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特開2023-43346プログラム、情報処理システム、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043346
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理システム、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230322BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20230322BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G06F3/12 342
B41J3/36 Z
B41J29/38 401
G06F3/12 306
G06F3/12 351
G06F3/12 378
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150907
(22)【出願日】2021-09-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年6月8日にサトーホールディングス株式会社のウェブサイトにて公開(http://www.sato.co.jp/support/printer/fx3-lx/#anc_04)
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】吉田 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】中西 有香
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC03
2C055CC05
2C061AP01
2C061AP05
2C061AS06
2C061HJ06
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HN05
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】ラベルなどの印字媒体に対する印字するレイアウトを設計する際に、レイアウト上に印字すべき文字列の長さに応じて最適化されるレイアウトを容易に設計できるようにする。
【解決手段】本発明のある態様は、プリンタによって印字される描画データの基礎となる印字レイアウトを表示装置に表示させる表示手段と、表示装置に表示された印字レイアウト上に複数のオブジェクトを配置するオブジェクト配置手段と、複数のオブジェクトのうちユーザに選択されたオブジェクトを、印字レイアウトの縦方向においてオブジェクトの高さが可変となる可変長オブジェクトに設定するオブジェクト設定手段と、をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタによって印字される描画データの基礎となる印字レイアウトを表示装置に表示させる表示手段と、
前記表示装置に表示された前記印字レイアウト上に複数のオブジェクトを配置するオブジェクト配置手段と、
前記複数のオブジェクトのうちユーザに選択されたオブジェクトを、前記印字レイアウトの縦方向においてオブジェクトの高さが可変となる可変長オブジェクトに設定するオブジェクト設定手段と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項2】
前記複数のオブジェクトのうちユーザに選択された選択オブジェクトを対象として、前記複数のオブジェクトのうち前記選択オブジェクト以外のオブジェクトの中から決定された基準オブジェクトに対する前記縦方向の相対位置を決定するオブジェクト位置決定手段をコンピュータに実現させる、
請求項1に記載されたプログラム。
【請求項3】
前記オブジェクト位置決定手段は、前記基準オブジェクトの基準位置と前記選択オブジェクトの基準位置との前記縦方向の距離がユーザによって設定された値となるように、前記選択オブジェクトを前記縦方向に移動させる、
請求項2に記載されたプログラム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記基準オブジェクトの基準位置と前記選択オブジェクトの基準位置との前記縦方向の相対位置を示す指標を前記印字レイアウトに含ませる、
請求項2又は3に記載されたプログラム。
【請求項5】
前記オブジェクト位置決定手段は、前記複数のオブジェクトからユーザに一括して選択された2以上の選択オブジェクトを対象として、前記基準オブジェクトに対する前記縦方向の相対位置を決定する、
請求項2から4のいずれか一項に記載されたプログラム。
【請求項6】
前記オブジェクト設定手段は、前記複数のオブジェクトのうちユーザに選択されたオブジェクトが文字列を含む文字列オブジェクトである場合、前記文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定することを指示するための操作対象を前記表示装置に表示させ、前記操作対象に対するユーザの操作に応じて前記文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載されたプログラム。
【請求項7】
前記オブジェクト設定手段は、前記可変長オブジェクトに含まれる文字列の前記縦方向の最小行数を設定することを含む、
請求項6に記載されたプログラム。
【請求項8】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能なプリンタと、を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
表示部と、
前記プリンタによって印字される描画データの基礎となる印字レイアウトを編集するためのユーザインタフェースを提供するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
前記印字レイアウトを前記表示部に表示させるとともに、前記表示部に表示された前記印字レイアウト上に複数のオブジェクトを配置し、
前記複数のオブジェクトのうちユーザに選択されたオブジェクトを、前記印字レイアウトの縦方向においてオブジェクトの高さが可変となる可変長オブジェクトに設定し、
前記プリンタは、
前記情報処理装置から前記印字レイアウト及び前記複数のオブジェクトに関するデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記印字レイアウト及び前記複数のオブジェクトを基に前記描画データを生成するデータ生成部を有する、
情報処理システム。
【請求項9】
表示部を備えた情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
プリンタによって印字される描画データの基礎となる印字レイアウトを前記表示部に表示させるステップと、
前記表示部に表示された前記印字レイアウト上に複数のオブジェクトを配置するステップと、
前記複数のオブジェクトのうちユーザに選択されたオブジェクトを、前記印字レイアウトの縦方向においてオブジェクトの長さが可変となる可変長オブジェクトに設定するステップと、を含む、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理システム、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ラベルなどの印字媒体を効率的に使用するために印字媒体の余白部分を無くすようにして描画データを作成することが知られている。
例えば特許文献1では、複数の項目の各々に対応するオブジェクトを取得する取得手段と、複数の項目の各々に対応するオブジェクトを含む複数のオブジェクト領域を、一方向に積み重ねて配置する配置手段と、配置手段によって配置された複数のオブジェクト領域に基づいて、描画データを作成する作成手段と、を備えたプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-6510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、小売店等において販売対象となる食品等に貼付されるラベルのレイアウトファイルは、コンピュータ装置などの情報処理装置によって作成され、小売店等の現場に配置されているプリンタに提供される。このようなレイアウトファイルは商品ごとに適宜デザインされる。同一デザインのラベルであっても商品によって特定の項目(例えば原材料等)のオブジェクト内の文字列の量が異なるため、文字列が少ない商品に対するラベルに余白を生じさせないようなレイアウトファイルの作成が望まれる。さらに、レイアウトファイルの作成者がラベルレイアウトのデザインを行う際に、文字列の量に応じて印字媒体の縦方向の長さが可変となるオブジェクト(可変長オブジェクト)を容易に設定可能とすることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、ラベルなどの印字媒体に対する印字するレイアウトを設計する際に、レイアウト上に印字すべき文字列の長さに応じて最適化されるレイアウトを容易に設計できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、
