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特開2023-43390クリーニング用ラベル及びクリーニング用ラベルの製造方法
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  • 特開-クリーニング用ラベル及びクリーニング用ラベルの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043390
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】クリーニング用ラベル及びクリーニング用ラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/35 20180101AFI20230322BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230322BHJP
   C09J 7/26 20180101ALI20230322BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20230322BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20230322BHJP
   C09J 133/08 20060101ALI20230322BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230322BHJP
   C09J 123/00 20060101ALN20230322BHJP
【FI】
C09J7/35
C09J7/38
C09J7/26
C09J7/21
C09J133/06
C09J133/08
B32B27/00 M
C09J123/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150986
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】朝稲 翔平
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK25C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA02C
4F100CA16C
4F100CB00B
4F100CB05C
4F100DG10A
4F100DJ00A
4F100DJ01A
4F100EJ05B
4F100EJ05C
4F100GB90
4F100JA04B
4F100JA05C
4F100JB07
4F100JL12B
4F100JL13C
4J004AA07
4J004AA10
4J004AB01
4J004AB03
4J004CA04
4J004CB01
4J004CB04
4J004CC02
4J004FA01
4J040DA001
4J040DF021
4J040JA06
4J040JB01
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA26
4J040MA16
4J040MB02
4J040NA11
4J040PA20
4J040PA23
4J040PA30
(57)【要約】
【課題】衣類等の被着体に感圧接着させて仮どめ可能な貼り適性を備え、仮どめされた後に被着体に感熱接着可能で、ドライクリーニングを経ても剥がれ難い耐ドライクリーニング性に優れた、クリーニング用ラベルを提供する。
【解決手段】基材10と、基材10の一方の面上に積層された感熱接着剤層20と、感熱接着剤層20の、基材10が積層された側とは反対側の面上に積層された粘着剤層30と、を備え、粘着剤層30は、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記架橋剤は、前記粘着付与樹脂と架橋構造を形成する、クリーニング用ラベル1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一方の面上に積層された感熱接着剤層と、
前記感熱接着剤層の、前記基材が積層された側とは反対側の面上に積層された粘着剤層と、を備え、
前記粘着剤層は、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものであり、
前記架橋剤は、前記粘着付与樹脂と架橋構造を形成する、クリーニング用ラベル。
【請求項2】
前記架橋剤は、さらに前記重合体成分(A)と架橋構造を形成する、請求項1に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項3】
前記粘着剤層の前記重合体成分(A)100質量部に対する、前記粘着付与樹脂の含有量の割合が10質量部以上である、請求項1又は2に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項4】
前記粘着付与樹脂が、ロジン系粘着付与樹脂及びテルペンフェノール系粘着付与樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の粘着付与樹脂である、請求項1~3のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項5】
前記重合体成分(A)のガラス転移温度(Tg)が、-40℃以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項6】
前記重合体成分(A)がアクリル重合体を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項7】
前記重合体成分(A)100質量%に対して、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来する構成単位の含有量が50質量%以上である、請求項6に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項8】
前記粘着剤層の厚さが15μm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項9】
前記感熱接着剤層の融点が130℃以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項10】
前記感熱接着剤層は重合体成分(B)を含有し、
前記架橋剤は、さらに前記重合体成分(B)と架橋構造を形成する請求項1~9のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項11】
前記基材が、発泡樹脂フィルム、微細空孔を有する合成紙、及び微細空孔を有する樹脂フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~10のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベル。
【請求項12】
基材の一方面上に感熱接着剤層を設け、
前記感熱接着剤層の、前記基材が積層された側とは反対側の面上に、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する前記粘着剤組成物を用いて、粘着剤層を設けることを含み、
前記架橋剤は、前記粘着付与樹脂と架橋構造を形成する、請求項1~11のいずれか一項に記載のクリーニング用ラベルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング用ラベル、及びクリーニング用ラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類等の情報を表示するために、種々のタグが用いられている。
クリーニング店では、回収された衣類等の識別や分類を目的として、衣類等にクリーニングタグを付すことが行われている。
また、衣類等には、洗濯表示、洗濯記号、サイズ、洗濯又はドライクリーニング方法を含む取り扱い上の注意事項、材料の種類、繊維組成などの情報が記された品質表示用タグが付されている。
上記のクリーニングタグは、金属製のピンやステープラ針を利用して取り付けられている。また、上記の品質表示用タグは、衣類等に直接縫着されているのが通常である。
【0003】
一方、衣類等に接着可能なクリーニングタグとして、特許文献1には、基材/ホットメルト接着剤層/粘着剤層からなり、ラベルの面積に対してホットメルト接着剤層が全面積に存在し、粘着剤層はホットメルト接着剤層の表面にラベルの端部分以外の位置に部分的に存在するラベルが開示されている。
【0004】
