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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004365
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】サイドバイザー
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20230110BHJP
   B62D 35/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B60J3/00 C
B62D35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105992
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】314014184
【氏名又は名称】DNP田村プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】森 高徳
(72)【発明者】
【氏名】堀井 昭宏
(57)【要約】
【課題】サイドバイザーからの剥離流れを分散させることで、風切音の低減が可能なサイドバイザーを提供することにある。
【解決手段】サイドバイザー1は、自動車Vのフロントドアの窓枠2に取付可能で、窓枠2に取付手段を介して取り付けられる長尺帯状の鍔部3と、鍔部3に沿って長尺帯状に形成された庇体4とを含んでなり、窓枠2の前側の傾斜部分に沿う傾斜バイザー部5aと、窓枠2の後側の水平部分に沿う水平バイザー部5bとが形成され、傾斜バイザー部5aの外面に、走行風Wを上方及び外方へ誘導するための凹状の誘導部6が設けられる。また、傾斜バイザー部5は、外面に複数の誘導部6を備え、複数の誘導部6が、取付状態で、車体の前方から後方へかけて車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面7と、車体の前方から後方へかけて上り傾斜する第2の誘導面8とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロントドアの窓枠に取付可能で、前記窓枠に取付手段を介して取り付けられる長尺帯状の鍔部と、前記鍔部に沿って長尺帯状に形成された庇体とをを含んでなり、前記窓枠の前側の傾斜部分に沿う傾斜バイザー部と、前記窓枠の後側の水平部分に沿う水平バイザー部とが形成されたサイドバイザーであって、
前記傾斜バイザー部の外面に、走行風を異なる方向へ誘導するための凹状又は凸状の誘導部が、一体又は別体に設けられることを特徴とするサイドバイザー。
【請求項2】
前記傾斜バイザー部は、外面に複数の前記誘導部を備え、
複数の前記誘導部のうち、少なくとも1が、前記取付状態で、車体の前方から後方へかけて前記車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面、又は前記車体の前方から後方へかけて上り又は下り傾斜する第2の誘導面を備えることを特徴とする請求項1に記載のサイドバイザー。
【請求項3】
前記傾斜バイザー部は、外面に複数の前記誘導部を備え、
複数の前記誘導部が、前記取付状態で、少なくとも1は車体の前方から後方へかけて前記車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面を備え、少なくとも1は前記車体の前方から後方へかけて上り又は下り傾斜する第2の誘導面を備えることを特徴とする請求項1に記載のサイドバイザー。
【請求項4】
前記第1の誘導面及び前記第2の誘導面は、1つの誘導部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のサイドバイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に取り付けられ、走行時の風切音の低減を可能とするサイドバイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の側面窓枠にサイドバイザーを取り付けた場合、自動車の走行に伴い、サイドバイザーにおける側面窓枠の前縁に取り付けられた部分を通過した気流(以下、剥離流れとも言う)によってサイドガラスの表面上に生じる渦が風切音発生の原因の1つであると考えられている。