(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043551
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】浴槽水汚染度計測装置及び浴槽水汚染報知システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/10 20060101AFI20230322BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20230322BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G01N27/10
A47K3/00 Z
A47K3/00 H
G01N27/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151243
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】波多野 文美
(72)【発明者】
【氏名】富久 大成
【テーマコード(参考)】
2D005
2G060
【Fターム(参考)】
2D005FA00
2G060AA05
2G060AE07
2G060AE10
2G060AF08
2G060AG03
2G060FA01
2G060FA11
2G060FA15
2G060HD03
2G060KA05
(57)【要約】
【課題】利用者の手を煩わせることなく、浴槽水の汚染度を長期に亘り適切に計測することができる浴槽水汚染度計測装置を提供する。
【解決手段】浴槽と熱源機に備えられた浴槽水加熱部との間で浴槽水を循環させる浴槽水循環配管Kに、下向き凹状であり浴槽水を溜めることができる溜まり部35dが備えられており、当該溜まり部35dに、当該溜まり部35dに溜まっている浴槽水の電気伝導率を計測する電気伝導率計60の電極部61が浸漬状態で配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と熱源機に備えられた浴槽水加熱部との間で浴槽水を循環させる浴槽水循環配管に、下向き凹状であり前記浴槽水を溜めることができる溜まり部が備えられており、
当該溜まり部に、当該溜まり部に溜まっている前記浴槽水の電気伝導率を計測する電気伝導率計の電極部が浸漬状態で配置されている浴槽水汚染度計測装置。
【請求項2】
前記浴槽水循環配管は前記浴槽の側壁部に装備された循環アダプタから水平方向に延びている水平管部を有し、
当該水平管部に、前記溜まり部が設けられている請求項1に記載の浴槽水汚染度計測装置。
【請求項3】
前記浴槽水循環配管は前記熱源機の内部において水平方向に延びている水平管部を有し、
当該水平管部に、前記溜まり部が設けられている請求項1に記載の浴槽水汚染度計測装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の浴槽水汚染度計測装置を備えた浴槽水汚染報知システムであって、
前記電気伝導率計により計測された前記浴槽水の電気伝導率又は当該電気伝導率に基づいて算出される総溶解固形物値に基づいて前記浴槽水が汚染されているか否かを判定し、前記浴槽水が汚染されていると判定したときに前記浴槽水が汚染されている旨を報知させる計測制御部が備えられている浴槽水汚染報知システム。
【請求項5】
前記計測制御部は、前記総溶解固形物値が500ppm以上1000ppm以下に定められる閾値を超えたときに前記浴槽水が汚染されていると判定するように構成されている請求項4に記載の浴槽水汚染報知システム。
【請求項6】
前記浴槽水循環配管を通して前記浴槽水を循環させる浴槽水循環ポンプが備えられ、
前記計測制御部は、前記浴槽水循環ポンプにより前記浴槽水循環配管を通して前記浴槽水が循環されているときに、前記電気伝導率計を計測作動させる請求項4又は5に記載の浴槽水汚染報知システム。
【請求項7】
前記浴槽水の水温を計測する水温計測部が備えられ、
前記計測制御部は、前記水温計測部により計測された前記浴槽水の水温が所定の閾値以下であるときに、前記電気伝導率計を計測作動させる請求項4から6のいずれか一項に記載の浴槽水汚染報知システム。
【請求項8】
前記計測制御部は、設定計測時間が経過するごとに、前記電気伝導率計を計測作動させる請求項4から7のいずれか一項に記載の浴槽水汚染報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽水の汚染度を計測する浴槽水汚染度計測装置、及び、前記浴槽水汚染度計測装置が備えられた浴槽水汚染報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の風呂には、特許文献1に示されるような浴室システムが導入されている。当該浴室システムには、一般家庭用の水道管に接続された給水路と、当該給水路からの水を加熱する給湯用加熱部と、当該給湯用加熱部において加熱された湯水を給湯栓に供給する給湯路と、当該給湯路を通る湯水を前記浴槽に供給する湯張路等が備えられており、利用者により湯張り運転が指令されると、利用者の設定湯量、設定温度(例えば、41℃)で浴槽に湯張りがされるように構成されている。
【0003】
