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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043685
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】防音部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 1/08 20060101AFI20230322BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20230322BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20230322BHJP
   B32B 7/08 20190101ALI20230322BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20230322BHJP
   B62D 29/04 20060101ALN20230322BHJP
   B62D 25/04 20060101ALN20230322BHJP
【FI】
B32B1/08 Z
B32B5/18 101
B32B3/24 Z
B32B7/08
B60R13/08
B62D29/04
B62D25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151435
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】杢出 大樹
【テーマコード(参考)】
3D023
3D203
4F100
【Fターム(参考)】
3D023BA02
3D023BD21
3D023BE35
3D203BB53
3D203CA07
3D203CA65
3D203CA84
3D203CB24
4F100AK01B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100DA11A
4F100DA16C
4F100DJ01A
4F100EC10A
4F100EC10B
4F100GB31
4F100JH01A
(57)【要約】
【課題】筒状部材のカバー部材への挿入作業性を良好としつつ、カバー部材の脱落のおそれも効果的に防止する。
【解決手段】防音部材1は、前後方向に延びる対象物の一部を覆う筒状部材2と、筒状部材2の外側を覆うカバー部材3とからなる。筒状部材2は、発泡樹脂で形成され、前後方向に貫通形成されて対象物が挿通可能な第1挿通孔4を有し、カバー部材3は、樹脂で形成され、前後方向に貫通して筒状部材2が挿通可能な第2挿通孔6を有する。そして、筒状部材2に対象物が挿通されない状態では、筒状部材2の外面とカバー部材3の内面との間に、前後方向に延びる隙間10,10が形成され、筒状部材2に対象物が挿通された状態では、筒状部材2の外面とカバー部材3の内面とが接触して隙間10,10が閉塞される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1方向に延びる対象物の少なくとも一部を覆う筒状部材と、前記筒状部材の外側を覆うカバー部材とからなる防音部材であって、
前記筒状部材は、発泡樹脂で形成され、前記第1方向に貫通形成されて前記対象物が挿通可能な第1挿通孔を有する第1筒部を含み、
前記カバー部材は、樹脂で形成され、前記第1方向に貫通して前記第1筒部が挿通可能な第2挿通孔を有する第2筒部を含み、
前記第1筒部に前記対象物が挿通されない状態では、前記第1筒部の外面と前記第2筒部の内面との間に、前記第1方向に延びる隙間が形成され、
前記第1筒部に前記対象物が挿通された状態では、前記第1筒部の外面と前記第2筒部の内面とが接触して前記隙間が閉塞されることを特徴とする防音部材。
【請求項2】
前記隙間は、前記第1筒部に前記対象物が挿通されない状態では、前記第1方向に貫通していることを特徴とする請求項1に記載の防音部材。
【請求項3】
前記隙間は、前記第1方向と直交する断面で見て、前記対象物を中心とした点対称位置に一対形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の防音部材。
【請求項4】
前記対象物は、前記第1筒部に挿通される領域の外形が、前記第1挿通孔よりも大きく形成されており、
前記第1筒部に前記対象物が挿通された状態では、前記第1筒部が圧縮状態となり、前記対象物は、前記第1筒部の圧縮反力によって前記第1筒部内に保持されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防音部材。
【請求項5】
前記第1筒部と前記第2筒部との何れか一方に係合部が形成され、他方に、前記第1筒部を前記第2筒部に挿通させた状態で前記係合部が係合する被係合部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の防音部材。
