(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043499
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】回転電機の清掃方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
H02K15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151167
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 理
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚宜
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA07
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615PP28
5H615SS09
5H615SS10
(57)【要約】
【課題】回転電機の清掃方法において、清掃作業の適正化を図る。
【解決手段】前記回転子を回して、前記冷却孔と前記第1外気口および前記第2外気口とを直線状に配置させ、前記ロック機構を作動して前記回転子が回らないように固定するステップと、清掃用ブラシを前記第1外気口から前記冷却孔に挿入し、前記清掃用ブラシを前記冷却孔の内面に押し当てて軸方向に移動することで、前記冷却孔の内面に付着している塵埃をかき取るステップと、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状をなす固定子と、
前記固定子の径方向の内方に配置され、回転中心から所定長さだけ径方向の外方にずれた位置に軸方向に沿って貫通する冷却孔が設けられる回転子と、
前記固定子の軸方向の一端部に固定され、前記回転子の軸方向の一端部を回転自在に支持すると共に、前記回転子の回転中心から前記所定長さだけ径方向の外方にずれた位置に、軸方向に沿って貫通する第1外気口が設けられる第1支持部材と、
前記固定子の軸方向の他端部に固定され、前記回転子の軸方向の他端部を回転自在に支持すると共に、前記回転子の回転中心から前記所定長さだけ径方向の外方にずれた位置で、且つ、前記第1外気口と周方向の同じ位置に、軸方向に沿って貫通する第2外気口が設けられる第2支持部材と、
前記第1支持部材または前記第2支持部材に設けられるロック機構と、
前記回転子の軸方向の一端部に固定される第1冷却ファンと、
前記回転子の軸方向の他端部に固定される第2冷却ファンと、
を備える回転電機の清掃方法であって、
前記回転子を回して、前記冷却孔と前記第1外気口および前記第2外気口とを直線状に配置させ、前記ロック機構を作動して前記回転子が回らないように固定するステップと、
清掃用ブラシを前記第1外気口から前記冷却孔に挿入し、前記清掃用ブラシを前記冷却孔の内面に押し当てて軸方向に移動することで、前記冷却孔の内面に付着している塵埃をかき取るステップと、
を有する回転電機の清掃方法。
【請求項2】
前記第2外気口を外部から覆う集塵ネットを設けるステップと、
前記第1外気口から前記冷却孔に気体を供給し、前記冷却孔の内面からかき取られた塵埃を気体と共に前記第2外気口から前記集塵ネットに排出するステップと、
を有する請求項1に記載の回転電機の清掃方法。
【請求項3】
円筒形状をなす案内ノズルを前記第1外気口に挿入することで、外部から前記案内ノズルを通して前記冷却孔に気体を供給する流路を形成し、気体を前記流路を通して前記冷却孔に供給する、
請求項2に記載の回転電機の清掃方法。
【請求項4】
前記回転子は、軸方向の端部に冷却ファンが固定され、前記冷却ファンに前記回転子の軸方向に沿って貫通孔が形成され、
前記案内ノズルを前記第1外気口に挿入し、前記案内ノズルの基端部を前記第1外気口に支持させ、前記案内ノズルの先端部を前記貫通孔に支持させる、
請求項3に記載の回転電機の清掃方法。
【請求項5】
前記第1外気口および前記第2外気口は、複数設けられ、
複数の前記第1外気口のうちの一つの前記第1外気口を開放状態とし、
複数の前記第2外気口のうちの一つの前記第2外気口に前記集塵ネットを装着し、
残りの前記第1外気口および前記第2外気口に塞ぎ栓を装着し、
開放された前記第1外気口から前記冷却孔に気体を供給し、前記冷却孔からかき取られた塵埃を気体と共に前記第2外気口から前記集塵ネットに排出する、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の回転電機の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両は、車体の下部に配置された台車に回転電機が装荷され、回転電機の駆動回転力が継手および減速装置を介して車輪に伝達され、車輪が回転することで走行する。回転電機は、取付部により台車に固定される。
【0003】
