(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004359
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】建設機械の足場構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20230110BHJP
E02F 9/08 20060101ALI20230110BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20230110BHJP
B60R 3/00 20060101ALI20230110BHJP
B66C 23/26 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
E02F9/16 G
E02F9/08 Z
E02F9/00 Z
B60R3/00
B66C23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105983
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮野 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】和田 一朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
【テーマコード(参考)】
2D015
3D022
3F205
【Fターム(参考)】
2D015EA00
3D022AA02
3D022AC10
3D022AD01
3D022AE03
3F205AA07
(57)【要約】
【課題】足場部材の着脱作業を容易に行うことができ、過大な負荷が作用しても足場部材が取り外せなくなるおそれのない建設機械の足場構造を提供する。
【解決手段】足場ブラケット40と支持ブラケット50の上側係合部70,80は、一方が前後方向に延びる上側軸部52、他方が凹部81であり、上側係合部70を上側係合部80に上方から引っ掛けると、上側軸部が上側凹部に嵌まることによって足場ブラケット40が支持ブラケット50に上側軸部52の軸心回りに回動可能に支持される上側係合状態となる。足場ブラケット40と支持ブラケット50の下側係合部75,85は、上側係合部70,80が上側係合状態にあるときに、足場ブラケット40を上側軸部52の軸心X回りに第1の方向に回動させると、下側係合部75が下側係合部85に当接して足場ブラケット40の第1の方向への回動と上方への移動とが規制される下側係合状態となる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の上部旋回体のフレームの前後方向に延びる側部と、該フレームの側部から外方に張り出すように設けられる足場部材とを備える建設機械の足場構造であって、
上記フレームの側部から外方に延び、上記足場部材が固定される足場ブラケットと、
上記フレームの側部に取り付けられ、上記足場ブラケットの基端部を支持する支持ブラケットとを備え、
上記足場ブラケットの基端部は、第1上側係合部と第1下側係合部とを有し、
上記支持ブラケットは、上記第1上側係合部と係合する第2上側係合部と、上記第1下側係合部と係合する第2下側係合部とを有し、
上記第1及び第2上側係合部は、
一方が上記前後方向に延びる上側軸部で、他方が該上側軸部が嵌まる上側凹部であり、
上記第1上側係合部を上記第2上側係合部に上方から引っ掛けると、上記上側軸部が上記上側凹部に嵌まることによって上記足場ブラケットが上記支持ブラケットに上記上側軸部の軸心回りに回動可能に支持される上側係合状態となるように構成され、
上記第1及び第2下側係合部は、上記第1及び第2上側係合部が上記上側係合状態にあるときに、上記足場ブラケットを上記上側軸部の軸心回りに上記足場ブラケットの先端部が降下する第1の方向に回動させると、上記足場部材が上記フレームの側部から外方に張り出す位置において上記第1下側係合部が上記第2下側係合部に当接して上記足場ブラケットの上記第1の方向への回動と上方への移動とが規制される下側係合状態となるように構成されている
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の足場構造において、
上記第1及び第2上側係合部が上記上側係合状態で且つ上記第1及び第2下側係合部が上記下側係合状態であるときに、上記足場ブラケットの上記第1の方向と逆方向の第2の方向への回動を規制するロック機構を備えている
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械の足場構造において、
ロック機構は、上記足場ブラケットに取り付けられ、上記フレームの側部に当接することにより上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を規制する上記上側軸部とは別部材のロック部材を有している
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械の足場構造であって、
上記ロック部材は、上記フレームの側部に当接して上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を規制するロック位置と、上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を許容するアンロック位置との間で移動可能に構成されている
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の建設機械の足場構造であって、
上記ロック部材は、少なくとも一部が上記上側軸部の軸心よりも上方の位置で上記フレームの側部に当接することにより上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を規制するように構成されている
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の建設機械の足場構造において、
上記第1上側係合部は、下方に開口する上記上側凹部で構成され、
上記第2上側係合部は、上記上側軸部で構成されている
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項7】
請求項6に記載の建設機械の足場構造において、
上記上側凹部は、上記第1及び第2上側係合部が上記上側係合状態にあるときに、上記フレームの側部側の下端が上記上側軸部の軸心よりも下方に位置する逆U字形状に形成されている
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の建設機械の足場構造において、
上記フレームの側部は、上記前後方向に延びる内部空間が形成されるように筒状に形成され、
上記フレームの側部には、上記足場ブラケットの基端部を挿通可能な開口部が形成され、
上記支持ブラケットは、上記フレームの内部に配置されている
ことを特徴とする建設機械の足場構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の足場構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレーンや油圧ショベル等の建設機械には、乗降や歩行用に足場部材が設けられている。足場部材は、通常、下部走行体上の上部旋回体のフレーム(旋回フレーム)の側部から側方に張り出すように設けられる。
【0003】
