(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043389
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150983
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】丹野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智史
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA28
4B055CA24
4B055CA90
4B055CB02
(57)【要約】
【課題】簡単な構造によって内釜に炊飯に必要な量の水を自動で投入可能な炊飯器を提供する。
【解決手段】本体ケース2と、本体ケース2に着脱自在に収容する内釜5と、内釜5の上部を覆う内蓋7と、内蓋7を着脱自在に収容し、内釜5の上部開aを開閉する外蓋6と、内蓋7を加熱する加熱コイル9と、を備える。内釜5に調理に必要な水を供給するための水を貯留する水タンク4と、水タンク4から内釜5に水を供給する水導入管および水送出管32と、内蓋7に設けられ、内釜5と内蓋7によって覆われる調理空間Q内に水を供給する水投入口30と、水投入口30を調理空間Q側から覆うようとともに水投入口30を開閉するカバー33と、を備える。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、
前記本体ケースに着脱自在に収容する鍋状容器と、
前記鍋状容器の上部を覆う内蓋と、
前記内蓋を着脱自在に収容し、前記鍋状容器の上部開口を開閉する外蓋と、
前記鍋状容器を加熱する第1の加熱手段と、を備え、
前記鍋状容器に調理に必要な水を供給するための水を貯留する水タンクと、
前記水タンクから前記鍋状容器に前記水を供給する供給経路と、
前記内蓋に設けられ、前記鍋状容器と前記内蓋によって覆われる調理空間内に、前記水を供給する水投入口と、
前記水投入口を前記調理空間側から覆うとともに当該水投入口を開閉するカバーと、
を備えることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
本体ケースと、
前記本体ケースに着脱自在に収容する鍋状容器と、
前記鍋状容器の上部を覆う内蓋と、
前記内蓋を着脱自在に収容し、前記鍋状容器の上部開口を開閉する外蓋と、
前記鍋状容器を加熱する第1の加熱手段と、を備え、
前記本体ケースまたは前記外蓋に、調理に必要な水を本体外から供給するための給水口と、
前記給水口から前記鍋状容器に前記水を供給する供給経路と、
前記内蓋に設けられ、前記鍋状容器と前記内蓋によって覆われる調理空間内に、前記水を供給する水投入口と、
前記水投入口を前記調理空間側から覆うとともに当該水投入口を開閉するカバーと、
を備えることを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
前記カバーは、片側固定されて開閉する形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記カバーは、水圧によって前記水投入口を開き、前記第1の加熱手段によって前記鍋状容器が加熱されると前記調理空間の内圧が上がることで前記水投入口が閉じることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記カバーは、軟弾性の材料で形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記水投入口の開口部が位置する前記調理空間側の平面上に、前記鍋状容器の任意の場所に前記水を投下するための壁を設けることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記内蓋の下部に、前記水投入口から前記調理空間に入る際の水の受け部が設けられ、前記受け部からあふれた水が、前記鍋状容器に投下されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記受け部の底面に、前記鍋状容器の任意の場所に前記水を投下するための凸形状で囲まれた孔を設けることを特徴とする請求項7に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記内蓋を加熱する第2の加熱手段を備え、