【請求項6】
前記対象物は、前記第1筒部に挿通される領域において、外方へ突出する突出部を有し、
前記第2筒部は、前記第1筒部が挿通され、且つ前記対象物が前記第1挿通孔に挿通された状態で、前記突出部と対応する位置に被係合部を有し、
前記第1筒部は、前記第2筒部に挿通され、且つ前記対象物が前記第1挿通孔に挿通された状態では、前記突出部によって外方へ部分的に弾性変形して前記被係合部に係合することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の防音部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の構造物等に外装して使用される防音部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の構造物(例えば、動力や駆動源等の振動発生源の支持部材や振動伝達経路の構造部材等)には、筒状の防音部材が外装されている。この防音部材は、対象物(構造物)を覆う樹脂製の筒状部材と、筒状部材の外周を覆う樹脂製で筒状のカバー部材とを積層した二重構造となっている。
このような積層体として、例えば特許文献1には、金属製の筒状体の内側に、ブロー成形によって形成される樹脂製の管状体を挿入してなる筒状積層体が開示されている。ここでは内側の管状体の外周面に形成されたパーティングラインが筒状体の内周面に接触しないように両者の間に間隙を形成することで、管状体の挿入容易性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6667090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防音部材についても、特許文献1のように筒状部材とカバー部材との間に間隙を設定すれば、筒状部材のカバー部材への挿入作業性が良好となる。しかし、間隙を設けると筒状部材とカバー部材との一体性が低下するため、対象物に装着した状態ではカバー部材が筒状部材から脱落してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、筒状部材のカバー部材への挿入作業性を良好としつつ、カバー部材の脱落のおそれも効果的に防止できる防音部材を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、所定の第1方向に延びる対象物の少なくとも一部を覆う筒状部材と、前記筒状部材の外側を覆うカバー部材とからなる防音部材であって、
前記筒状部材は、発泡樹脂で形成され、前記第1方向に貫通形成されて前記対象物が挿通可能な第1挿通孔を有する第1筒部を含み、
前記カバー部材は、樹脂で形成され、前記第1方向に貫通して前記第1筒部が挿通可能な第2挿通孔を有する第2筒部を含み、
前記第1筒部に前記対象物が挿通されない状態では、前記第1筒部の外面と前記第2筒部の内面との間に、前記第1方向に延びる隙間が形成され、
前記第1筒部に前記対象物が挿通された状態では、前記第1筒部の外面と前記第2筒部の内面とが接触して前記隙間が閉塞されることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記隙間は、前記第1筒部に前記対象物が挿通されない状態では、前記第1方向に貫通していることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記隙間は、前記第1方向と直交する断面で見て、前記対象物を中心とした点対称位置に一対形成されることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記対象物は、前記第1筒部に挿通される領域の外形が、前記第1挿通孔よりも大きく形成されており、
前記第1筒部に前記対象物が挿通された状態では、前記第1筒部が圧縮状態となり、前記対象物は、前記第1筒部の圧縮反力によって前記第1筒部内に保持されることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記第1筒部と前記第2筒部との何れか一方に係合部が形成され、他方に、前記第1筒部を前記第2筒部に挿通させた状態で前記係合部が係合する被係合部が形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記対象物は、前記第1筒部に挿通される領域において、外方へ突出する突出部を有し、
前記第2筒部は、前記第1筒部が挿通され、且つ前記対象物が前記第1挿通孔に挿通された状態で、前記突出部と対応する位置に被係合部を有し、
