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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043483
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20230322BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
H02K9/06 B
H02K5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151147
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮地 雄太
(72)【発明者】
【氏名】喜多村 稔
(72)【発明者】
【氏名】澤上 友貴
(72)【発明者】
【氏名】小番 拓也
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD11
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP06
5H609QQ02
5H609QQ10
5H609RR03
5H609RR17
5H609RR33
5H609RR37
5H609RR42
5H609RR43
(57)【要約】
【課題】全閉構造型において冷却効果を向上させることのできる回転電機を提供すること。
【解決手段】回転子72の両側に配置される第1ファン75a及び第2ファン75bと、軸方向に離隔すると共に双方の間に円環状間隔片51と複数の板状間隔片52とが配置される第1固定子鉄心30a及び第2固定子鉄心30bとを備え、第1固定子鉄心30aには、固定子鉄心30の内周面に形成される溝部32の外側に第1通風孔35aが形成され、第2固定子鉄心30bには、第1通風孔35aが形成される溝部32とは異なる溝部32の外側に第2通風孔35bが形成され、第1固定子鉄心30aを支持する第1ブラケット10aには、第1ファン75aと第1通風孔35aとに開口する第1通風ダクト15aが形成され、第2固定子鉄心30bを支持する第2ブラケット10bには、第2ファン75bと第2通風孔35bとに開口する第2通風ダクト15bが形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に取り付けられる回転子と、
前記回転子の径方向における外側に離隔して配置されると共に前記回転軸の軸方向に互いに離隔する第1固定子鉄心と第2固定子鉄心とを有する固定子鉄心と、前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心との間の部分に配置されて前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに接続されるダクト形成部材とを有する固定子と、
前記軸方向において前記第1固定子鉄心に対して前記第2固定子鉄心が位置する側の反対側に配置されて前記第1固定子鉄心を支持すると共に、前記回転軸を前記第1固定子鉄心に対して相対回転可能に支持すると共に第1ブラケットと、
前記軸方向において前記第2固定子鉄心に対して前記第1固定子鉄心が位置する側の反対側に配置されて前記第2固定子鉄心を支持すると共に、前記回転軸を前記第2固定子鉄心に対して相対回転可能に支持すると共に第2ブラケットと、
前記軸方向において前記回転子に対して前記第1ブラケットが位置する側に配置されて前記回転軸と一体となって回転する第1ファンと、
前記軸方向において前記回転子に対して前記第2ブラケットが位置する側に配置されて前記回転軸と一体となって回転する第2ファンと、
を備え、
前記固定子鉄心の内周面には、前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに亘って前記軸方向に延在する溝部が形成されると共に、前記溝部は、前記固定子鉄心の周方向に複数が配置され、
複数の前記溝部には、固定子コイルが収容され、
前記ダクト形成部材は、
前記径方向における前記固定子鉄心の外端の位置で前記固定子鉄心の全周に亘って配置され、前記軸方向における両側が前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに接続される円環状間隔片と、
板状の形状で形成されると共に板の幅方向が前記軸方向となり、板の厚み方向が前記周方向となる向きで配置され、前記軸方向における両側が前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに接続され、前記径方向における外側の端部が前記円環状間隔片に接続される板状間隔片と、
を有し、
前記板状間隔片は、複数がそれぞれの前記溝部同士の間に放射状に配置され、
前記第1固定子鉄心には、前記径方向における前記溝部の外側の位置に、前記第1固定子鉄心を前記軸方向に貫通する第1通風孔が形成され、
前記第2固定子鉄心には、前記第1固定子鉄心において前記径方向における外側に前記第1通風孔が形成される前記溝部とは前記周方向の位置が異なる前記溝部の前記径方向における外側の位置に、前記第2固定子鉄心を前記軸方向に貫通する第2通風孔が形成され、
前記第1ブラケットには、一端が前記第1ファンの前記径方向における外側から前記第1ファンの前記径方向の外端に対向する位置に開口し、他端が前記第1通風孔に対向する位置に開口する第1通風ダクトが形成され、
前記第2ブラケットには、一端が前記第2ファンの前記径方向における外側から前記第2ファンの前記径方向の外端に対向する位置に開口し、他端が前記第2通風孔に対向する位置に開口する第2通風ダクトが形成されることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記第1通風孔は、複数の前記溝部における、前記周方向において1つおきの前記溝部の前記径方向の外側の位置に形成され、
前記第2通風孔は、複数の前記溝部における、前記径方向における外側の位置に前記第1通風孔が形成される前記溝部とは前記周方向の位置が異なる各前記溝部の前記径方向における外側の位置に形成される請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に使用される車両用回転電機としては、誘導電動機、巻線型発電機、及び永久磁石式回転電機が採用されている。また、回転電機の稼働時には熱が発生するため、回転電機は温度の上昇を抑える冷却構造を備えているが、冷却構造としては、回転電機本体の放熱を主とした全閉構造型や、回転軸にファンを設け外気を取り込む自己通風型、ブロアをつなげ外気を送り込む強制風冷型が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された電動機は、回転子鉄心に、軸方向に延びる通風孔と、通風孔から径方向に延びる第1通風路とを形成し、固定子鉄心に、径方向に延びる第2通風路を形成している。これにより、特許文献1に記載された電動機は、電動機の稼働時に、回転子鉄心の回転に伴って通風孔や第1通風路、第2通風路を流れる冷却空気により回転子鉄心及び固定子鉄心の冷却し、回転子鉄心及び固定子鉄心の冷却効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-178532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、全閉構造型の回転電機は、回転電機の機内と機外とを遮断する構造であるため、機内清掃等のメンテナンス作業が不要であることがメリットとなる構造である。しかし、全閉構造型の場合、機内と機外とを遮断することにより、外気を機内に取り入れることが出来ないため、冷却効果が自己通風型や強制風冷型と比較して低くなっている。