そして、渦が大きくなり渦による負圧が高まるほど、風切音は大きくなる。この、渦に起因する風切音を抑制するため、特許文献1には、サイドバイザーの鍔部(庇体)の延出方向中間部から延出端(後端)に向かうに従ってサイドガラスから離間するように形成された傾斜面を備えるサイドバイザーが開示されている。特許文献1では、気流を傾斜面に沿わせてサイドガラスから一旦離し、風切音の原因となる渦を庇体の延出端から延出方向、且つサイドガラス表面から法線方向に離れた位置で形成させ、渦による負圧を低下させることで、風切音を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-22130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のようなサイドバイザーでは、渦の発生位置は変わるが、生じる渦の大きさ自体は変わらない。そのため、風切音の低減効果は限定的といえる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、サイドバイザーからの剥離流れを分散させることで、風切音の低減が可能なサイドバイザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、自動車のフロントドアの窓枠に取付可能で、窓枠に取付手段を介して取り付けられる長尺帯状の鍔部と、鍔部に沿って長尺帯状に形成された庇体とを含んでなり、窓枠の前側の傾斜部分に沿う傾斜バイザー部と、窓枠の後側の水平部分に沿う水平バイザー部とが形成されたサイドバイザーであって、傾斜バイザー部の外面に、走行風を異なる方向へ誘導するための凹状又は凸状の誘導部が、一体又は別体に設けられることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、傾斜バイザー部は、外面に複数の誘導部を備え、複数の誘導部のうち、少なくとも1が、取付状態で、車体の前方から後方へかけて車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面、又は車体の前方から後方へかけて上り又は下り傾斜する第2の誘導面を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1の構成において、傾斜バイザー部は、外面に複数の誘導部を備え、複数の誘導部が、取付状態で、少なくとも1は車体の前方から後方へかけて車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面を備え、少なくとも1は車体の前方から後方へかけて上り又は下り傾斜する第2の誘導面を備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、第1の誘導面及び第2の誘導面は、1つの誘導部に設けられていること特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、誘導部による誘導で走行風に任意の指向性を付与し、各誘導部に沿った向きの異なる誘導風として所定方向へ向かわせることで、サイドバイザーからの剥離流れを分散・分割できるため、剥離流れに起因する渦も分散・分割される。これにより、分散・分割された渦は、従来の渦よりも小さくなり、渦によって生じる負圧も低減される。従って、風切音を低減できる。
請求項2,3又は4に記載の発明によれば、走行風を、第1の誘導面によって車体外側方向へ向かう外方誘導風、第2の誘導面によって上方へ向かう上方誘導風とすることができる。これにより、剥離流れを効率的に分散・分割することができる。従って、風切音をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のサイドバイザーの説明図であって、(a)は斜視、(b)は前端近傍の拡大図、(c)は(b)の丸枠M1内部を示す拡大図である。
図2】本発明のサイドバイザーの寸法を説明する説明図であって、(a)は図1(b)のA-A線端面図、(b)は図1(b)のB-B線端面図である。
図3】サイドバイザー周辺の風の流れを示す説明図であって、(a)は従来のサイドバイザー上の流れ、(b)は本発明のサイドバイザー上の流れ、(c)は(b)のC-C線端面で見た風の流れである。