プリンタによって印字される描画データの基礎となる印字レイアウトを表示装置に表示させる表示手段と、
前記表示装置に表示された前記印字レイアウト上に複数のオブジェクトを配置するオブジェクト配置手段と、
前記複数のオブジェクトのうちユーザに選択されたオブジェクトを、前記印字レイアウトの縦方向においてオブジェクトの高さが可変となる可変長オブジェクトに設定するオブジェクト設定手段と、
をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、ラベルなどの印字媒体に対する印字するレイアウトを設計する際に、レイアウト上に印字すべき文字列の長さに応じて最適化されるレイアウトを容易に設計できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る情報処理システムのシステム構成図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置のプロジェクトファイル作成画面の一例を示す図である。
図3】印字レイアウトの構成例を説明する図である。
図4】呼出しテーブルを表示する手順を示す図である。
図5】作業対象の印字レイアウトに対して可変長対応の用紙に設定するときの操作手順を示す図である。
図6】選択された文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定するときの操作手順を示す図である。
図7】選択された罫線オブジェクトに対して基礎となるオブジェクトに対する相対位置を設定する操作手順を示す図である。
図8】基礎オブジェクトに対する相対位置が異なる罫線オブジェクトの表示例を示す図である。
図9】選択された文字列オブジェクトに対して基礎となるオブジェクトに対する相対位置を一括して設定する操作手順を示す図である。
図10図10Aは、第1例に係る印字レイアウトにおいて余白を詰めた場合と詰めていない場合のラベルの印字例を示し、図10Bは、第2例に係る印字レイアウトにおいて余白を詰めた場合と詰めていない場合のラベルの印字例を示し、図10Cは、第2例に係る印字レイアウトにおいて特定のオブジェクト内において異なる文字列の長さに応じたラベルの印字例を示す。
図11】オブジェクトテーブルのデータ構成例を示す図である。
図12】実施形態に係る情報処理システムの各装置のブロック図である。
図13】可変長設定処理を示すフローチャートである。
図14】縦位置の相対設定処理を示すフローチャートである。
図15】オブジェクト配置処理を示すフローチャートである。
図16図16A及び図16Bは、枠線オブジェクトに対する縦位置の相対設定及び高さの相対設定を説明する図である。
図17】枠線オブジェクトに文字列オブジェクトが含まれる場合の設定例を説明する図である。
図18】枠線オブジェクトに文字列オブジェクトが含まれる場合の設定例を説明する図である。
図19】第3例に係る印字レイアウトの構成を説明する図である。
図20図20A及び図20Bは、第3例に係る印字レイアウトにおいて特定のオブジェクト内において異なる文字列の長さに応じたラベルの印字例を示す図である。
図21】実施形態に係るプリンタの操作手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において「オブジェクト」とは、例えば、印字媒体の印字有効範囲内の所定領域で規定され、当該所定領域内に印字対象として文字列、コード、及び画像のうち少なくともいずれかを含むものである。ユーザが印字媒体における印字内容を決定するときに、オブジェクトは印字有効範囲内で移動可能であることが好ましい。オブジェクトが印字有効範囲内で移動した場合には、オブジェクトに含まれ得る文字列、コード、又は画像も移動することになる。オブジェクトに含まれる印字対象として、文字列、コード、又は画に限定するものではなく、それに加えて図形、記号若しくはマーク等を含むものであってもよい。
【0010】
以下、本発明の情報処理システムの一実施形態であるラベル発行システム1について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るラベル発行システム1のシステム構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のラベル発行システム1では、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、コンピュータ装置2(情報処理装置の一例)と、1又は複数のプリンタ3-A,3-B,3-C,3-D,3-E,…が、サーバ5に接続されている。以下の説明では、1又は複数のプリンタに対して共通した事項について言及するときには、「プリンタ3」と表記する。
プリンタ3は、商品に貼付するラベル(印字媒体の一例)を発行する。プリンタ3は、例えば、ラベルが貼付される商品を扱う店舗、倉庫や工場等に配置される。プリンタ3は、限定しないが、例えばサーマルプリンタである。
コンピュータ装置2は、プリンタ3によって発行されるラベルの基本的なレイアウトデザインを設計するために設けられる。コンピュータ装置2は、限定しないが、例えばパーソナルコンピュータ機器やタブレット端末等である。
【0012】
コンピュータ装置2には、ラベルのレイアウトデザインについてのデータのほか、ラベルに含まれる各項目のデータ、各種設定の情報等を包含するプロジェクトファイルを作成するラベル作成アプリケーションプログラム(以下、適宜「ラベル作成アプリケーション」という。)がインストールされている。ラベル作成アプリケーションを実行することで作成されたプロジェクトファイルは、プリンタ読み込み用ファイルとしてのフォーマットファイルとして、コンピュータ装置2からプリンタ3にサーバ5を介して配信される。つまり、ユーザの所定の操作に応じてコンピュータ装置2からサーバ5に対してフォーマットファイルがアップロードされ、所定のタイミングでサーバ5からプリンタ3にダウンロードされる。
【0013】
プリンタ3には、フォーマットファイルを基にラベルを発行するラベル発行アプリケーションプログラム(以下、適宜「ラベル発行アプリケーション」という。)がインストールされている。ラベル発行アプリケーションを実行することで、ラベルのレイアウトデザイン、ラベルに含まれる各項目のデータ等を特定する発行データを選択し、あるいは必要に応じて選択した発行データを編集し、発行データを基にラベルを発行することができる。
フォーマットファイル及び発行データについては後述する。
【0014】
次に、図2及び図3を参照して、ユーザがラベル作成アプリケーションを実行してラベルのデザインを作成するときの画面について説明する。
図2は、コンピュータ装置2のプロジェクトファイル作成画面の一例を示す図である。図3は、印字レイアウトの一例を示す図である。
【0015】
図2は、ラベル作成アプリケーションを実行したときにコンピュータ装置2に表示される画面G1(プロジェクトファイル作成画面)の一例である。プロジェクトファイル作成画面において、ラベル作成アプリケーションは、ユーザがラベルレイアウトをデザインするときのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供する。プロジェクトファイル作成画面においてユーザは、ラベルの印字有効範囲に配置すべきオブジェクトを設定することで、プリンタ3によって発行されるラベルをデザインすることができる。
【0016】
ラベル作成アプリケーションでは、プロジェクトファイルによってデータが管理される。プロジェクトファイルは、ラベル作成アプリケーションによって作成されたデータの管理単位を示すファイルであり、プリンタ3にサーバ5を介して配信するために、ラベル作成アプリケーションにより出力されるとプリンタ読み込み用ファイルとしてのフォーマットファイルとなる。
【0017】
図2に示すように、画面G1は、指示ボタン群101、オブジェクトボタン群102、デザインウィンドウ103、プロジェクト設定部104、及び、オブジェクトプロパティ設定部105を含む。
【0018】