【0006】
一般的に回転電機では、固定子に配置される固定子鉄心内コイルが、温度が高くなり易くなる箇所の1つになっている。このため、冷却効果を高めるためには、固定子鉄心内コイルの温度を低減することが有効であるが、全閉構造型では外気を用いて固定子鉄心内コイルを冷却することが出来ないため、全閉構造型の回転電機においては、冷却構造の点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、全閉構造型において冷却効果を向上させることのできる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の回転電機は、回転軸に取り付けられる回転子と、前記回転子の径方向における外側に離隔して配置されると共に前記回転軸の軸方向に互いに離隔する第1固定子鉄心と第2固定子鉄心とを有する固定子鉄心と、前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心との間の部分に配置されて前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに接続されるダクト形成部材とを有する固定子と、前記軸方向において前記第1固定子鉄心に対して前記第2固定子鉄心が位置する側の反対側に配置されて前記第1固定子鉄心を支持すると共に、前記回転軸を前記第1固定子鉄心に対して相対回転可能に支持すると共に第1ブラケットと、前記軸方向において前記第2固定子鉄心に対して前記第1固定子鉄心が位置する側の反対側に配置されて前記第2固定子鉄心を支持すると共に、前記回転軸を前記第2固定子鉄心に対して相対回転可能に支持すると共に第2ブラケットと、前記軸方向において前記回転子に対して前記第1ブラケットが位置する側に配置されて前記回転軸と一体となって回転する第1ファンと、前記軸方向において前記回転子に対して前記第2ブラケットが位置する側に配置されて前記回転軸と一体となって回転する第2ファンと、を備え、前記固定子鉄心の内周面には、前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに亘って前記軸方向に延在する溝部が形成されると共に、前記溝部は、前記固定子鉄心の周方向に複数が配置され、複数の前記溝部には、固定子コイルが収容され、前記ダクト形成部材は、前記径方向における前記固定子鉄心の外端の位置で前記固定子鉄心の全周に亘って配置され、前記軸方向における両側が前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに接続される円環状間隔片と、板状の形状で形成されると共に板の幅方向が前記軸方向となり、板の厚み方向が前記周方向となる向きで配置され、前記軸方向における両側が前記第1固定子鉄心と前記第2固定子鉄心とに接続され、前記径方向における外側の端部が前記円環状間隔片に接続される板状間隔片と、を有し、前記板状間隔片は、複数がそれぞれの前記溝部同士の間に放射状に配置され、前記第1固定子鉄心には、前記径方向における前記溝部の外側の位置に、前記第1固定子鉄心を前記軸方向に貫通する第1通風孔が形成され、前記第2固定子鉄心には、前記第1固定子鉄心において前記径方向における外側に前記第1通風孔が形成される前記溝部とは前記周方向の位置が異なる前記溝部の前記径方向における外側の位置に、前記第2固定子鉄心を前記軸方向に貫通する第2通風孔が形成され、前記第1ブラケットには、一端が前記第1ファンの前記径方向における外側から前記第1ファンの前記径方向の外端に対向する位置に開口し、他端が前記第1通風孔に対向する位置に開口する第1通風ダクトが形成され、前記第2ブラケットには、一端が前記第2ファンの前記径方向における外側から前記第2ファンの前記径方向の外端に対向する位置に開口し、他端が前記第2通風孔に対向する位置に開口する第2通風ダクトが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る回転電機の半断面図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、図1のB-B断面図である。
図4図4は、図3のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0011】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態に係る回転電機の一例について説明する。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る回転電機1の半断面図である。実施形態に係る回転電機1は、回転軸70と、回転軸70に取り付けられる回転子72と、固定子20と、固定子20を支持するブラケット10と、を有している。なお、以下の説明では、回転電機1が有する回転軸70の軸方向を、回転電機1における軸方向として説明し、回転軸70の径方向を、回転電機1における径方向として説明する。また、径方向における外側とは、径方向において回転軸70も軸心から離れる側をいい、径方向における内側とは、径方向において回転軸70の軸心に近付く側をいう。また、周方向とは、回転軸70を中心とする周り方向をいう。
【0013】
回転軸70は、回転電機1における軸状の回転部材になっている。回転軸70は、軸方向における一端に、回転電機1で発生した駆動力を外部の装置に出力するための部材を取り付ける連結部71が設けられている。回転軸70は、回転電機1で発生した駆動力を連結部71から出力することが可能になっている。
【0014】
回転軸70に取り付けられる回転子72は、略円環状の形態で形成され、永久磁石を有して構成されている。回転子72は、軸方向における両側に配置される回転子押え板73により軸方向における両側から挟まれて配置されている。これにより、回転子72は、回転軸70における所定に位置に配置されている。このように回転軸70に配置される回転子72は、回転軸70の回転時は、回転軸70と一体となって回転することが可能になっている。
【0015】
