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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043375
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】食品撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
A47J27/14 Q
A47J27/14 J
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150958
(22)【出願日】2021-09-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 健一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 正人
(72)【発明者】
【氏名】道田 麻衣子
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA17
4B054AB20
4B054AC13
4B054CC02
4B054CC03
4B054CD02
4B054CE17
4B054CG03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カップの多数個化が容易であるとともに、カップの回転による撹拌をより好適に行うことができる、食品撹拌装置を提供する。
【解決手段】無端状に周回する搬送面を有し、長手方向が水平方向に対し所定の傾斜角度で傾斜するよう配置された無端状搬送装置と、底板と、底板の周縁を囲む側板と、側板の上端に形成される開口と、を有し、食品である主材料が投入される複数のカップと、底板の中心と開口の中心を通る中心線を中心として、カップを回転させる回転機構と、を備え、カップは、搬送面に対して垂直となるよう無端状搬送装置に取り付けられ、回転機構は、一端がカップの底板に固定される回転軸と、回転軸の他端に設けられる永久磁石である従動磁石と、従動磁石と所定間隔を空けて対向する永久磁石である駆動磁石と、駆動磁石を回転させる回転駆動装置と、を有する、食品撹拌装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に周回する搬送面を有し、長手方向が水平方向に対し所定の傾斜角度で傾斜するよう配置された無端状搬送装置と、
底板と、前記底板の周縁を囲む側板と、前記側板の上端に形成される開口と、を有し、食品である主材料が投入される複数のカップと、
前記底板の中心と前記開口の中心を通る中心線を中心として、前記カップを回転させる回転機構と、を備え、
前記カップは、前記搬送面に対して垂直となるよう前記無端状搬送装置に取り付けられ、
前記回転機構は、
一端が前記カップの前記底板に固定される回転軸と、
前記回転軸の他端に設けられる永久磁石である従動磁石と、
前記従動磁石と所定間隔を空けて対向する永久磁石である駆動磁石と、
前記駆動磁石を回転させる回転駆動装置と、を有する、食品撹拌装置。
【請求項2】
前記傾斜角度は、45°以上70°以下である、請求項1に記載の食品撹拌装置。
【請求項3】
前記無端状搬送装置は、
一対の下スプロケットと、
前記一対の下スプロケットよりも高位に設けられる一対の上スプロケットと、
前記一対の下スプロケットおよび前記一対の上スプロケットにそれぞれ巻き掛けられる一対のチェーンと、
前記一対のチェーンに架設して設けられ、前記カップ、前記回転軸および前記従動磁石が固定される複数の取付板と、を有する、請求項1または請求項2に記載の食品撹拌装置。
【請求項4】
前記無端状搬送装置の一端側の上方に設けられ、前記主材料を前記カップに案内する投入シュートと、
前記無端状搬送装置の他端側の下方に設けられ、前記カップから排出された前記主材料を案内する排出シュートと、をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の食品撹拌装置。
【請求項5】
前記投入シュートの上方、下方または内部に設けられ、開閉自在に構成された入口シャッタと、
