(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004345
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】受電装置、センサデバイス、給電システム及び受電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20230110BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20230110BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
H02J50/20
G08C17/00 Z
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105966
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】512319232
【氏名又は名称】株式会社KMC
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】安部 新一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 声喜
【テーマコード(参考)】
2F073
5G503
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA12
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
5G503BB03
5G503GB03
5G503GB09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】給電装置から無線給電される受電装置、受電装置を有し工作機械に設置されるセンサデバイス、給電装置及び受電装置を有する給電システム及び受電装置による受電方法を提供する。
【解決手段】給電システム1において、受電装置30は、給電装置40が無線給電する電気を無線受信する受電アンテナ310と、それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータ331、332、333…と、受電アンテナが受信した電気を、電気の電圧を変換可能なコンバータに入力する入力切替部320と、を具備する。入力切替部は、複数の異なるコンバータにそれぞれ接続された複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…を有する。複数の異なるツェナーダイオードは、それぞれ、各ツェナーダイオードが接続された各コンバータに、このコンバータが変換可能な電圧を入力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置が無線給電する電気を無線受信する受電アンテナと、
それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータと、
前記受電アンテナが受信した前記電気を、前記電気の電圧を変換可能なコンバータに入力する入力切替部と、
を具備する受電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受電装置であって、
前記入力切替部は、前記複数の異なるコンバータにそれぞれ接続された複数の異なるツェナーダイオードを有し、
前記複数の異なるツェナーダイオードは、それぞれ、各ツェナーダイオードが接続された各コンバータに、このコンバータが変換可能な電圧を入力する
受電装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の受電装置であって、
前記複数の異なるコンバータが出力する前記一定の電圧の電気を蓄電する蓄電器
をさらに具備する受電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受電装置であって、
前記蓄電器はキャパシタである
受電装置。
【請求項5】
給電装置が無線給電する電気を受信する受電アンテナと、
それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータと、
前記受電アンテナが受信した前記電気を、前記電気の電圧を変換可能なコンバータに入力する入力切替部と、
前記複数の異なるコンバータが出力する前記一定の電圧の電気を蓄電する蓄電器と、
を有する受電装置と、
前記蓄電器に蓄電された電気が供給されるセンサ素子と、
を具備するセンサデバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサデバイスであって、
前記センサデバイスは、工作機械に設置され、
前記センサ素子は、前記工作機械の振動、加速度、回転数及び/又は温度を検出する
センサデバイス。
【請求項7】
給電装置と、
前記給電装置が無線給電する電気を受信する受電アンテナと、
それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータと、
前記受電アンテナが受信した前記電気を、前記電気の電圧を変換可能なコンバータに入力する入力切替部と、
を有する受電装置と、
を具備する給電システム。
【請求項8】
請求項7に記載の給電システムであって、
前記受電装置は、