固定子20は、回転子72から離隔して回転子72の径方向における外側に配置されている。固定子20は、固定子鉄心30と固定子コイル40とダクト形成部材50とを有している。固定子鉄心30は、内径が回転子72の外径よりも僅かに大きい略円環状の形状で形成され、回転子72から離隔して回転子72の径方向における外側に配置されている。即ち、固定子鉄心30は、軸方向における幅が、軸方向における回転子72の幅と同程度の大きさになっており、軸方向における位置が、回転子72の位置とほぼ同じ位置に配置されている。また、固定子鉄心30の内径は、回転子72の外径よりも僅かに大きいため、固定子鉄心30の内周面と回転子72の外周面との間には、僅かな空隙Gが形成されている。
【0016】
ブラケット10は、軸方向における固定子鉄心30の両側に配置されて、固定子鉄心30を支持している。ブラケット10は、固定子支持部材13を介して固定子鉄心30を支持している。固定子支持部材13は、軸方向における固定子鉄心30の両側に配置され、固定子鉄心30の両側に取り付けられている。軸方向における固定子鉄心30の両側に配置されるブラケット10はそれぞれ、固定子支持部材13の軸方向における固定子鉄心30に取り付けられる側の面の反対側に取り付けられている。これにより、ブラケット10は、固定子鉄心30を支持している。
【0017】
ブラケット10は、外周部11と端面部12とを有している。外周部11は、略円環状に形成されており、端面部12は、外周部11における円環の軸方向における一端側に配置されている。ブラケット10は、固定子支持部材13に対しては、外周部11における端面部12が位置する側の端部の反対側の端部が連結されている。
【0018】
ブラケット10の端面部12は、略円板状の形状で形成されており、端面部12の外周部分が、ブラケット10における外周部11の端部に接続されている。ブラケット10の外周部11と端面部12は、図1に示すように、湾曲しながら接続されている。このように形成されるブラケット10の端面部12は、回転電機1の軸方向における端面を構成している。
【0019】
ブラケット10の端面部12は、円板の中央に孔が形成されており、端面部12における中央の孔には、軸受61を支持する軸受ハウジング60が取り付けられている。軸受ハウジング60は、軸方向における固定子20の両側に位置するブラケット10が有する端面部12の双方に取り付けられている。
【0020】
本実施形態に係る回転電機1は、これらのように、軸方向における両側で、ブラケット10に形成される端面部12に、軸受61を支持する軸受ハウジング60が取り付けられるため、固定子20や回転子72が配置される回転電機1の内側部分である機内は、回転電機1の外側部分に対して遮断されている。このため、本実施形態に係る回転電機1は、全閉構造型の回転電機として構成されている。
【0021】
軸受ハウジング60が支持する軸受61は、略円環状の形状で形成され、外周面側が軸受ハウジング60により支持され、内周面側に回転軸70が通されて回転軸70を軸受ハウジング60に対して回転自在に支持する。また、軸受ハウジング60は、軸方向における固定子20の両側に配置されるブラケット10の端面部12に取り付けられるため、軸受ハウジング60により支持される軸受61は、軸方向における回転軸70の両端付近の位置で、回転軸70を回転自在に支持する。
【0022】
また、回転軸70には、ファン75が配置されている。ファン75は、回転軸70の軸方向における回転子72の両側に配置されており、回転軸70と一体となって回転することが可能になっている。ファン75は、回転軸70に取り付けられる基端部が、軸方向における回転子72の両側に配置される回転子押え板73における、回転子72が位置する側の面の反対側の面に接触している。ファン75は、回転軸70に取り付けられる基端部の位置から径方向における外側に向かうに従って、軸方向において回転子72から離れる方向に傾斜する、略すり鉢状の形状で形成されている。
【0023】
ファン75には、外周部分付近における、軸方向における回転子72が位置する側の面には、回転羽根76が配置されている。回転羽根76は、厚み方向が、回転軸70の軸心を中心とする周方向になる板状の部材になっており、ファン75の外周部の近傍から、径方向における内側に向かった所定の範囲に形成されている。このように形成される回転羽根76は、回転軸70の軸心を中心とする周方向の複数の位置に配置されている。また、回転羽根76は、軸方向における回転子72の両側の配置されるファン75の双方に、同等の形態で配置されている。
【0024】
図2は、図1のA-A断面図である。固定子20が有する固定子コイル40は、固定子鉄心30の内周面31に複数形成される溝部32に収容されている。溝部32は、固定子鉄心30の内周面31から径方向における外側に向かって形成される溝になっており、軸方向に延在して形成されている。また、溝部32は、固定子鉄心30の周方向に複数が形成されている。固定子コイル40は、このように形成される溝部32に収容され、軸方向における固定子鉄心30の両側に、コイルエンド部が張り出した形となって配置されており、コイルエンド部は、固定子コイル40における異なる溝部32に収容される部分に亘って形成されている。これにより、複数の溝部32のそれぞれに収容される固定子コイル40は、連続的に形成されて配置されている。
【0025】
固定子鉄心30は、回転軸70の軸方向における一端側と他端側に位置し、互いに離隔する第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとを有している。詳しくは、固定子鉄心30は、軸方向における固定子鉄心30の中央付近で離隔する2つの部位から構成されており、軸方向における一端側に位置する第1固定子鉄心30aと、他端側に位置する第2固定子鉄心30bとを有している。
【0026】
軸方向における両側から固定子鉄心30を支持するブラケット10は、軸方向における固定子鉄心30の両側に配置され、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとを支持している。つまり、軸方向における両側から固定子鉄心30を支持するブラケット10のうち、軸方向において第1固定子鉄心30aに対して第2固定子鉄心30bが位置する側の反対側に配置されるブラケット10は、第1固定子鉄心30aを支持する第1ブラケット10aになっている。また、軸方向における両側から固定子鉄心30を支持するブラケット10のうち、軸方向において第2固定子鉄心30bに対して第1固定子鉄心30aが位置する側の反対側に配置されるブラケット10は、第2固定子鉄心30bを支持する第2ブラケット10bになっている。
【0027】