さらに当該浴室システムには、浴槽内の浴槽水が循環される浴槽水循環配管と、当該浴槽水循環配管を通して浴槽水を循環させる浴槽水循環ポンプと、前記浴槽水循環配管内を流れる浴槽水を加熱する浴槽水加熱部等が備えられており、利用者により追焚運転が指令されると、前記浴槽水加熱部を加熱作動させた状態で前記浴槽水循環ポンプを作動させることにより追焚運転が実行され、浴槽内の冷めた浴槽水が、利用者の設定温度(例えば、41℃)に昇温されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、入浴のたびに浴槽水を排水し、浴槽を清掃(洗浄)して、新たに湯張りをすると水道代が嵩む。利用者によっては、冷めた浴槽水を追焚運転によって再び入浴に適した設定温度(例えば、41℃)に昇温して再利用することで、浴槽の清掃及び湯張りを省略し、水道代の節約を図ることを行っている。
【0006】
このように追焚運転を利用すれば、浴槽の清掃及び湯張りを省略し、水道代を節約することが可能であるが、同じ浴槽水を使用しつづけると、利用者の汗などの分泌物に含まれるナトリウム、カリウム、皮脂などの不純物の蓄積や雑菌の増殖によって浴槽や浴槽水が次第に汚染される。
【0007】
浴槽水に含まれる不純物や雑菌の量が増えると、つまり浴槽水の汚染度が高くなると、浴槽の清掃や浴槽水の入れ替えを行う必要がある。しかし、当該汚染度の確認は利用者が浴槽や浴槽水を触ってぬめりの程度を確認するなど、利用者の感覚に基づいて行われていたため、浴槽水の汚染度が必ずしも適切に計測されるものではなかった。
つまり、追焚運転を止めて、浴槽を清掃して、新たに湯張りをすることを適切なタイミングにて行うには、浴槽水の汚染度を適切に計測することが望まれるものであった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者の手を煩わせることなく、浴槽水の汚染度を長期に亘り適切に計測することができる浴槽水汚染度計測装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するための、本発明に係る浴槽水汚染度計測装置の特徴構成は、浴槽と熱源機に備えられた浴槽水加熱部との間で浴槽水を循環させる浴槽水循環配管に、下向き凹状であり前記浴槽水を溜めることができる溜まり部が備えられており、当該溜まり部に、当該溜まり部に溜まっている前記浴槽水の電気伝導率を計測する電気伝導率計の電極部が浸漬状態で配置されている点にある。
【0010】
利用者の汗などの分泌物に含まれるナトリウム、カリウム、皮脂などの不純物の量に応じて浴槽水の電気伝導率は変化する関係にある。詳しくは、浴槽水に含まれる不純物の量と電気伝導率とは比例関係にあり、不純物が少ないと電気伝導率は低く不純物が多いと電気伝導率は高くなる。そのため、浴槽水の電気伝導率は浴槽水の汚染度を表すこととなる。
【0011】
上述の構成によると、電気伝導率計を設けてあるから、電気伝導率計による電気伝導率にて、浴槽水の汚染度を適切に計測できる。
このように、浴槽水の汚染度を適切に計測できるため、利用者が浴槽や浴槽水を触ってぬめりの程度を確認する作業が不要である。
また、当該電気伝導率計を、例えば浴槽内に固定的に配置する構成であるとしたら、入浴や清掃の邪魔であるという不都合があり、例えば電気伝導率計を電気伝導率の計測のたびに浴槽内に移動配置させるような構成であるとしたら、電気伝導率計の取り扱いに注意を要し、また電気伝導率を計測しないときに電気伝導率計を保管する場所が必要となってしまうという不都合がある。上述の構成によると、電気伝導率計は浴槽水循環配管に配置されていることから、入浴や浴槽の清掃の邪魔になることがなく、さらに電気伝導率計の取り扱いや、保管する場所が不要であるため、利用者の手を煩わせることがない。
【0012】
浴槽水循環配管は、浴槽から浴槽水が排出される等により、浴槽水が排水される状態がもたらされる場合があるが、電気伝導率計の電極部は、浸漬状態で使用することを前提としており、浴槽水循環配管の中から浴槽水が排水されてしまったときに、電極部が空気に曝され乾燥してしまうと性能が劣化する虞がある。上述の構成によると、浴槽水循環配管の中から浴槽水が排水されたときであっても、電極部は溜まり部に溜められている浴槽水に浸漬させられた状態が維持される。これにより、電極部の乾燥が回避されることとなり、電気伝導率計の性能の劣化を回避することができる。したがって、当該浴槽水の汚染度を長期に亘り適切に計測することができる。
【0013】
すなわち上述の構成によれば、利用者の手を煩わせることなく、浴槽水の汚染度を長期に亘り適切に計測することができる。
【0014】
本発明に係る浴槽水汚染度計測装置の更なる特徴構成は、前記浴槽水循環配管は前記浴槽の側壁部に装備された循環アダプタから水平方向に延びている水平管部を有し、当該水平管部に、前記溜まり部が設けられている点にある。
【0015】
上述の構成によると、溜まり部は水平管部の底部を下向き凹状にするという簡素な形態で実現することができる。
さらに、上述の構成によると、溜まり部は、循環アダプタから水平方向に延びている水平管部に設けられていることから、浴槽の近くにおいて当該浴槽から流れ出た浴槽水を溜めることできる。したがって、電気伝導率計により計測された溜まり部の浴槽水の電気伝導率は、浴槽内の浴槽水の汚染度を精度よく表したものとみなすことができる。
