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  • 特開-循環ポンプユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043304
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】循環ポンプユニット
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/16 20220101AFI20230322BHJP
【FI】
F24H9/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150832
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直矢
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼上 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】西村 和裕
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 久貴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真輔
(57)【要約】
【課題】循環ポンプユニットのシール部の劣化度合いを判定可能にすること。
【解決手段】湯水を循環させる循環ポンプ(1a,1b)と、循環ポンプの吸込側に接続された吸込配管と、循環ポンプの吐出側に接続された吐出配管をケーシング内に有し、循環ポンプの下側に循環ポンプの漏水を受ける漏水パン(12)と、漏水パンが受けた漏水を貯留する貯留タンク(21)が配設されるとともに、貯留タンク内の所定水位を検知する水位検知手段(21e)を備え、貯留タンクに所定量以上の漏水が貯留された場合にはサイホン現象を利用して貯留された漏水を一気に排出する循環ポンプユニット(3)において、水位検知手段が所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間を計測、記憶し、継続時間の経年的な変化に基づいて循環ポンプのシール部の劣化度合いを判定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を循環させる循環ポンプと、前記循環ポンプの吸込側に接続された吸込配管と、前記循環ポンプの吐出側に接続された吐出配管をケーシング内に有し、前記循環ポンプの下側に前記循環ポンプの漏水を受ける漏水パンと、前記漏水パンが受けた漏水を貯留する貯留タンクが配設されるとともに、前記貯留タンク内の所定水位を検知する水位検知手段を備え、前記貯留タンクに所定量以上の漏水が貯留された場合にはサイホン現象を利用して貯留された漏水を一気に排出する循環ポンプユニットにおいて、
前記水位検知手段が所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間を計測、記憶し、
前記継続時間の経年的な変化に基づいて前記循環ポンプのシール部の劣化度合いを判定することを特徴とする循環ポンプユニット。
【請求項2】
前記貯留タンクから漏水を前記ケーシング外部に排水するための排水部が前記貯留タンクよりも低い位置に設けられ、前記貯留タンクの底部から前記排水部に延びる排水ホースと、前記排水ホースの途中部を前記所定水位の高さ以上の位置に固定していることを特徴とする請求項1に記載の循環ポンプユニット。
【請求項3】
前記循環ポンプユニットは、通信網を介してサーバに通信接続されており、前記継続時間の開始又は終了ごとに前記継続時間の時間データを前記サーバに送信し、前記サーバにおいて時間データを記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の循環ポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯栓等から即座に給湯するために高温の湯水を循環させる即湯循環システムの循環ポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホテル、病院等の複数の給湯栓を備えた施設において、給湯装置によって加熱された高温の湯水を常時又は所定の周期で間欠的に循環させることにより、どの給湯栓からも即座に給湯が可能なように構成された即湯循環システムが利用されている。このような即湯循環システムでは、要求される大流量且つ高い吐出圧に対応したメカニカルシール式の循環ポンプを備えた循環ポンプユニットが使用されている。
【0003】
メカニカルシール式の循環ポンプは、累積運転時間が一定時間を超えるとメカニカルシール部の摩耗により漏水が発生し易くなる。それ故、循環ポンプユニットは、循環ポンプの漏水を検知して報知するように構成されている。例えば漏水パンが受けた漏水を貯留タンク等に貯留し、貯留タンクの水位が所定の水位に到達したときに、ランプの発光やアラーム音等により漏水を報知する。