また、これらの第1ブラケット10aと第2ブラケット10bとには、軸受61を支持する軸受ハウジング60が、それぞれのブラケット10の端面部12に取り付けられている。このため、第1ブラケット10aは、第1固定子鉄心30aを支持すると共に、軸受ハウジング60と軸受61とを介して、回転軸70を第1固定子鉄心30aに対して相対回転可能に支持している。同様に、第2ブラケット10bは、第2固定子鉄心30bを支持すると共に、軸受ハウジング60と軸受61とを介して、回転軸70を第2固定子鉄心30bに対して相対回転可能に支持している。
【0028】
以下の説明では、軸方向における駆動側を一端側とし、軸方向における反駆動側を他端側として説明する。この場合における駆動側は、軸方向において回転軸70の連結部71が位置する側を駆動側とし、反駆動側は、軸方向において回転軸70の連結部71が位置する側の反対側を反駆動側として説明する。即ち、軸方向に互いに離隔する2つの部位を有する固定子鉄心30は、駆動側に位置する第1固定子鉄心30aと、反駆動側に位置する第2固定子鉄心30bとを有している。
【0029】
その際に、固定子鉄心30の内周面31に形成される複数の溝部32は、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分で分断されつつ、第1固定子鉄心30aに形成される溝部32と第2固定子鉄心30bに形成される溝部32とが、軸方向に連続的に形成されている。即ち、溝部32は、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとに亘って軸方向に延在している。このため、固定子鉄心30の溝部32に収容される固定子コイル40は、溝部32における第1固定子鉄心30aに形成される部分と、第2固定子鉄心30bに形成される部分とに連続的に収容されている。
【0030】
固定子鉄心30が有する第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分に配置されるダクト形成部材50は、軸方向における両側が、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとに接続されている。ダクト形成部材50は、円環状間隔片51と、板状間隔片52とを有している。円環状間隔片51は、径方向における固定子鉄心30の外端の位置で全周に亘って配置されている。つまり、円環状間隔片51は、外径が固定子鉄心30の外径と同程度の大きさとなり、幅が第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分の間隔と同程度の幅となる略円環状の形状で形成され、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分に配置されている。このように形成される円環状間隔片51は、幅方向における両側が、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとに接続されている。これにより、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分は、径方向における外端部分が、ダクト形成部材50が有する円環状間隔片51によって閉塞されている。
【0031】
また、板状間隔片52は、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分に複数が配置されており、複数の板状間隔片52は、固定子鉄心30に複数形成されるそれぞれの溝部32同士の間に、放射状に配置されている。詳しくは、板状間隔片52は、板の幅方向が、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとが離隔する方向、即ち、軸方向となり、板の厚み方向が、周方向となる向きで配置される板状の部材になっている。板状間隔片52の幅は、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分の間隔と同程度の大きさの幅になっている。これにより、板状間隔片52は、幅方向における両側が、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとに接続されている。
【0032】
また、複数の板状間隔片52は、周方向におけるピッチが、固定子鉄心30に複数形成される溝部32の周方向におけるピッチと同じ大きさになっており、これにより、複数の板状間隔片52は、固定子鉄心30に複数形成される溝部32同士の間に配置されている。さらに、板状間隔片52は、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分に配置された状態において、径方向における内側の端部の位置は、固定子鉄心30の内周面31の近傍に位置しており、径方向における外側の端部は、円環状間隔片51の内周面に接続されている。
【0033】
これにより、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分には、周方向に隣り合う板状間隔片52と、これらの板状間隔片52が径方向における外側で接続される円環状間隔片51とにより1つの空間が形成され、このように形成される空間が、周方向に複数並んで形成されている。換言すると、板状間隔片52は、周方向に隣り合う溝部32同士の間に配置されるため、周方向に隣り合う板状間隔片52と、円環状間隔片51とにより形成される空間は、溝部32ごとに形成されている。このように、周方向に隣り合う板状間隔片52と、円環状間隔片51とにより形成される空間は、空気が径方向に流れるラジアルダクト55として形成されている。
【0034】
つまり、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間の部分に配置されるダクト形成部材50は、円環状間隔片51と板状間隔片52とにより、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間にラジアルダクト55を形成している。ダクト形成部材50が有する板状間隔片52は、複数が、固定子鉄心30に複数形成される溝部32同士の間に放射状に配置されている。このため、ダクト形成部材50により形成されるラジアルダクト55は、周方向に複数配置される溝部32ごとに形成され、複数が放射状に周方向に並んで形成されている。
【0035】
また、第1固定子鉄心30aに形成される溝部32と第2固定子鉄心30bに形成される溝部32とは、軸方向に連続的に形成されており、固定子コイル40は、このように第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとに亘って形成される溝部32に収容されている。このため、ラジアルダクト55には、固定子コイル40における、第1固定子鉄心30aの溝部32に収容される部分と、第2固定子鉄心30bの溝部32に収容される部分との間の部分が位置しており、ラジアルダクト55内では、固定子コイル40は露出して配置されている。
【0036】
