(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043662
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】状態推定システム、ダンプトラック、及び状態推定方法
(51)【国際特許分類】
B60P 1/04 20060101AFI20230322BHJP
B60P 1/28 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B60P1/04 K
B60P1/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151402
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 晃
(72)【発明者】
【氏名】山川 達也
(57)【要約】
【課題】ダンプボディの内面の温度を取得すること。
【解決手段】エンジンとエンジンから排出された排ガスが流通する流路を有し積荷が積載されるダンプボディとを備えるダンプトラックの状態推定システムは、流路に流入する排ガスの流量の検出データを示す排ガス流量を取得する排ガス流量取得部と、流路に流入する排ガスの温度の検出データを示す排ガス温度を取得する排ガス温度取得部と、排ガス流量と排ガス温度とに基づいて、積荷と接触するダンプボディの内面の所定部位の温度を示すボディ温度を推定するボディ温度推定部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと前記エンジンから排出された排ガスが流通する流路を有し積荷が積載されるダンプボディとを備えるダンプトラックの状態推定システムであって、
前記流路に流入する前記排ガスの流量の検出データを示す排ガス流量を取得する排ガス流量取得部と、
前記流路に流入する前記排ガスの温度の検出データを示す排ガス温度を取得する排ガス温度取得部と、
前記排ガス流量と前記排ガス温度とに基づいて、前記積荷と接触する前記ダンプボディの内面の所定部位の温度を示すボディ温度を推定するボディ温度推定部と、を備える、
状態推定システム。
【請求項2】
前記所定部位は、前記内面に複数規定され、
前記ボディ温度推定部は、複数の前記所定部位のそれぞれのボディ温度を推定する、
請求項1に記載の状態推定システム。
【請求項3】
前記ボディ温度推定部は、前記排ガス流量と前記排ガス温度とに基づいて、前記ボディ温度が規定温度に到達するまでの所要時間を推定する、
請求項1又は請求項2に記載の状態推定システム。
【請求項4】
前記ダンプボディの周囲の外気の温度の検出データを示す外気温度を取得する外気温度取得部を備え、
前記ボディ温度推定部は、前記排ガス流量と前記排ガス温度と前記外気温度とに基づいて、前記所要時間を推定する、
請求項3に記載の状態推定システム。
【請求項5】
前記ダンプボディの特性を示すボディ特性を記憶するボディ特性記憶部を備え、
前記ボディ温度推定部は、前記排ガス流量と前記排ガス温度と前記外気温度と前記ボディ特性とに基づいて、前記所要時間を推定する、
請求項4に記載の状態推定システム。
【請求項6】
前記積荷の特性を示す積荷特性を記憶する積荷特性記憶部を備え、
前記ボディ温度推定部は、前記排ガス流量と前記排ガス温度と前記外気温度と前記積荷特性とに基づいて、前記所要時間を推定する、
請求項4に記載の状態推定システム。
【請求項7】
前記ダンプトラックのキャブの内部に配置されたディスプレイに前記ボディ温度を表示させるボディ温度表示部を備える、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の状態推定システム。
【請求項8】
前記ボディ温度に基づいて、前記ダンプボディのダンプ動作の適否を判定するダンプ適否判定部を備える、
請求項1又は請求項2に記載の状態推定システム。
【請求項9】
前記ダンプ適否判定部は、前記ボディ温度が規定温度に到達してからの経過時間に基づいて、前記ダンプ動作の適否を判定する、
請求項8に記載の状態推定システム。
【請求項10】
前記積荷の特性を示す積荷特性を記憶する積荷特性記憶部を備え、
前記ダンプ適否判定部は、前記ボディ温度と前記積荷特性とに基づいて、前記ダンプ動作の適否を判定する、
請求項8又は請求項9に記載の状態推定システム。
【請求項11】
前記ダンプボディに積載された前記積荷の重量の検出データを示す積荷重量を取得する積荷重量取得部と、
前記積荷重量に基づいて、前記積荷の体積及び前記積荷の前記ダンプボディの内面との接触面積を推定する積荷状態推定部と、を備え、
前記ダンプ適否判定部は、前記ボディ温度と前記積荷特性と前記積荷の体積と前記積荷の接触面積とに基づいて、前記ダンプ動作の適否を判定する、
請求項10に記載の状態推定システム。
【請求項12】
前記ダンプトラックのキャブの内部に配置されたディスプレイに前記ダンプ適否判定部の判定結果を表示させるダンプ適否表示部を備える、
請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の状態推定システム。
【請求項13】
エンジンと、
前記エンジンからの排ガスが流通する流路を有するダンプボディと、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の状態推定システムと、を備える、
ダンプトラック。
【請求項14】
エンジンと前記エンジンから排出された排ガスが流通する流路を有し積荷が積載されるダンプボディとを備えるダンプトラックの状態推定方法であって、
前記流路に流入する前記排ガスの流量を検出することと、
前記流路に流入する前記排ガスの温度を検出することと、
前記排ガスの流量の検出データを示す排ガス流量を取得することと、
前記排ガスの温度の検出データを示す排ガス温度を取得することと、
前記排ガス流量と前記排ガス温度とに基づいて、前記積荷と接触する前記ダンプボディの内面における所定部位の温度を示すボディ温度を推定することと、を含む、
状態推定方法。
【請求項15】
前記ボディ温度に基づいて、前記ダンプボディのダンプ動作の適否を判定することを含む、
請求項14に記載の状態推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、状態推定システム、ダンプトラック、及び状態推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンプトラックは、積荷が積載されるダンプボディを備える。ダンプボディから積荷を排出する場合、ダンプトラックは、ダンプボディのダンプ動作を実施する。ダンプ動作が実施されると、重力の作用によりダンプボディから積荷が排出される。積荷が湿っている場合、ダンプ動作が実施されても、積荷の少なくとも一部がダンプボディの内面に付着した状態が維持され、ダンプボディから排出されない場合がある。積荷がダンプボディの内面に付着することを抑制するために、ダンプトラックのエンジンから排出された排ガスをダンプボディに設けられている流路に流通させる技術が知られている。ダンプボディの流路を高温度の排ガスが流通することにより、ダンプボディが排ガスで加熱され、積荷が乾燥する。これにより、積荷がダンプボディの内面に付着することが抑制される。特許文献1には、ダンプボディを加熱する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0194260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダンプボディが排ガスで加熱されても、ダンプボディの内面の温度が不明である場合、ダンプ動作を適切なタイミングで実施することが困難となる可能性がある。ダンプボディの内面の温度を検出する温度センサをダンプボディに設置すれば、ダンプボディの内面の温度が明白になるが、ダンプボディのコストが上昇する可能性がある。
【0005】