【0004】
本願出願人は、貯留タンクには排水口が設けられ、排水口には外部に排水するための排水ホース(排水管)を接続し、貯留タンクに所定量以上の漏水が溜まった場合に、屈曲U字管によるサイホン現象を利用してその漏水を外部へ自動的に排出する技術を提案している(特願2020-88542)。
【0005】
即ち、排水ホースを排水口から上方へ延ばし、その排水ホースの途中部を貯留タンクの頂部近くの位置で屈曲させて下方へ延ばして屈曲部の付近を外部に固定し、排水ホースの下端を外部の排水部に接続する。貯留タンク内の漏水の水位が上記の屈曲部に達すると、貯留タンク内の漏水がサイホン現象により一気に排出される。
【0006】
ここで、特許文献1には、電動機で駆動されるポンプを有する水中ポンプにおいて、電動機ケーシングとポンプケーシングの間に軸封装置が内蔵された軸封室と、この軸封室から漏洩した漏水を溜める液溜室と、液溜室の水位を検知する水位検知手段とを設け、液溜室に溜まる漏水が所定の満水位に達する満水時期を予測する満水予測システムが開示されている。
【0007】
上記特許文献1の技術により、水中ポンプにおいて液溜室が満水となる満水時期は予測可能である。他方、前記の循環ポンプユニットの場合、貯留タンクが満水となってもサイホン現象を利用して自動的に排水できるため、貯留タンクの満水時期は問題ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-99084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の循環ポンプのメカニカルシールは、経年的に摩耗が進むと、漏水量が徐々に増加していく。前記貯留タンクに漏水を溜め、水位検知手段により所定水位を検知して報知し、排水ホースからサイホン現象を利用して排水する技術では、貯留タンクのオーバーフローは防止できるが、シール部の劣化度合いを検知することはできない。
【0010】
そのため、シール部材の劣化度合いの判定は作業者の経験に頼ることになり、シール部の交換やメンテナンスを過不足のない適切な時期に行うことが難しく、循環ポンプのシール部の劣化の度合いを検知する技術が要請されている。
【0011】
本発明の目的は、循環ポンプユニットのシール部の劣化度合いを判定可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明の循環ポンプユニットは、湯水を循環させる循環ポンプと、前記循環ポンプの吸込側に接続された吸込配管と、前記循環ポンプの吐出側に接続された吐出配管をケーシング内に有し、前記循環ポンプの下側に前記循環ポンプの漏水を受ける漏水パンと、前記漏水パンが受けた漏水を貯留する貯留タンクが配設されるとともに、前記貯留タンク内の所定水位を検知する水位検知手段を備え、前記貯留タンクに所定量以上の漏水が貯留された場合にはサイホン現象を利用して貯留された漏水を一気に排出する循環ポンプユニットにおいて、 前記水位検知手段が所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間を計測、記憶し、前記継続時間の経年的な変化に基づいて前記循環ポンプのシール部の劣化度合いを判定することを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、水位検知手段が所定水位を検知後も漏水が徐々に貯留されていって所定量以上の漏水が貯留されると、サイホン現象により一気に排水される。
前記水位検知手段は、所定水位を検知したときONになり、その後の排水の途中において所定水位を検知しなくなるとOFFになるため、ONからOFFまでの継続時間を計測、記憶していき、その継続時間の経年的な変化に基づいて循環ポンプのシール部の劣化度合いを判定する。
【0014】
即ち、シール部の劣化の度合いが進むほど漏水量が増加するため、前記継続時間が短くなるから、継続時間の経年的な変化に基づいて循環ポンプのシール部の劣化度合いを判定することができる。このように、水位検知手段と、サイホン式の排水手段とを有効活用して簡単な構成により循環ポンプのシール部の劣化度合いを精度よく判定することできる。
【0015】
請求項2の発明の循環ポンプユニットは、請求項1の発明において、前記貯留タンクから漏水を前記ケーシング外部に排水するための排水部が前記貯留タンクよりも低い位置に設けられ、前記貯留タンクの底部から前記排水部に延びる排水ホースと、前記排水ホースの途中部を前記所定水位の高さ以上の位置に固定していることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、貯留タンク内の漏水の水位が前記所定水位の高さ以上の位置になると、排水が開始され、サイホン現象により排水が継続され、貯留タンクが空になると排水が停止する。上記のような排水ホースとその途中部を固定する機構とからなる簡単な構成により、貯留タンクからの自動排水を達成することができる。
