(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043531
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】ワイパーブレード用アダプター
(51)【国際特許分類】
B60S 1/40 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
B60S1/40 100Z
B60S1/40 200F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151215
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】390005304
【氏名又は名称】PIAA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】門倉 彰
(72)【発明者】
【氏名】小林 正利
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AB01
3D225AC01
3D225AD01
3D225AE05
3D225AE08
3D225AE11
3D225AE24
(57)【要約】
【課題】ワイパーブレードの安全性を向上させるワイパーブレード用アダプターを提供する。
【解決手段】先端部30aに第1凹部30bが設けられているワイパーアーム30にワイパーブレード10を接続するワイパーブレード用アダプター20であって、ワイパーブレード10に設けられているコネクター13に回動可能に支持され、かつ、ワイパーアーム30の先端部30aを着脱可能に収容するホルダー21と、ホルダー21の少なくとも一部を覆うカバー22と、を備え、ホルダー21は、ワイパーアーム30の先端部30aを収容しているときに第1凹部30bを外部に露出させる開口部21jを有し、カバー22は、カバー22がホルダー21を覆っているときに開口部21jを貫通して第1凹部30bに係合する第1凸部22gを有する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に第1凹部が設けられているワイパーアームにワイパーブレードを接続するワイパーブレード用アダプターであって、
前記ワイパーブレードに設けられているコネクターに回動可能に支持され、かつ、前記ワイパーアームの前記先端部を着脱可能に収容するホルダーと、
前記ホルダーの少なくとも一部を覆うカバーと、を備え、
前記ホルダーは、前記ワイパーアームの前記先端部を収容しているときに前記第1凹部を外部に露出させる開口部を有し、
前記カバーは、当該カバーが前記ホルダーを覆っているときに前記開口部を貫通して前記第1凹部に係合する第1凸部を有する、ワイパーブレード用アダプター。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記ワイパーアームの前記先端部が着脱される側とは反対側で前記カバーを回動可能に支持する、請求項1に記載のワイパーブレード用アダプター。
【請求項3】
前記ワイパーアームの前記先端部に、前記第1凹部とは前記先端部の長手方向に沿って離間する第2凹部が設けられている場合、
前記ホルダーは、前記ワイパーアームの前記先端部を収容しているときに前記第2凹部に係合する第2凸部を含む弾性変形可能な第1係止爪を有し、
前記第1係止爪は、前記第2凸部が設けられている側とは反対側に、外部に露出する押下面を有する、請求項1又は2に記載のワイパーブレード用アダプター。
【請求項4】
前記カバーは、当該カバーが前記ホルダーを覆っているときに前記第1係止爪の前記押下面を覆う壁部を有する、請求項3に記載のワイパーブレード用アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイパーブレード用アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両は、ウインドウガラスの表面に付着した水滴等を除去するためのワイパー装置を備える。特許文献1は、先端部に2つの凹部が形成されているワイパーアームにワイパーブレードを接続するアダプターに関する技術を開示している。