【0016】
本発明に係る浴槽水汚染度計測装置の更なる特徴構成は、前記浴槽水循環配管は前記熱源機の内部において水平方向に延びている水平管部を有し、当該水平管部に、前記溜まり部が設けられている点にある。
【0017】
上述の構成によると、溜まり部は水平管部の底部を下向き凹状にするという簡素な形態で実現することができる。
さらに、上述の構成によると、溜まり部が熱源機の内部に設けられていることから、電気伝導率計が熱源機の内部に設けられることになる。したがって、例えば、電源から電気伝導率計への給電線を、電源から熱源機への給電線のルートを利用して配線したり、電気伝導率計からの通信線を当該熱源機の内部に配線したりすることができるので、電気伝導率計が熱源機の外部に設けられる場合よりも配線の取り回しが簡素である。
つまり、電気伝導率計が熱源機の外部に設けられる場合は、電源から電気伝導率計への給電線を熱源機への給電線のルートとは別に配線し、電気伝導率計からの通信線を熱源機の外部において所望の箇所にまで配線する必要がある等、配線の取り回しが複雑となるが、これを回避することができる。
【0018】
上述の目的を達成するための、本発明に係る浴槽水汚染報知システムの特徴構成は、上述した少なくともいずれかの特徴構成を有する浴槽水汚染度計測装置を備えた浴槽水汚染報知システムであって、前記電気伝導率計により計測された前記浴槽水の電気伝導率又は当該電気伝導率に基づいて算出される総溶解固形物値に基づいて前記浴槽水が汚染されているか否かを判定し、前記浴槽水が汚染されていると判定したときに前記浴槽水が汚染されている旨を報知させる計測制御部が備えられている点にある。
【0019】
計測制御部は、浴槽水が汚染されていると判定するための指標として、電気伝導率又は総溶解固形物値を用いることができる。なお、総溶解固形物値とは、電気伝導率計により計測された電気伝導率に所定の係数を掛けて算出されるものであり、浴槽水に含まれる不純物等の含有率(ppm)を示す。
【0020】
上述の構成によると、計測制御部は、電気伝導率計により計測された浴槽水の電気伝導率又は当該電気伝導率に基づいて算出される総溶解固形物値に基づいて、浴槽水が汚染されているか否かを判定し、当該浴槽水が汚染されていると判定したときに、当該浴槽水が汚染されている旨を報知させる。
したがって、当該報知により、利用者に浴槽の清掃や浴槽水の入れ替えを促すことができるから、利用者は当該報知に基づいて浴槽の清掃や浴槽水の入れ替えをすればよい。
【0021】
本発明に係る浴槽水汚染報知システムの更なる特徴構成は、前記計測制御部は、前記総溶解固形物値が500ppm以上1000ppm以下に定められる閾値を超えたときに前記浴槽水が汚染されていると判定するように構成されている点にある。
【0022】
上述の構成によると、計測制御部は、総溶解固形物値が500ppm以上1000ppm以下に定められる閾値を超えたときに浴槽水が汚染されていると判定し、そして汚染されている旨を報知するため、適切なタイミングで浴槽の清掃や浴槽水の入れ替えが促される。なお、総溶解固形物値が上記範囲に定められた閾値を超えてくると、例えば浴槽水循環配管に耐用年数を縮める原因となるスケールが発生する虞があるが、上記のように適切なタイミングで浴槽の清掃や浴槽水の入れ替えが促されるため、当該スケールの発生の虞も回避することができる。
【0023】
本発明に係る浴槽水汚染報知システムの更なる特徴構成は、前記浴槽水循環配管を通して前記浴槽水を循環させる浴槽水循環ポンプが備えられ、前記計測制御部は、前記浴槽水循環ポンプにより前記浴槽水循環配管を通して前記浴槽水が循環されているときに、前記電気伝導率計を計測作動させる点にある。
【0024】
上述の構成によると、浴槽水循環ポンプにより浴槽水循環配管を通して浴槽水が循環させられることから、溜まり部において計測される浴槽水の電気伝導率は、浴槽内の浴槽水の汚染度の実態と極めて近いものとなる。つまり、浴槽水循環配管に浴槽水を循環させていないときには、浴槽内に張られている浴槽水と、溜まり部に溜められている浴槽水とでは、浴槽内の浴槽水と溜まり部の浴槽水との容量の違いなどに起因して雑菌の増殖の程度が異なるため、溜まり部の浴槽水の電気伝導率が、浴槽内の浴槽水の汚染度の実態から乖離したものとなっている虞があるが、このような虞を回避することができる。
【0025】
本発明に係る浴槽水汚染報知システムの更なる特徴構成は、前記浴槽水の水温を計測する水温計測部が備えられ、前記計測制御部は、前記水温計測部により計測された前記浴槽水の水温が所定の閾値以下であるときに、前記電気伝導率計を計測作動させる点にある。
【0026】
上述の構成によると、水温計測部により計測された浴槽水の水温が所定の閾値(例えば30℃)以下であるときに、電気伝導率計が電気伝導率を計測することになるため、当該計測された電気伝導率は、浴槽内の浴槽水の汚染度の実態と近いものとなる。
つまり、電気伝導率計によって計測される電気伝導率は水温の変化により変動する傾向にあり、例えば、水温が所定の閾値よりも高温であるときに計測された電気伝導率は浴槽水の汚染度の実態から異なる虞があるが、このような虞を回避することができる。
【0027】
