(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043640
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】折戸装置
(51)【国際特許分類】
E05D 15/26 20060101AFI20230322BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
E05D15/26
E06B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151361
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】本望 秀二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 陽葉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健
(72)【発明者】
【氏名】東 陽太
【テーマコード(参考)】
2E015
2E034
【Fターム(参考)】
2E015AA01
2E015BA01
2E015BA11
2E015DA02
2E015FA01
2E034JA01
2E034JB01
2E034JE01
(57)【要約】
【課題】折戸を安定した状態で走行させ、かつ、外観デザインの優れた折戸装置を提供する。
【解決手段】本発明の折戸装置は、開口(OP)が設けられた壁体(W1)の上壁面(W1a)に対して水平に取り付けられたガイドレール(20)と、ガイドレール(20)に沿ってスライドし、折り曲げ可能に吊元側パネル(11)と戸先側パネル(12)とが連結された折戸パネル(10)と、ガイドレール(20)とスライド可能な状態で吊元側パネル(11)に設けられた吊元側スライダ部(43)と、ガイドレール(20)とスライド可能な状態で戸先側パネル(12)に設けられた戸先側スライダ部(53)と、ガイドレール(20)に取り付けられ、吊元側スライダ部(43)と係合可能に形成された端部係合部品(60)と、端部係合部品(60)、吊元側スライダ部(43)、戸先側スライダ部(53)を上方から覆うカバー(70)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた壁体の上壁面に対して水平に取り付けられたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿ってスライドし、折り曲げ可能に吊元側パネルと戸先側パネルとが連結された折戸パネルと、
前記ガイドレールとスライド可能な状態で前記吊元側パネルに設けられた吊元側スライダ部と、
前記ガイドレールとスライド可能な状態で前記戸先側パネルに設けられた戸先側スライダ部と、
前記ガイドレールに取り付けられ、前記吊元側スライダ部と係合可能に形成された端部係合部品と、
前記端部係合部品、前記吊元側スライダ部、前記戸先側スライダ部を上方から覆うカバーと
を備える折戸装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記吊元側スライダ部および前記端部係合部品を覆うように前記上壁面に取り付けられている
請求項1に記載の折戸装置。
【請求項3】
前記端部係合部品は、前記ガイドレールと前記吊元側スライダ部を隠蔽する化粧カバーを兼用する
請求項1または2に記載の折戸装置。
【請求項4】
前記吊元側スライダ部は、前記戸先側スライダ部と互いに係合する係合凸部または係合凹部を有し、
前記戸先側スライダ部は、前記吊元側スライダ部と互いに係合する係合凹部または係合凸部を有している
請求項1乃至3何れか1項に記載の折戸装置。
【請求項5】
前記吊元側スライダ部は、前記ガイドレールと対向する前記吊元側パネルの裏面に設けられており、
前記戸先側スライダ部は、前記ガイドレールと対向する前記戸先側パネルの裏面に設けられている
請求項1乃至4何れか1項に記載の折戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉枠の外側に重ねた状態でスライド自在に取り付けられるアウトセット型の折戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉枠における開口部の寸法や、開口部の経年劣化による歪みの影響を受けることなく、開口部の外側から扉枠に取り付けられるアウトセット型の折戸や引戸がある。このようなアウトセット型の折戸では、扉の荷重を開口部の縦枠で受けることなく、吊元側のピボットヒンジによって扉を支持し、扉の先端側(開放側)にガイドが設けられている(例えば、特許文献1、および、特許文献2を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のアウトセット構造のドア装置においては、クローゼット等の人が出入りする室内収納スペースに設置され、特に既存の住宅においてリフォームを行う際に好適な折戸構造である。このドア装置では、ドアパネルが吊元側の上下一対のピボットヒンジで揺動可能に軸支される構造であり、アームに支持されるランナーブロックの突起とストッパとが係合することによりランナーがガイドレールに沿ってスライドすることを規制している。