また、固定子鉄心30には、径方向における溝部32の外側の位置に、固定子鉄心30を軸方向に貫通する通風孔35が形成されている。第1固定子鉄心30aには、径方向における溝部32の外側の位置で、且つ、第1固定子鉄心30aにおける外周面寄りの位置に、第1固定子鉄心30aを軸方向に貫通する通風孔35である第1通風孔35aが形成されている。第1通風孔35aは、径方向における位置が、円環状間隔片51よりも径方向の内側で、円環状間隔片51の内周面の近傍となる位置に形成されている。これにより、第1通風孔35aは、第2固定子鉄心30b側の端部が、ラジアルダクト55に開口している。
【0037】
図3は、図1のB-B断面図である。図4は、図3のC-C断面図である。なお、図3には、第1通風孔35aと第2通風孔35bとの配置位置の違いが分かり易くなるように、周方向における第1通風孔35aの配置位置を破線で示している。第2固定子鉄心30bには、径方向における溝部32の外側の位置で、且つ、第2固定子鉄心30bにおける外周面寄りの位置に、第2固定子鉄心30bを軸方向に貫通する通風孔35である第2通風孔35bが形成されている。第2通風孔35bは、径方向における位置が、円環状間隔片51よりも径方向の内側で、円環状間隔片51の内周面の近傍となる位置に形成されている。これにより、第2通風孔35bは、第1固定子鉄心30a側の端部が、ラジアルダクト55に開口している。
【0038】
また、第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35aは、固定子鉄心30に複数が形成される溝部32における、全ての溝部32の径方向の外側の位置には形成されておらず、複数の溝部32における、所定の溝部32の径方向の外側の位置に形成されている。また、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35bは、第1固定子鉄心30aにおいて径方向における外側に第1通風孔35aが形成される溝部32とは周方向の位置が異なる溝部32の径方向における外側の位置に、第2固定子鉄心30bを軸方向に貫通して形成されている。
【0039】
詳しくは、第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35aは、固定子鉄心30に形成される複数の溝部32における、周方向において1つおきの溝部32の径方向の外側の位置に形成されている。同様に、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35bは、固定子鉄心30に形成される複数の溝部32における、周方向において1つおきの溝部32の径方向の外側の位置に形成されている。その際に、第2通風孔35bは、固定子鉄心30に形成される複数の溝部32における、径方向における外側の位置に第1通風孔35aが形成される溝部32とは異なる周方向の位置が異なる各溝部32の径方向における外側の位置に形成されている。
【0040】
つまり、固定子鉄心30に形成される複数の溝部32の径方向における外側の位置には、溝部32を周方向に順に見た場合に、第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35aと、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35bとが、溝部32ごとに交互に形成されている。これにより、第1通風孔35aと第2通風孔35bとは、周方向の位置が互いに異なる溝部32の径方向における外側の位置に形成されている。換言すると、第1通風孔35aと第2通風孔35bとは、放射状に周方向に並ぶ複数のラジアルダクト55に対して、ラジアルダクト55を周方向に順に見た場合に、ラジアルダクト55ごとに交互に開口している。
【0041】
これらのように、通風孔35が形成される固定子鉄心30を支持するブラケット10には、通風ダクト15が形成されている。ブラケット10に形成される通風ダクト15は、一端がファン75の径方向における外側からファン75の径方向の外端に対向する位置に開口し、他端が第1通風孔35aまたは第2通風孔35bに対向する位置に開口し、両端の開口部分の間を連通する孔として形成されている。つまり、通風ダクト15は、図1図4に示すブラケット10の断面において、外周部11と端面部12とを有するブラケット10の形状に沿って、機内におけるファン75の径方向における外端の位置と、固定子鉄心30を支持する部分とに亘って形成される孔になっている。
【0042】
詳しくは、軸方向における両側から固定子鉄心30を支持するブラケット10のうち、固定子鉄心30に対して軸方向における駆動側から固定子鉄心30を支持するブラケット10である第1ブラケット10aには、通風ダクト15として第1通風ダクト15aが形成されている。また、固定子鉄心30に対して軸方向における反駆動側から固定子鉄心30を支持するブラケット10である第2ブラケット10bには、通風ダクト15として第2通風ダクト15bが形成されている。
【0043】
また、軸方向における回転子72の両側に配置されてファン75は、軸方向における第1固定子鉄心30aが位置する側に配置される第1ファン75aと、軸方向における第2固定子鉄心30bが位置する側に配置される第2ファン75bとを有している。即ち、第1ファン75aは、軸方向において回転子72に対して第1ブラケット10aが位置する側である駆動側に配置されて回転軸70と一体となって回転するファン75になっている。また、第2ファン75bは、軸方向において回転子72に対して第2ブラケット10bが位置する側である反駆動側に配置されて回転軸70と一体となって回転するファン75になっている。
【0044】
ブラケット10に形成される通風ダクト15のうち、第1通風ダクト15aは、一端が第1ファン75aの径方向における外側から第1ファン75aの径方向の外端に対向する位置に開口し、他端が、第1ブラケット10aにおける第1固定子鉄心30aを支持する部分に対して開口している。また、第2通風ダクト15bは、一端が第2ファン75bの径方向における外側から第2ファン75bの径方向の外端に対向する位置に開口し、他端が、第2ブラケット10bにおける第2固定子鉄心30bを支持する部分に対して開口している。
【0045】
ここで、ブラケット10は、固定子支持部材13を介して固定子鉄心30を支持しており、第1ブラケット10aと第1固定子鉄心30aと間に位置する固定子支持部材13は、第1固定子支持部材13aになっており、第2ブラケット10bと第2固定子鉄心30bと間に位置する固定子支持部材13は、第2固定子支持部材13bになっている。第1固定子支持部材13aには、第1ブラケット10aに形成される第1通風ダクト15aから第1固定子鉄心30aに向けて連通する孔が形成されており、第1固定子支持部材13aに形成される当該孔も、第1通風ダクト15aとして扱う。同様に、第2固定子支持部材13bには、第2ブラケット10bに形成される第2通風ダクト15bから第2固定子鉄心30bに向けて連通する孔が形成されており、第2固定子支持部材13bに形成される当該孔も、第2通風ダクト15bとして扱う。