回転電機は、固定子の内部に回転子が回転自在に支持されて構成される。回転電機は、外気を取り込んで回転子を冷却する必要があり、回転子に軸方向に沿う複数の冷却孔が設けられている。ところが、外気は、塵や埃を含んでおり、外気により回転子を冷却すると、冷却孔に塵埃が付着して堆積してしまう。そのため、定期的に、回転子の冷却孔を清掃する必要がある。このような回転電機の清掃方法としては、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の回転電機の清掃方法は、外部からエアを回転子の冷却孔に供給することで、回転子の冷却孔に堆積する塵埃を外部に排出するものである。ところが、塵埃が回転子の冷却孔の内面に強固に付着している場合、付着している塵埃を適切に除去することが困難であるという課題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、清掃作業の適正化を図る回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の回転電機の清掃方法は、円筒形状をなす固定子と、前記固定子の径方向の内方に配置され、回転中心から所定長さだけ径方向の外方にずれた位置に軸方向に沿って貫通する冷却孔が設けられる回転子と、前記固定子の軸方向の一端部に固定され、前記回転子の軸方向の一端部を回転自在に支持すると共に、前記回転子の回転中心から前記所定長さだけ径方向の外方にずれた位置に、軸方向に沿って貫通する第1外気口が設けられる第1支持部材と、前記固定子の軸方向の他端部に固定され、前記回転子の軸方向の他端部を回転自在に支持すると共に、前記回転子の回転中心から前記所定長さだけ径方向の外方にずれた位置で、且つ、前記第1外気口と周方向の同じ位置に、軸方向に沿って貫通する第2外気口が設けられる第2支持部材と、前記第1支持部材または前記第2支持部材に設けられるロック機構と、前記回転子の軸方向の一端部に固定される第1冷却ファンと、前記回転子の軸方向の他端部に固定される第2冷却ファンと、を備える回転電機の清掃方法であって、前記回転子を回して、前記冷却孔と前記第1外気口および前記第2外気口とを直線状に配置させ、前記ロック機構を作動して前記回転子が回らないように固定するステップと、清掃用ブラシを前記第1外気口から前記冷却孔に挿入し、前記清掃用ブラシを前記冷却孔の内面に押し当てて軸方向に移動することで、前記冷却孔の内面に付着している塵埃をかき取るステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る回転電機における駆動力伝達経路を説明するための概略図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る回転電機を回転軸心位置で破断した断面図である。
【
図3】
図3は、回転電機における接続部側の側面図である。
【
図4】
図4は、回転電機における非接続部側の側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る回転電機の清掃方法を表すフローチャートである。
【
図6】
図6は、回転子の固定状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【
図7】
図7は、ブラシを挿入するときの状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【
図8】
図8は、ブラシによる冷却孔のかき取り状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【
図9】
図9は、案内ノズルの取付状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【
図10】
図10は、エアガンおよび集塵ネット104の取付状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【
図11】
図11は、清掃用の空気の供給経路を表す回転電機の断面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る回転電機の清掃方法を表すフローチャートである。
【
図13】
図13は、回転電機における接続部側の側面図である。
【
図14】
図14は、回転電機における非接続部側の側面図である。
【
図15】
図15は、清掃用の空気の供給経路を表す回転電機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
<回転電機の構成>
図1は、第1実施形態に係る回転電機における駆動力伝達経路を説明するための概略図である。以下の実施形態では、回転電機を鉄道車両の駆動装置に適用して説明する。
【0010】
鉄道車両の駆動装置10は、回転電機11と、カップリング12と、減速装置13と、車軸14と、車輪15とを備える。
【0011】
回転電機11は、三相誘導電動機である。回転電機11は、台車の台枠(図示略)に固定される。回転電機11は、駆動回転可能な駆動軸16を有する。駆動軸16は、カップリング12を介して連結軸17に連結される。減速装置13は、台車の台枠に固定される。減速装置13は、複数の歯車を有する歯車機構である。減速装置13は、連結軸17が連結される。減速装置13は、入力した駆動回転力を減速する。車軸14は、台車の台枠に回転自在に支持される。車軸14は、軸方向の各端部に車輪15がそれぞれ固定される。車軸14は、軸方向の中間部が減速装置13に連結される。
【0012】
そのため、回転電機11が駆動すると、駆動軸16が駆動回転し、駆動回転力が駆動軸16、カップリング12、連結軸17を介して減速装置13に入力する。減速装置13は、入力した回転電機11の駆動回転数を減速し、車軸14を回転駆動する。すると、車軸14の各端部に固定された車輪15が回転し、鉄道車両が走行可能となる。
【0013】
<回転電機の構成>
図2は、第1実施形態に係る回転電機を回転軸心位置で破断した断面図である。
【0014】
第1実施形態の回転電機11は、フレームレス構造をなす。回転電機11は、冷却風が内部に循環せずに、外気冷却だけの全閉型三相誘導電動機であり、固定子のコイルに三相交流電流を流して回転磁界を作ることで、回転子の磁極を固定子の回転磁界が引っ張って回転子を回転させる。
【0015】