図4】本発明のサイドバイザーの変形例1を示す説明図であって、(a)は前端近傍の拡大図、(b)は変形例1のサイドバイザー上の風の流れである。
図5】本発明のサイドバイザーの変形例2を示す説明図であって、(a)は斜視、(b)は前端近傍の拡大図、(c)は(b)の丸枠M2内部を示す拡大図である。
図6】変形例2のサイドバイザーの寸法を説明する説明図であって、(a)は図5(b)のD-D線端面図、(b)は図5(b)のE-E線端面図である。
図7】変形例2のサイドバイザー周辺の風の流れを示す説明図であって、(a)は変形例2のサイドバイザー上の流れ、(b)は(a)のF-F線端面で見た風の流れである。
図8】変形例3のサイドバイザーの別の形態を示す説明図であって、(a)は前端近傍の拡大図、(b)は変形例3のサイドバイザー上の風の流れ、(c)は(b)のG-G線端面で見た風の流れである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のサイドバイザーの説明図であって、(a)は斜視、(b)は前端近傍の拡大図、(c)は(b)の丸枠M1内部を示す拡大図である。
図2は、本発明のサイドバイザーの寸法を説明する説明図であって、(a)は図1(b)のA-A線端面図、(b)は図1(b)のB-B線端面図である。
サイドバイザー1は、図1(a)に示すように、図示しない取付手段を介して自動車Vのフロントドアの窓枠2に取り付けられる。サイドバイザー1は、長尺帯状の鍔部3と、鍔部3に沿って長尺帯状に形成された庇体4とを含み、窓枠2の前側の傾斜部分に沿う傾斜バイザー部5aと、窓枠2の後側の水平部分に沿う水平バイザー部5bが形成されている。
【0010】
サイドバイザー1は、図1(b)に示すように、傾斜バイザー部5aにおける庇体4の外面に、窓枠2への取付状態で、車体後方へ向けて延びる側面視略四角形状で、縦断面倒コ字形状の凹状の誘導部6が設けられている。誘導部6の外面(底面)は、前端縁が鍔部3と庇体4との境界線と同一レベルであり、後述する複合誘導面9を経て庇体4の外面と同一レベルとなる。誘導部6は、傾斜バイザー部5aの傾斜方向における長尺方向に沿って、上下方向に所定の間隔をおいて3つ隣設されている。
誘導部6は、後端縁に沿って、走行風を外方へ向けて誘導するために、車体の前方から後方へかけて車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面7が形成されている。また、誘導部6の下端縁に沿って、走行風を上方へ向けて誘導するため、車体の前方から後方へかけて上り傾斜する第2の誘導面8が形成されている。第1の誘導面7と第2の誘導面8とは折れ線を介して連続しており、車体前方に位置する第1の誘導面7と、第1の誘導面7の後方に位置する第2の誘導面8とで複合誘導面9を形成している。
【0011】
図2(a)に示す第1の誘導面7の傾斜角度θ1は、窓枠2への取付状態において、車体の前後を結ぶ中心線との平行線L2を基準に、90°≦θ1<180°の範囲で設定され、好ましくは135°≦θ1<170°の範囲で設定される。
また、図1(c)に示す第2の誘導面8の傾斜角度α1は、窓枠2への取付状態において、地面との平行線L1を基準に、1°≦α1<90°の範囲で設定され、好ましくは5°≦α1≦45°の範囲で設定される。図2(b)に示す第2の誘導面8の傾斜角度α1-1は、凹状の誘導部6の底面を基準に、90°≦α1-1≦135°の範囲で設定される。
また、図2(a)に示す誘導部6の底面と庇体4の外表面との陥没幅D1は、誘導部6の底面(ここでは平行線L2)を基準に、1mm≦D1≦100mmの範囲で設定され、好ましくは5mm≦D1≦13mmで設定される。
なお、誘導面の角度を測定する場合は、誘導面上の任意に2点を結ぶ直線を基準に角度を測定する。製品面(誘導部の底面など)が基準となる場合は、基準となる面上の任意の2点を結ぶ直線を基準とする。
また、各部の各傾斜角度は、それぞれの設定範囲内において、各部の全域にわたって同じ値で設定されても良いし、設定値を変化させても良い。
【0012】
続いて、サイドバイザー1を取り付けた自動車Vにおけるサイドバイザー1周辺の走行中の風の流れについて説明する。
図3は、サイドバイザー周辺の風の流れを示す説明図であって、(a)は従来のサイドバイザー上の流れ、(b)は本発明のサイドバイザー上の流れ、(c)は(b)のC-C線端面で見た風の流れである。
