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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043623
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】有機肥料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C05F 17/20 20200101AFI20230322BHJP
   C05F 9/04 20060101ALI20230322BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20230322BHJP
   C12P 1/02 20060101ALI20230322BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
C05F17/20
C05F9/04
C12P1/04
C12P1/02
C02F11/02 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151342
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】509296557
【氏名又は名称】有限会社東海バイオ
(74)【代理人】
【識別番号】100143410
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】柘植 佳直
(72)【発明者】
【氏名】柘植 清成
【テーマコード(参考)】
4B064
4D059
4H061
【Fターム(参考)】
4B064AH19
4B064CA02
4B064CB01
4B064CC30
4B064CD21
4B064DA20
4D059AA07
4D059BA25
4D059BA44
4D059BF15
4D059BJ00
4D059CC01
4H061AA02
4H061AA03
4H061CC55
4H061EE64
4H061EE66
4H061GG67
(57)【要約】
【課題】様々な原料を対象とし、腐敗や悪臭の発生を防止して短時間で有機肥料を製造可能な、有機肥料の製造方法を提供する。
【解決手段】有機肥料用資材として、有機肥料製造用の微生物溶液であるバイオ溶液と、主に草本系の草と木質系のウッドチップとを原料に、前記バイオ溶液を用いて製造した、発酵中熟段階の微生物活性の高い資材であるバイオリアクターと、必要に応じて、根株等のウッドチップにバイオ溶液を散布し微生物活性の高いウッドチップとしたバイオウッドチップと、を用意し、有機物原料の水分量に応じて、有機物原料へのバイオ溶液、バイオリアクター及びバイオウッドチップの添加量を設定し、水分量に応じて選択される混合・堆積方法に基づいて保持し、その後、撹拌及びバイオ溶液の添加を行うことにより堆肥を製造する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機肥料用資材として、
有機肥料製造用の微生物溶液であるバイオ溶液と、
主に草本系の草と木質系のウッドチップとを原料に、前記バイオ溶液を用いて製造した、発酵中熟段階の微生物活性の高い資材であるバイオリアクターと、必要に応じて、根株等のウッドチップにバイオ溶液を散布し微生物活性の高いウッドチップとしたバイオウッドチップと、を用意し、有機物原料の水分量に応じて、有機物原料へのバイオ溶液、バイオリアクター及びバイオウッドチップの添加量を設定し、水分量に応じて選択される混合・堆積方法に基づいて保持し、その後、撹拌及びバイオ溶液の添加を行うことにより堆肥を製造することを特徴とする有機肥料の製造方法。
【請求項2】
前記バイオ溶液は、菌群として少なくとも、Bacillus pumilus, Pichia membranaefaciens,Bacillus coagulans, Bacillus stearothermophilus, Pseudomonas fibrolysis,
Thermoactinomyces vulgaris, Bacillus subtilis, Bacillus megateriumuを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機肥料の製造方法。
【請求項3】
前記有機肥料用資材は、有機物原料に有機肥料用資材全量を混合したとして換算した水分量が55~65重量%となるように添加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の堆肥の製造方法。
【請求項4】
有機原料物に対する有機肥料用資材の混合・堆積方法は、有機物原料の水分量及び臭気の状態に応じて下記方法(1)~(4)より選択することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の有機肥料の製造方法。
(1)バイオリアクター及びバイオウッドチップにより有機物原料を被覆堆積。
(2)所定量のバイオリアクターを水とともに有機物原料に混合し、当該バイオリアクター及び水を混合後の有機物原料の内部にバイオリアクターを配置し、外部をバイオリアクターにより被覆堆積。
