(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043401
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】ルート営業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/047 20230101AFI20230322BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20230322BHJP
【FI】
G06Q10/04 310
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151003
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】514306629
【氏名又は名称】株式会社DSi
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】歯科技工物の回収や納品のためのルート巡回を伴う営業活動を効率化すること、営業担当者の働きぶりを適切に評価して付加価値の高い仕事に対する動機づけを行うことができる評価システムを提供する。
【解決手段】ルート営業支援システム1は、複数の巡回先を取得する巡回先取得部と、前記巡回先に巡回順序を付与して巡回ルートを作成する巡回ルート作成部と、前記巡回ルートに含まれる前記巡回先を地図上にプロットするとともに、少なくとも次の巡回先のステータスを表示する地図表示部と、ルート配送を行う営業担当者の位置を検出する位置検出部と、前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記業務に関する日報の入力を促す通知を前記地図上に表示する日報記録部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巡回先を取得する巡回先取得部と、
前記巡回先に巡回順序を付与して巡回ルートを作成する巡回ルート作成部と、
前記巡回ルートに含まれる前記巡回先を地図上にプロットするとともに、少なくとも次の巡回先のステータスを表示する地図表示部と、
ルート配送を行う営業担当者の位置を検出する位置検出部と、
前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記業務に関する日報の入力を促す通知を前記地図上に表示する日報記録部を含む
ルート営業支援システム。
【請求項2】
前記営業担当者の行う業務と、前記業務の価値と、を対応付けたデータベースをさらに含み、
前記日報記録部は、前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記データベースに基づいて前記業務の価値を評価する
請求項1記載のルート営業支援システム。
【請求項3】
前記巡回先のステータスを変更する巡回先割当部と、
前記ステータスの変更を前記営業担当者端末に通知する巡回先通知部と、を有する管理者サーバをさらに含み、
前記地図表示部は、
前記巡回先の前記ステータスが変更された場合に通知を表示し、前記ステータスの変更への対応可否に関する回答を受け付け、前記回答を前記管理者サーバに通知する
請求項1又は2記載のルート営業支援システム。
【請求項4】
複数の巡回先を取得する巡回先取得部と、
前記巡回先に巡回順序を付与して巡回ルートを作成する巡回ルート作成部と、
前記巡回ルートに含まれる前記巡回先を地図上にプロットするとともに、少なくとも次の巡回先のステータスを表示する地図表示部と、
ルート配送を行う営業担当者の位置を検出する位置検出部と、
前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記業務に関する日報の入力を促す通知を前記地図上に表示する日報記録部を含む
営業担当者端末。
【請求項5】
複数の巡回先を取得する巡回先取得ステップと、
前記巡回先に巡回順序を付与して巡回ルートを作成する巡回ルート作成ステップと、
前記巡回ルートに含まれる前記巡回先を地図上にプロットするとともに、少なくとも次の巡回先のステータスを表示する地図表示ステップと、
ルート配送を行う営業担当者の位置を検出する位置検出ステップと、
前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記業務に関する日報の入力を促す通知を前記地図上に表示する日報記録ステップを含む