このアダプターでは、ワイパーアームの先端部に形成されている1つの凹部に対して、ワイパーブレード側のコネクターに設けられている凸部が係合し、アダプターからのワイパーアームの抜け止めとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016204243号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているアダプターでは、ワイパーブレードに対してアダプターが回動する方向及び作動角度によっては、アダプターに接続されているワイパーアームの凹部が、ワイパーブレード側のコネクターの凸部から離れる。そのため、ワイパーアームの凹部がコネクターの凸部から外れてしまい、ワイパーアームが、ワイパーブレードに支持されているアダプターから意図せずに抜けてしまうこともあり得る。
【0005】
そこで、本開示は、ワイパーブレードの安全性を向上させるワイパーブレード用アダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、先端部に第1凹部が設けられているワイパーアームにワイパーブレードを接続するワイパーブレード用アダプターであって、ワイパーブレードに設けられているコネクターに回動可能に支持され、かつ、ワイパーアームの先端部を着脱可能に収容するホルダーと、ホルダーの少なくとも一部を覆うカバーと、を備え、ホルダーは、ワイパーアームの先端部を収容しているときに第1凹部を外部に露出させる開口部を有し、カバーは、カバーがホルダーを覆っているときに開口部を貫通して第1凹部に係合する第1凸部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ワイパーブレードの安全性を向上させるワイパーブレード用アダプターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態におけるワイパー装置の主要部の側面図である。
【
図2】一実施形態に係るワイパーブレード用アダプターの分解斜視図である。
【
図3】一実施形態におけるカバーの内部空間を視認可能とする斜視図である。
【
図4A】ワイパーアームをホルダーに挿入する時のアダプターの斜視図である。
【
図4B】ホルダーがカバーで覆われる前のアダプターの斜視図である。
【
図4C】ホルダーがカバーで覆われた後のアダプターの斜視図である。
【
図5A】ホルダーに対するワイパーアームのロック状態を示す斜視図である。
【
図5B】カバーに対するワイパーアームの抜け止め状態を示す斜視図である。
【
図6B】ワイパーアームのロック解除時の状態を示す断面図である。
【
図7A】
図4C中のVIIA-VIIAに対応する断面図である。
【
図7B】
図4C中のVIIB-VIIBに対応する断面図である。
【
図8】ワイパーアームに接続されたアダプターの作動範囲を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態について図面を参照して説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については図示を省略する。
【0010】
図1は、一実施形態に係るワイパーブレード用アダプター20(以下、単に「アダプター20」という。)を含むワイパー装置1の主要部の側面図である。
図2は、アダプター20の分解斜視図である。なお、
図2では、ワイパー装置1に含まれ、アダプター20に接続される各構成要素についても、併せて描画されている。
【0011】
ワイパー装置1は、自動車等の車両に設けられ、ウインドウガラス100の表面100aに付着した水滴等を除去する。ワイパー装置1は、ワイパーブレード10と、アダプター20と、ワイパーアーム30と、取付ピン40と、不図示の駆動機構とを備える。
【0012】
ワイパー装置1の各構成要素のうち、ワイパーアーム30及び駆動機構は、予め車両側に設置されている。ワイパーアーム30は、金属製の棒状部材である。ワイパーアーム30の一方の端部である先端部30aには、アダプター20が接続される。ワイパーアーム30の他方の端部は、ウインドウガラス100の表面100aに沿ってワイパーアーム30を稼働させる駆動機構に接続される。本実施形態では、ワイパーアーム30における先端部30aを含む先端側は、長尺の平板部材である。一方、ワイパーアーム30における駆動機構に接続される根元側は、剛性を高めるために板体を加工して形成された構造部材であってもよい。
【0013】