指示ボタン群101内のボタン操作を行うことで、プロジェクトファイルをストレージから読み出すこと、プロジェクトファイルをストレージに保存すること、あるいは、フォーマットファイルとして出力しサーバ5にアップロードすること等が可能である。
【0019】
オブジェクトボタン群102は、デザインウィンドウ103上のオブジェクトを選択して移動させる操作、あるいは、オブジェクトを新たに設定する操作を行う部分である。オブジェクトボタン群102では、オブジェクトとして文字列オブジェクト、価格オブジェクト、バーコードオブジェクト、日時オブジェクト、グラフィックオブジェクト等が選択可能である。オブジェクトの各種設定は、オブジェクトプロパティ設定部105において行うことが可能である。
デザインウィンドウ103は、ラベルの作成・編集エリアに相当する。1以上のレイアウトデータのうちユーザに選択されたレイアウトデータに対応する印字レイアウトを画面G1のデザインウィンドウ103に表示させ、表示された印字レイアウト上にオブジェクトを配置・移動する操作を行うことで、ラベルがデザインされる。
プロジェクト設定部104には、プロジェクトファイルに含まれるデータが階層構造で表示される。
【0020】
プロジェクト設定部104において、「呼出しテーブル」は、プリンタ3のラベル発行アプリケーションにおいてラベルを印字するときの基礎となるデータである。
「レイアウト」は、呼出しテーブルと組み合わせてプリンタ3でラベルを発行するためのデザインデータである。プロジェクトファイルには、1以上のレイアウトデータ(図2の例では、3個のレイアウトデータ)が含まれる。
【0021】
図3は、図2のデザインウィンドウ103に表示された第1例の印字レイアウトLT1を拡大して示している。図3に示すように、第1例の印字レイアウトLT1上には、「バーコード」項目に対応するオブジェクトOBJ1、「品名」項目に対応するオブジェクトOBJ2、「消費期限」項目に対応するオブジェクトOBJ4、「金額」項目に対応するオブジェクトOBJ6、「税込」項目に対応するオブジェクトOBJ8、罫線オブジェクトOBJ9、「原材料名」項目に対応するオブジェクトOBJ14、及び、所定の文字列を含むオブジェクトOBJ3,OBJ5,OBJ7,OBJ10~OBJ13が配置されている。
【0022】
図3では、ユーザの選択操作に応じてオブジェクトOBJ14が選択されたときの表示例が示される。デザインウィンドウ103においてオブジェクトが選択されると、選択されたオブジェクトの外枠に複数のサイズ変更ハンドルHd,hdが表示された状態となる。複数のサイズ変更ハンドルのうちハンドルHdは、オブジェクトの基点となる位置を示している。
【0023】
なお、以下では、印字レイアウトにおいて縦方向と横方向を図3に示すように定義して説明する。縦方向では印字レイアウトの上向きと下向きを含む。
【0024】
次に、図4を参照して呼出しテーブルについて説明する。
図4は、コンピュータ装置2において呼出しテーブルを表示する手順を示す図である。呼出しテーブルは、ラベルに印字されるデータの登録を行うためのテーブルである。図4には、例示的な呼出しテーブルTL1が示される。
図4に示すように、プロジェクト設定部104の「呼出しテーブル」を操作する(例えば、ダブルクリックするか、あるいは右クリックして「開く」を選択操作する)ことで呼出しテーブルTL1が表示される。
呼出しテーブルTL1には、呼出しNo.によって特定される1以上のレコードが含まれる。各レコードは、「呼出し名」、「レイアウト指定」、「名称」、「品名」、「原材料名」、「価格」、「バーコード」等の各フィールドの値を有する。「名称」以降の各フィールドは、オブジェクトの項目名に対応する。
【0025】
呼出しテーブルTL1の各レコードは1つのラベルを発行するためのラベルレイアウトと各項目名のデータ(文字列等)を示している。この各レコードのデータを以下では、「発行データ」という。ユーザは、例えば、呼出しテーブルTL1に各項目名に対応する文字列を入力することで、ラベルのレイアウトと各項目名に対応する文字列とを対応付けることができる。なお、呼出しテーブルTL1には複数のレコードを設けなくてもよく、1つのレコード(つまり、1つの発行データ)のみであってもよい。
呼出しテーブルTL1では、呼出しNo.によって発行データが特定される。プリンタ3のラベル発行アプリケーションでは、呼出しNo.によって発行データが呼び出される。
【0026】
呼出しテーブルTL1において「レイアウト指定」フィールドの値は、デザインウィンドウ103(図2参照)で作成された1以上の印字レイアウトのいずれかを示す値である。この例では、「レイアウト指定」フィールドの値は、[1]単品ラベル1、[2]単品ラベル2、及び、[11]詰合せラベルの3つの印字レイアウトが作成済みである場合に、各発行データがこの3つの印字レイアウトのうちいずれの印字レイアウトに対応するかを示している。
【0027】
例えば、図2及び図3の印字レイアウトLT1は、呼出しテーブルTL1の呼出しNo.:1(呼出し名:「食パン」)のレコードに対応する発行データが表示されている。
この例では、呼出しNo.:1に対応するレコードの「レイアウト指定」フィールドの値([1]単品ラベル1)に対応する。品名に対応するオブジェクトOBJ2内の文字列は、呼出しテーブルTL1の呼出しNo.:1のレコードの「品名」フィールドの値に対応する。価格に対応するオブジェクトOBJ6内の文字列は、呼出しテーブルTL1の呼出しNo.:1のレコードの「価格」フィールドの値に対応する。原材料に対応するオブジェクトOBJ14内の文字列は、呼出しテーブルTL1の呼出しNo.:1のレコードの「原材料名」フィールドの値(商品1)に対応する。
【0028】
以上のようにしてコンピュータ装置2のユーザは、呼出しテーブルTL1にデータを登録することで、異なるレイアウトのラベルや、同一のレイアウトであるが各項目の印字内容が異なるラベルを設計することができる。
【0029】
同一デザインのラベルであっても商品によって特定の項目(例えば原材料等)のオブジェクト内の文字列の量が異なる。そのため、一実施形態のラベル発行アプリケーションは、文字列が少ない商品に対するラベルに余白を生じさせないようなラベルデザインを行うことができるように構成されている。以下では、ラベルに余白を生じさせないようなラベルデザインを行う際に、ラベル作成アプリケーションによって実現される機能について、図5図10を参照して説明する。
【0030】
ラベル発行アプリケーションにおいて、文字列が少ない商品に対するラベルに余白を生じさせないようにするには、レイアウト設定を可変長にする必要がある。レイアウト設定は、図5に示すように、オブジェクトプロパティ設定部105のレイアウト設定ボタンを操作することで表示されるウィンドウW1において、「可変長(台紙なしラベル)」又は「可変長(ジャーナル紙)」を選択する。
なお、レイアウト設定ボタンは、デザインウィンドウ103に表示される印字レイアウト上のいずれのオブジェクトも選択されていない場合にオブジェクトプロパティ設定部105に表示される。
【0031】
[可変長オブジェクトの設定]
次いで、デザインウィンドウ103内の印字レイアウトLT1に配置されているオブジェクトの中で、文字列を含むオブジェクト(以下、「文字列オブジェクト」という。)を選択する。図6には、原材料名に対する文字列オブジェクトが選択された例が示される。
なお、デザインウィンドウ103において文字列オブジェクトは、ラベル編集者であるユーザに認識可能となるようにオブジェクトの外縁がラインで表示されるが、このラインはラベルには印字されない。オブジェクトの外縁が認識できればよいため、ラインを表示せずオブジェクトの範囲(フィールド)内を外とは異なる色や模様で表示させてもよい。
【0032】
オブジェクトプロパティ設定部105では、選択された文字列オブジェクトについての各種設定を行うことができる。例えば、オブジェクトプロパティ設定部105の項目名(この例では「原材料名」)によって、デザインウィンドウ103内のレイアウトデザイン内で使用される項目が設定される。入力方法として「固定」又は「発行時」が選択可能である。入力方法として「固定」が選択された場合には、「データ」の欄にセットされた値が印字される設定であることを示し、入力方法として「発行時」が選択された場合には、「データ」の欄にセットされた初期値がプリンタ3のラベル発行アプリケーションにおいて変更可能であることを示す。
【0033】
オブジェクトプロパティ設定部105にはさらに、文字列オブジェクトに含まれる文字列のフォント、文字間隔、サイズを変更、選択するためのプルダウンメニューの他、各種のボタンb1~b4が表示される。ボタンb1~b3は、それぞれオブジェクト内の文字列の左揃え、中央揃え、右揃えのいずれかを有効にするためのボタンである。ボタンb4は、選択された文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定(オン)する、又は設定を解除(オフ)するためのボタンであり、オン又はオフの状態が視覚的に認識可能な態様で表示される。
