(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004347
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】果菜載せ体、果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
B07C5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105969
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC23
3F079CB29
3F079CC03
3F079DA12
3F079DA15
3F079DA18
3F079DA23
3F079EA09
(57)【要約】
【課題】 搬送中も果菜が安定しやすい果菜載せ体と当該果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置を提供する。
【解決手段】 本発明の果菜載せ体1は、果菜自動選別装置の無端走行体33に装着して果菜を搬送するものであって、果菜を載せる果菜載せ部1aと、無端走行体33に取り付ける取付け部1bを備え、果菜載せ部1aに果菜が転がるのを防止する位置決め部が設けられたものである。本発明の果菜自動選別装置は、果菜搬送体1で搬送中の果菜を計測手段20で計測して等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別にプールコンベア21に排出する装置であって、果菜搬送体19は縦回転式の無端走行体33と無端走行体33に取り付けられた複数の果菜載せ体1を備え、果菜載せ体1として本発明の果菜載せ体1が用いられたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜自動選別装置の無端走行体に装着して果菜を搬送する果菜載せ体において、
果菜を載せる果菜載せ部と前記無端走行体に取り付ける取付け部を備え、
前記果菜載せ部に果菜が転がるのを防止する位置決め部が設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項2】
請求項1記載の果菜載せ体において、
位置決め部として有底凹部又は貫通孔が設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項3】
請求項2記載の果菜載せ体において、
有底凹部又は貫通孔は果菜が落下しない大きさである、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の果菜載せ体において、
果菜載せ部に当該果菜載せ部の中央部に向けて傾斜する傾斜面が設けられ、
位置決め部は前記傾斜面の下り方向先方側に設けられた、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項5】
果菜搬送体で搬送中の果菜を計測手段で計測して等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別にプールコンベアに排出する果菜自動選別装置において、
前記果菜搬送体は、縦回転式の無端走行体と、当該無端走行体に取り付けられた複数の果菜載せ体を備え、
前記果菜載せ体が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の果菜載せ体である、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項6】
請求項5記載の果菜自動選別装置において、
果菜搬送体に果菜載せ体上の果菜をプールコンベアへ排出するエア噴射機が設けられた、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミニトマトやカボス、栗のような各種果菜を載せる果菜載せ体と、当該果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
果菜自動選別装置の一種としてPK(ピアノ鍵盤)式と呼ばれる果菜載せ体を用いたもの(PK式選果機)が知られている(特許文献1~3)。PK式選果機は、縦回転式の搬送チェーンに多数のPK式の果菜載せ体が取り付けられ、当該果菜載せ体での果菜の搬送中に、果菜の等階級等を計測して選別するものである。
【0003】