【0046】
第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35aは、軸方向において第2固定子鉄心30bが位置する側の反対側の端部は、第1固定子支持部材13aに対して開口しているが、第1通風ダクト15aは、第1通風孔35aにおける、第1固定子支持部材13aに対して開口している部分に対して開口している。つまり、第1通風ダクト15aにおける、第1通風孔35aに対して開口する部分は、径方向における位置と、周方向における位置とが、第1通風孔35aと同じ位置になっている。これにより、第1通風ダクト15aは、第1通風孔35aに対して連通している。
【0047】
また、第1通風ダクト15aにおける、第1ファン75aの径方向における外端の位置に対して開口する部分は、第1ブラケット10aにおける、第1ファン75aを径方向における外側から覆う部分に開口している。つまり、第1ブラケット10aは、機内側の形状が、第1ファン75aの外周部分の近傍で、第1ファン75aを径方向における外側から覆う形状で形成されており、第1通風ダクト15aは、このように第1ファン75aを径方向における外側から覆っている部分で開口している。このため、第1通風ダクト15aは、第1ファン75aの径方向における外周部分の近傍の位置で、第1ファン75aに対して径方向における外側から対向する位置に開口している。これにより、第1通風ダクト15aは、第1ファン75aに形成される回転羽根76に対して、径方向における外側の位置から対向する位置に開口している。
【0048】
このように形成される第1通風ダクト15aは、第1ブラケット10aや第1固定子支持部材13aに複数が形成されており、複数の第1通風ダクト15aは、周方向における位置が、第1固定子鉄心30aに複数が形成される第1通風孔35aの周方向における位置と同じ位置に形成されている。つまり、第1通風ダクト15aは、第1固定子鉄心30aに形成される複数の第1通風孔35aに対応して、複数が第1ブラケット10a及び第1固定子支持部材13aに形成されている。
【0049】
また、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35bは、軸方向において第1固定子鉄心30aが位置する側の反対側の端部は、第2固定子支持部材13bに対して開口しているが、第2通風ダクト15bは、第2通風孔35bにおける、第2固定子支持部材13bに対して開口している部分に対して開口している。つまり、第2通風ダクト15bにおける、第2通風孔35bに対して開口する部分は、径方向における位置と、周方向における位置とが、第2通風孔35bと同じ位置になっている。これにより、第2通風ダクト15bは、第2通風孔35bに対して連通している。
【0050】
また、第2通風ダクト15bにおける、第2ファン75bの径方向における外端の位置に対して開口する部分は、第2ブラケット10bにおける、第2ファン75bを径方向における外側から覆う部分に開口している。つまり、第2ブラケット10bは、機内側の形状が、第2ファン75bの外周部分の近傍で、第2ファン75bを径方向における外側から覆う形状で形成されており、第2通風ダクト15bは、このように第2ファン75bを径方向における外側から覆っている部分で開口している。このため、第2通風ダクト15bは、第2ファン75bの径方向における外周部分の近傍の位置で、第2ファン75bに対して径方向における外側から対向する位置に開口している。これにより、第2通風ダクト15bは、第2ファン75bに形成される回転羽根76に対して、径方向における外側の位置から対向する位置に開口している。
【0051】
このように形成される第2通風ダクト15bは、第2ブラケット10bや第2固定子支持部材13bに複数が形成されており、複数の第2通風ダクト15bは、周方向における位置が、第2固定子鉄心30bに複数が形成される第2通風孔35bの周方向における位置と同じ位置に形成されている。つまり、第2通風ダクト15bは、第2固定子鉄心30bに形成される複数の第2通風孔35bに対応して、複数が第2ブラケット10b及び第2固定子支持部材13bに形成されている。
【0052】
本実施形態に係る回転電機1は、以上のような構成を含み、以下、その作用の一例について説明する。回転電機1の運転時は、固定子20の固定子コイル40に対して電力を供給する。固定子20は、固定子コイル40に供給された電力により磁力を発生する。回転子72は、固定子20で発生する磁力により、回転子72が有する永久磁石と固定子20との間で吸引力や反発力が発生し、回転軸70と一体となって回転する。回転軸70が回転することにより発生する回転駆動力は、回転軸70の駆動側の端部に位置する連結部71に取り付けられる連結部材(図示省略)から、外部の装置に対して出力する。
【0053】
ここで、回転電機1の運転時は、固定子コイル40に電力が供給されることにより発熱をするが、全閉構造型の回転電機1は、機内と機外との間にかけて空気が流れないため、機内で発生した熱は、機外に対して放熱し難くなっている。これに対し、本実施形態に係る回転電機1は、固定子20に通風孔35とラジアルダクト55とが形成され、固定子20を支持するブラケット10に通風ダクト15が形成され、回転子72の軸方向における両側にファン75が配置されることにより、機内で発生した熱を機外に放熱し易くなっている。
【0054】
詳しくは、回転電機1の運転時に回転軸70が回転した場合は、回転子72の軸方向における両側に配置されるファン75も、回転軸70と一体となって回転する。ファン75には、回転羽根76が設けられているため、ファン75の回転時は、ファン75に設けられる回転羽根76も周方向に回転をすることにより、ファン75は、回転羽根76の周囲の空気も回転羽根76と共に回転させる。これにより、回転羽根76の周囲の空気には、遠心力が発生し、ファン75における軸方向において回転羽根76が配置される面側に位置する空気は、図1図4において矢印で示すように、径方向における外側に流れる。つまり、ファン75の回転時には、軸方向において回転羽根76が配置される面側に位置する空気に、径方向における内側から外側に向かって流れる方向の気流が発生する。
【0055】
ファン75の径方向における外周部分の近傍の位置で、ファン75の径方向における外側には、ブラケット10に形成される通風ダクト15の開口部分が位置している。これにより、ファン75の回転時に、ファン75の近傍で径方向における内側から外側に向かって流れる空気は、ブラケット10に形成される通風ダクト15における、ファン75に対向する開口部分から通風ダクト15内に入り込む。
【0056】