また、ワイパーアーム30の先端部30aには、予め、第1凹部30bと、第2凹部30cとが形成されている。ワイパーアーム30の先端側にある平板部材は、表裏の主平面に対してそれぞれ長手方向に延伸する側の側端面である第1側端面30dと第2側端面30eとを含む。第1凹部30bと第2凹部30cとは、先端部30aにおいて、第1側端面30dの側が切り欠かれることで形成され、かつ、先端部30aの長手方向に沿って互いに離間する。第1凹部30bは、第2凹部30cよりも、ワイパーアーム30の先端、すなわち、先端部30aの開放端に近い。第1凹部30bは、第1側端面30dの側において第2凹部30cよりも深く切り欠かれた位置にある。また、先端部30aの長手方向について、第1凹部30bの幅は、第2凹部30cの幅よりも広い。なお、本実施形態では、ワイパーアーム30を構成する平板部材は、第1側端面30dからウインドウガラス100の表面100aまでの距離が第2側端面30eから表面100aまでの距離よりも近くなるように、表面100aに対して傾斜している。
【0014】
一方、ワイパー装置1の各構成要素のうち、ワイパーブレード10、アダプター20及び取付ピン40は、予め一つのブレードユニット2を構成している。この場合、アダプター20がワイパーアーム30の先端部30aに接続されることで、ブレードユニット2がワイパーアーム30に取り付けられて、最終的にワイパー装置1が構成される。
【0015】
ワイパーブレード10は、ウインドウガラス100の表面100aに付着した水滴等を除去する際に、表面100aに一部を接触させながら、表面100a上を往復移動する。ワイパーブレード10は、例えば、ゴム部11と、ブレード本体12と、コネクター13とを備える。
【0016】
ゴム部11は、表面100aに付着した水滴等を除去する際に表面100aに接触する棒状の弾性部材である。なお、ゴム部11は、一般的なワイパーブレードに用いられるゴム部であってもよい。また、ゴム部11の材質や具体的形状についても、特に限定されるものではない。
【0017】
ブレード本体12は、ゴム部11を保持する棒状の構造体である。なお、ブレード本体12は、一般的なワイパーブレードに用いられるブレード本体であってもよい。また、ブレード本体12の材質や具体的形状についても、特に限定されるものではない。
【0018】
コネクター13は、ブレード本体12と、以下で詳説するアダプター20に含まれるホルダー21とを接続する。コネクター13は、ホルダー支持部13aと、台座13bとを有する。ホルダー支持部13aは、ホルダー21に設けられる収容空間S1(
図6A及び
図7B参照)に一部が収容され、取付ピン40を介してホルダー21を支持するブロック体である。ホルダー支持部13aは、取付ピン40の一部を貫通させる軸孔13cを有する。また、ホルダー支持部13aは、軸孔13cが設けられている部分の高さよりも、軸孔13cが設けられていない部分の高さが低くなるような外形を有する。これにより、収容空間S1においてホルダー支持部13aが占める領域を少なくすることができる。台座13bは、例えば、ブレード本体12におけるゴム部11を保持する側とは反対側の一部に固定され、かつ、ホルダー支持部13aを固定する。なお、コネクター13は、ブレード本体12と一体成形されたものであってもよいし、ブレード本体12に対して溶接等により接合されたものでもよい。
【0019】
アダプター20は、ワイパーアーム30にワイパーブレード10を接続する中間部材である。アダプター20は、ホルダー21と、カバー22とを備える。なお、ホルダー21又はカバー22の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。
【0020】
ホルダー21は、コネクター13に回動可能に支持され、かつ、ワイパーアーム30の先端部30aの少なくとも一部を収容空間S1に着脱可能に収容する構造体である。ホルダー21は、全体的には細長形であり、第1側壁21aと、第2側壁21bと、上壁21cとを含む。第1側壁21aと第2側壁21bとは、ホルダー21の長手方向、及び、ホルダー21とブレード本体12とが対向する方向の双方に対して垂直な方向で、互いに対向する平板部である。第1側壁21aと第2側壁21bとの間隔は、少なくとも、コネクター13のホルダー支持部13aの一部を収容し得る程度に設定される。上壁21cは、第1側壁21a及び第2側壁21bがブレード本体12と近接する側の端部とは反対側の端部で、第1側壁21aと第2側壁21bとを連結する。上壁21cの形状に関して、長手方向に対する垂直面に沿って切断した断面形状は、長手方向に沿って延伸する稜線部を折れ曲がり部とするL字状の板部である。上壁21cの内面は、ホルダー21の内部にワイパーアーム30の先端部30aが収容された状態では、第2側端面30eに対向する面と、先端部30aの一方の主平面に対向する面との二つの面を含む(