(3)所定量のバイオリアクターを有機物原料に混合し、当該バイオリアクターを混合後の有機物原料の内部にバイオリアクターを配置し、外部をバイオリアクターにより被覆堆積。
(4)バイオウッドチップ、有機物原料、バイオリアクターの順で層状に繰り返し堆積し、各層の間にバイオ溶液を散布した堆積物全体をバイオウッドチップにより被覆堆積。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物を原料とし堆肥を製造する有機肥料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より堆肥は微生物による有機物の分解作用により製造されている。例えば、非特許文献1には、野積みで堆肥を製造する堆肥の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】藤田賢二 『コンポスト化技術-廃棄物有効利用のテクノロジー』(技報堂出版、1993年)21-23頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
堆肥の原料となる有機物原料には「刈草・木くず・畜糞・生ゴミ等」様々な有機物が用いられ、それぞれの特徴としては、短期間で堆肥化できるが悪臭が発生するもの、悪臭は発生しないが堆肥化に1年以上もの長期間がかかるもの、水分が多い、または少ないもの、腐敗して悪臭を発するもの等様々である。
【0005】
微生物の活性化する好適な環境は、有機物原料と堆肥製造用資材との混合後で、水分は55~65%と言われているが、従来の堆肥の製造方法では、種々の有機物原料に対応可能で微生物の活性化を素早くかつ持続させることができなかった。また、発酵初期には臭気成分が多量に放出されるため、この臭気を抑えたり、腐敗を防止することが課題であった。
【0006】
そこで、本発明は、様々な原料を対象とし、腐敗や悪臭の発生を防止して短時間で有機肥料を製造可能な、有機肥料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、有機肥料用資材として、有機肥料製造用の微生物溶液であるバイオ溶液と、主に草本系の草と木質系のウッドチップとを原料に、前記バイオ溶液を用いて製造した、発酵中熟段階の微生物活性の高い資材であるバイオリアクターと、必要に応じて、根株等のウッドチップにバイオ溶液を散布し微生物活性の高いウッドチップとしたバイオウッドチップと、を用意し、有機物原料の水分量に応じて、有機物原料へのバイオ溶液、バイオリアクター及びバイオウッドチップの添加量を設定し、水分量に応じて選択される混合・堆積方法に基づいて保持し、その後、撹拌及びバイオ溶液の添加を行うことにより堆肥を製造する、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の有機肥料の製造方法において、前記バイオ溶液は、菌群として少なくとも、Bacillus pumilus, Pichia membranaefaciens,Bacillus coagulans, Bacillus stearothermophilus, Pseudomonas fibrolysis, Thermoactinomyces vulgaris, Bacillus subtilis, Bacillus megateriumuを含む、という技術的手段を用いる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の有機肥料の製造方法において、有期肥料用資材は、有機物原料に有機肥料用資材全量を混合したとして換算した水分量が55~65重量%となるように添加する、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の有機肥料の製造方法において、有機原料物に対する有機肥料用資材の混合・堆積方法は、有機物原料の水分量及び臭気の状態に応じて下記方法(1)~(4)より選択する、という技術的手段を用いる。
(1)バイオリアクター及びバイオウッドチップにより有機物原料を被覆堆積。
(2)所定量のバイオリアクターを水とともに有機物原料に混合し、当該バイオリアクター及び水を混合後の有機物原料の内部にバイオリアクターを配置し、外部をバイオリアクターにより被覆堆積。
(3)所定量のバイオリアクターを有機物原料に混合し、当該バイオリアクターを混合後の有機物原料の内部にバイオリアクターを配置し、外部をバイオリアクターにより被覆堆積。
(4)バイオウッドチップ、有機物原料、バイオリアクターの順で層状に繰り返し堆積し、各層の間にバイオ溶液を散布した堆積物全体をバイオウッドチップにより被覆堆積。
【発明の効果】
【0011】
製造初期に有機物原料の水分量及び臭気の状態に応じて上記(1)~(4)の混合・堆積方法を選択することにより、水分量を適切に保持し、発酵に適した条件とすることができるので、短時間で堆肥を製造することができる。また、有機物原料をバイオリアクター、バイオウッドチップにより被覆しているため、発酵初期に多量に発生する臭気が外部に放出されることを防ぐことができる。これにより、様々な原料を対象とし、腐敗や悪臭の発生を防止して短時間で有機肥料を製造可能な、有機肥料の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】生ゴミ、畜糞、腐敗等で悪臭を発している(発しやすい)原料を用いて有機物肥料を製造するときの有機物原料及び肥料製造用資材の堆積方法を示す模式図である。
