(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043335
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】空調用フレキシブルダクト及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
F24F13/02 H
F24F13/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150891
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】村田 孝友
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 究
(72)【発明者】
【氏名】岡本 衛
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AB07
3L080AD02
3L080AE01
(57)【要約】
【課題】空調用フレキシブルダクトの曲げ部分における内面材に大きなヒダが出来るのを簡易かつ安価な手段で確実に抑制し、圧力損失を低減する。
【解決手段】芯材11を螺旋状に巻回するとともに、不織布又は樹脂フィルムの帯材15を螺旋状に巻いて芯材11のピッチ間に張り渡して螺旋筒状の内面材12を成形する。内面材12の外周を軟質断熱層13にて被覆することによって、空調用フレキシブルダクト1を製造する。前記被覆工程の前に、帯材15の幅方向の中間部に一定幅W
16のホットメルト接着剤16aを塗布することによって螺旋帯状のホットメルト接着剤層16を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋線状の芯材と、螺旋状に巻かれて前記芯材のピッチ間に張られた不織布又は樹脂フィルムの帯材からなる螺旋筒状の内面材と、前記芯材及び内面材の外周を覆う軟質断熱層とを備え、前記帯材の幅方向の中間部には螺旋帯状のホットメルト接着剤層が被膜されていることを特徴とする空調用フレキシブルダクト。
【請求項2】
前記ホットメルト接着剤層の幅が、前記帯材の有効幅の50%~90%であることを特徴とする請求項1に記載の空調用フレキシブルダクト。
【請求項3】
芯材を螺旋状に巻回するとともに、不織布又は樹脂フィルムの帯材を螺旋状に巻いて前記芯材のピッチ間に張り渡して螺旋筒状の内面材を成形する工程と、前記内面材の外周を軟質断熱層にて被覆する工程とを備えた空調用フレキシブルダクトの製造方法において、
前記被覆工程の前に、前記帯材の幅方向の中間部に一定幅のホットメルト接着剤を塗布することによって螺旋帯状のホットメルト接着剤層を形成することを特徴とする空調用フレキシブルダクトの製造方法。
【請求項4】
前記成形工程前に、前記塗布工程を行なうことを特徴とする請求項3に記載の空調用フレキシブルダクトの製造方法。
【請求項5】
前記成形工程後に、前記塗布工程を行なうことを特徴とする請求項3に記載の空調用フレキシブルダクトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に建物に設置される空調設備に関し、特に、曲げ変形自在なフレキシブルダクト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オフィスビルや戸建て住宅等の建物には冷暖房や換気等を行なう空調設備が設けられている。空調設備は、空気を通すダクトを備えている。この種のダクトとして、柔軟で曲げ変形自在な空調用フレキシブルダクトが知られている(特許文献1、2等参照)。例えば、特許文献1、2の空調用フレキシブルダクトは、螺旋線状の金属製の芯材によって筒形状に保形された内面材の外周に、軟質の断熱層が被せられている。内面材は、不織布又は樹脂フィルムの帯材によって構成されており、該帯材が螺旋状に巻かれて、芯材のピッチ間に張り渡されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-183865号公報