前記第1筒部は、前記第2筒部に挿通され、且つ前記対象物が前記第1挿通孔に挿通された状態では、前記突出部によって外方へ部分的に弾性変形して前記被係合部に係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、隙間によって筒状部材のカバー部材への挿入作業性が良好となる一方、筒状部材の挿入後は隙間が閉塞されるため、カバー部材の脱落のおそれが効果的に防止可能となる。また、対象物に装着した状態では、隙間を閉塞する筒状部材によって音漏れが好適に防止される。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、隙間は、第1方向に貫通しているので、筒状部材のカバー部材への挿入作業性がより良好となる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、隙間は、第1方向と直交する横断面で見て、対象物を中心とした点対称位置に一対形成されるので、筒状部材のカバー部材への挿入作業性がより良好となる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、対象物は、第1筒部の圧縮反力によって第1筒部内に保持されるので、対象物と筒状部材との一体性が高まり、防音部材の脱落がより効果的に防止可能となる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、第1筒部と第2筒部との何れか一方に係合部が形成され、他方に被係合部が形成されているので、筒状部材とカバー部材との一体性が高まり、筒状部材からのカバー部材の脱落がより効果的に防止可能となる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、対象物は、外方へ突出する突出部を有し、第2筒部は、突出部と対応する位置に被係合部を有し、第1筒部が第2筒部に挿通され、且つ対象物が第1挿通孔に挿通された状態では、突出部によって外方へ部分的に弾性変形して被係合部に係合するので、筒状部材に係合突起等の係合部を設けなくても対象物の突出部を利用して筒状部材とカバー部材との抜け止めが行える。また、突出部が弾性変形した筒状部材と係合するため、対象物の脱落防止効果も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】形態1の防音部材の斜視図である。
図2】形態1の防音部材の平面図である。
図3】形態1の防音部材の分解斜視図である。
図4】(A)は図2のA-A線断面図、(B)はB-B線断面図である。
図5】防音部材を対象物に装着した状態の斜視図である。
図6】防音部材を対象物に装着した状態の平面図である。
図7】(A)は図6のC-C線断面図、(B)はD-D線断面図である。
図8】形態2の防音部材及び対象物の斜視図である。
図9】形態2の防音部材の平面図である。
図10】(A)は図9のE-E線断面図、(B)はF-F線断面図である。
図11】防音部材を対象物に装着した状態の斜視図である。
図12】防音部材を対象物に装着した状態の平面図である。
図13】(A)は図12のG-G線断面図、(B)はH-H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1は、防音部材の一例を示す斜視図、図2は平面図、図3は分解斜視図である。なお、説明の便宜上、図1の左下側を前方、右上側を後方として前後左右方向を規定する。
防音部材1は、筒状部材2と、同じく筒状のカバー部材3とを備え、筒状部材2にカバー部材3を外装した二重構造となっている。
筒状部材2は、発泡樹脂(例えばウレタン)で形成され、平面視で前後方向に延びる角筒状となっている。筒状部材2の正面視は、左右方向に長い矩形状となっている。
筒状部材2は、前後方向に貫通する第1挿通孔4を備えている。第1挿通孔4の横断面形状も、左右方向に長い矩形状となっている。筒状部材2の上面には、上方へ突出する平面視正方形状の係合突起5が形成されている。
【0010】
カバー部材3は、樹脂で形成され、平面視で前後方向に延びる角筒状となっている。カバー部材3の前後長さは、筒状部材2の前後長さと略等しくなっている。カバー部材3の正面視も、左右方向に長い矩形状となっている。但し、カバー部材3は、筒状部材2よりも一回り大きい筒状に形成されて、前後方向に貫通する第2挿通孔6を備えている。第2挿通孔6は、筒状部材2が挿通可能な大きさ及び形状を有している。但し、カバー部材3の左右の側面は、前後上下方向で規定される平面でなく、上下辺から上下方向の中央へ向かうに従って左右外側へ曲面状に膨出する膨出部7,7となっている。各膨出部7は、上下方向の中央が最も外側へ膨出している。この膨出部7,7により、カバー部材3の変形防止効果も得られる。
カバー部材3の上面には、筒状部材2の係合突起5が内側から係合可能な平面視正方形状の係合孔8が形成されている。カバー部材3の後端開口には、図4(A)に示すように、全周に亘って内側へ折り返される折り返し部9が形成されている。
【0011】
よって、筒状部材2をカバー部材3の第2挿通孔6に前方から挿通させると、図4(A)に示すように、筒状部材2の後端が折り返し部9に当接して挿通が停止する。このとき係合突起5が内側から係合孔8に係合し、筒状部材2に対してカバー部材3が前後方向に抜け止めされる。