PK式の果菜載せ体は、前記搬送チェーンに取り付ける取付け部と、当該取付け部に軸支されて一端側が上下に可動する可動体と、当該可動体を保持する操作具を備えている。果菜は当該可動体の上面側に載せられて搬送される。
【0004】
前記可動体には先端側が下方に回転する方向に付勢する付勢バネが、操作具には可動体を保持する方向に付勢する付勢バネがそれぞれ設けられ、操作具が付勢バネのバネ力に抗う方向に押し下げされて可動体の保持が解除されることによって、果菜が排出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-018354号公報
【特許文献2】特開2008-018355号公報
【特許文献3】特開2018-094476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記PK式の果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置では、搬送時の振動によって可動体上の果菜が安定せず、計測器での等階級の計測を正確に行うのが難しいことがあった。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、搬送中も果菜が安定しやすい果菜載せ体と、当該果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[果菜載せ体]
本発明の果菜載せ体は、果菜自動選別装置の無端走行体に装着して果菜を搬送するものであって、果菜を載せる果菜載せ部と、無端走行体に取り付ける取付け部を備え、果菜載せ部に果菜が転がるのを防止する位置決め部が設けられたものである。
【0009】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、果菜搬送体で搬送中の果菜を計測手段で計測して等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別にプールコンベアに排出する装置であって、果菜搬送体は縦回転式の無端走行体と無端走行体に取り付けられた複数の果菜載せ体を備え、果菜載せ体として本発明の果菜載せ体が用いられたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の果菜載せ体は、果菜載せ部に果菜が転がるのを防止する位置決め部を備えているので、計測器での計測を正確に行うことができる。本発明の果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置にも同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】果菜自動選別装置の排出受け部から整列部の途中までを示す斜視図。
【
図2】果菜自動選別装置の分散引き上げ体の途中から果菜搬送体の終端までを示す斜視図。
【
図7】(a)は果菜載せ体の一例を示す斜視図、(b)は(a)に示す果菜載せ体の断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(果菜載せ体の実施形態)
本発明の果菜載せ体1の一例を、図面を参照して説明する。本発明の果菜載せ体1は、
図1~
図6に示す果菜自動選別装置の果菜搬送体19の搬送チェーン(無端走行体)33に固定して使用するものである。
【0013】
一例として
図7(a)(b)に示す果菜載せ体1は平面視長方形状の板状部材であり、果菜を載せる果菜載せ部1aと、搬送チェーン33に取り付ける取付け部1bを備えている。果菜載せ部1aは、果菜載せ体1の上面に間隔をあけて二つ設けられている。各果菜載せ体1の果菜載せ部1aの数は二つより多くても少なくてもよい。
【0014】
各果菜載せ部1aは、各果菜載せ部1aの中心部に向けて下り傾斜の四つの傾斜面1cを備えている。それら四つの傾斜面1cの先方側には、果菜が転がるのを防止して果菜載せ部1aでの果菜の位置を決める位置決め部が設けられている。この実施形態では、位置決め部として、果菜載せ体1の肉厚方向に貫通する貫通孔1dが設けられている。各貫通孔1dの上側の周縁は面取りされたテーパー面が設けられている。
【0015】
この実施形態では、貫通孔1dの開口部の形状が六角形の場合を一例としているが、貫通孔1dの形状は特に限定されず、所期の目的を達成できる形状であれば、六角形以外の多角形や円形、楕円形、その他の形状とすることもできる。
【0016】