前記排出シュートの上方、下方または内部に設けられ、開閉自在に構成された出口シャッタと、をさらに備える、請求項4に記載の食品撹拌装置。
【請求項6】
前記カップに洗浄液を噴出して前記カップの洗浄を行う洗浄ノズルをさらに有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の食品撹拌装置。
【請求項7】
前記カップに気体を噴出して前記カップの乾燥を行う乾燥ノズルをさらに有する、請求項6に記載の食品撹拌装置。
【請求項8】
前記無端状搬送装置の下方に設けられ、前記無端状搬送装置によって搬送された少なくとも1つのカップが浸漬する水位まで洗浄液を貯留可能に構成された洗浄槽を有する洗浄装置をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の食品撹拌装置。
【請求項9】
前記カップを加熱するヒータをさらに備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の食品撹拌装置。
【請求項10】
前記主材料は、茹麺である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の食品撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品撹拌装置に関する。特に、本発明は茹麺を撹拌する茹麺撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば茹麺を商品容器に包装するにあたり、茹麺が団子状に固まってしまうのを防止するため、事前に食用油脂等からなるほぐし剤を茹麺にまぶすことが望ましい。そこで、ほぐし剤を茹麺に噴霧してから茹麺を撹拌して、ほぐし剤を茹麺に均一に付着させる茹麺撹拌装置が公知である。
【0003】
特許文献1に開示される茹麺撹拌装置においては、傾斜して配置された支持ベースに対して、茹麺およびほぐし剤が投入される複数のカップが所定間隔で設けられる。支持ベースを回転させることによりカップが位置決めされ、カップを回転させることにより茹麺とほぐし剤とが撹拌され混ざり合わされる。撹拌後、カップは所定の排出位置に位置決めされ、ほぐし剤が付着された茹麺は装置外に排出される。
【0004】
あるいは、茹麺の調味のため、茹麺に調味料等を供給してから茹麺を撹拌して、茹麺と調味料等を均一に混合させる茹麺撹拌装置が公知である。
【0005】
特許文献2に開示される茹麺撹拌装置においては、無端状に周回する搬送装置(以下、無端状搬送装置)がカップの搬送装置として設けられる。水平方向に延びる無端状搬送装置に対して、茹麺とソースや具材が投入される複数のカップが所定間隔で固定される。カップは間歇的に搬送され、茹麺、ソース、具材が順に投下される。そして、カップ内の茹麺、ソースおよび具材は、撹拌棒によって撹拌・混合されたのちに、下方に排出される。
【0006】
また、茹麺を撹拌するにあたっては、特許文献1および特許文献2にそれぞれ開示されるように、カップを回転させて撹拌を行う方法や、カップに撹拌棒を挿入し撹拌棒を動作させて撹拌を行う方法が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3260136号公報
【特許文献2】特開2021-083536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示される茹麺撹拌装置においては、支持ベースを回転させることでカップが位置決めされる。このような茹麺撹拌装置においてカップの個数を増やすためには、支持ベースを大型化せねばならず、装置全体が大型化する上、支持ベースを軸支する回転軸への負荷が大きくなるので、カップの個数の上限には設計上の限界がある。対して、特許文献2に開示される茹麺撹拌装置のように、カップの搬送手段として無端状搬送装置を利用する場合は、カップの個数を増やすことは比較的容易である。
【0009】