ルート営業支援方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート営業支援システムに関し、特に歯科技工物の回収や納品のためのルート巡回を伴う営業活動を効率化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医院が歯科技工物を発注すると、通常、歯科技工所の営業担当者が歯科医院を訪問して指示書と石膏模型とを受領する(回収)。また、歯科技工所の営業担当者は、歯科医院を訪問して完成した歯科技工物を引き渡す(納品)。
【0003】
従来、歯科技工所の営業担当者は、自分の担当する全ての歯科医院を定期的に巡回し、回収の有無を確認していた。これは、回収の有無を事前に確認することができないためである。しかし納品も回収もない場合の訪問は無駄である。そこで回収、納品の有無を事前に確認し、当日の巡回ルートを都度作成することができそうであるが、これは負担が大きいし、急な発注にリアルタイムに対応することができない。
【0004】
また、営業担当者が訪問先で歯科医師と商談等を行うならば商機拡大が期待できる。しかし、そのような積極的な営業活動を行うかどうかは営業担当者に任されており、個人によるばらつきがある。このようなばらつきを可視化することで、意識向上につなげたい。
【0005】
また、営業担当者は回収、納品、商談等の営業活動を行なったならば日報を入力することになっている。典型的には、一日の訪問が全て終了してから事務所等で日報を入力する。これは負担の大きさ、情報の鮮度等の点で改善の余地がある。
【0006】
関連技術として、特許文献1には、管理者が集荷依頼を集荷員にリアルタイムに割り当てるためのシステムが開示されている。しかし、集荷員(歯科技工所の営業担当者に相当)側にどのように割り当てを伝えるのか、その具体的なユーザインターフェイスなどは開示されていない。また、商談や日報作成といった、ルート巡回に連なる一連の営業活動をサポートするための機能も備えていない。
【0007】
特許文献2には、外出して業務を行うユーザが所持する携帯端末が所定時間毎に位置データを取得すること、ホストがこれらの位置データに基づいてユーザの滞留場所を判定すること、帰社したユーザが上記携帯端末等を用いて上記滞留場所で行った業務に関する日報を作成することが記載されている。しかしながら、ルート巡回業務と日報作成業務とが時間的にもインタフェース的にも分離されており、利便性に改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-52733号公報
【特許文献2】特開平10-260994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、歯科技工物の回収や納品のためのルート巡回を伴う営業活動を効率化するルート営業支援システムを提供する。
【0010】
また、営業担当者の働きぶりを適切に評価し、付加価値の高い仕事に対する動機づけを行うことができる評価システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施の形態に係るルート営業支援システムは、複数の巡回先を取得する巡回先取得部と、前記巡回先に巡回順序を付与して巡回ルートを作成する巡回ルート作成部と、前記巡回ルートに含まれる前記巡回先を地図上にプロットするとともに、少なくとも次の巡回先のステータスを表示する地図表示部と、ルート配送を行う営業担当者の位置を検出する位置検出部と、前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記業務に関する日報の入力を促す通知を前記地図上に表示する日報記録部を含む。
本発明の一実施の形態に係るルート営業支援システムは、前記営業担当者の行う業務と、前記業務の価値と、を対応付けたデータベースをさらに含み、前記日報記録部は、前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記データベースに基づいて前記業務の価値を評価する。
本発明の一実施の形態に係るルート営業支援システムは、前記巡回先のステータスを変更する巡回先割当部と、前記ステータスの変更を前記営業担当者端末に通知する巡回先通知部と、を有する管理者サーバをさらに含み、前記地図表示部は、前記巡回先の前記ステータスが変更された場合に通知を表示し、前記ステータスの変更への対応可否に関する回答を受け付け、前記回答を前記管理者サーバに通知する。
本発明の一実施の形態に係る営業担当者端末は、複数の巡回先を取得する巡回先取得部と、前記巡回先に巡回順序を付与して巡回ルートを作成する巡回ルート作成部と、前記巡回ルートに含まれる前記巡回先を地図上にプロットするとともに、少なくとも次の巡回先のステータスを表示する地図表示部と、ルート配送を行う営業担当者の位置を検出する位置検出部と、前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記業務に関する日報の入力を促す通知を前記地図上に表示する日報記録部を含む。
