(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004337
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7135 20060101AFI20230110BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230110BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230110BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230110BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230110BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230110BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61K31/7135
A61K8/49
A61K8/44
A61Q11/00
A61K31/198
A61P1/02
A61P43/00 121
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105952
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有田 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】花田 栄
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AC661
4C083AC851
4C083CC41
4C083EE33
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB04
4C086DA31
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA57
4C086NA14
4C086ZA67
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA37
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA77
4C206NA14
4C206ZA67
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】強力なジンジパイン活性抑制効果を奏する口腔用組成物の提供。
【解決手段】銅クロロフィリン塩及びココイルアルギニンエチル塩を含有する口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅クロロフィリン塩及びココイルアルギニンエチル塩を含有する口腔用組成物。
【請求項2】
銅クロロフィリン塩が銅クロロフィリンナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ココイルアルギニンエチル塩がココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
Porphyromonas gingivalisのジンジパイン活性抑制用である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔用組成物等に関する。なお、本明細書に記載される全ての文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
Porphyromonas gingivalis(P.g菌)は歯周炎の発症・進行において最重要視されている歯周病源菌である。
【0003】
P.g菌の産生する代表的な病原性因子として、ジンジパインが知られている。ジンジパインはプロテアーゼの1種で、歯肉上皮細胞間の結合の破壊性や上皮細胞そのものに対する傷害及び/又は増殖阻害、ひいては上皮バリアの破壊及び修復阻害を引き起こす。また、ジンジパインは、貪食細胞による貪食及び細胞内で消化を抑制する効果、並びに、補体系の破壊や上皮細胞内への侵入を助ける効果等も有するとされており、これによってP.g菌の免疫系からの回避にも関与している。さらに、最近では、ジンジパインによる免疫系の抑制効果が、口腔内細菌叢のDysbiosisにつながることが報告されており、これらジンジパインの作用は、歯周病の進行と難治化につながっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/104524号
【特許文献2】特開第2020-090440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような事情のため、歯周病の予防及び/又は治療(特に歯周病進行抑制)のためには、ジンジパイン活性を抑制することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、ジンジパイン活性を抑制する手法を見出すことを目的に研究を行ったところ、銅クロロフィリン塩(例えばナトリウム塩)が効率よくジンジパイン活性を抑制することを見出した。
【0007】
次に、銅クロロフィリン塩に、公知の殺菌成分を組み合わせることで、さらに強力にジンジパイン活性を抑制する手法を開発すべく検討を進めた。しかし、意外なことに、種々の殺菌成分を銅クロロフィリン塩と組み合わせて検討を行っても、ジンジパイン活性抑制効果は高まるどころか、むしろ弱くなってしまうことが多く、銅クロロフィリン塩と組み合わせてジンジパイン活性抑制のために好ましく用いることができる成分を探索することは難航した。
【0008】
しかし、多くの殺菌成分を検討した結果、ココイルアルギニンエチル塩(特にココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸)を銅クロロフィリン塩と組み合わせたときに、ジンジパイン活性抑制効果を強化可能であることを見いだした。
【0009】
本開示は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
銅クロロフィリン塩及びココイルアルギニンエチル塩を含有する口腔用組成物。
項2.
銅クロロフィリン塩が銅クロロフィリンナトリウムである、項1に記載の組成物。
項3.
ココイルアルギニンエチル塩がココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸である、項1又は2に記載の組成物。
項4.