ところで、建設機械は、トラックやトレーラ等の運搬車両に乗せられて工事現場まで搬送される。運搬車両で搬送可能な荷幅は、道路法によって制限されているため、足場部材を取り付けたままで建設機械を運搬車両に搭載すると、荷幅制限をオーバーするおそれがある。そこで、従来、容易に足場部材を着脱できる建設機械の足場構造が提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載された足場構造では、足場部材を持ち上げ、旋回フレームに取り付けられた支持ブラケット上に載せ、ロックピンを前後方向にスライド移動させて両ブラケットのロック孔に挿通させることにより、足場部材が旋回フレームに取り付けられる。逆に、足場部材を取り外す際には、ロックピンをスライド移動させてロック孔から取り外し、足場部材を持ち上げることにより、足場部材が旋回フレームから取り外される。上記足場構造では、建設機械の搬送時には、足場部材を取り外すことで、運搬車両の荷幅制限内に収めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の足場構造では、足場部材の取付時に、ロックピンをロック孔に挿通させるまで、作業者の手で足場部材を支える必要があり、作業者にかかる負荷が大きいという問題がある。また、過大な負荷がロックピンに作用してロックピンが変形すると、ロックピンをスライド移動させることができなくなり、足場部材を取り外せなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、足場部材の着脱作業を容易に行うことができ、過大な負荷が作用しても足場部材が取り外せなくなるおそれのない建設機械の足場構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、建設機械の上部旋回体のフレームの前後方向に延びる側部と、該フレームの側部から外方に張り出すように設けられる足場部材とを備える建設機械の足場構造であって、上記フレームの側部から外方に延び、上記足場部材が固定される足場ブラケットと、上記フレームの側部に取り付けられ、上記足場ブラケットの基端部を支持する支持ブラケットとを備え、上記足場ブラケットの基端部は、第1上側係合部と第1下側係合部とを有し、上記支持ブラケットは、上記第1上側係合部と係合する第2上側係合部と、上記第1下側係合部と係合する第2下側係合部とを有し、上記第1及び第2上側係合部は、一方が上記前後方向に延びる上側軸部で、他方が該上側軸部が嵌まる上側凹部であり、上記第1上側係合部を上記第2上側係合部に上方から引っ掛けると、上記上側軸部が上記上側凹部に嵌まることによって上記足場ブラケットが上記支持ブラケットに上記上側軸部の軸心回りに回動可能に支持される上側係合状態となるように構成され、上記第1及び第2下側係合部は、上記第1及び第2上側係合部が上記上側係合状態にあるときに、上記足場ブラケットを上記上側軸部の軸心回りに上記足場ブラケットの先端部が降下する第1の方向に回動させると、上記足場部材が上記フレームの側部から外方に張り出す位置において上記第1下側係合部が上記第2下側係合部に当接して上記足場ブラケットの上記第1の方向への回動と上方への移動とが規制される下側係合状態となるように構成されているものである。
【0009】
第1の発明では、足場ブラケットの基端部の第1上側係合部及び支持ブラケットの第2上側係合部が、一方が前後方向に延びる上側軸部、他方が上側軸部が嵌まる上側凹部で構成され、第1上側係合部を第2上側係合部に上方から引っ掛けると、上側軸部が上側凹部に嵌まることによって足場ブラケットが支持ブラケットに回動可能に支持される上側係合状態となるように構成されている。また、第1の発明では、足場ブラケットの基端部の第1下側係合部及び支持ブラケットの第2下側係合部が、第1及び第2上側係合部が上側係合状態にあるときに、足場ブラケットを該足場ブラケットの先端部が降下する第1の方向に回動させると当接して足場ブラケットの第1の方向への回動と上方への移動とを規制する下側係合状態となるように構成されている。
【0010】
このような構成により、第1の発明では、足場部材の着脱作業を容易に行うことができる。
【0011】
具体的には、足場部材をフレームの側部(支持ブラケット)に取り付ける際には、作業者が足場部材を持ち上げ、足場ブラケットの基端部の第1上側係合部を支持ブラケットの第2上側係合部に引っ掛けると、第1及び第2上側係合部が上側係合状態となり、足場ブラケットが支持ブラケットに回動可能に支持される状態となる。そして、この状態で、足場ブラケットを該足場ブラケットの先端部が降下する第1の方向に回動させるだけで、第1及び第2下側係合部が当接して足場ブラケットの第1の方向への回動と上方への移動とが規制される下側係合状態となる。
【0012】
つまり、第1の発明では、第1及び第2上側係合部の係合後は、作業者が足場部材及び足場ブラケットの荷重を支持することなく取付作業を行うことができるので、足場部材の取付作業における作業者の負担を軽減することができる。また、足場部材の脱着作業においても同様に、第1及び第2上側係合部の上側係合状態を解除するまで(第1及び第2下側係合部の係合解除作業)は、作業者が足場部材及び足場ブラケットの荷重を支持することなく脱着作業を行うことができるので、足場部材の脱着作業における作業者の負担を軽減することもできる。従って、第1の発明によれば、足場部材の着脱作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、取付作業時に足場ブラケットを回動させる第1の方向は、足場ブラケットの先端部に作用する重力に逆らわない方向である。そのため、足場ブラケットを第1の方向に回動させる足場部材の取付作業は、足場ブラケットを重力に逆らって第2の方向へ回動させる足場部材の脱着作業に比べて、より作業者の負担を軽減することができる。逆に、重力の作用により、足場ブラケットは、第2の方向へは回動し難く構成されている。そのため、足場部材がフレームの側部に取り付けられた取付状態において、機械の振動等によって足場ブラケットに第2の方向への回動を促す力が作用したとしても、多少の力では第2の方向へ回動せず、足場部材がフレームの側部から脱落することもない。
【0014】
また、第1の発明では、第1上側係合部を第2上側係合部に上方から引っ掛けることにより、第1及び第2上側係合部が、上側軸部が上側凹部に嵌まることによって足場ブラケットが支持ブラケットに回動可能に支持される上側係合状態となり、この状態で足場ブラケットを回動させると、第1及び第2下側係合部が下側係合状態となって足場ブラケットの第1の方向への回動と上方への移動とが規制されるように構成している。このような構成により、第1の発明では、足場部材がフレームの側部に取り付けられているときに、足場部材に上下方向の振動が作用しても、足場ブラケットの上方への移動が規制されるため、第1及び第2上側係合部の上側係合状態が解除されず、足場部材がフレームの側部から脱落するおそれがない。
【0015】
また、第1の発明では、足場部材及び足場ブラケットの荷重は、フレームの側部に取り付けられた支持ブラケットの第2上側係合部にかかることとなる。つまり、第1の発明では、従来の足場構造と異なり、足場部材及び足場ブラケットの荷重が、可動部材(従来はスライド移動するロックピン)ではなく、固定部材によって支持される。そのため、第1の発明によれば、過大な負荷が作用しても足場部材が取り外せなくなるおそれのない建設機械の足場構造を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、上記第1及び第2上側係合部が上記上側係合状態で且つ上記第1及び第2下側係合部が上記下側係合状態であるときに、上記足場ブラケットの上記第1の方向と逆方向の第2の方向への回動を規制するロック機構を備えているものである。
【0017】
第2の発明では、足場部材がフレームの側部に取り付けられているときに、足場部材に足場ブラケットが第2の方向へ回動するような力が作用しても、足場ブラケットの第2の方向への回動が規制されるため、第1及び第2下側係合部の下側係合状態が解除されない。また、第1及び第2下側係合部の下側係合状態が解除されないため、足場部材に上下方向の振動が作用しても、足場ブラケットの上方への移動が規制され、第1及び第2上側係合部の上側係合状態が解除されず、足場部材がフレームの側部から脱落するおそれがない。
【0018】
第3の発明は、第2の発明において、ロック機構は、上記足場ブラケットに取り付けられ、上記フレームの側部に当接することにより上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を規制する上記上側軸部とは別部材のロック部材を有しているものである。
【0019】