回転電機11は、回転子21と、固定子22とを備える。回転子21は、かご型回転子であり、回転軸31の外周部に固定される。回転子21は、ロータ鉄芯32と複数のロータバー33とを有する。円筒形状をなすロータ鉄芯32に外周部に、軸方向に沿う複数のロータバー33が周方向に間隔を空けて配置される。複数のロータバー33は、端部がロータ鉄芯32の径方向の外方に突出し、エンドリング33aにより連結される。固定子22は、円筒形状をなし、回転子21の外側に配置される。固定子22は、円筒形状をなすステータ鉄心34の内周側に形成された複数の溝にステータコイル35が収納されて構成される。また、ステータコイル35は、コイルエンドを覆う相間絶縁紙35aが設けられる。回転子21の外周面と固定子22の内周面との間には、周方向および軸方向に一定な空隙が形成される。回転電機11の駆動時、ステータコイル35に電流が流れることで発生する磁力の吸引力および反発力により回転子21が回転し、回転軸31が回転力を出力する。
【0016】
回転軸31は、軸方向の一端部が軸受41を介してブラケット42に回転自在に支持され、軸方向の他端部が軸受43を介してブラケット44に回転自在に支持される。ブラケット42,44は、円板形状をなし、中心部に軸方向に貫通する円形孔42a,44aが形成される。軸受41,43は、回転軸31とブラケット42,44の円形孔42a,44aとの間に配置される。軸受41,43は、ブラケット42,44に取付けられる支持部45,46に支持されることで脱落が防止される。支持部45,46は、円筒形状をなし、ブラケット42,44の円形孔42a,44aに軸方向の外側から嵌合する。回転軸31は、軸方向の一端部がブラケット42により被覆され、軸方向の他端部がブラケット44に形成された円形孔44aから外部に突出する。回転軸31は、ブラケット44の円形孔44aから外部に突出する端部にキー溝31aが形成され、キー溝31aを介してカップリング12(
図1参照)が装着される。
【0017】
ステータ鉄心34は、複数の磁性板が積層されて環状に形成される。ステータ鉄心34は、積層方向の両側に一対の固定子押え板47,48が密着するように配置される。固定子押え板47,48は、リング形状をなす。固定子押え板47,48は、同形状をなし、複数(本実施形態では、4個)の固定子連結部49により連結される。固定子連結部49は、固定子22の外周側で、固定子22の周方向に間隔を空けて配置される。ステータコイル35は、ステータ鉄心34の内周側に配置される。
【0018】
回転子21は、軸方向の一方側に回転子押え板51を介して冷却ファン52が連結され、軸方向の他方側に回転子押え板53を介して冷却ファン54が連結される。冷却ファン52,54は、円板形状をなし、外周部に周方向に所定間隔を空けて配置される複数の翼部52a,54aを有する。冷却ファン52,54は、回転軸31および回転子21と共に一体回転する。固定子22は、軸方向の一方側にブラケット55が配置され、軸方向の他方側にブラケット56が配置される。ブラケット55,56は、中心部に軸方向に貫通する円形孔55a,56aが形成される。ブラケット55,56は、外周部が固定子押え板47,48の外周部側に連結されることで、固定子22の軸方向の両側を被覆する。ブラケット55,56は、円形孔55a,56aの内周部に冷却ファン52,54の外周部が接触する。ブラケット55,56の円形孔55a,56aの内周部と冷却ファン52,54の外周部との間にリング形状をなすラビリンスシール57,58がそれぞれ配置される。
【0019】
また、ブラケット55は、内周部55bがブラケット42の外周部に連結される。ブラケット42は、内周部55bに複数(本実施形態では、4個)の外気取込口61が設けられる。複数の外気取込口61は、ブラケット55の周方向に間隔を空けて配置され、軸方向に沿ってブラケット55を貫通する。ブラケット55は、外気取込口61より径方向の外側に位置して複数(本実施形態では、2個)の外気排出口62が設けられる。複数の外気排出口62は、ブラケット55の周方向に間隔を空けて配置され、ブラケット55の軸方向に沿って設けられる。外気取込口61と外気排出口62は、冷却通路63により連通する。冷却通路63は、ブラケット42,55および冷却ファン52により区画され、冷却ファン52の翼部52aが位置する。
【0020】
ブラケット44は、軸受43より径方向の外側に位置して複数(本実施形態では、4個)の外気取込口64が設けられる。複数の外気取込口64は、ブラケット44の周方向に間隔を空けて配置され、軸方向に沿ってブラケット44を貫通する。ブラケット56は、外側にカバー65が配置される。カバー65は、リング形状をなし、中心部に軸方向に貫通する円形孔65aが形成される。カバー65は、外周部が固定子押え板48の外周部に連結されることで、ブラケット56の外側を被覆し、ブラケット56とカバー65との間に冷却通路66が設けられる。外気取込口64は、冷却通路66の一方側に連通する。冷却通路66は、ブラケット44と冷却ファン54とにより区画されると共に、ブラケット56とカバー65により区画され、冷却ファン54の翼部54aが位置する。
【0021】
ステータ鉄心34と各固定子連結部49との間にそれぞれ通風路67が形成される。各通風路67は、固定子22の軸方向に平行をなして設けられる。固定子押え板47,48は、通風路67に対向する位置に貫通孔47a,48aが形成される。通風路67は、貫通孔48aを通して冷却通路66の他方側に連通し、貫通孔47aを介して外部に開放される。
【0022】