そして、図4(B)に示すように、筒状部材2の左右の外側面とカバー部材3の左右の内側面との間には、前後方向に貫通する一対の隙間10,10が形成される。この隙間10,10により、筒状部材2をカバー部材3に挿通させる際の接触面積が少なくなり、挿入抵抗が減少するため、筒状部材2をカバー部材3に挿通させる作業が楽に行える。
【0012】
以上の如く構成された防音部材1は、図5及び図6図7(A)に示すように、筒状部材2の第1挿通孔4に対象物(例えば、動力や駆動源等の振動発生源の支持部材や振動伝達経路の構造部材等の車両構造物)20が前方又は後方から挿通されることで、対象物20にその一部を覆った状態で装着される。対象物20は、筒状部材2に挿通される領域となる中央部分を含む全体の形状において、左右方向の寸法が、第1挿通孔4の左右方向の寸法よりもやや大きくなっている。そして、対象物20の左右の側面は、カバー部材3の左右の膨出部7,7と同様に、上下辺から上下方向の中央へ向かうに従って左右外側へ曲面状に膨出する側面膨出部21,21となっている。
【0013】
よって、第1挿通孔4に対象物20が挿通されると、側面膨出部21,21によって筒状部材2が左右外側へ押し出される。すると、図7(B)に示すように、筒状部材2の左右の外側面がカバー部材3の左右の内側面に接触して筒状部材2が圧縮され、隙間10,10が閉塞される。こうして隙間10,10が閉塞されることで、対象物20は、筒状部材2の圧縮反力によって筒状部材2に保持される。よって、防音部材1からの対象物20の脱落が抑制される。また、対象物20の挿通前に隙間10,10があっても、挿通後に隙間10,10は閉塞されるため、対象物20で発生する振動等に起因する音が筒状部材2で吸収され、カバー部材3から外側へ音が漏れにくくなる。
【0014】
このように、上記形態1の防音部材1によれば、前後方向(所定の第1方向)に延びる対象物20の一部を覆う筒状部材2と、筒状部材2の外側を覆うカバー部材3とからなり、筒状部材2(第1筒部)は、発泡樹脂で形成され、前後方向に貫通形成されて対象物20が挿通可能な第1挿通孔4を有し、カバー部材3(第2筒部)は、樹脂で形成され、前後方向に貫通して筒状部材2が挿通可能な第2挿通孔6を有する。
そして、筒状部材2に対象物20が挿通されない状態では、筒状部材2の外面とカバー部材3の内面との間に、前後方向に貫通する隙間10,10が形成され、筒状部材2に対象物20が挿通された状態では、筒状部材2の外面とカバー部材3の内面とが接触して隙間10,10が閉塞される。
この構成によれば、隙間10,10によって筒状部材2のカバー部材3への挿入作業性が良好となる一方、筒状部材2の挿入後は隙間10,10が閉塞されるため、カバー部材3の脱落のおそれが効果的に防止可能となる。また、対象物20に装着した状態では、隙間10,10を閉塞する筒状部材2によって音漏れが好適に防止される。
【0015】
特に、隙間10,10は、前後方向と直交する横断面で見て、対象物20を中心とした左右対称(点対称位置)に一対形成されている。
よって、筒状部材2のカバー部材3への挿入作業性がより良好となる。
対象物20は、筒状部材2に挿通される領域の外形が、第1挿通孔4よりも大きく形成されており、筒状部材2に対象物20が挿通された状態では、筒状部材2が圧縮状態となり、対象物20は、筒状部材2の圧縮反力によって筒状部材2内に保持される。
よって、対象物20と筒状部材2との一体性が高まり、防音部材1の脱落がより効果的に防止可能となる。
筒状部材2に係合突起5(係合部)が形成され、カバー部材3に、筒状部材2をカバー部材3に挿通させた状態で係合突起5が係合する係合孔8(被係合部)が形成されている。
よって、筒状部材2とカバー部材3との一体性が高まり、筒状部材2からのカバー部材3の脱落がより効果的に防止可能となる。
【0016】
なお、形態1においては、以下の変更が可能である。
隙間は、筒状部材に対象物が挿通されない状態では、前後方向に貫通する構成としたが、この構成に限らない。例えば、対象物の挿通入口となる前方側は開口する一方、後方側に向かって段階的に開口幅を狭くさせて、後方側では、筒状部材とカバー部材とが隙間なく接触するようにする等、前後方向の一方向に延びる一方、一部が閉塞されて全体としては非貫通となる隙間としてもよい。この場合、カバー部材に筒状部材を挿通させた状態において、前方側の筒状部材がカバー部材からはみ出している場合があっても、対象物を挿通する際に、対象物により、筒状部材が後方側に押し込まれて位置決めされるため、形態1と同等の防音性能を発揮することができる。
係合突起と係合孔とは、一組に限らず、複数組設けてもよい。設置箇所も上面に限らず、下面等であってもよい。両者の形状も、カバー部材の前後方向の抜け止めが可能であれば、平面視正方形状に限らない。例えば平面視円形状や長方形状等であってもよい。
被係合部は、係合孔に限らず、凹部であってもよい。
上記形態1では、筒状部材に係合突起を、カバー部材に係合孔を設けているが、これを逆にして、カバー部材の内面に係合突起を設け、筒状部材の外面に、係合突起が係合する凹部を設けてもよい。
【0017】
[形態2]