第3の発明では、足場ブラケットに取り付けたロック部材がフレームの側部に当接することにより、足場ブラケットの第2の方向への回動が規制され、足場部材がフレームの側部から脱落しなくなる。従って、第3の発明によれば、足場ブラケットにロック部材を設けるだけで、容易に足場部材の脱落を防止するロック機構を構成することができる。
【0020】
また、第3の発明では、ロック部材が、足場部材及び足場ブラケットの荷重が作用する上側軸部とは別部材に構成されている。つまり、第3の発明では、従来の足場構造と異なり、ロック部材に足場部材及び足場ブラケットの荷重が作用しないため、足場部材の荷重によってロック部材が変形することがなく、ロック機能が損なわれることがない。
【0021】
第4の発明は、第3の発明において、上記ロック部材は、上記フレームの側部に当接して上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を規制するロック位置と、上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を許容するアンロック位置との間で移動可能に構成されているものである。
【0022】
第4の発明では、足場ブラケットに取り付けられたロック部材をロック位置からアンロック位置に移動させるだけで、容易に足場部材の脱落を防止することができる。また、ロック部材は、上側軸部とは別部材で移動可能に構成されている。そのため、ロック部材を移動させる際に、ロック部材に足場部材及び足場ブラケットの荷重が作用しないため、移動作業を楽に行うことができる。
【0023】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、上記ロック部材は、少なくとも一部が上記上側軸部の軸心よりも上方の位置で上記フレームの側部に当接することにより上記足場ブラケットの上記第2の方向への回動を規制するように構成されているものである。
【0024】
第5の発明では、第1及び第2上側係合部が上側係合状態で且つ第1及び第2下側係合部が下側係合状態であるときに、ロック部材の少なくとも一部が、足場ブラケットの回動軸となる上側軸部の軸心よりも上方の位置でフレームの側部に当接するように構成されている。このような構成により、第1及び第2上側係合部と第1及び第2下側係合部が共に係合状態(上側係合状態及び下側係合状態)にある足場部材の取付状態において、足場ブラケットが第2の方向へ回動して第1及び第2下側係合部の下側係合状態が解除されるのを確実に防止することができる。よって、足場部材の脱落を確実に防止することができる。
【0025】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記第1上側係合部は、下方に開口する上記上側凹部で構成され、上記第2上側係合部は、上記上側軸部で構成されているものである。
【0026】
第6の発明では、下方に開口する上側凹部によってフック形状に形成された第1上側係合部を、前後方向に延びる上側軸部からなる第2上側係合部に上方から引っ掛けることにより、第1及び第2上側係合部を容易に上側係合状態にすることができる。
【0027】
第7の発明は、第6の発明において、上記上側凹部は、上記第1及び第2上側係合部が上記上側係合状態にあるときに、上記フレームの側部側の下端が上記上側軸部の軸心よりも下方に位置する逆U字形状に形成されているものである。
【0028】
第7の発明では、上側凹部は、上側軸部が軸心まで内部に収まる深さに形成されている。そのため、不意の揺れ等により、足場部材及び足場ブラケットが第2の方向に多少回動したとしても、フック形状の第1上側係合部(上側凹部)が、第2上側係合部(上側軸部)から外れず、第1上側係合部が第2上側係合部に引っ掛かった上側係合状態を維持することができる。従って、第7の発明によれば、足場部材の脱落をより確実に防止することができる。
【0029】
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記フレームの側部は、上記前後方向に延びる内部空間が形成されるように筒状に形成され、上記フレームの側部には、上記足場ブラケットの基端部を挿通可能な開口部が形成され、上記支持ブラケットは、上記フレームの内部に配置されているものである。
【0030】
第8の発明では、フレームの側部が筒状に形成され、その内部空間に支持ブラケットが設けられている。そして、フレームの側部に形成された開口部から足場ブラケットの基端部を内部に挿入し、支持ブラケットと係合させることにより、足場ブラケットが支持ブラケットに支持され、足場部材がフレームの側部から外方に張り出した取付状態となる。
【0031】
このように、第8の発明では、支持ブラケットがフレームの内部に配置されているので、フレームの側部から足場部材を取り外したときに、支持ブラケットがフレームの側部から飛び出すことがない。これにより、上部旋回体の車幅を、運搬車両の荷幅制限内に収めることができる。
【0032】
ところで、第8の発明では、足場ブラケットの基端部を開口部から筒状の側部の内部に挿入して、その内部において足場ブラケットの基端部と支持ブラケットとを係合させなければならず、係合部分を目視し難い。しかしながら、上述のように、本願の足場構造は、第1上側係合部を第2上側係合部に上方から引っ掛け、足場ブラケットを重力に従って第1の方向に回動させるだけで、足場ブラケットの基端部を支持ブラケットに容易に係合させることができ、逆の動作により容易に足場ブラケットの基端部と支持ブラケットの係合状態を解除することができるように構成されている。そのため、フレームの側部の内部で足場ブラケットの基端部と支持ブラケットとを係合させる構造であっても、足場部材の着脱作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、足場部材の着脱作業を容易に行うことができ、過大な負荷が作用しても足場部材が取り外せなくなるおそれのない建設機械の足場構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、足場部材を旋回フレームから取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、足場部材を旋回フレームから取り外した状態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、足場ブラケットの構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、足場構造の背面図であり、(a)は足場部材を旋回フレームに取り付ける前の状態を示し、(b)は足場部材を旋回フレームに取り付けた状態を示している。
【
図7】
図7は、足場構造の斜視図であり、(a)は足場部材を旋回フレームに取り付ける前の状態を示し、(b)は足場部材を旋回フレームに取り付けた状態を示している。
【
図8A】
図8Aは、足場部材を旋回フレームに取り付ける動作を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、足場部材を旋回フレームに取り付ける動作を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る足場構造の背面図であり、(a)は足場部材を旋回フレームに取り付ける前の状態を示し、(b)は足場部材を旋回フレームに取り付けた状態を示している。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る足場構造の背面図であり、(a)は足場部材を旋回フレームに取り付ける前の状態を示し、(b)は足場部材を旋回フレームに取り付けた状態を示している。
【
図11】
図11は、実施形態3に係る足場構造の平面図であり、(a)は足場部材を旋回フレームに取り付ける前の状態を示し、(b)は足場部材を旋回フレームに取り付けた状態を示している。
【
図12】
図12は、実施形態4に係る足場構造の背面図であり、(a)は足場部材を旋回フレームに取り付ける前の状態を示し、(b)は足場部材を旋回フレームに取り付けた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。各図においては、上下や前後左右の方向を矢印で示してある。特に言及しない限り、上下等の方向についてはこれら矢印で示す方向に従って説明する。