従来のサイドバイザーSを装着した自動車における走行風Wは、図3(a)に示すように、庇体4の外面上を一様に流れて、その後、一様にサイドバイザーSから剥離する。そのため、剥離流れに起因する渦が大きくなり、生じる負圧も大きくなるため、風切音が大きくなる。
【0013】
一方、サイドバイザー1を装着した自動車における走行風Wは、誘導部6の複合誘導面9によって外方誘導風O及び上方誘導風Uとして誘導される。すなわち、図3(c)に示すように、第1の誘導面7によって走行風Wは、外方誘導風Oとして車体外側方向へ向けて誘導される。また、図3(b)に示すように、第2の誘導面8によって、走行風は、上方誘導風Uとして誘導される。このように、走行風Wは、誘導部6によって外方誘導風O、上方誘導風U及び誘導されなかった走行風Wに分散・分割される。走行風Wから分散・分割された外方誘導風O及び上方誘導風Uは、流れ方向及び剥離する箇所が誘導されなかった走行風Wと異なるため、走行風Wが庇体4の外面上を一様に流れた場合の剥離流れと比べ、外方誘導風O、上方誘導風U及び誘導されなかった走行風Wからの剥離流れは疎らになり、細かな流れとなる。従って、外方誘導風O、上方誘導風U及び誘導されなかった走行風Wからの剥離流れに起因する渦は、走行風Wが庇体4の外面上を一様に流れた際に生じる渦よりも小さなものとなる。すなわち、剥離流れに起因する渦によって生じる負圧も小さくなる。よって、風切り音を低減することができる。また、第1の誘導面7及び第2の誘導面8を複合誘導面9として、連続して設けることで、外方誘導風O及び上方誘導風Uが滑らかな誘導風となるため、効果的に風切音を低減させることができる。
【0014】
上記形態のサイドバイザー1は、自動車Vのフロントドアの窓枠2に取付可能で、窓枠2に取付手段を介して取り付けられる長尺帯状の鍔部3と、鍔部3に沿って長尺帯状に形成された庇体4とを含んでなり、窓枠2の前側の傾斜部分に沿う傾斜バイザー部5aと、窓枠2の後側の水平部分に沿う水平バイザー部5bとが形成され、傾斜バイザー部5aの外面に、走行風Wを上方及び外方へ誘導するための凹状の誘導部6が設けられる。
このようにして構成されるサイドバイザー1によれば、誘導部6による誘導で走行風Wに任意の指向性を付与し、向きの異なる外方誘導風O及び上方誘導風Uとして車体外側方向及び上方向へ向かわせることで、サイドバイザー1からの剥離流れを分散・分割できるため、剥離流れに起因する渦も分散・分割される。これにより、分散・分割された渦は、従来の渦よりも小さくなり、渦によって生じる負圧も低減される。従って、風切音を低減できる。
【0015】
また、傾斜バイザー部5は、外面に複数の誘導部6を備え、複数の誘導部6が、取付状態で、車体の前方から後方へかけて車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面7と、車体の前方から後方へかけて上り傾斜する第2の誘導面8とを備える。
さらに、第1の誘導面7及び第2の誘導面8は、1つの誘導部6に設けられている。
よって、走行風Wを、第1の誘導面7によって車体外側方向へ向かう外方誘導風O、第2の誘導面8によって上方へ向かう上方誘導風U、及び誘導されなかった走行風Wとすることができる。これにより、剥離流れを効率的に分散・分割することができる。従って、風切音をより低減することができる。
【0016】
図4は、本発明のサイドバイザーの変形例1を示す説明図であって、(a)は前端近傍の拡大図、(b)は風の流れを示す説明図である。
サイドバイザー1aは、図4(a)に示すように、傾斜バイザー部5aにおける庇体4の外面に、窓枠2への取付状態で、車体後方へ向けて延びる帯状で、縦断面倒コ字形状の凹状の誘導部6aが設けられている。誘導部6aには、下端縁に沿って、第2の誘導面8が庇体4の後端(下端)縁まで延設される。
【0017】
上述のように構成されるサイドバイザー1a周辺の走行中の風の流れは、図4(b)に示すように、走行風Wが、第2の誘導面8によって大きく上方に向けて誘導された上方誘導風Uと、前後方向に帯状となった誘導部6aの底面によって上方に向けて誘導される誘導風U’と、誘導されなかった走行風Wとに分散・分割される。これにより、剥離流れに起因する渦が小さくなり、渦によって生じる負圧も小さくなる。よって、風切音を低減することができる。
【0018】
