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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043382
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】紙葉類収納装置および紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/00 20060101AFI20230322BHJP
   B65B 5/06 20060101ALI20230322BHJP
   G07D 11/13 20190101ALI20230322BHJP
   B65B 25/14 20060101ALI20230322BHJP
   B65B 7/02 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B65B51/00 Z
B65B5/06
G07D11/13
B65B25/14 A
B65B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150969
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳内 英知
(72)【発明者】
【氏名】竹村 揚一
【テーマコード(参考)】
3E003
3E028
3E049
3E094
3E141
【Fターム(参考)】
3E003AA05
3E003AB03
3E003BA07
3E003BC03
3E003BD05
3E003DA02
3E003DA03
3E028AA05
3E028BB01
3E028CA07
3E028EA02
3E028HA02
3E049AA06
3E049BA10
3E049DB01
3E049DB08
3E049EB01
3E049EC10
3E094AA12
3E094BA14
3E094CA01
3E094CA32
3E094DA06
3E094HA03
3E141AA01
3E141FC14
(57)【要約】
【課題】紙葉類を収納する収納袋の封止時に、入口部分に掛かる張力を効果的に低減することができる紙葉類収納装置および紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】本開示の紙葉類収納装置は、紙葉類を収納する収納袋の所定部分を封止する封止部と、前記所定部分に掛かっている張力を低減させる張力低減部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を収納する収納袋の所定部分を封止する封止部と、
前記所定部分に掛かっている張力を低減させる張力低減部と、
を備える、紙葉類収納装置。
【請求項2】
前記張力低減部は、前記所定部分よりも収納方向における奥側において、前記収納袋を外部から挟み込んで閉塞する閉塞部を有し、
前記閉塞部は、前記収納袋を閉塞させる第1位置と、前記第1位置よりも前記収納袋を閉塞させる度合いが小さい第2位置とに移動する、
請求項1に記載の紙葉類収納装置。
【請求項3】
前記封止部は、前記閉塞部が前記収納袋を閉塞する動作に合わせて、前記収納袋を封止する封止位置まで移動する、
請求項2に記載の紙葉類収納装置。
【請求項4】
前記閉塞部は、前記収納方向に直交する第1方向に沿って前記収納袋を挟んで配置され、互いに対向して移動する第1閉塞部および第2閉塞部を有し、
前記第1方向における、前記第2位置における前記第1閉塞部と前記第2閉塞部との距離は、前記第1位置における前記第1閉塞部と前記第2閉塞部との距離よりも大きい、
請求項2または3に記載の紙葉類収納装置。
【請求項5】
前記第1閉塞部および前記第2閉塞部は、前記収納方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って互いに平行に延びる部材であり、前記第2方向に沿った長さが、前記第2方向に沿った前記収納袋の長さより短い、
請求項4に記載の紙葉類収納装置。
【請求項6】
前記張力低減部は、前記収納袋に収納されている前記紙葉類の量に応じて、前記第2位置における前記第1閉塞部と前記第2閉塞部との距離を調整する、
請求項4または5に記載の紙葉類収納装置。
【請求項7】
前記張力低減部は、前記収納袋の少なくとも一部分を収納方向における手前側に向かって引っ張る引張部を有し、
前記引張部は、前記封止部よりも収納方向における奥側に配置されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項8】
複数の前記引張部が、前記収納方向に対して互いに対称に設けられており、
前記収納袋を引っ張っているときの、前記複数の引張部の前記収納方向における位置は同じ位置である、
請求項7に記載の紙葉類収納装置。
【請求項9】
前記引張部は、横断面が円形の突起形状に形成されている、
請求項7または8に記載の紙葉類収納装置。
【請求項10】
前記張力低減部は、前記収納袋に収納されている前記紙葉類の量に応じて前記引張部に引っ張らせる前記収納袋の引張量を調整する、
請求項7または8に記載の紙葉類収納装置。
【請求項11】
前記収納袋は、前記紙葉類の収納方向が水平になるように取り付けられ、
前記紙葉類は、前記収納袋の内部に立てた姿勢で押し込まれる、
請求項1から10のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項12】
前記収納袋を取り付ける取付部をさらに備える、
請求項1から11のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項13】
紙葉類を受け入れる受入部と、
受け入れた前記紙葉類を収納する、請求項1から12のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置と、
を備える、紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類を収納する紙葉類収納装置、および紙葉類収納装置を有する紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券、または紙幣などの紙葉類を収納袋に収納する紙葉類収納装置が普及している。例えば特許文献1には、収納袋の中に紙葉類を送り込み、積層した状態で収納する装置が開示されている。また、特許文献2には、より多くの紙葉類を収納袋に収納するため、紙葉類を収納袋に送り込んだ後にピストンを用いて紙葉類を圧縮する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-146142号公報
【特許文献2】欧州特許第2979983号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収納袋に紙葉類の収納が完了した後、収納袋の入口を封止する必要がある。紙葉類を圧縮するために紙葉類に圧力を加えると、収納袋の内面が紙葉類に引っ張られて収納袋の入口部分に張力が掛かる。封止した箇所は強度的に弱くなることから、大きな張力が掛かった状態で収納袋の封止を行うと、封止した箇所から収納袋が破れてしまうことがある。
【0005】