図6A等参照)。
【0021】
このように、ホルダー21の基本的形状は、収容空間S1を有しつつ、ブレード本体12に対向する側と、ホルダー21の長手方向の両端側とが外部に開放された形状となる。そして、ホルダー21は、長手方向の一方の端側にある開口部から、ホルダー21及びワイパーアーム30の互いの長手方向に沿った方向を挿入方向として、先端部30aを収容空間S1に挿入させることができる。以下、ホルダー21におけるワイパーアーム30の挿入側にある当該開口部を、着脱部21nと表記する。
【0022】
次に、ホルダー21の具体的形状に関して、第1側壁21a及び第2側壁21bは、それぞれ、コネクター13の一部がホルダー21の収容空間S1に収容されたときに、コネクター13に設けられている軸孔13cと同軸上に並ぶ貫通孔21dを有する。
【0023】
また、ホルダー21は、長手方向において貫通孔21dよりも着脱部21nの側に、弾性変形可能な第1係止爪21eを有する。第1係止爪21eは、第1側壁21aに設けられた切り欠き部21kに、第1側壁21aとは非接触で、かつ、第1側壁21aに沿って配置される。第1係止爪21eは、収容空間S1に面する側に、収容空間S1にワイパーアーム30の先端部30aを収容したときに、ワイパーアーム30の第2凹部30cに係合する第2凸部21f(
図6A等参照)を含む。また、第1係止爪21eは、収容空間S1において、第2凸部21fに連続する弾性変形可能な支持片21gを介して、第2側壁21bの内面で支持される。更に、第1係止爪21eは、第2凸部21fが設けられている側とは反対側に、外部に露出する押下面21mを有する。
【0024】
また、ホルダー21は、長手方向においてワイパーアーム30の先端部30aが着脱される着脱部21nとは反対側の開口部に、カバー22を回動可能に支持する回転支持部21hを有する。回転支持部21hは、
図2に示すように、第1側壁21a及び第2側壁21bの双方に互いに対称形で形成され、カバー22に設けられている回転軸22dをそれぞれ係合させる切り欠きであってもよい。
【0025】
また、第1側壁21a及び第2側壁21bは、それぞれ、外部に面する側に、カバー22がホルダー21を覆ったときに、カバー22に設けられている係合爪22fが係合する係合穴21iを有する。
【0026】
更に、上壁21cは、収容空間S1にワイパーアーム30の先端部30aを収容したときに、ワイパーアーム30に形成されている第1凹部30bを外部に露出させる開口部21jを有する。
【0027】
カバー22は、ホルダー21に回動可能に支持され、かつ、ホルダー21の少なくとも一部を内部空間S2(
図7A及び
図7B参照)に収容するように覆う構造体である。カバー22は、全体的には細長形であり、第1側壁22aと、第2側壁22bと、上壁22cとを含む。第1側壁22aと第2側壁22bとは、ホルダー21の第1側壁21a及び第2側壁21bとそれぞれ平行で、互いに対向する平板部である。第1側壁22aと第2側壁22bとの間隔は、少なくとも、ホルダー21の一部を収容し得る程度に設定される。上壁22cは、第1側壁22a及び第2側壁22bがホルダー21と近接する側の端部とは反対側の端部で、第1側壁22aと第2側壁22bとを連結する。上壁22cは、ホルダー21の上壁21cにおおよそ沿った形状を有する。
【0028】
このように、カバー22の基本的形状は、内部空間S2を有しつつ、ホルダー21に対向する側と、カバー22の長手方向の両端側とが外部に開放された形状となる。そして、カバー22は、内部空間S2にホルダー21全体を収容する、すなわち、ホルダー21全体を覆うことができる。
【0029】
次に、カバー22の具体的形状に関して、カバー22は、ホルダー21を覆っている状態で回転支持部21hに係合する位置に回転軸22dを有する。回転軸22dの一端は、第1側壁22aに接続され、回転軸22dの他端は、第2側壁22bに接続される。本実施形態では、回転軸22dの軸方向は、ホルダー21において第1側壁21aと第2側壁21bとのそれぞれに設けられている貫通孔21d同士の対向方向と平行である。カバー22は、回転軸22dを介してホルダー21に支持されることで、回転軸22dを基準として回転することで、ホルダー21全体を覆う状態を解除することができる。