特許文献2には、印刷層と、この印刷層の裏面に設けたホットメルト接着剤からなる熱接着層と、この熱接着層の裏面に設けた着脱自在な粘着剤からなる仮接着層とを含み、前記仮接着層を剥離シートに仮接着してなる布貼付用タグにおいて、前記仮接着層は、前記熱接着層の裏面に対してその一部に設けてある布貼付用タグが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-71313号公報
【特許文献2】特開2002-72892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に挙げたクリーニングタグでは、衣類等の被着体にクリーニングタグを感圧接着させて仮どめすることのできる粘着剤層(特許文献1の粘着剤層、特許文献2の仮接着層)が設けてあり、感熱接着剤層(特許文献1のホットメルト接着剤層、特許文献2の熱接着層)による感熱接着の妨げとなりやすい。そのため、特許文献1及び特許文献2では、感熱接着力を強固にして耐クリーニング性を高めるため、粘着剤層が感熱接着剤層に対して部分的に設けられている。
しかし、耐クリーニング性の向上においては、未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、衣類等の被着体に感圧接着させて仮どめ可能な貼り適性を備え、仮どめされた後に被着体に感熱接着可能で、ドライクリーニングを経ても剥がれ難い耐ドライクリーニング性に優れた、クリーニング用ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来、衣類のような粗い表面にラベルを仮どめする粘着剤層には、粘着力を高めるために粘着付与樹脂が含有されていることが一般的である。しかし、本発明者らの検討により、意外なことに、粘着剤層のほうに含有される粘着付与樹脂が、感熱接着剤層の感熱接着により発揮される耐ドライクリーニング性に影響することが明らかとなった。そして、粘着剤層を形成する粘着剤組成物に、粘着付与樹脂と、該粘着付与樹脂との架橋構造を形成する架橋剤とを含有させることで、耐クリーニング性を向上可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
【0009】
(1) 基材と、
前記基材の一方の面上に積層された感熱接着剤層と、
前記感熱接着剤層の、前記基材が積層された側とは反対側の面上に積層された粘着剤層と、を備え、
前記粘着剤層は、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものであり、
前記架橋剤は、前記粘着付与樹脂と架橋構造を形成する、クリーニング用ラベル。
(2) 前記架橋剤は、さらに前記重合体成分(A)と架橋構造を形成する、前記(1)に記載のクリーニング用ラベル。
(3) 前記粘着剤層の前記重合体成分(A)100質量部に対する、前記粘着付与樹脂の含有量の割合が10質量部以上である、前記(1)又は(2)に記載のクリーニング用ラベル。
(4) 前記粘着付与樹脂が、ロジン系粘着付与樹脂及びテルペンフェノール系粘着付与樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の粘着付与樹脂である、前記(1)~(3)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベル。
(5) 前記重合体成分(A)のガラス転移温度(Tg)が、-40℃以下である、前記(1)~(4)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベル。
(6) 前記重合体成分(A)がアクリル重合体を含有する、前記(1)~(5)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベル。
(7) 前記重合体成分(A)100質量%に対して、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来する構成単位の含有量が50質量%以上である、前記(6)に記載のクリーニング用ラベル。
(8) 前記粘着剤層の厚さが15μm以下である、前記(1)~(7)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベル。
(9) 前記感熱接着剤層の融点が130℃以下である、前記(1)~(8)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベル。
(10) 前記感熱接着剤層は重合体成分(B)を含有し、
前記架橋剤は、さらに前記重合体成分(B)と架橋構造を形成する前記(1)~(9)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベル。
(11) 前記基材が、発泡樹脂フィルム、微細空孔を有する合成紙、及び微細空孔を有する樹脂フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記(1)~(10)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベル。
(12) 基材の一方面上に感熱接着剤層を設け、
前記感熱接着剤層の、前記基材が積層された側とは反対側の面上に、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する前記粘着剤組成物を用いて、粘着剤層を設けることを含み、
前記架橋剤は、前記粘着付与樹脂と架橋構造を形成する、前記(1)~(11)のいずれか一つに記載のクリーニング用ラベルの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、衣類等の被着体に感圧接着させて仮どめする貼り適性を備え、仮どめされた後に被着体に感熱接着可能で、耐ドライクリーニング性に優れたクリーニング用ラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のクリーニング用ラベルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のクリーニング用ラベル及びクリーニング用ラベルの製造方法の実施形態を説明する。
【0013】
≪クリーニング用ラベル≫
実施形態のクリーニング用ラベル(以下、単に「ラベル」ということがある。)は、基材と、前記基材の一方の面上に積層された感熱接着剤層と、前記感熱接着剤層の、前記基材が積層された側とは反対側の面上に積層された粘着剤層と、を備え、前記粘着剤層は、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記架橋剤は、前記粘着付与樹脂と架橋構造を形成する。
【0014】
図1は、実施形態に係るクリーニング用ラベル1の断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るラベル1は、基材10と、基材10の一方面上に積層された感熱接着剤層20と、感熱接着剤層20の、基材10が積層された側とは反対側の面上に積層された粘着剤層30と、を備える。なお、剥離ライナー40は、ラベルの使用時に剥離されるものであり、本発明のラベルにおける必須の構成ではない。
【0015】
<基材>
実施形態に係るラベル1の基材10としては、フィルム、紙、布、不織布等が挙げられる。
フィルムとしては、樹脂フィルムが挙げられ、合成樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム;ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリウレタンフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリ乳酸フィルム;セルロースフィルム等が挙げられる。
【0016】
基材は、微細空孔を有するフィルムであってもよい。微細空孔を有するフィルムとしては、発泡樹脂フィルム、微細空孔を有する合成紙、及び微細空孔を有する樹脂フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。微細空孔を有することにより、フィルムが白色になり、洗濯表示等の視認性が高まる。
【0017】
発泡樹脂フィルムとは、多孔質状の樹脂フィルムであり、樹脂を押出発泡成形したものや、樹脂組成物に気体を分散させたものを成形したもの等が挙げられる。発泡樹脂フィルムとしては、例えば、発泡ポリエステルフィルム、発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム、発泡ポリプロピレンフィルム、発泡ポリエチレンフィルム、発泡ポリスチレンフィルム等が挙げられる。
【0018】
微細空孔を有する樹脂フィルムとは、多孔質状の樹脂フィルムであり、合成樹脂を主原料として製造される。微細空孔を有する樹脂フィルムにおける樹脂としては、上記発泡樹脂フィルムと同様のものを例示できる。