次に、本開示の他の形態を説明する。但し、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図8は、防音部材及び対象物の斜視図、図9は防音部材の平面図である。この防音部材1Aにおいて、筒状部材2には、図10にも示すように、上面に係合突起が設けられていない。ここではカバー部材3にのみ係合孔8が設けられている。カバー部材3の上面中央部は、係合孔8に向かって徐々に高くなる傾斜が付与されている。
一方、対象物20において、筒状部材2に挿通される領域の上面で係合孔8に対応する位置には、平面視で係合孔8よりも一回り小さい平面視正方形状の突出部22が上向きに形成されている。
よって、筒状部材2がカバー部材3の第2挿通孔6に挿通された状態では、係合孔8に筒状部材2が係合しない。但し、形態1と同様に、筒状部材2の左右の外側面とカバー部材3の左右の内側面との間には、図10(B)に示すように、前後方向に貫通する一対の隙間10,10が形成される。
【0018】
以上の如く構成された防音部材1Aにおいて、第1挿通孔4に対象物20が挿通されると、図11及び図12図13(A)に示すように、突出部22が内側から筒状部材2を押し上げることで、筒状部材2の上面の一部が上方へ弾性変形して突出し、係合孔8に係合する。この係合により、筒状部材2に対してカバー部材3が前後方向に抜け止めされる。
また、図13(B)に示すように、筒状部材2が左右外側へ圧縮され、外側へ押し出された筒状部材2の左右の外側面がカバー部材3の左右の内側面に接触して隙間10,10を閉塞する。こうして隙間10,10が閉塞されることで、防音部材1Aからの対象物20の脱落が抑制される。また、対象物20で発生する振動等に起因する音が筒状部材2で吸収され、カバー部材3から外側へ漏れにくくなる。
【0019】
このように、上記形態2の防音部材1Aにおいても、筒状部材2のカバー部材3への挿入作業性が良好となると共に、カバー部材3の脱落のおそれも効果的に防止可能となる。また、対象物20に装着した状態では、隙間10,10を閉塞する筒状部材2によって音漏れが好適に防止される。
特に、対象物20は、筒状部材2に挿通される領域において、外方へ突出する突出部22を有し、カバー部材3は、筒状部材2が挿通され、且つ対象物20が第1挿通孔4に挿通された状態で、突出部22と対応する位置に係合孔8(被係合部)を有し、筒状部材2は、カバー部材3に挿通され、且つ対象物20が第1挿通孔4に挿通された状態では、突出部22によって外方へ部分的に弾性変形して係合孔8に係合する。
よって、筒状部材2に係合突起等の係合部を設けなくても対象物20の突出部22を利用して筒状部材2とカバー部材3との前後方向の抜け止めが行える。また、突出部22が弾性変形した筒状部材2と係合するため、対象物20の脱落防止効果も高まる。
【0020】
なお、形態2において、カバー部材に設ける係合孔の位置や数、形状は、上記形態に限らない。係合孔は、対象物に形成される突出部の位置や形状に合わせて、カバー部材の下面に設けたり、複数設けたり、円形状に設けたり等適宜変更できる。
形態2においても、形態1と同様に、隙間は、筒状部材に対象物が挿通されない状態では、一部が閉塞されて前後方向に貫通しない構成としてもよい。
【0021】
以下、形態1,2に共通する変更例を説明する。
筒状部材は、第1筒部のみ備えたものに限らず、対象物に合わせて、第1筒部の前後何れか又は両方の端面に、前後方向へ延びる筒状でない延設部が一体に設けられるような構造であってもよい。
カバー部材も同様で、第2筒部のみ備えたものに限らず、対象物に合わせて、第2部材の前後何れか又は両方の端面に、前後方向へ延びる筒状でない延設部が一体に設けられるような構造であってもよい。カバー部材は、筒状部材と異なる形状であってもよい。
筒状部材は、前後方向に同じ外形となるものに限らない。対象物に合わせて、例えば、平面視が、前後何れかの方向へ向かうに従って幅広となるテーパ状であったり、上下高さが、前後何れかの方向へ向かうに従って高くなる形状であったりしてもよい。カバー部材も同様である。
【0022】
カバー部材の膨出部は、曲面状に膨出する構造に限らない。筒状部材との間に隙間が形成されるものであれば、例えば、正面視で台形状や三角形状等に膨出する形状であってもよい。左右の側面をテーパ状として筒状部材との間の上側又は下側に隙間を部分的に形成してもよい。隙間は、左右対称に形成されてなくてもよい。左右何れか一方のみであってもよい。
隙間の形成位置は左右の側面に限らず、上面や下面であってもよい。隙間は、3カ所以上形成されてもよい。
防音部材は、対象物の一部でなく、対象物の全体を覆う形状であってもよい。
【符号の説明】
【0023】
1,1A・・防音部材、2・・筒状部材、3・・カバー部材、4・・第1挿通孔、5・・係合突起、6・・第2挿通孔、7・・膨出部、8・・係合孔、9・・折り返し部、10・・隙間、20・・対象物、21・・側面膨出部、22・・突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13