図2】乾燥が著しい有機物原料を用いて有機物肥料を製造するときの有機物原料及び肥料製造用資材の堆積方法を示す模式図である。
図3】水分含量が適切である有機物原料を用いて有機物肥料を製造するときの有機物原料及び肥料製造用資材の堆積方法を示す模式図である。
図4】水分量が極めて高い有機物原料を用いて有機物肥料を製造するときの有機物原料及び肥料製造用資材の堆積方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
【0014】
本発明の有機肥料の製造方法では、有機肥料用資材として、バイオ溶液と、バイオリアクターと、必要に応じてバイオウッドチップと、用いて、刈草、枝葉、伐採木、家畜糞尿、食物残渣、汚泥などの処理対象である有機廃棄物に応じてこれらを調整して用意する。
【0015】
バイオ溶液とは、少なくとも後述する8種類の菌群を個別に培養して、それぞれを原料に応じて配合比を変えて水に添加して作製した有機肥料製造用の微生物溶液である。
【0016】
バイオ溶液に含まれる菌群として、Bacillus pumilus, Pichia membranaefaciensが挙げられる。
【0017】
Bacillus pumilusは、植物ホルモン、例えばサイトカイニンなどの生産及び脂肪分解機能を有する高温脱臭菌である。Pichia membranaefaciensは、芳香性成分でマスキングする酵母菌、消臭菌、ビタミン形成菌であり、リン、鉄、マグネシウムなどの不溶解性栄養素を可溶化する。
【0018】
これらの菌群により、臭気の抑制と有機物原料の効率の良い分解、堆肥化とを行うことができる。
【0019】
バイオ溶液に含まれる菌群として、Bacillus coagulans, Bacillus stearothermophilus, Pseudomonas fibrolysis, Thermoactinomyces vulgarisが挙げられる。
【0020】
Bacillus coagulansは、難分解性のリグニン、セルロース、ペクチンなどの繊維性物質の分解を効率よく行う。Bacillus stearothermophilusは、セルロース、ヘミセルロースなどの繊維性物質を分解する高温菌である。Pseudomonas fibrolysisは、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、グルカン、マンナンなどの繊維性物質を分解する菌である。Thermoactinomyces vulgarisはリグニンなど、多くの難分解性繊維物質を分解する高温菌である。
【0021】
これらの菌群を加えることにより、特に、従来堆肥化が困難であった木質系有機物を短期間で分解し、腐熟させることができる。
【0022】
バイオ溶液に含まれる菌群として、Bacillus subtilis, Bacillus megateriumuが挙げられる。
【0023】
Bacillus subtilisは、細胞外に存在する拈出物により土壌中の保水力を維持する機能を有する菌である。Bacillus megateriumuは、アミノ酸及びビタミンを生産する機能を有する菌である。
【0024】
これらの菌群を加えることにより、発酵初期の微生物の増殖が活発となり、有機物原料の発酵分解が促進される。更に、できあがった対比において土壌改良能力が向上するとともに有用成分が増大する。
【0025】
バイオリアクターは、主に草本系の草と木質系のウッドチップとを原料に、バイオ溶液を用いて製造した、発酵中熟段階の微生物活性の高い資材であり、発酵を補助する菌の補給を行う。
【0026】
バイオリアクターは、草のみから作製すると、草が乾いている場合は草自体が疎水性である事が理由で、草の水分が高い場合は堆肥化を阻害する菌が増殖する事が理由で、発酵促進を行う菌の増殖がうまくいかない。また、ウッドチップのみから作製すると窒素分が少なく活性が低くなるため、混合して用いる。バイオリアクターは、例えば、混合して1~2か月経過し、65℃程度になったものを好適に用いることができる。
【0027】
バイオウッドチップは、根株等のウッドチップにバイオ溶液を散布し微生物活性の高いウッドチップとしたものである。バイオウッドチップは、主に有機物原料の水分量が多いときに用いられる。
【0028】
有機肥料の製造方法について説明する。有機物原料の水分に対して、表1の混合割合で、有機肥料用資材及び水を添加する。表1において、原料水分は重量%で(表記値±5)重量%を示している。例えば、原料水分が「10%」という表記は、原料水分量が5重量%以上、15重量%未満である。バイオリアクター、バイオウッドチップは、有機物原料を100としたときに、外配で添加する量を体積%で示しており、水は、有機物原料を100としたときに、外配で添加する量を重量%で示している。
【0029】
【表1】
【0030】
有機物原料と有機肥料用資材との、混合・堆積方法は、主に有機物原料の水分量に応じて臭気の状態も考慮して選択する。水分量が少ないと、微生物の増殖速度が遅くなり、水分量が多いと、有機物原料に通気しにくくなり、好気性の微生物の増殖速度が遅くなる。そこで、有機肥料用資材は、有機物原料に有機肥料用資材全量を混合したとして換算した水分量が55~65重量%となるように添加する。本実施形態では、バイオリアクターの水分量が65重量%、バイオウッドチップの水分量が40重量%として、有機肥料用資材の混合量を計算している。
