように構成されればよく、
図3に示されたフローチャートは、必要に応じて、適宜変更され得る。
【0041】
[監視部8による監視処理]
次に、
図6及び
図7を参照して監視部8による監視処理について説明する。
図6及び
図7は、監視部8による監視処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図6、
図7において、ステップS31では、
図3のステップS11と同様、物体が通路Tに進入したか否かを判定する。そして、物体が通路Tに進入するとステップS32に進む。
【0043】
ステップS32では、
図3のステップS12と同様、複数の物体が通路Tに連続して進入したか否かを判定する。そして、複数の物体が通路Tに連続して進入していない場合(つまり、1つの物体が通路Tに進入した場合)にはステップS33に進み、複数の物体が通路Tに連続して進入した場合にはステップS38に進む。
【0044】
ステップS33では、通路Tに進入した物体が通行者であると判定する。
【0045】
ステップS34では、通行者(通路Tに進入した物体)が通路Tの中央位置を通過したか否かを判定する。かかる判定は、検知部5の検知結果に基づいて行われる。そして、通行者が通路Tの中央位置を通過するとステップS35に進み、通行者が通路Tの中央位置を到達したことを示す中央通過情報を制御部4に送信する。
【0046】
ステップS36では、通行者が通路Tの出口を通過したか否かを判定する。かかる判定は、検知部5の検知結果に基づいて行われる。そして、通行者が通路Tの出口を通過するとステップS37に進んで通行者が通路Tの出口を通過したことを示す出口通過情報を制御部4に送信し、今回の処理を終了する。
【0047】
ステップS38では、通路Tに進入した前記複数の物体のトラッキングを開始する。
【0048】
ステップS39では、判定部7から前記判定結果を受信する。
【0049】
ステップS40では、物体が通路T内の所定の判定位置に到達したか否かを判定する。かかる判定は、検知部5の検知結果に基づいて行われる。そして、物体が前記所定の判定位置に到達すると、ステップS41に進む。なお、前記所定の判定位置は、通路Tの中央位置よりも入口側に設定されている。
【0050】
ステップS41では、ステップS39で判定部7から受信した前記判定結果を用いて、トラッキングしている前記複数の物体のそれぞれが通行者であるか荷物であるかを判定する。すなわち、前記複数の物体についての通行者/荷物判定を行う。
【0051】
本実施形態において、監視部8は、例えば、通路Tに連続して進入した2つの物体をトラッキングしているときに判定部7から通行者の前方に荷物があることを示す判定結果を受信した場合、トラッキングしている前記2つの物体のうち先に前記所定の判定位置に到達した物体を荷物であると判定し、前記2つの物体のうち後から前記所定の判定位置に到達した物体を通行者であると判定する。また、監視部8は、例えば、通路Tに連続して進入した2つ物体をトラッキングしているときに判定部7から通行者の後方に荷物があることを示す判定結果を受信した場合、トラッキングしている前記2つの物体のうち先に前記所定の判定位置に到達した物体を通行者であると判定し、前記2つの物体のうち後から前記所定の判定位置に到達した物体を荷物であると判定する。なお、監視部8は、判定部7から通行者が荷物を携行していないこと示す判定結果を受信した場合、トラッキングしている物体が通行者である判定する。
【0052】
ステップS42では、通行者(ステップS41で通行者と判定された物体)が通路Tの中央位置を通過したかを判定する。そして、通行者が通路Tの中央位置を通過するとステップS43に進み、通行者が通路Tの中央位置を通過したことを示す前記中央通過情報を制御部4に送信する。したがって、ステップS41で荷物と判定された物体が通路Tの中央位置を通過しても、監視部8は、前記中央通過情報を制御部4に送信しない。
【0053】
ステップS44では、全ての通行者(ステップS41で通行者と判定された全ての物体)が通路Tの中央位置を通過したかを判定する。そして、全ての通行者が通路Tの中央位置を通過するとステップS45に進む。
【0054】
ステップS45では、通行者が通路Tの出口を通過したか否かを判定する。そして、通行者が通路Tの出口を通過するとステップS46に進み、通行者が通路Tの出口を通過したことを示す出口通過情報を制御部4に送信する。したがって、ステップS41で荷物と判定された物体が通路Tの出口を通過しても、監視部8は、前記出口通過情報を制御部4に送信しない。
【0055】