前記受け部に投下された前記水を前記第2の加熱手段によって加熱することで、前記調理空間に水蒸気を発生させること特徴とする請求項7または請求項8に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの炊飯器では、研いだお米をお釜に入れた後、利用者がお米の量に応じた水を手動で投入している。この場合、人によって水量にばらつきが発生する。このため、ばらつきを解消する手段として、自動給水機能を備えた炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の炊飯器では、内釜に給水する際の構造が複雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、本体ケースと、前記本体ケースに着脱自在に収容する鍋状容器と、前記鍋状容器の上部を覆う内蓋と、前記内蓋を着脱自在に収容し、前記鍋状容器の上部開口を開閉する外蓋と、前記鍋状容器を加熱する第1の加熱手段と、を備え、前記鍋状容器に調理に必要な水を供給するための水を貯留する水タンクと、前記水タンクから前記鍋状容器に前記水を供給する供給経路と、前記内蓋に設けられ、前記鍋状容器と前記内蓋によって覆われる調理空間内に、前記水を供給する水投入口と、前記水投入口を前記調理空間側から覆うとともに当該水投入口を開閉するカバーと、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】第1施形態の炊飯器において蓋を開けた状態を示す斜視図である。
【
図3】第1施形態の炊飯器において外蓋から内蓋および水タンクを取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態の炊飯器に用いられる内蓋の分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態の炊飯器における受け部を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態の炊飯器において内釜中央で切断した正面断面図である。
【
図8】第1実施形態の炊飯器において内釜中央で切断した側面断面図である。
【
図9】第1実施形態の炊飯器に用いられる水タンクの分解斜視図である。
【
図10】第1実施形態の炊飯器において水タンク中央で切断した側面断面図である。
【
図11】第1実施形態の炊飯器における蓋の内部構造を示す斜視図である。
【
図12】第1実施形態の炊飯器において給水口が閉じた状態を示す断面図である。
【
図13】第1実施形態の炊飯器において給水口が開いた状態を示す断面図である。
【
図14】第1実施形態の炊飯器において水投入口の位置での正面断面図である。
【
図15】第1実施形態の炊飯器において受け部の変形例を示す斜視図である。
【
図17】第2実施形態の炊飯器の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態に係る炊飯器について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の炊飯器を示す外観斜視図である。なお、以下では、
図1に示す方向を基準として説明する。
図1に示すように、炊飯器1Aは、本体ケース2と、本体ケース2内に回動自在に設けられる蓋3と、本体ケース2に着脱自在に設けられる水タンク4と、を備えて構成されている。
図1では、水タンク4が本体ケース2の右側に装着された状態を示している。
【0009】
また、蓋3の上面には、米の種類、炊き方などのメニューや、「炊飯」、「切」などを操作する操作部3aを備える。この操作部3aは、制御基板20(
図8参照)と接続されている。また、蓋3の上面には、蓋3を開ける際に押し下げ操作されるボタン3bが設けられている。
【0010】
図2は、第1施形態の炊飯器において蓋を開けた状態を示す斜視図である。