特許文献2に開示された技術では、紙葉類を圧縮した後、収納袋の入口部分を完全に閉じる前に、封止部材を用いてあらかじめ完全には閉じない程度に入口部分を閉じておき、収納袋の底部を上昇させて入口部分を閉じることで、入口部分の張力を低減することが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示された技術では、封止部材を用いて収納袋を引っ張ることで、入口部分をあらかじめ閉じている。このため、入口部分をあらかじめ閉じる際、封止部材に大きな力が掛かる。これにより、封止部材が壊れたり、封止部材の取り付け方向がずれたりして、封止部材による収納袋の正確な封止が困難となることがある。
【0007】
本開示は、紙葉類を収納する収納袋の封止時に、入口部分に掛かる張力を効果的に低減することができる紙葉類収納装置および紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の紙葉類収納装置は、紙葉類を収納する収納袋の所定部分を封止する封止部と、前記所定部分に掛かっている張力を低減させる張力低減部と、を備える。
【0009】
本開示の紙葉類収納装置において、前記張力低減部は、前記所定部分よりも収納方向における奥側において、前記収納袋を外部から挟み込んで閉塞する閉塞部を有し、前記閉塞部は、前記収納袋を閉塞させる第1位置と、前記第1位置よりも前記収納袋を閉塞させる度合いが小さい第2位置とに移動してもよい。
【0010】
本開示の紙葉類収納装置において、前記封止部は、前記閉塞部が前記収納袋を閉塞する動作に合わせて、前記収納袋を封止してもよい。
【0011】
本開示の紙葉類収納装置において、前記閉塞部は、前記収納袋を挟んで配置され、前記収納袋を挟み込むように互いに対向して移動する第1閉塞部および第2閉塞部を有し、前記第2位置における前記第1閉塞部と前記第2閉塞部との距離は、前記第1位置における前記第1閉塞部と前記第2閉塞部との距離よりも大きくてもよい。
【0012】
本開示の紙葉類収納装置において、前記第1閉塞部および前記第2閉塞部は、前記収納方向に直交する第1方向に互いに平行に延びる部材であり、前記第1方向に沿った長さが、前記第1方向に沿った前記収納袋の長さより短くてもよい。
【0013】
本開示の紙葉類収納装置において、前記張力低減部は、前記収納袋に収納されている前記紙葉類の量に応じて、前記第2位置における前記第1閉塞部と前記第2閉塞部との距離を調整してもよい。
【0014】
本開示の紙葉類収納装置において、前記張力低減部は、収納袋の少なくとも一部分を収納方向における手前側に向かって引っ張る引張部を有し、前記引張部は、前記封止部よりも収納方向における奥側に配置されていてもよい。
【0015】
本開示の紙葉類収納装置において、複数の前記引張部が、前記収納方向に対して互いに対称に設けられており、前記収納袋を引っ張っているときの、前記複数の引張部の前記収納方向における位置は同じ位置であってもよい。
【0016】
本開示の紙葉類収納装置において、前記引張部は、横断面が円形の突起形状に形成されていてもよい。
【0017】
本開示の紙葉類収納装置において、前記張力低減部は、前記収納袋に収納されている前記紙葉類の量に応じて前記引張部に引っ張らせる前記収納袋の引張量を変更してもよい。
【0018】
本開示の紙葉類収納装置において、前記収納袋は、前記紙葉類の収納方向が水平になるように取り付けられ、前記紙葉類は、前記収納袋の内部に立てた姿勢で押し込まれてもよい。
【0019】
本開示の紙葉類収納装置において、前記収納袋を取り付ける取付部をさらに備える。
【0020】
本開示の紙葉類処理装置は、紙葉類を受け入れる受入部と、受け入れた前記紙葉類を収納する、上記の紙葉類収納装置と、を備える。
【0021】
本開示の紙葉類収納装置において、前記接触部の前記収納袋と接触する部分は、角がない形状に形成されている。
【0022】
本開示の紙葉類処理装置は、紙葉類を受け入れる受入部と、受け入れた前記紙葉類を収納する、上記の紙葉類収納装置と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、紙葉類を収納する収納袋の封止時に、入口部分に掛かる張力を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る紙葉類収納装置が備える構成について説明する図
図2】第2の実施の形態における紙葉類収納装置が備える構成について説明する図
図3】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の機能ブロック図
図4】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図5】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図6】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図7】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図8】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図9】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図10】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図11】第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置の収納時の動作を説明するための図
図12】収納袋が取り付けられた状態の紙葉類収納装置の上面図
図13A】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置の構成を説明するための図
図13B】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置の構成を説明するための図
図14】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置の機能ブロック図
図15】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置の封止時の動作を説明するための図
図16】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置の封止時の動作を説明するための図
図17】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置の封止時の動作を説明するための図
図18】第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置の封止時の動作を説明するための図
図19】第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置が備える構成について説明するための図
図20】第4の実施の形態に係る紙葉類収納装置の全体構成を示す図
図21】第4の実施の形態において、圧縮部、保持部、および規制部を、収納方向における奥側から見た図
図22】第4の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明する図
図23】第4の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明する図
図24】第4の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明する図