【0017】
請求項3の発明の循環ポンプユニットは、請求項1又は2の発明において、前記循環ポンプユニットは、通信網を介してサーバに通信接続されており、前記継続時間の開始又は終了度に前記継続時間の時間データを前記サーバに送信し、前記サーバにおいて時間データを記憶することを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、水位検知手段が所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間の開始又は終了ごとに前記継続時間の時間データを前記サーバに送信し、サーバにおいて時間データを記憶する。尚、上記の開始時に送信する場合は、前回の継続時間の時間データを送信し、上記の終了時に送信する場合は、今回の継続時間の時間データを送信する。このように、サーバに継続時間の時間データを集めて記憶することにより、複数箇所に設置した複数の循環ポンプユニットについてのシール部の劣化の度合いを判定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の循環ポンプユニットによれば、水位検知手段が所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間を計測、記憶し、その継続時間の経年的な変化に基づいて循環ポンプのシール部の劣化度合いを判定することができ、その継続時間データをサーバに記憶することで、サーバにおいて、複数箇所に設置した複数の循環ポンプユニットの循環ポンプのシール部の劣化度合いを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係る循環ポンプユニットの斜視図である。
図2図1の循環ポンプユニットを反対側から見た斜視図である。
図3】循環ポンプと漏水パンの要部斜視図である。
図4】漏水パンと貯留タンクの説明図である。
図5】貯留タンクの内部を示す縦断面図である。
図6】排水ホースの途中部の留め具の説明図である。
図7】フロートスイッチのON,OFF、排水動作、水位、継続時間を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。
最初に、連結式給湯システムの構成について説明する。
図1に示すように、連結式給湯システム30は、並列接続された複数の給湯装置31a~31dと、複数の給湯装置31a~31dに湯水を循環供給可能にする循環通路32と、この循環通路32に並列接続された複数の循環ポンプ1a,1bと、使用する循環ポンプ1a,1bに応じて流路を切り替える切替弁33と、これらを駆動して給湯運転を制御する制御手段としてシステムコントローラ34を有する。尚、連結式給湯システム30の給湯装置の台数、ポンプの台数は、例えば必要な給湯能力等によって適宜設定可能である。
【0022】
給湯先として例えば給湯栓32a~32cの他にも図示外の複数の給湯栓を有する施設において、どの給湯栓からでもすぐに給湯可能なように、温水を循環させる循環通路32が敷設されている。この循環通路32に温水を供給する給湯装置31a~31dには、小流量の給湯から大流量の給湯まで対応可能であること、故障により給湯できない事態が発生しないことが要求されるので、複数の給湯装置31a~31dを有する連結式給湯システム30が循環通路32に接続されている。給湯栓32a~32cから給湯された場合には、矢印Wで示すように上水が循環通路32に供給される。
【0023】
システムコントローラ34には、各種設定等を行うための操作端末35と通信装置36が通信可能に接続され、システムコントローラ34が通信装置36を介して外部通信網37(例えばインターネット)に接続されている。外部通信網37には、例えば連結式給湯システム30から受信する情報に基づいて保守サービスの提供を管理する管理サーバ38が接続されている。管理サーバ38は、発生した不具合に迅速に対応可能なように、また発生する不具合を未然に防止可能なように、連結式給湯システム30の保守サービス提供者、製造者によって提供されたものである。
【0024】
次に、前記循環ポンプ1a,1bを有する循環ポンプユニット3について説明する。
循環ポンプ1a,1bはメカニカルシール式のポンプである。
図2図3に示すように、循環ポンプユニット3は、直方体形状のケーシングを構成するフレーム5を有し、このフレーム5に図示外のパネルが天面及び前後左右の4つの側面に装着される。ケーシング内には、湯水を循環させる循環ポンプ1a,1bと、循環ポンプ1a,1bの吸込側に接続された吸込分配管6a,6bと、循環ポンプ1a,1bの吐出側に接続された吐出分配管7a,7bが固定されている。尚、矢印F,L,Uは循環ポンプユニット3の前方,左方,上方を夫々示している。
【0025】
