(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043296
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】放射線厚さ測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 15/02 20060101AFI20230322BHJP
G21K 1/04 20060101ALN20230322BHJP
【FI】
G01B15/02 A
G21K1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150820
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ アポロニャ チャラ
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA27
2F067BB12
2F067CC05
2F067EE15
2F067HH04
2F067TT03
(57)【要約】
【課題】ロータリソレノイドの発熱を低減可能な放射線厚さ測定装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係る放射線厚さ測定装置は、放射線発生部と、アームと、ロータリソレノイドと、電磁石とを備える。前記アームは、少なくとも部分的に磁力により吸引されることが可能であり、回転軸まわりに回転可能である。前記ロータリソレノイドは、励磁されることで、前記アームを、前記放射線発生部から出射した前記放射線の進路上に前記アームが配置される閉位置と、前記アームが前記放射線の進路から離間した開位置と、のうち一方である第1の位置から、前記閉位置と前記開位置とのうち他方である第2の位置へ、前記回転軸まわりに回転させる。前記電磁石は、励磁されることで前記第2の位置に位置する前記アームを磁力により吸引し、前記アームを前記第2の位置に保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を出射する放射線発生部と、
少なくとも部分的に磁力により吸引されることが可能であり、回転軸まわりに回転可能な、アームと、
励磁されることで、前記アームを、前記放射線発生部から出射した前記放射線の進路上に前記アームが配置される閉位置と、前記アームが前記放射線の進路から離間した開位置と、のうち一方である第1の位置から、前記閉位置と前記開位置とのうち他方である第2の位置へ、前記回転軸まわりに回転させるロータリソレノイドと、
励磁されることで前記第2の位置に位置する前記アームを磁力により吸引し、前記アームを前記第2の位置に保持する、電磁石と、
を具備する放射線厚さ測定装置。
【請求項2】
前記ロータリソレノイド及び前記電磁石を励磁させる制御部、
をさらに具備し、
前記制御部は、前記アームが前記第2の位置に位置するとき、前記ロータリソレノイドを非励磁状態にし、前記電磁石を励磁する、
請求項1の放射線厚さ測定装置。
【請求項3】
前記ロータリソレノイド及び前記電磁石を励磁させる制御部、
をさらに具備し、
前記制御部は、前記ロータリソレノイドに第1の電流を流すことで、励磁された前記ロータリソレノイドに前記アームを前記第1の位置から前記第2の位置へ回転させ、
前記制御部は、前記アームが前記第2の位置に位置するとき、前記電磁石を励磁するとともに、前記ロータリソレノイドに前記第1の電流より小さい第2の電流を流すことで前記ロータリソレノイドを励磁し、前記電磁石及び前記ロータリソレノイドに前記アームを前記第2の位置に保持させる、
請求項1の放射線厚さ測定装置。
【請求項4】
前記アームに設けられた第1の電極と、
前記電磁石に設けられた第2の電極と、
をさらに具備し、
前記第1の電極と前記第2の電極とは、前記アームが前記第2の位置に位置するとき、励磁された前記電磁石の磁力が前記アームを吸引することで、互いに接触し、
前記制御部は、前記第1の電極が前記第2の電極に通電したことを検知する、
請求項2又は請求項3の放射線厚さ測定装置。
【請求項5】
光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射した光を受ける受光素子と、を有するフォトセンサ、
をさらに具備し、
前記アームは、当該アームが前記閉位置に位置するときに前記放射線の進路上に配置されるとともに前記アームが前記開位置に位置するときに前記放射線の進路から離間する本体と、前記本体から突出する突起と、を有し、
前記突起は、前記アームが前記第1の位置に位置するときに前記発光素子と前記受光素子との間の空間から離間し、前記アームが前記第2の位置に位置するときに前記発光素子と前記受光素子との間に位置して前記発光素子から前記受光素子に向かう前記光を遮るとともに励磁された前記電磁石の磁力により吸引される、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つの放射線厚さ測定装置。
【請求項6】
前記アームと前記電磁石とは、前記アームが前記第2の位置に位置するとき、前記回転軸と交差する方向又は前記回転軸に沿う方向に並ぶ、請求項1乃至請求項5のいずれか一つの放射線厚さ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線厚さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鋼板の製造ラインにおいて、圧延された鋼板の厚さをX線のような放射線により測定する測定装置が知られる。当該測定装置は、例えば、放射線を遮断するシャッタ又はキャリブレーションに用いられるスタンダードプレートを含むアームを、放射線の進路上に進退させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記測定装置は、ロータリソレノイドによりアームを放射線の進路上の位置と放射線の進路から離間した位置との間で移動させる。ロータリソレノイドは、アームを所望の位置に保持するために、電流を流され続ける。しかし、ロータリソレノイドは、電流を流され続けることで、発熱してしまう。