図5は、本発明のサイドバイザーの変形例2を示す説明図であって、(a)は斜視、(b)は前端近傍の拡大図、(c)は(b)の丸枠M2内部を示す拡大図である。
図6は、変形例2のサイドバイザーの寸法を説明する説明図であって、(a)は図5(b)のD-D線端面図、(b)は図5(b)のE-E線端面図である。
サイドバイザー1bは、図5(a),(b)に示すように、傾斜バイザー部5aの外面に、窓枠2への取付状態で、車体後方へ向けて延びる側面視略四角形状で、縦断面四角形状の凸状の誘導部6bが設けられている。誘導部6bは、傾斜バイザー部3aの傾斜方向における長尺方向に沿って、上下方向に所定の間隔をおいて3つ隣設されている。
【0019】
誘導部6bは、後方へ向かうにつれて外側への突出幅が増大し、誘導部6bの外面が、走行風を外方へ向けて誘導するために、車体の前方から後方へかけて車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面7として機能する。また、誘導部6bの上端縁に沿って、走行風を上方へ向けて誘導するため、車体の前方から後方へかけて上り傾斜する第2の誘導面8が形成されている。
【0020】
図6(a)に示す第1の誘導面7の傾斜角度θ2は、窓枠2への取付状態において、平行線L2を基準に、90°≦θ2<180°の範囲で設定され、好ましくは135°≦θ2<170°の範囲で設定される。
また、図5(c)に示す第2の誘導面8の傾斜角度α2は、窓枠2への取付状態において、平行線L1を基準に、1°≦α2<90°の範囲で設定され、好ましくは5°≦α2≦45°の範囲で設定される。図6(b)に示す第2の誘導面8の傾斜角度α2-1は、庇体4の外表面を基準に、90°≦α2-1≦135°の範囲で設定される。
さらに、図6(a)に示す誘導部6bの後端の傾斜角度θ2-1は、庇体4の外表面を基準に90°≦θ2-1≦135°の範囲で設定される。図6(b)に示す誘導部6bの下端の傾斜角度α2-2は、庇体4の外面を基準に、90°≦α2-2≦135°の範囲で設定される。
なお、各部の各傾斜角度は、それぞれの設定範囲内において、各部の全域にわたって同じ値で設定されても良いし、設定値を変化させても良い。
【0021】
図6(b)に示す誘導部6bの幅長Hは、図5(b)に示す最小幅長H1と最大幅長H2との間で任意の値に設定される。ここで、最小幅長H1は、誘導部6bの上下方向幅が最も小さくなる位置での幅長Hを指す。最大幅長H2は、誘導部6bの上下方向幅が最も大きくなる位置での幅長Hを指す。最小幅長H1と最大幅長H2とは、H1≦H2<H1×30の関係を満たす。また、最小幅長H1は、5mm以上であることが望ましい。
一方、図6(b)に示す隣接する誘導部6bと誘導部6bとの間隔hは、図5(b)に示す最小間隔h1と最大間隔h2との間で任意の値に設定される。ここで、最小間隔h1は、誘導部6bと誘導部6bとの間で上下方向幅が最も小さくなる位置での間隔hを指す。最大間隔h2は、誘導部6bと誘導部6bとの間で上下方向幅が最も大きくなる位置での間隔hを指す。最小間隔h1と最大間隔h2とは、h1≦h2<h1×12の関係を満たす。また、最小間隔h1は、2mm以上であることが望ましい。
なお、誘導部6bの幅長Hは、図5(b)に示すように、窓枠2への取付状態における前方側の幅長Hを後方側の幅長Hより大きくし、前方から後方にかけて徐々に幅長Hが小さくなるものとしても良いし、前方側の幅長Hを後方側の幅長Hより小さくし、前方から後方にかけて徐々に幅長Hが大きくなるものとしても良い。
また、誘導部6bと誘導部6bとの間隔hも同様に、窓枠2への取付状態における前方側の間隔hを後方側の間隔hより小さくし、前方から後方にかけて徐々に間隔hが大きくなるものとしても良いし、前方側の間隔hを後方側の間隔hより大きくし、前方から後方にかけて徐々に間隔hが小さくなるものとしても良い。
【0022】
図6(a),(b)に示す誘導部6bの庇体4の外面(ここでは平行線L2)からの突出幅D2は、1mm≦D2≦100mmの範囲で設定され、好ましくは5mm≦D2≦13mmで設定される。
また、突出幅D2は、誘導部6bの下方の突出幅D2aと上方の突出幅D2bとにおいて、D2a≦D2bの関係を満たす。
【0023】
続いて、サイドバイザー1bを取り付けた自動車Vにおけるサイドバイザー1b周辺の走行中の風の流れについて説明する。