Porphyromonas gingivalisのジンジパイン活性抑制用である、項1~3のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
銅クロロフィリン塩に、さらにココイルアルギニンエチル塩を含有することによって、強力なジンジパイン活性抑制効果を奏する口腔用組成物が提供される。当該口腔用組成物は、抗歯周病のために特に好ましく用いることができる。
【0011】
なお、銅クロロフィリン塩を含有する組成物は緑色を呈する。ただ、当該緑色は、経時的に退色することが多い。しかし、ココイルアルギニンエチル塩を含有することによって、当該退色が抑制されるという効果も奏される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】銅クロロフィリンナトリウムに、各種カチオン性殺菌剤を組み合わせて用いたときの、ジンジパイン活性抑制効果を示す。
【
図2】銅クロロフィリンナトリウム(SSC)及びココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸(CAE)を各濃度で含む水溶液について、経時的な緑色の退色の程度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本開示は、口腔用組成物及びその用途等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本開示は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
【0014】
本開示に包含される口腔用組成物は、銅クロロフィリン金属塩及びココイルアルギニンエチル塩を含有する。当該口腔用組成物を「本開示の口腔用組成物」ということがある。
【0015】
銅クロロフィリン塩としては、金属塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、具体的には例えば銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィリンカリウム等が好ましく挙げられる。
【0016】
ココイルアルギニンエチル塩としては、例えばココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸が好ましく挙げられる。
【0017】
本開示の口腔用組成物における、銅クロロフィリン塩の含有量は、効果が奏される範囲であれば特に限定されず、例えば0.0025質量%以上が好ましい。また、上限も特には限定されないが、例えば0.5質量%以下が例示できる。当該範囲(0.0025~0.5質量%)の上限又は下限は、例えば0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、又は0.45質量%であってもよい。例えば当該は0.005~0.2質量%であってもよい。
【0018】
本開示の口腔用組成物における、ココイルアルギニンエチル塩の含有量は、効果が奏される範囲であれば特に限定されず、例えば0.01質量%以上が好ましい。また、上限も特には限定されないが、例えば1質量%以下が例示できる。当該範囲(0.01~1質量%)の上限又は下限は、例えば0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、又は0.95質量%であってもよい。例えば当該範囲は0.05~0.4質量%であってもよい。
【0019】
本開示の口腔用組成物は、例えば固形組成物、液体組成物でありえる。当該口腔用組成物は、例えば医薬品、医薬部外品として用いることができる。また、形態は、特に限定するものではないが、常法に従って例えば軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、ジェル剤、液剤、スプレー剤、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、ガム剤等の形態(剤形)にすることができる。なかでも、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、軟膏剤、ペースト剤、液剤、ジェル剤等であることが好ましい。
【0020】
本開示の口腔用組成物には、効果を損なわない範囲で、口腔用組成物に配合し得る任意成分を単独で又は2種以上さらに含有してもよい。
【0021】
例えば、界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、例えば、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;グリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレン付加係数が8~10、アルキル基の炭素数が13~15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン付加係数が10~18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤;N-ココイル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤;N-ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.1~5質量%である。
【0022】
また、香味剤として、例えば、メントール、カルボン酸、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネール、α-テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、d-カンフル、d-ボルネオール、ウイキョウ油、ケイヒ油、シンナムアルデヒド、ハッカ油、バニリン等の香料を用いることができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて組成物全量に対して例えば0.001~1.5質量%配合することができる。
【0023】
また、甘味剤として、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p-メトキシシンナミックアルデヒド等を用いることができる。これらは、組成物全量に対して例えば0.01~1質量%配合することができる。
【0024】