【0019】
微細空孔を有する合成紙とは、多孔質状であり、合成樹脂を主原料として製造される紙に類似した性質を有するフィルムである。合成紙の主原料の合成樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン等が挙げられ、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートを例示できる。ここで、主原料とは、合成紙の全原料に対して50質量%以上の原料をいう。合成紙の微細空孔は、例えば延伸工程において生成される微細空孔が挙げられる。例えば、フィラーを含む合成樹脂を延伸すると、フィラーの周りに微細な空洞が形成され、白色の紙のような質感が付与される。微細空孔を有する合成紙の具体例として、ユポ(登録商標)(ポリプロピレン含有,株式会社ユポ・コーポレーション)、クリスパー(登録商標)(ポリエステル含有,東洋紡株式会社)、エヌコート(登録商標)(ポリプロピレン含有,中本パックス株式会社)等を例示でき、これらと同等の性質を有するものは、微細空孔を有する合成紙に包含される。
基材は、透明であってもよく、不透明であってもよいが、ラベルに印字された情報の識別が容易であることから、不透明であることが好ましい。
微細空孔を有するフィルムは不透明であることからも、ラベルの基材として好適である。
【0020】
紙としては、湿潤紙力増強剤を含有するもの、合成樹脂を塗布したもの、合成樹脂を含侵したもの、耐油剤を含有するもの等が挙げられる。
布および不織布としては、麻、毛、木綿、パルプ、レーヨン等のセルロース繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ビニロン等の繊維を含むものが挙げられる。
【0021】
布の織りの種類は特に限定されず、例えば、ポリエステルサテン等のサテンや、ポリエステルタフタ、コットンタフタ等のタフタ等を例示できる。
【0022】
基材10は、単層からなってもよいし、複層からなってもよい。複層の場合、各層は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
基材10の厚さは適宜設定することができ、例えば15~300μmが好ましく、30~200μmがより好ましく、40~100μmがさらに好ましい。基材の厚さが上記範囲であることにより、耐ドライクリーニング性を良好なものとできる。
【0024】
本明細書において、「厚さ」は、無作為に選定した5箇所で厚さを測定した平均で表される値として、JIS K7130に規定された機械的走査による測定方法(A法)に準じて、定圧厚さ測定器を用いて取得できる。
【0025】
ここで、基材の厚さは、基材全体の厚さを意味し、例えば、基材が複数層からなる場合の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0026】
<粘着剤層>
実施形態に係るラベル1における粘着剤層30は感圧接着性を有し、被着体である衣類等に感圧接着させることで、ラベルを衣類等に貼付可能とする層である。「感圧接着性」とは、粘着剤層に圧力をかけることで、被着体に対して接着させることが可能な性質をいう。なお、感圧接着と粘着とは、同様の意味で用いられる。
ラベルが粘着剤層を備えることにより、その後の感熱接着剤層を利用したプレス機等による感熱接着に先立ち、ラベルを衣類等に仮どめする貼り適性が付与される。仮どめが可能となることにより、ラベルを感熱接着する対象に対し、目的とする位置に正確に接着することが容易となる。
【0027】
粘着剤層は、粘着剤層を構成する成分を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。実施形態のラベルにおける粘着剤層は、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物を用いて形成される。重合体成分は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。前記粘着剤組成物は、例えば、上記の重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、所望によりその他の任意成分とを、それらの含有量(質量%)の合計が100質量%を超えないように含有することができる。
粘着剤組成物の固形分の総質量に対する重合体成分(A)の含有量の割合は、50質量%以上であってよく、50~95質量%であってよく、55~93質量%であってよく、60~91質量%であってよい。粘着剤組成物の「固形分」とは、粘着剤組成物中から、溶媒等の揮発成分を除いた不揮発分のことを指す。粘着剤組成物に含まれる固形分として、粘着付与樹脂、重合体成分、及び架橋剤が挙げられる。
以下、粘着付与樹脂、重合体成分及び架橋剤について説明する。
【0028】
・粘着付与樹脂
本明細書において「粘着付与樹脂」とは、粘着剤層に添加されることで、粘着剤層の粘着性能を向上させる機能を有するものである。粘着付与樹脂はタッキファイヤーとも称される。
【0029】
粘着付与樹脂は重合体であってよい。粘着付与樹脂の重量平均分子量は、例えば、5000以下であってよく、100~5000であってよく、200~3000であってよく、300~1000であってよい。重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を採用できる。
【0030】
粘着剤組成物において、前記重合体成分(A)100質量部に対する、粘着付与樹脂の含有量の割合は特に制限されるものではないが、6質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。粘着付与樹脂の上記含有量の上限値は特に制限されるものではないが、粘着剤組成物において、前記重合体成分(A)100質量部に対する、粘着付与樹脂の含有量の割合は6~30質量部が好ましく、7~20質量部がより好ましく、10~15質量部がさらに好ましい。
粘着付与樹脂の含有量を上記範囲内とすることで、貼り適性及び耐クリーニング性のバランスに優れたラベルが得られる。
【0031】
従来、衣類等のような表面の粗いものに対して、ラベルを感圧接着させようとする場合、粘着剤層に粘着付与樹脂が添加されることが一般的である。
しかし、発明者らによれば、従来のラベルにおいて、粘着剤層が粘着付与樹脂を含有することが、耐ドライクリーニング性を低下させる要因であることを明らかとした。一方、本実施形態のラベルによれば、粘着付与樹脂を含有する粘着剤組成物を用いた場合でも、粘着剤組成物が粘着付与樹脂と架橋構造を形成する架橋剤を含有することで、耐ドライクリーニング性に優れたラベルを提供できる。
【0032】
ここで、「耐ドライクリーニング性」とは、被着体への感圧接着後且つ感熱接着後のラベルに対する、ドライクリーニング(例えば、後述のパークロロエチレンを使用したドライクリーニング試験)によって、ドライクリーニングに起因した被着体との剥がれが生じない又は生じ難い性質を言う。
【0033】
耐ドライクリーニング性は、主に感熱接着剤層による感熱接着により発揮されることを考慮すると、粘着剤層のほうの粘着付与樹脂が、耐ドライクリーニング性に影響することは通常の想定を超える結果である。
粘着剤組成物が、粘着付与樹脂と架橋構造を形成する架橋剤を含有しない場合、ドライクリーニングに使用される溶剤に粘着付与樹脂が溶出したり、粘着剤層にラベルに溶剤が浸みこみ、粘着剤層が膨潤したりすることで、ドライクリーニングによるラベルの剥がれの要因となることが考えられる。
粘着付与樹脂と架橋構造を形成する架橋剤を含有する粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成することで、ラベルの耐クリーニング性を向上可能である理由は明らかではないが、実施形態の粘着剤組成物が架橋剤を含有することで、粘着付与樹脂と架橋剤とが反応して架橋構造を形成し、これにより、粘着付与樹脂がドライクリーニングに使用される溶剤に溶出することが防止され、ラベルの剥がれが抑制されると考えられる。
【0034】
粘着付与樹脂としては、粘着剤組成物に含有される架橋剤と架橋構造を形成可能であればよい。該粘着付与樹脂としては、架橋剤と架橋構造を形成可能な官能基を有する粘着付与樹脂が挙げられる。粘着付与樹脂は、当該官能基を有するものであって、ロジン、ロジン誘導体等のロジン系粘着付与樹脂;テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等のテルペンフェノール系粘着付与樹脂;その他、アルキルフェノール樹脂、石炭酸樹脂等が挙げられる。
【0035】
粘着付与樹脂は、架橋剤と架橋構造を形成可能な官能基を有するロジン系粘着付与樹脂及びテルペンフェノール系粘着付与樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の粘着付与樹脂であってよい。