前記複数の異なるコンバータが出力する前記一定の電圧の電気を蓄電する蓄電器をさらに有し、
前記蓄電器に蓄電された電気が供給されるセンサ素子を有するセンサデバイスに含まれる
給電システム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の給電システムであって、
複数の前記受電装置
を具備する給電システム。
【請求項10】
給電装置が無線給電する電気を、受電アンテナが受信し、
入力切替部が、前記受電アンテナが受信した前記電気の電圧を、それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータのうち、前記電圧を変換可能なコンバータに入力し、
前記コンバータが、入力された前記電圧を前記一定の電圧に変換する
受電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置から無線給電される受電装置と、受電装置を有し工作機械に設置されるセンサデバイスと、給電装置及び受電装置を有する給電システムと、受電装置による受電方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の分野では、各部位にセンサデバイスが設置される。センサデバイスの検出結果はPLC(Programmable Logic Controller)を有する配電盤を介して専用コントローラやコンピュータに入力される。近年では、様々なセンサデバイスを用いてしかもリアルタイムに時々刻々と変化するデータを収集することが要求されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械の分野では、各部位にセンサデバイスが設置される上、工場内の多数の工作機械にそれぞれ複数のセンサデバイスが設置される。そのため、工場内のセンサデバイスの数は大きなものとなる。工場内の多数の工作機械を常時モニタするために、多数のセンサデバイスに安定的に電源を供給する必要がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、センサデバイスに安定的に電源を供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る受電装置は、
給電装置が無線給電する電気を無線受信する受電アンテナと、
それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータと、
前記受電アンテナが受信した前記電気を、前記電気の電圧を変換可能なコンバータに入力する入力切替部と、
を具備する。
【0007】
本実施形態によれば、入力切替部が、それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータに、電圧の入力を切り替える。これにより、複数の異なるコンバータは、受電電圧の値に拘わらず、広範囲の電圧を全範囲に亘り高効率に、一定の電圧に変換することができる。
【0008】
前記入力切替部は、前記複数の異なるコンバータにそれぞれ接続された複数の異なるツェナーダイオードを有し、
前記複数の異なるツェナーダイオードは、それぞれ、各ツェナーダイオードが接続された各コンバータに、このコンバータが変換可能な電圧を入力してもよい。
【0009】
本実施形態によれば、受電電圧の値に応じて、1個のツェナーダイオードが電圧を取り出し、1個のコンバータに電圧を入力する。これにより、電圧を入力すべき1個のコンバータを決定する情報処理を必要とせずに、ツェナーダイオードが自動的に、1個のコンバータに電圧を入力することができる。このため、情報処理に係る電力も不要である。
【0010】
受電装置は、前記複数の異なるコンバータが出力する前記一定の電圧の電気を蓄電する蓄電器をさらに具備してもよい。
【0011】
前記蓄電器はキャパシタでもよい。
【0012】
本実施形態によれば、複数の異なるコンバータは、受電電圧の値に拘わらず、広範囲の電圧を全範囲に亘り高効率に、一定の電圧(蓄電器であるキャパシタに適した電圧)に変換することができる。
【0013】
本発明の一形態に係るセンサデバイスは、
給電装置が無線給電する電気を受信する受電アンテナと、
それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータと、
前記受電アンテナが受信した前記電気を、前記電気の電圧を変換可能なコンバータに入力する入力切替部と、
前記複数の異なるコンバータが出力する前記一定の電圧の電気を蓄電する蓄電器と、
を有する受電装置と、
前記蓄電器に蓄電された電気が供給されるセンサ素子と、
を具備する。
【0014】
前記センサデバイスは、工作機械に設置され、
前記センサ素子は、前記工作機械の振動、加速度、回転数及び/又は温度を検出してもよい。
【0015】
本発明の一形態に係る給電システムは、
給電装置と、
前記給電装置が無線給電する電気を受信する受電アンテナと、
それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータと、
前記受電アンテナが受信した前記電気を、前記電気の電圧を変換可能なコンバータに入力する入力切替部と、
を有する受電装置と、
を具備する。
【0016】
前記受電装置は、
前記複数の異なるコンバータが出力する前記一定の電圧の電気を蓄電する蓄電器をさらに有し、
前記蓄電器に蓄電された電気が供給されるセンサ素子を有するセンサデバイスに含まれてもよい。
【0017】