図2に示すように、炊飯器1Aは、本体ケース2に着脱自在に収容する内釜(鍋状容器)5を備えている。
【0011】
蓋3は、本体ケース2の上部を覆う外蓋6と、外蓋6に着脱自在に設けられ、内釜5の上部を覆う内蓋7と、を備えて構成されている。外蓋6は、内蓋7を着脱自在に収容するとともに内釜5の上部開口5aを開閉する。また、外蓋6は、本体ケース2の上部および水タンク4の上部を覆うように開閉する。また、外蓋6は、本体ケース2の後部にヒンジ2aが設けられている。外蓋6は、ヒンジ2aを介して本体ケース2に回動自在に支持されている。
【0012】
外蓋6には、内蓋7が取り付けられる側の面に、水タンク4内の水を取り出す際の取り出し口となる開口6aが形成されている。また、外蓋6には、復水を水タンク4内に戻す際の戻し口となる開口6bが形成されている。この開口6bは、外蓋6の下面(裏面)から突出して形成されている。
【0013】
水タンク4は、内釜5に1回の炊飯に必要な量以上の水を溜めておく容積を有し、内釜5の右隣に着脱可能に配置される。また、水タンク4は、本体ケース2の上面とほぼ同じ高さである。また、水タンク4には、蓋3を閉じたときに、前記開口6aと連通して水を取り出す水取出部42aが上方に突出して形成されている。また、水タンク4には、蓋3を閉じたときに、前記開口6bと連通して復水を水タンク4に戻す水戻し口42bが形成されている。
【0014】
図3は、第1施形態の炊飯器において外蓋から内蓋および水タンクを取り除いた状態を示す斜視図である。また、
図3は、本体ケース2から水タンク4および内釜5を取り外した状態である。
図3に示すように、本体ケース2は、上面が開口し、内釜5が着脱自在に挿入される内容器2bを有している。また、本体ケース2には、水タンク4(
図2参照)が取り付けられる取付凹部2cが形成されている。この取付凹部2cは、底面2c1と、この底面2c1の左縁から上方に立ち上がる側面2c2と、底面2c1の後縁から上方に立ち上がる後面2c3と、を有している。また、側面2c2には、水タンク4(
図2参照)を掛止するフック2d,2dが前後方向に離間して形成されている。また、後面2c3にも、水タンク4(
図2参照)を掛止するフック2eが形成されている。また、フック2d,2eは、すべて同じ高さ位置に形成されている。なお、図示していないが、水タンク4には、フック2d,2eが掛止されるフック受部4e(
図7参照)が形成されている。
【0015】
また、外蓋6の下面には、内蓋7が収容される凹部6cが形成されている。この凹部6cは、略円状に形成され、中央に長孔形状の開口6dが形成されている。
【0016】
図4は、第1実施形態の炊飯器に用いられる内蓋の分解斜視図である。
図4に示すように、内蓋7は、略円盤状に形成され、外蓋6(
図3参照)に形成された凹部6cの後部に差し込まれる差込部7aと、凹部6cの前部に係止される係止部7bと、が形成されている。
【0017】
また、内蓋7の外周には、内釜5を密閉するためのパッキン11が設けられている。また、内蓋7の径方向の中央部には、調圧弁13が設けられている。
【0018】
また、調圧弁13の後部には、内釜5に給水する際に開かれる水投入口30が設けられている。なお、水投入口30の詳細について後記する。
【0019】
また、内蓋7には、皿部15が内蓋7に着脱自在に取り付けられている。この皿部15は、蓋3を閉じたときの内蓋7の下部に配置されている。また、皿部15は、内蓋7の調圧弁13と水投入口30を覆い隠す円盤形状を呈している。
【0020】
また、皿部15には、水蒸気が通る複数の孔15aが貫通して形成されている。この孔15aの周囲は、内蓋7側に窪むようにして構成されている。これらの孔15aは、円弧状に配置され、調圧弁13および水投入口30と上下に重ならい位置に配置されている。また、これらの孔15aは、皿部15の前後方向の中央よりも前側に位置している。また、皿部15には、内蓋7に係止される係止部15bが形成されている。
【0021】
図5は、第1実施形態の炊飯器における受け部を示す斜視図である。なお、
図5は、
図4で見えている側とは反対側(上側、内蓋7側)の形状を図示している。
図5に示すように、皿部15は、径方向の略中央に受け部15sが形成されている。この受け部15sは、内蓋7(