本開示は、ダンプボディの内面の温度を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、エンジンとエンジンから排出された排ガスが流通する流路を有し積荷が積載されるダンプボディとを備えるダンプトラックの状態推定システムであって、流路に流入する排ガスの流量の検出データを示す排ガス流量を取得する排ガス流量取得部と、流路に流入する排ガスの温度の検出データを示す排ガス温度を取得する排ガス温度取得部と、排ガス流量と排ガス温度とに基づいて、積荷と接触するダンプボディの内面の所定部位の温度を示すボディ温度を推定するボディ温度推定部と、を備える、状態推定システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ダンプボディの内面の温度が取得される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るダンプトラックを示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るダンプボディを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るダンプトラックを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るキャブの内部を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るダンプトラックが稼働する作業現場を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る状態推定システムを示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るダンプボディの内面の所定部位を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る状態推定方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[ダンプトラック]
図1は、実施形態に係るダンプトラック1を示す側面図である。実施形態において、ダンプトラック1は、運転者の運転操作により稼働する有人ダンプトラックである。ダンプトラック1は、リジッドフレーム式のダンプトラックである。
【0011】
図1に示すように、ダンプトラック1は、車体2と、走行装置3と、エンジン6と、ダンプボディ10と、ホイストシリンダ7とを備える。
【0012】
車体2は、ダンプボディ10を支持する。車体2の前部の上部にキャブ9が設けられる。ダンプトラック1の運転者は、キャブ9の内部に搭乗する。
【0013】
走行装置3は、車体2を支持して走行する。走行装置3は、複数の車輪4を有する。前側の車輪4は、操舵輪である。後側の車輪4は、駆動輪である。複数の車輪4のそれぞれにタイヤ5が装着される。車輪4が回転することにより、ダンプトラック1が走行する。
【0014】
エンジン6は、ダンプトラック1の動力源である。走行装置3及びホイストシリンダ7のそれぞれは、エンジン6が発生する動力に基づいて作動する。エンジン6は、車体2の少なくとも一部に支持される。エンジン6は、内燃機関である。エンジン6として、ディーゼルエンジンが例示される。エンジン6は、燃料を燃焼して動力を発生する。燃料が燃焼することにより、エンジン6から排ガスが排出される。
【0015】
ダンプボディ10は、積荷を積載される。ダンプボディ10に積載される積荷として、土砂が例示される。ダンプボディ10の後部の下部は、回転ピン8Pを介して車体2のブラケット8に連結される。ダンプボディ10は、回転ピン8Pを中心に回動可能である。
【0016】
ホイストシリンダ7は、ダンプボディ10を回動させる動力を発生する。ホイストシリンダは、油圧シリンダである。ホイストシリンダ7は、車体2とダンプボディ10との間に配置される。
【0017】
ダンプボディ10は、ホイストシリンダ7の伸縮により、積載姿勢と起立姿勢とに変化する。積載姿勢とは、ダンプボディ10の可動範囲において車体2に最も接近するように下降した姿勢をいう。起立姿勢とは、ダンプボディ10の可動範囲において車体2から最も離隔するように上昇した姿勢をいう。ダンプボディ10が積載姿勢のときに、ダンプボディ10に積荷が積載される。ダンプトラック1は、ダンプボディ10が積載姿勢のときに走行する。ダンプボディ10に積荷が積載された状態で、ダンプボディ10が積載姿勢から起立姿勢に変化することにより、重力の作用によりダンプボディ10から積荷が排出される。
【0018】
実施形態においては、ダンプボディ10に積荷が積載された状態で、ダンプボディ10を積載姿勢から起立姿勢に変化させる動作を適宜、ダンプ動作、と称する。ダンプボディ10のダンプ動作が実施されることにより、ダンプボディ10から積荷が排出される。
【0019】
実施形態において、ダンプボディ10のダンプ動作は、ダンプボディ10を後方に回動させる動作を含む。すなわち、実施形態において、ダンプボディ10は、リアダンプ方式で積荷を後方に排出する。
【0020】
[ダンプボディ]
図2は、実施形態に係るダンプボディ10を示す斜視図である。
図2に示すように、ダンプボディ10は、前板11と、前板11の下端部に接続される底板12と、前板11の左右の端部及び底板12の左右の端部に接続される側板13と、前板11の上端部に接続されるプロテクタ板14とを有する。
【0021】
前板11と底板12と側板13とプロテクタ板14とは、一体である。前板11、底板12、側板13、及びプロテクタ板14のそれぞれは、鉄鋼材料で形成される。
【0022】
ダンプボディ10が積載姿勢において、プロテクタ板14は、キャブ9の上方に配置される。プロテクタ板14の後端部と前板11の上端部とが接続される。前板11の下端部と底板12の前端部とが接続される。
【0023】
側板13は、左右方向において、ダンプボディ10の中心よりも右側及び左側のそれぞれに配置される。側板13は、ダンプボディ10の中心よりも右側に配置され、前板11の右端部及び底板12の右端部のそれぞれに接続される右側板13Rと、ダンプボディ10の中心よりも左側に配置され、前板11の左端部及び底板12の左端部のそれぞれに接続される左側板13Lとを含む。
【0024】
前板11は、前方を向く前面と、前面の反対方向を向く後面とを有する。底板12は、上方を向く底面と、底面の反対方向を向く下面とを有する。
【0025】
側板13は、左右方向において、ダンプボディ10の中心側を向く内面と、内面の反対方向を向く外面とを有する。
【0026】
ダンプボディ10において、積荷が積載される積載空間は、前板11の後面と、底板12の底面と、側板13の内面との間に規定される。積荷は、前板11の後面、底板12の底面、及び側板13の内面の少なくとも一部に接触する。実施形態においては、積荷と接触するダンプボディ10の前板11の後面と底板12の底面と側板13の内面とを適宜、ダンプボディ10の内面、と総称する。
【0027】
ダンプボディ10は、エンジン6から排出された排ガスが導入される導入口21と、エンジン6から排出された排ガスが流通する流路23と、流路23を流通した排ガスが排出される排気口22とを有する。流路23において、導入口21側は排ガスの上流側と同義であり、排気口22側は排ガスの下流側と同義である。
【0028】
導入口21は、前板11の前面に設けられる。導入口21は、前板11の前面の上部の右部に設けられる。なお、導入口21は、左右方向において前面の中央部に設けられてもよい。
【0029】
車体2は、エンジン6から排出された排ガスを導入口21に導く導管を有する。ダンプボディ10が積載姿勢において、導管の出口と導入口21とが接続される。ダンプボディ10が積載姿勢において、エンジン6から排出された排ガスは、導入口21に供給される。ダンプボディ10が起立姿勢において、導管の出口と導入口21とが離れる。ダンプボディ10が起立姿勢において、エンジン6から排出された排ガスは、導管の出口から排出される。
【0030】
排気口22は、底板12の下面に設けられる。排気口22は、底板12の下面の後部に設けられる。なお、排気口22は、側板13の後部に設けられてもよい。
【0031】
流路23は、ダンプボディ10の内部に設けられる。流路23の少なくとも一部は、側板13に設けられる。エンジン6から排出された排ガスは、導入口21から流路23に流入する。流路23を流通した排ガスは、排気口22から排出される。
【0032】