給電システムは、複数の前記受電装置を具備してもよい。
【0018】
工場内では、工作機械の各部位にセンサデバイスが設置される上、工場内の多数の工作機械にそれぞれ複数のセンサデバイスが設置される。そのため、第1に、工場内のセンサデバイスの数は大きなものとなる。第2に、1個の給電装置から、工場内の多数のセンサデバイスにそれぞれ内蔵された受電装置に無線給電する場合、給電装置から各受電装置までの距離が異なる。この様な状況下でも、電装置からの距離が異なる多数のセンサデバイスに安定的に電源を供給することができ、工場内の多数の工作機械を常時モニタすることができる。
【0019】
本発明の一形態に係る受電方法は、
給電装置が無線給電する電気を、受電アンテナが受信し、
入力切替部が、前記受電アンテナが受信した前記電気の電圧を、それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータのうち、前記電圧を変換可能なコンバータに入力し、
前記コンバータが、入力された前記電圧を前記一定の電圧に変換する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、センサデバイスに安定的に電源を供給することを図れる。
【0021】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給電システムを示す。
【
図2】工作機械に配置される複数のセンサデバイスを模式的に示す。
【
図3】受電装置を内蔵するセンサデバイスの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
1.給電システム
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る給電システムを示す。
【0026】
給電システム1は、典型的には、工場内に設置される。給電システム1は、給電装置40と、1以上の受電装置30とを有する。
【0027】
給電装置40は、受電装置30に電気を無線給電する。
【0028】
1以上の受電装置30は、それぞれ、工場内の1以上の工作機械に設置されたセンサデバイス10に含まれる。1以上の受電装置30は、給電装置40が無線給電する電気を無線受信して蓄電する(詳細は後述する)。1以上の受電装置30は、典型的には複数であるが、以下、特記しない限り単数の受電装置30を説明する。
【0029】
センサデバイス10は、例えばスピンドルを含む工作機械に設置される。センサデバイス10に含まれるセンサ素子は、例えばスピンドルを含む工作機械の振動、加速度、回転数及び/又は温度を検出する。センサデバイス10の種類及び配置の具体例を以下に説明する。
【0030】
2.センサデバイスの種類及び配置
【0031】
図2は、工作機械に配置される複数のセンサデバイスを模式的に示す。
【0032】
スピンドル81のフロント側81Fに1個の振動センサデバイス10Aと、4個の温度センサデバイス10Bとが配置される。振動センサデバイス10Aは、例えば、スピンドル81の回転軸のフロント側に配置される。4個の温度センサデバイス10Bとして、例えば、1個の接触式温度センサがフロント内輪の前側に、別個の接触式温度センサがフロント内輪の後側に、1個の非接触式温度センサがフロント外輪の前側に、別個の非接触式温度センサがフロント外輪の後側に配置される。これら5個のセンサデバイス10は、例えば有線で、1個の子タグ20Aに接続される。子タグ20Aは、接続された複数のセンサデバイス10の検出結果を、パーソナルコンピュータ(不図示)等に接続された親タグ(不図示)に無線送信する。
【0033】
スピンドル81のリア側81Rに1個の振動センサデバイス10Aと、4個の温度センサデバイス10Bとが配置される。振動センサデバイス10Aは、例えば、スピンドル81の回転軸のリア側に配置される。4個の温度センサデバイス10Bとして、例えば、1個の接触式温度センサがリア内輪の前側に、別個の接触式温度センサがリア内輪の後側に、1個の非接触式温度センサがリア外輪の前側に、別個の非接触式温度センサがリア外輪の後側に配置される。これら5個のセンサデバイス10は、例えば有線で、別個の子タグ20Bに接続される。子タグ20Bは、接続された複数のセンサデバイス10の検出結果を、パーソナルコンピュータ(不図示)等に接続された親タグ(不図示)に無線送信する。
【0034】
センサデバイス10は、典型的にはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム))である。本実施形態では、センサデバイス10をMEMSにより構成し、子タグ20を無線化したので、工作機械のスピンドル81などの回転する部分に、センサデバイス10及び子タグ20を配置し、スピンドル81の振動及び/又は加速度や温度を検出することができる。
【0035】
3.給電システムのコンセプト
【0036】
上記の例では、スピンドル81の各部位に、10個のセンサデバイス10が設置される。この様に、工作機械の各部位にセンサデバイスが設置される上、工場内の多数の工作機械にそれぞれ複数のセンサデバイス10が設置される。そのため、第1に、工場内のセンサデバイス10の数は大きなものとなる。第2に、1個の給電装置40から、工場内の多数のセンサデバイス10にそれぞれ内蔵された受電装置30に無線給電する場合、給電装置40から各受電装置30までの距離が異なる。この様な状況下でも、工場内の多数の工作機械を常時モニタするために、給電装置40からの距離が異なる多数のセンサデバイス10に安定的に電源を供給する必要がある。
