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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043690
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】光学データ生成装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20230322BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G01C15/00 105R
G01B11/00 B
G01C15/00 103A
G01C15/00 103D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151448
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 宏一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 稔博
(72)【発明者】
【氏名】石田 哲夫
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065FF04
2F065FF11
2F065FF23
2F065GG04
2F065HH04
2F065MM06
2F065MM13
2F065MM23
2F065PP22
2F065SS13
(57)【要約】
【課題】 撮像対象となる空間の状況に関わらず、光学データ生成時における人の負担を低減させることができる光学データ生成装置を提供する。
【解決手段】 光学データ生成装置1は、台2と、支柱3aと、駆動装置4と、移動軸調整部5と、光学データ生成部6と、を備える。台2は、設置面G1に載置される。支柱3aは、台2の上部に取り付けられて、水平方向に交差する方向に移動可能である。駆動装置4は、1つの移動軸L1に沿って移動する移動体4aを有し、支柱3aに取り付けられている。移動軸調整部5は、移動体4aの移動軸L1の方向を可変とする。光学データ生成部6は、移動体4aに取り付けられて、光を受光することで光学データを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に載置される台と、
前記台の上部に取り付けられて、水平方向に交差する方向に移動可能な支柱と、
1つの移動軸に沿って移動する移動体を有し、前記支柱に取り付けられている駆動装置と、
前記移動体の移動軸の方向を可変とする移動軸調整部と、
前記移動体に取り付けられて、光を受光することで光学データを生成する光学データ生成部と、を備える
光学データ生成装置。
【請求項2】
前記支柱は、前記支柱の軸の周りを360度以上回転可能である
請求項1の光学データ生成装置。
【請求項3】
前記駆動装置に対する前記光学データ生成部の姿勢を可変とする撮像方向調整部を更に備える
請求項1又は2の光学データ生成装置。
【請求項4】
前記撮像方向調整部は、
前記光学データ生成部の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記姿勢検出部の検出結果に応じて、前記光学データ生成部の前記姿勢を変化させる姿勢調整部と、を備える
請求項3の光学データ生成装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、人の操作によって生成されて、前記移動体を制御する移動制御信号を受け取る信号受信部を更に備える
請求項1乃至4のいずれか1つの光学データ生成装置。
【請求項6】
前記光学データ生成部は、前記光学データとして、3次元の測定データを生成する3次元レーザスキャナである
請求項1乃至5のいずれか1つの光学データ生成装置。
【請求項7】
前記移動体に取り付けられて、2次元の撮像データを生成するカメラを更に備える
請求項6の光学データ生成装置。
【請求項8】
前記3次元レーザスキャナの光軸と前記カメラの光軸とは同一方向である
請求項7の光学データ生成装置。
【請求項9】
前記カメラは、前記2次元の撮像データを無線信号で送信する通信機能を備える
請求項7又は8の光学データ生成装置。
【請求項10】
前記光学データ生成部の周りを全周に亘って照明可能な照明装置を更に備える
請求項1乃至9のいずれか1つの光学データ生成装置。
【請求項11】
前記照明装置は、前記駆動装置を囲んで環状に並んで配置された複数の光源を備える
請求項10の光学データ生成装置。
【請求項12】
前記照明装置が発する光の配光を制御する配光制御部を更に備える
請求項10又は11の光学データ生成装置。
【請求項13】
前記照明装置は、配光特性が互いに異なる複数の配光制御部のいずれか1つを、前記配光制御部として交換可能に保持する
請求項12の光学データ生成装置。
【請求項14】
前記台は、3本の脚を有する三脚であり、
前記3本の脚のそれぞれの先端に取り付けられた自在車輪を更に備える
請求項1乃至13のいずれか1つの光学データ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、天井材で隠されている天井裏空間に設置されている墨出し対象物の位置を、該天井材の下面に墨出しするために用いられる墨出し用装置が開示されている。
【0003】
この墨出し用装置は、装置ベースと、ターンテーブルと、スチルカメラと、レーザ距離計と、を備える。装置ベースは、天井材下に設置される。ターンテーブルは、装置ベースに設けられ、上下方向軸周りに水平に回転駆動される。スチルカメラは、ターンテーブルに設けられると共に、天井材の開口部分を介して天井裏空間に配置され、墨出し対象物を撮像する。レーザ距離計は、ターンテーブルに、スチルカメラの撮像方向に向けて設けられると共に、天井材の開口部分を介して天井裏空間に配置され、墨出し対象物の距離を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-181359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の墨出し用装置のような光学データ生成装置は、レーザ距離計などの光学データ生成部を備えており、床面などに設置される。そして、光学データ生成部を、撮像対象となる空間に差し入れることで、空間の光学データを生成する。