【0036】
《発明の実施形態1》
まず、本発明に係る足場構造100を備えた建設機械10の構成について、
図1~
図7を参照しながら説明する。
【0037】
[建設機械]
図1及び
図2に示すように、建設機械10は、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体2とを備えている。
【0038】
上部旋回体2は、車体フレームとしての旋回フレーム(フレーム)3と、旋回フレーム3の前端側に設けられて土砂等の掘削作業を行うアタッチメント4と、キャブ5と、機械室6と、旋回フレーム3の後端側に設けられてアタッチメント4との重量バランスを取るためのカウンタウエイト7とを備えている。
【0039】
アタッチメント4は、基端側が旋回フレーム3に回動可能に取り付けられたブーム11と、ブーム11の先端側に回動可能に取り付けられたアーム12と、アーム12の先端側に回動可能に取り付けられたバケット13とを備えている。
【0040】
キャブ5は、運転シートや各種制御機器、操作機器等が装備された運転室である。キャブ5は、アタッチメント4の左側に隣接して位置するように上部旋回体2の前部左側に配設されている。
【0041】
機械室6は、上部旋回体2の後部に左右両側間にわたって設けられている。機械室6の後側にはカウンタウエイト7が配設されている。そして、機械室6の左前方部には、作動油を貯留する作動油タンク15が配設されている。機械室6の右前方部には、燃料を貯留する燃料タンク16が配設されている。
【0042】
機械室6及びカウンタウエイト7の上部には、機械室6及びカウンタウエイト7の上部に乗った作業者の安全性を確保するために、安全柵17が立設している。また、旋回フレーム3の右前方側には、作業者の乗り降り動作を補助するためのハンドレール18が立設している。
【0043】
[足場構造の構成]
建設機械10は、足場部材20を旋回フレーム3に対して着脱可能に取り付ける足場構造100を備えている。本実施形態1では、足場構造100は、建設機械10の左側に設けられている。
【0044】
足場構造100は、足場部材20と、旋回フレーム3の側部30と、足場ブラケット40と、支持ブラケット50とを備えている。
【0045】
図3及び
図4に示すように、足場部材20は、前後方向に長い矩形状の板状部材である。足場部材20は、例えば、鉄鋼で構成されている。
図2に示すように、本実施形態1では、旋回フレーム3の左側の側部30に、車両前後方向に並ぶように4つの足場部材20が設けられている。足場部材20は、旋回フレーム3の側部30に対し、足場ブラケット40及び支持ブラケット50を介して着脱可能に取り付けられている。
【0046】
図4,6,7に示すように、旋回フレーム3の側部30は、側板部材31と、カバー部材32とを有している。側板部材31は、前後方向に長い矩形状の板状部材であり、鉛直方向に延びるように立設されている。カバー部材32は、上端部及び下端部が車両内方(
図3で右方)に折り曲げられた前後方向に長いU字形状の板状部材であり、側板部材31の外方に設けられている。旋回フレーム3の側部30は、側板部材31とカバー部材32とにより、前後方向に延びる内部空間35が形成されるように筒状に形成されている。
【0047】
旋回フレーム3の側部30の外側面(カバー部材32の外側面)には、前後方向に間隔をあけて複数の開口部33が形成されている。開口部33は、後述する足場ブラケット40の個数と等しい個数分(本実施形態1では、8つ)形成されている。開口部33は、足場ブラケット40の基端部(旋回フレーム3の側部30側の端部)を挿通可能な位置及び大きさに形成されている。開口部33は、上下方向に延びる矩形状に形成されている。
【0048】
また、旋回フレーム3の側部30の内部空間35には、前後方向に間隔をあけて複数の支持ブラケット50が設けられている。支持ブラケット50は、後述する足場ブラケット40の個数と等しい個数分(本実施形態1では、8つ)設けられている。
【0049】
図3に示すように、足場ブラケット40は、1つの足場部材20に2つずつ(一対)設けられている。一対の足場ブラケット40,40は、足場部材20の前端部と後端部とに固定されている。一対の足場ブラケット40,40は、前後反転形状に形成されている。
【0050】
図4~
図7に示すように、足場ブラケット40は、車両外方(
図6,7では左方)に延びて上下方向に立設する縦板部材41と、縦板部材41の一側面に固定され、車両外方に延びる水平な上面を有し、足場部材20を支持する横板部材42とを有する。足場ブラケット40は、例えば、鉄鋼で構成されている。
【0051】
縦板部材41は、旋回フレーム3側に設けられる基端部43と、該基端部43から車両外方に延びる支持部44とを有している。基端部43は、支持部44よりも幅広(上下長さが長い)の板状片部によって構成されている。支持部44は、基端部43よりも幅が狭く(上下長さが短く)左右方向に長い矩形状の板状片部によって構成されている。基端部43と支持部44は一体に形成されている。
【0052】
基端部43には、上部に上側係合部(第1上側係合部)70が形成され、下部に下側係合部(第1下側係合部)75が形成されている。また、基端部43には、後述するロック機構60のロック部材61を回動可能に取り付ける固定ピン62が挿通される挿通孔(図示省略)と、ロック部材61の回動を規制するロックピン63が挿通される2つの挿通孔(ロック孔64,アンロック孔65)とが形成されている。
【0053】
上側係合部70は、基端部43の上部に形成された下方に開口する凹部71によって構成されている。凹部71は、下方に開口することにより、逆U字形状に形成されている。凹部71は、後述する支持ブラケット50の上側係合部80を構成する上側軸部52が嵌まる大きさに形成されている。また、
図6(b)に示すように、凹部71は、上側係合部70,80が係合した上側係合状態(凹部71に上側軸部52が嵌まることによって足場ブラケット40が支持ブラケット50に回動可能に支持される状態)において、旋回フレーム3の側部30側の下端71aが上側軸部52の軸心Xよりも下方に位置するように形成されている。
【0054】
下側係合部75は、基端部43の下端部に形成されたL字形状の当接部76によって構成されている。当接部76は、上下方向に延びる縦部分76aと、該縦部分76aの下端から車両側に延びる横部分76bとでL字形状に形成されている。当接部76は、上側係合部70,80が上側係合状態にあり、足場部材20が水平位置(上面が水平面となる位置)にあるときに、縦部分76aと横部分76bとが共に後述する支持ブラケット50の下側係合部85を構成する下側軸部53に当接する形状に形成されている。
図6(b)に示すように、当接部76は、下側係合部75,85が係合した下側係合状態(縦部分76aと横部分76bとが共に下側軸部53に当接した状態)において、横部分76bの車両側の端部(
図6(b)では右端)が下側軸部53の軸心Yよりも車両側に位置するように形成されている。
【0055】
支持部44には、左右方向に間隔を開けて複数(本実施形態1では4つ)の挿通孔(図示省略)が形成されている。各挿通孔には、横板部材42を支持部44に固定するためのボルト47が挿通される。
【0056】
横板部材42は、L字形状に折り曲げられた板状部材によって構成されている。横板部材42は、縦板部材41の支持部44に沿って車両外方へ延びる短辺部42aと、短辺部42aの上端から縦板部材41から離れる方向に延びる長辺部42bとでL字形状に形成されている。なお、足場部材20が固定される一対の足場ブラケット40,40において、横板部材42は、互いの縦板部材41の支持部44の対向面(前側の足場ブラケット40では後側面、後側の足場ブラケット40では前側面)に固定される。
【0057】
横板部材42の短辺部42aには、左右方向に間隔を開けて複数(本実施形態1では4つ)の挿通孔(図示省略)が形成されている。各挿通孔には、横板部材42を支持部44に固定するためのボルト47が挿通される。
【0058】
横板部材42の長辺部42bには、複数(本実施形態1では4つ)の挿通孔42cが形成されている。各挿通孔42cには、足場部材20を横板部材42の長辺部42bに固定するためのボルト48が挿通される。