撹拌方法の観点からは、カップを回転させて撹拌を行う方法の方が、撹拌棒に食材が絡むことがない点、撹拌の為の機構や制御も比較的単純となる点、メンテナンス性がよい点等で優れている。ここで、カップ自体を回転させて撹拌を行う場合、マグネットカップリングを使用し、カップと回転駆動装置を非接触に接続することが考えられる。マグネットカップリングは、従動磁石と駆動磁石を有し、両者は所定間隔を開けて対向配置される必要がある。具体的に、カップに従動磁石を配置し、従動磁石と対向する位置に所定間隔を開けて駆動磁石を配置することで、磁力によって間接的にカップを回転させることができる。
【0010】
一方、撹拌性を向上させるためには、カップを傾斜して配置することが望ましい。
【0011】
そこで、食品撹拌装置において、カップの搬送装置として無端状搬送装置を利用し、マグネットカップリングを使用してカップを回転させ、かつカップを傾斜して配置させることが望まれる。しかしながら、無端状搬送装置を使用する食品撹拌装置において、カップと回転駆動装置とをマグネットカップリングを介して接続し、かつ水平方向に延びる無端状搬送装置にカップを傾斜して取り付けようとすると、カップと従動磁石との間にギア等の伝達機構を設けて回転の向きを変換しなければならない。ひいては、伝達機構およびその防汚部材が必要となるためコストが増大し、メンテナンス性も悪くなる。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、カップの多数個化が容易であるとともに、カップの回転による撹拌をより好適に行うことができる、食品撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、無端状に周回する搬送面を有し、長手方向が水平方向に対し所定の傾斜角度で傾斜するよう配置された無端状搬送装置と、底板と、底板の周縁を囲む側板と、側板の上端に形成される開口と、を有し、食品である主材料が投入される複数のカップと、底板の中心と開口の中心を通る中心線を中心として、カップを回転させる回転機構と、を備え、カップは、搬送面に対して垂直となるよう無端状搬送装置に取り付けられ、回転機構は、一端がカップの底板に固定される回転軸と、回転軸の他端に設けられる永久磁石である従動磁石と、従動磁石と所定間隔を空けて対向する永久磁石である駆動磁石と、駆動磁石を回転させる回転駆動装置と、を有する、食品撹拌装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る食品撹拌装置においては、無端状搬送装置が傾斜して設けられ、無端状搬送装置の搬送面に対して垂直にカップが固定される。そのため、カップも傾斜して配置されることとなり、撹拌性が向上する。また、カップを回転させるにあたり、従動磁石と駆動磁石を含んで構成されるマグネットカップリングを使用して非接触で回転動力を伝達することができる。このとき、伝達機構を設けて回転の向きを変換する必要がないので、構成を単純にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る食品撹拌装置の概略構成図である。
図2】カップおよび回転機構の拡大図である。
図3】取付板へのカップの配置例を示す。
図4】カップの一例を示す。
図5】カップの一例を示す。
図6】カップの一例を示す。
図7】ヒータを備える食品撹拌装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に説明される各種変形例は、それぞれ任意に組み合わせて実施することができる。
【0017】
なお、本明細書における主材料とは、カップへ最初に投入される食品の総称であり、例えば茹麺であるが、これに限定されない。また、本明細書における麺とは、食用粉を水等と共に練り上げて成形した食品一般をいい、うどん、蕎麦、素麺、冷麦、中華麺、パスタ類、ビーフン、春雨等が含まれる。茹麺は、食品撹拌装置に供給される前に茹で上げられた麺をいう。また、食品撹拌装置内で茹麺と混合されるものを広く副材料といい、副材料にはほぐし剤以外のものも含まれる。具体的に、副材料は、水、食用油脂、調味料(香辛料、ハーブ、薬味等も含む)、ソース(固形物を有するものも含む)、食品添加物を含む。
【0018】