本発明に係る浴槽水汚染報知システムの更なる特徴構成は、前記計測制御部は、設定計測時間が経過するごとに、前記電気伝導率計を計測作動させる点にある。
【0028】
浴槽水の電気伝導率は、時間の経過とともに雑菌が増殖するなどするため変化し得る。そのため、ある時刻において電気伝導率が低くても、ある程度時間が経過したときには電気伝導率が高くなっている場合もある。上述の構成によると、設定計測時間が経過するごとに、電気伝導率計が浴槽水の電気伝導率を計測することになるため、時間の経過により変化する電気伝導率を適切に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】浴室システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】電気伝導率計が設けられている箇所の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(浴室システムの全体構成)
図1に示すように、浴室システムは、浴槽1と、給湯栓2と、熱源機Gと、その熱源機Gの運転等を制御する運転制御部Cと、当該運転制御部Cに各種制御指令を指令するリモコンR(メインリモコンR1、浴室リモコンR2)等を備えている。
なお、メインリモコンR1は台所の近くの壁面等に設けられ、浴室リモコンR2は浴室Yの内部の浴槽1の近くの壁面等に設けられている。
【0032】
本実施形態においては、運転制御部Cは、メインリモコンR1や浴室リモコンR2の指令に基づいて、熱源機Gの作動を制御して、湯水を浴槽1や給湯栓2に供給する湯水供給処理(一般給湯処理、湯張処理)、浴槽1の浴槽水を追焚きする追焚処理を実行する。
【0033】
一方、後述する計測制御部E(
図2参照)は、電気伝導率計60を制御して浴槽1の浴槽水の電気伝導率を計測する計測処理させ、計測結果に基づいて浴槽水が汚染されているか否かを判定する判定処理を実行し、判定処理において浴槽水が汚染されていることを判定した場合に、報知信号を運転制御部Cを経由してメインリモコンR1及び浴室リモコンR2に送信する送信処理を実行する。なお、報知信号を受信したメインリモコンR1や浴室リモコンR2は、汚染の旨を報知する報知処理を実行する。
【0034】
(熱源機の構成)
熱源機Gは、一般家庭用の水道管に接続された給水路4からの水を加熱して、加熱後の湯水を、給湯路5を介して浴槽1や給湯栓2に供給する給湯用加熱部A、及び、浴槽1の浴槽水を追焚する浴槽水加熱部Dを備えている。給湯路5には、当該給湯路5を通る湯水を浴槽1に供給する湯張路6が、給湯路5から分岐する状態で設けられている。
【0035】
(給湯用加熱部及び浴槽水加熱部の構成)
給湯用加熱部Aは、入口側に給水路4が接続され且つ出口側に給湯路5が接続される給湯用熱交換器8、当該給湯用熱交換器8を加熱する給湯用バーナ9、及び、当該給湯用バーナ9に燃焼用空気を供給する給湯用送風ファン10を備えている。給湯用バーナ9には、都市ガス等の燃料ガスを供給する給湯側ガス供給路16が接続されており、給湯用熱交換器8を通る水を給湯用バーナ9の燃焼ガスにより加熱するように構成されている。
【0036】
浴槽水加熱部Dは、浴槽1と当該浴槽水加熱部Dとの間で浴槽水を循環させる浴槽水循環配管Kの浴槽水戻り路35が入口側に接続され且つ浴槽水循環配管Kの浴槽水往き路36が出口側に接続される追焚用熱交換器51、当該追焚用熱交換器51を加熱する追焚用バーナ52、及び、当該追焚用バーナ52に燃焼用空気を供給する追焚用送風ファン53を備えている。追焚用バーナ52には、都市ガス等の燃料ガスを供給する追焚側ガス供給路17が接続されており、追焚用熱交換器51を通る浴槽水を追焚用バーナ52の燃焼ガスにより加熱するように構成されている。
【0037】
給湯側ガス供給路16及び追焚側ガス供給路17には、燃料ガス供給量を調整する電磁式のガス比例弁18、燃料ガスの供給を断続する断続弁19が設けられている。
【0038】
(一般給湯用構成)
給水路4には、給水温度を検出する給水サーミスタ20、及び、給水量を検出する水量センサ21が設けられている。給水路4において、給水サーミスタ20及び水量センサ21よりも下流側の箇所は、給湯用熱交換器8を迂回する給水バイパス路22により、給湯路5に接続されている。
【0039】
給湯路5と給水バイパス路22との接続箇所には、給湯用熱交換器8からの湯量と給水バイパス路22からの水量との混合比を調整するミキシング弁23が設けられている。給湯路5において、給水バイパス路22の接続箇所よりも上流側には、給湯用熱交換器8から送出される湯水の温度を検出する出湯サーミスタ24が設けられ、給水バイパス路22の接続箇所よりも下流側には、上流側から順に、ミキシング弁23において混合された後の湯水の温度を検出する給湯サーミスタ25、湯水の量を調整する水比例弁26、及び、一般給湯の割込みを検出する割込み検出用水量センサ27が設けられている。
【0040】
(追焚用構成)
浴槽1の底面付近の側壁部には循環アダプタHが装備されており、当該循環アダプタHには、浴槽水循環配管Kの浴槽水戻り路35、及び、浴槽水循環配管Kの浴槽水往き路36が接続されている。なお、浴槽水戻り路35及び浴槽水往き路36は、熱源機Gの内部に位置する管路部分と、熱源機Gの外部に位置する管路部分とから構成される。