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、ロータリソレノイドの発熱を低減可能な放射線厚さ測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に係る放射線厚さ測定装置は、放射線発生部と、アームと、ロータリソレノイドと、電磁石とを備える。前記放射線発生部は、放射線を出射する。前記アームは、少なくとも部分的に磁力により吸引されることが可能であり、回転軸まわりに回転可能である。前記ロータリソレノイドは、励磁されることで、前記アームを、前記放射線発生部から出射した前記放射線の進路上に前記アームが配置される閉位置と、前記アームが前記放射線の進路から離間した開位置と、のうち一方である第1の位置から、前記閉位置と前記開位置とのうち他方である第2の位置へ、前記回転軸まわりに回転させる。前記電磁石は、励磁されることで前記第2の位置に位置する前記アームを磁力により吸引し、前記アームを前記第2の位置に保持する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る放射線厚さ測定装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態のスタンダードチェンジャの一部を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態のスタンダードチェンジャの一部を概略的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の測定装置を機能的に示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の測定装置によるアームの回転制御の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係るスタンダードチェンジャの一部を概略的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態のスタンダードチェンジャの一部を概略的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態に係るスタンダードチェンジャの一部を概略的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態のアームの端部を概略的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、第4の実施形態に係る測定装置によるアームの回転制御の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】
図11は、第1の実施形態の変形例に係るアーム及び電磁ラッチを模式的に示す側面図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態の変形例に係るアーム及び電磁ラッチを模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態の変形例に係るアーム及び電磁ラッチを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図5を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係る放射線厚さ測定装置10を模式的に示す図である。放射線厚さ測定装置(以下、測定装置と称する)10は、例えば、鋼板Sを製造する製造ラインのうち、鋼板Sの圧延ラインにおいて、鋼板Sの厚さを測定する。なお、測定装置10は、他の物品の厚さを測定しても良いし、他の用途に用いられても良い。
【0010】
図1に示すように、測定装置10は、例えば、検出部11と、制御盤12と、放射線制御部13と、中継部14と、操作部15とを有する。なお、測定装置10は、この例に限られない。
【0011】
検出部11は、鋼板Sの圧延ラインに配置される。検出部11は、フレーム21と、放射線発生部22と、放射線検出部23と、スタンダードチェンジャ24と、回路基板25とを有する。
【0012】
フレーム21は、略C字状に形成される。フレーム21は、下側部分31と、上側部分32と、柱部33とを有する。下側部分31は、略水平方向に延びている。上側部分32は、下側部分31から上方向に離間しており、下側部分31と略平行に延びている。柱部33は、略鉛直方向に延び、下側部分31の端部と上側部分32の端部とを接続する。
【0013】
放射線発生部22は、下側部分31に設けられる。放射線発生部22は、略上方向にX線Rを出射する。X線Rは、放射線の一例である。なお、放射線発生部22は、X線Rに限らず、他の放射線を出射しても良い。
【0014】
放射線検出部23は、上側部分32に設けられる。すなわち、放射線検出部23は、放射線発生部22から上方向に離間し、X線Rの進路上に位置している。放射線検出部23は、放射線発生部22から出射したX線Rを受ける。言い換えると、放射線発生部22は、放射線検出部23に向かってX線Rを出射する。なお、放射線発生部22と放射線検出部23との間に、X線Rが透過可能な窓のような、他の部品が設けられても良い。
【0015】
圧延ラインにおいて、放射線発生部22と放射線検出部23との間の空間を、鋼板Sが通過する。放射線発生部22から出射されたX線Rは、放射線発生部22と放射線検出部23との間に位置する鋼板Sを透過し、放射線検出部23に入射する。測定装置10は、当該X線Rに基づき、鋼板Sの厚さを測定する。
【0016】
スタンダードチェンジャ24は、下側部分31に設けられる。スタンダードチェンジャ24は、放射線発生部22と放射線検出部23との間に設けられる。スタンダードチェンジャ24は、例えば、放射線発生部22が出射したX線Rを遮断することが可能である。
【0017】
回路基板25は、放射線発生部22、放射線検出部23、及びスタンダードチェンジャ24に電気的に接続される。回路基板25は、例えば、基板と、当該基板に実装される種々の部品とを有する。
【0018】
制御盤12及び放射線制御部13は、例えば、コンピュータであり、中継部14を介して検出部11の回路基板25に電気的に接続される。操作部15は、回路基板25に電気的に接続される。例えば、ユーザは、制御盤12又は操作部15を用いて、測定装置10を制御することができる。
【0019】
図2は、第1の実施形態のスタンダードチェンジャ24の一部を概略的に示す平面図である。