【0059】
支持ブラケット50は、前後方向に間隔を空けて配置される一対の板状部材51,51と、前後方向に延びる2つの軸部52,53とを備えている。一対の板状部材51,51は、旋回フレーム3の筒状の側部30の内部に設けられ、開口部33を挟んで(開口部33の前後の位置において)互いに対向するように平行に設けられている。2つの軸部52,53は、円柱部材によって構成され、一対の板状部材51,51に架け渡されている。上述のように、一対の板状部材51,51は、開口部33の前後に設けられているため、一対の板状部材51,51に架け渡された2つの軸部52,53は、旋回フレーム3の側部30の開口部33から視認可能な位置に配置されることとなる。また、2つの軸部52,53のうちの下側軸部53は、左右方向において上側軸部52よりも車両内方側に位置するように設けられている。
【0060】
本実施形態1では、上側軸部52は、足場ブラケット40の第1上側係合部70(本実施形態1では、凹部71)と係合する第2上側係合部80を構成する。一方、下側軸部53は、足場ブラケット40の第1下側係合部75(本実施形態1では、当接部76)と係合する第2下側係合部85を構成する。
【0061】
このように、足場構造100では、足場ブラケット40の基端部43と支持ブラケット50は、それぞれ上側係合部70,80と下側係合部75,85とを有している。そして、足場構造100は、上側係合部70,80を上側係合状態とした後、足場ブラケット40を上側軸部52の軸心X回りに足場ブラケット40の先端部が降下する第1の方向(
図6において反時計回り)に回動させると、下側係合部75,85が下側係合状態となって足場部材20が旋回フレーム3の側部30から外方に張り出した取付状態となるように構成されている。また、足場構造100は、足場部材20の取付状態において、足場ブラケット40を上側軸部52の軸心X回りに足場ブラケット40の先端部が上昇する第2の方向(
図6において時計回り)に回動させると、下側係合部75,85の下側係合状態が解除されるように構成されている。つまり、足場構造100は、足場部材20の取付状態において、下側係合部75,85の下側係合状態が解除されなければ、上側係合部70,80の上側係合状態が解除できないように構成されている。
【0062】
そして、本実施形態1では、足場構造100は、足場部材20の取付状態(上側係合部70,80が上側係合状態で且つ下側係合部75,85が下側係合状態)において、足場部材20の脱落を確実に防止するために、足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制するロック機構60が設けられている。
【0063】
ロック機構60は、ロック部材61と、固定ピン62と、ロックピン63とを備えている。
【0064】
ロック部材61は、細長い板状片によって構成され、基端側(一端側)に固定ピン62が挿通される挿通孔(図示省略)が形成されている。ロック部材61は、上記挿通孔と足場ブラケット40の基端部43に形成された挿通孔(図示省略)に挿通された固定ピン62により、足場ブラケット40の基端部43に回動可能に取り付けられている。
【0065】
また、ロック部材61には、長手方向の中程にロックピン63が挿通される挿通孔61aが形成されている。ロック部材61は、挿通孔61aに挿通されるロックピン63により、先端部が旋回フレーム3の側部30に当接して足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制するロック位置と、足場ブラケット40の第2の方向への回動を許容するアンロック位置とに保持される。
【0066】
ロック部材61は、ロック位置において、先端部の少なくとも一部が、支持ブラケット50の上側軸部52の軸心Xよりも上方の位置で旋回フレーム3の側部30のカバー部材32の外側面に当接するように構成されている。具体的には、ロック部材61は、ロック位置において、カバー部材32の外側面の開口部33の上端部の側方部分に当接する。
【0067】
固定ピン62は、足場ブラケット40の基端部43とロック部材61とに形成された挿通孔(図示省略)に挿通されることにより、ロック部材61を足場ブラケット40の基端部43に回動可能に取り付けている。
【0068】
ロックピン63は、先端部に矩形板状の小片が回動可能に取り付けられた折曲ピンによって構成されている。先端部の小片は、長辺長さが足場ブラケット40の基端部43とロック部材61とに形成された挿通孔61a、64,65の直径より長く、短辺長さが挿通孔61a、64,65の直径より短い大きさに形成されている。このような構成により、ロックピン63は、挿通孔61a、64,65に挿通された状態で、先端部の小片を回動させて長手方向がロックピン63の軸方向と交差する縦向きの状態にすると、挿通孔61a、64,65から引き抜くことができなくなる。逆に、ロックピン63は、先端部の小片を、長手方向がロックピン63の軸方向と一致する横向きの状態にすると、挿通孔61a、64,65から引き抜くことができる。
【0069】
ロック部材61を挿通孔61aがロック孔64と重なる位置(ロック位置)まで回動させて、ロックピン63をロック孔64と挿通孔61aに挿通させると、ロック部材61がロック位置に保持される。ロック部材61を挿通孔61aがアンロック孔65と重なる位置(アンロック位置)まで回動させて、ロックピン63をアンロック孔65と挿通孔61aに挿通させると、ロック部材61がアンロック位置に保持される。
【0070】
[足場部材の着脱動作]
次に、足場部材20の取付動作及び脱着動作について、
図8A~
図8Bを参照しながら説明する。
【0071】
(取付動作)
上記足場構造100では、取付動作において、上側係合部70,80を係合させた後に下側係合部75,85を係合させることはできるが、先に下側係合部75,85を係合させ、後から上側係合部70,80を係合させることができないように構成されている。そのため、取付動作では、まず、
図8A(a)~(c)及び
図8B(d)に示すように、足場部材20が取り付けられた足場ブラケット40の上側係合部70と支持ブラケット50の上側係合部80を係合させる。なお、上側係合部70,80の係合作業は、ロック機構60のロック部材61がアンロック位置に固定された状態で行われる。
【0072】
具体的には、足場ブラケット40の基端部43を支持ブラケット50の開口部33から旋回フレーム3の側部30の内部に挿入する(
図8A(a)、(b))。そして、足場ブラケット40を、先端部が基端部43よりも上方に位置するように傾け(
図8A(c))、足場ブラケット40の上側係合部70(U字形状の凹部71)を支持ブラケット50の上側係合部80(上側軸部52)に上方から引っ掛ける(
図8B(d))。
【0073】
以上のような動作により、上側係合部70,80は、上側軸部52が凹部71に嵌まることにより、足場ブラケット40が支持ブラケット50に上側軸部52の軸心X回りに回転可能に支持される上側係合状態となる。
【0074】
足場ブラケット40及び支持ブラケット50の上側係合部70,80を上側係合状態にした後、
図9B(d)~(f)に示すように、下側係合部75,85を下側係合状態にする。
【0075】
具体的には、先端部が基端部43よりも上方に位置するように傾いた足場ブラケット40を、上側軸部52の軸心X回りに足場ブラケット40の先端部が降下する第1の方向に回動させる。足場ブラケット40の支持部44が水平方向に延びる位置(足場部材20の上面が水平面となる位置)まで回動すると、足場ブラケット40の下側係合部75(L字形状の当接部76の縦部分76aと横部分76b)が支持ブラケット50の下側係合部85(下側軸部53)に当接する(
図8B(e))。
【0076】
以上のような動作により、下側係合部75,85は、当接部76の縦部分76aと横部分76bが下側軸部53に当接することにより、足場ブラケット40の第1の方向への回動と上方への移動が規制される下側係合状態となる。
【0077】