循環ポンプ1a,1bの下方には、加熱された湯水の体積膨張を吸収するための2つの膨張タンク8,9が配設されている。膨張タンク8,9の側方には、循環ポンプ1a,1bの駆動を制御する制御基板が被水しないように保護する制御ボックス10が配設されている。また、外部に排水するための排水部11が配設され、排水部11は施設の排水管等に接続されている。
【0026】
2つの循環ポンプ1a,1bは、これら循環ポンプ1a,1bからの漏水を受けるトレイ状の漏水パン12に載置されて固定されている。漏水パン12は、フレーム5の中段部に例えばビス等により締結固定されている。循環ポンプユニット3は、湯水を常時又は所定の周期で間欠的に循環させるように駆動される。このとき2つの循環ポンプ1a,1bは同時には駆動されず、例えば所定時間毎に循環ポンプ1aと循環ポンプ1bを交互に駆動させて、累積運転時間が一定時間となるまでの耐用期間を長くしている。
【0027】
循環ポンプユニット3外から吸込配管6に湯水が供給される。この吸込配管6は2つの吸込側分配管6a,6bに分岐され、これら吸込側分配管6a,6bが対応する循環ポンプ1a,1bの吸込側に夫々接続され、吸込側分配管6a,6bが前記の切替弁33に接続されている。2つの循環ポンプ1a,1bの吐出側には、吐出側配管7a,7bが夫々接続されている。
【0028】
図1図2に示すように、吐出側配管7a,7bは逆止弁14a,14bを夫々有し、一方の循環ポンプの駆動により圧送される湯水が他方の停止している循環ポンプ側に流入して吸込配管6側に逆流することを防いでいる。
【0029】
図3図5に示すように、漏水パン12は、例えば矩形状の金属製の板材によって浅いトレイ状に形成されている。この漏水パン12を下側から支える支持フレーム18が漏水パン12の長辺方向に平行に取り付けられ、支持フレーム18の両端部が循環ポンプユニット3のフレーム5にビス等によって締結固定される。漏水パン12の長辺方向に並ぶように2つの循環ポンプ1a,1bが漏水パン12に載置される。
【0030】
2つの循環ポンプ1a,1bの間で漏水パン12の中央部分には、下方に凹ませた集水部19を有し、循環ポンプ1a,1bからの漏水が集水部19に集められる。集水部19の中央部分には円形の開口部が設けられている。循環ポンプ1a,1bの漏水が漏水パン12の外に飛び散らないように、循環ポンプ1a,1bの下部側面を集水部19側以外の3方から覆うスプラッシュガード20a,20bが設けられている。
【0031】
漏水パン12の下方には、漏水パン12が受けた漏水を貯留する貯留タンク21が配設されている。図5に示すように、貯留タンク21は、上部に筒状の漏水導入口21aを有し、下部には排水口21bを有する。集水部19の中央部分の開口部には、上部がフランジ状に形成された筒状ブラケット22が上方から装着されている。
【0032】
筒状ブラケット22の内周には内ネジが形成され、貯留タンク21の筒状の漏水導入口21aの外周に外ネジが形成されている。筒状ブラケット22を漏水導入口21aに螺合させることにより、貯留タンク21が漏水パン12に固定される。漏水は、筒状ブラケット22の内側を通って漏水導入口21aから貯留タンク21内に流れ込む。漏水導入口21aには、漏水以外の異物を捕集するためのフィルタ21cが装着されている。
【0033】
貯留タンク21が漏水パン12に固定された状態で、貯留タンク21の底部21dは排水口21bに向かって下がるように傾斜している。排水口21bの上方には、貯留された漏水の所定水位を検知するフロートスイッチ21e(水位検知手段)が配設されている。
このフロートスイッチ21eは、制御ボックス10内の制御基板に接続され、この制御基板は、システムコントローラ34に接続されている。
【0034】
フロートスイッチ21eは、貯留された漏水の水位に応じて移動するフロート21fを有し、貯留タンク21内の水位が例えば貯留タンク21の高さの半分の所定水位以上になるとON状態になり、漏水発生を報知するように構成されている。尚、漏水発生の報知は図示外のランプの発光等によって行われ、所定の解除操作が行われるまでは、フロートスイッチ21eがOFFになっても報知の状態が継続される。
【0035】
図4に示すように、排水口21bには、貯留タンク21内の漏水を排水部11に排出するための排水ホース24が接続されている。排水ホース24は、可撓性を有する合成樹脂材料で形成されて容易に曲げることができ、曲げた状態でも内部通路が潰れず閉塞しない。
【0036】
一端が排水口21bに接続された排水ホース24は、他端が排水部11に接続された排水ホッパ11bまで延びて留め具11aにより固定されている。排水ホース24の途中部24aは、所定水位よりも高い位置に持ち上げられた状態で、防水パン12の支持フレーム18に留め具25(固定手段)によって固定されている。
【0037】