本発明の一実施の形態に係るルート営業支援方法は、複数の巡回先を取得する巡回先取得ステップと、前記巡回先に巡回順序を付与して巡回ルートを作成する巡回ルート作成ステップと、前記巡回ルートに含まれる前記巡回先を地図上にプロットするとともに、少なくとも次の巡回先のステータスを表示する地図表示ステップと、ルート配送を行う営業担当者の位置を検出する位置検出ステップと、前記位置に基づいて前記営業担当者の滞留場所及び滞留時間を判定し、前記滞留場所及び前記滞留時間に基づいて前記営業担当者の行った業務を判定し、前記業務に関する日報の入力を促す通知を前記地図上に表示する日報記録ステップを含む。
本発明の一実施の形態に係るプログラムは、上記方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、歯科技工物の回収や納品のためのルート巡回を伴う営業活動を効率化するルート営業支援システムを提供することができる。
【0013】
また、営業担当者の働きぶりを適切に評価し、付加価値の高い仕事に対する動機づけを行うことができる評価システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ルート営業支援システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】指示書発行システム10の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】管理者サーバ20の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】営業担当者端末30の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】指示書の識別情報の入力を受け付けるためのユーザインタフェースの一例である。
【
図7】納品タグの印刷を実行するためのユーザインタフェースの一例である。
【
図8】巡回先割当部203が表示する画面の一例である。
【
図9】巡回状況表示部207が表示する画面の一例である。
【
図10A】実績表示部209が表示する画面の一例である。
【
図10B】実績表示部209が表示する画面の一例である。
【
図10C】実績表示部209が表示する画面の一例である。
【
図11A】巡回ルート作成部302が表示する画面の一例である。
【
図11B】巡回ルート作成部302が表示する画面の一例である。
【
図11C】巡回ルート作成部302が表示する画面の一例である。
【
図11D】巡回ルート作成部302が表示する画面の一例である。
【
図11E】巡回ルート作成部302が表示する画面の一例である。
【
図12A】地図表示部303が表示する画面の一例である。
【
図12B】地図表示部303が表示する画面の一例である。
【
図12C】地図表示部303が表示する画面の一例である。
【
図13】地図表示部303が表示する画面の一例である。
【
図14A】日報記録部307が表示する画面の一例である。
【
図14B】日報記録部307が表示する画面の一例である。
【
図14C】日報記録部307が表示する画面の一例である。
【
図14D】日報記録部307が表示する画面の一例である。
【
図14E】日報記録部307が表示する画面の一例である。
【
図14F】日報記録部307が表示する画面の一例である。
【
図14G】日報記録部307が表示する画面の一例である。
【
図15A】実績表示部309が表示する画面の一例である。
【
図15B】実績表示部309が表示する画面の一例である。
【
図15C】実績表示部309が表示する画面の一例である。
【
図15D】実績表示部309が表示する画面の一例である。
【
図15E】実績表示部309が表示する画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1のブロック図を用いて、本発明の実施の形態にかかるルート営業支援システム1のハードウェア構成について説明する。ルート営業支援システム1は、指示書発行システム10、管理者サーバ20、営業担当者端末30を含む。指示書発行システム10と管理者サーバ20、管理者サーバ20と営業担当者端末30はインターネット等の通信ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0016】