【0036】
本実施形態において「ロジン」とはロジン樹脂およびロジン誘導体の総称を意味する。ロジン系粘着付与樹脂は、粘着剤組成物に含有される架橋剤と架橋構造を形成可能な官能基として、カルボキシル基を有することができる。
かかるロジンは、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸などの樹脂酸を主成分とするトールロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどの未変性ロジンをはじめ、不均化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジン含有ジオール、あるいはその他の化学的に修飾されたロジンを含む。また、「酸変性」とは、カルボキシル基をロジンに付与することを意味し、酸変性ロジンの具体例として、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸などのα,β-不飽和カルボン酸をロジンに反応させたものが挙げられる。
【0037】
ロジンエステルは、ロジン及びロジン誘導体の少なくとも一種をアルコール類でエステル化したものを例示できる。エステル化に用いることのできる上記アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0038】
テルペンフェノール樹脂は、テルペンモノマー及びフェノールを共重合したものが挙げられる。水添テルペンフェノール樹脂は、テルペンフェノール樹脂を水素化してものが挙げられる。テルペンフェノール系粘着付与樹脂は、粘着剤組成物に含有される架橋剤と架橋構造を形成可能な官能基として、水酸基を有することができる。
【0039】
粘着付与樹脂の酸価は、10~250mgKOH/gが好ましい。酸価はJIS K0070に基づいて測定される。
粘着付与樹脂の水酸基価は、10~250mgKOH/gが好ましい。水酸基価はJIS K0070に基づいて測定される。
【0040】
これらの粘着付与樹脂は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
・重合体成分
重合体成分(A)としては、公知の粘着性樹脂が挙げられ、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
【0042】
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル重合体が挙げられ、前記重合体成分(A)がアクリル重合体を含有することが好ましい。
粘着剤組成物の固形分の総質量に対するアクリル重合体の含有量の割合は、50質量%以上であってよく、50~95質量%であってよく、55~93質量%であってよく、60~91質量%であってよい。
前記アクリル重合体が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0043】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様である。
【0044】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1~20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
【0045】
粘着剤層の粘着力が向上する点から、前記アクリル重合体は、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、4~12であることが好ましく、4~8であることがより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
【0046】
前記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となる。
重合体成分(A)は、粘着剤組成物に含有される架橋剤と架橋構造を形成可能な官能基を有することが好ましく、アクリル重合体は、粘着剤組成物に含有される架橋剤と架橋構造を形成可能な官能基を有することが好ましい。
【0047】
官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
【0048】
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
【0049】
前記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
【0050】
官能基含有モノマーは、カルボキシル基含有モノマーが好ましい。
【0051】
前記アクリル重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0052】
前記アクリル重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、1~35質量%であることが好ましく、2~32質量%であることがより好ましく、3~30質量%であることが特に好ましい。
【0053】
前記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
【0054】
前記アクリル重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0055】
重合体成分(A)のガラス転移温度(Tg)は、-40℃以下であることが好ましく、-70℃以上-40℃以下であることがより好ましく、-60℃以上-55℃以下であることがさらに好ましい。重合体成分(A)のTgが前記上限値以下であることで、被着体への粘着力が向上する。
粘着剤層における粘着付与樹脂の含有量を高める代わりに、重合体成分(A)のガラス転移温度(Tg)を低くすることで、粘着剤層の感圧接着性を高めることができる。
【0056】
重合体成分(A)のガラス転移温度(Tg)は、以下に示すFoxの式を用いて算出できる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)(式中、Tgは重合体成分のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,…Tgmは重合体の原料の各単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、W1、W2、…Wmは各単量体の質量分率である。ただし、W1+W2+…+Wm=1である。)
前記Foxの式における各単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、高分子データ・ハンドブック、粘着ハンドブック又は、ポリマーハンドブック記載の値を用いることができる。例えば、アクリル酸メチルのホモポリマーのTgは10℃、アクリル酸2-ヒドロキシエチルのホモポリマーのTgは-15℃、アクリル酸2-エチルヘキシルのホモポリマーのTgは-70℃、メタクリル酸2-エチルヘキシルのTgは-10℃である。
【0057】
前記重合体成分(A)100質量%に対して、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来する構成単位の含有量が50質量%以上であることが好ましく、50~70質量%であることがより好ましく、55~65質量%であることがさらに好ましい。上記のとおり、アクリル酸2-エチルヘキシルはTgが低いものであるので、重合体成分(A)におけるアクリル酸2-エチルヘキシルに由来する構成単位の含有量が前記下限値以上とすることで、粘着剤層の感圧接着性を、効果的に高めることができる。
【0058】
・架橋剤
粘着剤組成物に含有される架橋剤は、粘着剤組成物に含有される粘着付与樹脂と架橋構造を形成可能であればよい。当該架橋剤としては、粘着付与樹脂と架橋構造を形成可能な官能基を有する架橋剤が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1-(2-メチル)-アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられ、その他、メラミン系化合物、ヒドラジド系化合物、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物、尿素系化合物、ジアルデヒド系化合物、金属アルコキシド、金属塩等も使用可能である。
【0059】
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ-N-ラウロイル-β-アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2-エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられる。