回転子21は、ロータ鉄芯32に複数(本実施形態では、4個)の冷却孔71が設けられる。冷却孔71は、ロータ鉄芯32の軸方向に沿ってロータ鉄芯32を貫通する。複数の冷却孔71は、ロータ鉄芯32の周方向に間隔を空けて設けられる。ロータ鉄芯32の軸方向の一方側に配置される回転子押え板51および冷却ファン52は、それぞれ複数(本実施形態では、4個)の貫通孔72,73が設けられる。貫通孔72,73は、回転子押え板51および冷却ファン52の軸方向に沿って回転子押え板51および冷却ファン52を貫通する。複数の貫通孔72,73は、回転子押え板51および冷却ファン52の周方向に間隔を空けて設けられる。また、ロータ鉄芯32の軸方向の他方側に配置される回転子押え板53および冷却ファン54は、それぞれ複数(本実施形態では、4個)の貫通孔74,75が設けられる。貫通孔74,75は、回転子押え板53および冷却ファン54の軸方向に沿って回転子押え板53および冷却ファン54を貫通する。複数の貫通孔74,75は、回転子押え板53および冷却ファン54の周方向に間隔を空けて設けられる。
【0023】
回転子21に設けられる複数の冷却孔71と、回転子押え板51,53に設けられる複数の貫通孔72,74と、冷却ファン52に設けられる複数の貫通孔73,75とは、それぞれ数が同じであり、径方向の位置および周方向の位置が同じである。すなわち、複数の冷却孔71と複数の貫通孔72,73,74,75とは、軸方向に沿って直線状に配置される。また、外気取込口61,64と、冷却孔71および貫通孔72,73,74,75とは、数が同じであり、径方向の位置が同じであると共に、周方向の間隔が同じである。そのため、回転子21が所定の回転位置に停止したとき、複数の外気取込口61,64と複数の冷却孔71と複数の貫通孔72,73,74,75とがそれぞれ直線状に並んで配置される。
【0024】
ブラケット55は、外気取込口61より径方向の外方に位置して複数(本実施形態では、4個)のねじ孔81が設けられる。複数のねじ孔81は、ブラケット55の周方向に間隔を空けて配置され、軸方向に沿ってブラケット55を貫通する。複数(本実施形態では、4個)のロックボルト82は、複数のねじ孔81にそれぞれ螺合する。ブラケット44は、外気取込口64より径方向の外方に位置して複数(本実施形態では、4個)のねじ孔83が設けられる。複数のねじ孔83は、ブラケット44の周方向に間隔を空けて配置され、軸方向に沿ってブラケット44を貫通する。複数(本実施形態では、4個)のロックボルト84(ロック機構)は、複数のねじ孔83にそれぞれ螺合する。ロックボルト82,84は、先端部が冷却ファン52,54に当接することで、回転子21を回転不能に固定することで位置決めすることができる。なお、ロックボルト82,84の先端部を冷却ファン52,54に直接当接させなくてもよい。例えば、ロックボルト84を回して、先端部が冷却ファン52,54や回転子21などに設けられたロック板を押して作動し、回転子21を固定してもよい。また、ロックボルト84を回して、先端部が冷却ファン52,54や回転子21に設けられたねじ穴に螺合し、回転子21を固定してもよい。また、ロック機構は、ロックボルト84に限らず、その他の機構であってもよい。
【0025】
回転子21が回転すると、冷却ファン52,54が回転する。冷却ファン52が回転すると、外気が外気取込口61から冷却通路63に取り込まれる。冷却通路63に取り込まれた外気は、冷却通路63を流れるときに回転子21における軸方向の一方側を冷却し、外気排出口62から外部に排出される。一方、冷却ファン54が回転すると、外気が外気取込口64から冷却通路66に取り込まれる。冷却通路66に取り込まれた外気は、冷却通路66を流れるときに回転子21における軸方向の他方側を冷却し、貫通孔48aから通風路67に流れる。通風路67に取り込まれた外気は、通風路67を流れるときに固定子22を冷却し、貫通孔47aから外部に排出される。
【0026】
また、外気取込口61,64から冷却通路63,66に取り込まれた外気は、回転子21の冷却孔71に流入する。外気が冷却孔71を流れることで、回転子21を冷却する。
【0027】
【0028】
回転電機11の接続部側にて、中心位置に回転軸31が位置する。回転軸31は、ブラケット44に軸受43(
図2参照)を介して回転自在に支持される。複数の外気取込口64は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられる。複数の外気排出口68は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられる。
【0029】
図4は、回転電機における非接続部側の側面図である。
【0030】
回転電機11の非接続部側にて、中心位置に回転軸31が位置する。回転軸31は、ブラケット55に軸受41(
図2参照)を介して回転自在に支持される。複数の外気取込口61は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられる。複数の外気排出口62は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられる。また、ブラケット55は、上部に開口部91が設けられ、下部に開口部92が設けられる。
【0031】
なお、回転電機11は、外周部に上部取付部96と下部取付部97とストッパ98が設けられる。上部取付部96および下部取付部97は、回転電機11を車体に固定するためのインタフェイスである。ストッパ98は、回転電機11を搬送するときの吊具として使用されると共に、回転電機11の脱落時に車軸14(
図1参照)に当接して落下による損傷を抑制するものである。
【0032】
<回転電機の清掃方法>
図5は、第1実施形態に係る回転電機の清掃方法を表すフローチャートである。
【0033】
ステップS11にて、作業者は、台車の車輪15(
図1参照)をジャッキアップする。台車は、車輪15がジャッキアップされることで、車輪15がレールから浮く。すると、作業者は、車輪15を自由に回転させることができる。