食品撹拌装置1は、前工程装置91から供給された主材料を副材料とともに撹拌混合し、後工程装置93へと排出する装置である。特に、本実施形態の食品撹拌装置1は、主原料を茹麺とする茹麺撹拌装置である。図1に示されるように、本実施形態の食品撹拌装置1は、無端状搬送装置2と、カップ3と、回転機構4と、入口シャッタ51と、投入シュート52と、材料ノズル53と、排出シュート54と、出口シャッタ55と、洗浄ノズル56と、乾燥ノズル57と、洗浄装置6と、制御装置7と、を備える。
【0019】
無端状搬送装置2は、無端状に周回する搬送面Sを有する装置である。本実施形態においては、無端状搬送装置2は具体的にはチェーンコンベアであり、一対の下スプロケット21と、下スプロケット21よりも高位に設けられる一対の上スプロケット23と、下スプロケット21および上スプロケット23にそれぞれ巻き掛けられる一対のチェーン25と、を有する。一対のチェーン25に挟まれる領域が搬送面Sを構成する。カップ3は、一対のチェーン25に架設して設けられる取付板27に固定され、搬送面S上を間歇的に移動し、位置決めされる。なお、無端状搬送装置2は、無端状に周回する搬送面Sを有しているものであればよく、ベルトコンベア等他の搬送装置が使用されてもよい。無端状搬送装置2は、大型化が容易であり、搬送するカップ3の数を比較的多くすることができる。カップ3を多数個設けることで生産性が向上する。また、副材料の数を増やすことも容易となり、より多様な食品の製造に食品撹拌装置1を利用することが可能となる。
【0020】
無端状搬送装置2は、長手方向が水平方向に対し所定の傾斜角度θで傾斜するよう配置される。無端状搬送装置2の傾斜配置は、後述するカップ3の垂直配置と合わせて撹拌性を向上させる作用を有するが、水平方向における設置面積も少なくできるという利点も有する。撹拌性を上げる上では、カップ3は真横を向いていることが望ましく、すなわち、カップ3の傾斜角度は0°に近い方が望ましい。一方で、カップ3に主材料を投入しやすくするとともに、カップ3から主材料および副材料が漏出するのを防ぐ上で、撹拌中のカップ3はある程度上方を向いている必要がある。以上のことから、無端状搬送装置2の上側に配置されるカップ3の傾斜角度は、例えば、20°以上45°以下となるように配置される。換言すれば、無端状搬送装置2の傾斜角度θは、例えば、45°以上70°以下が好ましい。本実施形態では、無端状搬送装置2の傾斜角度θは、約55°である。なお、本実施形態の無端状搬送装置2は、主材料が投入される側が低位、主材料および副材料が排出される側が高位となるよう傾斜されるが、主材料が投入される側が高位、主材料および副材料が排出される側が低位となるよう傾斜されてもよい。
【0021】
カップ3は、主材料および副材料が投入され、撹拌中、主材料および副材料を保持する容器である。カップ3は複数個設けられ、所定の間隔毎に搬送面Sに対して垂直となるよう、無端状搬送装置2に取り付けられる。前述の通り、無端状搬送装置2は所定の傾斜角度θで傾斜しており、搬送面Sに対して垂直に取り付けられるカップ3もまた傾斜するので、撹拌性が向上する。すなわち、カップ3が傾斜して配置されることで、カップ3の回転に伴い、カップ3内部で下方に位置する主原料が上方に持ち上げられ、その後重力で落下する動作が連続的に行なわれる。これにより、効率よく撹拌を行うことができる。図2に示されるように、カップ3は、底板31と、底板31の周縁を囲む側板33と、側板33の上端に形成される開口35と、を有している。
【0022】
回転機構4は、カップ3を回転させ、撹拌を行う装置である。より具体的には、回転機構4は、底板31の中心と開口35の中心を通る中心線を中心として、カップ3を回転させる。図2に示されるように、回転機構4は、回転軸41と、従動磁石43と、駆動磁石45と、回転駆動装置47と、を有する。回転軸41は取付板27に軸支され、一端がカップ3の底板31に固定される。すなわち、カップ3は回転軸41を介して取付板27に取り付けられる。カップ3と回転軸41と接続するにあたっては、クランプバンド等の締結・締結解除が容易な締結部材49が使用されることが望ましい。このようにすれば、メンテナンス等でカップ3を取り外すことがあっても、容易に作業を行うことができる。回転軸41の他端には、永久磁石である従動磁石43が設けられる。駆動磁石45は永久磁石であり、従動磁石43と所定間隔を空けて対向する。すなわち、従動磁石43と駆動磁石45とは、マグネットカップリングを構成する。駆動磁石45の回転に伴い、従動磁石43は磁力により回転し、回転軸41を介してカップ3が回転する。回転駆動装置47は、駆動磁石45毎に設けられる。回転駆動装置47は、駆動磁石45を回転可能な任意のアクチュエータを有する装置であればよいが、例えば、モータと、モータの動力を駆動磁石45に伝える伝達機構と、を有する。