図3は、第1の実施形態のスタンダードチェンジャ24の一部を概略的に示す側面図である。
【0020】
図2に示すように、スタンダードチェンジャ24は、取付ボード41と、複数のアーム42と、複数のロータリソレノイド43と、複数の位置センサ44と、複数の電磁ラッチ45とを有する。
【0021】
以下、複数のアーム42、複数のロータリソレノイド43、複数の位置センサ44、及び複数の電磁ラッチ45が、アーム42A,42B、ロータリソレノイド43A,43B、位置センサ44A,44B、及び電磁ラッチ45A,45Bと個別に称されることがある。なお、共通する説明については、アーム42、ロータリソレノイド43、位置センサ44、及び電磁ラッチ45の説明として記載される。
【0022】
取付ボード41は、略水平方向に広がる板状に形成される。取付ボード41は、放射線発生部22と放射線検出部23との間に位置する。取付ボード41は、表面51を有する。表面51は、放射線検出部23に向く。なお、表面51は、放射線発生部22に向いても良い。
【0023】
取付ボード41に、貫通孔52が設けられる。貫通孔52は、取付ボード41を貫通し、表面51に開口する。貫通孔52は、X線Rの進路の中心軸と同心(同軸)状の、略円形の断面を有する。なお、貫通孔52の形状は、この例に限られない。放射線発生部22は、貫通孔52を通じて、放射線検出部23へX線Rを出射する。すなわち、取付ボード41は、X線Rの進路を避けて設けられる。
【0024】
複数のアーム42は、互いに略同一の形状を有する。なお、複数のアーム42が、互いに異なる形状を有しても良い。複数のアーム42は、鉛直方向において、放射線検出部23と取付ボード41との間に位置する。なお、複数のアーム42の位置は、この例に限られない。
【0025】
複数のアーム42のそれぞれは、本体61と、アーマチュア62と、遮断突起63とを有する。アーマチュア62は、例えば、被吸引部とも称され得る。本体61は、アーム板71と、取付突起72と、プレート73とを有する。
【0026】
アーム板71は、例えば、非磁性体の金属板により作られる。なお、アーム板71は、他の材料により作られても良い。アーム板71は、略水平方向に広がる略矩形の板状に形成される。アーム板71は、下面71aと、上面71bと、側面71cとを有する。
【0027】
下面71aは、略平坦に形成され、略下方向に向く。下面71aは、間隔を介して取付ボード41の表面51に向く。下面71aは、貫通孔52を通じて放射線発生部22に向いても良い。
【0028】
上面71bは、下面71aの反対側に位置する。上面71bは、略平坦に形成され、略上方向に向く。上面71bは、間隔を介して上側部分32に向く。上面71bは、放射線検出部23に向いても良い。
【0029】
側面71cは、下面71aの縁と上面71bの縁との間に設けられる。側面71cは、アーム板71の縁である。鉛直方向における側面71cの幅(厚さ)は、アーム板71の長手方向と直交する方向における下面71a及び上面71bの幅よりも、短い。側面71cは、略水平方向に向く。
【0030】
アーム板71の長手方向における一方の端部71dは、ロータリソレノイド43に取り付けられる。アーム板71の他方の端部71eに、プレート73が設けられる。なお、端部71d,71eは、長手方向におけるアーム板71の端のみならず、当該端の近傍の部分を含む。
【0031】
取付突起72は、アーム板71と一体に形成される。取付突起72は、アーム板71の端部71eにおいて、アーム板71の側面71cから、略鉛直方向に突出している。本実施形態において、取付突起72は、側面71cから略下方に延びている。取付突起72は、外面72aを有する。外面72aは、略平坦に形成され、略水平方向に向く。
【0032】
プレート73は、略水平方向に広がる略円盤状に形成される。アーム42Aにおいて、プレート73は、鉛のようなX線Rを遮断可能な材料により作られたシャッタである。アーム42Bにおいて、プレート73は、例えば鋼板Sと同一の材料により作られたスタンダードプレート(サンプルプレート)である。プレート73は、アーム板71よりも厚い。プレート73は、略円形の下面73a及び上面73bを有する。
【0033】
下面73aは、略平坦に形成され、略下方向に向く。下面73aは、間隔を介して取付ボード41の表面51に向く。下面73aは、貫通孔52を通じて放射線発生部22に向いても良い。
【0034】
上面73bは、下面73aの反対側に位置する。上面73bは、略平坦に形成され、略上方向に向く。上面73bは、間隔を介して上側部分32に向く。上面73bは、放射線検出部23に向いても良い。
【0035】
アーマチュア62は、アーム42のうち、磁力により吸引されることが可能な部分である。アーマチュア62は、例えば、永久磁石である。なお、アーマチュア62は、この例に限られず、例えば軟質磁性体のような、磁石に吸引され得る他の物質であっても良い。また、アーマチュア62は、電磁石であっても良い。
【0036】
アーマチュア62は、取付突起72の外面72aに取り付けられる。言い換えると、本実施形態のアーマチュア62は、本体61に設けられる。なお、アーマチュア62は、アーム42の他の部分に設けられても良い。また、アーマチュア62の代わりに、アーム42の他の部分が磁力により吸引されることが可能であっても良い。
【0037】
遮断突起63は、アーム板71と一体に形成される。遮断突起63は、アーム板71の端部71dにおいて、アーム板71の側面71cから、略鉛直方向に突出している。本実施形態において、遮断突起63は、アーム板71の長手方向における端に位置する側面71cから略下方に延びている。
【0038】
遮断突起63は、外面63aと内面63bとを有する。内面63bは、外面63aの反対側に位置する。外面63a及び内面63bは、略水平方向に向く。外面63a及び内面63bは、例えば、アーム板71の長手方向に向く。アーム板71の長手方向と直交する方向における外面63a及び内面63bの幅は、アーム板71の長手方向における遮断突起63の幅(厚さ)よりも長い。
【0039】
ロータリソレノイド43は、貫通孔52から離間した位置で、取付ボード41の表面51に取り付けられる。ロータリソレノイド43は、励磁されることで、アーム板71を、対応する回転軸Axまわりに回転させることが可能である。
【0040】