この実施形態の各貫通孔1dの周囲には、楕円状凹部1eが設けられている。ミニトマトの中には楕円形状のものもあり、このような楕円状凹部1eを設けることで、楕円形状のミニトマトなども転がりにくくなる。ミニトマトには、丸玉と呼ばれる球状のもののほか、楕円形状のもの等、様々な形状のものがあるが、この実施形態の果菜載せ体1であれば、楕円形状のものなど、丸玉以外の果菜にも万能に用いることができる。
【0017】
両果菜載せ部1aの間には、両果菜載せ部1aよりも一段高い中央高台部1fが、走行方向先方側の果菜載せ部1a(以下「先方載せ部」という)の先方側には果菜載せ部1aよりも一段高い先方側高台部1gが、走行方向後方側の果菜載せ部1a(以下「後方載せ部」という)の後方側には果菜載せ部1aよりも一段高い後方側高台部1hが設けられている。
【0018】
この実施形態では、先方側高台部1gの前後方向の幅寸法と後方側高台部1hの前後方向の幅寸法を同じにしてあり、両者の幅寸法の合計が、中央高台部1fの前後方向の幅寸法と同じになるようにしてある。
【0019】
この実施形態の果菜載せ体1は、前後方向にも左右方向にも対称となるようにしてある。このような構成とすることで、搬送チェーン33への取付け時に取り付ける向きを間違えることがない。また、金型を一つ用意すればよいため、製造コストを抑えることもできる。
【0020】
この実施形態の果菜載せ体1では、果菜載せ部1aに供給された果菜が、貫通孔1dに向けて傾斜面を移動し、貫通孔1dに到達したところで、果菜の一部が貫通孔1dに嵌って動きが止まるようにしてある。
【0021】
ここで説明した果菜載せ体1の構成は一例であり、本発明の果菜載せ体1はこれ以外の構成とすることもできる。たとえば、果菜載せ部1aの貫通孔1dに代えて、非貫通の有底凹部を設けることもできる。貫通孔1dや有底凹部の位置は、果菜載せ部1aの中心部からずれた位置に形成することもできる。果菜載せ部1aの傾斜面1cを省略して平面に貫通孔1dや有底凹部を形成することもできる。
【0022】
前記位置決め部は、貫通孔1dや有底凹部以外の構成とすることもできる。たとえば、中心に果菜が収まるスペースが形成されるように複数本の突条を放射状に配置し、そのスペースを位置決め部とすることができる。この場合、スペースに収まった果菜は、各突条のスペース側の端部によって支持され、安定しやすくなる。この場合、スペースに貫通孔1dや有底凹部を設けることもできる。
【0023】
この実施形態では、取付け部1bとして、搬送チェーン33との連結に用いるビス2をねじ込むためのビス止め金具3が設けられている。ビス止め金具3は、果菜載せ体1の裏面側に設けられている。
図7(b)に示すように、この実施形態では果菜載せ体1の走行方向左側に設けられている。ビス止め金具3は、果菜載せ体1の走行方向(搬送チェーン33の長手方向)に沿って、間隔をあけて複数個設けられている。
【0024】
この実施形態では、取付け部1bが果菜載せ体1の走行方向(幅方向)左側に設けられている場合を一例としているが、取付け部1bは反対側に設けることもできる。場合によっては、果菜載せ体1の幅方向中央付近に設けることもできる。また、搬送チェーン33は一本に限らず、二本以上設けることもできる。この場合、二本以上の搬送チェーン33に取り付けられるように、取付け部1bは果菜載せ体1の走行方向に沿って複数列設けることもできる。
【0025】
(果菜自動選別装置の実施形態)
次に、果菜自動選別装置の一例を、図面を参照して説明する。ここでは果菜がミニトマトの場合を一例として説明する。
【0026】
一例として
図1~
図6に示す果菜自動選別装置は、コンテナ10から排出されるミニトマトを受ける排出受け部11と、排出受け部11の先方に設けられた傾斜板12と、傾斜板12の先方に設けられた引き上げ体13と、引き上げ体13の先方に設けられた送り搬送体14と、送り搬送体14の先方に設けられた分散傾斜体15と、分散傾斜体15の先方に設けられた振動体16と、振動体16の先方に設けられた分散引き上げ体(果菜引継ぎ体)17と、分散引き上げ体17の先方に設けられた整列部18と、整列部18の先方に設けられた果菜搬送体19を備えている。
【0027】
この実施形態では、整列部18と果菜搬送体19が四条ずつ設けられ、それぞれの果菜搬送体19の始端側(整列部寄り)に設けられた計測手段20で、果菜載せ体1上のミニトマトを計測できるようにしてある。
【0028】