可変長オブジェクトとは、オブジェクトの中に含まれる文字列の長さに応じてオブジェクトの長さがラベルの縦方向において可変となる可変長オブジェクトである。
【0034】
図6に示すように、ボタンb4を操作することで選択された文字列オブジェクトが可変長オブジェクトに設定されると、当該文字列オブジェクト(項目名が「原材料名」であるオブジェクト)のサイズが最小化され、文字列オブジェクトに設定されたことがわかる。
ラベル作成アプリケーションにおいてユーザがラベルのデザインを行う際に、文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定するには、ボタンb4(操作対象の一例)をオン状態とすればよく、視覚的に容易に設定可能である。
一実施形態では、ウィンドウW1(図5参照)において、「可変長(台紙なしラベル)」及び「可変長(ジャーナル紙)」以外の選択肢が選択された場合に、ボタンb4をオン状態とすることが禁止される。
【0035】
図10Aに、第1例の印字レイアウトLT1において、項目名が「原材料名」である文字列オブジェクトに対して、可変長オブジェクトに設定されていない場合のラベル印字例(左側)と、設定されている場合のラベル印字例(右側)とを示す。図10Aに示すように、可変長オブジェクトに設定することで、原材料名に対応する文字列の長さが短い場合に空白が削除される。
【0036】
なお、ラベル作成アプリケーションでは、可変長オブジェクトに含まれる文字列の縦方向の最小行数が設定できるようにしてもよい。すなわち、可変長オブジェクトに設定された文字列オブジェクトに、縦方向に必ず表示すべき文字列(必須文字列)と、ラベルが貼付される商品に応じて異なる長さになる文字列(可変長文字列)とが含まれている場合、必須文字列の行数を最小行数として設定することが好ましい。例えば、必須文字列が縦方向に「原材料名」という文字列であって、可変長文字列が横方向に具体的な原材料の内容を示す文字列(例えば、「小麦粉、グラニュー糖、…」)である場合、縦方向の最小行数を4行に設定するとよい。それによって、原材料の内容が少なく可変長文字列が短い場合であっても必須文字列(「原材料名」)を常に表示させることができる。
【0037】
[オブジェクトの縦位置の相対設定]
ラベル発行アプリケーションでは、印字レイアウトに配置されたオブジェクトの中から選択されたオブジェクトの縦位置(つまり、ラベルの縦方向の位置)を他の基準となるオブジェクト(以下、「基準オブジェクト」という。)を基準にして相対的に設定することができる。この設定をオブジェクトの「縦位置の相対設定処理」という。
前述したように、可変長オブジェクトは、文字列の長さに応じてオブジェクトの長さが可変となる。そこで、可変長オブジェクトよりもラベルの縦方向において下流にある1以上のオブジェクトに対して縦位置の相対設定を行い、当該1以上のオブジェクトの位置を可変長オブジェクトに追従して変化させる。それによって、可変長オブジェクトよりも下側に1以上のオブジェクトが配置されている場合に、可変長オブジェクトに含まれる文字列が少ない商品に対するラベルに余白を生じさせないようにすることができる。
【0038】
図7では、デザインウィンドウ103内の第2例の印字レイアウトLT2に配置された罫線オブジェクトOBJ18が選択された例が示される。この場合、オブジェクトプロパティ設定部105には、選択された罫線オブジェクトについての各種設定を行うことができる。
図7に示すように、オブジェクトプロパティ設定部105に表示される詳細設定ボタンb10を操作すると、ウィンドウW2が表示される。ウィンドウW2では、選択された罫線オブジェクトの縦位置の相対設定を行うことができる。縦位置の相対設定は、基準となるオブジェクトと、基準オブジェクトからの間隔とが設定可能である。基準オブジェクトは、印字レイアウトLT2に配置された複数のオブジェクトのうち、選択されたオブジェクト(この例では、オブジェクトOBJ18)以外のオブジェクトの中から決定される。
【0039】
図7のウィンドウW2に示す設定例では、罫線オブジェクトOBJ18の基点の縦位置の、基準オブジェクト(項目名が「原材料名」であるオブジェクト)の基準位置からの間隔が、1.083mmであることを示している。基準オブジェクトの基準位置は任意に設定可能であるが、例えば、基準オブジェクトの下端である。
なお、基準位置からの間隔は、対象となるオブジェクトの基点の縦位置が、基準オブジェクトの基準位置よりも下方にあるときにプラスの値であり、上方にあるときにマイナスの値である。
【0040】
図8は、基準オブジェクトの間隔が短い場合と長い場合とでの印字レイアウトLT2の表示例を示している。
図8において、縦位置の相対設定の対象となるオブジェクトが罫線オブジェクトOBJ18であり、基準オブジェクトがオブジェクトOBJ17である。オブジェクトOBJ17の基準位置(下端)を強調するために、オブジェクトOBJ17の下辺が例えば太線で示されるが、その限りではなく、下端を他の端とは異なる色で表示してもよい。
図8に示すように、一実施形態では、オブジェクトOBJ17の基準位置から罫線オブジェクトOBJ18までの間隔が、矢印付き線AR1で示される。矢印付き線AR1の長さによりユーザは、基準オブジェクトからの間隔の長短を直感的に把握することができる。
【0041】
矢印付き線は、基準オブジェクトの基準位置と選択オブジェクトの基準位置との縦方向の相対位置を示す指標の一例である。縦方向の相対位置を示す指標は、矢印付き線に限られず、相対位置を示す値を直接表示させることであってもよい。
【0042】
なお、図7及び図8は、縦位置の相対設定の対象となるオブジェクトが罫線オブジェクトである場合について示したが、その限りではない。縦位置の相対設定は、文字列オブジェクト等の他の種別のオブジェクトに対しても行うことができる。
【0043】
可変長オブジェクトよりも下側にある2以上のオブジェクトに対して縦位置の相対設定を行う場合、2以上のオブジェクトの各々を順次選択して図7に示す操作を行ってもよいが、当該2以上のオブジェクトに対して一括して行うこともできる。それによって、ユーザのラベルデザインの編集負担が軽減する。
図9は、2以上のオブジェクトに対して一括して縦位置の相対設定を行う操作例を示している。図9に示すように、印字レイアウトLT2に配置される2以上のオブジェクトをまとめて選択した上で詳細設定ボタンb11を操作すると、ウィンドウW3が表示される。ウィンドウW3では、選択された2以上のオブジェクトの縦位置の相対設定を行うことができる。
【0044】
図10Bに、印字レイアウトLT2において、縦位置の相対設定がされていない場合のラベル印字例(又はプレビュー画面例)(左側)と、縦位置の相対設定がされている場合のラベル印字例(又はプレビュー画面例)(右側)とを示す。右側の例では、項目名が「原材料名」である文字列オブジェクトを基準オブジェクトとして、当該文字列オブジェクトよりも下側に配置されるオブジェクト群に対して、縦位置の相対設定がされている。そのため、基準オブジェクトが可変長オブジェクトに設定され、基準オブジェクトに含まれる文字列が比較的短い場合、基準オブジェクトと上記オブジェクト群との間の空白が削除される。
【0045】
図10Cに、印字レイアウトLT2において、図10Bの右側と同様に縦位置の相対設定がされている場合において、項目名が「原材料名」である文字列オブジェクトに含まれる文字列が比較的短いラベル印字例(又はプレビュー画面例)(左側)と、当該文字列オブジェクトに含まれる文字列が比較的長いラベル印字例(又はプレビュー画面例)(右側)とを示す。当該文字列オブジェクトよりも下側に配置されるオブジェクト群の位置が、項目名が「原材料名」である文字列オブジェクト(基準オブジェクト)に含まれる文字列の長さに応じて設定され、基準オブジェクトと上記オブジェクト群との間の空白が削除される。すなわち、縦位置の相対設定を行うことで、文字列オブジェクトに含まれる文字列の長さに応じて最適なサイズのラベルを発行させることができる。
【0046】
図11は、印字レイアウトに配置される各オブジェクトに関する各種のプロパティを示すオブジェクトテーブルの構成例を示す。
オブジェクトテーブルは、印字レイアウトに関連付けて設けられる。オブジェクトテーブルの各レコードは、関連付けられた印字レイアウトに配置された複数のオブジェクトのいずれかに対応している。
図11に示すように、各レコードは、対応するオブジェクトの「種別」、「項目名」、「基点」、「可変長設定」、「縦位置の相対設定」、「基礎データ」の各フィールドの値を含む。
「種別」フィールドの値は、例えば、文字列、罫線、表、グラフィック、バーコード等、対応するオブジェクトの種別を示す値である。