【0041】
浴槽水戻り路35には、上流側から順に、当該浴槽水戻り路35を通る浴槽水の温度を検出する浴槽水温度検出センサ38、浴槽水戻り路35を通る浴槽水の圧力を検出することによって浴槽1の水位を検出する水位センサ39、水流スイッチ40、及び、浴槽水循環ポンプ37が設けられている。
【0042】
一方、浴槽水往き路36には、追焚用熱交換器51において加熱された浴槽水の温度を検出する浴槽往温検出センサ(本発明に係る水温計測部の一例)47が設けられている。
【0043】
運転制御部Cが浴槽水循環ポンプ37を作動させることにより、浴槽1の内部に貯留された浴槽水は浴槽水戻り路35を通って追焚用熱交換器51に供給され、追焚用熱交換器51において加熱された浴槽水は浴槽水往き路36を通って浴槽1へと供給される。このようにして浴槽1内の浴槽水の追焚きが行われる。
【0044】
(湯張用構成)
給湯路5から分岐した湯張路6は、浴槽水戻り路35における浴槽水循環ポンプ37の下流側に接続されている。この湯張路6には、上流側から順に、湯張路6を開閉する湯張電磁弁42、空気層形成用ホッパ44、及び、湯張逆止弁43が設けられている。空気層形成用ホッパ44には、湯水を排水する排水路45と、その排水路45を開閉する電磁式の排水弁46とが設けられている。排水路45は、浴槽水戻り路35における浴槽水循環ポンプ37と水流スイッチ40との間の箇所に接続されている。
【0045】
湯張電磁弁42を開弁すると、給湯用加熱部Aにおいて加熱された湯水が、湯張路6を介して浴槽水戻り路35に供給され、浴槽水戻り路35に供給された湯水が、浴槽水循環ポンプ37の上流側及び下流側に流れ、したがって浴槽水往き路36及び浴槽水戻り路35を通って浴槽1に供給される。
【0046】
(熱源機の運転制御)
上述のように、熱源機Gは、湯水供給処理として、加熱した湯水を給湯栓2に供給する一般給湯処理及び加熱した湯水を浴槽1に供給する湯張処理を実行し、また、浴槽1の浴槽水を追焚きする追焚処理を実行するように構成されている。
【0047】
すなわち、運転制御部Cが、メインリモコンR1や浴室リモコンR2の指令情報、及び、熱源機Gが装備したセンサ類の検出情報に基づいて、熱源機Gが装備した機器類を作動させて、一般給湯処理に対応する一般給湯運転、湯張処理に対応する自動湯張運転、及び、追焚処理に対応する追焚運転を実行するように構成されている。
また、運転制御部Cが、これらの運転に加えて、足し湯運転、自動湯張運転に続いて行うキープ運転を実行するように構成されている。
【0048】
メインリモコンR1及び浴室リモコンR2は、同様の構成を有するものであり、当該浴室システムの運転の開始と停止を指令する運転スイッチ、自動湯張運転を指令する風呂自動スイッチ、一般給湯温度を設定する給湯温度設定スイッチ、設定湯張温度としての目標湯張温度を設定する浴槽温度設定スイッチ、浴槽内水位の設定水位としての目標水位を設定する水位設定スイッチ、浴槽1に追加で湯張り給湯する足し湯運転を指令する足し湯スイッチ、追焚運転を指令する追焚スイッチ、設定温度等の各種情報を表示する表示部、端末加熱運転の開始を指令する端末運転スイッチ、湯張りや追焚が終了したことを報知する液晶表示式の報知部50、49を備えている。
【0049】
(運転制御の概要)
運転制御部Cは、運転スイッチが操作されると制御可能な状態になり、給湯栓2が開操作されると給湯栓2から湯水を給湯する一般給湯運転を実行する。また、運転制御部Cは、風呂自動スイッチがオン操作されて自動湯張運転が指令されると、浴槽1の浴槽水の温度が目標湯張温度になり且つ浴槽1の浴槽水の水位が目標水位になるように湯張する自動湯張運転を実行する。
【0050】
運転制御部Cは、湯張がされたあとであっても自動湯張運転が指令されている間は、設定されたキープ運転周期(例えば、10分)毎に、浴槽1の浴槽水が目標湯張温度、且つ、目標水位に維持されるように、浴槽水の追焚や湯水の追加供給をするキープ運転を実行する。
【0051】
また、運転制御部Cは、キープ運転中において、追焚スイッチが操作されて追焚運転が指令された場合や、風呂自動スイッチのオフ操作により自動湯張運転が解除され、したがってキープ運転が停止された状態において、追焚スイッチが操作されて追焚運転が指令された場合には、追焚運転を実行する。さらに、運転制御部Cは、キープ運転中や、キープ運転が停止された状態において、足し湯スイッチにより足し湯運転が指令されると足し湯運転を実行するように構成されている。
【0052】
以下、一般給湯運転、自動湯張運転、及び、追焚運転ついて説明を加える。
【0053】
(一般給湯運転)
運転制御部Cは、給湯栓2が開かれて水量センサ21による検出水量が所定量以上になると、一般給湯運転(一般給湯処理)を実行する。
一般給湯運転においては、給湯用加熱部Aにおける給湯用送風ファン10を駆動した後、断続弁19を開弁してイグナイタにより給湯用バーナ9に点火し、給湯温度設定スイッチによる一般給湯温度、水量センサ21の検出水量、給水サーミスタ20の検出水温、出湯サーミスタ24の検出温度及び給湯サーミスタ25の検出温度に基づいて、給湯サーミスタ25の検出温度が給湯温度設定スイッチにて設定された一般給湯温度になるように、ガス比例弁18の開度及びミキシング弁23の開度を調節する処理が実行される。