図25】第4の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明する図
図26】第4の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明する図
図27】第4の実施の形態における、紙葉類収納装置の紙葉類収納時の動作例について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。また、各実施の形態において共通する構成については同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
【0026】
<第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る紙葉類収納装置が備える構成について説明する図である。図1に示すように、紙葉類収納装置1は、取付部11と、圧縮部21と、封止部12と、張力低減部70と、を備える。
【0027】
取付部11は、紙葉類500を収納するための収納袋600を取り付けて固定する。紙葉類収納装置1には、一対の取付部11が設けられている。以下の説明において、一対の取付部11のうち、一方から他方へ向かう方向を第1方向とする。また、紙葉類500が収納袋600に収納される際に移動する方向、すなわち、収納袋600の入口から内部へ向かう方向を収納方向とする。第1方向と収納方向とは互いに直交する方向である。図1は、第1方向および、第1方向に直交する収納方向を含む平面における紙葉類収納装置1の断面図である。
【0028】
収納袋600は、例えば樹脂、不織布、紙などで形成されており、一方に入口が設けられている袋である。収納袋600の材料としては、樹脂、不織布、紙などが挙げられるが、用途に合わせた材料が適宜使用されてもよい。
【0029】
取付部11には、収納袋600の入口部分が取り付けられる。収納袋600の入口部分以外の本体部分は、取付部11に取り付けられた入口部分から収納方向に沿って配置される。なお、紙葉類500とは、例えば紙幣、有価証券など、所定の大きさを有する紙類である。
【0030】
圧縮部21は、収納袋600の外部から内部に向かって紙葉類500を押し込む。紙葉類500は、圧縮部21により、表面または裏面が収納方向に直交する状態で押し込まれる。また、圧縮部21は、収納袋600の内部に収納された紙葉類に対して、収納方向に沿った圧縮力を与える。これにより、紙葉類500は、収納袋600に内部において、互いに積層された状態で収納される。
【0031】
封止部12は、収納袋600の所定部分を外部から挟み込み、封止する。封止部12が収納袋600を封止する方法については既知の方法を採用することができる。例えば、収納袋600の少なくとも入口部分の内面が樹脂などで形成されている場合、封止部12は所定部分に熱を加えて溶着することにより収納袋600を封止する。また、封止部12は、収納袋600の入口部分に圧力を加えて圧着することにより、収納袋600を封止してもよいし、ステープラーのように器具を用いて収納袋600を封止してもよい。
【0032】
封止部12が封止する収納袋600の所定部分は、収納袋600の取付部11に取り付けられた入口部分よりも収納方向における奥側、かつ、収納袋600の内部に収納された紙葉類500よりも収納方向における手前側の部分である。封止部12が収納袋600を封止する所定部分の位置は、あらかじめ決められていてもよいし、例えば収納袋600の内部に収納されている紙葉類500の量などに応じて、適宜変更されてもよい。
【0033】
張力低減部70は、封止部12が封止する収納袋600の所定部分に掛かる張力を低減させる。張力低減部70は、封止部12とは独立した構成である。
【0034】
圧縮部21が収納袋600内部の紙葉類500に対して圧縮力を加えているため、紙葉類500と収納袋600の内面との接触箇所の摩擦により、収納袋600には大きな張力が掛かる。封止部12が所定部分を封止する際に熱を加えるなどの処理を行うと、一時的に所定部分の強度が弱くなることがある。収納袋600に張力が掛かった状態で所定部分の強度が封止のために弱くなると、収納袋600が所定部分で破れてしまうことがある。
【0035】
張力低減部70は、収納袋600への紙葉類500の収納が完了してから、封止部12が所定部分を封止するまでの間に、少なくとも所定部分に掛かる張力を低減させることにより、封止時における収納袋600の破損を防止する。
【0036】
張力低減部70が、具体的にどのように所定部分の張力を低減するか、については、以降の各実施の形態にて詳細に説明する。
【0037】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る紙葉類収納装置1では、収納袋600への紙葉類500の収納が完了してから、封止部12が所定部分を封止するまでの間に、張力低減部70が、少なくとも所定部分に掛かる張力を低減させる。これにより、封止時に収納袋600が所定部分で破損してしまう事態を防止することができる。
【0038】
また、張力低減部70は、封止部12とは独立して設けられた構成であるため、張力低減部70が所定部分の張力を低減させる際、封止部12に大きな力が掛かるなどの不利益を防止することができる。
【0039】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、張力低減部70が、封止部12が収納袋600を封止する前に収納袋600を閉じる閉塞部71を有する形態について説明する。
【0040】
なお、以下の説明では、収納袋600が、紙葉類収納装置1に対して横向きに取り付けられている。横向きとは、収納袋600の入口が上下方向に対して垂直な方向を向いている状態を意味する。すなわち、収納袋600への紙葉類500の収納方向が水平方向となるように、収納袋600が紙葉類収納装置1に取り付けられる。
【0041】
なお、以下の説明における上下方向とは、水平面に設置された紙葉類収納装置1における上下方向である。すなわち、上下方向は、本開示における第1方向の一例である。また、以下の説明における左右方向とは、水平面に設置された紙葉類収納装置1を、収納方向における手前側から見た場合の左右方向である。すなわち、左右方向は、本開示における第2方向の一例である。
【0042】
また、以下の説明において、収納方向における奥側とは、収納方向において収納袋600の底部(最奥部)に近い側であり、収納方向における手前側とは、収納方向において収納袋600の底部から離れる側である。
【0043】
本第2の実施の形態において、紙葉類500は、横向きに取り付けられた収納袋600に対し、立った状態で積層して収納される。紙葉類500が立った状態とは、紙葉類500の表面および裏面が、上下方向に対して垂直な方向を向いた状態である。
【0044】
図2は、第2の実施の形態における紙葉類収納装置1が備える構成について説明する図である。図2に示すように、封止部12よりも収納方向における奥側に、閉塞部71が設けられている。閉塞部71は、収納方向に直交する上下方向に沿って、収納袋600を挟んで配置される。
【0045】
閉塞部71は、封止部12による封止の前に、収納袋600を外部から挟み込んで閉じる。この際、収納袋600を挟んで配置された一対の閉塞部71が、互いに対向して移動する。閉塞部71が収納袋600を閉じる部分は、封止部12が封止する所定部分よりも収納方向における奥側、かつ、収納袋600の内部に収納されている、収納方向における最も手前側の紙葉類500よりも手前側の部分である。なお、閉塞部71および封止部12の動作は、後述する制御部50によって制御される。