流路23は、右側板13Rの上端部に設けられる第1流路23Aと、前板11と右側板13Rとの境界に設けられる第2流路23Bと、右側板13Rの下端部に設けられる第3流路23Cと、前板11と底板12との境界に設けられる第4流路23Dと、前板11と左側板13Lとの境界に設けられる第5流路23Eと、左側板13Lの上端部に設けられる第6流路23Fと、左側板13Lの下端部に設けられる第7流路23Gとを含む。
【0033】
右側板13Rの上端部及び下端部のそれぞれは、リブのような強度部材を含む。左側板13Lの上端部及び下端部のそれぞれは、リブのような強度部材を含む。第1流路23A、第3流路23C、第6流路23F、及び第7流路23Gは、ダンプボディ10の強度部材に設けられる。
【0034】
第1流路23Aは、右側板13Rの上端部において前後方向に延在する。なお、第1流路23Aは、前後方向に対して傾斜してもよい。第1流路23Aの前端部は、導入口21に接続される。導入口21から第1流路23Aに流入した排ガスは、第1流路23Aの後端部に向かって第1流路23Aを流通する。
【0035】
第2流路23Bは、前板11と右側板13Rとの境界に設けられる。第2流路23Bは、下方に向かって後方に傾斜する。第2流路23Bの上端部は、導入口21に接続される。導入口21から第2流路23Bに流入した排ガスは、第2流路23Bの下端部に向かって第2流路23Bを流通する。
【0036】
第3流路23Cは、右側板13Rの下端部に設けられる。第3流路23Cは、後方に向かって上方に傾斜する。第3流路23Cの前端部は、第2流路23Bの下端部に接続される。第2流路23Bから第3流路23Cに流入した排ガスは、第3流路23Cの後端部に向かって第3流路23Cを流通する。
【0037】
第4流路23Dは、前板11と底板12との境界において左右方向に延在する。第4流路23Dの右端部は、第2流路23Bの下端部に接続される。第2流路23Bから第4流路23Dに流入した排ガスは、第4流路23Dの左端部に向かって第4流路23Dを流通する。
【0038】
第5流路23Eは、前板11と左側板13Lとの境界に設けられる。第5流路23Eは、上方に向かって前方に傾斜する。第5流路23Eの下端部は、第4流路23Dの左端部に接続される。第4流路23Dから第5流路23Eに流入した排ガスは、第5流路23Eの上端部に向かって第5流路23Eを流通する。
【0039】
第6流路23Fは、左側板13Lの上端部において前後方向に延在する。なお、第6流路23Fは、前後方向に対して傾斜してもよい。第6流路23Fの前端部は、第5流路23Eの上端部に接続される。第5流路23Eから第6流路23Fに流入した排ガスは、第6流路23Fの後端部に向かって第6流路23Fを流通する。
【0040】
第7流路23Gは、左側板13Lの下端部に設けられる。第7流路23Gは、後方に向かって上方に傾斜する。第7流路23Gの前端部は、第4流路23Dの左端部に接続される。第4流路23Dから第7流路23Gに流入した排ガスは、第7流路23Gの後端部に向かって第7流路23Gを流通する。
【0041】
第1流路23Aの後端部、第3流路23Cの後端部、第6流路23Fの後端部、及び第7流路23Gの後端部のそれぞれは、底板12の下面に設けられた流路を介して排気口22に接続される。流路23を流通した排ガスは、排気口22から底板12の下方に排出される。
【0042】
エンジン6から導入口21に供給された排ガスは、第1流路23Aと第2流路23Bとに分岐される。これにより、エンジン6の排気抵抗が軽減され、エンジン6の燃料消費率の悪化が抑制される。
【0043】
[排ガスの流れ]
図3は、実施形態に係るダンプトラック1を模式的に示す図である。
図3に示すように、ダンプトラック1は、エンジン6と、導管24と、後処理装置15と、導管25と、ダンプボディ10と、排ガス流量センサ16と、排ガス温度センサ17と、外気温度センサ18と、積荷重量センサ19と、コントローラ60と、出力装置35とを備える。
【0044】
導管24は、エンジン6の排ガス出口6Bと後処理装置15の排ガス入口15Aを接続する。エンジン6の排ガス出口6Bから排出された排ガスは、導管24を流通することにより、後処理装置15に供給される。
【0045】
後処理装置15は、エンジン6から排出された排ガスを浄化する。後処理装置15として、選択触媒と還元剤とを利用して排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を還元して浄化する尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが例示される。
【0046】
導管25は、後処理装置15の排ガス出口15Bとダンプボディ10の導入口21とを接続する。後処理装置15の排ガス出口15Bから排出された排ガスは、導管25を流通することにより、ダンプボディ10の流路23に供給される。
【0047】
後処理装置15から排出され、導入口21を介して流路23に流入した排ガスは、流路23を流通した後、排気口22から排出される。
【0048】
排ガス流量センサ16は、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの流量を検出する。実施形態において、排ガス流量センサ16は、エンジン6の排ガス出口6Bの近傍に配置され、エンジン6の排ガス出口6Bから流出する排ガスの流量を検出する。なお、排ガス流量センサ16は、導管24の中間部に配置されてもよいし、後処理装置15の排ガス入口15Aの近傍に配置されてもよいし、後処理装置15の排ガス出口15Bの近傍に配置されてもよいし、導管25の中間部に配置されてもよい。排ガス流量センサ16は、ダンプボディ10の導入口21の近傍に配置され、導入口21に流入する排ガスの流量を検出してもよい。
【0049】
排ガス温度センサ17は、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの温度を検出する。実施形態において、排ガス温度センサ17は、ダンプボディ10の導入口21の近傍に配置され、導入口21に流入する排ガスの温度を検出する。なお、排ガス温度センサ17は、エンジン6の排ガス出口6Bの近傍に配置され、エンジン6から流出する排ガスの温度を検出してもよい。排ガス温度センサ17は、導管24の中間部に配置されてもよいし、後処理装置15の排ガス入口15Aの近傍に配置されてもよいし、後処理装置15の排ガス出口15Bの近傍に配置されてもよいし、導管25の中間部に配置されてもよい。
【0050】
外気温度センサ18は、ダンプボディ10の周囲の外気の温度を検出する。外気温度センサ18は、例えば車体2の上部に配置される。ダンプボディ10の流路23に排ガスが供給される前において、外気の温度とダンプボディ10の温度とは、実質的に等しい。外気温度センサ18は、外気の温度を検出することによって、流路23に排ガスが供給される前のダンプボディ10の温度を検出することができる。
【0051】
積荷重量センサ19は、ダンプボディ10に積載された積荷の重量を検出する。走行装置3は、後側の車輪4を支持するサスペンションシリンダを有する。実施形態において、積荷重量センサ19は、サスペンションシリンダに配置される。ダンプボディ10の重量は、既知データである。積荷重量センサ19は、ダンプボディ10の重量を検出することによって、ダンプボディ10に積載された積荷の重量を検出することができる。
【0052】
コントローラ60は、コンピュータシステムを含む。コントローラ60は、車体2に搭載される。
【0053】
出力装置35は、所定の出力データを出力する。出力装置35は、キャブ9の内部に配置される。出力装置35は、キャブ9に搭乗した運転者に出力データを提供する。実施形態において、出力装置35は、表示装置を含む。表示装置は、出力データとして表示データを表示する。
【0054】
[キャブ]
図4は、実施形態に係るキャブ9の内部を示す図である。
図4に示すように、キャブ9の内部には、運転シート31、ハンドル32、アクセルペダル33、ブレーキペダル34、出力装置35、及び操作装置40が配置される。
【0055】
キャブ9の内部において、操作装置40の右側には、シガレットライタ36、パワーウインドスイッチ37、サイドランプスイッチ38、及びオプションスイッチ39が配置される。オプションスイッチ39として、フォグランプスイッチ又は回転灯スイッチが例示される。