【0023】
このように、本実施形態の回転機構4は、マグネットカップリングを使用し、非接触で回転動力を伝達できるよう構成される。このような回転機構4は、防水性が高い点で優れている。また、取付板27を介してチェーン25に接続される部材を、カップ3および回転機構4の従動側のみにできるので、無端状搬送装置2に係る負荷を軽減できる。さらに、カップ3を容易に装置から取り外せるよう構成することができ、メンテナンス性が向上する。
【0024】
なお、回転機構4は、カップ3の回転方向を切換え可能に構成されてもよい。カップ3の正転・逆転を適宜切り換えることで、より好適に撹拌を行うことができる。なお、カップ3の位置毎に正転・逆転が切り換えられてもよいし、1つの位置において正転・逆転が切り換えられてもよい。
【0025】
回転機構4の従動側、すなわち回転軸41および従動磁石43は、カップ3毎に1つずつ設けられ、カップ3とともに取付板27に固定される。回転機構4の駆動側、すなわち駆動磁石45および回転駆動装置47は、カップ3が位置決めされる位置毎に、不図示の支持部材等を介して無端状搬送装置2の内側に保持される。なお、駆動磁石45および回転駆動装置47が設けられるのは、カップ3の回転が必要な位置のみであってよい。換言すれば、カップ3が位置決めされる位置の全てにおいて、駆動磁石45および回転駆動装置47を設けなくてもよい。
【0026】
カップ3、回転軸41および従動磁石43が固定された取付板27を1セットとして、複数の取付板27が所定間隔毎に一対のチェーン25に架設される。なお、図3に示されるように、1つの取付板27に複数のカップ3、回転軸41および従動磁石43が固定されてもよい。このようにすれば、よりカップ3の個数を増やすことができる。なお、このように1つの取付板27に複数のカップ3、回転軸41および従動磁石43を取り付ける場合は、駆動磁石45、回転駆動装置47、入口シャッタ51、投入シュート52、材料ノズル53、排出シュート54、出口シャッタ55、洗浄ノズル56、乾燥ノズル57といった他の部材も適宜カップ3の個数に応じて増設される。
【0027】
なお、カップ3は単純な円筒形状であってもよいが、図4から図6に示されるように、側板33の底板31側および開口35側の少なくとも一方が、内側に傾斜していてもよい。底板31側の側板33を内側に傾斜させることで、撹拌性を向上させることができる。開口35側の側板33を内側に傾斜させることで、主材料および副材料がカップ3から漏出することを抑制することができる。また、好適に撹拌し、主材料と副材料との混合を効率的に行うために、カップ3内部に主材料が移動する際に衝突する障害物が設けられてもよい。例えば、図4に示されるように棒状の突起37が設けられてもよいし、図5および図6に示されるように平板状の羽根39が設けられてもよい。
【0028】
また、食品撹拌装置1は、カップ3を加熱可能に構成されたヒータ8をさらに備えてもよい。図7に示されるように、本実施形態のヒータ8は、具体的には、カップ3の下方に底板31に対して近接して設けられ、不図示の支持部材等を介して所定位置に固定される。また、カップ3は図7の紙面手前から奥方向に無端状搬送装置2によって搬送されるが、搬送時に回転機構4と干渉しないよう、ヒータ8はカップ3の中央を避けて配置される。ヒータ8は、カップ3の加熱が必要な位置にのみ設けられればよく、すなわち、カップ3が位置決めされる全ての位置に設けられなくてもよい。ヒータ8は、カップ3の加熱が可能な限りにおいて種々の方式のものが採用可能であるが、誘導加熱器、ガスバーナ、輻射加熱器等、非接触加熱が可能であるものが望ましい。非接触式のヒータ8を使用することでヒータ8の位置を固定することができ、加熱に際してヒータ8を移動させる必要がない。ヒータ8を設けることで、加熱調理を行いながら撹拌を行うことができ、食品撹拌装置1の使用用途を拡大できる。本実施形態の回転機構4においては、従動側で発生した熱が駆動側に直接的に伝わることがなく、また、マグネットカップリングは耐熱性が高いため、カップ3を加熱したとしても不都合が発生する虞が少ない。