「項目名」フィールドの値は、対象となるオブジェクトの項目名(例えば「原材料名」)を示す値であり、印字レイアウトに配置されたオブジェクトが選択された場合にオブジェクトプロパティ設定部105に表示される(例えば図6参照)。
「基点」フィールドの値は、対応するオブジェクトの基点の位置の座標(X,Y)の値(mm)を示す。座標のX値及びY値は、ラベルの印字レイアウトの所定位置を原点としたときの横方向をX軸とし、縦方向をY軸としたときの値である。
「可変長設定」フィールドの値は、対応するオブジェクトが可変長オブジェクトに設定されていること(「有」)、又は設定されていないこと(「無」)のいずれかを示す値である。
「縦位置の相対設定」フィールドの値は、対応するオブジェクトに対して縦位置の相対設定がされていること(「有」)、又はされていないこと(「無」)のいずれかを示す値である。縦位置の相対設定がされている場合、基準オブジェクトと、基準オブジェクトからの間隔(mm)とを示す値が含まれる。
「基礎データ」フィールドの値は、対応するオブジェクトの基礎的なデータを示す値であり、例えば、フォント、サイズ、行数のほか、文字間隔、文字列の左揃え、中央揃え、右揃えのいずれかの設定値などの値を含む。
【0047】
次に、図12を参照して、ラベル発行システム1に含まれるコンピュータ装置2、プリンタ3、及び、サーバ5の構成について、順に説明する。
【0048】
図12に示すように、コンピュータ装置2は、制御部21、ストレージ22、操作入力部23、表示部24、及び、通信部25を備える。
【0049】
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、コンピュータ装置2全体を制御する。例えば、制御部21に含まれるマイクロプロセッサは、ラベル作成アプリケーションプログラム(ラベル作成アプリ)を実行し、その実行結果を表示部24に表示する。
ストレージ22は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。ストレージ22は、ラベル作成アプリケーションを実行することで作成されたプロジェクトファイルを記憶する。プロジェクトファイルは、1以上のレイアウトデータ、呼出しテーブルTL1(図4)、及び、オブジェクトテーブル(図11)を含む。
【0050】
操作入力部23は、例えば、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力デバイスを含む。表示部24がタッチパネル入力用表示パネルを備える場合、表示部24は、操作入力部23の一部を構成する。
表示部24は、例えば液晶表示パネルを含み、ラベル作成アプリケーションの実行結果を表示する。
通信部25は、サーバ5との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0051】
制御部21に含まれるマイクロプロセッサがラベル作成アプリケーションを実行することで、以下の各手段の少なくともいずれかを実現する。
(i)プリンタ3によって印字される描画データの基礎となる印字レイアウトを表示部24に表示させる表示手段
(ii)表示部24に表示された印字レイアウト上に複数のオブジェクトを配置するオブジェクト配置手段
(iii)複数のオブジェクトのうちユーザに選択されたオブジェクトを、印字レイアウトの縦方向においてオブジェクトの高さが可変となる可変長オブジェクトに設定するオブジェクト設定手段
(iv)複数のオブジェクトのうちユーザに選択された選択オブジェクトを対象として、複数のオブジェクトのうち選択オブジェクト以外のオブジェクトの中から決定された基準オブジェクトに対する縦方向の相対位置を決定するオブジェクト位置決定手段
【0052】
オブジェクト位置決定手段は、複数のオブジェクトが、文字列を含む文字列オブジェクトと、罫線オブジェクト、枠線オブジェクト、表オブジェクト等のラインを含むラインオブジェクトとを含む場合、ラインオブジェクトの縦方向の高さを、可変長オブジェクトに設定された文字列オブジェクトの高さの変化に応じて変更してもよい。
図8の例では、選択オブジェクトは、罫線オブジェクトOBJ18(ラインオブジェクトの一例)であり、基準オブジェクトは、項目名が「原材料名」である文字列オブジェクトOBJ17である。
【0053】
一実施形態では、オブジェクト位置決定手段は、図7のウィンドウW2に例示したように、基準オブジェクトの基準位置と選択オブジェクトの基準位置との縦方向の距離がユーザによって設定された値となるように、選択オブジェクトを縦方向に移動させる。
【0054】
一実施形態では、オブジェクト位置決定手段は、図9に例示したように、複数のオブジェクトからユーザに一括して選択された2以上の選択オブジェクトを対象として、基準オブジェクトに対する縦方向の相対位置を決定する。
【0055】
再度図12を参照すると、プリンタ3は、制御部31、ストレージ32、操作入力部33、表示部34、搬送部35、印字部36、及び、通信部37を備える。
【0056】
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、プリンタ3の全体を制御する。ストレージ32は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDである。
例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、ファームウェア及びラベル発行アプリケーションプログラムを実行する。
制御部31は、サーバ5に対してフォーマットファイルの送信を要求し、当該要求に応じて送信されるフォーマットファイルを、通信部37を介して受信する。制御部31がサーバ5に対してフォーマットファイルの送信を要求するタイミングは限定するものではないが、例えば、プリンタ3の起動時、毎日の所定の時刻、あるいは、プリンタ3のユーザによって所定のダウンロード操作が行われたタイミング等である。
フォーマットファイルをサーバ5からダウンロードした場合には、ダウンロードしたフォーマットファイルがストレージ32に格納される。
【0057】
表示部34は、図示しない表示パネル及び表示駆動回路を有し、表示パネル上にラベル発行アプリケーションの実行結果を表示する。操作入力部33は、表示パネルに設けられるタッチパネル入力とその入力回路を含む。
【0058】
制御部31は、ファームウェアを実行することで、発行データを印字用のビットマップデータ(描画データ)に変換し、描画データのライン毎のデータであるラインデータを順次、印字部36へ送出する。搬送部35及び印字部36は、順次送出されるラインデータに基づいて印字を行う。
搬送部35は、図示しないプラテンローラ、モータ駆動回路、及びステッピングモータ等を含み、プリンタ3内の連続紙の搬送を行う。例えば、ファームウェアによる搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。
印字部36は、図示しないサーマルヘッド及びヘッド駆動回路を含む。ヘッド駆動回路は、ラインデータに基づきサーマルヘッド46の各発熱素子に選択的に電流を流すことで、連続紙のラベル上に印字を行う。
通信部37は、サーバ5との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0059】
図12に示すように、サーバ5は、制御部51、ストレージ52、及び、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、サーバ5の全体を制御する。制御部51は、例えば、プリンタ3からの要求に応じてフォーマットファイルを送信するように通信部53を制御する。
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶装置であり、コンピュータ装置2から送信(アップロード)されるフォーマットファイルを記憶する。
通信部53は、コンピュータ装置2及びプリンタ3との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0060】
次に、コンピュータ装置2において制御部21がラベル作成アプリケーションを実行することで行われる処理として、可変長設定処理、縦位置の相対設定処理、及び、オブジェクト配置処理を、図13図15のフローチャートを参照して説明する。
【0061】
[可変長設定処理](図13
可変長設定処理は、文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定する処理である。