【0030】
図3は、カバー22の内部空間S2を視認可能とする斜視図である。第1側壁22a及び第2側壁22bは、それぞれ、カバー22がホルダー21を覆ったときに、ホルダー21に設けられている係合穴21iに係合する係合爪22fを有する。各々の係合爪22fは、第1側壁22a及び第2側壁22bにおいてそれぞれ2つの切り欠きにより形成された弾性壁部22eに設けられている。
【0031】
更に、上壁22cは、収容空間S1にワイパーアーム30の先端部30aを収容し、かつ、カバー22がホルダー21を覆っているときに、ホルダー21の開口部21jを貫通して第1凹部30bに係合する第1凸部22gを有する。つまり、第1凸部22gは、第1側壁22a及び第2側壁22bとおおよそ平行となる姿勢で、上壁22cから内部空間S2に向けて突出している(
図7B参照)。
【0032】
そして、取付ピン40は、コネクター13のホルダー支持部13aの一部をホルダー21の収容空間S1に収容した状態で、ホルダー21の外側から貫通孔21dと軸孔13cとに貫通することで、ホルダー21とコネクター13とを接続する。これにより、カバー22を支持したホルダー21、すなわちアダプター20は、コネクター13に対して、取付ピン40を回転軸として回動可能に支持される。
【0033】
次に、ワイパーアーム30へのブレードユニット2の取り付けについて説明する。
【0034】
図4A~
図4Cは、ワイパーアーム30にブレードユニット2を取り付ける際のアダプター20の一連の状態を示す図である。
図4Aは、ワイパーアーム30をホルダー21に挿入する時のアダプター20の斜視図である。
図4Bは、ワイパーアーム30の先端部30aがホルダー21に収容された後に、ホルダー21がカバー22で覆われる前のアダプター20の斜視図である。
図4Cは、先端部30aがホルダー21に収容された後に、ホルダー21がカバー22で覆われた後のアダプター20の斜視図である。なお、
図4A~
図4Cでは、ワイパーブレード10全体の図示を省略し、コネクター13のみを示す。
【0035】
まず、作業者は、
図4Aに示すように、カバー22を、回転軸22dを基準としてホルダー21に対して回動させて開状態とする。つまり、この段階では、カバー22は、ホルダー21全体を覆っていない。次に、作業者は、車両に設置されているワイパーアーム30にブレードユニット2を近づけ、ホルダー21の着脱部21nから収容空間S1に向けて先端部30aを挿入させる。
【0036】
図5Aは、ワイパーアーム30の先端部30aがホルダー21の収容空間S1に収容されているときのワイパーアーム30のロック状態を示す斜視図である。なお、
図5Aでは、説明の簡単化のために、ホルダー21及びワイパーアーム30のみが示されている。
【0037】
また、
図6Aは、
図4B中のVIA-VIAに対応し、先端部30aに形成されている第2凹部30cと、ホルダー21の第1係止爪21eの内側に設けられている第2凸部21fとの係合部分に合わせて切断した断面図である。
図6Bは、
図6Aに対応した、ワイパーアーム30のロック状態が解除されている時の状態を示す断面図である。
【0038】
本実施形態では、ワイパーアーム30において先端部30aを一部に含む平板部材は、上記のとおり、ウインドウガラス100の表面100aに対して傾斜している。これに対して、ホルダー21の収容空間S1では、
図6Aに示すように、上壁21cの内面の一部と、第1係止爪21eを支持する支持片21gの表面とは、互いに対向する。そして、上壁21cの内面の一部と支持片21gの表面とに挟まれる領域を、先端部30aの進入路とする。併せて、上壁21cの内面の一部、及び、支持片21gの表面は、それぞれ、ワイパーアーム30の傾斜形状又は傾斜角度に合わせて、ホルダー21とコネクター13との接続方向に対して傾斜している。このようなホルダー21の形状により、先端部30aを構成する平板部材がウインドウガラス100の表面100aに対して傾斜していたとしても、表面100aに対するブレードユニット2全体の平行姿勢は維持される。なお、一般に、本実施形態におけるワイパーアーム30のように、ウインドウガラス100の表面100aに対して傾斜している平板形状を有するワイパーアームは、斜め差込み型アームと呼称される場合もある。
【0039】