以上のように上側係合部70,80、下側係合部75,85の順に係合させる(上側係合状態、下側係合状態にする)ことにより、足場部材20を旋回フレーム3の側部30に取り付けることができる。なお、本実施形態1では、足場部材20の脱落を防止すべく、さらにロック動作を行い、ロック機構60によって足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制する。
【0078】
具体的には、ロック部材61の挿通孔61aと足場ブラケット40のアンロック孔65とに挿通されたロックピン63を引き抜き、ロック部材61を、挿通孔61aとロック孔64とが重なる位置まで回動させる。そして、ロックピン63を、ロック部材61の挿通孔61aと足場ブラケット40のロック孔64とに挿通させることにより、ロック部材61を、先端部が旋回フレーム3の側部30のカバー部材32の外側面に当接ロック位置に固定する(
図9B(f))。これにより、ロック部材61が支えとなって足場ブラケット40の第2の方向への回動が規制される。
【0079】
(脱着動作)
脱着動作は、取付動作と逆の手順により行われる。上記足場構造100では、脱着動作において、下側係合部75,85の下側係合状態を解除した後でなければ、上側係合部70,80の上側係合状態を解除できないように構成されている。そのため、脱着動作では、まず、ロック機構60のロック部材61をアンロック位置に固定し、下側係合部75,85の下側係合状態を解除する。
【0080】
具体的には、ロック部材61の挿通孔61aと足場ブラケット40のロック孔64とに挿通されたロックピン63を引き抜き、ロック部材61を、挿通孔61aとアンロック孔65とが重なる位置まで回動させる。そして、ロックピン63を、ロック部材61の挿通孔61aと足場ブラケット40のアンロック孔65とに挿通させる(
図8B(f)~(e))。そして、足場ブラケット40を、上側軸部52の軸心X回りに先端部が上昇する第2の方向に回動させる(
図8B(d))。これにより、当接部76が下側軸部53に当接しなくなり、下側係合部75,85の下側係合状態が解除される。
【0081】
足場ブラケット40及び支持ブラケット50の下側係合部75,85の下側係合状態を解除した後、
図8B(d)~
図8A(a)に示すように、上側係合部70,80の上側係合状態を解除する。
【0082】
具体的には、先端部が基端部43よりも上方に位置するように傾いた足場ブラケット40を、そのまま上方に持ち上げ、支持ブラケット50の上側係合部80(上側軸部52)から遠ざける(
図8A(c)~(a))。これにより、足場ブラケット40の基端部43(凹部71)が支持ブラケット50(上側軸部52)に回転可能に支持されなくなり、上側係合部70,80の上側係合状態が解除される。
【0083】
以上のように、上側係合部70,80、下側係合部75,85の順に係合状態(上側係合状態、下側係合状態)を解除することにより、足場部材20を旋回フレーム3の側部30から取り外すことができる。
【0084】
-実施形態1の効果-
本実施形態1の足場構造100では、足場ブラケット40の基端部43の上側係合部70と支持ブラケット50の上側係合部80が、一方が前後方向に延びる上側軸部52、他方が上側軸部52が嵌まる凹部71で構成され、上側係合部70を上側係合部80に上方から引っ掛けると、上側軸部52が凹部71に嵌まることによって足場ブラケット40が支持ブラケット50に回動可能に支持される上側係合状態となるように構成されている。また、本実施形態1では、足場ブラケット40の基端部43の下側係合部75と支持ブラケット50の下側係合部85とが、上側係合部70,80が上側係合状態にあるときに、足場ブラケット40を該足場ブラケット40の先端部が降下する第1の方向に回動させると当接して足場ブラケット40の第1の方向への回動と上方への移動とを規制する下側係合状態となるように構成されている。そのため、本実施形態1の足場構造100によれば、足場部材20の着脱作業を容易に行うことができる。
【0085】
具体的には、足場部材20を旋回フレーム3の側部30(支持ブラケット50)に取り付ける際には、作業者が足場部材20を持ち上げ、足場ブラケット40の基端部43の上側係合部70を支持ブラケット50の上側係合部80に引っ掛けると、上側係合部70,80が上側係合状態となり、足場ブラケット40が支持ブラケット50に回動可能に支持される状態となる。そして、この状態で、足場ブラケット40を該足場ブラケット40の先端部が降下する第1の方向に回動させるだけで、下側係合部75,85が当接して足場ブラケット40の第1の方向への回動と上方への移動とが規制される下側係合状態となる。
【0086】
つまり、本実施形態1では、上側係合部70,80の係合後は、作業者が足場部材20及び足場ブラケット40の荷重を支持することなく取付作業を行うことができるので、足場部材20の取付作業における作業者の負担を軽減することができる。また、足場部材20の脱着作業においても同様に、上側係合部70,80の上側係合状態を解除するまで(下側係合部75,85の係合解除作業)は、作業者が足場部材20及び足場ブラケット40の荷重を支持することなく脱着作業を行うことができるので、足場部材20の脱着作業における作業者の負担を軽減することもできる。従って、本実施形態1の足場構造100によれば、足場部材20の着脱作業を容易に行うことができる。
【0087】
また、取付作業時に足場ブラケット40を回動させる第1の方向は、足場ブラケット40の先端部に作用する重力に逆らわない方向である。そのため、足場ブラケット40を第1の方向に回動させる足場部材20の取付作業は、足場ブラケット40を重力に逆らって第2の方向へ回動させる足場部材20の脱着作業に比べて、より作業者の負担を軽減することができる。逆に、重力の作用により、足場ブラケット40は、第2の方向へは回動し難く構成されている。そのため、足場部材20が旋回フレーム3の側部30に取り付けられた取付状態において、機械の振動等によって足場ブラケット40に第2の方向への回動を促す力が作用したとしても、多少の力では第2の方向へ回動せず、足場部材20が旋回フレーム3の側部30から脱落することもない。
【0088】
また、本実施形態1の足場構造100では、上側係合部70を上側係合部80に上方から引っ掛けることにより、上側係合部70,80が、上側軸部52が凹部71に嵌まることによって足場ブラケット40が支持ブラケット50に回動可能に支持される上側係合状態となり、この状態で足場ブラケット40を回動させると、下側係合部75,85が下側係合状態となって足場ブラケット40の第1の方向への回動と上方への移動とが規制されるように構成している。このような構成により、本実施形態1の足場構造100では、足場部材20が旋回フレーム3の側部30に取り付けられているときに、足場部材20に上下方向の振動が作用しても、足場ブラケット40の上方への移動が規制されるため、上側係合部70,80の上側係合状態が解除されず、足場部材20が旋回フレーム3の側部30から脱落するおそれがない。
【0089】
また、本実施形態1の足場構造100では、足場部材20及び足場ブラケット40の荷重は、旋回フレーム3の側部30に取り付けられた支持ブラケット50の上側係合部80(上側軸部52)にかかることとなる。つまり、本実施形態1の足場構造100では、従来の足場構造と異なり、足場部材20及び足場ブラケット40の荷重が、可動部材(従来はスライド移動するロックピン)ではなく、固定部材(支持ブラケット50の上側軸部52)によって支持される。そのため、本実施形態1によれば、過大な負荷が作用しても足場部材20が取り外せなくなるおそれのない建設機械10の足場構造100を提供することができる。
【0090】
また、本実施形態1では、足場構造100が、上側係合部70,80及び下側係合部75,85が共に係合状態(上側係合状態及び下側係合状態)であるときに、足場ブラケット40の第1の方向と逆の第2の方向への回動を規制するロック機構60を備えるように構成されている。このような足場構造100によれば、足場部材20が旋回フレーム3の側部30に取り付けられているときに、足場部材20に足場ブラケット40が第2の方向へ回動するような力が作用しても、足場ブラケット40の第2の方向への回動が規制されるため、下側係合部75,85の下側係合状態が解除されない。また、下側係合部75,85の下側係合状態が解除されないため、足場部材20に上下方向の振動が作用しても、足場ブラケット40の上方への移動が規制され、上側係合部70,80の上側係合状態が解除されない。よって、上記足場構造100によれば、足場部材20が旋回フレーム3の側部30から脱落するおそれがない。