指示書発行システム10は、歯科医院から歯科技工所に対し、歯科技工物の製作を発注するためのコンピュータシステムである。指示書発行システム10は、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータにより構成される。このコンピュータにおいてはプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することにより所定の処理を実現する。指示書発行システム10の一般的な機能構成は公知であり、例えば特開2018-124868号公報、特開2018-124872号公報参照等において開示されている。
【0017】
管理者サーバ20は管理者向けの機能を提供する情報処理装置である。管理者サーバ20は、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータにより構成される。このコンピュータにおいてはプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することにより所定の処理を実現する。
【0018】
営業担当者端末30は営業担当者が所持する情報処理装置である。営業担当者端末30は、例えばスマートフォンやタブレット等のモバイルデバイスにより構成される。このコンピュータにおいてはプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することにより所定の処理を実現する。
【0019】
指示書発行システム10、管理者サーバ20及び営業担当者端末30は、単体の情報処理装置上でアプリケーションプログラムが動作することにより実現されても良く、複数の情報処理装置上で動作するアプリケーションプログラムが連携することにより実現されても良い。例えば、情報の閲覧や入力にかかる処理を主に担当するアプリケーションプログラムが動作するタブレットコンピュータと、情報の加工や蓄積にかかる処理を主に担当するアプリケーションプログラムが動作するクラウドコンピューティング環境と、を組み合わせることにより指示書発行システム10が構成されていても良い。
【0020】
図2乃至
図4のブロック図を用いて、本発明の実施の形態にかかるルート営業支援システム1の機能構成について説明する。
【0021】
図2は、指示書発行システム10の機能構成を示すブロック図である。指示書発行システム10は、指示書・納品書格納部101、納品書作成部103、通知部105を有する。
【0022】
指示書・納品書格納部101は、歯科技工物の発注時に歯科医院から歯科技工所に宛てて作成される指示書、及び歯科技工物の納品時に歯科技工所から歯科医院に宛てて作成される納品書を格納するデータベースである。指示書は、発注者(歯科医院)及び発注先(歯科技工所)の識別情報、発注内容(歯科技工物の仕様、患者名、セット日すなわち納品期限を含む)、並びに指示書の識別情報を含む。納品書は、納品者(歯科技工所)及び納品先(歯科医院)の識別情報、納品内容(完成した歯科技工物に関する諸情報、納品日を含む)、並びに納品書の識別情報を含む。
【0023】
納品書作成部103は、歯科技工所が納品物を完成させた際に、納品書を作成するための処理部である。納品書作成部103は、まず、納品物に対応する指示書の識別情報の入力を受け付ける。例えば、図示しないバーコードリーダーを使用して、印刷された指示書から、指示書の識別情報がエンコードされたバーコードを読み取ることで当該識別情報を取得する。なお印刷された指示書の作成方法は公知であるため説明を省略している。次に、納品書作成部103は取得された指示書の識別番号に基づいて、指示書・納品書格納部101から指示書を取得する。また、指示書・納品書格納部101は納品日の入力を受け付ける。なお納品日としてセット日より後の日付を入力することはできない。これらの後、指示書・納品書格納部101は、納品者(指示書に記載の発注先)、納品先(指示書に記載の発注者)、納品日、納品書の識別番号等の情報を指示書・納品書格納部101に納品情報として格納する。また、指示書・納品書格納部101は、図示しないプリンタを利用して納品タグを印刷する。納品タグには、納品日、納品者、納品先、その他の情報(指示書に記載の患者名、セット日など)が記載される。
【0024】
図5は、納品タグの一例である。
図6は、指示書の識別情報の入力を受け付けるためのユーザインタフェースの一例である。指示書発行システム10にバーコードリーダーが接続されていれば、リーダーが読み取った指示書の識別情報に基づいて指示書が取得され、取得された指示書がリストに表示される。この例では、ユーザが手動で指示書の識別情報を入力するための入力ボックスも用意されている。
図7は、納品タグの印刷を実行するためのユーザインタフェースの一例である。この例では、納品書が作成済みである納品先がリスト表示されている。ユーザは、このリストからその日に納品を行う納品先を選択し、納品書の印刷を行うことができる。