図4参照)側に向けて円筒状に突出するリブ15cと、平面視においてU字状に突出するリブ15dと、を有している。このリブ15dの両端は、リブ15cと接するように形成されている。また、皿部15には、U字状のリブ15dの内側に、弓形状のリブ15eが突出して形成されている。また、リブ15dの内側において、リブ15cとリブ15eとの間に、皿部15を貫通する貫通孔15fが形成されている。
【0022】
リブ15eは、リブ15c、15dよりも底面からの高さが低く形成されている。また、リブ15dとリブ15eとで囲まれる位置に水が溜まり、ある程度の水が溜まることで、水がリブ15eを乗り越えて貫通孔15fから内釜5内に投下されるようになっている。
【0023】
図6は、第1実施形態の炊飯器の底面図である。
図6に示すように、本体ケース2の底面には、複数の重量センサ8a,8a,8b,8b,8bが設けられている。重量センサ8aは、本体ケース2の手前側の左右両端の2ヶ所に位置している。重量センサ8bは、本体ケース2の後側の左右両端と中央の3ヶ所に位置している。これら5つの重量センサ8a,8bによって炊飯器1Aの重量を測定することで、水タンク4から内釜5(
図2参照)に供給する水量を制御できるようになっている。
【0024】
図7は、第1実施形態の炊飯器において内釜中央で切断した正面断面図である。
図7に示すように、本体ケース2の下部には、内釜5の外側底面部に、内釜5を誘導加熱するための加熱コイル9(第1の加熱手段)が設けられている。
【0025】
また、本体ケース2の底には、中央に穴を持つ円盤状のアルミニウム板10が固定されている。アルミニウム板10は、本体ケース2の下方に向けて加熱コイル9による磁束が漏れるのを防止する機能を有している。また、本体ケース2の下部には、内釜5の外側底面部の中央部に当接し、内釜5の温度を検出する温度センサユニット16(
図8参照)が設けられている。
【0026】
内釜5は、有底円筒形状の容器であり、例えば、鉄などの強磁性金属を含む磁性金属と非磁性金属の複合材で形成されている。また、内釜5は、開口縁部の全周に鍔部5bを有し、鍔部5bが内容器2bの開口縁部に接した状態で内容器2bに収容される。
【0027】
外蓋6は、下面に内蓋7を備え、本体ケース2に回動自在に取り付けられている。外蓋6を閉じることで、本体ケース2の上面開口部を覆い、外周にパッキン11を備える内蓋7によって内釜5の上部開口5aを塞ぐようになっている。
【0028】
また、外蓋6には、コードヒータ等からなる蓋ヒータ12(第2の加熱手段)が設けられている。この蓋ヒータ12は、内蓋7の上面に接して、内蓋7を加熱するようになっている。また、内蓋7の下部(内釜5側)には、皿部15が着脱自在に設けられ、蓋3(外蓋6+内蓋7)を閉じたときに、皿部15が内釜5の上部開口5a内に位置するようになっている。
【0029】
このように、外蓋6(蓋3)が閉じられることで、内釜5と内蓋7との間において調理空間Qが形成される。なお、皿部15は、調理空間Q内に位置している。
【0030】
図8は、第1実施形態の炊飯器において内釜中央で切断した側面断面図である。
図8に示すように、内蓋7には、調圧弁13が設けられている。外蓋6は、調圧弁13を制御する調圧弁制御部13aを備えている。調圧弁13は、球体13bを備え、内釜5の内部の気圧が所定圧(例えば1.3気圧)を超えると開口部を開いて所定圧(1.3気圧)を維持する構造である。調圧弁制御部13aは、ソレノイドによって球体13bを動かして、調圧弁13を調圧動作状態か開放状態かを制御する。
【0031】
また、内蓋7には、調圧弁13の後方に、炊飯に必要な量の水を投入するための水投入口30が形成されている。水投入口30は、ノズル形状であり、鉛直方向下方に水の吐出口が向くように形成されている。また、内蓋7には、水投入口30の後方に、別の調圧弁14が設けられている。なお、水投入口30の詳細については後記する。
【0032】
本体ケース2の後部には、制御基板20が設けられている。制御基板20は、本体ケース2内の温度の低い空間Rに配置されている。温度センサユニット16で検出された温度情報が制御基板20に入力され、加熱コイル9の加熱を制御する。また、制御基板20は、蓋ヒータ12や調圧弁制御部13aを制御する。