そして、水量センサ21により通水が検出されなくなると、断続弁19を閉弁して給湯用バーナ9の燃焼を停止し、給湯用送風ファン10を停止して、一般給湯運転が終了されることになる。
【0054】
(自動湯張運転)
運転制御部Cは、風呂自動スイッチにて湯張りが指示されると、自動湯張運転を実行する。自動湯張運転では、湯張給湯運転と判定処理とを繰り返し実行する。
湯張給湯運転では、湯張電磁弁42を開弁し、且つ、上述の一般給湯運転と同様に給湯用バーナ9に点火し、浴槽温度設定スイッチにて設定された目標湯張温度、水量センサ21の検出水量、給水サーミスタ20の検出水温、出湯サーミスタ24の検出温度及び給湯サーミスタ25の検出温度に基づいて、給湯サーミスタ25の検出温度が目標湯張温度になるように、ガス比例弁18の開度及びミキシング弁23の開度を調節し、そして、湯張給湯運転を停止する際には、湯張電磁弁42を閉弁し、且つ、給湯用バーナ9の燃焼を停止するように構成されている。
【0055】
判定処理においては、循環判定用設定時間の間、排水弁46を閉弁した状態で浴槽水循環ポンプ37を作動させて、その浴槽水循環ポンプ37の作動中において、水流スイッチ40の検出情報を読み込んで、浴槽水の存否を確認する。
そして、水流スイッチ40が水流を検出することを条件として、浴槽水循環ポンプ37を停止させた後、待機用設定時間が経過すると、水位センサ39の検出情報を読み込んで、浴槽内水位を検出するように構成されている。
【0056】
つまり、自動湯張運転では、浴槽1に湯を注湯用設定時間に亘り供給する湯張給湯運転と上述の判定処理を交互に実行する処理を、水位センサ39の検出水位が目標水位以上になるまで繰り返すことになる。ちなみに、本実施形態では、水位センサ39の検出水位が目標水位以上になると、追焚運転により、浴槽水の温度が目標湯張温度以上になるように昇温するようにした後、自動湯張運転を終了する。
【0057】
(追焚運転)
運転制御部Cは、追焚スイッチが操作されると追焚運転を実行する。
追焚運転では、排水弁46を閉弁した状態で浴槽水循環ポンプ37を作動させ、その後、設定経過時間(例えば、10秒)経過すると、浴槽水温度検出センサ38の検出温度を読み込む。ちなみに、浴槽水循環ポンプ37を作動させた際に、水流スイッチ40にて循環される浴槽水が検出されない場合には、追焚運転を中止する。
【0058】
浴槽水温度検出センサ38の検出温度が目標湯張温度よりも低い場合は、浴槽水循環ポンプ37を作動させて、浴槽1内の湯水を浴槽水戻り路35及び浴槽水往き路36を通して循環させ、それに併せて、浴槽水加熱部Dにおける追焚用送風ファン53を駆動した後、断続弁19を開弁してイグナイタにより追焚用バーナ52を点火することになり、さらには、浴槽往温検出センサ47の検出温度が追焚用設定出湯温度(例えば60℃)になるように、ガス比例弁18の開度を調節して、浴槽水を加熱する。
【0059】
そして、浴槽水温度検出センサ38の検出温度が目標湯張温度以上になると、その時点から設定追加時間(例えば、30秒)の間、浴槽水の加熱を継続した後、断続弁19を閉弁させて追焚用バーナ52の燃焼を停止させ、追焚用送風ファン53を停止させて追焚運転を終了する。
【0060】
(電気伝導率計測構成)
浴槽水戻り路35における熱源機Gの内部に位置する管路部分に、当該浴槽水戻り路35を通る浴槽水の電気伝導率を計測する電気伝導率計60が設けられている。
具体的には、浴槽水戻り路35における熱源機Gの内部に位置する管路部分は、水平方向に浴槽水を流す水平管部を有しており、
図2に示すように、当該水平管部の管内壁面のうち底部には当該管内壁面よりも下方に窪んだ、下向き凹状で浴槽水を溜めることができる溜まり部35dを有している。当該溜まり部35dに、電気伝導率計60の計測用の電極部61が水平管部の管内壁面のうちの底部よりも低く位置し且つ溜まり部35dの底部よりも上方に位置する態様により設けられている。したがって、電極部61は溜まり部35dに溜まっている浴槽水に浸漬状態で配置されている。
本実施形態における、電気伝導率計60、溜まり部35d及び当該溜まり部35dにおける電極部61の浸漬状態での配置が、本発明に係る浴槽水汚染度計測装置を構成する。
【0061】
電気伝導率計60は、電極部61に通電し浴槽水の電気伝導率を計測する計測部62を計測用ハウジング60Aの内部に備えている。つまり、本実施形態では、計測用ハウジング60A、電極部61及び計測部62から電気伝導率計60が構成されている。
また、本実施形態では、計測用ハウジング60Aの内部に、計測制御部E及び計測用通信部63が備えられている。
【0062】
(報知構成の詳細)
運転制御部Cは、計測用通信部63との間やメインリモコンR1及び浴室リモコンR2との間で通信を行う通信部(図示を省略)を備え、メインリモコンR1及び浴室リモコンR2は、メインリモコンR1及び浴室リモコンR2との間で通信を行う通信部(図示を省略)を備えている。
【0063】