【0056】
ダンプトラック1の運転者は、運転シート31に着座する。ハンドル32は、ダンプトラック1の進行方向を変更するために運転者に操作される。ハンドル32が操作されることにより、前側の車輪4が操舵される。アクセルペダル33は、走行装置3を加速させるために運転者に操作される。アクセルペダル33が操作されることにより、後側の車輪4の回転速度が上昇して、走行装置3が加速する。ブレーキペダル34は、走行装置3を減速又は停止させるために運転者に操作される。
【0057】
出力装置35は、所定の出力データを運転者に提供する。出力装置35は、出力データとして表示データを表示する表示装置を含む。出力装置35は、表示データを表示するディスプレイ71と、表示コントローラ72とを含む。ディスプレイ71は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。
【0058】
操作装置40は、運転者に操作される。操作装置40は、シフトレバー42、ホイストスイッチ43、パーキングブレーキスイッチ44、及びホイストスイッチロックノブ45を含む。
【0059】
シフトレバー42は、走行装置3の速度段を変更するために操作される。また、シフトレバー42は、ダンプトラック1の前進と後進とを切り換えるために操作される。ホイストスイッチ43は、ホイストシリンダ7を駆動するために操作される。ホイストスイッチ43が操作されることにより、ダンプボディ10がダンプ動作する。パーキングブレーキスイッチ44は、ダンプトラック1のパーキングブレーキを作動させるために操作される。ホイストスイッチロックノブ45は、ホイストスイッチ43を操作不可能にするために操作される。
【0060】
[作業現場]
図5は、実施形態に係るダンプトラック1が稼働する作業現場50を模式的に示す図である。ダンプトラック1は、作業現場50で稼働する自走式のオフロードダンプトラックである。実施形態において、作業現場50は、鉱山である。鉱山とは、鉱物を採掘する事業場をいう。
【0061】
作業現場50は、積込場51と、排土場52と、搬送路53とを有する。積込場51とは、油圧ショベルのような積込機54がダンプトラック1のダンプボディ10に積荷を積み込む積込作業を実施するエリアをいう。排土場52とは、ダンプトラック1がダンプボディ10から積荷を排出する排土作業を実施するエリアをいう。搬送路53とは、積込場51と排土場52とを繋ぐダンプトラック1の通路をいう。ダンプトラック1は、積込場51と排土場52とを往復するように搬送路53を走行する。
【0062】
[状態推定システム]
図6は、実施形態に係る状態推定システム100を示す機能ブロック図である。状態推定システム100は、ダンプトラック1に搭載される。状態推定システム100は、排ガス流量センサ16の検出データと排ガス温度センサ17の検出データとに基づいて、積荷と接触するダンプボディ10の内面の所定部位MPの温度を示すボディ温度Teを推定する。また、状態推定システム100は、推定したボディ温度Teに基づいて、ダンプボディ10のダンプ動作の適否を判定する。
【0063】
図7は、実施形態に係るダンプボディ10の内面の所定部位MPを説明するための図である。上述のように、ダンプボディ10において、積荷が積載される積載空間は、前板11の後面と、底板12の底面と、側板13の内面との間に規定される。積荷と接触するダンプボディ10の内面は、前板11の後面と、底板12の底面と、側板13の内面とを含む。
【0064】
所定部位MPは、ダンプボディ10の内面において状態推定システム100により温度を推定される温度推定点である。所定部位MPは、ダンプボディ10の内面に複数規定される。
図7に示すように、実施形態において、所定部位MPは、ダンプボディ10の内面の10カ所に規定される。複数の所定部位MPのうち、少なくとも一部の所定部位MPは、流路23の近傍に規定される。
【0065】
複数の所定部位MPのうち、第1所定部位MP1、第2所定部位MP2、及び第3所定部位MP3のそれぞれは、前板11の上端部に規定される。左右方向において、第1所定部位MP1は、前板11の右端部に規定され、第2所定部位MP2は、前板11の中央部に規定され、第3所定部位MP3は、前板11の左端部に規定される。
【0066】
複数の所定部位MPのうち、第4所定部位MP4、第5所定部位MP5、及び第6所定部位MP6のそれぞれは、前板11の下端部に規定される。左右方向において、第4所定部位MP4は、前板11の右端部に規定され、第5所定部位MP5は、前板11の中央部に規定され、第6所定部位MP6は、前板11の左端部に規定される。
【0067】
複数の所定部位MPのうち、第7所定部位MP7、及び第8所定部位MP8のそれぞれは、右側板13Rの下端部に規定される。前後方向において、第7所定部位MP7は、右側板13Rの中央部に規定され、第8所定部位MP8は、右側板13Rの後部に規定される。
【0068】
複数の所定部位MPのうち、第9所定部位MP9、及び第10所定部位MP10のそれぞれは、左側板13Lの下端部に規定される。前後方向において、第9所定部位MP9は、左側板13Lの中央部に規定され、第10所定部位MP10は、左側板13Lの後部に規定される。
【0069】
なお、所定部位MPは、ダンプボディ10の内面の10カ所に規定されなくてもよく、任意の複数カ所に規定されてもよい。
【0070】
図6に示すように、状態推定システム100は、排ガス流量センサ16と、排ガス温度センサ17と、外気温度センサ18と、積荷重量センサ19と、コントローラ60と、出力装置35とを有する。
【0071】
コントローラ60は、ボディ特性記憶部61と、積荷特性記憶部62と、排ガス流量取得部63と、排ガス温度取得部64と、外気温度取得部65と、積荷重量取得部66と、ボディ温度推定部67と、積荷状態推定部68と、ダンプ適否判定部69とを備える。
【0072】
出力装置35は、ディスプレイ71と、表示コントローラ72とを有する。表示コントローラ72は、ボディ温度表示部73と、ダンプ適否表示部74とを有する。
【0073】
ボディ特性記憶部61は、ダンプボディ10の特性を示すボディ特性Cbを記憶する。ボディ特性Cbとして、ダンプボディ10の形状、ダンプボディ10の寸法、ダンプボディ10の材質、及びダンプボディ10の熱特性が例示される。ダンプボディ10の熱特性として、ダンプボディ10の熱容量及びダンプボディ10の熱伝達率が例示される。ボディ特性Cbは、ダンプトラック1の諸元から分かる既知データである。ボディ特性Cbは、ボディ特性記憶部61に予め記憶される。
【0074】
積荷特性記憶部62は、ダンプボディ10に積載される積荷の特性を示す積荷特性Csを記憶する。実施形態において、積荷は、土砂を含む。積荷特性Csとして、積荷の材料特性(土質)、積荷の水分量(湿り具合)、及び積荷の温度が例示される。積荷の材料特性として、積荷の成分及び積荷の比重が例示される。積荷特性Csは、積込場51の事前調査から分かる既知データである。積荷特性Csは、積荷特性記憶部62に予め記憶される。積荷特性Csは、積込場51ごとに設定され、積荷特性記憶部62に記憶されていてもよい。また積荷特性Csが、異なる積込場51に向かうごとに管制施設の管理コンピュータから送信されて、積荷特性記憶部62に記憶されてもよい。
【0075】
排ガス流量取得部63は、排ガス流量センサ16の検出データを取得する。排ガス流量センサ16は、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの流量を検出する。排ガス流量取得部63は、排ガス流量センサ16により検出された、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの流量の検出データを示す排ガス流量Dfを取得する。
【0076】
排ガス温度取得部64は、排ガス温度センサ17の検出データを取得する。排ガス温度センサ17は、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの温度を検出する。排ガス温度取得部64は、排ガス温度センサ17により検出された、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの温度の検出データを示す排ガス温度Dtを取得する。排ガス温度Dtは、例えば400[℃]である。