【0060】
粘着剤組成物が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0061】
例えば、粘着剤組成物に含有する粘着付与樹脂として、ロジン系粘着付与樹脂を用いる場合、上記に例示した架橋剤のいずれも好適に使用可能である。また例えば、粘着剤組成物に含有する粘着付与樹脂として、テルペンフェノール系粘着付与樹脂を用いる場合、上記に例示した架橋剤のうち、イソシアネート系架橋剤及び金属キレート系架橋剤を好適に使用可能である。
【0062】
前記粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、重合体化合物(A)及び粘着付与樹脂の総含有量100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.4質量部以上5質量部以下であることがさらに好ましい。
【0063】
粘着剤組成物が架橋剤を含有することで、ラベルの耐ドライクリーニング性を向上させることが可能である。
【0064】
実施形態の粘着剤組成物が架橋剤を含有することで、粘着付与樹脂と架橋剤とが反応して架橋構造を形成する。これにより、粘着付与樹脂がドライクリーニングに使用される溶剤に溶出することが防止され、ラベルの剥がれが抑制されると考えられる。
【0065】
前記粘着剤組成物に含有される架橋剤は、さらに前記重合体成分(A)とも架橋構造を形成するものであることが好ましい。かかる架橋剤は、粘着付与樹脂と重合体成分(A)との間に架橋構造を形成することができる。粘着付与樹脂が重合体成分(A)と架橋されることで、架橋剤による粘着付与樹脂の溶出防止の効果がより一層効果的に発揮される。
【0066】
また、前記架橋剤は、例えば、粘着剤層が含有する重合体成分(A)同士を架橋して、粘着剤層を強固なものとし、耐ドライクリーニング性を向上させることができる。
【0067】
前記粘着剤組成物に含有される架橋剤は、後述の感熱接着剤層が含有する重合体成分(B)とも架橋構造を形成するものであることが好ましい。当該架橋剤は、例えば、粘着剤層が含有する重合体成分(A)と、後述の感熱接着剤層が含有する重合体成分(B)とを架橋して、粘着剤層と感熱接着剤層との界面の結合を強固なものとし、耐ドライクリーニング性を向上させることができる。
【0068】
粘着剤組成物の一例として、好ましくは、
粘着剤組成物の固形分の総質量100質量%に対する重合体成分(A)の含有量の割合が50~95質量%であり、前記重合体成分(A)100質量部に対する粘着付与樹脂の含有量の割合が6~30質量部であり、粘着剤組成物における重合体化合物(A)及び前記粘着付与樹脂の総含有量100質量部に対する架橋剤の含有量が0.1~15質量部である粘着剤組成物を例示する。
【0069】
粘着剤組成物の一例として、より好ましくは、
粘着剤組成物の固形分の総質量100質量%に対する重合体成分(A)の含有量の割合が55~93質量%であり、前記重合体成分(A)100質量部に対する粘着付与樹脂の含有量の割合が7~20質量部であり、粘着剤組成物における重合体化合物(A)及び前記粘着付与樹脂の総含有量100質量部に対する架橋剤の含有量が0.3~10質量部である粘着剤組成物を例示する。
【0070】
粘着剤組成物の一例として、さらに好ましくは、
粘着剤組成物の固形分の総質量100質量%に対する重合体成分(A)の含有量の割合が60~91質量%であり、前記重合体成分(A)100質量部に対する粘着付与樹脂の含有量の割合が10~15質量部であり、粘着剤組成物における重合体化合物(A)及び前記粘着付与樹脂の総含有量100質量部に対する架橋剤の含有量が0.4~5質量部である粘着剤組成物を例示する。
【0071】
実施形態のラベル1では、感熱接着剤層20と被着体との間に、粘着剤層30が設けられている。
特許文献1~2では、感熱接着の妨げとなることを防止するため、粘着剤層に対応する層が、感熱接着剤層に対応する層の表面の一部に設けられていた。
対して、実施形態のラベルは、粘着付与樹脂と架橋構造を形成する架橋剤を用いることで、感熱接着剤層の耐クリーニング性が向上されているので、必ずしも、感熱接着剤層に対して一部のみに、粘着剤層を設ける構成とされる必要はない。
【0072】
実施形態のラベル1は、感熱接着剤層20の面の100面積%に対して、粘着剤層30が70~100面積%に設けられていることが好ましく、90~100面積%に設けられていることがより好ましく、全面(100面積%)に設けられていることがさらに好ましい。
粘着剤層30が上記下限値以上の面積%で設けられていることで、ラベルの厚さが均一化されて被着体への接着が良好となり、耐ドライクリーニング性を向上できる。
【0073】
粘着剤層は1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
【0074】
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、16μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、1~13μmであることがさらに好ましく、5~11μmであることが特に好ましい。
感圧粘着力の向上のためには、粘着剤層の厚さを厚くするのが通常であるが、実施形態のラベルの用途においては、貼付対象への仮止めが可能な程度の粘着力を発揮できればよい。また粘着剤層の厚さが上記上限値以下であることで、感熱接着剤層と貼付対象の衣類等との接着の妨げとなり難い。
【0075】
ここで、粘着剤層の厚さとは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0076】
上記の観点から、粘着剤層の粘着力は、JIS K6854-3に準じてはく離速度300mm/分で測定された、綿布との間のT形はく離接着強さが、0.5~30N/25mmであることが好ましく、2~20N/25mmであることがより好ましく、3~15N/25mmであることがさらに好ましい。なお、ここでの粘着力とは、ラベルが感熱接着される前の(感熱接着されていないラベルの)粘着剤層の粘着力である。
粘着剤層の粘着力が上記下限値以上であれば、貼付対象への仮止めに好適であり、上記上限値以下であれば再剥離が容易となるため好ましい。
【0077】
<感熱接着剤層>
実施形態に係るラベル1における感熱接着剤層20は、感熱接着性を有し、ラベルを被着体である衣類等に感熱接着させることで、貼付を可能とする層である。「感熱接着性」とは、感熱接着剤層を加熱し溶融させて再び硬化させることで、被着体に対して接着させることが可能な性質をいう。
感熱接着としては、アイロンやプレス機等による被着体への加熱圧着(熱及び圧力をかけて接着させること)が挙げられる。
感熱接着剤層が、その融点以上の温度に加熱された後、冷却されることで、ラベルが被着体へと接着される。感熱接着を採用することで、被着体への接着が強固なものとなり、耐ドライクリーニング性に優れたラベルとすることができる。
【0078】
実施形態のラベル1では、感熱接着剤層20と被着体との間に、粘着剤層30が設けられているが、ラベルの加熱や加圧により、粘着剤層30の変形が生じ、感熱接着剤層20が露出して、被着体と接着されるものと考えられる。
【0079】
感熱接着剤層は、感熱接着性を有するものであれば、その組成は特に制限されるものではない。感熱接着剤層は、例えば常温(23℃)では接着性を発揮せず、加熱されることで接着性が発揮される。感熱接着剤層の加熱温度は、感熱接着剤層の組成に応じて適宜定めることができ、感熱接着剤層の融点以上の温度で加熱して、感熱接着を発揮させることができる。
【0080】
感熱接着剤層は、重合体成分(B)を含有することが好ましい。重合体成分(B)としては、感熱接着性を有する熱可塑性樹脂が挙げられ、例えばポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂を好適に例示できる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられる。
また、感熱接着剤層は、エチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のオレフィン系共重合体;エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系重合体;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の酢酸ビニル系重合体等を含有してもよく、アイオノマー樹脂等や、これらを酸変性した酸変性ポリオレフィンを含有してもよい。
【0081】
重合体成分(B)は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等の、他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。