排水ホース24の途中部24aが所定水位よりも高い位置にあるので、貯留タンク21には漏水を所定水位以上まで(貯留タンク21の頂部まで)貯留することができる。貯留タンク21の水位が排水ホース24の途中部24aの高さに到達すると、サイホン現象によって下方の排水部11に排水され、貯留タンク21がほぼ空の状態になる。
【0038】
図6に示すように、留め具25は、例えば排水ホース24の途中部24aを吊り上げるように折り曲げられた帯状のナイロンクランプの両端部が重ねられて、ビス25a等により支持フレーム18に締結固定される着脱可能なものである。これ以外にも、排水ホース24の途中部24aを支持フレーム18に着脱可能に固定する種々の留め具を用いることができる。
【0039】
ここで、この循環ポンプユニット3においては、前記フロートスイッチ21e(水位検知手段)が前記所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間を計測、記憶し、その継続時間の経年的な変化に基づいて循環ポンプ のシール部の劣化度合いを判定するように構成されている。
【0040】
図7に示すように、フロートスイッチ21eは、貯留タンク21内の水位が所定水位になるとONになり、その検出信号が制御ボックス10内の制御基板に送られ、その制御基板からシステムコントローラ34へ送信されて、ランプの発光等により報知されるとともに、システムコントローラ34の表示部にフロートスイッチ21eのONが報知される。
【0041】
フロートスイッチ21eがONしてからも漏水が貯留タンク21に貯留されていく。貯留タンク21内の漏水の水位が次第に上昇していき、排水ホース24の途中部24aの高さに達すると、排水ホース24を介してサイホン現象による排水動作が開始される。その後排水が進行していき、漏水の水位が所定水位以下になると、フロートスイッチ21eがOFFとなり、その検出信号がシステムコントローラ34へ送信され、上記のOFF後も排水が進行していき、貯留タンク21内がほぼ空の状態になると排水動作が終了する。
【0042】
システムコントローラ34は、フロートスイッチ21eのONからOFFまでの継続時間(所定水位以上の水位の継続時間)を計時し、OFFになった時点でその今回の継続時間のデータを外部通信網37を介して管理サーバ38へ送信する。
管理サーバ38は、上記の継続時間のデータをメモリに記憶していき、定期的(例えば、毎日零時)に、最新の継続時間のデータを、予め設定して格納されている劣化度合い判定基準に適用して循環ポンプ1a,1bのシール部の劣化度合いを判定する。尚、劣化度合い判定プログラムは予め管理サーバに格納されている。
【0043】
即ち、循環ポンプ1a,1bのシール部の劣化度合いが進行する程、漏水量が増加するため上記の継続時間が短くなる。これに鑑み、劣化度合い判定基準は、継続時間をパラメータとして、例えば、劣化レベルA(例えば、残り寿命12ケ月),劣化レベルB(例えば、残り寿命6ケ月),劣化レベルC(例えば、残り寿命3ケ月)のように設定されている。
また、上記のように判定した劣化レベルがシステムコントローラ34へ送信されて表示されるように構成してもよい。
【0044】
以上説明した循環ポンプユニット3の作用、効果について説明する。
貯留タンク21に設けた水位検知手段(フロートスイッチ21e)と排水ホース24を含むサイホン式の排水手段を有効利用して、貯留タンク21内の漏水について水位検知手段が所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間を計測して記憶し、その継続時間の経年的な変化に基づいて、循環ポンプ1a,1bのシール部の劣化度合いを判定する。
【0045】
このように、水位検知手段と、サイホン式の排水手段とを有効活用して簡単な構成により循環ポンプ1a,1bのシール部の劣化度合いを精度よく判定することできる。
水位検知手段が所定水位を検知してからその所定水位以上の水位の継続時間を計測、記憶し、その継続時間データを管理サーバ38に記憶することで、管理サーバ38において、複数箇所に設置した複数の循環ポンプユニット3の循環ポンプ1a,1bのシール部の劣化度合いを判定することができる。
【0046】
前記実施形態を変更する例について説明する。
1)フロートスイッチ21eがONになった時点で、前回の継続時間のデータを管理サーバ38に送信するように構成してもよい。
2)水位検知手段は、フロートスイッチ21e以外、例えば、電極式や超音波式の構成のものであってもよい。
3)その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0047】
1a,1b 循環ポンプ
3 循環ポンプユニット
6a,6b 吸込分配管
7a,7b 吐出分配管
11 排水部
12 漏水パン
21 貯留タンク
21e フロートスイッチ(水位検知手段)
24 排水ホース
24a 途中部
38 管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7