【0077】
外気温度取得部65は、外気温度センサ18の検出データを取得する。外気温度センサ18は、ダンプボディ10の周囲の外気の温度を検出する。外気温度取得部65は、外気温度センサ18により検出された、ダンプボディ10の周囲の外気の温度の検出データを示す外気温度Doを取得する。
【0078】
積荷重量取得部66は、積荷重量センサ19の検出データを取得する。積荷重量センサ19は、ダンプボディ10に積載された積荷の重量を検出する。積荷重量取得部66は、積荷重量センサ19により検出された、ダンプボディ10に積載された積荷の重量の検出データを示す積荷重量Daを取得する。
【0079】
ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、積荷と接触するダンプボディ10の内面の所定部位MPの温度を示すボディ温度Teを推定する。
図7を参照して説明したように、所定部位MPは、ダンプボディ10の内面に複数規定される。ボディ温度推定部67は、複数の所定部位MPのそれぞれのボディ温度Teを推定する。
【0080】
実施形態において、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとボディ温度Teとの相関データ(マップデータ)を保有する。相関データは、事前実験又はシミュレーションに基づいて作成可能である。ボディ温度推定部67は、排ガス流量センサ16により検出された排ガス流量Df及び排ガス温度センサ17により検出された排ガス温度Dtと相関データとを照合することにより、ボディ温度Teを推定することができる。相関データが離散データの場合は、補間によりボディ温度Teを推定してもよい。
【0081】
なお、ダンプボディ10のシミュレーションモデルがボディ温度推定部67に保有されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、ダンプボディ10のシミュレーションモデルについて数値解析を実施することにより、ボディ温度Teを推定してもよい。
【0082】
また、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達するまでの所要時間Prを推定する。ボディ温度Teに係る規定温度Tpは、例えば120[℃]である。例えばボディ温度Teが30[℃]と推定された場合、ボディ温度推定部67は、ボディ温度Teが30[℃]から120[℃]に到達するまでの所要時間Prを推定する。
【0083】
実施形態において、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとボディ温度Teと所要時間Prとの相関データ(マップデータ)を保有する。相関データは、事前実験又はシミュレーションに基づいて作成可能である。ボディ温度推定部67は、排ガス流量センサ16により検出された排ガス流量Df及び排ガス温度センサ17により検出された排ガス温度Dtと相関データとを照合することにより、所要時間Prを推定することができる。
【0084】
なお、ダンプボディ10のシミュレーションモデルがボディ温度推定部67に保有されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、ダンプボディ10のシミュレーションモデルについて数値解析を実施することにより、所要時間Prを推定してもよい。
【0085】
なお、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとに基づいて、所要時間Prを推定してもよい。上述のように、ダンプボディ10の流路23に排ガスが供給される前において、外気の温度とダンプボディ10の温度とは、実質的に等しい。すなわち、外気温度Doは、流路23に排ガスが供給される前のダンプボディ10の温度と実質的に等しい。そのため、外気温度Doは、流路23に排ガスが供給される前のボディ温度Teに係る初期値とみなすことができる。ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとに基づいて、所要時間Prを高精度に推定することができる。排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ温度Teと所要時間Prとの相関データが作成されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Df、排ガス温度Dt、及び外気温度Doと、相関データとを照合することにより、所要時間Prを推定することができる。また、ダンプボディ10のシミュレーションモデルがボディ温度推定部67に保有されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとに基づいて、ダンプボディ10のシミュレーションモデルについて数値解析を実施することにより、所要時間Prを推定することができる。
【0086】
なお、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ特性Cbに基づいて、所要時間Prを推定してもよい。所要時間Prは、ボディ特性Cbに基づいて変化する可能性がある。例えば、流路23を流れる排ガスの熱が所定部位MPに伝わり易いボディ特性Cbの場合、所要時間Prは、短くなる可能性が高い。流路23を流れる排ガスの熱が所定部位MPに伝わり難いボディ特性Cbの場合、所要時間Prは、長くなる可能性が高い。そのため、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ特性Cbとに基づいて、所要時間Prをより高精度に推定することができる。排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ特性Cbとボディ温度Teと所要時間Prとの相関データが作成されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Df、排ガス温度Dt、外気温度Do、及びボディ特性Cbと、相関データとを照合することにより、所要時間Prを推定することができる。また、ダンプボディ10のシミュレーションモデルがボディ温度推定部67に保有されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ特性Cbとに基づいて、ダンプボディ10のシミュレーションモデルについて数値解析を実施することにより、所要時間Prを推定することができる。
【0087】
なお、ダンプボディ10に積荷が積載された場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doと積荷特性Csとに基づいて、所要時間Prを推定してもよい。所要時間Prは、積荷特性Csに基づいて変化する可能性がある。例えば、積荷の水分量が少なかったり積荷の温度が高かったりする場合、所要時間Prは、短くなる可能性が高い。積荷の水分量が多かったり積荷の温度が低かったりする場合、所要時間Prは、長くなる可能性が高い。そのため、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doと積荷特性Csとに基づいて、所要時間Prをより高精度に推定することができる。排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doと積荷特性Csとボディ温度Teと所要時間Prとの相関データが作成されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Df、排ガス温度Dt、外気温度Do、及び積荷特性Csと、相関データとを照合することにより、所要時間Prを推定することができる。また、ダンプボディ10のシミュレーションモデルがボディ温度推定部67に保有されている場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doと積荷特性Csとに基づいて、ダンプボディ10のシミュレーションモデルについて数値解析を実施することにより、所要時間Prを推定することができる。
【0088】