【0046】
閉塞部71は、収納袋600より上側に配置されている第1閉塞部71Aと、収納袋600より下側に配置されている第2閉塞部71Bと、を有する。収納袋600の所定部分に掛かる張力を低減するために、第1閉塞部71Aと第2閉塞部71Bとが上下方向に互いに接近することにより、閉塞部71は収納袋600の入口を閉じる。
【0047】
また、図2に示すように、封止部12は、収納袋600より上側に配置されている第1封止部12Aと、収納袋600より下側に配置されている第2封止部12Bと、を有する。封止部12が収納袋600の入口を封止する際には、第1封止部12Aと第2封止部12Bとが上下方向に互いに接近する。
【0048】
そして、圧縮部21の上下方向における中心部に、収納袋600内部の紙葉類500を圧縮した状態で保持する保持部22が設けられている。保持部22は、収納方向に沿って圧縮部21とは独立して移動可能に構成されている。図2に示す例では、圧縮部21は収納袋600の内部から退避しているが、保持部22の収納方向における奥側の先端部は、収納袋600の内部において、圧縮された紙葉類500を保持している。保持部22は、例えば板状、または棒状の部材であり、圧縮部21の上下方向の中心部には、保持部22を通す隙間、または穴が設けられている。
【0049】
次に、第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の動作について説明する。
【0050】
図3は、第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の機能ブロック図である。図3において、実線により接続されている構成同士は、互いに電気的に接続されている。また、図3において、破線の矢印は、駆動力が供給される様子を示している。
【0051】
図3に示すように、紙葉類収納装置1は、制御部50と、駆動部60と、張力低減部70と、を備える。制御部50は、駆動部60および張力低減部70の制御を行う。制御部50は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサである。
【0052】
駆動部60は、制御部50の制御に基づいて封止部12、圧縮部21、および保持部22の少なくとも一つに駆動力を供給する。駆動部60は、例えばモーターなどである。図3に示す例では、1つの駆動部60が封止部12、圧縮部21、および保持部22に駆動力を供給しているが、駆動部が封止部12、圧縮部21、および保持部22毎に設けられていてもよい。
【0053】
張力低減部70は、閉塞部71と、駆動部72と、を有する。張力低減部70の駆動部72は、制御部50の制御に基づいて閉塞部71に駆動力を供給する。なお、図3では駆動部60と張力低減部70の駆動部72とを別体の構成として示したが、駆動部60と駆動部72とは一体であってもよい。
【0054】
図4から図11は、第2の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の収納時の動作を説明するための図である。図4から図11は、図2などと同様、紙葉類収納装置1の上下方向および、上下方向に直交する収納方向を含む平面における断面図である。
【0055】
図4は、上下一対の取付部11のそれぞれに、上下に開口された収納袋600の入口部分のそれぞれが取り付けられた状態を示している。
【0056】
この状態で、図5に示すように、制御部50の制御に基づき駆動部60が供給する駆動力により、圧縮部21および保持部22が動作し、収納方向における手前側から、収納袋600の内部側へ向かって紙葉類500を押し込む。収納方向における最も奥側の紙葉類500が収納袋600の最奥部に到達すると、圧縮部21は、収納袋600の内部の紙葉類500に対して圧縮力を加える。これにより、収納袋600の内部で紙葉類500が圧縮される。
【0057】
次に、図6に示すように、圧縮部21が収納方向における手前側に退避する。ここで、保持部22は退避せず、紙葉類500を圧縮された状態で保持する。
【0058】
次に、図7に示すように、制御部50の制御に基づき駆動部72が供給する駆動力により、一対の閉塞部71が制御部50の収納袋600を上下から挟み込み、収納袋600の入口部分を閉じる。この際、一対の封止部12も、閉塞部71が収納袋600を閉じる動作に合わせて、収納袋600を上下から挟み込み、収納袋600を封止する位置である封止位置に移動する。なお、閉塞部71が収納袋600を閉じる動作と、封止部12が封止位置に移動する動作とは、別々に行われてもよいが、閉塞部71が収納袋600を閉じる動作に合わせて封止部12が封止位置に移動する動作が行われることにより、紙葉類収納装置1の収納時の動作に要する時間を短縮できる。
【0059】
このような動作により、保持部22の先端部が収納袋600の内部で紙葉類500を保持した状態のまま、収納袋600の入口部分がある程度閉じられる。この段階において、第1閉塞部71Aと第2閉塞部71Bとは、保持部22の上下方向の厚みと同程度の距離、互いに離れている。
【0060】
次に、図8に示すように、保持部22が収納方向における手前側に退避する。ほぼ同時に、図9に示すように、閉塞部71が第1位置に移動し、収納袋600を閉じる。第1位置は、収納袋600を介して一対の閉塞部71同士が接触する位置である。保持部22が退避しても、紙葉類500は、閉塞部71が収納袋600を閉じることによって紙葉類500が接触する収納袋600の内面によって保持される。このため、保持部22が退避した後も、紙葉類500の圧縮状態は維持される。
【0061】
その後、図10に示すように、閉塞部71は、第1位置よりも収納袋600を閉塞させる度合いが小さい第2位置へ移動する。第2位置は、第1閉塞部71Aと第2閉塞部71Bとの距離が第1位置よりも大きい位置である。これにより、紙葉類500の圧縮状態が維持されたまま、封止部12が接する所定部分において収納袋600に掛かる張力が低減される。
【0062】
なお、第2位置における、第1閉塞部71Aと第2閉塞部71Bとの距離は、例えば収納袋600に収納されている紙葉類500の量(枚数)に応じて、適宜調整可能であってもよい。具体的には、制御部50が駆動部60を制御して閉塞部71を移動させるとき、収納袋600に収納された紙葉類500の枚数が比較的多い場合には、当該距離を比較的大きくし、紙葉類500の枚数が比較的少ない場合には、当該距離を比較的小さくすればよい。このような制御により、封止部12が封止する所定部分において収納袋600に掛かる張力を低減する度合いを調節することができる。
【0063】
そして、図11に示すように、封止部12が収納袋600を所定部分で封止する。これにより、紙葉類収納装置1における収納時の動作が完了する。
【0064】
このように、紙葉類収納装置1の収納時の動作において、閉塞部71は、図9のように閉塞の度合いが比較的大きい第1位置に移動して一旦収納袋600を閉じてから、図10のように閉塞の度合いが比較的小さい第2位置に移動する。すなわち、閉塞部71は、図9において一度収納袋600を閉じた後、図10において収納袋600を少し開く。このような動作により、封止部12が接する収納袋600の所定部分における収納袋600の張力を低減させることができる。