ステップS47では、全ての通行者が通路Tの出口を通過したか否かを判定する。そして、全ての通行者が通路Tの出口を通過すると、今回の処理を終了する。
【0056】
なお、
図6、
図7に示されたフローチャートは、監視部8による監視処理の一例を示しているにすぎない。監視部8は、検知部5の検知結果及び判定部7の判定結果に基づいて通路Tを通行する通行者を監視するように、さらにいえば、通行者を荷物と区別して監視するように構成されればよく、
図6、
図7に示されたフローチャートは、必要に応じて、適宜変更され得る。
【0057】
[制御部4による制御]
次に、
図8を参照して制御部4による制御について説明する。
図8は、制御部4の処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
図8において、ステップS51では、情報読取部31から前記通行券情報が入力されたかを判定する。そして、前記通行券情報が入力されるとステップS52に進む。
【0059】
ステップS52では、前記通行券情報が適正であるか否かを判定する。そして、前記通行券情報が適正である場合にはステップS53に進む。前記通行券情報が適正でない場合については後述する。
【0060】
ステップS53では、前記通行券情報に含まれた前記通過可能人数を記憶する。
【0061】
ステップS54では、ゲート32を開放する。
【0062】
ステップS55では、監視部8から前記中央通過情報を受信したかを判定する。監視部8から前記中央通過情報を受信した場合にはステップS56に進み、通路Tの中央位置を通過した通行者の数(中央通過人数)をカウントアップ(インクリメント)し、その後にステップS57に進む。他方、監視部8から前記中央到達情報を受信しない場合にはそのままステップS57に進む。
【0063】
ステップS57では、前記中央通過人数がステップS53で記憶した前記通過可能人数以下であるか否かを判定する。そして、前記中央通過人数が前記通過可能人数以下である場合にはステップS58に進む。前記中央通過人数が前記通過可能人数を超えている場合については後述する。
【0064】
ステップS58では、監視部8から前記出口通過情報を受信したかを判定する。監視部8から前記出口通過情報を受信した場合にはステップS59に進み、ステップS54で記憶した前記通過可能人数をカウントダウン(デクリメント)し、その後にステップS60に進む。他方、監視部8から前記出口通過情報を受信しない場合にはステップS55に戻る。
【0065】
ステップS60では、前記通過可能人数が0であるかを判定する。前記通過可能人数が0である場合にはステップS61に進み、ゲート32を閉鎖して本フローを終了する。他方、前記通過可能人数が0でない場合にはステップS55に戻る。
【0066】
なお、ステップS52において、前記通行券情報が適正でない場合にはステップS62に進んで報知部33を所定時間だけ動作させ、その後、ステップS61に進んでゲート32を閉鎖して本フローを終了する。不適切な通行者による通路Tの通過を防止するためである。
【0067】
また、ステップS57において、前記中央通過人数が前記通過可能人数を超えている場合も、ステップS62に進んで報知部33を所定時間だけ動作させ、その後、ステップS61に進んでゲート32を閉鎖して本フローを終了する。前記中央通過人数が前記通過可能人数を超えている場合には前記通過可能人数を超える数の通行者がすでに通路Tに進入しており、前記通過可能人数を超える数の通行者が通路Tを通過するおそれがある。そのため、制御部4は、報知部33を動作させるとともにゲート32を閉鎖することで前記通過可能人数を超える数の通行者が通路Tを通過することを防止する。
【0068】
なお、
図8に示されたフローチャートは、制御部4による制御の一例を示しているにすぎない。制御部4は、通行券情報と通行監視装置2の監視結果とに基づいてゲート32の開閉を制御するように構成されればよく、
図8に示されたフローチャートは、必要に応じて、適宜変更され得る。
【0069】
以上説明したように、実施形態に係るゲート装置1は、監視領域である通路Tを通行する通行者を監視する通行監視装置2を含む。通行監視装置2は、通路Tを通行する物体を検知する検知部5と、通路Tの上方に配置された点群データ取得部6で取得された点群データに基づいて通行者が荷物を携行しているか否かを判定する判定部7と、検知部5の検知結果及び判定部7の判定結果に基づいて通路Tを通行する通行者を監視する監視部8とを有する。
【0070】