なお、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ特性Cbと積荷特性Csとに基づいて、所要時間Prを推定してもよい。
【0089】
なお、ボディ特性Cbが一定である可能性が高い場合、ボディ特性記憶部61が省略されてもよい。すなわち、上述の相関データにボディ特性Cbが予め加味されてもよいし、上述のシミュレーションモデルにボディ特性Cbが予め加味されてもよい。
【0090】
積荷状態推定部68は、積荷重量Daに基づいて、積荷の体積Vc及び積荷のダンプボディ10の内面との接触面積Acを推定する。
【0091】
ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teに基づいて、ダンプボディ10のダンプ動作の適否を判定する。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teに基づいて、積荷の乾燥具合を推定する。積荷が湿っている場合、ダンプ動作が実施されても、積荷の少なくとも一部がダンプボディ10の内面に付着した状態が維持され、ダンプボディ10から排出されない場合がある。流路23を流通する排ガスによりダンプボディ10が加熱されると、積荷が乾燥して、積荷がダンプボディ10の内面に付着することが抑制される。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが高い場合、積荷の乾燥が達成されていると判定し、ダンプ動作が実施された場合において積荷がダンプボディ10の内面に付着することなくダンプボディ10から排出されると判定する。すなわち、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが高い場合、ダンプ動作の実施が適切であると判定する。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが低い場合、積荷の乾燥が未だ達成されていないと判定し、ダンプ動作が実施された場合において積荷の少なくとも一部がダンプボディ10の内面に付着してダンプボディ10から排出されないと判定する。すなわち、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが低い場合、ダンプ動作の実施が不適切であると判定する。
【0092】
実施形態において、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tp未満のときに、積荷の乾燥が未だ達成されていないと判定し、ダンプ動作の実施が不適切であると判定する。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tp以上のときに、積荷の乾燥が達成されていると判定し、ダンプ動作の実施が適切であると判定する。上述のように、規定温度Tpは、例えば120[℃]である。
【0093】
なお、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達してからの経過時間Ptに基づいて、ダンプ動作の適否を判定してもよい。ボディ温度Teが規定温度Tpに到達した時点においては、積荷の乾燥が未だ達成されていない可能性がある。そのため、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達してからの経過時間Ptが予め定められている規定時間Ppを超えたときに、積荷の乾燥が達成されていると判定して、ダンプ動作の実施が適切であると判定してもよい。
【0094】
なお、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teと積荷特性Csとに基づいて、ダンプ動作の適否を判定してもよい。例えば、積荷の水分量が少ない場合、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達した時点において、積荷の乾燥が達成されている可能性が高い。積荷の水分量が多い場合、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達した時点においては、積荷の乾燥が未だ達成されていない可能性が高い。そのため、ダンプ適否判定部69は、例えば積荷特性Csに基づいて、規定時間Ppを変更してもよい。積荷の水分量が少ない場合、ダンプ適否判定部69は、規定時間Ppを短くする。積荷の水分量が多い場合、ダンプ適否判定部69は、規定時間Ppを長くする。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達してからの経過時間Ptが変更後の規定時間Ppを超えたときに、積荷の乾燥が達成されていると判定して、ダンプ動作の実施が適切であると判定してもよい。
【0095】
なお、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teと積荷特性Csと積荷の体積Vcと積荷の接触面積Acとに基づいて、ダンプ動作の適否を判定してもよい。例えば、積荷の体積Vcが小さい場合又は積荷の接触面積Acが小さい場合、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達した時点において、積荷の乾燥が達成されている可能性が高い。積荷の体積Vcが大きい場合又は積荷の接触面積Acが大きい場合、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達した時点においては、積荷の乾燥が未だ達成されていない可能性が高い。そのため、ダンプ適否判定部69は、例えば、積荷特性Csと積荷の体積Vcと積荷の接触面積Acとに基づいて、規定時間Ppを変更してもよい。積荷の水分量が少ない場合、積荷の体積Vcが小さい場合、又は積荷の接触面積Acが小さい場合、ダンプ適否判定部69は、規定時間Ppを短くする。積荷の水分量が多い場合、積荷の体積Vcが大きい場合、又は積荷の接触面積Acが大きい場合、ダンプ適否判定部69は、規定時間Ppを長くする。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達してからの経過時間Ptが変更後の規定時間Ppを超えたときに、積荷の乾燥が達成されていると判定して、ダンプ動作の実施が適切であると判定してもよい。
【0096】
ディスプレイ71は、表示データが表示される表示画面を含む。ディスプレイ71は、キャブ9の内部に配置される。
【0097】
表示コントローラ72は、出力装置35に配置されたコンピュータシステムを含む。表示コントローラ72は、出力データとしてディスプレイ71に表示データを表示させる。
【0098】
ボディ温度表示部73は、ボディ温度推定部67により推定されたボディ温度Teをディスプレイ71に表示させる。運転者は、ディスプレイ71に表示されたボディ温度Teを確認することにより、ダンプボディ10の内面の加熱具合を認識することができる。
【0099】
ダンプ適否表示部74は、ダンプ適否判定部69の判定結果をディスプレイ71に表示させる。運転者は、ディスプレイ71に表示されたダンプ動作の実施の適否を確認することにより、適切なタイミングでダンプボディ10のダンプ動作を実施することができる。
【0100】
[状態推定方法]
図8は、実施形態に係る状態推定方法を示すフローチャートである。エンジン6が起動されると、エンジン6から排ガスが排出される。エンジン6から排出された排ガスは、流路23に供給される。流路23に流入する排ガスの流量が排ガス流量センサ16により検出される。流路23に流入する排ガスの温度が排ガス温度センサ17により検出される。排ガス流量取得部63は、排ガス流量センサ16から排ガス流量Dfを取得する。排ガス温度取得部64は、排ガス温度センサ17から排ガス温度Dtを取得する(ステップS1)。
【0101】
また、エンジン6が起動された時点のダンプボディ10の周囲の外気の温度が外気温度センサ18により検出される。外気温度取得部65は、外気温度センサ18からエンジン6が起動された時点の外気温度Doを取得する。エンジン6が起動された時点の外気温度Doは、ダンプボディ10が排ガスで加熱される前の温度と実質的に等しい。外気温度Doは、ダンプボディ10が排ガスで加熱される前のボディ温度Teに係る初期値とみなすことができる。