【0034】
ステップS12にて、作業者は、複数の外気取込口61,64の周囲の塵埃を除去する。回転電機11は、長期の仕様により、外気取込口61,64が形成されたブラケット55,44の外面に塵や埃などが付着する。そのため、冷却孔71の清掃時に、ブラケット55,44の外面に付着した塵や埃などが外気取込口61,64から回転電機11の内部に侵入しないように、事前に外気取込口61,64の周囲の塵埃を除去する。
【0035】
ステップS13にて、作業者は、車輪15を、回転治具などを用いて回転させ、回転子21に設けられた冷却孔71の位置を外気取込口61,64の位置に合わせる。そのため、冷却孔71と外気取込口61,64とが軸方向に沿って直線状に配置されることとなり、回転電機11の外部から外気取込口61,64を通して回転子21の冷却孔71にアクセスが可能となる。
【0036】
ステップS14にて、作業者は、回転子21を回転不能とする。台車がジャッキアップされて車輪15がレールから浮いており、車輪15が自由回転自在である。車輪15が自由回転しないように、回転子21を固定子22側に固定することで、回転子21の冷却孔71の位置が外気取込口61,64に対してずれないようにする。
【0037】
ここで、上述したステップS11からステップS14の作業について、図面を用いて説明する。
図6は、回転子の固定状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【0038】
回転電機11の回転子21は、回転軸31、駆動軸16、カップリング12、連結軸17、減速装置13、車軸14を介して車輪15に駆動連結されている。そのため、車輪15がジャッキアップされてレールから浮いた状態で、作業者が車輪15を回転させると、回転軸31と共に回転子21が回転する。回転軸31は、軸方向の端部にキー溝31aが設けられている。キー溝31aが所定の回転位置、例えば、鉛直方向の真上の位置に位置するとき、冷却孔71が外気取込口61,64に合うように、事前に回転軸31に形成するキー溝31aの位置を設定しておく。作業者は、キー溝31aを見ながら車輪15を回転させ、冷却孔71の位置を外気取込口61,64に合わせる。冷却孔71の位置が外気取込口61,64の位置に合うと、冷却孔71と外気取込口61,64が軸方向に沿った直線状に並ぶ。この状態で、作業者は、複数のロックボルト82,84を回転し、先端部を冷却ファン52,54に当接させる。すると、冷却ファン52,54は、ロックボルト82,84を介してブラケット55,44に支持されることから、回転できなくなる。そして、冷却ファン52,54が固定された回転子21も回転できなくなり、固定子22側に対して回転不能に支持される。なお、ロックボルト82,84を回転子21に直接当接することで、回転子21を回転不能としてもよい。
【0039】
図5に戻り、ステップS15にて、作業者は、清掃用のブラシ101を一方の外気取込口64から冷却孔71に挿入する。ブラシ101は、外部から冷却孔71まで届く長さを有し、先端部に多数の毛が固定された植毛部101aがある。そのため、清掃用のブラシ101を外気取込口64から挿入すると、清掃用のブラシ101は、植毛部101aが冷却孔71の内面まで届いて接触する。この場合、植毛部101aの毛の長さは、植毛部101aが冷却孔71に位置したとき、先端が冷却孔71の内面に押し付けられる長さである。
【0040】
ステップS16にて、作業者は、ブラシ101を往復移動させることで、冷却孔71の内面に押し付けられた植毛部101aを冷却孔71内で往復移動させる。このとき、作業者は、冷却孔71の長さだけブラシ101を往復移動させる。すると、ブラシ101の植毛部101aが冷却孔71の内面に押し付けられた状態で移動するため、植毛部101aにより冷却孔71の内面に付着していた塵埃がかき取られて除去される。
【0041】
ステップS17にて、作業者は、清掃用のブラシ101を外気取込口64から外部に抜き取る。すなわち、ブラシ101を往復移動すると、植毛部101aが冷却孔71の内面に付着していた塵埃をかき取って除去するため、冷却孔71の内面が露出する。冷却孔71の内面から塵埃が除去されると、作業者は、清掃用のブラシ101を冷却孔71から抜き取る。
【0042】
上述したステップS15の作業について、図面を用いて説明する。
図7は、ブラシを挿入するときの状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【0043】
作業者は、清掃用のブラシ101を、一方の外気取込口64から貫通孔74,75を通して冷却孔71に挿入する。ブラシ101は、直線状をなすロッドの先端部に多数の毛が固定された植毛部101aを有し、植毛部101aが外気取込口64から冷却孔71まで届く長さである。そして、ブラシ101は、植毛部101aが冷却孔71に挿入されたとき、植毛部101aの毛の先端が冷却孔71の内面に接触して押し付けられる。
【0044】
また、上述したステップS16の作業について、図面を用いて説明する。
図8は、ブラシによる冷却孔のかき取り状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【0045】
作業者は、ブラシ101の植毛部101aの毛の先端が冷却孔71の内面に押し当てられた状態で、ブラシ101を往復移動する。すると、ブラシ101の植毛部101aが冷却孔71の内面にこすることで、冷却孔71の内面に付着していた塵埃がかき取られて除去される。このとき、ブラシ101周方向に往復回動させ、植毛部101aにより冷却孔71の内面に付着していた塵埃をかき取ってもよい。
【0046】