【0004】
特許文献2に記載の折戸システムにおいては、壁体に設けられた開口部を開閉する既存の回動式開き戸に代えて、折戸を扉枠の外側に重ねてスライド自在に取り付けられたアウトセット構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-027852号公報
【特許文献2】特開2007-146433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のドア装置においては、ランナーをストッパで下方から係合し、吊元側を支持している。このため、ドア装置では、ドアパネルの開閉時にランナーとストッパとの間で振動が発生し易く、その振動によってランナーとストッパとの係合状態が外れてしまい、ドアパネルが安定した状態で走行できないおそれがあった。また、ドア装置においては、ドアパネルの上部からピボットヒンジが露出しており、外観デザイン的に好ましいとはいえなかった。
【0007】
特許文献2の折戸システムにおいては、折戸パネルを上方で回動自在に案内する上部ヒンジ部の上部アングルを扉の高さに合わせて壁体に取り付けなければならないため、上部アングルが露出してしまい、外観デザイン的に好ましいとはいえなかった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、折戸を安定した状態で走行させると共に外観デザインの優れた折戸装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の折戸装置においては、開口が設けられた壁体の上壁面に対して水平に取り付けられたガイドレールと、前記ガイドレールに沿ってスライドし、折り曲げ可能に吊元側パネルと戸先側パネルとが連結された折戸パネルと、前記ガイドレールとスライド可能な状態で前記吊元側パネルに設けられた吊元側スライダ部と、前記ガイドレールとスライド可能な状態で前記戸先側パネルに設けられた戸先側スライダ部と、前記ガイドレールに取り付けられ、前記吊元側スライダ部と係合可能に形成された端部係合部品と、前記端部係合部品、前記吊元側スライダ部、前記戸先側スライダ部を上方から覆うカバーと、を備える。
【0010】
前記カバーは、前記吊元側スライダ部および前記端部係合部品を覆うように前記上壁面に取り付けられていることが好ましい。
【0011】
前記端部係合部品は、前記ガイドレールと前記吊元側スライダ部を隠蔽する化粧カバーを兼用することが好ましい。
【0012】
前記吊元側スライダ部は、前記戸先側スライダ部と互いに係合する係合凸部または係合凹部を有し、前記戸先側スライダ部は、前記吊元側スライダ部と互いに係合する係合凹部または係合凸部を有していることが好ましい。
【0013】
前記吊元側スライダ部は、前記ガイドレールと対向する前記吊元側パネルの裏面に設けられており、前記戸先側スライダ部は、前記ガイドレールと対向する前記戸先側パネルの裏面に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、折戸を安定した状態で走行させると共に外観デザインの優れた折戸装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態における折戸装置の折戸パネルが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【
図2】本実施の形態における折戸装置の折戸パネルが広げられた状態(1)を示す斜視図である。
【
図3】本実施の形態における折戸装置の折戸パネルが広げられた状態(2)を示す斜視図である。
【
図4】本実施の形態における折戸装置の折戸パネルだけが取り外された状態を示す斜視図である。
【
図5】本実施の形態における折戸装置のガイドレール、カバー、端部係合部品の壁体に対する配置の説明に供する斜視図である。
【
図6】本実施の形態における折戸装置のガイドレールの構成を示す斜視図である。
【
図7】本実施の形態における折戸装置における折戸パネルの裏面の構成を示す斜視図である。
【
図8】本実施の形態における折戸装置の構成を示す上面図である。
【
図9】本実施の形態における折戸装置の吊元側上金具の構成を示す斜視図である。
【
図10】本実施の形態における折戸装置の戸先側上金具の構成を示す斜視図である。
【
図11】本実施の形態における折戸装置の吊元側上金具と戸先側上金具との係合状態の説明に供する正面図である。
【
図12】本実施の形態における折戸装置の端部係合部品の構成を示す斜視図である。
【
図13】本実施の形態における折戸装置のカバーの構成を示す斜視図である。
【
図14】本実施の形態における折戸装置の端部係合部品と吊元側上金具との係合状態の説明に供する正面図である。
【
図15】本実施の形態における折戸装置の吊元側スライダ部および戸先側スライダ部とガイドレールとが取り付けられる際の説明に供する側面図である。
【
図16】本実施の形態における折戸装置の吊元側スライダ部および戸先側スライダ部とカバーとの取り付け状態の説明に供する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)実施の形態の概要