【0025】
通知部105は、上述の指示書又は納品書が新規作成又は更新されたときに、管理者サーバ20に通知を送信する。
【0026】
図3は、管理者サーバ20の機能構成を示すブロック図である。管理者サーバ20は、指示書取得部201、巡回先割当部203、巡回先通知部205、巡回状況表示部207、実績表示部209、実績格納部211を有する。
【0027】
指示書取得部201は、通知部105からの通知を受け、新規作成又は更新された指示書又は納品書を指示書・納品書格納部101から取得する。
【0028】
巡回先割当部203は、発注があった歯科医院、及びこれから納品を行うべき歯科医院を巡回先として扱う。例えば、指示書取得部201が取得した指示書及び納品書に基づいて、新たに作成された指示書で発注者となっている歯科医院、及び納品書が作成済み又は納品タグが印刷済みである納品先の歯科医院を、巡回先とする。あるいは、これらのうち当日(又は任意の日に)巡回すべき発注者又は納品先のみを巡回先としても良い。歯科技工所の管理者は、これらの巡回先を1以上の営業担当者に振り分ける(割当て)。割当ては、管理者の任意の指示に基づいて行われてもよく、所定のアルゴリズムによって行われても良い。営業担当者に対する巡回先の割当ての追加、更新、削除は随時行うことができる。
【0029】
巡回先割当部203は、発注又は納品の別を区別できるよう、巡回先にステータス(「回収あり」「納品あり」等のタグなど)を付与することが好ましい。営業担当者は、「回収あり」タグが付された巡回先においては歯科技工物製作に必要な物資(患者から採取した歯型模型等)の回収を行い、「納品あり」タグが付された巡回先においては納品物の引き渡しを行う。
【0030】
なお、営業担当者は、自分に割り当てられた巡回先を訪問できない場合、その旨を管理者サーバ20に通知することができる。このとき、巡回先割当部203は、当該巡回先を当日中に他の営業担当者に割当てたり、同じ営業担当者の他の日に割り当てたりすることができる。
【0031】
図8は、当初割り当てられた営業担当者から、巡回先を訪問できない旨の通知を受けた場合に巡回先割当部203が表示する画面の一例である。この画面において、巡回先割当部203は、当該巡回先を当日中の巡回先として他の営業担当者に割当てることができる。この場合、管理者による「本日対応」ボタンの押下に応じ、他の営業担当者の指定を受け付ける。または、巡回先割当部203は、当該巡回先を他の日の巡回先として同じ営業担当者に割り当てることもできる。この場合、「翌日対応」ボタンの押下に応じ自動的に再割当てを行う。
【0032】
巡回先通知部205は、営業担当者に対して割り当てられる巡回先の追加、更新、削除又はステータスの変更等がなされた場合、当該巡回先を当該営業担当者の端末30に通知する。
【0033】
巡回状況表示部207は、営業担当者による巡回の進行状況を表示する。表示内容は、略リアルタイムにすなわち極めて短い時間毎に更新されても良く、予め設定された間隔で(例えば5分毎や10分毎に)更新されても良い。又は、管理者の手動操作により都度更新されても良い。営業担当者端末30は、自機の位置(座標)を測定し、自機又は営業担当者の識別情報と自機の座標とを管理者サーバ20に随時送信する機能を有している。営業担当者端末30からの位置情報の取得についても、略リアルタイムにすなわち極めて短い時間毎に実行されても良く、予め設定された間隔で(例えば5分毎や10分毎に)実行されても良い。巡回状況表示部207は、受信した座標を地図上にプロットする(例えば当該座標にアイコンを表示する)。併せて、管理者が指定した(例えばアイコンを選択した)営業担当者の巡回ルート(後述)を表示するなどしても良い。
【0034】
図9は、巡回状況表示部207が表示する画面の一例である。この例では、複数の営業担当者の現在位置が車のアイコンで地図上に示されている(画面右側)。なお巡回先にはピンのアイコンが表示されている。管理者によりクルマのアイコンが選択されると、巡回状況表示部207は、アイコンに対応する営業担当者の当日の巡回ルートを表示する(画面左側)。
【0035】
実績表示部209は、所定期間(例えば日間、月間、年間など)内に各営業担当者が入力した納品回収の実績、及び日報に入力された記録等を実績格納部211から取得及び集計し、集計結果を画面表示する。
【0036】
図10A乃至
図10Cは、実績表示部209が表示する画面の一例である。この例では、営業担当者毎に営業件数、配達件数、営業時間、休憩時間、事務時間、移動時間が日別(
図10A)、月別(
図10B)、及び年別(
図10C)に集計され、表形式で表示されている。これらの実績値は、営業担当者が後述の日報記録部307により入力した内容を集計したものである。