重合体成分(B)は、粘着剤組成物に含有される架橋剤と架橋構造を形成可能な官能基を有することが好ましい。
例えば、前記官能基を有する重合体成分(B)は、架橋剤を介して、前記粘着剤層が含有する重合体成分(A)と架橋されてよい。架橋剤としては、上記の粘着剤層にて例示したものが挙げられ、粘着剤層が含有する重合体成分(A)、及び前記感熱接着剤層が含有する重合体成分(B)と反応して結合する架橋剤であることが好ましい。
粘着剤層が含有する重合体成分(A)と、感熱接着剤層が含有する重合体成分(B)とが架橋されることで、粘着剤層と感熱接着剤層との界面の密着が強固なものとなり、耐ドライクリーニング性を向上させることができる。
【0082】
感熱接着剤層は、融点が130℃以下であることが好ましく、50℃以上120℃以下であることがより好ましく、70℃以上110℃以下であることがさらに好ましい。
感熱接着剤層の融点が上記上限値以下であることで、実用上の加熱温度での、感熱接着力が適切に発揮され、耐ドライクリーニング性が向上される。
【0083】
感熱接着剤層は、単層からなってもよいし、複層からなってもよい。複層の場合、各層は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0084】
感熱接着剤層の厚さは適宜設定することができ、例えば15~300μmが好ましく、30~200μmがより好ましく、40~100μmがさらに好ましい。感熱接着剤層の厚さが上記範囲であることにより、耐ドライクリーニング性が良好である。
【0085】
ここで、感熱接着剤層の厚さは、感熱接着剤層全体の厚さを意味し、例えば、感熱接着剤層が複数層からなる場合の厚さとは、感熱接着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0086】
<剥離ライナー>
剥離ライナー40は、粘着剤層30の感熱接着剤層20が設けられた側とは反対側の面に設けられている。
【0087】
剥離ライナー40としては、特に限定されず、一般的には、シートの片面に剥離処理が施された公知の剥離ライナーを適宜選択して用いることができる。剥離ライナー40に用いることのできるライナーとしては、例えば、グラシン紙、上質紙、クラフト紙等の紙、これらの紙にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
【0088】
また、離型処理を行うための離型処理剤としては、シリコーン、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等を例示することができる。
剥離ライナー40の厚さは、特に限定されないが、10~150μmであることが好ましく、20~130μmであることが好ましい。
【0089】
剥離ライナー40を除く、実施形態のラベル1の各層の合計の厚さは、60~100μmであることが好ましく、63~90μmであることがより好ましく、65~80μmであることが特に好ましい。
【0090】
≪ラベルの製造方法≫
実施形態に係るラベルの製造方法は、基材の一方面上に感熱接着剤層を設け、前記感熱接着剤層の、前記基材が積層された側とは反対側の面上に、重合体成分(A)と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含有する粘着剤組成物を用いて、粘着剤層を設けることを含み、前記架橋剤は、前記粘着付与樹脂と架橋構造を形成するものである。
【0091】
粘着剤組成物としては、上記の粘着剤層の説明で例示したものが挙げられる。
【0092】
なお、粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
【0093】
まず、本発明に係るラベルの製造方法について、以下、ラベル1の製造方法を例に説明する。
本実施形態のラベル1の製造方法は、基材10の一方の面上に感熱接着剤層20を設け、感熱接着剤層20の、基材10が積層された側とは反対側の面上に粘着剤層30を設けることを含む。
【0094】
例えば、基材10の上に、感熱接着剤層を構成する成分と、所望によりさらに溶媒とを含む感熱接着剤組成物を、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって塗布して乾燥させ、基材10及び感熱接着剤層20が積層された積層体Aを得る。
感熱接着剤組成物としては、市販のヒートシール剤を使用することができる。
【0095】
また、剥離ライナー40の上に、粘着剤層30を構成する成分と、所望によりさらに溶媒とを含有する粘着剤組成物を調製し、塗工機によって剥離ライナー40の剥離処理面に当該粘着剤組成物を塗布して乾燥させ、剥離ライナー40及び粘着剤層30が積層された積層体Bを得る。
【0096】
次いで、上記で製造した積層体Aの感熱接着剤層20の露出面と、積層体Bの粘着剤層30の露出面とを圧着させ、基材10と、感熱接着剤層20と、粘着剤層30と、がこの順に積層されたラベル1を製造することができる。
【0097】
粘着剤層形成後、例えば、常温で7日間程度静置することで、粘着剤組成物に含有された架橋剤による架橋構造を形成することができる。
【0098】
≪ラベルの使用方法≫
実施形態のラベルは、ドライクリーニングされ得る対象物を被着体とし、それに貼付して使用することができる。
ドライクリーニングされる対象物としては、シャツ、スカート、パンツ、帽子、マフラー、靴下などの衣類や、枕やシーツ等の寝具の他、カバー類、カーテン、ひざ掛け、靴、鞄などを例示できる。ラベルの貼付面としては、上記対象物が備えている布面が好ましい。布とは、天然繊維又は化学繊維で織られた素材全般を指す。
【0099】
本明細書において「ドライクリーニング」とは、水以外の溶剤を用いるクリーニング法全般を指す。溶剤としては、ドライクリーニングに用いることの可能なものであれば特に制限はなく、パークロロエチレン、ガソリン等の石油系溶剤などを例示でき、パークロロエチレンが好ましい。
【0100】
実施形態のラベルの使用方法として、ドライクリーニングされ得る対象物である被着体に粘着剤層を接触させて、ラベルを感圧接着させる工程と、感圧接着されたラベルを加熱して、被着体にラベルを感熱接着させる工程と、を含む方法を例示できる。
【0101】
実施形態のラベルの使用方法として、被着体と、該被着体に感熱接着されたラベルをドライクリーニングする工程を含む方法を例示できる。
【0102】
上記の加熱温度は、感熱接着剤層の組成に応じて適宜定めることができ、感熱接着剤層の融点以上の温度で加熱することが挙げられ、一例として80~250℃であってよく、130~200℃であってよく、140~170℃であってよい。
【0103】
また、加熱時に、アイロンやプレス機等による加熱圧着(熱及び圧力をかけて接着させること)を採用することができる。ラベルに対する圧力としては、0.5~10kg/cm程度を例示できる。
【0104】
実施形態のラベルは、表面に印字又は印刷を施すことができる。印字又は印刷は、基材の表面に施されてもよい。印字又は印刷には、公知の印刷装置を使用することができる。
印字又は印刷は、実施形態のラベルが被着体に貼付される前に施されてもよく、後に施されてもよい。
【0105】
実施形態のクリーニング用ラベルの好ましい使用用途に関するものとして、以下の構成を例示できる。
【0106】
実施形態のクリーニング用ラベルは、前記基材に、印字又は印刷が施されており、
前記印字又は印刷される情報が、クリーニング用ラベルが取り付けられた状態でドライクリーニングされる対象物の所有者情報、クリーニング店の情報、前記対象物の管理記号、及び前記対象物の管理番号からなる群から選択されるいずれか一種以上のドライクリーニング情報、又は、
前記対象物に関する洗濯表示、洗濯記号、サイズ、洗濯又はドライクリーニング方法を含む取り扱い上の注意事項、材料の種類、繊維組成、及びそれらの表示者名からなる群から選択されるいずれか一種以上の対象物情報であるものが好ましい。
【0107】
上記のドライクリーニング情報を有するラベルは、ドライクリーニングされる物品に貼付された後、物品とともにドライクリーニングされて使用される、クリーニングラベルとして使用可能である。
【0108】
上記の対象物情報を有するラベルは、ドライクリーニングされる物品に貼付された後、物品とともにドライクリーニングされて使用される、品質表示用ラベルとして使用可能である。
【0109】
クリーニングラベル及び品質表示用ラベルは、実施形態のクリーニング用ラベルに包含される。
【0110】
≪タグの製造方法≫
上記に説明した実施形態のラベルは、第2基材を含む構造に貼付して、クリーニング用タグの製造に使用することができる。
【0111】