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0017】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態にかかる折戸装置(1)は、開口(OP)が設けられた壁体(W1)の上壁面(W1a)に対して水平に取り付けられたガイドレール(20)と、ガイドレール(20)に沿ってスライドし、折り曲げ可能に吊元側パネル(11)と戸先側パネル(12)とが連結された折戸パネル(10)と、ガイドレール(20)とスライド可能な状態で吊元側パネル(11)に設けられた吊元側スライダ部(43)と、ガイドレール(20)とスライド可能な状態で戸先側パネル(12)に設けられた戸先側スライダ部(53)と、ガイドレール(20)に取り付けられ、吊元側スライダ部(43)と係合可能に形成された端部係合部品(60)と、端部係合部品(60)、吊元側スライダ部(43)、戸先側スライダ部(53)を上方から覆うカバー(70)とを備える。
【0018】
〔2〕上記折戸装置(1)において、カバー(70)は、吊元側スライダ部(43)および端部係合部品(60)を覆うように上壁面(W1a)に取り付けられている。
【0019】
〔3〕上記折戸装置(1)において、端部係合部品(60)は、ガイドレール(20)と吊元側スライダ部(43)を隠蔽する化粧カバーを兼用する。
【0020】
〔4〕上記折戸装置(1)において、吊元側スライダ部(43)は、戸先側スライダ部(53)と互いに係合する係合凸部(43H)または係合凹部(53H)を有し、戸先側スライダ部(53)は、吊元側スライダ部(43)と互いに係合する係合凹部(53H)または係合凸部(43H)を有していることが好ましい。
【0021】
〔5〕上記折戸装置(1)において、吊元側スライダ部(43)は、ガイドレール(20)と対向する吊元側パネル(11)の裏面(11a)に設けられており、戸先側スライダ部(53)は、ガイドレール(20)と対向する戸先側パネル(12)の裏面(12a)に設けられている。
【0022】
(2)本実施の形態
以下、本実施の形態にかかる折戸装置の構成について
図1乃至
図16を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における折戸装置の折戸パネルが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態における折戸装置の折戸パネルが広げられた状態(1)を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態における折戸装置の折戸パネルが広げられた状態(2)を示す斜視図である。
図4は、本実施の形態における折戸装置の折戸パネルだけが取り外された状態を示す斜視図である。
図5は、本実施の形態における折戸装置のガイドレール、カバー、端部係合部品の壁体に対する配置の説明に供する斜視図である。
図6は、本実施の形態における折戸装置のガイドレールの構成を示す斜視図である。
図7は、本実施の形態における折戸装置における折戸パネルの裏面の構成を示す斜視図である。
図8は、本実施の形態における折戸装置の構成を示す上面図である。
図9は、本実施の形態における折戸装置の吊元側上金具の構成を示す斜視図である。
図10は、本実施の形態における折戸装置の戸先側上金具の構成を示す斜視図である。
図11は、本実施の形態における折戸装置の吊元側上金具と戸先側上金具との係合状態の説明に供する正面図である。
図12は、本実施の形態における折戸装置の端部係合部品の構成を示す斜視図である。
図13は、本実施の形態における折戸装置のカバーの構成を示す斜視図である。
図14は、本実施の形態における折戸装置の端部係合部品と吊元側上金具との係合状態の説明に供する正面図である。
図15は、本実施の形態における折戸装置の吊元側スライダ部および戸先側スライダ部とガイドレールとが取り付けられる際の説明に供する側面図である。
図16は、本実施の形態における折戸装置の吊元側スライダ部および戸先側スライダ部とカバーとの取り付け状態の説明に供する側面図である。
【0023】
なお、説明の都合上、折戸の開閉方向を左右方向と言う場合があるものとする。すなわち、折戸をスライドして閉じる矢印a方向を閉方向または戸先側、折戸をスライドして開く矢印b方向を開方向または吊元側とする。また、折戸の開閉方向(矢印ab方向)と垂直な重力方向(矢印cd方向)、上下方向、または、高さ方向において、上側または上方(矢印c方向)、下側または下方(矢印d方向)と言う場合があるものとする。さらに、折戸の開閉方向(矢印ab方向)と垂直な奥行方向(矢印ef方向)を前後方向と言う場合があるものとする。すなわち折戸が紙面の手前側から奥側へ押される際の矢印e方向を奥側、折戸が紙面の奥側から手前側へ引っ張られる際の矢印f方向を手前側とする。但し、この左右方向、上下方向および前後方向は、説明の便宜上用いられるのであって、折戸の使用状況によっては異なる方向として定義することができる。
【0024】
【0025】
折戸装置1の折戸パネル10は、建物等の構造物における開口OPが形成された壁体W1の上側の壁面(以下、これを「上壁面」と言う。)W1aに対して水平方向(矢印ab方向)にスライドしながら開閉可能な状態で取り付けられている。