このため、キャリーケースのような荷物を携行している通行者が通路Tに進入し、検知部5によって2つの物体が検知された場合であっても、2つ物体のうちの一方が通行者であり、2つの物体のうちの他方が通行者の携行している荷物であることを把握した上で通路Tを通行する通行者を監視することが可能である。したがって、通路Tを通行する通行者が携行している荷物を人物(他の通行者)と誤検知してしまうことが抑制される。
【0071】
ここで、本実施形態において、判定部7は、点群データ取得部6で取得された点群データの最高点を通行者の頭頂部Hとし、頭頂部Hを基準に荷物の探索範囲SRを設定し、探索範囲SRにおける高さ位置毎の点群数に基づき通行者が荷物を携行しているか否かを判定している。つまり、判定部7は、点群データ取得部6で取得された全ての点群データを使用するのではなく、探索範囲SRの設定によって、判定に使用する点群データを絞っている。また、判定部7は、複雑な処理を行うのではなく、単に高さ位置毎の点群の数を計数することによって通行者が荷物を携行しているかを判定している。このため、通行者が荷物を携行しているかを比較的少ない処理時間で且つ容易に判定することが可能である。
【0072】
特に、判定部7は、頭頂部Hの位置から通路Tにおける通行者の通行方向の前方に所定距離dだけ離れた位置、又は頭頂部Hの位置から通路Tにおける通行者の通行方向の後方に所定距離dだけ離れた位置に探索範囲SRを設定している。このため、通行者が荷物を携行しているかを判定するために用いる点群データをより効果的に且つより少ない数に絞ることができ、処理時間のさらなる短縮化が図れる。
【0073】
また、ゲート装置1は、通行者の所持する通行券媒体から通行券情報を読み取る情報読取部31と、開放時に通行者による通路Tの通過を許容するとともに、閉鎖時に通行者による通路Tの通過を阻止するゲート32と、ゲート32の開閉を制御する制御部4とをさらに含み、制御部4は、前記通行券情報に基づいてゲート32を開放し、前記通行券情報に含まれた通過可能人数と通行監視装置2の監視結果に基づいてゲート32を閉鎖するように構成されている。このため、適正な通行者による通路Tの通過を可能とし、通行者が携行している荷物を人物(他の通行者)と誤検知することによる不必要なゲートの閉鎖を防止し、及び前記通過可能人数を超える数の通行者が通路Tを通過することを防止することができる。
【0074】
なお、上述の実施形態において、判定部7は、頭頂部Hの位置から前方に所定距離dだけ離れた位置、又は頭頂部Hの位置から後方に所定距離dだけ離れた位置に探索範囲SRを設定している。しかし、これに限られるものではない。例えば、物体範囲ORが頭頂部Hの前方及び後方のそれぞれに頭頂部Hから所定距離d以上離れた範囲を含む場合、判定部7は、頭頂部Hの位置から前方に所定距離dだけ離れた位置、及び頭頂部Hの位置から後方に所定距離dだけ離れた位置に探索範囲SRを設定することができる。
【0075】
また、上述の実施形態において、判定部7は、探索範囲SRにおける高さ位置毎の点群数の中に閾値以上のものがある場合、すなわち、前記高さ位置毎の点群数のいずれかが閾値以上である場合に通路Tに進入した通行者が荷物を携行していると判定している。しかし、これに限られるものではない。前記高さ位置毎の点群数の中から合計点群数が最も多くなる高さ位置の組み合わせを特定し、特定された高さ位置の組み合わせの合計点群数が閾値以上である場合に通路Tに進入した通行者が荷物を携行していると判定するようにしてもよい。このようにすると、人物に対して得られる測距点と荷物に対して得られる測距点との違いがより明らかに表れるようになり、通路Tに進入した通行者が荷物を携行しているか否かをより精度よく判定することが可能になる。この場合、上述の実施形態において、判定部7は、「高さ位置3」と「高さ位置4」の組み合わせを合計点群数が最も多くなる高さ位置の組み合わせとして特定する。そして、判定部7は、「高さ位置3」の点群数と「高さ位置4」の点群数の合計が閾値を超えているため、通路Tに進入した通行者が荷物を携行していると判定することになる。
【0076】
さらに、上述の実施形態において、通行監視装置2は、ゲート装置1の一部として構成されている。しかし、これに限られるものではない。通行監視装置2は、ゲート装置1とは別個の装置として、またはゲート装置1以外の装置の一部として構成され得る。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて変形及び変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0078】
1…ゲート装置、2…通行監視装置、3…装置本体、4…制御部、5…検知部、6…点群データ取得部、7…判定部、8…監視部、31…情報読取部、32…ゲート