【0033】
また、本体ケース2の後部には、制御基板20の下方に冷却ファン21が設けられている。この冷却ファン21は、加熱コイル9と制御基板20とを含む本体ケース2内部を冷却する。また、本体ケース2の外郭を構成するケースの底面には、加熱コイル9の後方に吸気口(不図示)が形成され、加熱コイル9の前方に排気口(不図示)が形成されている。
【0034】
図9は、第1実施形態の炊飯器に用いられる水タンクの分解斜視図である。
図9に示すように、水タンク4は、水が貯溜される貯溜部41と、貯溜部41の上部開口41aを塞ぐ蓋部42と、を備えて構成されている。なお、貯溜部41は、少なくとも1回分の炊飯を行うのに必要な水を溜めることができる容積を有している。
【0035】
貯溜部41は、本体ケース2の外郭に沿うように形成される外面部41bと、取付凹部2c(
図3参照)の側面2c2に沿うように形成される内面部41cと、取付凹部2cの後面2c3に沿うように形成される内面部41dと、を有している。
【0036】
蓋部42は、上部開口41aを塞ぐ板部42cと、水取出部42a(
図2参照)から貯溜部41内に向けて鉛直方向下方に延びる吸込管42dと、有している。吸込管42dは、貯溜部41の底面まで延びている。
【0037】
また、蓋部42は、板部42cを貫通して、外蓋6の開口6b(
図2参照)が挿入される円形の水戻し口42bが形成されている。
【0038】
また、板部42cの内面(下面)には、円筒部42eが一体に樹脂成型されている。また、板部42cには、円筒部42eの内側と連通する位置に貫通孔42fが形成されている。
【0039】
図10は、第1実施形態の炊飯器において水タンク中央で切断した側面断面図である。
図10に示すように、外蓋6(蓋3)を閉じたときに、水タンク4の水取出部42aが開口6aに挿入されて連結される。また、吸込管42dは、貯溜部41の底面41eに至る長さ形成されている。
【0040】
また、外蓋6(蓋3)を閉じたときに、水戻し口42bに開口6bが挿入されて連結される。この開口6bは、蓋部42から貯溜部41内に向けて下方に延びずに水戻し口42b内に位置するように構成されている。
【0041】
図11は、第1実施形態の炊飯器における蓋の内部構造を示す斜視図である。なお、
図10は、外蓋6の外郭部材を取り外した状態を示している。
図11に示すように、外蓋6には、容積型の給水ポンプ35が設けられている。この給水ポンプ35は、蓋3(外蓋6)を閉じたときに水タンク4の上部に位置している。また、外蓋6には、開口6aから水を取り出す水取出管31(供給経路)と、給水ポンプ35から水投入口30(
図8参照)に水を送り出す水送出管32(供給経路)と、が設けられている。すなわち、水タンク4内の水は、水取出管31を通して給水ポンプ35に吸い込まれ、そして給水ポンプ35から水送出管32を通して水投入口30に送られる。
【0042】
また、外蓋6には、炊飯時に発生した蒸気を水にして水タンク4に戻す復水ダクト60が設けられている。この復水ダクト60は、開口6b(
図2参照)と連通している。
【0043】
図12は、第1実施形態の炊飯器において水投入口が閉じた状態を示す拡大断面図である。
図12に示すように、水投入口30は、内蓋7に設けられ、蓋3を閉じたときに鉛直方向下向きに開口するように形成されている。また、水投入口30の開口部30aには、該開口部30aを塞ぐカバー33が設けられている。このカバー33は、ゴムなどの軟弾性の材料で形成されている。また、カバー33は、片側(図示左側)が固定されて開閉する形状、換言すると片持ち形状である。なお、本実施形態では、カバー33は、図示左側が固定され、図示右側が開閉するようになっている。なお、開閉する向きは、本実施形態に限定されるものではない。
【0044】
また、水投入口30の開口部30aが位置する調理空間Q側の平面S1上には、内釜5の任意の場所に水を投下する壁34が設けられている。壁34は、カバー33の周囲を囲むようにして、平面S1から鉛直方向下方に向けて延びている。また、壁34は、カバー33と同様のゴム(軟弾性の材料)によって一体に構成されている。
【0045】
また、水投入口30には、水送出管32(