【0026】
この場合、折戸パネル10が水平方向(矢印ab方向)で折り畳まれた状態を壁枠W1の開口OPに対する開状態とし、折戸パネル10が水平方向(矢印ab方向)に広げられた状態を壁枠W1の開口OPに対する閉状態とする。
【0027】
折戸パネル10は、図中左方向(矢印b方向)の吊元側パネル11および右側(矢印a方向)の戸先側パネル12を有し、吊元側パネル11と戸先側パネル12とが図示しないヒンジを介して折り畳み可能に形成されている。
【0028】
図4および
図5に示すように、折戸装置1のガイドレール20は、壁体W1の上壁面W1aに対し、水平方向(矢印ab方向)に沿って固定されている。ガイドレール20は、折戸パネル10の閉状態における水平方向(矢印ab方向)の幅とほぼ同じ長さである。
【0029】
図6に示すように、ガイドレール20は、断面略L字状の金属または樹脂等からなる部材である。ガイドレール20は、壁体W1の上壁面W1aに固定される水平方向(矢印ab方向)に長い薄板状のレール部21と、折戸パネル10の吊元側パネル11、戸先側パネル12にそれぞれ取り付けられた吊元側上金具40の吊元側スライダ部43(
図9)、戸先側上金具50の戸先側スライダ部53(
図10)を保持するスライダ受部22と、吊元側スライダ部43、戸先側スライダ部53の脱落を防止する脱落防止壁部23とを有している。
【0030】
ガイドレール20のレール部21は、壁体W1の上壁面W1aに対してビスやネジ等の締結具または接着等により固定されている。レール部21は、戸先側スライダ部53における4個のローラ53rが走行する平坦な走行面21a、21bを有している。
【0031】
ガイドレール20のスライダ受部22は、吊元側スライダ部43、戸先側スライダ部53をレール部21および脱落防止壁部23に引っ掛けた状態で保持する断面略U字状の溝空間を画成する底面部分である。
【0032】
ガイドレール20の脱落防止壁部23は、吊元側スライダ部43、戸先側スライダ部53と接触可能であり、当該吊元側スライダ部43、戸先側スライダ部53がガイドレール20から脱落することを防止する壁部分である。脱落防止壁部23は、断面略U字状の溝空間を画成する側面部分である。脱落防止壁23は、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53がスライダ受部22から脱落することを防止できる程度に、上側(矢印c方向)へ向かって所定の長さに形成されている。
【0033】
図4に示すように、折戸装置1の下側金具30は、略L字状に形成された金属の部材であり、壁体W1の下側(矢印d方向)の端部に固定される板状の取付板31と、荷重を受ける載置板32とを有している。取付板31および載置板32はL字状に一体化されており、載置板32には折戸パネル10の吊元側パネル11を下側(矢印d方向)から回動自在に軸支する枢軸33が設けられている。
【0034】
枢軸33は、吊元側パネル11の吊元側(矢印b方向)の下側(矢印d方向)の端部の底面に形成された受金具(図示せず)の凹穴に取り付けられた軸受に軸支されている。これにより、吊元側パネル11は、下側金具30の枢軸33により下側から回動自在に軸支されている。なお、枢軸33は、下金具30の載置板32に設けられている場合に限らず、吊元側パネル11の底面から突出するように設けられ、床面に枢軸33を軸支する軸受が設けられるようにしてもよい。
【0035】
図7および
図8に示すように、折戸パネル10における吊元側パネル11の裏面11aの上側端部には、吊元側上金具40が設けられ、戸先側パネル12の裏面12aの上側端部には戸先側上金具50が設けられている。
【0036】
吊元側上金具40は、吊元側パネル11の裏面11aにおける上側(矢印c方向)かつ吊元側(矢印a方向)の端部に取り付けられている。戸先側上金具50は、戸先側パネル12の裏面12aにおける上側(矢印c方向)かつ戸先側(矢印b方向)の端部に取り付けられている。すなわち、吊元側上金具40および戸先側上金具50は、折戸パネル10の閉状態において(
図7)、互いに最も離れるように配置されている。
【0037】
図9に示すように、吊元側上金具40は、吊元側パネル11の裏面11aに埋め込まれた状態で取り付けられるカップ体42と、そのカップ体42と一体に形成されたフランジ部41と、カップ体42に対してアーム部45および軸47を介して回動自在に軸支される吊元側スライダ部43とを有している。
【0038】
吊元側上金具40のフランジ部41は、カップ体42の内部空間42sを囲むように形成されたフランジ状部分であり、当該フランジ部41の周囲に4つの貫通孔41hを有している。フランジ部41の貫通孔41hは、カップ体42の内部空間42sに対して上下方向(矢印cd方向)において対象となる位置に設けられている。
【0039】
フランジ部41は、これらの貫通孔41hを介してネジ等により吊元側パネル11の裏面11aに取り付けられている。このとき、カップ体42は吊元側パネル11の裏面11aに形成された凹部に嵌め込まれた状態となり、フランジ部41および内部空間42sだけが裏面11aから露出した状態となる。
【0040】