図13を参照すると、制御部21は、可変長用紙が選択済みであるか判断する(ステップS2)。可変長用紙が選択されていることは、図5に示した例では、「可変長(台紙なしラベル)」又は「可変長(ジャーナル紙)」のいずれかの選択に相当し、ラベル又は用紙の長さが印字内容に応じて変動する設定であることを意味する。可変長用紙が選択済みであることは、文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定する際の前提条件である。
【0062】
可変長用紙が選択されている場合、制御部21は、ユーザによって文字列オブジェクトが選択されているか否か判断する(ステップS4)。文字列オブジェクトの選択は、操作入力部23を介してデザインウィンドウ103(図6参照)に配置された少なくともいずれかの文字列オブジェクトに対する選択操作を行うことでなされる。選択された文字列オブジェクトは、図6に示したように、外枠に複数のサイズ変更ハンドルが表示された状態となる。このとき、制御部21は画面上に、選択された文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに変更するための操作対象(例えば、図6のボタンb4;可変長ボタン)を表示させ、当該操作対象に対する操作に応じて(ステップS6:YES)、選択された文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定する処理を行う。具体的に制御部21は、オブジェクトテーブル(図11参照)において、処理対象のオブジェクトに対する可変長設定を「有」に変更して記録する(ステップS8)。
【0063】
[縦位置の相対設定処理](図14
縦位置の相対設定処理は、印字レイアウトに配置されたオブジェクトの中から選択されたオブジェクトの縦位置(つまり、ラベルの縦方向の位置)を、基準オブジェクトを基準にして相対的に設定する処理である。
可変長用紙が選択済みであることは、オブジェクトの縦位置の相対設定を行う際の前提条件である。そのため、図14のフローチャートにおいて制御部21は、可変長用紙が選択済みである場合(ステップS10:YES)、ステップS12以降の処理を実行する。
制御部21は、ユーザの操作に伴って印字レイアウトに配置されたいずれかのオブジェクトが選択され(ステップS12:YES)、かつ縦位置の相対設定に対する操作が行われた場合(ステップS14)、その設定内容に応じた処理を実行する。なお、2以上のオブジェクトが一括して選択された場合には、当該2以上のオブジェクトに対して処理が行われる。
【0064】
具体的には、制御部21は、例えば図7のウィンドウW2に示したように、縦位置の相対設定に対する操作により、基準オブジェクトと当該基準オブジェクトからの間隔の入力を受け付けると(ステップS16)、オブジェクトテーブルを更新する(ステップS18)。つまり、オブジェクトテーブルにおいて、処理対象のオブジェクトの縦位置の相対設定が「有」とされ、ステップS16の入力に基づいて基準オブジェクトと間隔が記録される。
また、制御部21は、基準オブジェクトと間隔に基づいて処理対象となるオブジェクトの基点の値を更新する。例えば、図11に例示されるオブジェクトテーブルにおいて、オブジェクトOBJ14に対して、基準オブジェクト:OBJ13、間隔:1.05mmが記録された場合、オブジェクトOBJ14の基点のY値は、基準オブジェクトであるオブジェクトOBJ13のY値(11.20mm)に対して1.05mm加えた値(12.25mm)に設定される。
【0065】
制御部21は、ステップS14において縦位置の相対設定に対する操作により縦位置の相対設定が解除された場合、処理対象のオブジェクトの縦位置の相対設定が「無」となるようにオブジェクトテーブルを更新する(ステップS18)。
【0066】
[オブジェクト配置処理](図15
オブジェクト配置処理は、呼出しテーブルの内容に基づいて印字レイアウトに1以上のオブジェクトを配置する処理である。オブジェクト配置処理では、ユーザのオブジェクトに対する操作のほか、可変長オブジェクトの設定状態、及び、オブジェクトの縦位置の相対設定状態に基づいて、オブジェクトの配置が行われる。
オブジェクト配置処理は、例えば、ラベル作成アプリケーションにおいてプレビュー画面の表示指示を受けたときに実行される。
図15を参照すると、制御部21は、呼出しテーブルを例えばストレージ22から読み出す(ステップS30)。次いで制御部21は、以下のようにして処理対象オブジェクトを印字レイアウトに配置する。いずれの場合も処理対象オブジェクトは、オブジェクトテーブルの基点の値に基づいて配置される。
【0067】
処理対象オブジェクトが文字列オブジェクトであって(ステップS32:YES)、かつ可変長オブジェクトである場合(ステップS34:YES)、制御部21は、可変長オブジェクトを印字レイアウトに配置する(ステップS36)。このとき、制御部21は、ステップS30で読み出した呼出しテーブルを参照し、処理対象オブジェクトの項目に対応する文字列の値を取得する。制御部21は、取得した文字列の長さに応じた縦方向の長さの可変長オブジェクトを印字レイアウトに配置する。可変長オブジェクトの例は、図8のオブジェクトOBJ17である。
【0068】
処理対象オブジェクトが文字列オブジェクトであって(ステップS32:YES)、かつ可変長オブジェクトでない場合(ステップS34:NO)、制御部21は、固定長オブジェクトを印字レイアウトに配置する(ステップS38)。このとき、制御部21は、ステップS30で読み出した呼出しテーブルを参照し、処理対象オブジェクトの項目に対応する文字列の値を取得する。制御部21は、取得した文字列を含む固定長オブジェクトを印字レイアウトに配置する。固定長オブジェクトの例は、図3のオブジェクトOBJ3,OBJ11~OBJ13等である。固定長オブジェクトのサイズについて、オブジェクトテーブルが参照される。
【0069】
処理対象オブジェクトが文字列オブジェクトではない場合(ステップS32:NO)、制御部21は、処理対象オブジェクトを印字レイアウトに配置する(ステップS36)。このとき、制御部21は、ステップS30で読み出した呼出しテーブルを参照し、処理対象オブジェクトを印字レイアウトに配置する。文字列オブジェクト以外のオブジェクトの例は、罫線オブジェクト、表オブジェクト、グラフィックオブジェクト等である。
【0070】
なお、印字レイアウトに配置対象のオブジェクトが複数存在する場合には、各オブジェクトを処理対象オブジェクトとして、ステップS32~S44の一連の処理を繰り返し行う。配置対象のすべてのオブジェクトに対する処理が完了すると、制御部21は、オブジェクト配置処理を終了する。
【0071】
以上説明したように、一実施形態のラベル発行システムでは、ユーザがラベルのデザインを行う際に、文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定する際に、ラベル作成アプリケーションによって提供されるGUIによって視覚的に容易に設定可能である。
また、一実施形態のラベル発行システムでは、ユーザによって選択された選択オブジェクトを対象として、他のオブジェクトを基準オブジェクトとしたときの基準オブジェクトに対する縦方向の相対位置を決定することができる。そのため、基準オブジェクトを可変長オブジェクトに設定した場合に、当該可変長オブジェクトに含まれる文字列の長さに応じて選択オブジェクトの縦方向の位置を追従させることができ、無駄な空白が生ずることが防止される。
【0072】
次に、一実施形態のラベル作成アプリケーションの別の機能について説明する。
ラベルデザインを行うときには、文字列オブジェクトを枠線オブジェクトで囲む場合がある。ラベルが適用される商品に応じて文字列オブジェクトに含まれる文字列の長さが異なることから文字列オブジェクトを可変長オブジェクトに設定するのは前述したとおりである。その際、ラベル作成アプリケーションでは、文字列オブジェクトの縦方向の高さに応じて文字列オブジェクトを囲む枠線オブジェクトの高さを変更することができる。
すなわち、一実施形態では、上記オブジェクト位置決定手段は、文字列オブジェクトと、当該文字列オブジェクトを囲む枠線オブジェクトとが印字レイアウトに配置される場合、枠線オブジェクトの縦方向の高さを、可変長オブジェクトに設定された文字列オブジェクトの高さの変化に応じて変更する。それによって、文字列オブジェクトに含まれる文字列の長さに関わらず、枠線オブジェクトが文字列オブジェクトを無駄な空白を生じさせずに適切に囲む状態とすることができる。その結果、レイアウト上に印字すべき文字列の長さに応じて最適化されるレイアウトを容易に設計できる。
【0073】
以下、文字列オブジェクトを枠線オブジェクトで囲む場合の設定について、図16図18を参照して説明する。
図16Aは、デザインウィンドウ103上の印字レイアウトの一部として、文字列オブジェクトSTと、文字列オブジェクトSTを囲む枠線オブジェクトFと、を示している。図16Aでは、枠線オブジェクトFが選択された状態となっている。