計測制御部Eは、設定計測時間(例えば、1時間)が経過する毎に(つまり、設定計測周期毎に)計測指令を計測部62に指令して、電気伝導率計60に浴槽1の浴槽水の電気伝導率を計測させる計測処理を実行し、その計測結果に基づいて浴槽水が汚染されているか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、計測制御部Eは、判定処理において浴槽水が汚染されていることを判定した場合には、報知信号を計測用通信部63から運転制御部Cに通信する送信処理を実行し、運転制御部Cが報知信号をメインリモコンR1及び浴室リモコンR2に送信する。
つまり、計測制御部Eからの報知信号は、運転制御部Cを経由してメインリモコンR1及び浴室リモコンR2に送信されるように構成されている。
【0064】
本実施形態においては、計測制御部Eは、浴槽水の汚染度として、電気伝導率計60により計測した電気伝導率に基づいて、総溶解固形物(Total Dissolved Solids:TDS)値を算出するように構成されている。総溶解固形物値は、計測された電気伝導率(μS/cm)に、電気伝導率計60のメーカごとに定められている換算係数(0.44~1.0)を積算することによって得られる値であって、当該総溶解固形物値は浴槽水の不純物の含有率(ppm)を示す。
【0065】
計測制御部Eは、総溶解固形物値と所定の閾値(本実施形態においては1000ppm)とを比較し、総溶解固形物値が1000ppmを超えているときは、浴槽水が汚染されていると判定し、1000ppm以下であるときは、浴槽水は汚染されていないと判定する。
そして、計測制御部Eは、浴槽水が汚染されていると判定すると、上述の如く、報知信号を、運転制御部Cを経由してメインリモコンR1及び浴室リモコンR2に送信する。
【0066】
メインリモコンR1及び浴室リモコンR2は、報知信号を受信すると、報知部50、49により、浴槽水が汚染されている旨を利用者に報知させる報知処理を実行ように構成されている。
当該報知により利用者は浴槽の清掃や浴槽水の入れ替えが必要なことを知ることができる。
ちなみに、報知部50、49にて報知させる内容としては、例えば、「浴槽水が汚染されています」等のコメントを表示させることが好ましい。
【0067】
本実施形態においては、電気伝導率計60による電気伝導率の計測は、運転制御部Cが浴槽水循環ポンプ37を作動させているときに行うように構成されている。具体的には、計測制御部Eは、計測指令を計測部62に指令することに先立って、循環指令を運転制御部Cに指令する。
運転制御部Cは、循環指令が指令されると、浴槽水加熱部Dの加熱作動を停止させた状態で、設定計測時間に亘って浴槽水循環ポンプ37を作動させる計測用循環処理を実行するように構成されている。
【0068】
また、本実施形態においては、浴槽水の水温の値が所定の閾値(例えば、30℃)以下であるときに、電気伝導率計60による浴槽水の電気伝導率の計測を行うように構成されている。
つまり、上述した計測用循環処理を実行した際に、浴槽水温度検出センサ38によって計測された浴槽水の水温の値が、運転制御部Cから計測制御部Eに通信される。
計測制御部Eは、浴槽水の水温の値が所定の閾値(例えば、30℃)以下であるときに、電気伝導率計60により浴槽水の電気伝導率の計測を行ない、浴槽水の水温の値が所定の閾値(例えば、30℃)を超えているときには、電気伝導率計60による浴槽水の電気伝導率の計測を実行しないように構成されている。
なお、浴槽水温度検出センサ38によって計測された浴槽水の水温の値を、運転制御部Cを介することなく、計測制御部Eに直接入力させる形態で実施してもよい。
【0069】
本実施形態においては、電気伝導率計60、計測制御部E、報知部50を有するメインリモコンR1、報知部49を有する浴室リモコンR2、及び、運転制御部Cを主要部として、本発明に係る浴槽水汚染報知システムが構成される。
【0070】
〔その他の別実施形態〕
以下に、その他の別実施形態を説明する。
(1)上記実施形態においては、浴槽水戻り路35が、熱源機Gの内部において水平方向に延びている水平管部を有し、溜まり部35dが当該水平管部に設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。浴槽水戻り路35が、浴槽1の側壁部に装備された循環アダプタHから水平方向に延びている水平管部を有し、溜まり部が当該水平管部に設けられていてもよい。したがって、この場合は、
図1に示すように、浴槽水戻り路35における熱源機Gの外部に位置する管路部分に、当該浴槽水戻り路35を通る浴槽水の電気伝導率を計測する電気伝導率計60´が設けられる。
【0071】
(2)上記実施形態においては、溜まり部35dは、浴槽水戻り路35において水平方向に延びる水平管部に設けられていたが、これに限定されるものではない。溜まり部35dは、浴槽水戻り路35において垂直方向に延びる垂直管部に設けられていてもよい。例えば、浴槽水戻り路35の垂直管部に、水平方向に向けて開口する孔部を形成し、この孔部に連通しかつこの孔部より下方に位置する状態で溜まり部35dを設けることが考えられる。
【0072】