さらに、湿潤剤として、例えば、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3―ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等を単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0025】
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等を配合することができる。
【0026】
着色剤として、例えば、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等を配合してもよい。
【0027】
pH調整剤として、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等を配合してもよい。これらは、組成物のpHが4~8、好ましくは5~7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。pH調整剤の配合量は例えば0.01~2重量%であってよい。
【0028】
なお、効果を損なわない範囲において、当該口腔用組成物には、さらに、薬効成分として、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン等のカチオン性殺菌剤、ラウロイルサルコシンナトリウム等のアニオン性殺菌剤、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩、ピリドキシン及びその塩、アスコルビン酸及びその塩、グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、アラントイン、カルバゾクロム、ヒノキチオール、硝酸カリウム、パラチニット、塩(しお)等を、配合してもよい。薬効成分は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。なお、効果を損なわない範囲でさらなる薬効成分を加えるという観点からすれば、効果を損なう可能性のある成分を多く配合することは好ましくなく、制限される訳ではないが、例えば塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジンは0.1%以上配合しないことが好ましい。
【0029】
また、基剤として、例えば、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プラスチベース等を添加することも可能である。
【0030】
また、当該口腔用組成物は、公知の方法または公知の方法から容易に想到する方法により調製することができる。例えば、銅クロロフィリン塩及びココイルアルギニンエチル塩並びに必要に応じてその他の成分を適宜混合することによって調製することができる。
【0031】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
【0032】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0033】
以下、例を示して本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示の実施形態は下記の例に限定されるものではない。なお、以下、銅クロロフィリンナトリウム及び各種殺菌成分の量については濃度w/v%で示すが、用いた液の1mlあたりの質量は1gよりごく僅か大きいものの、およそ1ml≒1gと考えることができるため、当該濃度は質量%(w/w%)と考えて差し支えない。
【0034】
なお、銅クロロフィリンナトリウムをSCCと略記することがある。また、SCCと組み合わせて用いた各種殺菌剤について、次の様に略記することがある。
ココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸:CAE
塩化ベンザルコニウム:BKC
塩酸クロルヘキシジン:CHX
塩化セチルピリジニウム:CPC
【0035】
銅クロロフィリンナトリウムと各種殺菌剤とを組み合わせて用いた際のP.g菌のジンジパイン活性の抑制効果を検討した。すなわち、次のようにして検討した。P.g菌(Porphyromonas gingivalis W83)を変法GAM培地にて培養し、吸光度(O.D(600))=1.0に調整した。この培養した菌液中にジンジパインが含まれる。各濃度に調整した銅クロロフィリンナトリウム及び各種殺菌剤水溶液を、前記菌液に対して1/4量(容量比)添加して3分間放置した。なお、これにより、各種殺菌剤水溶液は、4倍希釈される。
【0036】
3分放置後、PBSで100倍希釈したArg-ジンジパイン(Rgp)の基質(Z-Phe-Arg-MCA;株式会社ペプチド研究所)と混合し、遮光して37℃1時間静置した。なお、Z-Phe-Arg-MCAはBenzyloxycarbonyl-L-phenylalanyl-L-arginine 4-methylcoumaryl-7-amide (Hydrochloride Form)であり、Arg-ジンジパイン(Rgp)活性により切断されて蛍光を発する試薬である。1時間後、蛍光プレートリーダー(Gemini XPS)にて蛍光強度(励起光:380nm、放出光:440nm)を測定した。銅クロロフィリンナトリウム及び各種殺菌剤の濃度がいずれも0μg/mLでの蛍光強度を100%になるように換算し、各濃度の薬剤を処理した際のジンジパイン活性を算出した。なお、各濃度について検討はn=3で行い、算出する値は平均値とした。算出された値が小さいほど、ジンジパイン活性が抑制されたことを示す。
【0037】
結果を
図1に示す。なお、
図1に示す各成分の濃度%は、各成分の水溶液濃度を示している。上記の通り、当該水溶液は4倍希釈して検討に供されているため、実際に検討された溶液中の各成分の濃度は、
図1に示される濃度より4倍薄いことになる。これは、歯磨剤等を使用した場合、唾液等により希釈されることから、実際に口腔内に使用された状態を想定して評価するためである。
【0038】
なお、96穴プレートの各ウェルに、銅クロロフィリンナトリウム及びココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸を各濃度で含む水溶液について、5℃並びに37℃で2日間静置したところ、CAEが含まれない場合には、加温により銅クロロフィリンナトリウムに由来する組成物の緑色が退色した一方、CAEを含む場合には緑色の退色が抑制された。結果を
図2に示す。