ラベル作成アプリケーションでは、枠線オブジェクトFの配置を他のオブジェクトの位置と関連付けて設定する方法として、前述した縦位置の相対設定と、高さの相対設定とがある。
【0074】
図16Bに示すように、オブジェクトプロパティ設定部105に表示される詳細設定ボタンb12を操作すると、ウィンドウW4が表示される。ウィンドウW4では、選択された枠線オブジェクトFの縦位置の相対設定を行うことができる。縦位置の相対設定は、基準となるオブジェクト(基準オブジェクト)と、基準オブジェクトからの間隔とが設定可能である。
縦位置の相対設定では、基準オブジェクトの基準位置と枠線オブジェクトFの基準位置(例えば下端)の距離が設定された間隔となるように、枠線オブジェクトFの全体が移動(シフト)する。
【0075】
[高さの相対設定]
図16Bに示すように、オブジェクトプロパティ設定部105に表示されるボタンb13(「高さの相対設定」)を操作すると、ウィンドウW5が表示される。ウィンドウW5では、選択された枠線オブジェクトFの高さの相対設定を行うことができる。高さの相対設定は、基準となるオブジェクト(基準オブジェクト)と、基準オブジェクトからの間隔とが設定可能である。
【0076】
図16BのウィンドウW5に示す設定例では、枠線オブジェクトFの縦方向の基準位置(下端)と、基準オブジェクトである文字列オブジェクトST(項目名が「原材料名」であるオブジェクト)の基準位置との間隔が、1.000mmであることを示している。基準オブジェクトの基準位置は任意に設定可能であるが、例えば、基準オブジェクトの下端である。
なお、基準位置からの間隔は、縦位置の相対設定の対象となるオブジェクトの基準位置(下端)が、基準オブジェクトの基準位置よりも下方にあるときにプラスの値であり、上方にあるときにマイナスの値である。
すなわち、一実施形態では、上記オブジェクト位置決定手段は、文字列オブジェクトの基準位置と枠線オブジェクトの基準位置との縦方向の距離がユーザによって設定される値となるように、枠線オブジェクトの縦方向の高さを変更する。
一実施形態では、図8に示した矢印付き線AR1と同様にして、基準オブジェクトである文字列オブジェクトの基準位置(下端)と、ラインオブジェクトである枠線オブジェクトの基準位置(下端)との縦方向の距離を示す矢印付き線を表示させることが好ましい。それによってユーザは、基準オブジェクトから枠線オブジェクトまでの距離を直感的に把握することができる。
【0077】
縦位置の相対設定と異なり、高さの相対設定では、基準オブジェクトの基準位置(図16では、文字列オブジェクトSTの下端STL)と枠線オブジェクトFの基準位置(例えば下端)の距離FLが設定された間隔となるように、枠線オブジェクトFの基準位置のみが移動する。したがって、文字列オブジェクトSTに含まれる文字列が長く、それによって文字列オブジェクトSTの下端STLが下方に移動した場合でも、それに追従して枠線オブジェクトFの下端も間隔FLを維持した状態で下方に移動する。結果として、文字列オブジェクトSTに含まれる文字列が短い場合でも長い場合でも、無駄な空白を作ることなく枠線オブジェクトFが文字列オブジェクトSTを囲む状態とすることができる。
【0078】
高さの相対設定処理を実行するときのフローチャートは、図示しないが、縦位置の相対設定処理のフローチャート(図14)と同様であり、図14のフローチャートにおいて、ステップS14を「高さの相対設定」とすればよい。この場合、オブジェクトテーブル(図11)には、「高さの相対設定」フィールド(サブフィールドとして「基準オブジェクト」及び「間隔」を含む。)が設けられ、ユーザの操作に応じて「高さの相対設定」フィールドの値が決定されるようにして、オブジェクトテーブルが更新される。
【0079】
高さの相対設定の対象となるオブジェクトは、枠線オブジェクトに限られず、罫線オブジェクト、表オブジェクト等の他のラインオブジェクトであってもよい。
すなわち、一実施形態では、上記オブジェクト位置決定手段は、基準オブジェクトの基準位置とラインオブジェクトの基準位置との縦方向の距離がユーザによって設定される値となるように、ラインオブジェクトの縦方向の高さを変更することもできる。
【0080】
文字列オブジェクトを他のオブジェクトで囲むことは、文字列オブジェクトの周囲を隙間なく囲む場合に限られず、例えば縦罫線オブジェクトによって部分的に囲む(例えば両側で挟む)場合も含まれる。すなわち、図17及び図18を参照して文字列オブジェクトを枠線オブジェクトで囲む場合について説明した事項は、文字列オブジェクトを縦罫線オブジェクトによって部分的に囲む場合にも適用され得る。
【0081】
次に、2以上の文字列オブジェクトと、当該2以上の文字列オブジェクトを囲む枠線オブジェクトとが印字レイアウトに配置される場合の第1の設定方法について、図17を参照して説明する。
図17では、3個の文字列オブジェクトST1~ST3を囲む枠線オブジェクトFが例示される。図17において、文字列オブジェクトST1~ST3の縦方向の下端をP1~P3とし、枠線オブジェクトFの縦方向の下端をPFとする。3個の文字列オブジェクトST1~ST3は、すべて可変長オブジェクトに設定済みであり、各文字列オブジェクトの縦方向の高さは、各文字列オブジェクトに適用される文字列の長さに応じて変動する。
【0082】
ここで、各文字列オブジェクトの縦方向の高さに応じて枠線オブジェクトFの高さを変更するためには、以下のように設定するとよい。
すなわち、文字列オブジェクトST2の縦位置の相対設定において、基準オブジェクトを文字列オブジェクトST1とし、文字列オブジェクトST1との縦方向の間隔を矢印付き線AR2で示す長さとする。文字列オブジェクトST3の縦位置の相対設定において、基準オブジェクトを文字列オブジェクトST2とし、文字列オブジェクトST2との縦方向の間隔を矢印付き線AR3で示す長さとする。枠線オブジェクトFの高さの相対設定において、基準オブジェクトを文字列オブジェクトST3とし、文字列オブジェクトST3との高さの相対設定の間隔(PF~P3)を矢印付き線H1で示す長さとする。
【0083】
このように設定することで、図17に示すように、文字列オブジェクトST1,ST2に含まれる文字列が長くなる場合でも、文字列オブジェクトST1~ST3の縦方向に隣接するオブジェクト間の間隔は、設定された値に維持される。また、文字列オブジェクトST3に含まれる文字列が長くなる場合でも、枠線オブジェクトFの下端PFと、文字列オブジェクトST3の下端P3との間隔が、設定された間隔に維持される。
結果として、文字列オブジェクトST1~ST3に含まれる文字列が短い場合でも長い場合でも、無駄な空白を作ることなく枠線オブジェクトFが文字列オブジェクトST1~ST3を囲む状態とすることができる。
【0084】
次に、2以上の文字列オブジェクトと、当該2以上の文字列オブジェクトを囲む枠線オブジェクトとが印字レイアウトに配置される場合の第2の設定方法について、図18を参照して説明する。
図18に例示する印字レイアウトは、枠線オブジェクトFの下に文字列オブジェクトST4が配置される点で図17と異なる。
【0085】
ここで、各文字列オブジェクトの縦方向の高さに応じて枠線オブジェクトFの高さを変更しつつ、枠線オブジェクトFと文字列オブジェクトST4との縦方向の位置関係を維持するには、以下のように設定するとよい。
すなわち、文字列オブジェクトST2の縦位置の相対設定において、基準オブジェクトを文字列オブジェクトST1とし、文字列オブジェクトST1との縦方向の間隔を矢印付き線AR2で示す長さとする。文字列オブジェクトST3の縦位置の相対設定において、基準オブジェクトを文字列オブジェクトST2とし、文字列オブジェクトST2との縦方向の間隔を矢印付き線AR3で示す長さとする。文字列オブジェクトST4の縦位置の相対設定において、基準オブジェクトを文字列オブジェクトST3とし、文字列オブジェクトST3との縦方向の間隔を矢印付き線AR4で示す長さとする。
枠線オブジェクトFの高さの相対設定において、基準オブジェクトを文字列オブジェクトST4とし、文字列オブジェクトST4との高さの相対設定の間隔(PF~P4)を矢印付き線H2で示す長さとする。この場合、高さの相対設定の間隔はマイナスの値となる。
【0086】
このように設定することで、図18に示すように、文字列オブジェクトST1,ST2,ST3に含まれる文字列が長くなる場合であっても、文字列オブジェクトST1~ST4の縦方向に隣接するオブジェクト間の間隔は、設定された値に維持される。また、文字列オブジェクトST1,ST2,ST3に含まれる文字列が長くなり、文字列オブジェクトST4が下に大きく移動する場合であっても、枠線オブジェクトFの下端PFと、文字列オブジェクトST4の下端P4との間隔が、設定された間隔に維持される。