【0037】
実績格納部211は、営業担当者が入力した納品回収の実績、及び日報に入力された記録等を蓄積するデータベースである。
【0038】
図4は、営業担当者端末30の機能構成を示すブロック図である。営業担当者端末30は、巡回先取得部301、巡回ルート作成部302、地図表示部303、位置検出部305、日報記録部307、実績表示部309を有する。
【0039】
巡回先取得部301は、この端末30を使用している営業担当者に対して割り当てられる巡回先の追加、更新、削除又はステータスの変更等がなされた場合、当該巡回先を巡回先通知部205から取得する。
【0040】
巡回ルート作成部302は、巡回先取得部301が取得した巡回先に順序をつけ、グループ化し、巡回ルートを作成する。巡回ルートの作成は、営業担当者の任意の指示に基づいて行われてもよく、所定のアルゴリズムによって行われても良い。巡回ルートに対する巡回先の追加や削除、順序の変更等は随時行うことができる。また、巡回ルートは複数作成することができる。
【0041】
図11A乃至
図11Eは、巡回ルート作成部302が表示する画面の一例である。この例では、最初の画面(
図11A)で+ボタンが押下されると、巡回ルート作成部302はリスト画面(
図11E)又は地図画面(
図11C)を表示して巡回先の選択を受け付ける。リスト画面(
図11E)では巡回先の名称一覧が、地図画面(
図11C)では巡回先の位置を示すアイコンが表示される。ここで選択された巡回先は巡回ルートに追加される。巡回ルート作成部302は、
図11Bに示す画面の上部に巡回ルートに追加された巡回先の位置を地図上にアイコンとして表示する。
図11Bに示す画面の下部には、巡回先の名称が表示されたタイルが訪問順序に従って並べて表示する。営業担当者は、このタイルを並べ替えることにより、訪問順序を自由にカスタマイズできる。なお、新たに追加された巡回先はデフォルトでは巡回ルートの最後尾に追加される。巡回ルートは、名前をつけて保存することができる(
図11D)。
【0042】
地図表示部303は、巡回ルートに含まれる巡回先の位置やステータスを地図上にプロット(例えばピンなどのアイコンを表示)する。また、巡回先に関する情報を地図と併せて(例えばバナー等の形で)表示する。
【0043】
図12A乃至
図12Cは、地図表示部303が表示する画面の一例である。
図12Aは初期画面である。ここで「担当ルート選択」が押下されると、地図表示部303は
図12Bの画面を表示する。
図12Bの画面には保存済みの巡回ルート一覧が表示される。営業担当者がリストから巡回ルートを選択すると、地図表示部303は
図12Cの画面を表示する。
図12Cの画面では、巡回ルートに含まれる巡回先の位置が地図上にプロット(ピンのアイコンが表示)される。ここでピンは、巡回先のステータスや、これまでの訪問回数等に応じて色分けされる。又は、訪問回数等を示す数字をピンに表示しても良い。訪問回数は、日報記録部307(後述)から取得することができる。
【0044】
また、
図12Cの画面には地図に重畳してバナーが表示されている。巡回先の追加、更新、削除、ステータスの変更等が発生した場合、地図表示部303はこれらのバナーを表示して、巡回中の営業担当者にそれらの情報のサマリーをリアルタイムに通知することができる。営業担当者がバナーを選択したとき、地図表示部303はそれらの情報の詳細を表示することができる。
【0045】
例えば、営業担当者が巡回中している最中に、新たな巡回先が管理者によって割当てられた場合、地図表示部303は、
図12Cに示すように「回収通知があります。・・・」というバナーを表示する。ここで営業担当者がバナーの「確認」ボタンを押下すると、地図表示部303は
図13に示す詳細画面を表示する。ここで、営業担当者はその巡回先を当日訪問するか、明日訪問するかを選択することができる。選択結果は、管理者サーバ20に通知される。当日訪問することとした場合は、地図表示部303が地図上に新たな訪問先の位置を示すピンを追加する。
【0046】
位置検出部305は、営業担当者端末30の現在位置(座標)を測位する。現在位置の測位機能は公知であるため詳細な説明を省略するが、典型的にはGPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムを利用することができる。位置検出部305は、測定した座標と、営業担当者端末30又は営業担当者の識別情報とを管理者サーバ20に随時送信する機能も備える。位置検出部305から管理者サーバ20への位置情報の送信は、略リアルタイムにすなわち極めて短い時間毎に実行されても良く、予め設定された間隔で(例えば5分毎や10分毎に)実行されても良い。
