(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043687
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】ドレンヒータ・セーバ、および、ドレンヒータ・セーブ方法
(51)【国際特許分類】
F25D 21/08 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
F25D21/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151440
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】521409744
【氏名又は名称】株式会社エコエアソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(72)【発明者】
【氏名】松本 良一郎
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046BA08
3L046CA05
3L046GA01
3L046LA35
3L046MA02
3L046MA03
(57)【要約】
【課題】冷凍設備にドレンヒータが設置されている場合であっても、安全にドレンヒータへの通電を止める時間帯を設け、ドレンヒータによる消費電力を大幅に削減することが可能なドレンヒータ・セーバ、および、ドレンヒータ・セーブ方法を提供する。
【解決手段】ドレンヒータ・セーバ21が、除霜ヒータ13が稼働しているか否かを検出する除霜ヒータ稼働検出部51と、除霜ヒータ稼働検出部51により除霜ヒータ13の稼働が検出されると、タイマーを起動させるとともに、起動させたタイマーのタイムアップを検出するタイマー制御部52と、タイマー制御部52によるタイマーの起動と同時に、ドレンヒータ14への通電を開始するとともに、タイマー制御部52によりタイマーのタイムアップが検出されると、ドレンヒータ14への通電を停止するドレンヒータON/OFFリレー53と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除霜ヒータおよびドレンヒータが設置されている冷凍設備の外部に設置されるドレンヒータ・セーバであって、
前記除霜ヒータが稼働しているか否かを検出する除霜ヒータ稼働検出部と、
前記除霜ヒータ稼働検出部により前記除霜ヒータの稼働が検出されると、タイマーを起動させるとともに、前記起動させたタイマーのタイムアップを検出するタイマー制御部と、
前記タイマー制御部による前記タイマーの起動と同時に、前記ドレンヒータへの通電を開始するとともに、前記タイマー制御部により前記タイマーのタイムアップが検出されると、前記ドレンヒータへの通電を停止するドレンヒータON/OFFリレーと、
を備えることを特徴とするドレンヒータ・セーバ。
【請求項2】
除霜ヒータおよびドレンヒータが設置されている冷凍設備の外部に設置されるドレンヒータ・セーバにおけるドレンヒータ・セーブ方法であって、
除霜ヒータ稼働検出部が、前記除霜ヒータが稼働しているか否かを検出するステップと、
タイマー制御部が、前記除霜ヒータ稼働検出部により前記除霜ヒータの稼働が検出されると、タイマーを起動させるステップと、
ドレンヒータON/OFFリレーが、前記タイマー制御部による前記タイマーの起動と同時に、前記ドレンヒータへの通電を開始するステップと、
前記タイマー制御部が、前記起動させたタイマーのタイムアップを検出するステップと、
前記ドレンヒータON/OFFリレーが、前記タイマー制御部により前記タイマーのタイムアップが検出されると、前記ドレンヒータへの通電を遮断するステップ
を備えることを特徴とするドレンヒータ・セーブ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷凍設備に除霜ヒータおよびドレンヒータが設置されている場合の、ドレンヒータ・セーバ、および、ドレンヒータ・セーブ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍庫・冷蔵庫などの冷凍冷蔵設備のユニットクーラーにおいては、熱交換部の除霜のために除霜ヒータが設置されて間欠的に稼働している。その除霜ヒータの稼働によって出てきた除霜水(ドレン)が冷凍冷蔵設備から庫外に排出される時、ドレン管で凍結してしまうと、ドレンがドレンパン(受皿)から溢れてしまうため、ドレン管の凍結を防ぐためのドレンヒータが設置され、ドレン管を加熱している。