(3)上述の実施形態においては、総溶解固形物値の閾値が1000ppmである場合について説明したが、当該閾値は、これに限定されるものではない。例えば、当該閾値を500ppmとすることにより、1000ppmであるときよりも汚染度が低いときであっても当該浴槽水が汚染されていると判断するようにもできる。このような閾値は500以上1000ppm以下に定められると好ましい。なお、当該閾値を2000ppmとすることにより、1000ppmであるときよりも汚染度が高いときに当該浴槽水が汚染されていると判断するようにもできる。閾値は一つであってもよいし、複数設けられていてもよい。当該閾値が複数設けられる場合には、汚染を段階的に判定し、報知することもできる。さらに、当該閾値は可変であってよく、具体的な数値は任意に設定可能であってもよい。閾値の設定においては、メインリモコンR1や浴室リモコンR2において利用者が手動で入力できるような態様であってもよい。
【0073】
(4)上述の実施形態においては、計測制御部Eが、電気伝導率計60の計測用ハウジング60Aの内部に備えられる構成について説明したが、これに限定されるものではない。
計測制御部Eを、熱源機GやリモコンR(メインリモコンR1、浴室リモコンR2)に備えさせる形態で実施してもよい。
また、計測制御部Eを熱源機Gに備えさせる場合には、運転制御部Cにて計測制御部Eを構成する形態で実施してもよい。
【0074】
(5)上述の実施形態においては、計測制御部Eからの報知信号が、運転制御部Cを経由してメインリモコンR1及び浴室リモコンR2へと通信される場合を例示したが、計測制御部Eからの報知信号を、メインリモコンR1及び浴室リモコンR2へと直接的に通信する形態で実施してもよい。
【0075】
(6)上述の実施形態においては、メインリモコンR1や浴室リモコンR2に設けられている報知部50、49により汚染の旨が報知される構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、リモコンR(メインリモコンR1及び浴室リモコンR2)との間で、無線LAN又はインターネットを介して通信されるスマートフォンが存在する場合には、スマートフォンにインストールされたアプリにより汚染の旨が報知される構成であってもよい。その際、計測時刻等と紐づけられた態様により汚染の旨が報知されるように構成されていてもよい。また、アプリによる報知は、当該アプリの起動により当該報知を確認できるものであってもよいし、プッシュ通知などによって当該報知を確認できるものであってもよい。
ちなみに、報知信号をスマートフォンに送信する場合において、電気伝導率計60の計測用ハウジング60Aに備えられた計測用通信部63から、リモコンRを経由することなく、無線LAN又はインターネットを介してスマートフォンに直接的に通信する形態で実施してもよい。
【0076】
(7)上記実施形態においては、電気伝導率計60は、浴槽水循環配管Kの浴槽水戻り路35に設けられていたが、これに限定されるものではない。電気伝導率計60は、浴槽水循環配管Kの浴槽水往き路36に設けられていてもよい。その際、電気伝導率計60を設ける場所については、浴槽水戻り路35に設ける場合についてした上記説明を援用することができる。
【0077】
(8)上記実施形態においては、計測制御部Eは、電気伝導率計60が計測した電気伝導率に基づいて算出された総溶解固形物値に基づいて浴槽水の汚染を判定する構成について説明したが、これに限定されるものではない。計測制御部Eは、電気伝導率計60が計測した浴槽水の電気伝導率から浴槽水の汚染を判定してもよい。
【0078】
(9)上記実施形態においては、追焚用バーナ52にて加熱される追焚用熱交換器51と給湯用バーナ9にて加熱される給湯用熱交換器8とが別個に設けられる形態を例示したが、追焚用熱交換器51と給湯用熱交換器8が、一つのフィンチューブ式の熱交換器として一体に形成されて、共通の加熱バーナの燃焼ガスにて加熱される形態で実施してもよい。または、暖房用の熱媒を床暖房パネル、浴室暖房乾燥機等の熱消費端末に循環供給する熱媒供給処理を行うような構成がさらに備えられていてもよい。
【0079】
(10)上記実施形態においては説明しなかったが、給湯路5における給湯栓2の近傍箇所と給水路4とを接続する即湯戻り路及び即湯用ポンプを備えて、給湯栓2が閉められているときに、給湯用熱交換器8に加熱しながら即湯用ポンプにて湯水を循環させる、いわゆる、即湯形態で実施してもよい。
【0080】
(11)上記実施形態においては、給湯用加熱部Aは熱交換器として給湯用熱交換器8のみを備え、浴槽水加熱部Dは熱交換器として追焚用熱交換器51のみを備えている浴室システムに本発明に係る浴槽水汚染度計測装置及び浴槽水汚染報知システムが適用されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。本発明に係る浴槽水汚染度計測装置及び浴槽水汚染報知システムは、給湯用加熱部Aが一次熱交換器としての給湯用熱交換器8に加えて二次熱交換器としての熱交換器をさらに備え、浴槽水加熱部Dは一次熱交換器としての追焚用熱交換器51に加えて二次熱交換器としての熱交換器をさらに備えて、排気ガスの潜熱を回収して熱効率をさらに向上させた潜熱回収式の浴室システムにも適用することができる。
【0081】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 :浴槽
35 :浴槽水戻り路
35d :溜まり部
37 :浴槽水循環ポンプ
60 :電気伝導率計
60´ :電気伝導率計
61 :電極部
62 :計測部
D :浴槽水加熱部
E :計測制御部
G :熱源機
H :循環アダプタ
K :浴槽水循環配管