また、本実施形態では、ホルダー21にある第2凸部21fの形状は、予めワイパーアーム30の先端部30aに形成されている係合対象である第2凹部30cの形状に合っている。また、先端部30aでは、第2凹部30cの形状及び設置位置は、もう一方の凹部である第1凹部30bの形状及び設置位置と異なる。そのため、先端部30aがホルダー21の収容空間S1に収容された後では、
図5Aに示すように、第2凸部21fと第2凹部30cとは、想定されている係合位置において確実に係合する。
【0040】
ここで、第2凸部21fは、弾性変形可能な支持片21gと連続している。そのため、先端部30aが挿入直後から収容空間S1で移動している間、
図6Bに示すように、支持片21gは、先端部30aにおける第2凹部30c以外の部位の形状に合わせて変形するので、収容空間S1での移動が妨げられない。そして、第2凸部21fと第2凹部30cとが係合したとき、
図6Aに示すように、支持片21gの姿勢が通常姿勢に戻る。このときのワイパーアーム30の状態がロック状態であり、もしワイパーアーム30が挿入方向に沿って移動しようとしたとしても、第2凹部30cが第2凸部21fに引っ掛かり、結果として移動が阻止される。
【0041】
次に、作業者は、
図4Bに示すように、ワイパーアーム30をロック状態としたまま、カバー22をホルダー21に対して回動させる。最終的に、作業者は、
図4Cに示すように、カバー22を閉状態とし、カバー22でホルダー21全体を覆わせる。
【0042】
図5Bは、ワイパーアーム30の先端部30aがホルダー21の収容空間S1に収容されていることを想定しつつ、カバー22がホルダー21を覆っているときのワイパーアーム30の抜け止め状態を示す斜視図である。なお、
図5Bでは、説明の簡単化のために、カバー22及びワイパーアーム30のみが示されている。
【0043】
また、
図7Aは、
図4C中のVIIA-VIIAに対応し、先端部30aに形成されている第2凹部30cと、ホルダー21の第1係止爪21eの内側に設けられている第2凸部21fとの係合部分に合わせて切断した断面図である。
図7Bは、
図4C中のVIIB-VIIBに対応し、先端部30aに形成されている第1凹部30bと、カバー22の上壁22cの内側に設けられている第1凸部22gとの係合部分に合わせて切断した断面図である。
【0044】
本実施形態では、カバー22がホルダー21を覆うと、ホルダー21全体がカバー22の内部空間S2に収容される。そのため、
図4C及び
図7Aに示すように、ワイパーアーム30をロック状態としている第2凸部21fと連続する第1係止爪21eもカバー22に覆われることで、押下面21mも第1側壁22aで覆われ、外部に露出しない。
【0045】
また、本実施形態では、カバー22がホルダー21を覆うと、カバー22に設けられている各々の係合爪22fが、ホルダー21に設けられている各々の係合穴21iに係合する。そのため、カバー22が意図せず開状態となることが抑止される。また、各々の係合爪22fは、それぞれ弾性壁部22eに設けられているので、カバー22がホルダー21を覆うときには、カバー22全体に対して無用な力が掛からず、作業性も向上する。
【0046】
更に、本実施形態では、カバー22にある第1凸部22gは、上壁22cから内部空間S2に向けて突出している。一方、ホルダー21の上壁21cには、予め開口部21jが形成されている。そのため、カバー22がホルダー21を覆うと、
図5B及び
図7Bに示すように、第1凸部22gは、開口部21jを貫通して第1凹部30bに係合する。このときのワイパーアーム30の状態が抜け止め状態であり、もしワイパーアーム30が挿入方向に沿って移動しようとしたとしても、第1凹部30bが第1凸部22gに引っ掛かり、結果として移動が阻止される。
【0047】
次に、ワイパーアーム30からのブレードユニット2の取り外しについて説明する。ワイパーアーム30からブレードユニット2を取り外す際、作業者は、基本的には、上記説明した取り付け作業と反対の作業を行う。
【0048】
まず、作業者は、カバー22にある双方の弾性壁部22eを外側に広げつつ、カバー22をホルダー21に対して回動させて開状態とする。これにより、第1凹部30bと第1凸部22gとが係合しなくなるため、ワイパーアーム30の抜け止め状態が解除される。ここで、カバー22が開状態となったことで、ホルダー21にある第1係止爪21eは、もはやカバー22に覆われなくなるため、押下面21mも外部に露出する。
【0049】
次に、作業者は、カバー22を開状態としたまま、