【0047】
日報記録部307は、位置検出部305が測定した座標を随時取得し、営業担当者が所定の時間にわたって同じ場所に留まっているか否かを判断する。また、判断された滞留時間や滞留場所に応じて、その時間帯における営業担当者の業務内容を推定する。以下に推定方法の例を示す。
【0048】
営業担当者端末30が所定時間(例えば5分以上30分未満)にわたって滞留した(例えば位置情報の変化が半径30mの範囲内に留まっている)場合、日報記録部307は、回収又は納品業務が実施されたと判定する。この場合、日報記録部307は、納品回収状況の報告用画面を表示する。この画面において、営業担当者は、巡回先、納品又は回収の実施有無、申し送り事項等を入力することができる。巡回先の入力にあたっては、日報記録部307が滞留場所近傍の巡回先のリスト等を提示し、営業担当者に該当する巡回先を選択させても良い。又は、ある巡回先と滞留場所との距離が所定の閾値(例えば30m)以内である場合、当該巡回先を営業担当者の訪問先として自動的に特定しても良い。入力された情報は、管理者サーバ20の実績格納部211に送信され、格納される。
【0049】
一方、営業担当者端末30が所定時間を超えて(例えば30分以上にわたって)滞留した(例えば位置情報の変化が半径30mの範囲内に留まっている)場合、日報記録部307は、商談等の営業活動、休憩、その他の仕事のいずれかの活動が実施されたと判定する。この場合、日報記録部307は、次に示すような各種の日報登録用画面を表示する。
【0050】
商談等の営業活動をしていた場合、営業担当者は、日報登録用画面において訪問先、面談者、面談の趣旨、面談内容等を入力することができる。訪問先の入力にあたっては、日報記録部307が滞留場所近傍の巡回先のリストから訪問先を選択させても良い。又は、ある巡回先と滞留場所との距離が所定の閾値(例えば30m)以内である場合、当該巡回先を営業担当者の訪問先として自動的に特定しても良い。あるいは、既存の巡回先以外の新たな見込み客である歯科医院等を訪問先として登録できるようにしても良い。入力された情報は、管理者サーバ20の実績格納部211に送信され、格納される。
【0051】
その他の仕事をしていた場合、営業担当者は、日報登録用画面においてその時間帯に実施していた仕事の種類や内容等を入力することができる。仕事内容の入力にあたっては、日報記録部307が典型的な仕事の種類のリストから実際に行ったものを選択させても良い。入力された情報は、管理者サーバ20の実績格納部211に送信され、格納される。
【0052】
その他の場合、つまり位置情報の変化が半径30mの範囲内に留まったのが5分未満である場合は、日報記録部307は、この時間帯は移動中であったと判定する。
【0053】
図14A乃至
図14Gは、日報記録部307が表示する画面の一例である。日報記録部307は、滞留を検知した場合、「〇〇(滞留場所)に〇〇分滞在しました」等のメッセージをバナー表示する(
図14A)。営業担当者がバナーを選択すると、日報記録部307は、滞留時間及び滞留場所に応じて異なる入力画面を表示する。
【0054】
回収又は納品業務が実施されたと判定された場合は、
図14Gの画面を表示する。営業担当者は、納品回収ができたかどうか、及びその状況等を入力する。
【0055】
商談等の営業活動、休憩、その他の仕事のいずれかの活動が実施されたと判定された場合は、
図14Bの画面を表示して、営業担当者が実際に行っていた活動についての報告を求める。
【0056】
既存の巡回先で商談等を行った場合、営業担当者は
図14Bの画面に表示された滞在場所付近にある巡回先のリストから、実際に訪問した巡回先を選択する。そして
図14Cの画面において、面談者(先生又は先生以外)、面談の態様(新規営業、紹介営業、自費補綴又はクレーム対応など)、面談の内容(自由入力)を入力する。
【0057】
一方、既存の巡回先以外の新たな見込み客である歯科医院等を訪問した場合、営業担当者は
図14Bの画面で医院登録ボタンを押下する。そして
図14Dの医院登録画面において、訪問先(医院名、住所等)、面談の態様(新規営業、紹介営業、自費補綴又はクレーム対応など)、面談の内容(自由入力)を入力する。
【0058】
休憩をとっていた場合、営業担当者は
図14Bの画面で休憩ボタンを押下する。
【0059】
その他の仕事をしていた場合、営業担当者は
図14Eの画面で実際に行っていた仕事の種類を選択する。また、
図14Fの画面で実施した仕事の内容を具体的に記入する。
【0060】