回転軸70の回転時は、回転軸70の回転に伴って回転するファン75により、通風ダクト15内にはファン75から順次空気が送り込まれるため、通風ダクト15内の空気は、ファン75に対して開口する側の端部から、通風ダクト15の延在方向における反対側の端部に向けて通風ダクト15に沿って流れる。通風ダクト15における、ファン75に対して開口する側の端部の反対側の端部は、固定子鉄心30に形成される通風孔35に対向している。このため、通風ダクト15におけるファン75に対して開口する側の端部から通風ダクト15に入り込んで通風ダクト15を流れる空気は、固定子鉄心30の通風孔35に対向する側の端部から、通風孔35に向かって流出する。
【0057】
具体的には、第1ブラケット10a及び第1固定子支持部材13aに形成される通風ダクト15である第1通風ダクト15aは、第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35aに対向するため、第1ファン75aに対向して開口する部分から第1通風ダクト15aを流れる空気は、第1通風孔35aに向けて流れる。これにより、第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35a内では、図1において矢印で示すように、第1通風孔35aにおける第1通風ダクト15a側の端部から、第2固定子鉄心30bが位置する側の端部に向けて、第1通風ダクト15aから流入した空気が流れる。
【0058】
また、第2ブラケット10b及び第2固定子支持部材13bに形成される通風ダクト15である第2通風ダクト15bは、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35bに対向するため、第2ファン75bに対向して開口する部分から第2通風ダクト15bを流れる空気は、第2通風孔35bに向けて流れる。これにより、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35b内では、図4において矢印で示すように、第2通風孔35bにおける第2通風ダクト15b側の端部から、第1固定子鉄心30aが位置する側の端部に向けて、第2通風ダクト15bから流入した空気が流れる。
【0059】
第1通風孔35a内から第2固定子鉄心30b側に向かって流れた空気や、第2通風孔35b内から第1固定子鉄心30a側に向かって流れた空気は、第1通風孔35a内や第2通風孔35b内から、第1固定子鉄心30aと第2固定子鉄心30bとの間に形成されるラジアルダクト55に向かって流れる。
【0060】
ここで、第1通風孔35aと第2通風孔35bとは、放射状に周方向に並ぶ複数のラジアルダクト55に対して、ラジアルダクト55を周方向に順に見た場合に、ラジアルダクト55ごとに交互に開口している。このため、第1通風孔35aや第2通風孔35bから、ラジアルダクト55に向かって流れる空気は、第1通風孔35aからラジアルダクト55に流れる空気と、第2通風孔35bからラジアルダクト55に流れる空気とが干渉することなく、第1通風孔35aや第2通風孔35bから独立して流れる。
【0061】
また、第1通風孔35aや第2通風孔35bは、円環状間隔片51の近傍の位置で、ラジアルダクト55に対して開口している。つまり、第1通風孔35aや第2通風孔35bは、径方向におけるラジアルダクト55の外側の端部付近でラジアルダクト55に対して開口している。また、径方向におけるラジアルダクト55の外側の端部は、径方向における外側方向に対しては、円環状間隔片51により閉塞されている。このため、ラジアルダクト55は、径方向における外側への空気の流れが、円環状間隔片51により遮られ、ラジアルダクト55内に流れた空気は、径方向における外側には流れないようになっている。
【0062】
第1通風孔35aや第2通風孔35bからは、ラジアルダクト55に対して順次空気が送り込まれるため、第1通風孔35aや第2通風孔35bからラジアルダクト55に流入した空気は、それぞれのラジアルダクト55内をラジアルダクト55に沿って径方向における内側に向かって流れる。
【0063】
ラジアルダクト55内を径方向における内側に向かって流れる空気は、固定子コイル40におけるラジアルダクト55内に露出する部分の周囲を流れる。その際に、ラジアルダクト55内を流れる空気は、電力が供給されることにより発熱した固定子コイル40との間で熱交換を行いながら流れる。即ち、固定子コイル40に電流が流れることに伴って発生した熱は、ラジアルダクト55内を流れる空気に対して放熱される。
【0064】
このように、固定子コイル40との間で熱交換を行いつつ、ラジアルダクト55内を流れる空気は、径方向における内側に向かって、ラジアルダクト55の径方向における内側に位置する回転子72の位置まで流れたら、固定子鉄心30と回転子72との間の空隙Gを流れる。即ち、ラジアルダクト55内を流れる空気は、固定子鉄心30の径方向における内側に位置する回転子72の位置まで流れたら、固定子鉄心30と回転子72との間の空隙Gに沿って空隙Gを流れる。
【0065】
ここで、回転電機1の駆動時は、軸方向における回転子72の両側に配置されるファン75により、ファン75の周囲の空気は、ファン75の径方向における外側に位置する通風ダクト15に向かって流れる。このため、機内におけるファン75の径方向における外側以外の部分、即ち、軸方向におけるファン75の回転羽根76が配置される面側の部分では、空気がファン75の方向に流れ易くなっている。このため、ラジアルダクト55内から、固定子鉄心30と回転子72との間の空隙Gに向かって流れた空気は、ファン75の方向に向かって空隙Gを流れる。
【0066】
例えば、ラジアルダクト55から第1固定子鉄心30aと回転子72との間の空隙Gに流れた空気は、第1固定子鉄心30aに近い、第1ファン75aの方向に向かって流れる。また、ラジアルダクト55から第2固定子鉄心30bと回転子72との間の空隙Gに流れた空気は、第2固定子鉄心30bに近い、第2ファン75bの方向に向かって流れる。
【0067】
これらのようにファン75の方向に向かって空隙Gを流れた空気は、空隙Gから出てファン75の位置まで到達したら、ファン75の回転に伴ってファン75の径方向における外側に流れ、通風ダクト15に流入する。通風ダクト15に流入した空気は、通風ダクト15や通風孔35を流れるが、通風ダクト15や通風孔35は、回転電機1における外側の表面に近い位置に形成されている。
【0068】
つまり、通風ダクト15は、回転電機1の機内と機外とを隔てるブラケット10に形成されており、通風孔35は、固定子鉄心30における外周面寄りの位置に形成されているため、通風ダクト15や通風孔35は、回転電機1における外側の表面に近い位置に形成されている。このため、通風ダクト15や通風孔35を流れる空気は、機外の空気との間で熱交換を行い易くなっている。
【0069】
固定子鉄心30と回転子72との間の空隙Gからファン75の方向に向かって流れる空気は、固定子コイル40との間で熱交換が行われ、温度が高くなった空気になっている。このため、温度が高くなった空気が、ファン75から通風ダクト15に流れ、通風ダクト15から通風孔35に流れた場合は、通風ダクト15内や通風孔35内の空気と機外の空気との間で熱交換を行い、通風ダクト15内や通風孔35内の空気は、機外の空気に対して放熱を行う。