図5に戻り、ステップS18にて、全ての冷却孔71に対してブラシ101による塵埃のかき取り作業が終了したかどうかを確認する。ここで、全ての冷却孔71に対してブラシ101による塵埃のかき取り作業が終了していないとき(No)、ステップS15に戻り、ステップS15からステップS18の作業を繰り返す。一方、全ての冷却孔71に対してブラシ101による塵埃のかき取り作業が終了しているとき(Yes)、ステップS19に移行する。
【0047】
ステップS11からステップS18までの作業で、回転電機11の主な清掃作業は終了する。ブラシ101により回転子21の各冷却孔71に付着していた塵埃がかき取られて除去される。除去された塵埃は、冷却孔71内に残されるが、回転電機11の使用時に、外部に排出される。すなわち、回転子21が回転すると、冷却ファン52,54が回転し、外気が外気取込口61,64から冷却通路63,66に取り込まれ、各冷却孔71に流れる。そのため、冷却孔71に残された塵埃は、外気により冷却孔71から排出され、外気排出口62,68から外部に排出される。
【0048】
但し、回転子21の各冷却孔71に残された塵埃を回転電機11の外部に積極的に排出して回収することで、塵埃の飛散を防止することが好ましい。この場合は、以下に説明するステップS19以降の作業を実施する。
【0049】
ステップS19にて、作業者は、外気取込口64に案内ノズル102を挿入する。案内ノズル102は、円筒形状をなし、外気取込口64から貫通孔75まで届く長さを有する。案内ノズル102により外部から貫通孔75,74を通して冷却孔71まで直線状につながる流路が形成される。
【0050】
上述したステップS19の作業について、図面を用いて説明する。
図9は、案内ノズルの取付状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【0051】
作業者は、外部から案内ノズル102を外気取込口64に挿入する。案内ノズル102は、例えば、中空ボルトである。案内ノズル102としての中空ボルトは、頭部102aと円筒部102bとを有する。中空ボルトは、頭部102aに六角穴102cが形成されることで軸方向に貫通する貫通孔102dが設けられる。案内ノズル102は、先端部が貫通孔75に通され、頭部102aがブラケット44に外面に当接する。なお、案内ノズル102は、中空ボルトに限定されるものではなく、例えば、円筒管などであってもよい。また、案内ノズル102は、先端部が貫通孔75に挿通されることが好ましいが、貫通孔74に通されていてもよい。つまり、案内ノズル102は、外部から冷却孔71までの間で、外部から冷却孔71に空気を供給するための流路を形成するガイドの役割を担うものであれば、形状は限定されない。
【0052】
図5に戻り、ステップS20にて、作業者は、外部から案内ノズル102にエアガン103を取付ける。エアガン103は、空気を供給するものである。エアガン103は、案内ノズル102を通して冷却孔71に空気を供給する。
【0053】
ステップS21にて、作業者は、集塵ネット104と塞ぎ栓105を取付ける。集塵ネット104は、冷却孔71から除去されて空気により排出された塵埃を集めるものであり、外気取込口61および外気排出口62を覆う。塞ぎ栓105は、案内ノズル102およびエアガン103や集塵ネット104が取れ付けられていない複数の貫通孔47aを塞ぐものである。
【0054】
上述したステップS20とステップS21の作業について、図面を用いて説明する。
図10は、エアガンおよび集塵ネット104の取付状態を表す回転電機の上側の断面図である。
【0055】
作業者は、エアガン103を保持し、先端部の六角形をなすノズル部103aを外部から案内ノズル102の六角穴102cに嵌合させる。このとき、エアガン103を案内ノズル102に保持させてもよいし、作業者が保持していてもよい。また、作業者は、回転電機11の一方側に集塵ネット104を取付ける。集塵ネット104は、空気は通り抜けるが、微細な塵や埃などは通り抜けないメッシュの袋形状をなす。集塵ネット104は、複数の外気取込口61と複数の外気排出口62を被覆する。また、作業者は、回転電機11の外周部に設けられた複数の貫通孔47aに塞ぎ栓105を取付ける。塞ぎ栓105は、複数の貫通孔47aを閉止する。
【0056】
図5に戻り、ステップS22にて、作業者は、エアガン103を作動し、ノズル部103aから案内ノズル102の貫通孔102dに空気(気体)を噴射する。ノズル部103aから噴射された空気は、案内ノズル102の貫通孔102dから冷却孔71に供給される。すると、ブラシ101により除去されて冷却孔71に溜まった塵埃が空気により搬送され、集塵ネット104に排出される。
【0057】
ステップS23にて、エアガン103と案内ノズル102を取り外す。すなわち、エアガン103により案内ノズル102を通して冷却孔71に空気を供給すると、冷却孔71に溜まっていた塵埃が排出される。冷却孔71から塵埃が排出されると、作業者は、エアガン103と案内ノズル102を取り外す。
【0058】
ステップS24にて、全ての冷却孔71に対して空気による塵埃の排出作業が終了したかどうかを確認する。ここで、全ての冷却孔71に対して空気による塵埃の排出作業が終了していないとき(No)、ステップS19に戻り、ステップS19からステップS24の作業を繰り返す。なお、ステップS19で、全ての外気取込口64に案内ノズル102をそれぞれ挿入した場合、ステップS20に戻り、ステップS20からステップS24の作業を繰り返す。一方、全ての冷却孔71に対して空気による塵埃の排出作業が終了しているとき(Yes)、ステップS25に移行する。
【0059】
ステップS25にて、作業者は、集塵ネット104と塞ぎ栓105を取り外す。このとき、集塵ネット104は、各冷却孔71から排出された塵埃が入っており、塵埃が飛散しないようにブラケット55から取外しことが好ましい。