【0029】
カップ3は間歇的に搬送され、搬送面S上の所定位置に位置決めされるが、以下において特に、搬送面S上に設定されたカップ3に対して、生産中に所定の動作が行われる位置をカップ位置と呼ぶ。本実施形態においては、カップ位置は、カップ3に主材料が投入される主材料投入位置と、カップ3に副材料が投入される副材料投入位置と、主材料と副材料の混合撹拌が行われる撹拌位置と、カップ3から主材料および副材料が排出される排出位置と、カップ3の洗浄が行われる洗浄位置と、カップ3の乾燥が行われる乾燥位置と、を有する。
【0030】
主材料投入位置の上方には、入口シャッタ51および投入シュート52が設けられる。入口シャッタ51は、前工程装置91から供給された主材料を一時的にせき止めることができるシャッタである。本実施形態の入口シャッタ51は、主材料が通過する筒体と、揺動して筒体の底部を開閉する一対の閉塞部材と、閉塞部材を揺動させる駆動装置と、を有する。ただし、入口シャッタ51としては、スライド式、回転式等、種々の方式のシャッタが採用可能である。本実施形態では、入口シャッタ51は投入シュート52の上方に設けられるが、投入シュート52の下方または内部に設けられてもよい。投入シュート52は、無端状搬送装置2の一端側の上方に設けられ、前工程装置91から供給された主材料を主材料投入位置におけるカップ3に案内する。
【0031】
本実施形態の食品撹拌装置1においては、無端状搬送装置2が傾斜して設けられているため、前工程装置91との位置関係によっては、比較的高い位置から主材料が食品撹拌装置1に対して投下される場合がある。入口シャッタ51によりカップ3に近い位置で一旦主材料をせき止めその後投下することで、カップ3や回転機構4に負荷がかかることや、カップ3から主材料が溢れ出ることを防止することができる。また、カップ3への主材料の投入タイミングも調整が可能となる。
【0032】
なお、主材料投入位置の近辺に材料ノズル53等の投入手段を設け、主材料投入位置においてもカップ3に副材料を供給してもよい。また、主材料投入位置に駆動磁石45および回転駆動装置47を設け、主材料投入位置においてもカップ3の回転を行ってもよい。主食材が例えば茹麺であるとき、主材料投入位置においても撹拌することで茹麺のほぐしをより好適に行うことができる。
【0033】
副材料投入位置の近辺には、材料ノズル53が設けられる。材料ノズル53は、副材料投入位置におけるカップ3に副材料を供給する。なお、副材料の種類に応じて、材料ノズル53に代えてシュータ等の他の投入手段が設けられてもよい。また、副材料の数に応じて、副材料投入位置は複数箇所設定されてもよい。材料ノズル53は不図示の開閉弁を介して不図示の材料タンクおよびポンプと接続され、副材料の供給開始および供給停止が所望のタイミングで切換可能に構成される。
【0034】
なお、副材料投入位置に駆動磁石45および回転駆動装置47を設け、副材料投入位置においてもカップ3の回転を行うことが望ましい。
【0035】
撹拌位置においては、駆動磁石45および回転駆動装置47が設けられる。撹拌位置におけるカップ3が回転され、主材料と副材料の混合撹拌が行われる。副材料投入位置においても撹拌を行う場合は撹拌位置を設定することは任意であるが、1以上の撹拌位置を設けることでより好適に撹拌を行うことができる。
【0036】