【特許文献2】特開2015-183975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の空調用フレキシブルダクトは、例えば建物の天井裏に配管される。一方、天井裏の構造や空調設備の配置等によっては、空調用フレキシブルダクトの一部を曲げる必要がある。曲げた部分の特に内まわり側部では、軟質断熱層がダクト軸方向へ圧縮されて、ダクト径方向の内周側へ膨らみ、これに倣って、内面材が、ダクト軸方向へ弛み、ダクト径方向の内周側へ向かって山折りされて、大きなヒダとなる。このため、ダクト内の空気の流れが、内まわり側部の内周付近で乱流になり、圧力損失が生じやすい。ヒダを抑えるため、内面材に粘着テープを貼り付けることも考えられるが、粘着テープの自動貼り付け手段は複雑なメカニカル機構になることが予想され、設備コストが増大する。一方、手作業で貼り付けるのは、時間がかかるうえに、作業者の習熟度によって品質にばらつきが生じやすい。
本発明は、かかる事情に鑑み、空調用フレキシブルダクトの曲げ部分における内面材に大きなヒダが出来るのを簡易かつ安価な手段で確実に抑制し、圧力損失を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る空調用フレキシブルダクトは、螺旋線状の芯材と、螺旋状に巻かれて前記芯材のピッチ間に張られた不織布又は樹脂フィルムの帯材からなる螺旋筒状の内面材と、前記芯材及び内面材の外周を覆う軟質断熱層とを備え、前記帯材の幅方向の中間部には螺旋帯状のホットメルト接着剤層が被膜されていることを特徴とする。
【0006】
当該空調用フレキシブルダクトによれば、ホットメルト接着剤層によって、内面材を構成する帯材の幅方向の中間部が幅方向の端部よりも硬くなる。このため、空調用フレキシブルダクトが曲げられた部分の内まわり側部では、軟質断熱層がダクト径方向の内周側へ膨らもうとするのを、内面材によって押さえ付けるとともに、内面材が大きなヒダになるのを抑制でき、内まわり側部の内周面を比較的なだらかにすることができる。この結果、ダクト内の空気の流れが、内まわり側部の付近で乱流になるのを抑制でき、圧力損失を低減できる。
空調用フレキシブルダクトの製造装置においては、好ましくは、成形前の帯材を送るライン上、ないしは螺旋筒状に成形後の内面材上にホットメルト接着剤の塗布ノズルを設ける。複雑なメカニカル機構にする必要はなく、設備コストの増大を抑制できる。手作業で塗布する場合でも、品質のばらつきが生じにくい。また、ホットメルト接着剤の塗布量やノズル幅等の設定によって、ホットメルト接着剤層の厚み及び幅の調整が容易である。
好ましくは、ホットメルト接着剤は速乾性を有している。これによって、空調用フレキシブルダクトの製造に際して、ホットメルト接着剤の塗布後、速やかに次工程に移ることができる。ホットメルト接着剤によって、余計な箇所が接着されるおそれを回避できる。例えば、帯状の不織布又は樹脂フィルムの異なる箇所どうしがくっ付いたり、内面材と軟質断熱層とがくっ付いたりするのを防止できる。
好ましくは、ホットメルト接着剤層は弾力性を有している。これによって、空調用フレキシブルダクトのフレキシブル性を確保できる。
【0007】
前記ホットメルト接着剤層の幅が、前記帯材の有効幅の好ましくは50%~90%、より好ましくは60%~80%である。これによって、曲がり部分の内まわり側部における軟質断熱層がダクト径方向の内周側へ膨らむのを確実に抑えることができ、圧力損失を確実に低減できる。
前記帯材の有効幅は、前記帯材の全幅から両側の止着幅(カシメ代)を差し引いた幅寸法を言う。
【0008】
本発明に係る空調用フレキシブルダクトの製造方法は、芯材を螺旋状に巻回するとともに、不織布又は樹脂フィルムの帯材を螺旋状に巻いて前記芯材のピッチ間に張り渡して螺旋筒状の内面材を成形する工程と、前記内面材の外周を軟質断熱層にて被覆する工程とを備えた空調用フレキシブルダクトの製造方法において、
前記被覆工程の前に、前記帯材の幅方向の中間部に一定幅のホットメルト接着剤を塗布することによって螺旋帯状のホットメルト接着剤層を形成することを特徴とする。
前記成形工程前に、前記塗布工程を行なってもよく、前記成形工程後に、前記塗布工程を行なってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空調用フレキシブルダクトの曲げ部分における内面材に大きなヒダが出来るのを簡易かつ安価な手段で確実に抑制することができ、曲げ部分における圧力損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る空調用フレキシブルダクトを、一部を曲げて配管した状態で示す側面断面図である。