【0102】
ボディ温度推定部67は、ステップS1において取得された排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、ダンプボディ10の内面の所定部位MPのボディ温度Teを推定する。また、ボディ温度推定部67は、ステップS1において取得された排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達するまでの所要時間Prを推定する(ステップS2)。
【0103】
なお、上述のように、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとに基づいて、所要時間Prを推定してもよい。ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ特性Cbに基づいて、所要時間Prを推定してもよい。ダンプボディ10に積荷が積載された場合、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doと積荷特性Csとに基づいて、所要時間Prを推定してもよい。
【0104】
ボディ温度表示部73は、ステップS2において推定されたボディ温度Teをディスプレイ71に表示させる。なお、ボディ温度表示部73は、ステップS2において推定された所要時間Prをディスプレイ71に表示させてもよい(ステップS3)。
【0105】
積込場51において積込作業が実施されることにより、ダンプボディ10に積荷が積載される。ダンプトラック1は、ダンプボディ10に積荷が積載された状態で、積込場51から排土場52に向かって搬送路53を走行する。
【0106】
例えばダンプトラック1が搬送路53を走行している状態で、ダンプ適否判定部69は、ステップS2において推定されたボディ温度Teに基づいて、ダンプボディ10のダンプ動作の適否を判定する(ステップS4)。
【0107】
実施形態において、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tp未満のときに、積荷の乾燥が未だ達成されていないと判定し、ダンプ動作の実施が不適切であると判定する。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tp以上のときに、積荷の乾燥が達成されていると判定し、ダンプ動作の実施が適切であると判定する。
【0108】
なお、上述のように、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達してからの経過時間Ptに基づいて、ダンプ動作の適否を判定してもよい。ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達してからの経過時間Ptが予め定められている規定時間Ppを超えたときに、積荷の乾燥が達成されていると判定して、ダンプ動作の実施が適切であると判定してもよい。
【0109】
なお、上述のように、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teと積荷特性Csとに基づいて、ダンプ動作の適否を判定してもよい。積荷重量取得部66により積荷重量Daが取得され、積荷状態推定部68により積荷の体積Vc及び積荷の接触面積Acが推定された場合、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teと積荷特性Csと積荷の体積Vcと積荷の接触面積Acとに基づいて、ダンプ動作の適否を判定してもよい。
【0110】
ステップS4において、ダンプ動作の実施が適切であると判定された場合、すなわち、ダンプボディ10がダンプ動作したときに積荷がダンプボディ10の内面に付着することが抑制されると判定された場合(ステップS4:Yes)、ダンプ適否表示部74は、ダンプ動作の実施が適切であることをディスプレイ71に表示させる(ステップS5)。
【0111】
ダンプトラック1の運転者は、ディスプレイ71を確認して、ダンプ動作の実施が適切であることを認識することにより、ダンプトラック1を排土場52に到着させた後、ダンプボディ10のダンプ動作を実施することができる。
【0112】
ステップS4において、ダンプ動作の実施が不適切であると判定された場合、すなわち、ダンプボディ10がダンプ動作したときに積荷の少なくとも一部がダンプボディ10の内面に付着する可能性が高いと判定された場合(ステップS4:No)、ダンプ適否表示部74は、ダンプ動作の実施が不適切であることをディスプレイ71に表示させる(ステップS6)。
【0113】
ダンプトラック1の運転者は、ディスプレイ71を確認して、ダンプ動作の実施が不適切であることを認識することにより、ダンプ動作が適切であると判定されるまで、ダンプ動作の実施を待つことができる。
【0114】
[コンピュータシステム]
図9は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述のコントローラ60及び表示コントローラ72のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述のコントローラ60及び表示コントローラ72のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0115】
コンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの流量を検出することと、流路23に流入する排ガスの温度を検出することと、排ガスの流量の検出データを示す排ガス流量Dfを取得することと、排ガスの温度の検出データを示す排ガス温度Dtを取得することと、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、積荷と接触するダンプボディ10の内面における所定部位MPの温度を示すボディ温度Teを推定することと、を実行することができる。
【0116】
また、コンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、ボディ温度Teに基づいて、ダンプボディ10のダンプ動作の適否を判定することを実行することができる。
【0117】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、状態推定システム100は、ダンプボディ10の流路23に流入する排ガスの流量の検出データを示す排ガス流量Dfを取得する排ガス流量取得部63と、流路23に流入する排ガスの温度の検出データを示す排ガス温度Dtを取得する排ガス温度取得部64と、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、積荷と接触するダンプボディ10の内面の所定部位MPの温度を示すボディ温度Teを推定するボディ温度推定部67と、を備える。
【0118】
これにより、例えばダンプボディ10の内面の温度を検出する温度センサをダンプボディ10に設置しなくても、ダンプボディ10の内面のボディ温度Teが取得される。また、実施形態によれば、ダンプボディ10の内面全体の温度(温度分布)が推定されるのではなく、所定部位MPのボディ温度Teが推定されるので、コントローラ60の演算負荷の増大が抑制される。
【0119】
所定部位MPは、ダンプボディ10の内面に複数規定される。ボディ温度推定部67は、複数の所定部位MPのそれぞれのボディ温度Teを推定する。これにより、ダンプボディ10の内面の大まかな温度分布が推定される。
【0120】
ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtとに基づいて、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達するまでの所要時間Prを推定する。これにより、運転者は、所要時間Prを認識することができる。また、運転者は、積荷の乾燥が達成されるまでのおおよその時間を認識することができる。
【0121】