吊元側上金具40のカップ体42は、L字状に形成されたアーム部45を収容可能な大きさの内部空間42sを有している。また、カップ体42の内部空間42sには、アーム部45を上下方向(矢印cd方向)にスライド自在に保持する軸47が設けられている。
【0041】
吊元側スライダ部43は、この軸47およびアーム部45を介して上下方向(矢印cd方向)にスライドできるので、折戸パネル10の吊元側パネル11を下側金具30の枢軸33に軸支させる際の吊元側スライダ部43の高さ方向のズレを吸収可能である。
【0042】
アーム部45は、断面略コ字状の本体45aと、その本体45aの端部から軸47へ向かって伸びる2本の細い薄板状の腕片45bとを有している。アーム部45の本体45aは、吊元側スライダ部43と接着またはビス等の締結具により一体に取り付けられている。
【0043】
アーム部45における2本の腕片45bは上下方向(矢印cd方向)において互いに平行に設けられており、上側(矢印a方向)の腕片45bは
図9において表示されているが、下側(矢印b方向)の腕片45bについては
図9において表示されていない。2つの腕片45bの先端にはそれぞれ貫通孔45bhが設けられており、その貫通孔45bhの内径は軸47の外径よりも僅かに大きい。アーム部45の腕片45bの貫通孔45bhに対して軸47が挿通されている。
【0044】
吊元側スライダ部43は、略直方体形状を有し、ガイドレール20の脱落防止壁部23と接触可能な状態でスライダ受部22に保持される。また、吊元側スライダ部43は、長手方向における一方側の端部に正面視H字状に突出した凸部(以下、これを「H字状係合凸部」と言う。)43Hを有し、他方側の端部から長手方向に沿って側面視U字状に突出した凸部(以下、これを「U字状係合凸部」と言う。)43Uを有している。H字状係合凸部43HおよびU字状係合凸部43Uは、上下方向(矢印cd方向)における高さの中央において、互いに背向するように反対側へ向かって突出している。
【0045】
吊元側スライダ部43のH字状係合凸部43Hは、折戸パネル10の吊元側パネル11と戸先側パネル12とが折り畳まれた状態(
図1、
図8)において、後述する戸先側上金具50の戸先側スライダ部53のH字状係合凹部53H(
図10)と係合される部分である。因みに、吊元側スライダ部43にH字状係合凹部53Hが形成され、戸先側スライダ部53にH字状係合凸部43Hが形成されていてもよい。
【0046】
図9、
図11および
図14に示すように、吊元側スライダ部43のU字状係合凸部43Uは、上側(矢印c方向)に形成された上側凸部分43Uaと、下側(矢印d方向)に形成された下側凸部分43Ubとを有している。上側凸部分43Uaには、先端から上方(矢印c方向)に向かって突出した側面視三角形状の突起部分43Upが形成されている。
【0047】
突起部分43Upは、上方(矢印c方向)に向かうに連れて先細くなる傾斜面43Upm、43Upn、および、傾斜面43Upmと傾斜面43Upnとを繋ぐ平坦な天面43Upuを有している。なお、下側凸部分43Ubについても、上側凸部分43Uaと同一形状を有している。
【0048】
このように吊元側スライダ部43は、上側半分および下側半分が同一形状を有しているため、吊元側パネル11が開方向(矢印b方向)に取り付けられる場合に限らず、吊元側パネル11が閉方向(矢印a方向)に取り付けられる場合にも左右逆向きにして用いることが可能である。
【0049】
図10に示すように、戸先側上金具50は、戸先側パネル12の裏面12aに埋め込まれた状態で取り付けられるカップ体52と、そのカップ体52と一体に形成されたフランジ部51と、カップ体52に対してアーム部55および軸57を介して回動自在に軸支される戸先側スライダ部53とを有している。
【0050】
戸先側上金具50のフランジ部51は、カップ体52の内部空間52sを囲むように形成されたフランジ状部分であり、4つの貫通孔51hを有している。フランジ部51の貫通孔51hは、カップ体52の内部空間52sに対して上下方向(矢印cd方向)において対象となる位置に設けられている。
【0051】
フランジ部51は、これらの貫通孔51hを介してネジ等によって戸先側パネル12の裏面12aに取り付けられている。このとき、カップ体52は、戸先側パネル12の裏面12aに形成された凹部に嵌め込まれた状態となり、フランジ部51および内部空間52sだけが裏面12aから露出した状態となる。
【0052】
この場合、カップ体52の外形形状は、吊元側上金具40のカップ体42と同様である。したがって、カップ体52についても、吊元側パネル11の裏面11aに形成された凹部と同様に、戸先側パネル12の裏面12aに形成された凹部に嵌め込まれた状態で取り付けられる。
【0053】
戸先側上金具50のカップ体52は、L字状に形成されたアーム部55を収容可能な大きさの内部空間52sを有している。また、カップ体52の内部空間52sには、アーム部55を上下方向(矢印cd方向)にスライド自在に保持する軸57が設けられている。
【0054】
戸先側スライダ部53は、この軸57およびアーム部55を介して上下方向(矢印cd方向)にスライドできるので、折戸パネル10の吊元側パネル11を下側金具30の枢軸33に軸支させたときの戸先側パネル12の高さ方向のずれを吊元側スライダ部43と同時に吸収可能である。すなわち、吊元側パネル11と戸先側パネル12の高さは常時揃うことになり、高さ方向のアンバランスが生じることはない。