回転軸Axは、例えば、ロータリソレノイド43の中心軸としての仮想的な直線である。回転軸Axは、貫通孔52から離間した位置で、取付ボード41を貫通するように略鉛直方向に延びている。
【0041】
本明細書において、便宜上、軸方向、径方向、及び周方向が定義される。軸方向は、回転軸Axに沿う方向である。径方向は、回転軸Axと直交する方向である。周方向は、回転軸Axまわりに回転する方向である。径方向及び周方向は、回転軸Axと交差する方向の一例である。
【0042】
アーム板71は、回転軸Axから径方向に延びている。アーム板71の長手方向における長さは、回転軸Axと貫通孔52との間の距離よりも長い。このため、アーム板71の一部は、貫通孔52を覆うことができる。
【0043】
取付突起72の外面72aは、例えば、略周方向に向く。なお、取付突起72は、この例に限られず、外面72aがアーム板71の長手方向に向くように、アーム板71から突出しても良い。
【0044】
ロータリソレノイド43は、アーム板71を回転させることで、アーム42の全体を回転軸Axまわりに回転させる。ロータリソレノイド43は、励磁されることで、アーム42を、閉位置Pcと開位置Poとの間で回転させる。
【0045】
閉位置Pcでは、アーム42の本体61のプレート73は、放射線発生部22から出射したX線Rの進路上に配置される。すなわち、閉位置Pcにおいて、プレート73は、放射線発生部22と放射線検出部23との間に位置する。このとき、プレート73の下面73aは放射線発生部22に向き、上面73bは放射線検出部23に向く。
【0046】
アーム42Aのプレート73であるシャッタは、閉位置Pcにおいて、X線Rを遮断する。また、X線Rは、閉位置Pcにおけるアーム42Bのプレート73であるスタンダードプレートを透過することができる。
【0047】
開位置Poでは、アーム42は、X線Rの進路から離間している。このとき、プレート73の下面73aは取付ボード41の表面51に向き、上面73bは上側部分32に向く。このため、アーム42が開位置Poに位置するとき、X線Rは、アーム42に干渉しない。
【0048】
ロータリソレノイド43Aは、励磁されることで、アーム42Aを閉位置Pcから開位置Poへ回転軸Axまわりに回転させる。閉位置Pcは、第1の位置の一例である。開位置Poは、第2の位置の一例である。
【0049】
ロータリソレノイド43Bは、励磁されることで、アーム42Bを開位置Poから閉位置Pcへ回転軸Axまわりに回転させる。開位置Poは、第1の位置の一例である。閉位置Pcは、第2の位置の一例である。
【0050】
ロータリソレノイド43は、例えば、バネを有する。非励磁状態のロータリソレノイド43Aは、当該バネの弾性力により、アーム42Aを開位置Poから閉位置Pcへ回転軸Axまわりに回転させる。また、非励磁状態のロータリソレノイド43Bは、バネの弾性力により、アーム42Bを閉位置Pcから開位置Poへ回転軸Axまわりに回転させる。
【0051】
なお、ロータリソレノイド43Aは、励磁されることでアーム42Aを開位置Poから閉位置Pcへ回転させても良い。また、ロータリソレノイド43Bは、励磁されることでアーム42Bを閉位置Pcから開位置Poへ回転軸Axまわりに回転させても良い。
【0052】
ロータリソレノイド43は、アーム42が閉位置Pcと開位置Poとの間の範囲を越えて回転することを制限するストッパを有する。このため、ロータリソレノイド43又はバネに回転させられるアーム42は、閉位置Pcと開位置Poとの間の範囲内で回転する。
【0053】
位置センサ44のそれぞれは、二つのフォトセンサ75をさらに有する。なお、位置センサ44は、他のセンサを有しても良い。二つのフォトセンサ75は、周方向に互いに離間している。二つのフォトセンサ75のそれぞれは、発光素子75aと、受光素子75bとを有する。
【0054】
発光素子75aと受光素子75bとは、略径方向に互いに離間している。このため、発光素子75aと受光素子75bとの間に隙間75cが設けられる。隙間75cは、発光素子と受光素子との間の空間の一例である。
【0055】
発光素子75aは、受光素子75bに向かって光を出射する。受光素子75bは、発光素子75aから出射した光を受ける。フォトセンサ75は、発光素子75aから出射した光を受光素子75bが受けているか否かを示す信号を出力することができる。
【0056】
隙間75cと回転軸Axとの間の距離は、遮断突起63と回転軸Axとの間の距離に略等しい。また、発光素子75aと受光素子75bとの間の距離は、遮断突起63の厚さよりも長い。このため、アーム42が回転軸Axまわりに回転するとき、遮断突起63が隙間75cに挿入されることができる。
【0057】
アーム42が閉位置Pcに位置するとき、遮断突起63は、一方のフォトセンサ75の隙間75cに配置され、他方のフォトセンサ75の隙間75cの外に位置する。アーム42が開位置Poに位置するとき、遮断突起63は、一方のフォトセンサ75の隙間75cの外に位置し、他方のフォトセンサ75の隙間75cに配置される。遮断突起63は、隙間75cに位置することで、発光素子75aから受光素子75bに向かう光を遮る。
【0058】
発光素子75a及び受光素子75bはそれぞれ、取付部材76に取り付けられる。取付部材76は、例えば、取付ボード41に取り付けられる。なお、取付部材76は、この例に限られない。
【0059】
電磁ラッチ45は、電磁石77を有する。なお、電磁ラッチ45は、他の部品をさらに有しても良い。電磁石77は、例えば、他の部品を介して取付ボード41に取り付けられる。電磁石77は、励磁されることで磁力を発生し、アーム42のアーマチュア62を当該磁力により吸引し、アーム42を保持することができる。
【0060】
電磁ラッチ45Aの電磁石77は、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、アーム42Aのアーマチュア62に隣接する。電磁石77は、励磁されることで、開位置Poに位置するアーム42Aのアーマチュア62を磁力により吸引し、アーム42Aを開位置Poに保持する。
【0061】
電磁ラッチ45Bの電磁石77は、アーム42Bが閉位置Pcに位置するとき、アーム42Bのアーマチュア62に隣接する。電磁石77は、励磁されることで、閉位置Pcに位置するアーム42Bのアーマチュア62を磁力により吸引し、アーム42Bを閉位置Pcに保持する。
【0062】