四条の果菜搬送体19の下方には、果菜搬送体19の搬送方向と交差する(直交する)方向にプールコンベア21が多数本設けられ、選別後のミニトマトをプールできるようにしてある。図示した例では二本であるが、実際は各等階級につき一又は二本以上設けられる。
【0029】
プールコンベア21の配列方向先方には、いずれのプールコンベア21にも排出されなかったミニトマトを排出するための不選別コンベア22がプールコンベア21と平行に(果菜搬送体19の搬送方向と交差する(直交する)向きに)設けられている。
【0030】
不選別コンベア22の終端側には戻り搬送体23が設けられ、選別されなかったミニトマトを振動体16に戻せるようにしてある。それぞれの果菜搬送体19には、果菜載せ体1上のミニトマトをエアでプールコンベア21へ排出するエア噴射機25が設けられている。
【0031】
前記排出受け部11はコンテナ10等から排出されたミニトマトを受ける部分である。排出受け部11には、ベルトコンベア等を用いることができる。排出受け部11には、ミニトマトが落下しないように、側方に落下防止壁(図示しない)を設けることができる。図示する例は一例であり、排出受け部11はこれ以外のものであってもよい。
【0032】
排出受け部11として、ベルトコンベアのようにミニトマトを先方へ送る手段を備えていないものを用いることもできるが、この場合は、ミニトマトを手作業で先方へ送ればよい。排出受け部11は省略することもできる。この場合、ミニトマトをコンテナ10等から傾斜板12に直接供給することができる。
【0033】
前記傾斜板12は、排出受け部11から供給されたミニトマトを引き上げ体13の下端側(始端側)へ送るものである。この実施形態では、側方に落下防止壁26を備えた平板を用いている。
【0034】
傾斜板12を排出受け部11と兼用にして、コンテナ10等から排出されたミニトマトを傾斜板12で受け、引き上げ体13の下端側へ送れるようにすることもできる。図示する例は一例であり、傾斜板12はこれ以外のものであってもよい。傾斜板12は省略することもできる。この場合、ミニトマトをコンテナ10等から引き上げ体13に直接供給することができる。
【0035】
前記引き上げ体13は、傾斜板12から送られたミニトマトを複数個ずつ引き上げて、先方の送り搬送体14へ供給するものである。一例として
図1、
図3及び
図5に示す引き上げ体13はベルトコンベアの平ベルトの外周に複数の受け材27が突設されたものである。
【0036】
受け材27の突出幅はミニトマトが一つ収まる程度或いは若干はみ出す程度の幅としてある。隣接する受け材27の間隔はミニトマトが一つ収まる程度の間隔、換言すれば、両受け材27の間にミニトマトが上下に二個以上載らない間隔としてある。したがって、一つの受け材27に載る複数のミニトマトは受け材27上で重なることなく一列に整列することとなる。
【0037】
図示する例は一例であり、引き上げ体13はこれ以外のものであってもよい。引き上げ体13は省略することもできる。この場合、ミニトマトをコンテナ10等から送り搬送体14に直接供給することができる。
【0038】
前記送り搬送体14は、引き上げ体13で引き上げられたミニトマトを先方の分散傾斜体15に供給するものである。この実施形態では、送り搬送体14として既存のベルトコンベアを用いているが、ローラコンベア等、ベルトコンベア以外のものを用いることもできる。
【0039】
図1、
図3及び
図5に示すように、送り搬送体14の側方には複数の作業員を配置できるようにしてある。作業員は、送り搬送体14上を移動するミニトマトを一つ一つ確認し、傷が付いているものや虫に食われているものなどを適宜取り除くことで一次選別を行う。
【0040】
前記分散傾斜体15は、送り搬送体14から送られたミニトマトを分散して先方の振動体16へ供給するもの(供給台)である。この実施形態では、側方に落下防止壁28を備えた先広がりの平板(板状部)を用いている。
【0041】
平板の上面には分散ガイド29が設けられ、分散傾斜体15に供給されたミニトマトをある程度分散できるようにしてある。送り搬送体14で作業を行う作業員は、分散ガイド29を目印にして、ミニトマトを分散させることができる。
【0042】
前記振動体16は、分散傾斜体15から供給されるミニトマトをさらに均等又は略均等にバランスよく分散させるもの(果菜分散手段)である。この振動体16は、載せられたミニトマトが横方向へ移動するように振動させてある。振動体16の振動によって横方向に分散されたミニトマトは、その分散状態を維持したまま分散引き上げ体17に供給される。
【0043】