【0037】
クーロンの法則によれば、給電装置40から受電装置30に給電する電気は、給電装置40から受電装置30までの距離の2乗に反比例する。言い換えれば、給電装置40から受電装置30に無線給電するとき、給電装置40から離れるほど、受電装置30が出力した電気の損失が大きくなる。例えば、給電装置40から受電装置30までの距離が2倍になると給電装置40が出力した電気が1/4に減衰し、給電装置40から受電装置30までの距離が3倍になると給電装置40が出力した電気が1/9に減衰する。
【0038】
また、給電装置40から受電装置30までの距離に応じて、電圧も変動する。例えば、給電装置40から受電装置30までの距離が10m以上になると、受電する電気の電圧が大幅に小さくなる。このため、各受電装置30は、距離の変動に対応した電圧、例えば30V~2V程度の広範囲の電圧の受電に対応する必要がある。受電装置30は、給電装置40から受電装置30までの距離に拘わらず、少なくとも30V~2V程度の広範囲の電圧をDC/DCコンバータ等で変換し、広範囲の電圧の全範囲に亘り効率よく受電する必要がある。しかしながら、広範囲の電圧を、全範囲に亘り高効率に変換するDC/DCコンバータは市販されていない。
【0039】
一方、受電装置30を内蔵するセンサデバイス10は工場内のどの工作機械のどこに設置されるか、給電装置40は工場内のどこに設置されるか、結果的に給電装置40から受電装置30までの距離はどの程度かは、受電装置30を内蔵するセンサデバイス10の製造時には基本的には未定である。このため、受電装置30に入力される電気の電圧値を予め一義的に決め、電圧値に応じたDC/DCコンバータを受電装置30に内蔵するのも現実的ではない。
【0040】
以上のような事情に鑑み、本実施形態は、給電装置40から給電される広範囲の電圧の全範囲に亘り効率よく受電することが可能な受電装置30を実現することを図る。
【0041】
4.受電装置を内蔵するセンサデバイスの構成
【0042】
図3は、受電装置を内蔵するセンサデバイスの構成を示す。
【0043】
センサデバイス10は、受電装置30と、センサ素子110とを有する。
【0044】
センサ素子110は、工作機械(例えば、
図2のスピンドル81)の振動、加速度、回転数及び/又は温度を検出するためのセンサ本体を有する。センサ素子110は、さらに、検出値を一時的に記憶する記憶装置や、子タグ20(
図2)と接続するための端子(不図示)等を有する。
【0045】
受電装置30は、給電装置40が無線給電する電気を蓄電し、センサ素子110に供給する。受電装置30は、受電アンテナ310と、入力切替部320と、コンバータアレイ330と、蓄電器340とを有する。
【0046】
受電アンテナ310は、給電装置40が無線給電する電気を無線受信する。受電アンテナ310は、例えば、面的な形状の金属製のプレートの表面に、面の中心から放射状にエナメル線を配置し密着させたものである。
【0047】
受電アンテナ310が無線受信した電気は、入力切替部320に入力される。
【0048】
入力切替部320は、複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…を有する。複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…は、受電アンテナ310に並列接続される。ツェナーダイオード321、322、323…は、定電圧ダイオードとも呼ばれ、目的の電圧(ツェナー電圧)のみを取り出すダイオードである。ツェナーダイオード321、322、323…がそれぞれ取り出す電圧は、全て異なる。例えば、ツェナーダイオード321は、受電アンテナ310から入力された電圧から、0.5V以上2V未満の電圧を取り出す。ツェナーダイオード322は、受電アンテナ310から入力された電圧から、2V以上5V未満の電圧を取り出す。ツェナーダイオード323は、受電アンテナ310から入力された電圧から、5V以上10V未満の電圧を取り出す。入力切替部320は、ツェナーダイオード321、322、323の他に、別の1以上のツェナーダイオード(不図示)を有する。別の1以上のツェナーダイオード(不図示)は、例えば、最大40V程度の電圧を取り出す。
【0049】
複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…が取り出す電圧の最大値は、給電装置40と受電装置30との距離が最小値である場合に給電装置40から受電する電圧の値である。複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…が取り出す電圧の最小値は、給電装置40と受電装置30との距離が最大値である場合に給電装置40から受電する電圧の値である。複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…は、電圧の最大値から最小値まで、全範囲の電圧を継ぎ目なく取り出すことが可能である。
【0050】
入力切替部320に含まれる複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…が取り出した電圧は、コンバータアレイ330に入力される。
【0051】