【
図4】
図4は、前記空調用フレキシブルダクトの製造工程の一部分を示す解説正面図である。
【
図5】
図5は、前記製造工程の一部分を示す解説平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態を示し、空調用フレキシブルダクトの製造工程の一部分の解説平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図5)>
図1は、オフィスビル、工場、戸建て住宅、集合住宅等の建物の空調設備の配管として用いられる空調用フレキシブルダクト1を示したものである。空調用フレキシブルダクト1は、軽量かつ柔軟な空調用配管であり、図示しない冷暖房機や換気装置から空調エリアへ延びている。空調用フレキシブルダクト1は、芯材11と、内面材12と、軟質断熱層13と、表面シート14とを備えている。
【0012】
芯材11は、鋼、鉄等の金属からなる細い板材にて構成され、螺旋線状になっている。
図2に示すように、芯材11の断面形状は内面材12を止着するためにC字断面に成形されている。
【0013】
図1に示すように、内面材12は、螺旋状に巻かれた帯材15によって構成され、螺旋筒状に形成されている。帯材15の材質は、不織布であるが、これに限らず、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムであってもよい。該帯材15が、螺旋状に巻かれて、芯材11のピッチ間に張り渡されている。
図2に示すように、螺旋状に巻かれた帯材15の互いに1ピッチずれて隣接する端縁15e,15fどうしが芯材11によってカシメられて止着されている。芯材11によって、帯材15ひいては内面材12が螺旋筒形状に保形されている。
図1及び
図5に示すように、帯材15における芯材11のピッチ間に現れた部分15aの幅W
15aは、帯材15の全幅W
15から両側の端縁15e,15fの幅W
15e,W
15fすなわち止着幅(カシメ代)を差し引いた大きさになっている(W
15a=W
15-(W
15e+W
15f))。帯材15における芯材11のピッチ間に現れた部分15aの幅W
15aが、帯材15の有効幅である。
【0014】
図1に示すように、内面材12を構成する帯材15には、ホットメルト接着剤層16が被膜されている。ホットメルト接着剤層16は、帯材15の好ましくは外周側面の幅方向の中間部に配置されており、帯材15及び芯材11と並行して螺旋状に延び、一定幅の螺旋帯状に形成されている。
【0015】
図1に示すように、ホットメルト接着剤層16の幅W
16は、帯材15の有効幅W
15aの好ましくは50%~90%である(W
15a×0.5≦W
16≦W
15a×0.9)。
図2に示すように、ホットメルト接着剤層16の厚みt
16は、好ましくはt
16=1μm~1mm程度である。
【0016】
ホットメルト接着剤層16を構成するホットメルト接着剤16aの含有成分としては、例えばスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
ホットメルト接着剤16aは、加熱によって溶融されて流動化され、冷却、放熱によって硬化される。
好ましくは、ホットメルト接着剤16aは、加熱溶融状態で塗布後、常温下で数秒~数十秒で硬化する速乾性を有している。
ホットメルト接着剤16aが硬化してなるホットメルト接着剤層16は、好ましくは弾力性を有している。
【0017】
帯材15の幅方向の両端部は、ホットメルト接着剤層16が被膜されていない非被膜部17となっている。非被膜部17が芯材11とホットメルト接着剤層16との間に介在されている。
【0018】
図1に示すように、芯材11及び内面材12の外周が、厚肉筒状の軟質断熱層13によって覆われている。軟質断熱層13は、例えばグラスウール等の軟質の断熱材によって構成されている。軟質断熱層13は、内面材12の外周面のホットメルト接着剤層16にも被さっている。言い換えると、軟質断熱層13と内面材12との間に、ホットメルト接着剤層16が介在されている。ただし、軟質断熱層13とホットメルト接着剤層16とは、単に接しているだけで接着されてはいない。すなわち、軟質断熱層13と内面材12とは、ホットメルト接着剤層16によっては接着されていない。
【0019】