排出位置の下方には、排出シュート54および出口シャッタ55が設けられる。排出シュート54は、無端状搬送装置2の他端側の下方に設けられ、排出位置におけるカップ3から排出された主材料および副材料を後工程装置93に案内する。出口シャッタ55は、カップ3から供給された主材料および副材料を一時的にせき止めることができるシャッタである。本実施形態の出口シャッタ55は、主材料および副材料が通過する筒体と、揺動して筒体の底部を開閉する一対の閉塞部材と、閉塞部材を揺動させる駆動装置と、を有する。ただし、出口シャッタ55としては、スライド式、回転式等、種々の方式のシャッタが採用可能である。本実施形態では、出口シャッタ55は排出シュート54の下方に設けられるが、排出シュート54の上方または内部に設けられてもよい。
【0037】
本実施形態の食品撹拌装置1においては、無端状搬送装置2が傾斜して設けられているため、後工程装置93との位置関係によっては、比較的高い位置から主材料および副材料が後工程装置93に対して投下される場合がある。出口シャッタ55により後工程装置93に近い位置で一旦主材料および副材料をせき止めその後投下することで、後工程装置93に設置される容器等から主材料および副材料が溢れ出ることを防止することができる。また、後工程内93への主材料および副材料の排出タイミングも調整が可能となる。
【0038】
なお、排出位置に駆動磁石45および回転駆動装置47を設け、排出位置においてもカップ3の回転を行うことが望ましい。
【0039】
洗浄位置の近辺には、洗浄ノズル56が設けられる。洗浄ノズル56は、洗浄位置におけるカップ3に洗浄液を噴出してカップ3の洗浄を行う。洗浄液は、例えば、水、洗剤または熱湯である。洗浄液は複数種類を切り換えて使用してもよいし、洗浄位置によって異なる洗浄液を使用してもよい。洗浄位置を設定することは任意であるが、1以上の洗浄位置を設けることでより衛生的に生産を行うことができる。洗浄ノズル56は不図示の開閉弁を介して不図示の洗浄液源と接続され、洗浄液の噴出開始および噴出停止が所望のタイミングで切換可能に構成される。
【0040】
なお、洗浄位置に駆動磁石45および回転駆動装置47を設け、洗浄位置においてもカップ3の回転を行うことが望ましい。
【0041】
乾燥位置の近辺には、乾燥ノズル57が設けられる。乾燥ノズル57は、乾燥位置におけるカップ3に気体を噴出してカップ3の乾燥を行う。気体は、例えば、高圧エアまたは温風である。乾燥位置を設定することは任意であるが、1以上の乾燥位置を設けることで洗浄に使用した洗浄液がカップ3に残ることを防ぐことができる。乾燥ノズル57は不図示の開閉弁を介して不図示の気体源と接続され、気体の噴出開始および噴出停止が所望のタイミングで切換可能に構成される。
【0042】
なお、乾燥位置に駆動磁石45および回転駆動装置47を設け、乾燥位置においてもカップ3の回転を行うことが望ましい。
【0043】
洗浄装置6は、無端状搬送装置2の下方に設けられ、非生産時におけるカップ3の洗浄を行う装置である。洗浄装置6は、洗浄槽61と、洗浄槽61に洗浄液Lを供給する供給口63と、洗浄槽61から洗浄液Lを排出する排出口65と、洗浄槽61内の洗浄液Lの水位を一定に保つオーバーフロー口67と、を有する。洗浄装置6を使用する際、洗浄槽61には、無端状搬送装置2によって搬送された少なくとも1つのカップ3が浸漬する水位まで、洗浄液Lが貯留される。洗浄液Lは例えば熱湯であり、洗浄装置6はカップ3を煮沸消毒する装置であってもよい。洗浄液Lとして熱湯が使われる場合は、洗浄槽61に水を加熱するためのヒータを設けてもよいし、装置外で加熱した水を洗浄装置6に供給してもよい。また、洗浄液Lとして熱湯に代えて、洗剤等が使用されてもよい。洗浄装置6は、生産時、すなわち主材料と副材料の混合撹拌を行うときには使用しない。換言すれば、生産時においては、洗浄槽61には洗浄液Lを貯留しない。
【0044】
制御装置7は、食品撹拌装置1を操作して種々の制御を行う。具体的に、制御装置7は、無端状搬送装置2を駆動させてカップ3の位置決めを行い、回転機構4を駆動させてカップ3の回転を行う。また、制御装置7は、入口シャッタ51および出口シャッタ55を制御し、主材料の投下ならびに主材料および副材料の排出を行う。また、材料ノズル53、洗浄ノズル56、乾燥ノズル57をそれぞれ制御し、副材料の供給、カップ3の洗浄、カップ3の乾燥を行う。制御装置7は、所望の制御を実現する限りにおいて、ハードウェアとソフトウェアを任意に組み合わせて構成されてよい。
【0045】