コンバータアレイ330は、複数の異なるコンバータ331、332、333…を有する。複数の異なるコンバータ331、332、333…複数の異なるコンバータ331、332、333…は、それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧(蓄電器340に適した電圧)に変換する。例えば、コンバータ331は、0.5V以上2V未満の電圧を5Vに変換する昇圧DC/DCコンバータである。コンバータ332は、2V以上5V未満の電圧を5Vに変換する昇圧・降圧DC/DCコンバータである。コンバータ333は、5V以上10V未満の電圧を5Vに変換する昇圧・降圧DC/DCコンバータである。コンバータアレイ330は、コンバータ331、332、333の他に、別の1以上のDC/DCコンバータを有する。別の1以上のDC/DCコンバータ(不図示)は、例えば、最大40V程度の電圧を5Vに変換する降圧DC/DCコンバータである。
【0052】
複数の異なるコンバータ331、332、333…が変換する電圧の最大値は、給電装置40と受電装置30との距離が最小値である場合に給電装置40から受電する電圧の値である。複数の異なるコンバータ331、332、333…が変換する電圧の最小値は、給電装置40と受電装置30との距離が最大値である場合に給電装置40から受電する電圧の値である。複数の異なるコンバータ331、332、333…は、電圧の最大値から最小値まで、全範囲の電圧を継ぎ目なく一定電圧化することが可能である。
【0053】
複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…に、一対一で、複数の異なるコンバータ331、332、333…が接続される。具体的には、0.5V以上2V未満の電圧を取り出すツェナーダイオード321に、0.5V以上2V未満の電圧を5Vに変換するコンバータ331が接続される。2V以上5V未満の電圧を取り出すツェナーダイオード322に、2V以上5V未満の電圧を5Vに変換するコンバータ332が接続される。5V以上10V未満の電圧を取り出すツェナーダイオード323に、5V以上10V未満の電圧を5Vに変換するコンバータ332が接続される。これにより、各ツェナーダイオード321、322、323…は、受電アンテナ310から入力された電圧を、その電圧を変換可能な各コンバータ331、332、333…に入力する。
【0054】
例えば、受電アンテナ310から入力切替部320に1Vの電圧が入力されたとする。この場合、入力切替部320に含まれる複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…のうち、0.5V以上2V未満の電圧を取り出すことが可能なツェナーダイオード321だけが、1Vの電圧を取り出す。ツェナーダイオード321は、取り出した1Vの電圧を、コンバータ331に入力する。コンバータ331は、入力された1Vの電圧を5Vに変換し、出力する。この入力切替部320及びコンバータアレイ330の構成により、受電アンテナ310が受電した電圧の値に拘わらず、コンバータアレイ330から出力される電圧は5Vに一定電圧化される。
【0055】
コンバータアレイ330に含まれる複数の異なるコンバータ331、332、333…が一定電圧化(本例では5V)した電気は、蓄電器340に入力される。
【0056】
蓄電器340は、典型的には、キャパシタである。蓄電器340は、コンバータアレイ330に含まれる複数の異なるコンバータ331、332、333…が出力する一定電圧(本例では5V)の電気を蓄電する。蓄電器340が蓄電する電気は、センサ素子110に供給される。
【0057】
5.結語
【0058】
本実施形態によれば、入力切替部320が、それぞれ異なる値の電圧を一定の電圧に変換する複数の異なるコンバータ331、332、333…に、電圧の入力を切り替える。これにより、複数の異なるコンバータ331、332、333…は、給電装置40から受電装置30までの距離に依存して変動する受電電圧の値に拘わらず、広範囲の電圧を全範囲に亘り高効率に、一定の電圧(蓄電器340に適した電圧)に変換することができる。
【0059】
本実施形態によれば、入力切替部320は、複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…を有する。複数の異なるツェナーダイオード321、322、323…は、それぞれ、各ツェナーダイオード321、322、323…が接続された各コンバータ331、332、333…に、このコンバータ331、332、333…が変換可能な電圧を入力する。これにより、給電装置40から受電装置30までの距離に依存して変動する受電電圧の値に応じて、1個のツェナーダイオード321、322、323…が電圧を取り出し、1個のコンバータ331、332、333…に電圧を入力する。これにより、電圧を入力すべき1個のコンバータ331、332、333…を決定する情報処理を必要とせずに、ツェナーダイオード321、322、323…が自動的に、1個のコンバータ331、332、333…に電圧を入力することができる。このため、情報処理に係る電力も不要である。
【0060】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 給電システム
10 センサデバイス
110 センサ素子
30 受電装置
310 受電アンテナ
320 入力切替部
321、322、323 ツェナーダイオード
330 コンバータアレイ
331、332、333 コンバータ
340 蓄電器
40 給電装置