アーム42Aのアーマチュア62と電磁ラッチ45Aの電磁石77とは、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、略周方向に並ぶ。また、アーム42Bのアーマチュア62と電磁ラッチ45Bの電磁石77とは、アーム42Bが閉位置Pcに位置するとき、略周方向に並ぶ。略周方向は、回転軸と交差する方向の一例である。
【0063】
図3に示すように、アーム42Aとアーム42Bとは、鉛直方向において互いに離間している。また、ロータリソレノイド43Aとロータリソレノイド43Bとは、水平方向において互いに離間している。このため、アーム42Aとアーム42Bとは、互いに干渉することを抑制できる。
【0064】
図4は、第1の実施形態の測定装置10を機能的に示すブロック図である。
図4に示すように、測定装置10は、制御部80を有する。制御部80は、例えば、制御盤12又は操作部15により実現される。なお、制御部80は、この例に限られない。
【0065】
制御部80は、開閉制御部81と、アーム位置取得部82と、回転指示部83と、保持指示部84とを備える。開閉制御部81は、プログラム又はユーザの操作に基づき、スタンダードチェンジャ24を制御する。
【0066】
アーム位置取得部82は、複数の位置センサ44から信号を取得する。当該信号に基づき、アーム位置取得部82は、アーム42が閉位置Pcと開位置Poとのいずれに位置するかを検出する。
【0067】
例えば、アーム42が閉位置Pcに移動すると、遮断突起63が、一方のフォトセンサ75の隙間75cに挿入され、発光素子75aから出射した光を遮る。受光素子75bが当該光を受けなくなると、フォトセンサ75は、アーム位置取得部82に信号を出力する。当該信号に基づき、アーム位置取得部82は、アーム42が閉位置Pcに位置することを検出する。
【0068】
また、アーム42が開位置Poに移動すると、遮断突起63が、他方のフォトセンサ75の隙間75cに挿入され、発光素子75aから出射した光を遮る。受光素子75bが当該光を受けなくなると、フォトセンサ75は、アーム位置取得部82に信号を出力する。当該信号に基づき、アーム位置取得部82は、アーム42が開位置Poに位置することを検出する。
【0069】
回転指示部83は、ドライバ85を制御し、ドライバ85からロータリソレノイド43に電流を流す。これにより、ロータリソレノイド43が励磁される。すなわち、制御部80の回転指示部83は、ロータリソレノイド43を励磁させることができる。
【0070】
保持指示部84は、ドライバ86を制御し、ドライバ86から電磁石77に電流を流す。これにより、電磁石77が励磁される。すなわち、制御部80の保持指示部84は、電磁石77を励磁させることができる。ドライバ85,86は、例えば、制御盤12、操作部15、又は回路基板25に設けられる。
【0071】
図5は、第1の実施形態の測定装置10によるアーム42Aの回転制御の一例を示すタイミングチャートである。
図5における一番上のグラフは、アーム42Aが開位置Poに位置するか否かを検知するフォトセンサ75の信号(開位置検知信号)を示す。二番目のグラフは、アーム42Aが閉位置Pcに位置するか否かを検知するフォトセンサ75の信号(閉位置検知信号)を示す。
【0072】
図5における三番目のグラフは、アーム42Aを閉位置Pcから開位置Poへ回転させるために開閉制御部81が出力する信号(開命令信号)を示す。四番目のグラフは、アーム42Aを開位置Poから閉位置Pcへ回転させるために開閉制御部81が出力する信号(閉命令信号)を示す。
【0073】
図5における五番目のグラフは、ロータリソレノイド43Aに流される電流(ソレノイド励磁電流)を示す。六番目のグラフは、アーム42Aの回転(アーム回転)を示す。七番目のグラフは、電磁石77に流される電流(電磁石励磁電流)を示す。
【0074】
以下、
図5を参照して、測定装置10によるアーム42Aの閉位置Pcと開位置Poとの間の回転制御の一例が説明される。なお、アーム42Aの回転制御は、以下の例に限られない。
【0075】
図5に示すように、ロータリソレノイド43が非励磁状態のとき、アーム42Aは閉位置Pcに位置する。まず、開閉制御部81が開命令信号を出力する。回転指示部83は、開命令信号に基づき、ドライバ85からロータリソレノイド43Aへ電流を流す。これにより、ロータリソレノイド43Aが励磁される。
【0076】
励磁されたロータリソレノイド43Aは、アーム42Aを閉位置Pcから開位置Poへ向かって回転させる。アーム42Aが閉位置Pcから離れると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cから出て、閉位置検知信号がハイからローへ遷移する。
【0077】
アーム42Aが開位置Poへ到達すると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cに挿入され、開位置検知信号がローからハイへ遷移する。アーム位置取得部82が開位置検知信号を取得してから所定の時間が経過すると、保持指示部84は、ドライバ86から電磁石77に電流を流す。これにより、電磁石77が励磁される。励磁された電磁石77は、アーマチュア62を磁力により吸引し、ロータリソレノイド43Aを開位置Poに保持する。
【0078】
保持指示部84が電磁石77を励磁させてから所定の時間が経過すると、回転指示部83は、ロータリソレノイド43Aを非励磁状態にする。すなわち、制御部80は、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、ロータリソレノイド43Aを非励磁状態にし、電磁石77を励磁する。
【0079】
開閉制御部81が閉命令信号を出力すると、保持指示部84は、閉命令信号に基づき、電磁石77を非励磁状態にする。これにより、電磁石77は、アーム42Aの保持を解除する。アーム42Aは、例えばロータリソレノイド43Aのバネにより、開位置Poから閉位置Pcへ向かって回転する。
【0080】
アーム42Aが開位置Poから離れると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cから出て、開位置検知信号がハイからローへ遷移する。アーム42Aが閉位置Pcへ到達すると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cに挿入され、閉位置検知信号がローからハイへ遷移する。これにより、アーム位置取得部82は、アーム42Aが閉位置Pcに戻ったことを検知する。