軟質断熱層13の外周は薄肉筒状の表面シート14によって覆われている。表面シート14は、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂層を含み、更にアルミニウム等の金属層を含んでいてもよい。
【0020】
空調用フレキシブルダクト1は、次のように製造される。
<自動成形機20>
図4及び
図5に示すように、芯材11及び内面材12の成形は、専用の自動成形機20によって自動的に行なわれる。矢印線aに示すように、芯材11がライン21に沿って成形部23へ送られ、矢印線bに示すように、帯材15がライン22に沿って成形部23へ送られる。
【0021】
<ホットメルト接着剤塗布ライン30>
成形部23よりも前段(
図4において左側)の帯材ライン22には、ホットメルト接着剤塗布ライン30が接続されている。塗布ライン30は、ホットメルト接着剤16aの供給源31と、塗布ノズル33を含む。塗布ノズル33は、ライン22上の帯材15の外周側面(
図4において上面)と対面している。好ましくは、塗布ノズル33は、非接触式ノズルである。塗布ノズル33の先端(
図4において下端)は、帯材15から少し離れて配置されている。非接触式の塗布ノズル33は、エアの勢いで溶融ホットメルト接着剤16aを吐出する。なお、塗布ノズルとして、帯材15と接触して溶融ホットメルト接着剤16aを塗布する接触式ノズルを用いてもよい。
【0022】
塗布ノズル33の先端には、スロット状の吐出口34が設けられている。吐出口34の長手方向は、ライン22上の帯材15の幅方向へ向けられている。なお、塗布ノズル33の先端の吐出口は、スロット状に代えて、前記帯材15の幅方向に並んだ複数のスポット状の吐出口であってもよい。
【0023】
<塗布工程>
供給源31において加熱溶融されたホットメルト接着剤16aが、塗布ノズル33へ供給される。該ホットメルト接着剤16aが、塗布ノズル33の吐出口34から吐出されて、帯材15の外周側面の幅方向の中間部に幅広に塗布される。すなわち、後記被覆工程の前、さらには成形工程の前に塗布工程が実行される。
ホットメルト接着剤16aは、速乾性であるから、帯材15の表面上において極めて短時間で硬化して、ホットメルト接着剤層16となる。したがって、次工程へ速やかに移行できる。
塗布ノズル33を含むホットメルト接着剤塗布ライン30は、構造が簡易であり、設備コストの増大を抑制できる。
塗布ノズル33の吐出口34のスロット長さの設定によって、ホットメルト接着剤層16の幅W16を調整できる。
ホットメルト接着剤16aの塗布流量及び帯材15の送り速度によって、ホットメルト接着剤層16の厚みt16を調整できる。
なお、ホットメルト接着剤16aの硬化を促進するために、帯材ライン22における塗布ノズル33の後段に空冷ファン等の冷却部を設けてもよい。
【0024】
<成形工程>
ホットメルト接着剤層16が形成された帯材15が、成形部23へ導入される。別途、芯材11が成形部23へ導入される。
成形部23において、芯材11が螺旋状に巻回されるとともに、帯材15が螺旋状に巻かれて芯材11のピッチ間に張り渡されて、螺旋筒状の内面材12に成形される。矢印線cに示すように、成形された内面材12は軸回転されながら、後段(
図5において右側)へ順次送られる。
【0025】
さらに詳しくは、成形部23において、帯材15の成形部導入部分と、既に螺旋筒状に成形された部分との互いに隣接する端縁15f,15eどうしが重ね合わされるとともに、芯材11が、前記重ね合わされた端縁どうし15f,15eを包み込むように断面C字状にカシメられる。これによって、前記重ね合わされた端縁15f,15eどうしが止着される。詳細な図示は省略するが、前記止着操作を容易化するために、帯材15を一時的に幅方向に丸くループ状に曲げたり、幅方向に二つ折りにしたりしても(特許文献2参照)、速乾性のホットメルト接着剤16aは既に硬化しているから、帯材15の幅方向の両側部分どうしがホットメルト接着剤16aによって接着されることはない。
【0026】
<被覆工程>
このようにして成形された内面材12の外周面に、表面シート14付き軟質断熱材13を被覆する。ホットメルト接着剤16aは既に硬化しているから、軟質断熱層13と内面材12とがホットメルト接着剤16aによって接着されることはない。
【0027】
<配管施工>