【0091】
また、本実施形態1では、ロック機構60が、足場ブラケット40に取り付けられ、旋回フレーム3の側部30に当接することにより足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制する上側軸部52とは別部材のロック部材61を有するように構成されている。そのため、本実施形態1の足場構造100では、足場ブラケット40に取り付けたロック部材61が旋回フレーム3の側部30に当接することにより、足場ブラケット40の第2の方向への回動が規制され、足場部材20が旋回フレーム3の側部30から脱落しなくなる。従って、本実施形態1によれば、足場ブラケット40にロック部材61を設けるだけで、容易に足場部材20の脱落を防止するロック機構60を構成することができる。
【0092】
また、本実施形態1では、ロック部材61が、足場部材20及び足場ブラケット40の荷重が作用する上側軸部52とは別部材に構成されている。つまり、本実施形態1では、従来の足場構造と異なり、ロック部材61に足場部材20及び足場ブラケット40の荷重が作用しないため、足場部材20及び足場ブラケット40の荷重によってロック部材61が変形することがなく、ロック機能が損なわれることがない。
【0093】
また、本実施形態1では、ロック部材61を、旋回フレーム3の側部30に当接して足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制するロック位置と、足場ブラケット40の第2の方向への回動を許容するアンロック位置との間で移動可能に構成している。そのため、本実施形態1の足場構造100によれば、足場ブラケット40に取り付けられたロック部材61をロック位置からアンロック位置に移動させるだけで、容易に足場部材20の脱落を防止することができる。また、ロック部材61は、上側軸部52とは別部材で移動可能に構成されている。そのため、ロック部材61を移動させる際に、ロック部材61に足場部材20及び足場ブラケット40の荷重が作用しないため、移動作業を楽に行うことができる。
【0094】
また、本実施形態1では、上側係合部70,80及び下側係合部75,85が共に係合状態(上側係合状態及び下側係合状態)であるときに、ロック部材61の少なくとも一部が、足場ブラケット40の回動軸となる上側軸部52の軸心Xよりも上方の位置で旋回フレーム3の側部30に当接するように構成されている。このような構成によれば、上側係合部70,80及び下側係合部75,85が共に係合状態(上側係合状態及び下側係合状態)にある足場部材20の取付状態において、足場ブラケット40が第2の方向へ回動して下側係合部75,85の下側係合状態が解除されるの確実に防止することができる。よって、足場部材20の脱落を確実に防止することができる。
【0095】
また、本実施形態1では、足場ブラケット40の上側係合部70は、下方に開口する凹部71で構成され、支持ブラケット50の上側係合部80は、上側係合状態において凹部71に嵌まる上側軸部52で構成されている。そのため、本実施形態1によれば、下方に開口する凹部71によってフック形状に形成された上側係合部70を、前後方向に延びる上側軸部52からなる上側係合部80に上方から引っ掛けることにより、上側係合部70,80を容易に上側係合状態にすることができる。
【0096】
また、本実施形態1では、凹部71を、上側係合部70,80が上側係合状態にあるときに、旋回フレーム3の側部30側の下端71aが上側軸部52の軸心Xよりも下方に位置する逆U字形状に形成している。言い換えると、凹部71は、上側軸部が軸心Xまで内部に収まる深さに形成されている。そのため、不意の揺れ等により、足場部材20及び足場ブラケット40が第2の方向に多少回動したとしても、フック形状の上側係合部70(凹部71)が、上側係合部80(上側軸部52)から外れず、上側係合部70が上側係合部80に引っ掛かった上側係合状態を維持することができる。従って、本実施形態1の足場構造100によれば、足場部材20の脱落をより確実に防止することができる。
【0097】
また、本実施形態1では、旋回フレーム3の側部30が筒状に形成され、側部30の内部空間35に支持ブラケット50が設けられている。そして、旋回フレーム3の側部30に形成された開口部33から足場ブラケット40の基端部43を内部に挿入し、支持ブラケット50と係合させることにより、足場ブラケット40が支持ブラケット50に支持され、足場部材20が旋回フレーム3の側部30から外方に張り出した取付状態となる。このように、本実施形態1の足場構造100によれば、支持ブラケット50が旋回フレーム3の側部30の内部に配置されているので、旋回フレーム3の側部30から足場部材20を取り外したときに、支持ブラケット50が旋回フレーム3の側部30から飛び出すことがない。これにより、上部旋回体2の車幅を、運搬車両の荷幅制限内に収めることができる。
【0098】
ところで、本実施形態1では、上述のように、足場ブラケット40の基端部43を開口部33から筒状の側部30の内部に挿入して、その内部において足場ブラケット40の基端部43と支持ブラケット50とを係合させなければならず、係合部分を目視し難い。しかしながら、上述のように、本願の足場構造100は、上側係合部70を上側係合部80に上方から引っ掛け、足場ブラケット40を重力に従って第1の方向に回動させるだけで、足場ブラケット40の基端部43を支持ブラケット50に容易に係合させることができ、逆の動作により容易に足場ブラケット40の基端部43と支持ブラケット50の係合状態を解除することができるように構成されている。そのため、旋回フレーム3の側部30の内部で足場ブラケット40の基端部43と支持ブラケット50とを係合させる構造であっても、足場部材20の着脱作業を容易に行うことができる。
【0099】
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1において足場構造100の一部(支持ブラケット50の上側係合部80及び下側係合部85)の構成を変更したものである。
【0100】
具体的には、
図9に示すように、実施形態2では、支持ブラケット50が、実施形態1と同様の一対の板状部材51,51と、1対の板状部材51,51の間で前後方向に延びる1つの支持部材54とを備えるように構成されている。1つの支持部材54は、実施形態1の上側軸部52と下側軸部53とを連結して一体に形成したものである。支持部材54は、上面及び下面が、断面半円形状の湾曲面で形成されている。このような構成により、実施形態2では、支持部材54の上端部は、凹部71によってフック形状に形成された上側係合部70が引っ掛かる上側軸部52となり、支持部材54の下端部は、L字形状の下側係合部85(当接部76の縦部分76a及び横部分76b)が当接する下側軸部53となる。
【0101】
以上のように、支持ブラケット50の上側係合部80及び下側係合部85は、支持部材54の一部として構成されていてもよい。このような構成によっても、実施形態1と同様の着脱動作により、足場部材20の着脱作業を容易に行うことができ、実施形態1のその他の効果も同様に奏することができる。
【0102】
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1において足場構造100の一部(足場ブラケット40及び支持ブラケット50の上側係合部70,80及び下側係合部75,85)の構成を変更したものである。
【0103】
具体的には、
図10及び
図11に示すように、実施形態3では、足場ブラケット40の上側係合部70及び下側係合部75が、前後方向に延びる軸部45,46で構成され、支持ブラケット50の上側係合部80及び下側係合部85が、軸部45,46が嵌まる凹部81,86で構成されている。
【0104】