図11参照)が接続される接続部30bが接続される。外蓋6に内蓋7を取り付けることで、接続部30bに水送出管32の端部が挿し込まれるようになっている。
【0046】
図13は、第1実施形態の炊飯器において給水口が開いた状態を示す拡大断面図である。なお、
図13において示す矢印は、水の流れを示している。
図13に示すように、水投入口30に水タンク4からの水が水送出管32(
図11参照)を通して供給されると、水圧によって(給水ポンプ35の駆動時に発生する水圧によって)カバー33が平面S1から離れて開き、水が横向きに吐出される。吐出された水は、壁34に当たって下方に向けて流れ落ちる。このように、壁34を設けることで、水が横方向(水平方向)に吐出しすぎるのを抑制することができ、壁34を設ける位置によって、任意の位置に水を落とすことができる。
【0047】
また、給水ポンプ35(
図11参照)の駆動が停止することで、水投入口30に対する水圧が作用しなくなることで、カバー33が弾性復帰し、開いていた口が閉じる。
【0048】
図14は、第1実施形態の炊飯器において水投入口の位置での正面断面図である。
図14に示すように、水投入口30の接続部30bには、断面視L字状に形成された継手30cの一端が上方から挿し込まれる。継手30cの他端は、水送出管32の一端が挿し込まれて接続されている。継手30cは、外蓋6に固定され、内蓋7側に突出して配置されている。
【0049】
給水ポンプ35が駆動されると、水タンク4から水が取り出され、水取出管31(
図11参照)、給水ポンプ35、水送出管32を通って水投入口30に送られる。そして、水投入口30から水が吐出されると、水圧によってカバー33が下方に押圧され、カバー33が弾性によって変形して開く(
図13参照)。そして、横方向(水平方向)に向けて開いた開口から水が壁34に向けて吐出され、吐出された水は壁34によって下方向に向きを変えて皿部15の受け部15s上に落ちる。受け部15sでは、リブ15dとリブ15e(
図5参照)とによって囲まれた凹部15gに落ちて溜まる。凹部15gに溜まった水は、リブ15e(
図5参照)を乗り越えて、貫通孔15f(
図5参照)から内釜5内に投下される。そして、重量センサ8a,8b(重量センサ8aは
図5参照)によって、内釜5に規定量の水の投入が完了したことを検知すると給水ポンプ35を停止して、給水を停止する。これにより、給水ポンプ35が停止することで水投入口30に対する水圧が無くなり、カバー33が弾性復帰して開口が閉じる。なお、カバー33は、ゴムの弾性によって平面S1に密着して、隙間が生じることなく閉じる。また、カバー33は、ゴムの弾性によって口が閉じる方向に常に付勢されているので、水圧がなくなることで弾性復帰力によって口が閉じるようになっている。
【0050】
また、炊飯時に調理空間Q内に水蒸気が発生した場合、水蒸気圧によってカバー33が上方(水投入口30を閉じる方向)に押圧され、カバー33が平面S1(
図12参照)に密着し、水投入口30が閉じた状態が維持される。
【0051】
また、炊飯完了後の保温時には、水タンク4から皿部15に水を投入して、皿部15に溜まった水を蓋ヒータ12によって加熱して水蒸気(スチーム)にする。発生した水蒸気によって調理空間Q内を水蒸気で満たすことができる。これにより、炊いたご飯の乾燥を防いだり、ご飯をしっとりと炊き上げることができる。
【0052】
図15は、第1実施形態の炊飯器において受け部の変形例を示す斜視図である。
図16は、
図15に示す受け部の平面図である。
図15に示すように、皿部15Aは、内蓋7側の底面に受け部15tが形成されている。この受け部15tは、円筒状のリブ15cの周囲にリブ15hが上方に突出して形成されている。また、皿部15Aには、
図5と同様に複数(例えば7個)の孔15aが半円状に配置されるようにして構成されている。また、リブ15hは、左右側方に向けて延びる流路状のリブ15i,15iと、前方に向けて延びる流路状のリブ15j,15jと、を有している。リブ15iは、左右両側に位置する孔15a1(15a)の近傍まで延びている。リブ15jは、前側に位置する孔15a2(15a)の近傍まで延びている。また、リブ15hは、一続きのリブによって形成され、両端部がリブ15cに接続されている。また、リブ15hの高さは、リブ15cと高さと同じである。