ここで、以上に説明した本実施形態の食品撹拌装置1による撹拌方法について説明する。本実施形態において、カップ3は、主材料投入位置、副材料投入位置、撹拌位置、排出位置、洗浄位置、乾燥位置の順に位置決めされる。各位置における動作は平行して行われるが、以下の説明では1つのカップ3に着目して動作を説明する。
【0046】
まず、主材料投入位置に位置決めされたカップ3に対し、前工程装置91から入口シャッタ51および投入シュート52を介して主材料が投入される。このとき、材料ノズル53等を介してカップ3に副材料が投入されてもよい。また、主材料投入位置においても、カップ3の回転が行われてもよい。所定時間経過後、無端状搬送装置2により、カップ3は次の位置に移動される。
【0047】
次に、副材料投入位置に位置決めされたカップ3に対し、材料ノズル53等を介してカップ3に副材料が投入される。カップ3は回転機構4により回転し、主材料と副材料が混合撹拌される。所定時間経過後、副材料投入位置が複数設けられている場合は、次の副材料投入位置でも同様の動作が行われる。全ての副材料投入位置での動作を終えた後、無端状搬送装置2により、カップ3は次の位置に移動される。
【0048】
撹拌位置に位置決めされたカップ3は回転機構4により回転し、主材料と副材料が混合撹拌される。所定時間経過後、撹拌位置が複数設けられている場合は、次の撹拌位置でも同様の動作が行われる。全ての撹拌位置での動作を終えた後、無端状搬送装置2により、カップ3は次の位置に移動される。
【0049】
排出位置に位置決めされたカップ3は開口35が下方を向くので、主材料および副材料がカップ3から排出される。このとき、排出を促進させるため、カップ3を回転機構4により回転させることが望ましい。カップ3から排出された主材料および副材料は、排出シュート54および出口シャッタ55を介して、後工程装置93へと送られる。所定時間経過後、無端状搬送装置2により、カップ3は次の位置に移動される。
【0050】
主材料および副材料の排出後、洗浄位置に位置決めされたカップ3に対して洗浄が行われる。洗浄位置においては、カップ3に対し洗浄ノズル56から洗浄液が噴出され、カップ3に付着した汚れが洗い流される。このとき、回転機構4はカップ3を回転させ、カップ3内にまんべんなく洗浄液が当たるようにすることが好ましい。所定時間経過後、無端状搬送装置2により、カップ3は次の位置に移動される。
【0051】
洗浄後、乾燥位置に位置決めされたカップ3に対して乾燥が行われる。乾燥位置においては、カップ3に対し乾燥ノズル57から気体が噴出され、カップ3に付着した水分が乾燥される。このとき、回転機構4はカップ3を回転させ、カップ3内にまんべんなく気体が当たるようにすることが好ましい。所定時間経過後、無端状搬送装置2により、カップ3は次の位置に移動される。
【0052】
以上の動作が繰り返され、主材料と副材料の撹拌混合が連続して行われる。なお、排出位置から洗浄位置までの間、乾燥位置から主材料投入位置までの間は、特にカップ3に対して動作を行う必要はない。
【0053】
また、生産後、洗浄装置6を使用してカップ3の洗浄を行ってもよい。例えば、洗浄槽61に洗浄液Lとして熱湯を貯留し、無端状搬送装置2を駆動させることで、熱湯内をカップ3が連続的に通過する。このようにして、カップ3を取り外すことなく、カップ3の洗浄を行うことができる。
【0054】
本発明は、既にいくつかの例が具体的に示されているように、図面に示される実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 食品撹拌装置
2 無端状搬送装置
3 カップ
4 回転機構
6 洗浄装置
8 ヒータ
21 下スプロケット
23 上スプロケット
25 チェーン
31 底板
33 側板
35 開口
27 取付板
41 回転軸
43 従動磁石
45 駆動磁石
47 回転駆動装置
51 入口シャッタ
52 投入シュート
54 排出シュート
55 出口シャッタ
56 洗浄ノズル
57 乾燥ノズル
61 洗浄槽
L 洗浄液
S 搬送面
θ 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7