状態推定システム100は、ダンプボディ10の周囲の外気の温度の検出データを示す外気温度Doを取得する外気温度取得部65を備える。これにより、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとに基づいて、所要時間Prを高精度に推定することができる。
【0122】
状態推定システム100は、ダンプボディ10の特性を示すボディ特性Cbを記憶するボディ特性記憶部61を更に備える。これにより、ボディ温度推定部67は、排ガス流量Dfと排ガス温度Dtと外気温度Doとボディ特性Cbとに基づいて、所要時間Prを高精度に推定することができる。
【0123】
状態推定システム100は、ダンプトラック1のキャブ9の内部に配置されたディスプレイ71にボディ温度Teを表示させるボディ温度表示部73を備える。これにより、運転者は、ディスプレイ71に表示されたボディ温度Teを確認することができ、ダンプボディ10の内面の加熱具合を認識することができる。
【0124】
状態推定システム100は、ボディ温度Teに基づいて、ダンプボディ10のダンプ動作の適否を判定するダンプ適否判定部69を備える。これにより、運転者は、ダンプ適否判定部69の判定結果に基づいて、ダンプ動作を適切なタイミングで実施することができる。
【0125】
ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teが規定温度Tpに到達してからの経過時間Ptに基づいて、ダンプ動作の適否を判定する。ボディ温度Teが規定温度Tpに到達した時点においては、積荷の乾燥が未だ達成されていない可能性がある。ダンプ適否判定部69は、経過時間Ptに基づいて、ダンプボディ10のダンプ動作の適否を適切に判定することができる。
【0126】
状態推定システム100は、積荷の特性を示す積荷特性Csを記憶する積荷特性記憶部62を備える。これにより、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teと積荷特性Csとに基づいて、ダンプ動作の適否を適切に判定することができる。
【0127】
状態推定システム100は、ダンプボディ10に積載された積荷の重量の検出データを示す積荷重量Daを取得する積荷重量取得部66と、積荷重量Daに基づいて、積荷の体積Vc及び積荷のダンプボディ10の内面との接触面積Acを推定する積荷状態推定部68とを更に備える。これにより、ダンプ適否判定部69は、ボディ温度Teと積荷特性Csと積荷の体積Vcと積荷の接触面積Acとに基づいて、ダンプ動作の適否をより適切に判定することができる。
【0128】
状態推定システム100は、ダンプトラック1のキャブ9の内部に配置されたディスプレイ71にダンプ適否判定部69の判定結果を表示させるダンプ適否表示部74を備える。これにより、運転者は、ディスプレイ71に表示されたダンプ動作の実施の適否を確認することができ、適切なタイミングでダンプボディ10のダンプ動作を実施することができる。
【0129】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、出力装置35が表示装置を含むこととした。出力装置35は、音声出力装置を含んでもよい。音声出力装置は、出力データとして音声データを出力する。例えばボディ温度Te及びダンプ動作の適否の判定結果が音声データとして出力されてもよい。
【0130】
上述の実施形態においては、コントローラ60が、ボディ特性記憶部61、積荷特性記憶部62、排ガス流量取得部63、排ガス温度取得部64、外気温度取得部65、積荷重量取得部66、ボディ温度推定部67、積荷状態推定部68、及びダンプ適否判定部69のそれぞれの機能を有し、表示コントローラ72が、ボディ温度表示部73及びダンプ適否表示部74のそれぞれの機能を有することとした。コントローラ60の機能の少なくとも一部が表示コントローラ72に設けられてもよいし、表示コントローラ72の機能の少なくとも一部がコントローラ60に設けられてもよい。また、コントローラ60と表示コントローラ72とは、一体でもよい。また、ボディ特性記憶部61、積荷特性記憶部62、排ガス流量取得部63、排ガス温度取得部64、外気温度取得部65、積荷重量取得部66、ボディ温度推定部67、積荷状態推定部68、ダンプ適否判定部69、ボディ温度表示部73、及びダンプ適否表示部74のそれぞれが、別々のハードウエア(コンピュータシステム)により構成されてもよい。
【0131】
上述の実施形態において、ダンプトラック1の外部に配置された外部コンピュータが、コントローラ60の少なくとも一部の機能を有してもよい。外部コンピュータとして、クラウドサーバが例示される。例えば、排ガス流量センサ16の検出データ及び排ガス温度センサ17の検出データが無線通信網を介して外部コンピュータに送信され、外部コンピュータがボディ温度Teを算出したりダンプ動作の適否を判定したりしてもよい。外部コンピュータにおいて算出されたボディ温度Te及びダンプ動作の適否の判定結果が無線通信網を介してダンプトラック1に送信され、出力装置35から出力されてもよい。
【0132】
上述の実施形態においては、ダンプトラック1が運転者の運転操作により稼働する有人ダンプトラックであることとした。ダンプトラック1は、管制施設の管理コンピュータから送信される制御指令に基づいて稼働する無人ダンプトラックでもよい。また、ダンプトラック1は、キャブ9を有しないキャブレスダンプトラックでもよい。また、出力装置35が省略されてもよい。その場合、出力装置35は管制施設に設けられてもよい。また無人ダンプトラックであった場合、ダンプ適否判定部69の判定により、ダンプ動作の実施ができないように制御してもよい。
【0133】
上述の実施形態においては、ダンプトラック1は、リジッドフレーム式であることとした。ダンプトラック1は、アーティキュレート式でもよい。
【0134】
上述の実施形態においては、ダンプトラック1は、リアダンプ方式であることとした。ダンプトラック1は、ダンプボディ10を左方又は右方に傾けることによってダンプボディ10から積荷を排出するサイドダンプ方式でもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…ダンプトラック、2…車体、3…走行装置、4…車輪、5…タイヤ、6…エンジン、6B…排ガス出口、7…ホイストシリンダ、8…ブラケット、8P…回転ピン、9…キャブ、10…ダンプボディ、11…前板、12…底板、13…側板、13R…右側板、13L…左側板、14…プロテクタ板、15…後処理装置、15A…排ガス入口、15B…排ガス出口、16…排ガス流量センサ、17…排ガス温度センサ、18…外気温度センサ、19…積荷重量センサ、21…導入口、22…排気口、23…流路、23A…第1流路、23B…第2流路、23C…第3流路、23D…第4流路、23E…第5流路、23F…第6流路、23G…第7流路、24…導管、25…導管、31…運転シート、32…ハンドル、33…アクセルペダル、34…ブレーキペダル、35…出力装置、36…シガレットライタ、37…パワーウインドスイッチ、38…サイドランプスイッチ、39…オプションスイッチ、40…操作装置、42…シフトレバー、43…ホイストスイッチ、44…パーキングブレーキスイッチ、45…ホイストスイッチロックノブ、50…作業現場、51…積込場、52…排土場、53…搬送路、54…積込機、60…コントローラ、61…ボディ特性記憶部、62…積荷特性記憶部、63…排ガス流量取得部、64…排ガス温度取得部、65…外気温度取得部、66…積荷重量取得部、67…ボディ温度推定部、68…積荷状態推定部、69…ダンプ適否判定部、71…ディスプレイ、72…表示コントローラ、73…ボディ温度表示部、74…ダンプ適否表示部、100…状態推定システム、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、Ac…接触面積、Cb…ボディ特性、Cs…積荷特性、Da…積荷重量、Df…排ガス流量、Do…外気温度、Dt…排ガス温度、MP…所定部位、MP1…第1所定部位、MP2…第2所定部位、MP3…第3所定部位、MP4…第4所定部位、MP5…第5所定部位、MP6…第6所定部位、MP7…第7所定部位、MP8…第8所定部位、MP9…第9所定部位、MP10…第10所定部位、Pp…規定時間、Pr…所要時間、Pt…経過時間、Te…ボディ温度、Tp…規定温度、Vc…体積。