【0081】
測定装置10によるアーム42Bの閉位置Pcと開位置Poとの間の回転制御では、上述のアーム42Aの回転制御における閉位置Pcと開位置Poとが逆になる。このため、制御部80は、アーム42Bが閉位置Pcに位置するとき、ロータリソレノイド43Bを非励磁状態にし、電磁石77を励磁する。
【0082】
以上説明された第1の実施形態に係る測定装置10において、電磁石77は、励磁されることで、開位置Poに位置するアーム42Aを吸引し、アーム42Aを開位置Poに保持する。これにより、測定装置10は、アーム42Aが開位置Poに到達した後、ロータリソレノイド43Aに流される電流を低減することができる。従って、測定装置10は、ロータリソレノイド43Aの発熱を低減でき、ひいてはロータリソレノイド43Aの励磁力低下、ロータリソレノイド43Aの寿命の減少、及び測定装置10の温度上昇を抑制できる。
【0083】
制御部80は、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、ロータリソレノイド43Aを非励磁状態にし、電磁石77を励磁する。これにより、測定装置10は、アーム42Aが開位置Poに到達した後、ロータリソレノイド43Aに流される電流を0にすることができる。従って、測定装置10は、ロータリソレノイド43Aの発熱を抑制できる。
【0084】
アーム42Aと電磁石77とは、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、回転軸Axと交差する方向(周方向)に並ぶ。例えば、アーム42と電磁石77とが周方向に並ぶことで、アーム42と電磁石77とが互いに近づくことが可能となる。従って、電磁石77がより効果的にアーム42を吸引することができる。
【0085】
本実施形態の制御部80は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memorry)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0086】
本実施形態の制御部80で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0087】
また、本実施形態の制御部80で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の制御部80で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
【0088】
また、本実施形態のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
【0089】
本実施形態の制御部80で実行されるプログラムは、上述した各部(開閉制御部81、アーム位置取得部82、回転指示部83、及び保持指示部84)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、開閉制御部81、アーム位置取得部82、回転指示部83、及び保持指示部84が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0090】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図6及び
図7を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0091】
図6は、第2の実施形態に係るスタンダードチェンジャ224の一部を概略的に示す平面図である。
図7は、第2の実施形態のスタンダードチェンジャ224の一部を概略的に示す側面図である。スタンダードチェンジャ224は、以下に記載される点を除き、第1の実施形態のスタンダードチェンジャ24と同じ構成を有する。
【0092】
図6に示すように、第2の実施形態のスタンダードチェンジャ224において、アーム42は、取付突起72の代わりに取付突起201を有する。取付突起201は、アーム板71の端部71eにおいて、アーム板71の側面71cから、略周方向に延びている。
【0093】
取付突起201は、下面201aを有する。下面201aは、略平坦に形成され、略鉛直方向に向く。本実施形態の下面201aは、略下方向に向く。下面201aは、アーム板71の下面71aから連続する。なお、下面201aは、例えば鉛直方向において下面71aと異なる位置に配置されても良い。
【0094】
アーマチュア62は、取付突起201の下面201aに取り付けられる。
図7に示すように、アーム42Aのアーマチュア62と電磁ラッチ45Aの電磁石77とは、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、略軸方向に並ぶ。また、アーム42Bのアーマチュア62と電磁ラッチ45Bの電磁石77とは、アーム42Bが閉位置Pcに位置するとき、略軸方向に並ぶ。
【0095】
以上説明された第2の実施形態の測定装置10において、アーム42と電磁石77とは、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、回転軸Axに沿う方向(軸方向)に並ぶ。これにより、測定装置10は、アーム42Aが回転するときにアーマチュア62が電磁石77に衝突することを抑制できる。
【0096】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、第3の実施形態に係るスタンダードチェンジャ324の一部を概略的に示す平面図である。
図9は、第3の実施形態のアーム42Aの端部71dを概略的に示す側面図である。スタンダードチェンジャ324は、以下に記載される点を除き、第1の実施形態のスタンダードチェンジャ24と同じ構成を有する。
【0097】
図8に示すように、第3の実施形態のスタンダードチェンジャ324において、アーム42は、遮断突起63及び取付突起72の代わりに、突起301を有する。
図9に示すように、突起301は、縦部305と、二つの横部306とを有する。
【0098】
縦部305は、アーム板71の端部71dにおいて、アーム板71の側面71cから、略鉛直方向に延びている。鉛直方向における縦部305の長さは、周方向における縦部305の幅よりも長い。