図6Bに示すように、押下面21mを収容空間S1に向かう方向に押す。これにより、第1係止爪21e全体が支持片21gの変形により移動し、第1係止爪21eと連続している第2凸部21fもワイパーアーム30の先端部30aから離れる方向に移動する。そして、第2凹部30cと第2凸部21fとが係合しなくなるため、ワイパーアーム30のロック状態が解除される。
【0050】
ここまでの作業により、ワイパーアーム30のロック状態及び抜け止め状態の双方が解除されたことになるため、作業者は、最終的に、ワイパーアーム30の先端部30aをホルダー21から引き抜くことで、ブレードユニット2を取り外すことができる。
【0051】
次に、アダプター20の効果について説明する。
【0052】
まず、本実施形態に係るアダプター20は、先端部30aに第1凹部30bが設けられているワイパーアーム30にワイパーブレード10を接続するものである。アダプター20は、ワイパーブレード10に設けられているコネクター13に回動可能に支持され、かつ、ワイパーアーム30の先端部30aを着脱可能に収容するホルダー21と、ホルダー21の少なくとも一部を覆うカバー22とを備える。ホルダー21は、ワイパーアーム30の先端部30aを収容しているときに第1凹部30bを外部に露出させる開口部21jを有する。カバー22は、カバー22がホルダー21を覆っているときに開口部21jを貫通して第1凹部30bに係合する第1凸部22gを有する。
【0053】
このアダプター20によれば、ワイパーアーム30の先端部30aがホルダー21に収容されると、ホルダー21に設けられている開口部21jから、先端部30aに設けられている第1凹部30bが外部に露出する。そして、この状態でカバー22がホルダー21を覆うと、カバー22に設けられている第1凸部22gが、開口部21jを貫通して第1凹部30bに係合するので、意図せずにホルダー21からワイパーアーム30が抜けることを抑止することができる。
【0054】
図8は、ワイパーアーム30に接続されたアダプター20の作動範囲を説明するための側面図である。
図8では、アダプター20及びワイパーアーム30の基本姿勢を実線で示している。また、
図8では、何らかの理由によりアダプター20及びワイパーアーム30がワイパーブレード10に対して傾いたとき、すなわち、取付ピン40を回転軸として回動したときの姿勢を二点鎖線で示している。
【0055】
アダプター20では、ワイパーアーム30の抜け止めとして機能する第1凸部22gは、カバー22に設けられている。つまり、アダプター20では、ワイパーアーム30の抜け止めとして機能する部位として、ワイパーブレード10の構成要素は関係しない。そのため、ワイパーブレード10に設けられているコネクター13に対してアダプター20が、コネクター13とアダプター20との接続構造上、最大作動角度θで傾いたとしても、第1凹部30bと第1凸部22gとの係合状態が維持される。つまり、アダプター20がコネクター13に対して最大作動角度θで傾いても、ワイパーアーム30の抜け止め状態は解除されない。ここで、コネクター13とアダプター20との接続構造上の、最大作動角度θとは、取付ピン40を介する回動部位以外で、アダプター20の一部がワイパーブレード10の一部と接触することで、アダプター20の回動が阻害されるときの角度をいう。
図8に示す例では、最大作動角度θは、アダプター20にあるカバー22の側壁の端部が、ワイパーブレード10にあるコネクター13の台座13bと接触することで、アダプター20がそれ以上回動することができないときの角度である。
【0056】
ここで、一般的なワイパー装置では、ワイパーアームに予め形成されている凹部に対して、ワイパーブレードに設けられている凸部が係合することで、ワイパーアームの抜け止めとして機能させることが多い。つまり、一般的なアダプター(又はホルダー)では、ワイパーアームの抜け止めとして機能する部位として、ワイパーブレードの構成要素が関係する。このような構成では、アダプターが回動したときに、作動角度が最大作動角度θに達する前に、ワイパーブレード側の凸部がワイパーアーム側の凹部から外れ、意図せずにワイパーアームがアダプターから抜けてしまうこともあり得る。これに対して、本実施形態に係るアダプター20によれば、第1凹部30bと第1凸部22gとの係合状態は、アダプター20の作動角度に依拠しない。したがって、意図せずにワイパーアーム30がアダプター20から抜けてしまうという事象を予め抑止できるので、結果として、ワイパーブレード10の安全性を向上させることができる。