【0060】
ステップS26にて、作業者は、ロックボルト82,84を緩めることで、回転子21の固定を解除し、回転子21を回転自在とする。
【0061】
ステップS27にて、作業者は、台車の車輪15(
図1参照)をジャッキダウンすることで、車輪15をレールに着地させる。台車は、車輪15がジャッキダウンされることで、車輪15がレールに着地し、車輪15がレール上を回転自在となる。
【0062】
ここで、清掃用の空気による塵埃の排出経路について説明する。
図11は、清掃用の空気の供給経路を表す回転電機の断面図である。
【0063】
エアガン103から供給された空気は、案内ノズル102の貫通孔102dから貫通孔74,75を通って冷却孔71に供給される。ここで、冷却孔71に溜まっていた塵埃は、空気により搬送され、貫通孔72,73および冷却通路63を通り、外気取込口61から集塵ネット104に排出される。また、冷却孔71に溜まっていた塵埃は、貫通孔72,73および冷却通路63を通り、外気排出口62から集塵ネット104に排出される。
【0064】
[第2実施形態]
第2実施形態にて、回転電機は、第1実施形態と同様であり、
図1および
図2を用いて説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
第2実施形態では、複数の外気取込口61および複数の外気排出口62のうち、一つの外気取込口61にエアガンを取付け、一つの外気排出口62に集塵ネットを装着し、残りの外気取込口61および外気排出口62に塞ぎ栓を装着し、冷却孔71の清掃作業を実施するものである。
【0066】
図12は、回転電機における接続部側の側面図である。
【0067】
回転電機11の接続部側にて、複数の外気取込口64は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられ、複数の外気排出口68は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられる。複数の外気排出口68に塞ぎ栓111を装着することで、外気排出口68を閉止する。
【0068】
図13は、回転電機における非接続部側の側面図である。
【0069】
回転電機11の非接続部側にて、複数の外気取込口61は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられ、複数の外気排出口68は、回転軸31の周囲に周方向に間隔を空けて設けられる。また、ブラケット55は、上部に開口部91が設けられ、下部に開口部92が設けられる。上部の外気排出口62に塞ぎ栓112を装着することで、外気排出口62を閉止する。複数の開口部91,92に塞ぎ栓113,114を装着することで、開口部91,92を閉止する。複数の外気取込口61に塞ぎボルト115を装着することで、外気取込口61を閉止する。なお、後述するが、下部の外気排出口62に集塵ネット116を装着する。
【0070】
図14は、第2実施形態に係る回転電機の清掃方法を表すフローチャートである。
【0071】
ステップS11にて、作業者は、台車の車輪15(
図1参照)をジャッキアップすることで、車輪15をレールから浮かせる。
【0072】
ステップS31にて、作業者は、所定の位置に塞ぎ栓111,112,113,114を取付ける。すなわち、塞ぎ栓111により上下の外気排出口68が閉止される。塞ぎ栓112により上部の外気排出口62が閉止される。塞ぎ栓113,114により複数の開口部91,92が閉止される。
【0073】
ステップS12からステップS20までの作業は、第1実施形態とほぼ同様であることから説明は省略する。
【0074】
ステップS21にて、作業者は、集塵ネット116と塞ぎ栓105を取付ける。集塵ネット116は、冷却孔71から除去されて空気により排出された塵埃を集めるものであり、外気排出口62を覆う。すなわち、塵埃の排出口を1か所に集約する。塞ぎ栓105は、案内ノズル102およびエアガン103や集塵ネット104が取れ付けられていない複数の貫通孔47aを塞ぐものである。
【0075】
ステップS22にて、作業者は、エアガン103を作動し、案内ノズル102に空気を噴射する。エアガン103から噴射された空気は、案内ノズル102から冷却孔71に供給される。すると、ブラシ101により除去されて冷却孔71に溜まった塵埃が空気により搬送され、集塵ネット116に排出される。
【0076】
ステップS23からステップS27までの作業は、第1実施形態とほぼ同様であることから説明は省略する。
【0077】
ここで、清掃用の空気による塵埃の排出経路について説明する。
図15は、清掃用の空気の供給経路を表す回転電機の断面図である。
【0078】
エアガン103から供給された空気は、案内ノズル102の貫通孔102dから貫通孔74,75を通って冷却孔71に供給される。ここで、冷却孔71に溜まっていた塵埃は、空気により搬送され、貫通孔72,73および冷却通路63を通り、一つの外気排出口62から集塵ネット116に排出される。
【0079】
[実施形態の効果]
本実施形態の回転電機の清掃方法は、回転子21を回して、冷却孔71と外気取込口(第1外気口)64とを直線状に配置させ、ロックボルト(ロック機構)84を作動して回転子21が回らないように固定するステップと、ブラシ(清掃用ブラシ)101を外気取込口64から冷却孔71に挿入し、ブラシ101を冷却孔71の内面に押し当てて軸方向に移動することで、冷却孔71の内面に付着している塵埃をかき取るステップとを有する。
【0080】