【0065】
紙葉類収納装置1の収納時の各動作時点において、収納袋600に掛かる張力について考える。図9に示すように、一対の閉塞部71が第1位置に移動して収納袋600を閉じるとき、それぞれの閉塞部71は収納袋600と接触した上で、互いに接近する方向に移動する。これにより、収納袋600の閉塞部71と接触する部分には、閉塞部71が互いに接近することによって生じる張力が掛かる。
【0066】
その後、図10に示すように、一対の閉塞部71が第2位置に移動するとき、閉塞部71は互いに離れる方向に移動する。これにより、収納袋600が閉塞部71により閉塞される度合いは、閉塞部71が第1位置にあるときよりも小さくなる。このため、閉塞部71と接触する部分において、収納袋600に掛かる張力は、閉塞部71が第1位置にあるときよりも小さくなる。
【0067】
図9などに示すように、閉塞部71が収納袋600を挟み込んで閉じるとき、封止部12も閉塞部71の動作に合わせて互いに接近し、封止位置まで移動する。収納袋600からみた場合、閉塞部71と封止部12とは、ほぼ同時に同方向に移動するため、収納袋600の閉塞部71と接触する部分と、封止部12と接触する所定部分との間には、張力は発生しない。したがって、上記説明したような閉塞部71の動作により、封止部12が封止する所定部分における収納袋600の張力を低減することができる。
【0068】
言い換えると、閉塞部71が第1位置に移動して収納袋600を閉じることにより、収納袋600の封止部12と接触する所定部分における余長が一旦少なくなった後、閉塞部71が第2位置に移動することで、所定部分における収納袋600の余長が改めて確保される。
【0069】
これにより、封止部12が所定部分において、収納袋600の封止動作を行う際には、所定部分における収納袋600の張力は比較的小さくなっているため、封止動作により所定部分の強度が低下しても、当該所定部分における収納袋600の破損を防止できる。
【0070】
図12は、収納袋600が取り付けられた状態の紙葉類収納装置1の上面図である。図12に示すように、取付部11、第1封止部12A、および第1閉塞部71Aは、左右方向に延びる部材である。図12には示されていないが、下方に配置されている第2封止部12B、および第2閉塞部71Bも、それぞれ第1封止部12A、および第1閉塞部71Aに平行に配置されており、左右方向に延びる部材である。
【0071】
閉塞部71の左右方向に沿った長さは、収納袋600の左右方向の長さ(幅)以下である。これにより、紙葉類収納装置1全体の横幅を、収納袋600の横幅と同程度とすることができ、紙葉類収納装置1を比較的小型化することができる。ただし、閉塞部71の左右方向に沿った長さを収納袋600の横幅よりも短くしすぎると、閉塞部71が収納袋600をしっかりと閉じることができなくなるため、収納袋600の横幅よりも少し短くする程度とすればよい。
【0072】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、張力低減部70が、第2の実施の形態にて説明した閉塞部71の代わりに、収納袋600の一部を収納方向における手前側に引っ張る引張部73を有する形態について説明する。
【0073】
第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様、収納袋600は、紙葉類収納装置1に対して横向きに取り付けられている。そして、紙葉類500は、横向きに取り付けられた収納袋600に対し、立った状態で積層して収納される。
【0074】
図13Aおよび図13Bは、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の構成を説明するための図である。図13Aおよび図13Bは、紙葉類収納装置1の上面図である。図13Aは、紙葉類収納装置1に収納袋600が取り付けられる前の様子を示しており、図13Bは、紙葉類収納装置1に収納袋600が取り付けられた様子を示している。
【0075】
図13Aに示すように、紙葉類収納装置1は、取付部11と、封止部12と、圧縮部21と、引張部73と、を備える。図示はしていないが、圧縮部21の上下方向における中心部には、第2の実施の形態と同様に保持部22が設けられている。
【0076】
引張部73は、封止部12よりも収納方向における奥側に設けられており、収納方向に沿って移動可能である。引張部73は、収納袋600の後述する穴部602に嵌め入れられる。これにより、引張部73が移動することで、収納袋600を移動方向に引っ張ることができる。引張部73は、例えば収納方向に沿って設けられたレール上を移動可能に構成されている。
【0077】
図13Aに示すように、2つの引張部73が、収納方向に対して互いに対称に設けられている。図13Aに示す例では、引張部73は2つ設けられているが、収納方向に対して互いに対称であれば、より多くの引張部73が設けられてもよい。2つの引張部73の収納方向における位置は、引張部73が移動しても、常に同じ位置である。これにより、2つの引張部73は、収納袋600を、左右均等に引っ張ることができる。
【0078】
引張部73は、例えばピンのように、横断面が円形の突起形状に形成されている。これにより、引張部73が収納袋600の穴部602に嵌め入れられ、収納袋600を引っ張るとき、穴部602に掛かる負荷を低く抑えることができる。
【0079】
第3の実施の形態では、図13Bに示すように、収納袋600の左右両端部に、バッグスカート601が設けられている。収納袋600は、上側のシート材料と下側のシート材料とが底部および左右の縁部から少し内側にて貼り合わされることによって形成される。これにより、収納袋600の左右両端部には、上下のシート材料が貼り合わされている貼り合わせ箇所よりも外側に、シート材料の余りが存在する。バッグスカート601は、貼り合わせ箇所よりも外側のシート材料の余りの箇所を指す。言い換えると、バッグスカート601は、収納袋600の内部の紙葉類500を収納する空間とは独立した箇所であり、貼り合わせ箇所から突出した平面状の部材である。
【0080】
なお、上述の説明では、収納袋600が2枚のシート材料が貼り合わされて形成される例について説明したが、本開示において、収納袋は異なる方法により形成されてもよい。例えば、1枚のシート材料の両端同士を貼り合わせて構成される円筒形状の底部を塞ぐ事によって収納袋が構成されてもよい。また、1枚のシート材料を長手方向の中央部で折り畳み、両端部同士を貼り合わせることで収納袋が構成されてもよい。
【0081】
バッグスカート601には、引張部73が嵌め入れられる穴部602が設けられている。穴部602に嵌め入れられた引張部73が収納方向に沿って移動することで、収納袋600が引っ張られる。
【0082】
収納袋600において、2つのバッグスカート601が、収納方向に対して対称に設けられている。2つのバッグスカート601のそれぞれに穴部602が設けられており、取付部11に取り付けられた収納袋600において、2つの穴部602の収納方向における位置は、同じ位置である。
【0083】
次に、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の動作について説明する。
【0084】
図14は、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の機能ブロック図である。図14において、実線により接続されている構成同士は、互いに電気的に接続されている。また、図14において、破線の矢印は、駆動力が供給される様子を示している。