【0070】
機外の空気に対して放熱を行うことにより、温度が低下した空気は、通風孔35からラジアルダクト55に流れて、ラジアルダクト55内に露出する固定子コイル40との間で熱交換を行う。これにより、固定子コイル40は、ラジアルダクト55内を流れる空気に対して放熱する。
【0071】
回転電機1の運転時は、これらのように、回転軸70の回転に伴ってファン75が回転することにより、機内の空気が、ファン75から通風ダクト15、通風孔35、ラジアルダクト55、固定子鉄心30と回転子72との間の空隙G、ファン75の順で空気が循環をする。その際に、固定子コイル40に電力が供給されることにより固定子コイル40で発生した熱は、ラジアルダクト55を流れる空気に対して放熱し、固定子コイル40からの熱によって温度が高くなった空気は、通風ダクト15や通風孔35を流れる際に、機外の空気に対し放熱する。これにより、固定子コイル40で発生した熱は、機内で循環する空気を介して機外の空気に対して放熱され、固定子コイル40は冷却される。
【0072】
固定子コイル40は、このように、機内で循環する空気により冷却されるが、第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35aと、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35bとは、周方向の位置が互いに異なる溝部32の径方向における外側の位置に形成されている。つまり、第1通風孔35aと第2通風孔35bとは、周方向の位置が互いに異なるラジアルダクト55に対して開口している。このため、第1通風孔35aからラジアルダクト55に流れる空気と、第2通風孔35bからラジアルダクト55に流れる空気とは衝突することなく、第1通風孔35a側を流れる空気と、第2通風孔35b側を流れる空気とは、それぞれ一方通行で流れることができる。
【0073】
これにより、空気を循環させながら、循環する空気によって固定子コイル40の冷却を行う際に、空気を効率よく循環させることができ、これに伴い、冷却も効率よく行うことができる。この結果、全閉構造型の回転電機1において冷却効果を向上させることができる。
【0074】
また、第1通風孔35aと第2通風孔35bは、それぞれ複数の溝部32における、周方向において1つおきの溝部32の径方向の外側の位置で、且つ、周方向の位置が互いに異なる溝部32の径方向の外側の位置に形成されている。これにより、第1通風孔35aを通って循環する空気の流れと、第2通風孔35bを通って循環する空気の流れとを、周方向に均して構築することができる。従って、ラジアルダクト55を流れる空気に対する固定子コイル40からの放熱や、機外の空気に対する、通風ダクト15や通風孔35を流れる空気からの放熱を、周方向における位置や軸方向における駆動側と反駆動側とで、分散して行うことができる。この結果、全閉構造型の回転電機1においてより確実に冷却効果を向上させることができる。
【0075】
また、全閉構造型の回転電機1において冷却効果を向上させることができるため、機内清掃等のメンテナンス作業が不要であることがメリットとなる全閉構造を維持ししつつ、冷却効果を向上させることができる。
【0076】
また、駆動側と反駆動側との双方に、機内の空気を循環させるためのファン75を配置するため、ファン75による送風量を増加させることができる。このため、ファン75で送風する空気によって固定子コイル40の冷却を行う際における冷却性能を向上させることができる。さらに、このように、冷却性能を向上させることにより、従来の全閉構造型の回転電機1と比較して、大容量化を可能とすることができる。
【0077】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、回転電機1は、駆動側と反駆動側とに亘って形成されるフレームを有さず、固定子20を軸方向における両側からブラケット10によって支持する、いわゆるフレームレス型の回転電機1であるが、回転電機1は、駆動側と反駆動側とに亘って形成されるフレームを有していてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、第1固定子鉄心30aに形成される第1通風孔35aと、第2固定子鉄心30bに形成される第2通風孔35bとは、いずれも複数の溝部32における、周方向において1つおきの溝部32の径方向の外側の位置に形成されているが、第1通風孔35aと第2通風孔35bとは、1つおき以外で溝部32の径方向の外側の位置に形成されていてもよい。つまり、第1通風孔35aと第2通風孔35bとは、周方向に並んで形成される複数のラジアルダクト55に対して、交互に開口する形態以外で開口していてもよい。
【0079】
例えば、周方向に隣り合う2つの第1通風孔35aが、周方向に隣り合う2つのラジアルダクト55に対してそれぞれ開口し、周方向に隣り合う2つの第2通風孔35bが、周方向に隣り合う2つのラジアルダクト55に対してそれぞれ開口し、これらの第1通風孔35a及びラジアルダクト55と、第2通風孔35b及びラジアルダクト55とが、周方向に交互に形成されていてもよい。
【0080】
また、第1ファン75aと第2ファン75bとで、大きさや形状等がことなることにより、回転時における風量が異なる場合には、第1ファン75aと第2ファン75bとの風量の差に応じて、第1通風孔35aの数と第2通風孔35bの数とを異ならせてもよい。例えば、風量が少ない側のファン75から送られる空気が流れる通風孔35の数を、風量が多い側のファン75から送られる空気が流れる通風孔35の数よりも多くすることにより、駆動側で循環する空気の量と反駆動側で循環する空気の量とのバランスを調節してもよい。第1通風孔35aと第2通風孔35bとは、異なるラジアルダクト55に開口していれば、その配置の形態は問わない。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 回転電機
10 ブラケット
10a 第1ブラケット
10b 第2ブラケット
11 外周部
12 端面部
13 固定子支持部材
13a 第1固定子支持部材
13b 第2固定子支持部材
15 通風ダクト
15a 第1通風ダクト
15b 第2通風ダクト
20 固定子
30 固定子鉄心
30a 第1固定子鉄心
30b 第2固定子鉄心
31 内周面
32 溝部
35 通風孔
35a 第1通風孔
35b 第2通風孔
40 固定子コイル
50 ダクト形成部材
51 円環状間隔片
52 板状間隔片
55 ラジアルダクト
60 軸受ハウジング
61 軸受
70 回転軸
71 連結部
72 回転子
73 回転子押え板
75 ファン
75a 第1ファン
75b 第2ファン
76 回転羽根
図1
図2
図3
図4