【0057】
このように、本実施形態によれば、ワイパーブレード10の安全性を向上させるアダプター20を提供することができる。
【0058】
また、アダプター20では、ホルダー21は、ワイパーアーム30の先端部30aが着脱される側とは反対側で、カバー22を回動可能に支持してもよい。
【0059】
このアダプター20によれば、上記のホルダー21側の回転支持部21hとカバー22側の回転軸22dとの係合関係の例示のように、ホルダー21は、先端部30aが着脱される側とは反対側でカバー22を回動可能に支持する。したがって、ワイパーアーム30の抜け止め状態の実施と解除との切り替えに関して、作業者は、単にカバー22の開閉操作のみで作業ができるので、作業性の向上、又は、アダプター20の取り扱いの容易性の点で有利となり得る。
【0060】
また、ワイパーアーム30の先端部30aに、第1凹部30bとは先端部30aの長手方向に沿って離間する第2凹部30cが設けられている場合を想定する。この場合、アダプター20では、ホルダー21は、ワイパーアーム30の先端部30aを収容しているときに第2凹部30cに係合する第2凸部21fを含む弾性変形可能な第1係止爪21eを有してもよい。第1係止爪21eは、第2凸部21fが設けられている側とは反対側に、外部に露出する押下面21mを有してもよい。
【0061】
このアダプター20によれば、先端部30aがホルダー21に収容されると、先端部30aに設けられている第2凹部30cが、第1係止爪21eに含まれる第2凸部21fと係合する。つまり、ワイパーアーム30をホルダー21に対してロック状態とし、ワイパーアーム30がホルダー21から容易に抜けないようにすることができる。
【0062】
一方、第1係止爪21eは、弾性変形可能であるとともに、外部に露出する押下面21mを有するので、作業者は、押下面21mを押すことで、容易にワイパーアーム30のロック状態を解除させ、ホルダー21からワイパーアーム30を抜き出すことができる。
【0063】
また、アダプター20では、カバー22は、カバー22がホルダー21を覆っているときに第1係止爪21eの押下面21mを覆う壁部を有してもよい。
【0064】
ここで、押下面21mを覆うカバー22の壁部とは、上記例示では、第1側壁22aに相当する。このアダプター20によれば、カバー22がホルダー21を覆っている状態では、カバー22の壁部によって押下面21mが覆われるので、外部からは押下面21mを触れることができなくなる。したがって、不用意にワイパーアーム30のロック状態が解除されることを予め抑止することができ、より安全性を向上させることができる。
【0065】
なお、上記説明では、ワイパーアーム30の先端部30aには、第1凹部30bと第2凹部30cとの2つの凹部が存在し、長手方向の先端側にある第1凹部30bが抜け止め用として機能し、奥側にある第2凹部30cがロック用として機能するものとした。これに対して、本実施形態に係るアダプター20は、このような機能の振り分けに対応したものに限られない。例えば、上記例示に対して各々の係合関係がアダプター20の長手方向で反対となるように設定することで、先端側にある第1凹部30bをロック用として機能させ、奥側にある第2凹部30cを抜け止め用として機能させることもできる。
【0066】
また、上記説明では、ワイパーアーム30がいわゆる斜め差込み型アームである場合を例示した。これに対して、本実施形態に係るアダプター20は、ワイパーアーム30が斜め差込み型アームではない場合であっても、上記例示に対して各々の係合部位の形状をワイパーアーム30の形状に合わせて変更することで対応することができる。
【0067】
以上、実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正又は変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び、請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 ワイパーブレード
13 コネクター
20 アダプター
21 ホルダー
21e 第1係止爪
21f 第2凸部
21j 開口部
21m 押下面
22 カバー
22a 第1側壁
22g 第1凸部
30 ワイパーアーム
30a 先端部
30b 第1凹部
30c 第2凹部