【0085】
図14に示すように、張力低減部70は、駆動部72と、引張部73と、を有する。張力低減部70の駆動部72は、制御部50の制御に基づいて引張部73に駆動力を供給する。なお、図14では駆動部60と張力低減部70の駆動部72とを別体の構成として示したが、駆動部60と駆動部72とが一体に構成されていてもよい。
【0086】
図15から図18は、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の封止時の動作を説明するための図である。図15から図18は、図13Aなどと同様、紙葉類収納装置1の上
面図である。
【0087】
図15は、取付部11に収納袋600の入口部分が取り付けられ、引張部73が穴部602に嵌め入れられた状態を示している。
【0088】
この状態で、図16に示すように、制御部50の制御に基づき駆動部60が供給する駆動力により、圧縮部21および保持部22が動作し、収納方向における手前側から、収納袋600の内部側へ向かって紙葉類500を押し込む。図16では、収納袋600の内部の様子が、破線で示されている。収納方向における最も奥側の紙葉類500が収納袋600の最奥部に到達すると、圧縮部21は、収納袋600の内部の紙葉類500に対して圧縮力を加える。これにより、収納袋600の内部で紙葉類500が圧縮される。
【0089】
なお、収納袋600に紙葉類500を収納する際に、引張部73は、収納袋600に収納された紙葉類500のうち、収納方向における最も手前側の紙葉類500よりも手前側の位置となるように移動する。
【0090】
次に、図17に示すように、圧縮部21が収納方向における手前側に退避する。ここで、保持部22は退避せず、紙葉類500を圧縮された状態で保持する。
【0091】
この状態で、図18に示すように、2つの引張部73が収納方向に沿って、手前側に所定距離移動する。これにより、収納袋600の穴部602周辺の部分も、引張部73に引っ張られて、収納方向手前側に所定距離移動する。引張部73は、図16において収納方向における最も手前側の紙葉類500よりも手前側に移動しているため、このような動作により、収納袋600において、封止部12と接触する所定部分と、最も手前側の紙葉類500と接触する部分との間に余長が発生する。
【0092】
所定距離は、封止部12が収納袋600を封止する所定部分に掛かる張力を低減するために設定される距離である。例えば制御部50が、収納袋600に収納された紙葉類500の量に基づいて、所定距離を設定すればよい。例えば、制御部50が駆動部60を制御して引張部73を移動させるとき、収納袋600に収納された紙葉類500の枚数が比較的多い場合には、所定距離を比較的大きくし、紙葉類500の枚数が比較的少ない場合には、所定距離を比較的小さくすればよい。このような制御により、封止部12が接する所定部分において収納袋600に掛かる張力を低減する度合いを調節することができる。
【0093】
なお、引張部73が移動する距離が大きすぎると、所定部分に掛かる張力は低減できるものの、所定部分における収納袋600の余長が大きくなりすぎ、撓んだり皺が寄ったりしてしまう。このため、例えば予め紙葉類500の量に応じた最適な所定距離に関するデータを実験などにより求めて図示しない記憶部などに記憶しておき、制御部50は当該データを参照して所定距離を決定するようにしてもよい。
【0094】
そして、保持部22が収納方向における手前側に退避するとともに封止部12が収納袋600を上下から挟み込んだ後、封止部12が収納袋600の所定部分を封止する。
【0095】
このように、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1では、引張部73が収納方向手前側に所定距離移動して収納袋600の穴部602の周辺部分を収納方向手前側に引っ張ることで、収納袋600の穴部602よりも収納方向手前側において余長が発生する。封止部12が収納袋600を封止する所定部分は、穴部602よりも収納方向手前側であるため、所定部分にも余長が発生する。これにより、所定部分に過度の張力が掛かることにより、封止時に収納袋600が所定部分において破損してしまう事態を防止できる。
【0096】
また、第3の実施の形態に係る紙葉類収納装置1では、収納袋600を取り付ける取付部11とは別に、収納袋600を引っ張る引張部73を設けている。引張部73が移動しても取付部11は移動しないので、引張部73が収納方向における手前側に移動することで、収納袋600の取付部11と接触する部分と引張部73と接触する部分との間で、確実に余長を発生させることができる。
【0097】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、上記説明した各実施の形態に係る紙葉類収納装置1を有する紙葉類処理装置100について説明する。
【0098】
紙葉類処理装置100は、紙葉類の入金処理、または出金処理など、様々な処理を行う装置である。以下の説明では、紙葉類処理装置100の後述する受入部103が配置された側を前とし、その反対側を後とする。また、前後方向と直交する水平方向を左右方向とする。
【0099】
図19は、第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置100が備える構成について説明するための図である。図19に示すように、紙葉類処理装置100は略直方体形状の筐体101を有している。筐体101の内部には、上部ユニット101Aおよび下部ユニット101Bが収容されている。
【0100】
上部ユニット101Aには、操作部102と、受入部103と、投出部104と、搬送部105と、識別部106と、収納繰出部107と、が設けられている。
【0101】
筐体101の上部には、操作部102が設けられている。操作部102は、紙葉類処理装置100の利用者による操作を受け付ける。紙葉類処理装置100は、操作部102に対する利用者に操作に応じて各種処理を行う。操作部102は、例えば液晶ディスプレイなどの表示部に重ねられたタッチパネルであってもよい。この場合、表示部は、利用者に紙葉類処理装置100に行わせる処理を選択させる画面、または、紙葉類処理装置100内に収納されている紙葉類500の量(枚数または合計金額など)を表示する。
【0102】
筐体101の前面上部には、受入部103が設けられている。受入部103は、筐体101の外部から内部に紙幣を投入するための受入ホッパ等を有する。また、受入部103の下方には、筐体101の内部から外部に紙幣を投出するための投出部104が設けられている。
【0103】
受入部103は、利用者によりセットされた、1枚以上の紙葉類からなる紙葉類群を受け入れる。受入部103には、紙葉類群を構成する紙葉類を1枚ずつ筐体101の内部に繰り出すための繰出機構103Aが設けられている。繰出機構103Aから1枚ずつ繰り出された紙葉類は、搬送部105によって1枚ずつ搬送される。
【0104】
搬送部105を構成する搬送路上に、識別部106が設けられている。識別部106は、搬送部105によって搬送される紙葉類の金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態などを識別する。
【0105】