図7は、変形例2のサイドバイザー周辺の風の流れを示す説明図であって、(a)は変形例1のサイドバイザー上の流れ、(b)は(a)のF-F線端面で見た風の流れである。
サイドバイザー1bを装着した自動車における走行風Wは、図7(a),(b)に示すように、誘導部6bによって外方誘導風O及び上方誘導風Uとして誘導される。すなわち、図7(b)に示すように、第1の誘導面7によって走行風Wは、外方誘導風Oとして車体外側方向へ向けて誘導される。また、図7(a)に示すように、第2の誘導面8によって、走行風は、上方誘導風Uとして誘導される。このように、走行風Wは、誘導部6bによって外方誘導風O、上方誘導風U及び誘導されなかった走行風Wとして分散・分割される。これにより、剥離流れに起因する渦が小さくなり、渦によって生じる負圧も小さくなる。よって、風切音を低減することができる。
【0024】
図8は、変形例3のサイドバイザーの別の形態を示す説明図であって、(a)は前端近傍の拡大図、(b)は変形例3のサイドバイザー上の風の流れ、(c)は(b)のG-G線端面で見た風の流れである。
サイドバイザー1cに形成された凸状の誘導部6cは、図8(a)に示すように、車体への取付状態で、庇体4の後端(下端)縁まで延設される。誘導部6cは、後方へ向かうにつれて外側への突出幅が増大し、誘導部6cの外面が、走行風を外方へ向けて誘導するために、車体の前方から後方へかけて車体の左右方向外側へ傾斜する第1の誘導面7として機能する。また、誘導部6cの上端縁に沿って、走行風を上方へ向けて誘導するため、車体の前方から後方へかけて上り傾斜する第2の誘導面8が形成されている。
【0025】
上述のように構成されるサイドバイザー1c周辺の走行中の風の流れは、図8(b)に示すように、走行風Wが、第1の誘導面7によって外方誘導風Oと、第2の誘導面8によって上方に向けて誘導された上方誘導風Uと、誘導されなかった走行風Wとに分散・分割される。これにより、剥離流れに起因する渦が小さくなり、渦によって生じる負圧も小さくなる。よって、風切音を低減することができる。
【0026】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、誘導部は、傾斜バイザー部の外面であれば、どこに設けられても良いし、傾斜バイザー部の外面全体に設けられても良い。ただし、傾斜バイザー部における傾斜方向で中間よりも下方(車体前方側)に設けられることが好ましい。
また、誘導部の設置数は、単数でも複数でも良い。複数も受ける場合、間隔をとらず連設されても良いし、各誘導部の大きさが異なっていても良い。
また、第1の誘導面と第2の誘導面は、連続して設けられても良いし、単独で設けられても良い。連続して設けられる場合、折れ線を介さず連続しても良いし、例えば前方から後方に向けて外側に傾斜すると共に、上下方向でも傾斜する形状とする等しても良い。
また、第2の誘導面は、走行風を下方に向けて誘導するために、取付状態で車体前方から後方に向けて下り傾斜するものであっても良い。
また、誘導部は、平面で形成されても、曲面で形成されても良い。
また、誘導部は、サイドバイザーと一体成形されても良いし、サイドバイザーとは別体として成形されたものを、溶接等の固定手段により固定することで、庇体上に設けられても良い。
また、誘導部は、凹状でも凸状でも良く、複数の誘導部を設ける場合、それらの組み合わせであっても良い。
また、誘導部の形状は、誘導面が形成されていれば、側面視で略四角形状以外にも、多角形状、円形状、扇形状等であっても良いし、その陥没幅(突出幅)は均一でも不均一でも良い。さらに、変形例1のように帯状である場合、断面形状は倒コ字形状(四角形状)に限定されず、V字形状(三角形状)、U字形状(半円形状)等であっても良い。
また、誘導部を凹状とする場合、窓枠への取付状態で庇体の車体側で誘導部に相当する箇所に凸部が形成されても良い。同様に、誘導部を凸状とする場合、庇体の車体側で誘導部に相当する箇所に凹部が形成されても良い。
【符号の説明】
【0027】
1,1a,1b,1c・・サイドバイザー、2・・窓枠、3・・鍔部、4・・庇体、5a・・傾斜バイザー部、5b・・水平バイザー部、6,6a,6b,6c・・誘導部、7・・第1の誘導面、8・・第2の誘導面、V・・自動車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8