このドレンヒータは、除霜時のドレン排出の時だけでなく、除霜時以外も常時通電加熱されて庫内の加熱負荷となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、冷凍自動販売機において、除霜中に落ちた氷、水を外部の排水受皿に排水させるために、ドレンを加熱するドレンパンヒータと、ドレンから排水するドレンパイプを加熱する常時通電のドレンパイプヒータとにより、外部の排水受皿に排水させる際の制御を行うドレンヒータ制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のドレンヒータが設置されている冷凍設備やドレンヒータ制御装置では、ドレンヒータ(ドレンパイプヒータ)が常時通電されることによりドレン凍結を防ぐものであるため、冷凍設備に設置されているドレンヒータが大きな電力を消費してしまい、省エネにつながらない、という課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、冷凍設備にドレンヒータが設置されている場合、安全にドレンヒータへの通電を止める時間帯を設け、ドレンヒータによる消費電力を大幅に削減することが可能なドレンヒータ・セーバ、および、ドレンヒータ・セーブ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、除霜ヒータおよびドレンヒータが設置されている冷凍設備の外部に設置されるドレンヒータ・セーバであって、前記除霜ヒータが稼働しているか否かを検出する除霜ヒータ稼働検出部と、前記除霜ヒータ稼働検出部により前記除霜ヒータの稼働が検出されると、タイマーを起動させるとともに、前記起動させたタイマーのタイムアップを検出するタイマー制御部と、前記タイマー制御部による前記タイマーの起動と同時に、前記ドレンヒータへの通電を開始するとともに、前記タイマー制御部により前記タイマーのタイムアップが検出されると、前記ドレンヒータへの通電を停止するドレンヒータON/OFFリレーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明のドレンヒータ・セーバ、または、ドレンヒータ・セーブ方法によれば、冷凍設備にドレンヒータが設置されている場合であっても、安全にドレンヒータへの通電を止める時間帯を設けることができるので、ドレンヒータの加熱負荷が削減されることにより、室外機のドレンヒータによる消費電力を大幅に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一般的な(従来の)冷凍設備の冷凍制御システムの一例を示す構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態1における冷凍設備の冷凍制御システムの一例を示す構成図である。
【
図3】この発明の実施の形態1におけるドレンヒータ・セーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】この発明の実施の形態1におけるドレンヒータ・セーバのドレンヒータ通電部における動作(処理)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、冷凍設備に除霜ヒータおよびドレンヒータが設置されている場合の、ドレンヒータ・セーバ、および、ドレンヒータ・セーブ方法に関するものである。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一般的な(従来の)冷凍設備の冷凍制御システムの一例を示す構成図である。
図1に示すように、この冷凍制御システムは、冷凍設備である冷凍庫1と、冷媒を圧縮・凝縮する室外機2と、コントローラ3と、分電盤4を備えている。
【0012】
冷凍設備である冷凍庫1は、蒸発・冷却(熱交換)を行う室内機であるユニットクーラー10を備えるものである。
ユニットクーラー10の熱交換部12には、ファン11と除霜ヒータ13が設けられている。熱交換部12に霜が付着すると、熱交換効率が下がるので、除霜ヒータ13を、1日に2~4回程度、定期的にタイマーにより一定時間(例えば、15分くらい)加熱して、霜を水滴にする。水滴は、ドレンとしてユニットクーラー10からドレン配管で冷凍庫1の外に排出される。
【0013】
このとき、マイナス20°Cなどの温度である冷凍庫1では、排出されるドレンが凍結して配管に詰まってしまうので、それを防ぐために、ドレンヒータ14がドレン配管に巻き付けられて設置される。そして、ドレンヒータ14は、100Vまたは200Vの電源に接続され、常時通電加熱されることにより、ドレン凍結を防ぐようになっている。
【0014】
この際、ドレンヒータ14に常時通電しておくと、ドレンヒータ14の消費電力が大きくなるだけでなく、冷凍庫1内を加熱することになる。そして、それにより、冷凍庫1内を冷却するため室外機2の負荷が増え、冷凍消費電力が大きくなる。省エネの観点からは、ドレンヒータ14に24時間常時通電するのではなく、ドレン凍結のない時間帯は通電を止めるようにすることが望ましい。しかしながら、ドレンヒータ14への通電を止めた場合、万一配管内で凍結が起こると、ユニットクーラー10からドレンが溢れるおそれがあることや、漏水による商品への損害などが考えられるため、常時通電をはずすことはできない、というのが今までのやり方であった。
【0015】
そこで、この発明の実施の形態では、冷凍設備にドレンヒータが設置されている場合、安全にドレンヒータへの通電を止める時間帯を設け、ドレンヒータによる消費電力を大幅に削減することが可能なドレンヒータ・セーバ、および、ドレンヒータ・セーブ方法を提供するものである。
【0016】
実施の形態1.