【0031】
(1)生ゴミ、畜糞、腐敗等で悪臭を発している(発しやすい)原料の場合
図1に示すように、バイオリアクター及びバイオウッドチップにより有機物原料を被覆堆積する。
【0032】
有機物原料をバイオリアクターにより被覆しているので、野積みで臭気が放出されるのを抑制することができる。また、バイオリアクター及びバイオウッドチップにより微生物の活性が高い状態を維持することができるので、短期間で堆肥を製造することができる。
【0033】
(2)乾燥が著しい(水分量45重量%未満)有機物原料(草や木くず等)の場合
図2に示すように、所定量のバイオリアクター、例えば半量、を水とともに有機物原料に混合し、当該バイオリアクター及び水を混合後の有機物原料の内部にバイオリアクターを配置し、外部をバイオリアクターにより被覆堆積する。
【0034】
これによれば、発酵により生じた熱で山の内部に配置したバイオリアクターより水蒸気が発生し、有機物原料の水分量を適度に高めることができる。従って、発酵に適した水分量にすることができるので、短期間で堆肥を製造することができる。また、有機物原料をバイオリアクターにより被覆しているので、臭気が放出されるのを抑制することができる。
【0035】
(3)水分含量が適切(水分量45重量%以上、65重量%未満)である有機物原料の場合
図3に示すように、所定量のバイオリアクターを有機物原料に混合し、当該バイオリアクターを混合後の有機物原料の内部にバイオリアクターを配置し、外部をバイオリアクターにより被覆堆積する。
【0036】
有機物原料の水分量が適切であるので、内部に配置したバイオリアクターにより微生物の活性がより高い状態を維持することができるので、短期間で堆肥を製造することができる。
【0037】
(4)水分量が極めて高い(水分量65重量%以上)有機物原料の場合
図4に示すように、下からバイオウッドチップ、有機物原料、バイオリアクターの順で層状に繰り返し堆積し、全体をバイオウッドチップで被覆堆積する。ここで、層状に堆積した最上部は有機物原料とならないようにする。有機物原料にバイオリアクターを堆積する前に、バイオ溶液を散布している。つまり、各層の間にバイオ溶液が散布されている。
【0038】
水分量が多いと有機物原料が腐敗しやすく、切り返しで臭気が出やすい。そこで、水はけがよくなるように下方に水分が低いチップを配置し、その上に有機物原料を配置する。そして、微生物の活性を維持するために、バイオ溶液を散布後に、有機物原料の上にバイオリアクターを配置する。これを繰り返して堆積物を形成する。
【0039】
堆積物の全体をバイオウッドチップで被覆するのは、バイオウッドチップは乾いているので、表面から水分が抜けやすいからである。表面から十分に水分が抜ける状態とすることができるなら、バイオリアクターで被覆堆積してもよい。
【0040】
製造初期に有機物原料の水分量及び臭気の状態に応じて上記(1)~(4)の混合・堆積方法を選択することにより、水分量を適切に保持し、発酵に適した条件とすることができるので、短時間で堆肥を製造することができる。また、有機物原料をバイオリアクター、バイオウッドチップにより被覆しているため、発酵初期に多量に発生する臭気が外部に放出されることを防ぐことができる。
【0041】
いずれの場合も堆積後の適切な時期にバイオ溶液を添加しながら切り返す。このとき、臭気がきつければ、再度バイオリアクターやバイオウッドチップで被覆してもよい。これを繰り返し、温度が落ち着いてきたら、例えば、60℃以下になったら、堆肥が完成する。
【0042】
有機物原料の炭素/窒素比(以下、C/N比、という。)が大きいと、製造された有機肥料の窒素分が不足し、作物が利用できる窒素分が減少してしまう。このため、有機物原料のC/N比に応じて、表2の混合割合で、有機肥料用資材を添加し、C/N比を堆肥製造に好適な範囲、例えば30~40、となるように添加することができる。これにより、短期間に肥料としての性能がよい堆肥を製造することができる。バイオウッドチップは、有機物原料のC/N比が小さいときに好適に用いられる。
【0043】
微生物は細胞物質であるタンパク質(アミノ酸)を作るために、窒素分と炭素分とを要求する。微生物の栄養源となる有機物原料のC/N比が小さい、つまり窒素分割合が高いと、発酵時に微生物に利用されなかった余剰の窒素分がアンモニアとして蓄積される。このアンモニアによりpHがアルカリ側に傾き、アンモニアガスが発生する。従って、C/Nをある程度大きくすることにより、発酵時のアンモニアガスの発生を抑制し臭気を抑えることができる。
【0044】
【表2】
【0045】
[実施形態の効果]
本発明の有機肥料の製造方法によれば、製造初期に有機物原料の水分量及び臭気の状態に応じて上記(1)~(4)の混合・堆積方法を選択することにより、水分量を適切に保持し、発酵に適した条件とすることができるので、短時間で堆肥を製造することができる。また、有機物原料をバイオリアクター、バイオウッドチップにより被覆しているため、発酵初期に多量に発生する臭気が外部に放出されることを防ぐことができる。これにより、様々な原料を対象とし、腐敗や悪臭の発生を防止して短時間で有機肥料を製造可能な、有機肥料の製造方法を提供することができる。
図1
図2
図3
図4