【0099】
横部306は、アーム板71の反対側の縦部305の端部から、略周方向に延びている。周方向における横部306の長さは、鉛直方向における横部306の幅よりも長い。二つの横部306は、縦部305から互いに反対方向に延びている。
【0100】
アーマチュア62は、縦部305のうち、略径方向に向く外面305aに取り付けられる。このため、周方向において、アーマチュア62は、二つの横部306の間に位置する。なお、アーマチュア62の位置は、この例に限られない。
【0101】
図8に示すように、アーム42Aのアーマチュア62と電磁ラッチ45Aの電磁石77とは、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、アーム板71の長手方向に並ぶ。また、アーム42Bのアーマチュア62と電磁石77とは、アーム42Bが閉位置Pcに位置するとき、アーム板71の長手方向に並ぶ。アーム板71の長手方向は、略径方向であり、回転軸と交差する方向の一例である。
【0102】
アーム42の回転に伴い、アーマチュア62は、二つのフォトセンサ75の間で回転する。アーム42が閉位置Pc及び開位置Poのいずれに位置するときも、アーマチュア62は、フォトセンサ75から離間している。
【0103】
隙間75cと回転軸Axとの間の距離は、横部306と回転軸Axとの間の距離に略等しい。また、発光素子75aと受光素子75bとの間の距離は、突起301の厚さよりも長い。このため、横部306は、アーム42が回転軸Axまわりに回転するとき、フォトセンサ75の隙間75cに挿入されることができる。
【0104】
アーム42が閉位置Pcに位置するとき、一方のフォトセンサ75の隙間75cに、一方の横部306が位置する。当該横部306は、当該フォトセンサ75の発光素子75aから受光素子75bに向かう光を遮る。一方、二つの横部306のいずれも、他方のフォトセンサ75の隙間75cから離間している。
【0105】
アーム42が開位置Poに位置するとき、二つの横部306のいずれも、一方のフォトセンサ75の隙間75cから離間している。一方で、他方のフォトセンサ75の隙間75cに、他方の横部306が位置する。当該横部306は、当該フォトセンサ75の発光素子75aから受光素子75bに向かう光を遮る。
【0106】
以上説明された第3の実施形態の測定装置10において、フォトセンサ75は、光を出射する発光素子75aと、発光素子75aから出射した光を受ける受光素子75bと、を有する。アーム42Aは、本体61と、突起301とを有する。本体61は、アーム42Aが閉位置Pcに位置するときにX線Rの進路上に配置されるとともに、アーム42Aが開位置Poに位置するときにX線Rの進路から離間する。突起301は、アーム42Aが閉位置Pcに位置するときに、発光素子75aと受光素子75bとの間の隙間75cから離間する。さらに、突起301は、アーム42Aが開位置Poに位置するときに、隙間75cに位置し、発光素子75aから受光素子75bに向かう光を遮るとともに、励磁された電磁石77の磁力により吸引される。すなわち、突起301は、電磁石77の磁力により吸引される部分と、フォトセンサ75により検知される部分とを兼ねる。これにより、測定装置10は、電磁石77の磁力により吸引される部分と、フォトセンサ75により検知される部分とを別々に設ける必要が無くなり、アーム42Aを軽量化できる。
【0107】
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態について、
図10を参照して説明する。
図10は、第4の実施形態に係る測定装置10によるアーム42Aの回転制御の一例を示すタイミングチャートである。第4の実施形態の測定装置10は、アーム42の回転制御において、第1の実施形態の測定装置10と異なる。
【0108】
図10における一番上のグラフは、開位置検知信号を示す。二番目のグラフは、閉位置検知信号を示す。三番目のグラフは、開命令信号を示す。四番目のグラフは、閉命令信号を示す。五番目のグラフは、ロータリソレノイド43Aに流される第1の電流を示す。六番目のグラフは、ロータリソレノイド43Aに流される第2の電流(第2の電流)を示す。七番目のグラフは、アーム回転を示す。八番目のグラフは、電磁石励磁電流を示す。
【0109】
以下、
図10を参照して、測定装置10によるアーム42Aの閉位置Pcと開位置Poとの間の回転制御の一例が説明される。なお、アーム42Aの回転制御は、以下の例に限られない。
【0110】
まず、開閉制御部81が開命令信号を出力する。回転指示部83は、開命令信号に基づき、ドライバ85からロータリソレノイド43Aへ第1の電流を流す。これにより、ロータリソレノイド43Aが励磁される。
【0111】
励磁されたロータリソレノイド43Aが、アーム42Aを閉位置Pcから開位置Poへ向かって回転させる。すなわち、制御部80は、ロータリソレノイド43Aへ第1の電流を流すことで、励磁されたロータリソレノイド43Aにアーム42Aを閉位置Pcから開位置Poへ回転させる。
【0112】
アーム42Aが閉位置Pcから離れると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cから出て、閉位置検知信号がハイからローへ遷移する。アーム42Aが開位置Poへ到達すると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cに挿入され、開位置検知信号がローからハイへ遷移する。
【0113】
アーム位置取得部82が開位置検知信号を取得してから所定の時間が経過すると、保持指示部84は、ドライバ86から電磁石77へ電流を流す。これにより、電磁石77が励磁される。例示された電磁石77は、アーマチュア62を磁力により吸引し、ロータリソレノイド43Aを開位置Poに保持する。
【0114】
保持指示部84が電磁石77を励磁させてから所定の時間が経過すると、回転指示部83は、第1の電流に代わって第2の電流をドライバ85からロータリソレノイド43Aへ流す。すなわち、制御部80は、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、電磁石77を励磁するとともに、ロータリソレノイド43Aに第2の電流を流すことでロータリソレノイド43Aを励磁する。これにより、電磁石77及びロータリソレノイド43Aは、協同して、アーム42Aを開位置Poに保持する。