実施形態3では、足場ブラケット40の基端部43は、上部に凹部71が形成され、下部にL字形状の当接部76が形成される代わりに、前後方向に延びる2つの軸部45,46が設けられている。2つの軸部45,46は、円柱部材によって構成され、足場ブラケット40の基端部40を前後方向に貫通するように設けられている。2つの軸部45,46のうちの下側軸部46は、左右方向において上側軸部45よりも車両内方側に位置するように設けられている。
【0105】
また、実施形態3では、旋回フレーム3の側部30の外側面に形成された開口部33が、実施形態1よりも幅広に形成されている。開口部33は、足場ブラケット40の基端部43を内部空間35に挿入する際に2つの軸部45,46が通過する幅(軸部45,46の軸方向長さより長い)に形成されている。
【0106】
実施形態3では、支持ブラケット50は、前後方向に間隔を空けて配置される一対の板状部材51,51のみで構成され、2つの軸部52,53は備えない。また、実施形態3では、一対の板状部材51,51は、2つの凹部81,86を有するように、上下2箇所が切り欠かれている。板状部材51の上部には、車両外方の外側端から車両内方側に延びた後、下方に折れ曲がるL字形状の溝82が形成されている。一方、板状部材51の下部には、車両外方の外側端から車両内方側に延び、車両内方側に向かう程、幅(上下長さ)が狭くなる溝87が形成されている。溝81の底部は、上側軸部45が嵌まる(保持される)上側凹部81となる。溝82の内端部は、下側軸部46が嵌まる(保持される)下側凹部86となる。
【0107】
[足場部材の着脱動作]
(取付動作)
実施形態3では、足場ブラケット40の基端部43を支持ブラケット50の開口部33から旋回フレーム3の側部30の内部に挿入する。そして、足場ブラケット40を、先端部が基端部43よりも上方に位置するように傾け、足場ブラケット40の上側係合部70(上側軸部45)を支持ブラケット50の上側係合部80(上側凹部81)に上方から引っ掛ける。その結果、上側係合部70,80は、上側軸部45が上側凹部81に嵌まることにより、足場ブラケット40が支持ブラケット50に上側軸部45の軸心回りに回転可能に支持される上側係合状態となる。
【0108】
上側係合部70,80を上側係合状態にした後、先端部が基端部43よりも上方に位置するように傾いた足場ブラケット40を、上側軸部45の軸心X’回りに足場ブラケット40の先端部が降下する第1の方向に回動させる。足場ブラケット40の支持部44が水平方向に延びる位置(足場部材20の上面が水平面となる位置)まで回動すると、足場ブラケット40の下側係合部75(下側軸部46)が支持ブラケット50の下側係合部85(下側凹部86)に当接する。その結果、下側係合部75,85は、下側軸部46が下側凹部86の上側部分と内側部分(溝82の底部)に当接することにより、足場ブラケット40の第1の方向への回動と上方への移動が規制される下側係合状態となる。
【0109】
以上のように、実施形態3においても、上側係合部70,80、下側係合部75,85の順に係合させる(上側係合状態、下側係合状態にする)ことにより、足場部材20を旋回フレーム3の側部30に取り付けることができる。また、本実施形態3においても、足場部材20の脱落を防止すべく、実施形態1と同様のロック動作をさらに行う。
【0110】
(脱着動作)
実施形態3においても、実施形態1と同様に、ロック機構60のロック部材61をアンロック位置に固定した後、下側係合部75,85の下側係合状態を解除する。
【0111】
具体的には、足場ブラケット40を、上側軸部45の軸心X’回りに先端部が上昇する第2の方向に回動させる。これにより、下側軸部46が下側凹部86の外部へ移動することにより、下側軸部46が下側凹部86に当接しなくなり、下側係合部75,85の下側係合状態が解除される。
【0112】
下側係合部75,85の下側係合状態を解除した後、上側係合部70,80の上側係合状態を解除する。
【0113】
具体的には、先端部が基端部43よりも上方に位置するように傾いた足場ブラケット40を、そのまま上方に持ち上げ、支持ブラケット50の上側係合部80(上側凹部81)から遠ざける。これにより、足場ブラケット40の基端部43(上側軸部45)が支持ブラケット50(上側凹部81)に回転可能に支持されなくなり、上側係合部70,80の上側係合状態が解除される。
【0114】
以上のように、実施形態3においても、上側係合部70,80、下側係合部75,85の順に係合状態(上側係合状態、下側係合状態)を解除することにより、足場部材20を旋回フレーム3の側部30から取り外すことができる。
【0115】
実施形態3によっても、実施形態1と同様に、足場部材20の着脱作業を容易に行うことができ、実施形態1のその他の効果も同様に奏することができる。
【0116】
《発明の実施形態4》
実施形態4は、実施形態1において足場構造100の一部(ロック機構60)の構成を変更したものである。
【0117】
具体的には、実施形態1では、ロック位置とアンロック位置との間で移動可能に構成されていたロック部材61が、実施形態4では、移動不能に構成されている。
【0118】
図12に示すように、実施形態4では、ロック機構60は、ロック部材61と固定ピン62とを備え、ロックピン63を備えていない。また、固定ピン62は、足場ブラケット40の基端部43とロック部材61とに形成された挿通孔(図示省略)に挿通されることにより、ロック部材61を足場ブラケット40の基端部43に回動不能に取り付けるように構成されている。
【0119】
実施形態4では、ロック部材61は、足場部材20が旋回フレーム3の側部30に取り付けられた後に、一部分(車体側の側面の一部)が旋回フレーム3の側部30の外側面に当接するように固定ピン62で足場ブラケット40の基端部43に取り付けられることにより、足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制する。
【0120】
《その他の実施形態》
足場ブラケット40の係合部70,75及び支持ブラケット50の係合部80,85の構成は、上記実施形態1~4の構成に限定されない。例えば、実施形態1の足場構造100において、上側係合部70,80が、実施形態3のように、足場ブラケット40に設けられた上側軸部45と支持ブラケット50に形成された上側凹部81とで構成されていてもよい。また、実施形態1の足場構造100において、下側係合部75,85が、実施形態3のように、足場ブラケット40に設けられた下側軸部46と支持ブラケット50に形成された下側凹部86とで構成されていてもよい。
【0121】
また、上記実施形態1~3では、ロック機構60のロック部材61が、足場ブラケット40の基端部43に回動可能に取り付けられて、ロック位置において旋回フレーム3の側部30の外側面に当接することにより、足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制するように構成されていたが、ロック機構60の構成はこれに限られない。例えば、ロック部材61が、足場ブラケット40の基端部43にスライド自在に取り付けられて、ロック位置において旋回フレーム3の側部30の外側面に当接することにより、足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制するように構成されていてもよい。また、ロック部材61は、旋回フレーム3の側部30に回動可能又はスライド自在に取り付けられて、ロック位置において足場ブラケット40の基端部43に当接することにより、足場ブラケット40の第2の方向への回動を規制するように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上説明したように、本発明は、建設機械の足場構造について有用である。
【符号の説明】
【0123】
2 上部旋回体
3 旋回フレーム(フレーム)
10 建設機械
20 足場部材
30 側部
33 開口部
35 内部空間
40 足場ブラケット
43 基端部
45 上側軸部
50 支持ブラケット
52 上側軸部
60 ロック機構
61 ロック部材
70 上側係合部(第1上側係合部)
71 凹部(上側凹部)
75 下側係合部(第1下側係合部)
80 上側係合部(第2上側係合部)
81 上側凹部
85 下側係合部(第2下側係合部)
100 足場構造