また、搬送部105における識別部106の後段には、収納繰出部107(一時保留部)が設けられている。収納繰出部107は、搬送部105から搬送されてきた紙葉類を一時的に収納するとともに、収納した紙葉類を1枚ずつ搬送部105に繰り出す。これにより、収納繰出部107に収納された紙幣を、収納繰出部107から下部ユニット101Bに設けられた紙葉類収納装置1に搬送することができる。なお、収納繰出部107は、例えばテープリール式の繰出装置により構成されている。
【0106】
搬送部105には投出部104が接続されている。紙葉類処理装置100の出金処理などの際には、搬送部105によって必要な量の紙葉類が投出部104に一時的に集積される。投出部104は筐体101の外部からアクセス可能となっており、利用者は投出部104に集積された紙葉類を筐体101の前面から取り出すことができる。
【0107】
搬送部105における投出部104との接続箇所には羽根車104Aが設けられている。羽根車104Aの回転により、羽根車104Aの羽根の間に挟まれた紙葉類が投出部104に集積される。
【0108】
下部ユニット101Bには、紙葉類収納装置1が設けられている。図20は、第4の実施の形態に係る紙葉類収納装置1の全体構成を示す図である。紙葉類収納装置1では、パウチ袋などの収納袋600が横向きに取り付けられ、紙葉類が立った状態で積層して収納される。紙葉類が立った状態とは、紙葉類の表面および裏面が上下方向に対して垂直な方向を向いた状態である。
【0109】
図20に示す例では、収納袋600の入口が、紙葉類処理装置100の前側を向くように取り付けられているが、本開示はこれに限定されず、例えば収納袋600の入口は紙葉類処理装置100の左側、右側、後ろ側、またはその他の上下方向に対して垂直な方向を向いていてもよい。
【0110】
図20に示すように、紙葉類収納装置1は、取付ユニット10と、移動ユニット20と、スライド部30と、制御部50と、駆動部60と、張力低減部70と、を備える。図20では、図19と同様に、紙葉類収納装置1は収納袋600の入口が前側を向くように配置されている様子が示されている。すなわち、図20における右側が、紙葉類収納装置1の前側、図20における左側が、紙葉類収納装置1の後側である。図20において、紙葉類収納装置1の前側から後ろ側に向かう方向は、上述した各実施の形態における収納方向と同じ方向である。
【0111】
取付ユニット10は、収納袋600が取り付けられるユニットである。移動ユニット20は、搬送部105によって搬送されてきた紙葉類500を、立った状態のまま収納方向に沿って移動させ、収納袋600の内部に収納するユニットである。
【0112】
取付ユニット10は、取付部11と、封止部12と、ステージ13と、蓋部14と、を有する。
【0113】
ステージ13は、横向きに取り付けられた収納袋600の入口から最奥部までの深さを調節する部材である。ステージ13は、取付ユニット10の内部に、収納方向に沿って移動可能に設けられている。ステージ13は、例えば制御部50の制御に基づいて、駆動部60が供給する駆動力によって移動する。
【0114】
ステージ13の左右方向または上下方向における中央付近には、隙間が設けられている。この隙間には、収納袋600の収納方向奥側の一部が通される。このため、ステージ13を移動させることで、収納袋600の内部に収納できる紙葉類500の量を調節することができるとともに、収納袋600の収納に使用しない余り部分をステージ13の隙間よりも収納方向奥側に収めることができる。図20では、ステージ13の隙間が、上下方向における中央付近に設けられた例が示されている。
【0115】
ステージ13の隙間に収納袋600の余り部分が収められていることにより、上述した第2および第3の実施の形態のように、張力低減部70は、封止部12が収納袋600を封止する所定部分に余長を発生させやすくなる。
【0116】
具体例を上げて説明する。第2の実施の形態において、閉塞部71が収納袋600を閉じる第1位置へ移動するとき、この移動に伴い、閉塞部71よりも収納方向奥側の収納袋600が手前側に引っ張られる(図9参照)。この際、ステージ13の隙間に収められている余り部分が、閉塞部71の移動により引っ張られる距離に応じて、収納方向手前側に引き出される。この状態で、閉塞部71が第2位置に移動することにより、閉塞部71により収納袋600が引っ張られる度合いが減るため、ステージ13から引き出された分の長さを、余長として、収納袋600の閉塞部71より収納方向手前側において発生させることができる(図10参照)。
【0117】
また、第3の実施の形態において、引張部73が収納袋600を収納方向手前側に引っ張るとき(図18参照)、ステージ13の隙間に収められている余り部分が、引張部73により引っ張られる距離に応じて、収納方向手前側に引き出される。これにより、ステージ13から引き出された分の長さを、余長として、収納袋600の引張部73より収納方向手前側において発生させることができる。
【0118】
図20の説明に戻る。取付ユニット10の上面には開口が設けられている。この開口には、開閉可能な蓋部14が設けられている。蓋部14は、例えば蝶番によって開閉可能となっており、紙葉類処理装置100の利用者の手によって開閉される。紙葉類収納装置1が設けられた下部ユニット101Bが紙葉類処理装置100に収納されているときには、蓋部14は閉じられた状態である。後述するように、取付ユニット10はスライド部30により、筐体101の外部に引き出すことができるが、取付ユニット10が筐体101から引き出されたとき、利用者は、蓋部14を開くことにより、紙葉類収納装置1の内部、特に取付部11に容易にアクセスできる。これにより、利用者は、収納袋600を取付ユニット10へ容易に取り付けることができる。
【0119】
移動ユニット20は、図20に示すように、圧縮部21と、保持部22と、規制部23と、繰出部24と、を有する。移動ユニット20は、取付ユニット10の収納方向における手前側、すなわち取付部11が配置されている側に、取付ユニット10と隣接して配置されている。圧縮部21、保持部22、規制部23は、それぞれ、制御部50の制御に基づいて、駆動部60が供給する駆動力によって移動する。なお、1つの駆動部60が圧縮部21、保持部22、規制部23に駆動力を供給してもよいし、それぞれ異なる駆動部がそれぞれ駆動力を供給してもよい。
【0120】
規制部23は、移動ユニット20と取付ユニット10との境界付近に設けられ、移動ユニット20の内部の紙葉類500が収納袋600の内部へ移動することを規制する部材である。規制部23は、圧縮部21による収納袋600への紙葉類500の移動が行われないときには、紙葉類500の移動を規制することで、意図せず紙葉類500が収納袋600の内部へ入り込んでしまうことを防止する。また、規制部23は、圧縮部21により収納袋600への紙葉類500の移動が行われるときには、規制を解除する。
【0121】
規制部23は、図20に示すように、上下に分割された構造を有する。規制部23の上側の部位は、上向きに移動できるように構成され、規制部23の下側の部位は、下向きに移動できるように構成されている。これにより、規制部23は開閉可能となっている。図20には、閉じた状態の規制部23の位置が実線で、開いた状態の規制部23の位置が破線で、それぞれ示されている。
【0122】
次に、圧縮部21、保持部22、および規制部23について詳細に説明する。図21は、圧縮部21、保持部22、および規制部23を、収納方向における奥側から見た図である。
【0123】