【0115】
第2の電流は、第1の電流よりも小さい。例えば、第2の電流は、第1の電流の50%である。また、第4の実施形態において電磁石77に流される電流は、第1の実施形態において電磁石77に流される電流よりも小さい。なお、ロータリソレノイド43Aに流される電流と、電磁石77に流される電流とは、この例に限られない。
【0116】
開閉制御部81が閉命令信号を出力すると、保持指示部84は、閉命令信号に基づき、電磁石77を非励磁状態にする。また、回転指示部83も、ロータリソレノイド43Aを非励磁状態にする。これにより、電磁石77及びロータリソレノイド43Aは、アーム42Aの保持を解除する。アーム42Aは、例えばロータリソレノイド43Aのバネにより、開位置Poから閉位置Pcへ向かって回転する。
【0117】
アーム42Aが開位置Poから離れると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cから出て、開位置検知信号がハイからローへ遷移する。アーム42Aが閉位置Pcへ到達すると、遮断突起63がフォトセンサ75の隙間75cに挿入され、閉位置検知信号がローからハイへ遷移する。これにより、アーム位置取得部82は、アーム42Aが閉位置Pcに戻ったことを検知する。
【0118】
測定装置10によるアーム42Bの閉位置Pcと開位置Poとの間の回転制御では、上述のアーム42Aの回転制御における閉位置Pcと開位置Poとが逆になる。このため、制御部80は、ロータリソレノイド43Bに第1の電流を流すことで、励磁されたロータリソレノイド43Bにアーム42Bを開位置Poから閉位置Pcへ回転させる。また、制御部80は、アーム42Bが閉位置Pcに位置するとき、電磁石77を励磁するとともに、ロータリソレノイド43Bに第2の電流を流すことでロータリソレノイド43Bを励磁する。これにより、電磁石77及びロータリソレノイド43Bが、アーム42Bを閉位置Pcに保持する。
【0119】
以上説明された第4の実施形態の測定装置10において、制御部80は、ロータリソレノイド43Aに第1の電流を流すことで、励磁されたロータリソレノイド43Aにアーム42Aを閉位置Pcから開位置Poへ回転させる。制御部80は、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、電磁石77を励磁するとともに、ロータリソレノイド43Aに第1の電流より小さい第2の電流を流すことで当該ロータリソレノイド43Aを励磁し、電磁石77及びロータリソレノイド43Aにアーム42Aを開位置Poに保持させる。これにより、測定装置10は、アーム42Aが開位置Poに到達した後、ロータリソレノイド43Aに流される電流を低減することができる。さらに、測定装置10は、電磁石77に流される電流が大きくなることを抑制でき、ひいては電磁石77の励磁力低下、電磁石77の寿命の減少、及び測定装置10の温度上昇を抑制できる。なお、第4の実施形態におけるアーム42の回転制御は、第1乃至第3の実施形態のいずれの測定装置10にも適用可能である。
【0120】
(変形例)
以下に、第1乃至第3の実施形態の変形例について、
図11乃至
図13を参照して説明する。
図11は、第1の実施形態の変形例に係るアーム42及び電磁ラッチ45を模式的に示す側面図である。
図12は、第2の実施形態の変形例に係るアーム42及び電磁ラッチ45を模式的に示す側面図である。
図13は、第3の実施形態の変形例に係るアーム42及び電磁ラッチ45を模式的に示す側面図である。
【0121】
図11乃至
図13に示すように、第1乃至第3の実施形態において、アーマチュア62の表面に第1の電極401が設けられ、電磁石77の表面に第2の電極402が設けられても良い。この場合、位置センサ44は、例えば通電センサ405をさらに有する。通電センサ405は、第2の電極402に電気的に接続される。
【0122】
アーム42Aが開位置Poに位置するとき、第1の電極401と第2の電極402とは向かい合う。励磁された電磁石77の磁力がアーマチュア62を吸引すると、アーム42の弾性変形を伴って、アーマチュア62が電磁石77に近づく。これにより、第1の電極401と第2の電極402とが互いに接触し、第1の電極401と第2の電極402とが互いに通電する。
【0123】
通電センサ405は、例えば、第1の電極401と第2の電極402とを通じた信号の送受信、電流の変化、又は電圧の変化を利用し、第1の電極401と第2の電極402とが通電しているか否かを示す信号を出力することができる。制御部80は、通電センサ405により、第1の電極401が第2の電極402に通電したことを検知する。
【0124】
制御部80は、フォトセンサ75を用いることなく、アーム42Aが開位置Poに位置することを検知することができる。なお、制御部80は、フォトセンサ75により、アーム42Aが閉位置Pcに位置することを検知する。また、制御部80は、フォトセンサ75を用いることなく、アーム42Bが閉位置Pcに位置することを検知することができる。
【0125】
以上説明された変形例の測定装置10において、第1の電極401は、アーム42に設けられる。第2の電極402は、電磁石77に設けられる。第1の電極401と第2の電極402とは、アーム42Aが開位置Poに位置するとき、励磁された電磁石77の磁力がアーマチュア62を吸引することで、互いに接触する。制御部80は、第1の電極401が第2の電極402に通電したことを検知する。これにより、制御部80は、電磁石77によりアーム42Aが開位置Poに保持されていることを検知することができる。
【0126】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、制限は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
10…放射線厚さ測定装置、22…放射線発生部、42,42A,42B…アーム、43,43A,43B…ロータリソレノイド、61…本体、75…フォトセンサ、75a…発光素子、75b…受光素子、75c…隙間、77…電磁石、80…制御部、301…突起、401…第1の電極、402…第2の電極、R…X線、Ax…回転軸、Pc…閉位置、Po…開位置。