実施形態のクリーニング用タグの製造方法は、実施形態のクリーニング用ラベルの、前記粘着剤層の第1基材が積層された第一の面側とは反対の第二の面側に、第2基材を感圧接着させて、前記第1基材と前記感熱接着剤層と前記粘着剤層と前記第2基材とをこの順に備える積層体を得ることと、
前記積層体を熱処理して、前記第1基材と前記第2基材とを前記感熱接着剤層を介して感熱接着させることと、を含む方法である。
【0112】
第1基材としては、上記の実施形態で基材として例示したものが挙げられる。感熱接着剤層及び粘着剤層としては、上記の実施形態で例示したものが挙げられる。
【0113】
第2基材としては、上記第1基材として例示したものが挙げられる。前記第2基材は、フィルム、布又は不織布であることが好ましい。
【0114】
第1基材と第2基材とは、それぞれ同一の材料同士の組み合わせであってもよく、異なる材料同士の組み合わせであってもよい。
例えば、第1基材が布で第2基材が布である組み合わせや、第1基材が布で第2基材がフィルムである組み合わせを例示できる。
【0115】
実施形態のタグの各層の合計の厚さは25~2000μmであることが好ましく、50~1000μmであることがより好ましく、100~500μmであることがさらに好ましい。
【実施例0116】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0117】
<ラベルの作製>
[比較例1]
基材として、ポリエステル系合成紙(東洋紡株式会社,型番:クリスパーK2411,厚さ50μm)を用意した。次いで、ポリオレフィン系感熱接着剤組成物としてポリオレフィン系水系ディスパージョン(住友精化社製,ザイクセン AC,カルボキシル基含有、融点90℃)を、厚さ15μmになるように塗布し乾燥することにより、基材上に感熱接着剤層を形成し、比較例1のラベルを得た。比較例1のラベルに粘着剤層は設けなかった。
【0118】
[比較例2]
基材として、ポリエステル系合成紙(東洋紡株式会社,型番:クリスパーK2411,厚さ50μm)を用意した。
アクリル系粘着剤組成物[アクリル酸2-エチルヘキシル(60質量部)、アクリル酸n-ブチル(30質量部)、アクリル酸メチル(7質量部)、及びアクリル酸(3質量部)の重合物、並びに溶媒:トルエン(30質量部)の混合物](重合体成分の計算Tg=-52.7℃)を調整し、乾燥後の厚さが10μmになるようにナイフコーターによって剥離ライナーに塗布し、100℃で1分間乾燥させ、粘着剤層を形成した。
こうして形成された粘着剤層の露出面と、基材の露出面とを重ねあわせて圧着し、比較例2のラベルを得た。比較例2のラベルに感熱接着剤層は設けなかった。
【0119】
[参考例1]
基材として、ポリエステル系合成紙(東洋紡株式会社,型番:クリスパーK2411,厚さ50μm)を用意した。次いで、ポリオレフィン系感熱接着剤組成物としてポリオレフィン系水系ディスパージョン(住友精化社製,ザイクセン AC,カルボキシル基含有、融点90℃)を、厚さ15μmになるように塗布し乾燥することにより、基材上に感熱接着剤層を形成した。
アクリル系粘着剤組成物[アクリル酸2-エチルヘキシル(60質量部)、アクリル酸n-ブチル(30質量部)、アクリル酸メチル(7質量部)、及びアクリル酸(3質量部)の重合物、並びに溶媒:トルエン(30質量部)の混合物](重合体成分の計算Tg=-52.7℃)を調整し、乾燥後の厚さが10μmになるようにナイフコーターによって剥離ライナーに塗布し、100℃で1分間乾燥させ、粘着剤層を形成した。
こうして形成された粘着剤層の露出面と、基材及び感熱接着剤層の積層体の感熱接着剤層の露出面とを重ねあわせて圧着し、参考例1のラベルを得た。
【0120】
[比較例3]
基材として、ポリエステル系合成紙(東洋紡株式会社,型番:クリスパーK2411,厚さ50μm)を用意した。次いで、ポリオレフィン系感熱接着剤組成物としてポリオレフィン系水系ディスパージョン(住友精化社製,ザイクセン AC,カルボキシル基含有、融点90℃)を、厚さ15μmになるように塗布し乾燥することにより、基材上に感熱接着剤層を形成した。
石油樹脂系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,アルコンP-90、水素化石油樹脂,軟化点90℃)を含むアクリル系粘着剤組成物[アクリル酸2-エチルヘキシル(60質量部)、アクリル酸n-ブチル(30質量部)、アクリル酸メチル(7質量部)、及びアクリル酸(3質量部)の重合物、該粘着付与樹脂(10質量部)、架橋剤:トルエンジイソシアネート系ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネートL)(3質量部)、並びに溶媒:トルエン(30質量部)の混合物](重合体成分の計算Tg=-52.7℃)を調整し、乾燥後の厚さが10μmになるようにナイフコーターによって剥離ライナーに塗布し、100℃で1分間乾燥させ、粘着剤層を形成した。
こうして形成された粘着剤層の露出面と、基材及び感熱接着剤層の積層体の感熱接着剤層の露出面とを重ねあわせて圧着し、比較例3のラベルを得た。
【0121】
[比較例4]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、石油樹脂系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,P-140,水素化石油樹脂、軟化点140℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、比較例4のラベルを得た。
【0122】
[比較例5]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、スチレン系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル製,YSレジンSX100,スチレン樹脂、軟化点100℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、比較例5のラベルを得た。
【0123】
[比較例6]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、テルペン系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル製,YSレジンPX1000,テルペン樹脂,軟化点100℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、比較例6のラベルを得た。
【0124】
[比較例7]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、テルペン系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル製,YSレジンPX1250,テルペン樹脂,軟化点125℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、比較例7のラベルを得た。
【0125】
[比較例8]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、テルペン系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル製,YSレジンTO105,芳香族変性テルペン樹脂,軟化点105℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、比較例8のラベルを得た。
【0126】
[実施例1]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル製,YSポリスターT100,テルペンフェノール樹脂,軟化点100℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例1のラベルを得た。
【0127】
[実施例2]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル製,YSポリスターT160,テルペンフェノール樹脂,軟化点160℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例2のラベルを得た。
【0128】
[実施例3]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,スーパーエステルA-100,ロジンエステル,軟化点100℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例3のラベルを得た。
【0129】
[実施例4]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,スーパーエステルA-125,ロジンエステル,軟化点125℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例4のラベルを得た。