【0053】
図16に示すように、リブ15i,15jは、その先端が幅狭になるように形成されている。また、リブ15i,15jの先端内側には、リブ15hよりも高さが低いリブ15i1,15j1が形成されている。また、リブ15i,15jの内側には、リブ15i1,15j1よりも先端側に、皿部15Aを貫通する貫通孔15i2,15j2(孔)が形成されている。
【0054】
このように構成された皿部15Aでは、水投入口30(
図14参照)から吐出された水は、受け部15tに落下し、リブ15hの内側において拡散し、リブ15i,15jに向けて流れる。そして、リブ15i,15jの先端に形成されたリブ15i1,15j1を乗り越えて貫通孔15i2,15j2から内釜5内に投下される。このように、リブ15hを設けることによって、
図5のように中心からだけではなく、内釜5に対して任意の位置(中心よりも外周側の位置)から水を供給することができる。
【0055】
以上説明したように、第1実施形態の炊飯器1は、本体ケース2と、本体ケース2に着脱自在に収容する内釜5と、内釜5の上部を覆う内蓋7と、内蓋7を着脱自在に収容し、内釜5の上部開口5aを開閉する外蓋6と、内蓋7を加熱する加熱コイル9と、を備える。内釜5に調理に必要な水を供給するための水を貯留する水タンク4と、水タンク4から内釜5に水を供給する水取出管31および水送出管32と、内蓋7に設けられ、内釜5と内蓋7によって覆われる調理空間Q内に水を供給する水投入口30と、水投入口30を調理空間Q側から覆うとともに水投入口30を開閉するカバー33と、を備える。これによれば、従来のように複雑な機構を設けることなく、簡単な構造によって内釜5に対して炊飯に必要な量の水を自動で投入することができる。これにより、人による水量のばらつきを解消することができる。
【0056】
また、第1実施形態において、カバー33は、片側固定されて開閉する形状である。これによれば、水が吐出される隙間を形成し易くなり、少しの隙間で水を吐出させることができる。
【0057】
また、第1実施形態において、カバー33は、水圧によって水投入口30を開き、加熱コイル9によって内釜5が加熱されると調理空間Qの内圧が上がることで水投入口30が閉じる。これによれば、水投入口30を開閉させる機構を簡単にできる。
【0058】
また、第1実施形態において、カバー33は、軟弾性の材料で形成されている。これによれば、カバー33が開閉する際の繰り返し荷重によって塑性変形して常に隙間が開いた状態になる不具合を抑制できる。
【0059】
また、第1実施形態において、水投入口30の開口部30aが位置する調理空間Q側の平面S1上に、内釜5の任意の場所に水を投下するための壁34が設けられている(
図13参照)。これによれば、水が壁34に当たることで、水の向きを内釜5のある下向きにすることができ、水を内釜5内のねらった位置に落とすことが可能になる。
【0060】
また、第1実施形態において、内蓋7の下部に、水投入口30から調理空間Qに入る際の水の受け部15sが設けられ、受け部15sからあふれた水が、内釜5に投下される。これによれば、内釜に投入する水を任意の位置に設定できる。
【0061】
また、第1実施形態において、受け部15sの底面15uに、内釜5の任意の場所に水を投下するための凸形状のリブ15d,15eで囲まれた貫通孔15fを設ける(
図4、
図5参照)。これによれば、複数の場所からスチームを出すことができる。
【0062】
また、第1実施形態において、内蓋7を加熱する蓋ヒータ12を備え、受け部15sに投下された水を蓋ヒータ12によって加熱することで、調理空間Qに水蒸気を発生させる。これによれば、ご飯の乾燥を防いだり、しっとりと炊き上げることが可能になる。
【0063】
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態の炊飯器の外観斜視図である。