前記分散引き上げ体17は、振動体16から供給されたミニトマトを引き上げて、先方の整列部18に供給するものである。この実施形態では、分散引き上げ体17として、ベルトコンベアの平ベルトの外周に複数の受け材30が突設されたものを用いている。
【0044】
受け材30の突設幅や隣接する受け材30の間隔等、分散引き上げ体17の基本的な構造は前記引き上げ体13と同じであるが、横幅を前記引き上げ体13よりも広くしてある。前記引き上げ体13と同様、分散引き上げ体17でも一つの受け材30に載る複数のミニトマトは受け材30上で重なることなく一列に整列することとなる。
【0045】
図示する例は一例であり、分散引き上げ体17はこれ以外のものであってもよい。なお、この実施形態では、四条の整列部18が間隔をあけず横並びに設けられており、これら四条の整列部18に均等又は略均等にバランスよくミニトマトが供給されるようにしてある。整列部18を間隔をあけずに設けているのは、その間隔からミニトマトが落下するのを防止するためである。
【0046】
前記整列部18は、分散引き上げ体17から供給されるミニトマトを一列に整列させるものである。一列に整列させるのは、計測手段20を通過する際に、ミニトマトが重なって正確な計測が阻害されるのを防止するためである。
【0047】
一例として
図2、
図4及び
図6に示すものは、振動によってミニトマトの重なりを解消しながら先方へ送るものである。この実施形態では、幅の異なるものを三本直列に並べているが、三本より多くすることも三本より少なくすることもできる。
【0048】
この実施形態では、幅の異なる三本の振動装置を幅の広いものが手前、幅の狭いものが先方となるように、すなわち、ミニトマトが移動する通路が先方に向かうにつれて狭くなるようにしてある。分散引き上げ体17から供給されるミニトマトは、幅の広い振動装置から幅の狭い振動装置へ導かれ、最終的に一列に整列することとなる。
【0049】
前記果菜搬送体19は、縦回転式の搬送チェーン33に複数の果菜載せ体1が取り付けられたものである。この果菜搬送体19は、長尺のフレーム31の長手方向に間隔をあけて配置された複数のスプロケット32の外周に搬送チェーン33が周回された縦回転式のものである。搬送チェーン33は図示しないモータの回転によって走行するようにしてある。
【0050】
搬送チェーン33には多数の果菜載せ体1が連続して取り付けられ、搬送チェーン33の走行によってその走行方向に移動するようにしてある。搬送チェーン33には一列のローラチェーンや二列のローラチェーン等、既存のチェーンを用いることができる。
【0051】
図2、
図4及び
図6に示すように、前記フレーム31には、長手方向に間隔をあけて複数のエア噴射機25が設けられている。エア噴射機25は、プールコンベア21と不選別コンベア22のそれぞれに対応する位置に設けられている。各エア噴射機25は各プールコンベア21及び不選別コンベア22の幅方向の中心付近に設けてある。
【0052】
前記計測手段20は、果菜載せ体1で搬送されるミニトマトの形状やサイズ、糖度等を計測するものであり、撮影用のカメラ、処理回路、糖度計等から構成される。計測手段20は果菜搬送体19の上方に配置して搬送中のミニトマトを上方から撮影して計測できるようにすることも、側方に配置して搬送中のミニトマトを側方から計測できるようにすることも、真下に配置して搬送中のミニトマトを下方から計測することも、その他の位置に配置して異なる方向から計測できるようにすることもできる。
【0053】
前記カメラ、処理回路、糖度計等には既存のものを使用することができ、計測手段20には画像式、光学式等の各形式の計測器を使用することができる。
【0054】
前記エア噴射機25は、エアによって果菜載せ体1上のミニトマトをプールコンベア21に排出するもの(排出装置)である。エア噴射機25でミニトマト又はミニトマトの近傍にエアを噴射することで、ミニトマトを果菜載せ体1から排出することができる。
【0055】
エア噴射機25には既存のものを用いることができる。エア噴射機25の噴射力は、ミニトマトを排出できる強さであって、且つ、排出されるミニトマトが隣の果菜搬送体19に届かない程度の強さとするのが好ましい。排出されるミニトマトが隣の果菜搬送体19に到達するのを防止するため、各果菜搬送体19の間にカーテンのようなものを垂らしておき、排出されるミニトマトが隣の果菜搬送体19に載らないようにすることもできる。
【0056】
前記プールコンベア21は、果菜載せ体1から排出されるミニトマトを引き継ぐものである。一例として