図2は、この発明の実施の形態1における冷凍設備の冷凍制御システムの一例を示す構成図である。
図2に示すように、この発明の実施の形態1における冷凍制御システムは、冷凍設備である冷凍庫1と、冷媒を圧縮・凝縮する室外機2と、コントローラ3と、分電盤4と、さらに、ドレンヒータ・セーバ21を備えている。このドレンヒータ・セーバ21は、
図2に示すように、冷凍設備である冷凍庫1の外部に設置されるものである。
なお、
図2においては、
図1に示す従来の冷凍制御システムと対比しやすいように、
図1に示す機器と同じ機器には同様の符号を付して説明する。また、図中の破線は制御信号を、一点鎖線は温度信号および電力信号を示している。
【0017】
冷凍設備である冷凍庫1は、
図1に示した例と同様に、蒸発・冷却(熱交換)を行う室内機であるユニットクーラー10を備えるものである。
ユニットクーラー10の熱交換部12には、
図1に示した例と同様に、ファン11と除霜ヒータ13が設けられている。熱交換部12に霜が付着すると、熱交換効率が下がるので、除霜ヒータ13を、1日に2~4回程度、定期的にタイマーにより一定時間(例えば、15分くらい)加熱して、霜を水滴にする。水滴は、ドレンとしてユニットクーラー10からドレン配管で冷凍庫1の外に排出される。
【0018】
このとき、マイナス20°Cなどの温度である冷凍庫1では、排出されるドレンが凍結して配管に詰まってしまうので、それを防ぐために、ドレンヒータ14がドレン配管に巻き付けられて設置される。そして、ドレンヒータ14は、100Vまたは200Vの電源に接続され、通電されることにより、ドレン凍結を防ぐようになっている点も、
図1に示す例と同じである。
【0019】
すなわち、
図2に示す冷凍制御システムは、
図1に示す従来の冷凍制御システムの構成に加えて、さらに、冷凍設備である冷凍庫1の外部にドレンヒータ・セーバ21を備えている点において、
図1に示す従来の冷凍制御システムとは異なるものである。このドレンヒータ・セーバ21は、除霜ヒータ13、および、ドレンヒータ14に接続(配線)する必要があるため、コントローラ3の近傍に設置することが望ましい。
【0020】
図3は、この発明の実施の形態1におけるドレンヒータ・セーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、このドレンヒータ・セーバ21は、少なくとも、除霜ヒータ稼働検出部51、タイマー制御部52、ドレンヒータON/OFFリレー53からなるドレンヒータ通電部50を備えている。また、ドレン管温度検出部61、ドレンヒータ電力検出部62、冷凍機電力検出部63からなる温度電力確認部60も備えるようにしてもよい。
【0021】
除霜ヒータ稼働検出部51は、除霜ヒータ13が稼働しているかどうか(ONかOFFか)を検出する検出部である。
タイマー制御部52は、除霜ヒータ13の稼働が検出されると、タイマーをドレン水排水に必要な所定の時間T1だけ起動させ、タイムアップした場合(所定の時間T1に達した場合)に、そのタイムアップを検出して出力する制御部である。
【0022】
ドレンヒータON/OFFリレー53は、ドレンヒータ14に対してヒータ電力を通電する。具体的には、ドレンヒータ14に対してON状態になると、ドレンヒータ14に通電する(ドレンヒータ回路を通電状態にする)ことができ、ドレンヒータ14に対してOFF状態になると、ドレンヒータ14への通電を停止する(ドレンヒータ回路を遮断する)ことができる。
【0023】
図4は、この発明の実施の形態1におけるドレンヒータ・セーバのドレンヒータ通電部50における動作(処理)の一例を示すフローチャートである。
ドレンヒータ通電部50の除霜ヒータ稼働検出部51は、常に除霜ヒータ13が稼働しているかどうかをチェックしており、除霜ヒータ13が稼働している(ONである)ことを検出した場合(ステップST1のYESの場合)、タイマー制御部52がタイマーを起動する(ステップST2)。また、そのタイマーの起動と同時に、ドレンヒータON/OFFリレー53が、ドレンヒータ14をONに(ドレンヒータ回路を通電状態に)して、ドレンヒータ14への通電を開始する(ステップST3)。
【0024】