結果として、文字列オブジェクトST1~ST3に含まれる文字列が短い場合でも長い場合でも、無駄な空白を作ることなく枠線オブジェクトFが文字列オブジェクトST1~ST3を囲む状態とすることができる。さらに、枠線オブジェクトFは、より下側にある文字列オブジェクトST4との間隔を維持することができる。
【0087】
次に、第3例の印字レイアウトLT3について図19を参照して説明する。
第3例の印字レイアウトLT3は、複数の商品が含まれる詰合せ商品用のラベル用デザインである。印字レイアウトLT3には、複数のオブジェクトOBJ31~OBJ52が配置されている。図19に区分けして示すように、文字列オブジェクトOBJ32,OBJ33が1×2の表オブジェクトT1内に配置され、文字列オブジェクトOBJ34~OBJ36が枠線オブジェクトF1内に配置され、文字列オブジェクトOBJ37~OBJ44が4×2の表オブジェクトT2内に配置される。
枠線オブジェクトF1内に配置される文字列オブジェクトOBJ34~OBJ36は、可変長オブジェクトに設定されている。
【0088】
ここで、文字列オブジェクトOBJ34~OBJ36の縦方向の高さに応じて枠線オブジェクトF1の高さを変更しつつ、枠線オブジェクトF1と、枠線オブジェクトF1よりも下にあるオブジェクト群との縦方向の位置関係を維持するには、図18と同様の設定方法を採ればよい。
なお、図18では、枠線オブジェクトFよりも下にあるオブジェクトが1つのみ(文字列オブジェクトST4)であったが、図19の印字レイアウトLT3では、枠線オブジェクトF1よりも下にはオブジェクトが複数存在する。そこで、枠線オブジェクトF1よりも下にあるすべてのオブジェクトに対して一括して、基準オブジェクトをオブジェクトOBJ37とする縦位置の相対設定を行う。それによって、文字列オブジェクトOBJ34~OBJ36に含まれる文字列が長くなる場合であっても無駄な空白を作ることなく、各オブジェクトの位置関係が維持される。
【0089】
図20Aに、第3例の印字レイアウトLT3において、各文字列オブジェクトに文字列のデータが入力されたラベル印字例(又はプレビュー画面例)を示す。例えば、図19の印字レイアウトLT3の文字列オブジェクトOBJ34(商品1:原材料名)、OBJ35(商品2:原材料名)、OBJ36(商品3:原材料名)にそれぞれ含まれる文字列の長さに応じて、文字列オブジェクトOBJ34~OBJ36を囲むように枠線オブジェクトF1の縦方向の高さが設定されていることがわかる。
2以上の文字列オブジェクトと、当該2以上の文字列オブジェクトを囲む枠線オブジェクトとが印字レイアウトに配置されたラベルデザインは、図20Aに例示するように、複数の商品を含む詰合せ商品に貼付するラベルに有用である。
【0090】
図20Bは、図19の印字レイアウトLT3において、文字列オブジェクトOBJ35(商品2:原材料名)、OBJ36(商品3:原材料名)の文字列のデータが呼出しテーブルTL1(図4)に書き込まれていない場合のラベル印字例(又はプレビュー画面例)を示す。この場合、文字列のデータがない文字列オブジェクトOBJ35,OBJ36が実質的に削除され、無駄な空白が生じない。
【0091】
以上説明したように、一実施形態では、上記オブジェクト位置決定手段は、枠線オブジェクトの縦方向の高さを、可変長オブジェクトに設定された2以上の文字列オブジェクトの各々の高さの変更に応じて変更する。それによって、各文字列オブジェクトに含まれる文字列が短い場合も長い場合も2以上の文字列オブジェクトを、枠線オブジェクトが無駄な空白なく適切に囲むようにラベルをデザインすることができる。高さの相対設定は、図16に示したように簡単な操作で実現できるため、レイアウト上に印字すべき文字列の長さに応じて最適化されるレイアウトを容易に設計できる。
【0092】
一実施形態では、制御部21に含まれるマイクロプロセッサがラベル作成アプリケーションを実行することで、図19に例示したように、枠線オブジェクトF1内の2以上の文字列オブジェクトの各々に個別に文字列を対応付ける対応付け手段を実現する。例えば、図4の呼出しテーブルTL1の呼出しNo.100のレコードに示すように、項目名がそれぞれ「商品1:原材料名」、「商品2:原材料名」、「商品3:原材料名」とする2以上のデータが個別に登録可能である。そのため、柔軟にラベルデザインを設計できる。
【0093】
上述したオブジェクトの縦位置の相対設定及び高さの相対設定は、オブジェクトの縦位置について、他のオブジェクトに対する相対的な位置関係に基づいて余白を詰める方法(「相対的余白詰め方式」という。)である。それに対して、印字用のデータを描画データに展開する際に、印字用のデータ内の余白部分を用紙搬送方向に詰めていく方法(「絶対的余白詰め方式」という。)が知られているが、上記実施形態は、適宜、絶対的余白詰め方式に適用することも可能である。
【0094】
上述したように、コンピュータ装置2のラベル作成アプリケーションのユーザでは、印字レイアウト上に複数のオブジェクトを配置し、当該複数のオブジェクトに対して各種の設定を行うことでラベルデザインの編集を行う。その結果、ラベル作成アプリケーションにより、1以上のレイアウトデータ、呼出しテーブルTL1(図4)、及び、オブジェクトテーブル(図11)を含むプロジェクトファイルが作成される。
プロジェクトファイルは、図2に示す指示ボタン群101内の出力ボタンを操作することで、フォーマットファイルとしてサーバ5にアップロードすることができる。
【0095】
図21は、プリンタ3においてラベルを発行するときの操作手順を示す図である。
図21を参照すると、プリンタ3においてラベルを発行するときの手順は以下のとおりである。
先ず、プリンタ3のラベル発行アプリケーションを起動させ、フォーマットファイルをサーバ5からダウンロードする操作を行う。次いで、図21のプリンタ画面g1に示すように、ダウンロードしたフォーマットファイルの中から、ユーザが発行したいラベルに対応するフォーマットファイルとして、「食品データ」を選択する。
【0096】
次いで表示されるプリンタ画面g2は、選択されたフォーマットファイルにおいて呼出しNo.を入力するための入力ボックスbx1を含む。ここで入力される呼出しNo.は、フォーマットファイル内の呼出しテーブルTL1(図4参照)の呼出しNo.に対応する。例えば、入力ボックスbx1に呼出しNo.:001を入力した場合には、図4の呼出しテーブルTL1の呼出しNo.:1に対応するレコードの発行データが呼び出され、プリンタ画面g3が表示される。
プリンタ画面g3には、初期値として呼出しNo.:1に対応する発行データの各項目の値が発行データ表示部206に表示される。プリンタ画面g3において発行ボタンpb3を操作することでラベルが発行される。
【0097】
以上、本発明のプログラム、情報処理システム、及び、情報処理方法の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
例えば、ラベル作成アプリケーションによって実現される可変長設定、縦位置の相対設定、及び、高さの相対設定は、ラベルの印字方向が頭出しの場合でも尻出しの場合でも対応可能である。
【0098】
上述したラベル発行システム1では、サーバ5を介してフォーマットファイルをコンピュータ装置2からプリンタ3に配信する例を示したが、その限りではない。サーバ5を介さずに、コンピュータ装置2から各プリンタ3に直接配信する態様であってもよい。その場合には、コンピュータ装置2のストレージ22にフォーマットファイルを保存した状態で、プリンタ3がフォーマットファイルを受信可能な状態となる。
【符号の説明】
【0099】
1…ラベル発行システム
2…コンピュータ装置
21…制御部
22…ストレージ
23…操作入力部
24…表示部
25…通信部
3…プリンタ
31…制御部
32…ストレージ
33…操作入力部
34…表示部
35…搬送部
36…印字部
37…通信部
5…サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
101…指示ボタン群
102…オブジェクト定ボタン群
103…デザインウィンドウ
104…プロジェクト設定部
105…オブジェクトプロパティ設定部
206…発行データ表示部
LT1~LT3…印字レイアウト
b1~b4,b10~b11,pb1…ボタン
bx1…入力ボックス
g1~g3…プリンタ画面
F,F1…枠線オブジェクト
HD,hd…サイズ変更ハンドル
OBJ1~OBJ52…オブジェクト
ST,ST1~ST4…文字列オブジェクト
T1~T2…表オブジェクト
TL1…呼出しテーブル
W1~W5…ウィンドウ
図1
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