【0055】
アーム部55は、断面コ字状の本体55aと、その本体55aの端部から軸57へ向かって伸びる2本の細い薄板状の腕片55bとを有している。アーム部55の本体55aは、戸先側スライダ部53と接着またはビス等の締結具により一体に取り付けられている。このアーム部55においても、吊元側上金具40のアーム部45と同一構造を有しているため、説明を省略する。
【0056】
戸先側スライダ部53は、略直方体形状を有し、ガイドレール20の脱落防止壁部23と接触可能な状態でスライダ受部22に保持される。また、戸先側スライダ部53は、
図11に示すように、四隅に4個のローラ53rが取り付けられている。これにより戸先側スライダ部53は、戸先側パネル12と一体となった状態においてガイドレール20のレール部21上を長手方向へ移動可能となる。
【0057】
戸先側スライダ部53は、吊元側スライダ部43のH字状係合凸部43Hと対向する一端側の位置に、当該H字状係合凸部43Hと係合するための凹部空間が設けられている。戸先側スライダ部53では、その凹部空間において上側(矢印c方向)および下側(矢印d方向)から互いに近づくように延びる矩形状の係合片53pu、53pdが形成されており、これらの係合片53pu、53pdによってH字状係合凹部53Hが画成される。
【0058】
2つの係合片53pu、53pdは、所定の幅および高さを有し、上下方向(矢印cd方向)において互いに接触していない。すなわち2つの係合片53pu、53pdは、H字状係合凸部43Hと係合可能な幅および高さを有している。したがって、戸先側スライダ部53におけるH字状係合凹部53Hは、正面視H形状の空間となっている。
【0059】
戸先側スライダ部53においても、上側半分および下側半分が同一形状を有している。これにより戸先側スライダ部53は、戸先側パネル12が閉方向(矢印a方向)に取り付けられる場合に限らず、戸先側パネル12が開方向(矢印b方向)に取り付けられる場合にも左右逆にして用いることが可能である。
【0060】
図11(A)および(B)に示すように、吊元側スライダ部43のH字状係合凸部43Hと、戸先側スライダ部53においてH字状係合凹部53Hを画成する2つの係合片53pu、53pdとは、互いに係合することが可能である。
【0061】
したがって、折戸パネル10の吊元側パネル11および戸先側パネル12が折り畳まれた状態において(
図1、
図8)、吊元側スライダ部43と戸先側スライダ部53とが互いに係合される。この係合状態においては、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53は、上下方向(矢印cd方向)および奥行方向(矢印ef方向)の移動が規制されており、折戸パネル10の施工を容易にしている。
【0062】
図12に示すように端部係合部品60は、壁体W1の上壁面W1aに取り付けられたガイドレール20の両側端部に取り付けられる部品である。ここでは、吊元側パネル11の側に設けられた端部係合部品60について説明する。
【0063】
端部係合部品60は、略直方体形状からなる本体部61を有し、図中手前側(矢印f方向)から奥側(矢印e方向)へ貫通した2つの貫通孔61hが上下方向(矢印cd方向)に沿って形成されている。端部係合部品60は、本体部61の貫通孔61hを介してボルト等の締結具によりガイドレール20に取り付けられる。
【0064】
端部係合部品60の本体部61は、吊元側スライダ部43と対向する正面61aと、その正面61aとは背向する背面61bとを有している。本体部61の背面61bは、ガイドレール20に対して端部係合部品60が取り付けられた際、吊元側上金具40の吊元側スライダ部43等を隠蔽する役割を担う。すなわち端部係合部品60は、化粧パネルとしても機能する。
【0065】
端部係合部品60における本体部61の正面61aには、吊元側スライダ部43のU字状係合凸部43Uと係合する係合体63が形成されている。係合体63は、吊元側スライダ部43の上側凸部分43Uaに向かって突出した上側突出片64、下側凸部分43Ubに向かって突出した下側突出片65、上側突出片64と下側突出片65との中間であって吊元側スライダ部43の上側凸部分43Uaと下側凸部分43Ubとの間の凹空間に挿入される2つの挿入片67を有している。
【0066】
端部係合部品60の係合体63における上側突出片64は、側面視略L字状に形成されており、その先端部分に吊元側スライダ部43の上側凸部分43Uaと接触するテーパー面64aを有している。また上側突出片64は、下側(矢印d方向)へ僅かに飛び出した凸部64gを有している。
【0067】
図11および
図14に示すように、上側突出片64は、先端から上方(矢印c方向)へ起立した起立片64pを有している。上側突出片64の起立片64pは、端部係合部品60の係合体63と吊元側スライダ部43のU字状係合凸部43Uとが係合した際、吊元側スライダ部43の天面43tと、当該起立片64pの天面64ptとがほぼ面一になるように高さが設定されている。ただし、これに限らず、起立片64pが天面64ptよりも僅かに高くなっていてもよく、また、起立片64pよりも天面64ptが僅かに高くなっていてもよい。なお、テーパー面64aは、凸部64gを画成する一面であり、起立片64pと凸部64gとを繋いでいる。