【0130】
[実施例5]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,エステルガムHP,水素化ロジンエステル,軟化点80℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例5のラベルを得た。
【0131】
[実施例6]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,ペンセルD-125,重合ロジンエステル,軟化点125℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例6のラベルを得た。
【0132】
[実施例7]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,ペンセルD-160,重合ロジンエステル,軟化点160℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例7のラベルを得た。
【0133】
[実施例8]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,パインクリスタルKR-140,超淡色重合ロジン,軟化点140℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例8のラベルを得た。
【0134】
[実施例9]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,パインクリスタルKE-359,超淡色ロジンエステル,軟化点99℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例9のラベルを得た。
【0135】
[実施例10]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,パインクリスタルD-6011,ロジン含有ジオール,軟化点91.5℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例10のラベルを得た。
【0136】
[実施例11]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,パインクリスタルKE-604,酸変性ロジン,軟化点129℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例11のラベルを得た。
【0137】
[実施例12]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,タマノル803L,フェノール変性ロジン樹脂,軟化点150℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例12のラベルを得た。
【0138】
[実施例13]
比較例3において使用した粘着付与樹脂を、ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業製,タマノル901,フェノール変性ロジン樹脂,軟化点130℃)に代えた以外は、比較例3と同様の操作により、実施例13のラベルを得た。
【0139】
上記の実施例、参考例および比較例のラベルの構成を表1~3に示す。表中の「-」は、該当の成分を含有しないことを表す。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
[物性評価]
上記の実施例、参考例および比較例で製造したラベルについて、以下の物性評価を行った。
【0143】
(感熱接着前のラベルの粘着剤層の粘着力の測定)
上記の実施例、参考例および比較例で得られた各ラベルから剥離ライナーを剥離し、ラベルを綿布(カナキン3号、日本規格協会、JIS L0803準拠)に重ね合わせ、質量2000gのゴムローラーを一往復することにより貼り合わせた。湿度23℃湿度50%RHの環境下に30分放置した後に、JIS K6854-3に準じて、はく離速度300mm/分で、ラベルと綿布の間のT形はく離接着強さを測定した。
測定結果を表1~3に示す。
【0144】
(耐ドライクリーニング性の評価)
JIS L 0860 A1法によるドライクリーニング試験を行った後、ラベルの剥がれが発生しているかどうかを目視にて判定した。
×:貼付箇所の全面において、ラベルの剥がれが発生していたもの。
△:貼付箇所の一部分において、ラベルの剥がれが発生していたもの。
○:貼付箇所において、ほぼ剥がれは発生していないが、ラベルの端部の一部分に剥がれが確認されるもの。
◎:貼付箇所の全面において、ラベルの剥がれが確認されないもの。
【0145】
・試験片
上記の実施例、参考例および比較例で得られた各ラベルを、幅20mm、長さ30mmに切断した後、剥離ライナーを剥離し、上記の感熱接着前の粘着力の測定と同様の方法により、被着体(カナキン3号)に貼り合わせた。
その後、加圧加熱機により、荷重1Kg/cm、140℃5秒の条件で加圧加熱した。
・試験液
パークロロエチレン1Lに対し、陰イオン界面活性剤(スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム)5g,非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)5g、及び水1mLを加えてよくかき混ぜて溶かし、均一透明な溶液に調製したものを試験液とした。
・試験
試験瓶の中に、上記で調製した試験液100mL及びステンレス鋼球20個を入れ、試験液を30℃±2℃に調整した。これに試験片を入れて密閉し、洗濯試験機に取り付け、30℃±2℃で30分間運転した。試験瓶から試験片を取り出し、パークロロエチレン100mLで軽くすすいだ後、余分の液を除き、60℃以下の乾燥機で乾燥させた。
評価結果を表1~3に示す。
【0146】
比較例1のラベルは、粘着剤層を備えておらず、粘着力を有していなかった。即ち、比較例1のラベルは、感熱接着を行う前に対象位置へラベルを感圧接着させる貼り適性に欠けるものであった。
【0147】
比較例2のラベルは、感熱接着剤層を備えておらず、耐ドライクリーニング性に欠けるものであった。
【0148】
参考例1のラベルは、感熱接着剤層及び粘着剤層を備え、貼り適性が良好であり、耐ドライクリーニング性も有していた。参考例1のラベルは、粘着剤層に粘着付与樹脂を含まないため、耐ドライクリーニング性に優れていたものと考えられる。
【0149】
比較例3~8のラベルは、感熱接着剤層及び粘着剤層を備え、貼り適性は良好であるものの、粘着剤層に含まれる粘着付与樹脂の影響により、耐ドライクリーニング性に劣る結果となったと考えられた。
【0150】
一方、実施例1~13のラベルは、粘着剤層に粘着付与樹脂を含有することで粘着力が向上して貼り適性に優れ、且つ耐ドライクリーニング性が非常に優れていた。粘着剤層に粘着付与樹脂が含有されているにも関らず耐ドライクリーニング性が非常に優れていたことは、実施例1~13のラベルでは、粘着付与樹脂と架橋構造を形成する架橋剤を含有する粘着剤組成物により粘着剤層が形成され、粘着剤層に含有される粘着付与樹脂が架橋剤と架橋構造を形成したためと考えられる。
【0151】
表中に、粘着付与樹脂が有する官能基として、カルボキシル基及び水酸基の有無を示す。実施例1~13のラベルに含まれる粘着付与樹脂は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有している。これら官能基が粘着剤組成物に含有されたイソシアネート系架橋剤のトルエンジイソシアネート系ポリイソシアネートと反応して架橋構造を形成し、さらに架橋剤を介して重合体成分(A)と架橋され、これにより、粘着付与樹脂がドライクリーニングに使用される溶剤に溶出することが防止され、ラベルの剥がれが抑制されたものと推察される。
【0152】
更には、実施例1~13のラベルでは、感熱接着剤層の感熱接着剤組成物に含有される重合体成分(B)がカルボキシル基を有し、粘着剤層の粘着剤組成物に含有される重合体成分(A)がアクリル酸に由来するカルボキシル基を有し、それらの官能基同士が架橋点となり、架橋剤により架橋されることで、粘着剤層と感熱接着剤層との界面の密着が強固なものとなり、当該界面における剥離が防止されるなど、溶剤に対する強度が高まり、このことによっても、耐ドライクリーニング性が向上したものと推察される。
【0153】
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0154】
1…クリーニング用ラベル、10…基材、20…感熱接着剤層、30…粘着剤層、40…剥離ライナー
図1