図21に示すように、圧縮部21の収納方向奥側の端部は、格子状に形成されている。このような形状により、圧縮部21は、立った状態の紙葉類500を効率よく押すことができる。
【0124】
図21に示すように、規制部23は上下に分割されており、かつ、それぞれが櫛歯形状に形成されている。図21では、規制部23が閉じた状態が示されている。このような構成により、規制部23は、閉じた状態において、紙葉類500の収納方向における奥側への移動を規制することができる。また、規制部23は、開いた状態において、紙葉類500の収納方向における奥側への移動を規制しないようにすることができる。
【0125】
また、図21に示すように、圧縮部21の収納方向における奥側の先端部は、閉じた状態の規制部23の櫛場形状の隙間を通ることができる格子状に形成されている。このため、圧縮部21は、立った状態の紙葉類500を効率よく押すことができる。
【0126】
繰出部24は、搬送部105により搬送された紙葉類500を、移動ユニット20の内部に繰り出す。繰出部24は、制御部50の制御に基づいて繰り出し動作を行う。繰出部24は、例えば回転する羽根を有しており、紙葉類500に対して収納方向における奥側に向かって勢いをつけて移動ユニット20の内部に繰り出すようになっている。これにより、繰出部24によって繰り出された紙葉類500は、閉じた状態の規制部23の収納方向手前側に立った状態で積層される。
【0127】
スライド部30は、取付ユニット10を紙葉類処理装置100の筐体101の外部までスライド移動させる部位である。下部ユニット101Bの前後左右いずれかの壁面には、開閉可能な扉が設けられており、スライド部30により、利用者は、開いた扉から取付ユニット10を筐体101の外部まで引き出すことができる。このため、利用者は、取付ユニット10に対して収納袋600の取り付けまたは取り外しの作業を容易に行うことができる。
【0128】
スライド部30は、例えばスライドレール部材である。図19に示す例では、スライド部30は前後方向に沿って設けられており、筐体101の前側または後ろ側に設けられた扉から取付ユニット10を引き出させることができる。なお、スライド部30は、取付ユニット10とともに、移動ユニット20をスライド移動させる構成であってもよい。この場合、取付ユニット10をスライド移動させるスライド部と、移動ユニット20とを移動させるスライド部とが別々に設けられていてもよい。
【0129】
図22から図27を用いて、紙葉類収納装置1における、収納袋600へ紙葉類500を収納する動作について詳細に説明する。図22から図27は、収納袋600に所定枚数の紙葉類を収納する場合の紙葉類収納装置1の動作を、ステップ毎に示した図である。図22から図27では、説明に登場しない閉塞部71および封止部12の図示を省略している。
【0130】
まず、図22に示すように、繰出部24により、移動ユニット20の内部空間である一時保留部SPに所定量の紙葉類500が繰り出され、規制部23にもたれるようにして保留される(ステップS1)。なお、図22に示す例では、収納袋600の内部に予めある程度の量の紙葉類500が収納されており、取付ユニット10のステージ13は収納されている紙葉類500の量に合わせた位置まで移動している。
【0131】
図23に示すように、所定量の紙葉類500が保留されると、規制部23が開かれる(ステップS2)。
【0132】
図24に示すように、規制部23が開かれると、圧縮部21が紙葉類500を収納方向奥側に向かって押し、収納袋600の内部まで移動させる(ステップS3)。なお、規制部23にもたれるようにして保留されていた紙葉類500は、規制部23が開かれると予め収納袋600の内部に収納されている紙葉類500によって一時的に保持され、倒れてしまわないようになっている。例えば新しく取付ユニット10に取り付けられた収納袋600に初めて紙葉類500を収納する場合など、収納袋600の内部に紙葉類500が存在しない場合には、ステージ13が収納方向における最も手前側まで移動することにより、規制部23が開かれても紙葉類500が倒れないようにすることができる。
【0133】
圧縮部21は収納方向奥側への移動を継続し、収納袋600に収納された紙葉類500を押し続ける。圧縮部21の収納方向奥側への移動は、圧縮部21の先端部が所定の収納位置へ到達するまで継続する。図25では、圧縮部21の先端部が収納位置へ到達した様子を示している。なお、収納袋600の内部に収納された紙葉類500の厚みによって、圧縮部21の先端部が収納位置まで到達できない場合には、図25に示すように、ステージ13が収納方向奥側へ移動することにより、圧縮部21の先端部を収納位置に到達させる(ステップS4)。
【0134】
収納方向における圧縮部21の先端部の位置が所定の収納位置となった後も、圧縮部21を収納方向奥側へ移動させる駆動力は継続して供給される。これにより、収納袋600の内部において、紙葉類500は圧縮部21によって圧縮される。なお、所定の収納位置とは、例えば、規制部23よりも若干収納方向における奥側の位置である。
【0135】
収納方向における圧縮部21の先端部の位置が所定の収納位置となった後、圧縮部21に対する駆動力の供給が停止され、圧縮部21の収納方向における位置が固定される。この状態で、図26に示すように、規制部23が閉じられる(ステップS5)。
【0136】
図27に示すように、規制部23が閉じると、規制部23の隙間(図21参照)を通って、圧縮部21全体が収納方向手前側に向かって戻る(ステップS6)。これにより、収納袋600の内部において、圧縮部21による圧縮力がなくなった紙葉類500は収納方向手前側に戻ろうとするが、規制部23によって移動ユニット20の内部まで戻ることはできない。これにより、収納袋600への紙葉類500の収納が完了する。
【0137】
このように収納袋600への紙葉類500の収納が完了した後、第2の実施の形態または第3の実施の形態にて説明したように、封止部12による収納袋600の封止動作が行われる。当該封止動作の際に、張力低減部70によって、封止部12が封止する収納袋600の所定部分に掛かる張力が低減されることは、第2の実施の形態または第3の実施の形態にて説明した通りである。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本開示は、紙葉類の収納を行う紙葉類収納装置を含む紙葉類処理装置に有用である。
【符号の説明】
【0139】
1 紙葉類収納装置
10 取付ユニット
11 取付部
12 封止部
12A 第1封止部
12B 第2封止部
13 ステージ
14 蓋部
20 移動ユニット
21 圧縮部
22 保持部
23 規制部
24 繰出部
30 スライド部
50 制御部
60 駆動部
70 張力低減部
71 閉塞部
71A 第1閉塞部
71B 第2閉塞部
72 駆動部
73 引張部
100 紙葉類処理装置
101 筐体
101A 上部ユニット
101B 下部ユニット
102 操作部
103 受入部
103A 繰出機構
104 投出部
104A 羽根車
105 搬送部
106 識別部
107 収納繰出部
500 紙葉類
600 収納袋
601 バッグスカート
602 穴部
図1
図2
図3
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図13A
図13B
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図27