【0068】
このような構成の端部係合部品60においては、係合体63の凸部64gと吊元側スライダ部43の上側凸部分43Ua、および、係合体63の下側突出片65と吊元側スライダ部43の下側凸部分43Ubとが係合されると(
図14(B))、吊元側スライダ部43の上方(矢印c方向)への移動が規制される。
【0069】
なお、戸先側パネル12の側に対して設けられた端部係合部品60については、吊元側パネル11の端部係合部品60における係合体63(上側突出片64、下側突出片65、挿入片67)が設けられていない点を除いて同じ構造を有しており、単に化粧カバーとして機能している。ただし、これに限らず、吊元側パネル11の側の端部係合部品60と同様に係合体63が設けられていてもよい。
【0070】
図13に示すように、カバー70は、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53を上方(矢印c方向)から覆うとともに、
図14(C)に示すように、端部係合部品60の係合体63における上側突出片64、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53の上方(矢印c方向)への移動を規制する部材である。
【0071】
カバー70は、壁体W1の上壁面W1aに取り付けられる薄板状の取付板71と、取付板71の上下方向(矢印cd方向)における所定位置から折戸パネル10に向かって延びる薄板状の蓋板72と、蓋板72の折戸パネル側の端部から下方(矢印d方向)へ向かって延びる薄板状の壁板73とを有している。
【0072】
カバー70は、取付板71、蓋板72および壁板73が長手方向に同じ長さを有する金属または樹脂からなり、取付板71、蓋板72および壁板73が一体に形成されている。
【0073】
カバー70の取付板71は、壁体W1の上壁面W1aに対してビス等の締結具または接着により一体に取り付けられる板状部材である。カバー70の蓋板72は、取付板71の上下方向(矢印cd方向)における中央よりも僅かに下方(矢印d方向)にシフトした位置から折戸パネル10に向かって延びる板状部材であり、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53を覆う部分である。なお、取付板71においては、蓋板72よりも上方(矢印c方向)の取付板上部分71a、蓋板72よりも下方(矢印d方向)の取付板下部分71bと以下称し、取付板上部分71aおよび取付板下部分71bが壁体W1の上壁面W1aに対して取り付けられる。
【0074】
カバー70の壁板73は、カバー70が壁体W1の上壁面W1aに取り付けられた際、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53の奥行方向(矢印ef方向)の倒れやガタつきを抑制する壁として機能する板状部材である。なお、壁板73と取付板71との間隔は、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53の幅よりも僅かに大きい。この場合、
図16(A)および(B)に示すように、カバー70の壁板73とガイドレール20のレール部21とによって吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53が挟み付けられるようになっている。
【0075】
このような構成の折戸装置1の施工手順について次に説明する。折戸パネル10を壁体W1の開口OPに対して施工する際、
図1に示すように、吊元側パネル11および戸先側パネル12を折り畳む。このとき、
図11(A)および(B)に示すように、吊元側パネル11の吊元側スライダ部43と、戸先側パネル12の戸先側スライダ部53とを互いに係合させる。かくして、吊元側パネル11と、戸先側パネル12とが平行な状態となり、折戸パネル10をガイドレール20に載せ易くなる。
【0076】
そして、折戸パネル10の吊元側パネル11の底面に形成された受金具の軸受に対し、下側金具30の枢軸33を軸支させることにより、吊元側パネル11が枢軸33により回動自在に軸支された状態が形成される。ここで、吊元側パネル11および戸先側パネル12は、吊元側スライダ部43と戸先側スライダ部53との係合状態によって一体化されているため、折戸パネル10が枢軸33により回動自在に軸支された状態となる。
【0077】
続いて、
図15(A)および(B)に示すように、吊元側パネル11における吊元側上金具40の吊元側スライダ部43、および、戸先側パネル12における戸先側上金具50の戸先側スライダ部53を壁体W1の上壁面W1aに固定されたガイドレール20のスライダ受部22に載せる。
【0078】
その後、
図14(A)および(B)に示すように、端部係合部品60と吊元側上金具40の吊元側スライダ部43とを係合させることにより仮施工状態とする。このとき、折戸パネル10がガイドレール20から脱落しない状態が形成される。
【0079】
実際上、