このように、滞留時間や滞留場所に応じて、その時間帯における営業担当者の業務内容を半ば自動的に推定する仕組みを導入したことにより、何らかの業務をしている時間と、移動時間とを峻別することができる。また、業務とそれ以外の時間の集計値、業務の内容ごとの集計値を表示したり、及びこれらを比較したりすることができるようになる。このようなシンプルな仕組みにより、営業担当者が生産性(時間効率)の高い巡回ルートを作成したり、生産性の高い業務に時間を配分したりできるよう支援できる。例えば、歯科医院の医師等との接触時間や回数を増やし、無駄なドライブなどを削除すると、両者の比率が改善するので、営業担当者は自己の努力の結果を容易に視覚的に確認することができる。
【0061】
実績表示部309は、所定期間(例えば日間、月間、年間など)内に営業担当者が入力した納品回収の実績、及び日報に入力された記録等を実績格納部211から取得及び集計し、集計結果を画面表示する。
【0062】
図15A乃至
図15Eは、実績表示部309が表示する画面の一例である。この例では、営業担当者の営業件数、配達件数、営業時間、休憩時間、事務時間、移動時間が日別(
図15A)、月別(
図15B)、及び年別(
図15C)に集計され、表形式で表示されている。これらの実績値は、営業担当者が日報記録部307により入力した内容を集計したものである。また、実績表示部309は、任意の日に営業担当者が移動したルートを地図上にプロットしても良い。
図15Dの画面では、営業担当者が訪問した巡回先を示すピンを訪問順に直線で結ぶことで、又は位置情報が示す座標を時系列に直線で結ぶことで、移動ルートを表現している。
【0063】
図15Eは、特定の巡回先における営業実績を集計した画面の一例である。実績表示部309はこの画面において、面談の態様(新規営業、紹介営業、自費補綴又はクレーム対応など)別に、それぞれの回数の比を示すグラフを表示している。
【0064】
このようにして集計された実績は、例えば管理者が営業担当者の勤務評価を行う際の基礎情報として利用可能である。例えば、商談の時間は単価3000円、移動時間は単価1000円といったように業務内容に応じた時間給を設定することにより、生産性に応じた弾力的な給与施策が可能である。
【0065】
業務内容に応じた給与(還元すれば業務の価値)の算出にあたっては、業務の内容と、その価値と、の対応関係を記憶する業務価値データベースを管理者サーバ20内などに設けることができる。ここでいう価値とは、業務の価値を定量的に表した指標であり、典型的には従業員に支払われる報酬の時間単価である。あるいは、報酬算定や人事評価等の基礎となるようなポイント等の数値であっても良い。例えば、業務Xについては時間単価「xx円」、業務Yについては時間単価「yy円」と定義できる。このテーブルは従業員の役職や雇用形態等に応じて異なってもよい。そして、管理者サーバ20内などに設けられた勤務評価処理部が、実績格納部211に営業担当者ごとに蓄積された実績値と、業務価値データベースに定義された業務の価値と、に応じて営業担当者の勤務評価を示す指標を計算することができる。
【0066】
このような、営業担当者の滞在した場所、時間と業務内容とには一定の関連性があるという知見、及び、営業担当者の滞在した場所、時間を簡易に定量化し、営業担当者の実施した業務内容に応じて報酬単価を変動させるという構成は、従来技術に類を見ないものである。これにより、管理者は、例えばより付加価値の高い業務に対しては高いインセンティブを設定することにより、インセンティブの高い業務に多くの時間を費やすよう営業担当者を誘導できる。
【0067】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものでない。様々なファクターに応じて多様な業務及び価値を定義することが可能である。一例として、時間帯に応じて業務の価値を変動させるなどして、よりきめ細かな誘導を行うこともできる。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明を構成する各処理手段は、ハードウェアにより構成されるものであってもよく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより論理的に実現するものであってもよい。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0069】
1 ルート営業支援システム
10 指示書発行システム
20 管理者サーバ
30 営業担当者端末
101 指示書・納品書格納部
103 納品書作成部
105 通知部
201 指示書取得部
203 巡回先割当部
205 巡回先通知部
207 巡回状況表示部
209 実績表示部
211 実績格納部
301 巡回先取得部
302 巡回ルート作成部
303 地図表示部
305 位置検出部
307 日報記録部
309 実績表示部