図1に示すように、作製された空調用フレキシブルダクト1を建物の天井裏などに配管する。場所によっては、空調用フレキシブルダクト1が曲げられる。ホットメルト接着剤層16は弾力性を有しているから、空調用フレキシブルダクト1のフレキシブル性が損なわれることはない。
【0028】
空調用フレキシブルダクト1の曲げ部分10の外まわり側部10aの内面材12及び軟質断熱材13は張った状態になり、内まわり側部10bの内面材12及び軟質断熱材13はダクト軸方向へ弛んだ状態ないしは圧縮された状態になる。具体的には、
図3に示すように、内まわり側部10bの軟質断熱層13はダクト軸方向へ圧縮されて、芯材11のピッチ間における断熱層部分13bが、
図3の二点鎖線にて示すように、ダクト径方向の内周側へ膨らもうとする。
【0029】
これに対し、内まわり側部10bの内面材12は、帯材15の幅方向の両端部の非被覆部17がコシが無く容易に断面変形される一方で、帯材15の幅方向の中間部は、ホットメルト接着剤層16によってコシが付与されて断面変形を抑えられる。このため、
図3の実線にて示すように、芯材11のピッチ間における帯材15の断面形状が概略コ字状ないしはU字状になり、該帯材15の幅方向の中間部が比較的平坦になる。これによって、軟質断熱層13が内周側へ膨らもうとするのを押さえ付けることができる。
【0030】
したがって、内まわり側部10bにおける内面材12に大きなヒダが出来るのを簡易かつ安価な手段で確実に抑制でき、内まわり側部10bの内周面を比較的なだらかに保持できる。
ホットメルト接着剤層16の幅W16が、帯材15の有効幅W15aの50%~90%であることによって、内まわり側部10bにおける軟質断熱層13がダクト径方向の内周側へ膨らむのを確実に抑えることができ、内まわり側部10bの内周面を確実になだらかに保持できる。
この結果、ダクト内の空気の流れが、内まわり側部10b付近で乱流になるのを抑制でき、圧力損失を低減できる。発明者等の実験によれば、ホットメルト接着剤層16を設けることによって、設けなかった場合よりも、90°曲げ部における圧力損失が約30%~37%低減されることが確認された。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図6)>
図6に示すように、本発明の第2実施形態に係る自動成形機20Bにおいては、塗布ノズル33が成形部23より後段(
図4において右側)における内面材12の外周上に配置されている。塗布ノズル33は、芯材11のピッチ間における帯材15の幅方向の中間部と対面している。塗布ノズル33のスロット状の吐出口34の長手方向は、内面材12を構成する帯材15の幅方向ないしはダクト軸方向へ向けられている。
【0032】
第2実施形態においては、成形工程後かつ被覆工程の前に、塗布工程を行なう。すなわち、帯材15が成形部23によって螺旋筒状の内面材12に成形された後、該内面材12における帯材15の幅方向の中間部に一定幅のホットメルト接着剤16aを塗布する。これによって、螺旋帯状のホットメルト接着剤層16が形成される。
このようにして成形された螺旋筒状の内面材12の外周に、表面シート14付き軟質断熱材13を被覆する。
【0033】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、ホットメルト接着剤16aの塗布工程を作業者の手作業で行ってもよい。その場合でも、作業者の習熟度による品質のばらつきが生じにくい。
ホットメルト接着剤層16が帯材15の内周側面すなわち内面材12の内周面に被膜されていてもよい。
空調用フレキシブルダクトは、空調空気通路を画成する内面材12、及び該内面材12を螺旋筒形状に保形する芯材11を有していればよく、軟質断熱層は必ずしも有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えば建物の空調設備に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
W15a 帯材の有効幅
W16 ホットメルト接着剤層の幅
1 空調用フレキシブルダクト
10 曲げ部分
10a 外まわり部分
10b 内まわり側部
11 芯材
12 内面材
13 軟質断熱層
14 表面シート
15 帯材
16 ホットメルト接着剤層
16a ホットメルト接着剤
17 非被膜部
20,20B 自動成形機
21 芯材ライン
22 帯材ライン
23 成形部
30 ホットメルト接着剤塗布ライン
31 供給源
33 塗布ノズル
34 吐出口