その後、タイマーが所定の時間T1(ここでは、T1=2時間とする)に達するまで(ステップST4のNOの場合)、そのままの状態を保ち、タイマーが所定の時間T1に達した場合、すなわち、タイマー制御部52がタイマーのタイムアップを検出すると(ステップST4のYESの場合)、ドレンヒータON/OFFリレー53が、ドレンヒータ14をOFFに(ドレンヒータ回路を遮断)して、ドレンヒータ14への通電を停止する(ステップST5)。
【0025】
このように、ドレンヒータ・セーバ21のドレンヒータ通電部50が、除霜ヒータ13の稼働中およびその後の一定時間のみドレンヒータ14に通電することにより、安全にドレンヒータ14への通電を止める時間帯を設けることができるので、ドレンヒータ14による消費電力を大幅に削減することができる。また、その結果、ドレンヒータ14の加熱負荷が減り、室外機の消費電力が減って、冷凍設備である冷凍庫1の消費電力も大幅に削減することができる。
【0026】
また、
図3に示すように、ドレンヒータ・セーバ21は、ドレン管温度検出部61、ドレンヒータ電力検出部62、冷凍機電力検出部63からなる温度・電力確認部60も備えるようにしてもよい。
【0027】
ドレン管温度検出部61は、ユニットクーラー10の中のドレン管の温度を検出する検出部であり、ユニットクーラー10の内部に設置されたドレン管温度計15(
図2参照)からの信号を受信して温度を検出する。
ドレンヒータ電力検出部62は、ドレンヒータ14の電力を検出する検出部であり、分電盤4の内部に設置されたドレンヒータ電力計41から、ドレンヒータ14の電力を検出する。
冷凍機電力検出部63は、冷凍庫1の電力を検出する検出部であり、分電盤4の内部に設置された冷凍機電力計42から、冷凍庫1の電力を検出する。
【0028】
ドレン管温度検出部61により、ドレン管の温度が常時計測され、除霜ヒータ13の稼働時およびその後一定時間、ドレン管の温度が零下になっていないかどうかが確認され、万一、零下になっている場合には、アラームが出力される。これにより、何らかの異常が発生していることがわかるので、異常時にもすぐに対応することが可能となる。
【0029】
また、ドレンヒータ電力検出部62および冷凍機電力検出部63により、ドレンヒータ14の電力が削減されていることや、冷凍庫1の電力が削減されていることを確認することができる。これにより、ドレンヒータ・セーバ21を設置したことによる効果を確認することができる。
【0030】
なお、温度電力確認部60において検出した信号については、無線で送信されるように無線送信機22(
図2参照)を用意しておくことにより、インターネットを介して遠隔地においても確認することができる。これにより、ドレンヒータ・セーバ21を設置したことによる効果を、どこからでも常にチェックすることができるようになる。
【0031】
また、
図1および
図2を比較してみてもわかるように、この発明の実施の形態1におけるドレンヒータ・セーバ21は、
図1に示すような従来の(既存の)冷凍制御システムにも後付けすることができ、配線のみ追加・変更すれば機能するものであるため、ドレンヒータ14の交換や冷凍設備(冷凍庫1)の内部の工事をすることなく、電力を削減することができる、という優れた効果を奏するものである。
【0032】
以上のように、この発明の実施の形態1のドレンヒータ・セーバ、または、ドレンヒータ・セーブ方法によれば、冷凍設備にドレンヒータが設置されている場合であっても、除霜ヒータの稼働中およびその後の一定時間のみドレンヒータに通電することにより、安全にドレンヒータへの通電を止める時間帯を設けることができるので、ドレンヒータによる消費電力を大幅に削減することができる。また、その結果、冷凍設備(冷凍庫)のドレンヒータの加熱負荷が削減されることにより、室外機の消費電力も大幅に削減することができる。
【0033】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 冷凍庫(冷凍設備)
2 室外機
3 コントローラ
4 分電盤
10 ユニットクーラー
11 ファン
12 熱交換部
13 除霜ヒータ
14 ドレンヒータ
15 ドレン管温度計
21 ドレンヒータ・セーバ
22 無線送信機
41 ドレンヒータ電力計
42 冷凍機電力計
50 ドレンヒータ通電部
51 除霜ヒータ稼働検出部
52 タイマー制御部
53 ドレンヒータON/OFFリレー
60 温度・電力確認部
61 ドレン管温度検出部
62 ドレンヒータ電力検出部
63 冷凍機電力検出部