図2、
図4及び
図6に示すプールコンベア21は、間隔をあけて配置されたローラの外周に平ベルトが周回されたベルトコンベア式のものである。
【0057】
この実施形態では、プールコンベア21は四条の果菜搬送体19の下方に、これら果菜搬送体19と直交(交差)する向きに設けてあり、各果菜搬送体19の果菜載せ体1から排出されるミニトマトが引き継がれるようにしてある。プールコンベア21は
図2及び
図6の矢印方向に連続回転或いは間欠回転するようにしてある。
【0058】
図示は省略しているが、プールコンベア21は各等階級につき一本又は二本以上、好ましくは三本以上ずつ設けることができる。なお、プールコンベア21の先方には、プールコンベア21に排出されたミニトマトの重量や個数を自動で計測してパック詰めするパック詰め装置を設けておくこともできる。
【0059】
前記不選別コンベア22は、等階級が判別されずに最終のプールコンベア21を通過したミニトマトを排出するためのコンベアである。この実施形態では、間隔をあけて配置されたローラの外周に平ベルトが周回されたベルトコンベア式のものを、プールコンベア21と平行に一本設けてある。
【0060】
前記不選別コンベア22の先方には、不選別コンベア22に排出されたミニトマトを前記振動体16に戻すための戻り搬送体23(
図2、
図4及び
図6)が設けられている。この実施形態では、戻り搬送体23は果菜搬送体19の外側に果菜搬送体19と平行に設けられており、当該戻り搬送体23のベルトが、果菜搬送体19での果菜搬送方向と反対方向(果菜載せ体19が始端側に戻る方向)に進行するようにしてある。戻り搬送体23と振動体16の間には滑り板23aが設けられ、戻り搬送体23で戻されたミニトマトを振動体16へ供給できるようにしてある。
【0061】
(動作)
前記排出受け部11に排出されたミニトマトは、傾斜板12を転がり、引き上げ体13で上方へ引き上げられる。引き上げられたミニトマトは送り搬送体14に載り、不良なミニトマトはこの送り搬送体14を移動している間に作業員によって手作業で取り除かれる。
【0062】
送り搬送体14を通過したミニトマトは分散傾斜体15を転がり、振動体16へ到達する。振動体16に到達したミニトマトは振動体16の振動によって、横方向に均等又は略均等にバランスよく分散される。
【0063】
振動体16で分散されたミニトマトは、分散引き上げ体17で引き上げられ、先方に設けられた整列部18において重ならないように一列に整列される。整列したミニトマトは順次果菜搬送体19の果菜載せ体1上に載せられ、先方へ搬送される。この搬送中に果菜載せ体1のミニトマトが計測手段20で計測され、その結果に基づいて等階級が判別される。
【0064】
等階級の判別信号はエア噴射機25に送信され、等階級が判別したミニトマトが所定のプールコンベア21の上方へ移動すると、エア噴射機25がエアを噴射して当該果菜載せ体1上のミニトマトがプールコンベア21へ排出される。
【0065】
プールコンベア21に排出されることなく全てのプールコンベア21を通過したミニトマトは、不選別コンベア22に排出され、戻り搬送体23によって振動体16へ戻される。振動体16に戻されたミニトマトは再び分散引き上げ体17に載り、前述した順に選別される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本願の果菜載せ体及び果菜自動選別装置は、ミニトマトのほか、カボスや栗といった比較的傷付き難い果菜を選別するのに特に好適に用いることができるが、これら以外の各種果菜の選別に用いることもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 果菜載せ体
1a 果菜載せ部
1b 取付け部
1c 傾斜面
1d 貫通孔
1e 楕円状凹部
1f 中央高台部
1g 先方側高台部
1h 後方側高台部
2 ビス
3 ビス止め金具
10 コンテナ
11 排出受け部
12 傾斜板
13 引き上げ体
14 送り搬送体
15 分散傾斜体
16 振動体(果菜分散手段)
17 分散引き上げ体(果菜引継ぎ体)
18 整列部
19 果菜搬送体
20 計測手段
21 プールコンベア
22 不選別コンベア
23 戻り搬送体
23a 滑り板
25 エア噴射機
26 落下防止壁
27 受け材
28 落下防止壁
29 分散ガイド
30 受け材
31 フレーム
32 スプロケット
33 搬送チェーン(無端走行体)