図17に示すように、第2実施形態の炊飯器1Bは、第1実施形態のような水タンク4を備えていないものであり、炊飯器1Bの外部から水を内釜5に投入するタイプである。すなわち、炊飯器1Bは、本体ケース2Aと、本体ケース2Aに着脱自在に収容する内釜5と、内釜5の上部を覆う内蓋7と、内蓋7を着脱自在に収容し、内釜5の上部開口5aを開閉する外蓋6Aと、内釜5を加熱する加熱コイル9と、を備える。なお、
図17に示されていない内釜5、内蓋7、上部開口5a、加熱コイル9は、第1実施形態と基本的に同様である。
図17に示すように、炊飯器1Bは、水タンク4を備えてない分、筐体が第1実施形態と比べて小さく、軽量である。
【0064】
また、外蓋6Aには、調理に必要な水を本体外から供給するための給水口36が形成されている。この給水口36には、水道栓70から分岐した給水管30Aが接続されている。このため、給水口36には、水道栓からの水圧が常に作用している。なお、外蓋6A内に設けられている、水投入口30と、水取出管31、水送出管32、給水ポンプ35、カバー33の構成は第1実施形態と同様である。すなわち、給水口36は、水取出管31を介して給水ポンプ35の給水口と接続され、給水ポンプ35の吐出口は、水送出管32を介して水投入口30と接続されている。なお、給水口36は、外蓋6Aに限定されるものではなく、本体ケース2Aに設けられていてもよい。
【0065】
炊飯器1Bでは、研いだお米が投入された内釜5が本体ケース2Aにセットされると、給水ポンプ35が駆動される。これによって、給水口36からの水が水取出管31を通して導入され、給水ポンプ25の吐出圧力(水圧)によって、水が水送出管32を通して水投入口30に送られる。給水ポンプ35の駆動時に発生する水圧によって、カバー33が平面S1から離れて開き、第1実施形態と同様にして、水が横向きに吐出される。吐出された水は、壁34に当たって下方に向けて流れ落ちる。このように、壁34を設けることで、水が横方向(水平方向)に吐出しすぎるのを抑制することができ、壁34を設ける位置によって、任意の位置に水を落とすことができる。また、給水ポンプ35の駆動が停止することで、水投入口30に対する水圧が作用しなくなることで、カバー33が弾性復帰し、開いていた口が閉じる。
【0066】
このように構成された第2実施形態の炊飯器1Bは、本体ケース2Aと、本体ケース2Aに着脱自在に収容する内釜5と、内釜5の上部を覆う内蓋7と、内蓋7を着脱自在に収容し、内釜5の上部開口5aを開閉する外蓋6Aと、内蓋7を加熱する加熱コイル9と、を備える。外蓋6Aに、調理に必要な水を本体外から供給するための給水口36と、給水口36から内釜5に水を供給する水取出管31および水送出管32と、内蓋7に設けられ、内釜5と内蓋7によって覆われる調理空間Q内に水を供給する水投入口30と、水投入口30を調理空間Q側から覆うとともに水投入口30を開閉するカバー33と、を備える。これによれば、従来のように複雑な機構を設けることなく、簡単な構造によって内釜5に対して炊飯に必要な量の水を自動で投入することができる。これにより、人による水量のばらつきを解消することができる。また、第2実施形態では、水タンク4を備えていないので、水タンク4に水を補充する作業が不要になり、使い勝手が向上する。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。例えば、水タンク4の位置は、本体ケース2の側部に限定されるものではなく、本体ケース2の後部であってもよく、適宜変更することができる。また、水タンク4は、本体ケース2に一体に装着されるものではなく、水タンク4がホースを介して外蓋6(蓋3)や本体ケース2と接続されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1A,1B 炊飯器
2,2A 本体ケース
3 蓋
4 水タンク
5 内釜
6,6A 外蓋
6a,6b 開口
7 内蓋
9 加熱コイル(第1の加熱手段)
12 蓋ヒータ(第2の加熱手段)
13 調圧弁
15s,15t 受け部
15f,15i2,15j2 貫通孔(孔)
30 水投入口
30a 開口部
31 水取出管(供給経路)
32 水送出管(供給経路)
33 カバー
34 壁
36 給水口
41 貯溜部
42 蓋部
42a 水取出部
42b 水戻し口
42c 板部
50 供給管(供給経路)
60 復水ダクト
Q 調理空間
S1 平面