そのため、回転子の冷却孔71とブラケット44の外気取込口64とは、径方向の位置が同じであることから、回転子21を回すと、冷却孔71と外気取込口64とを直線状に配置させることができる。ここで、回転子21が回らないように固定すると、冷却孔71と外気取込口64との直線状態が維持される。この状態で、ブラシ101を外気取込口64から冷却孔71に挿入して軸方向に移動すると、ブラシ101により冷却孔71の内面に付着している塵埃がかき取られる。その結果、冷却孔71の内面に強固に付着していた塵埃をブラシ101により適正に除去することができ、清掃作業の適正化を図ることができる。
【0081】
本実施形態の回転電機の清掃方法は、外気取込口(第2外気口)61を外部から覆う集塵ネット104を設けるステップと、外気取込口64から冷却孔71に気体を供給し、冷却孔71の内面からかき取られた塵埃を気体と共に外気取込口61から集塵ネット104に排出するステップとを有する。そのため、ブラシ101軸方向に移動することで、冷却孔71の内面に付着している塵埃がかき取られ、冷却孔71に残る。ここで、外気取込口64から冷却孔71に気体を供給することで、冷却孔71に残っている塵埃を外部に排出することができる。そして、冷却孔71から排出された塵埃は、集塵ネット104に集められることから、回転電機周辺への塵埃の飛散を抑制することができる。
【0082】
本実施形態の回転電機の清掃方法は、円筒形状をなす案内ノズル102を外気取込口64に挿入することで、外部から案内ノズル102を通して冷却孔71に気体を供給する流路を形成し、気体を流路を通して冷却孔71に供給する。そのため、回転子の冷却孔71とブラケット44の外気取込口64とは、軸方向に離れており、気体が外気取込口64を通して冷却孔71に供給されにくい。案内ノズル102は、外気取込口64と冷却孔71とを接続する流路を形成するため、外部からの気体を案内ノズル102により形成された流路を通して冷却孔71に適正に供給することができる。その結果、冷却孔71に残っている塵埃を供給された気体により集塵ネット104に適正に排出することができる。
【0083】
本実施形態の回転電機の清掃方法は、回転子21は、軸方向の端部に冷却ファン52,54が固定され、冷却ファン52,54に回転子21の軸方向に沿って貫通孔73,74が形成され、案内ノズル102を外気取込口64に挿入し、案内ノズル102の基端部を外気取込口64に支持させ、案内ノズル102の先端部を貫通孔74に支持させる。そのため、外気取込口64に挿入された案内ノズル102は、片持ち支持となり、不安定である。そこで、案内ノズル102の基端部を外気取込口64に支持させ、先端部を貫通孔74に支持さることで、案内ノズル102が両持ち支持となり、安定する。その結果、外部からの気体を案内ノズル102により形成された流路を通して冷却孔71に適正に供給することができる。
【0084】
本実施形態の回転電機の清掃方法は、外気取込口61,64および外気排出口62,68は、複数設けられ、複数の外気取込口64および外気排出口68のうちの一つの外気取込口64を開放状態とし、複数の外気取込口61および外気排出口62のうちの一つの外気排出口62に集塵ネット116を装着し、残りの外気取込口61,64および外気排出口62,68に塞ぎ栓111,112,113,114を装着し、開放された外気取込口64から冷却孔71に気体を供給し、冷却孔71からかき取られた塵埃を気体と共に外気排出口62から集塵ネット116に排出する。そのため、一つの外気取込口64と一つの外気排出口62以外の外気取込口61,64および外気排出口62、68を塞ぐと、外気取込口64から冷却孔71を介して外気排出口62に到達する一つの流路が形成される。ここで、外部からの気体を外気取込口64に供給すると、供給された気体は、冷却孔71に供給され、冷却孔71に残った塵埃を外気排出口62から集塵ネット116に排出することができる。このとき、気体および塵埃は、一つの限定された流路を流れることから、気体の流速が上昇する。その結果、高速で流れる気体により冷却孔71に残った塵埃を適切に排出して集塵ネット104に集めることができる。
【0085】
なお、上述した実施形態では、ブラシ101を外気取込口64から冷却孔71に挿入したり、空気を外気取込口64から冷却孔71に供給したりし、集塵ネット104,116を外気取込口61や外気排出口62側に装着したが、逆にしてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、本実施形態の回転電機を全閉型誘導電動機として説明したが、この構成に限定されるものではない。
【0087】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10 駆動装置
11 回転電機
12 カップリング
13 減速装置
14 車軸
15 車輪
16 駆動軸
17 連結軸
21 回転子
22 固定子
31 回転軸
32 ロータ鉄芯
33 ロータバー
34 ステータ鉄心
35 ステータコイル
41,43 軸受
42 ブラケット
44 ブラケット(第1支持部材)
45,46 支持部
47,48 固定子押え板
49 固定子連結部
51,53 回転子押え板
52,54 冷却ファン
55 ブラケット(第2支持部材)
56 ブラケット
57,58 ラビリンスシール
61 外気取込口(第2外気口)
62 外気排出口(第2外気口)
63,66 冷却通路
64 外気取込口(第1外気口)
65 カバー
67 通風路
68 外気排出口(第1外気口)
71 冷却孔
72,73,74,75 貫通孔
81,83 ねじ孔
82,84 ロックボルト
91,92 開口部
101 ブラシ(清掃用ブラシ)
102 案内ノズル
103 エアガン
104 集塵ネット
105 塞ぎ栓
111,112,113,114 塞ぎ栓
115 塞ぎボルト
116 集塵ネット