図14(B)に示すように、折戸パネル10は、吊元側パネル11が枢軸33によって下側(矢印d方向)から軸支されると共に、吊元側スライダ部43がガイドレール20に保持され、かつ、端部係合部品60に係合されているので、折戸パネル10がガイドレール20から脱落しない安定した仮施工状態が維持される。
【0080】
なお、
図14(D)に示すように、端部係合部品60と吊元側上金具40の吊元側スライダ部43との係合状態は、吊元側スライダ部43が端部係合部品60から離れる方向へ移動されることにより、端部係合部品60の上側突出片64が上方(矢印c方向)へ弾性変形し、吊元側スライダ部43の上側凸部分43Uaとの係合状態が容易に解除される。
【0081】
続いて、
図16(A)および(B)に示すように、吊元側パネル11における吊元側上金具40の吊元側スライダ部43、および、戸先側パネル12における戸先側上金具50の戸先側スライダ部53を上方(矢印c方向)から覆うようにカバー70を被せる。
【0082】
このとき、
図14(C)に示すように、カバー70の蓋板72によって、端部係合部品60の起立片64pの天面64pt、吊元側スライダ部43の天面43t、および、戸先側スライダ部53の天面とが上方(矢印c方向)から覆われる。その状態において、カバー70の取付板71が壁体W1の上壁面W1aに固定される。かくして折戸装置1は、折戸パネル10がガイドレール20に対して本固定された状態となる。
【0083】
この本固定状態では、端部係合部品60と吊元側スライダ部43との係合状態が維持され、吊元側パネル11は壁体W1の上壁面W1aに対して吊元側上金具40のアーム45により回動するもののスライドすることはないので、吊元側スライダ部43についてもガイドレール20上を走行することはない。
【0084】
図14(C)に示すように、カバー70が取り付けられた場合、カバー70の蓋板72によって端部係合部品60の上側突出片64が上方(矢印c方向)へ移動することが抑制される。同時に、カバー70の蓋板72によって吊元側スライダ部43の上方(矢印c方向)への移動についても抑制され、かつ、戸先側パネル12の戸先側スライダ部53についても上方(矢印c方向)への移動が抑制される。
【0085】
因みに、折戸装置1では、カバー70が一度取り付けられてしまえば、取り外されることは想定されていないので、折戸パネル10がガタつくことなく安定した状態でガイドレール20上を走行することになる。
【0086】
図16(A)および(B)に示したように、折戸装置1では、吊元側パネル11の吊元側スライダ部43および戸先側パネル12の戸先側スライダ部53がガイドレール20によって下方(矢印d方向)から保持されると共に、カバー70によって上方(矢印c方向)から保持されることになる。かくして折戸装置1は、吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53がガタついたり、上方(矢印c方向)へ浮き上がることを予め抑制し、折戸パネル10の開閉動作を安定かつ滑らかに行わせることができる。
【0087】
以上の構成によれば、折戸装置1は、折戸パネル10を安定した状態で走行させると共に、吊元側上金具40および戸先側上金具50が折戸パネル10の裏面に取り付けられていて露出することがないので、見た目が損なわれることのない優れた外観デザインを有することができる。
【0088】
また、折戸装置1は、従来のように折戸パネル10の上側(矢印c方向)に何も飛び出ていないため、折戸パネル10の高さが壁体W1の開口OPに対して上限がなく、天井に到達しない高さの折戸パネル10であれば取り付けることができる。すなわち、壁体W1の開口OPに対して天井に到達しない高さの折戸パネル10であれば取り付けることが可能であるため、汎用性を向上させることができる。
【0089】
(3)他の実施の形態
なお、上述した本実施の形態においては、吊元側上金具40の吊元側スライダ部43、戸先側上金具50の戸先側スライダ部53を左右逆にしても兼用できるように上側部分および下側部分を同一形状の上下対称とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、上下対称ではない独自の形状を有する吊元側スライダ部43および戸先側スライダ部53を用いるようにしてもよい。
【0090】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の折戸装置1を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1…折戸装置、10…折戸パネル、11…吊元側パネル、12…戸先側パネル、20…ガイドレール、21…レール部、22…スライダ受部、23…脱落防止壁部、30…下側金具、31…取付板、32…固定板、33…枢軸、40…吊元側上金具、41…フランジ部、42…カップ体、43…吊元側スライダ部、43H…H字状係合凸部、43U…U字状係合凸部、45…アーム部、47…軸、50…戸先側上金具、51…フランジ部、52…カップ体、53…戸先側スライダ部、55…アーム部、57…軸、60…端部係合部品、61…本体部、63…係合体、64…上側突出片、65…下側突出片、67…挿入片、70…カバー、71…取付板、72…蓋板、73…壁板、W1…壁体、W1a…上壁面。