【0006】
しかしながら、撮像対象となる空間の周辺が狭所であったり、撮像対象となる空間に敷設部材があったりすると、撮像できない死角が発生することがある。そこで、撮像できない死角が発生した場合には、光学データ生成部の位置を変えながら、複数回の撮像を行う必要がある。しかし、光学データ生成部の位置を変えるには、人が光学データ生成装置を移動させたり、持ち上げたりする必要があり、人の負担が大きかった。
【0007】
本開示の目的は、撮像対象となる空間の状況に関わらず、光学データ生成時における人の負担を低減させることができる光学データ生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る光学データ生成装置は、台と、支柱と、駆動装置と、移動軸調整部と、光学データ生成部と、を備える。前記台は、設置面に載置される。前記支柱は、前記台の上部に取り付けられて、水平方向に交差する方向に移動可能である。前記駆動装置は、1つの移動軸に沿って移動する移動体を有し、前記支柱に取り付けられている。前記移動軸調整部は、前記移動体の移動軸の方向を可変とする。前記光学データ生成部は、前記移動体に取り付けられて、光を受光することで光学データを生成する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本開示は、撮像対象となる空間の状況に関わらず、光学データ生成時における人の負担を低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の光学データ生成装置を示す斜視図である。
図2図2は、同上の光学データ生成装置のジャッキ装置付近を示す一部拡大図である。
図3図3は、同上の光学データ生成装置の照明装置付近を示す一部拡大図である。
図4図4は、同上の光学データ生成装置の光学データ生成部付近を示す一部拡大図である。
図5図5は、同上の光学データ生成装置の電動スライダを示すブロック図である。
図6図6は、同上の光学データ生成装置の死角を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態の第1変形例における照明装置を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態の第2変形例における撮像方向調整部を示すブロック図である。
図9図9Aは、実施形態の第3変形例における三脚を示す斜視図である。図9Bは、図9Aの一部拡大図である。
図10図10は、実施形態の第4変形例における光学データ生成装置を示す斜視図である。
図11図11は、同上の光学データ生成装置を示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、一般に光学データ生成装置に関する。より詳細に、以下の実施形態は、光学データ生成部を備える光学データ生成装置に関する。
【0012】
以下、実施形態に係る光学データ生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
また、以下に説明する実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(1)概要
本実施形態の光学データ生成装置は、天井裏又は床下等の狭い空間(狭所)の3次元計測を行うための光学データを生成する。なお、以降では、光学データ生成の対象となる空間を対象空間と呼ぶことがある。
【0015】
建物のリニューアル工事、並びに建物内の空調設備、換気扇、及び防災機器などのリニューアル工事では、実際の工事に取り掛かる前には建物の天井裏及び床下等の対象空間の現場調査が行われる。
【0016】
例えば天井裏を調査する場合、通常、作業者が脚立に上り、天井パネルに設けられている点検口から天井裏を覗いて、点検口の周辺の寸法計測を行ったり、天井裏の写真撮影を行ったりすることで、天井裏の梁、吊りボルト、ダクト、配管、配線などの敷設部材の配置を調査記録として記録する。リニューアル工事の設計図面は、調査記録に基づいて作成される。建物の建設時の設計図面を入手できれば、現状との差異を現場でその都度確認している。
【0017】
しかしながら、作業者による目視確認では、特に点検口から距離が離れた箇所を正確に確認することは困難であり、見落としも発生しやすくなる。この結果、現場調査を何度もやり直す事態に陥ることがある。さらには、実際のリニューアル工事の施工段階で、事前の調査結果に基づいて作成した設計図面が現状と異なれば、現場で設計図面を修正する手間が生じる。
【0018】
また、作業者による点検口からの目視確認以外の調査方法として、昇降棒の先にカメラを取り付け、昇降棒を伸ばして点検口からカメラを挿入し、対象空間の状況を撮像する方法がある。近年ではカメラの代わりにスキャナ等を用いた3次元計測を行い、コンピュータを用いて3Dモデリングを行って、対象空間の状況をより詳細に可視化する手法が使われている。
【0019】
スキャナ又はカメラ等の光学データ生成部を用いて対象空間を撮像する場合、対象空間に配置されている敷設部材によって、撮像できない死角が発生することがある。そこで、撮像できない死角が発生した場合には、光学データ生成部の位置を変えながら、複数回の撮像を行う必要がある。しかし、光学データ生成部の位置を変えるには、作業者が光学データ生成装置を移動させたり、持ち上げたりする必要があり、作業者の負担が大きかった。また、光学データ生成部を上下方向に移動させる昇降用モータ、及び光学データ生成部を水平方向に移動させる水平移動用モータなどの複数のモータを用いて、光学データ生成部の撮像位置を変えることも可能である。しかしながら、複数の電動モータを有する機構部を狭い点検口に挿入することは、困難であった。
【0020】
そこで、上述の課題を解決するために、図1に示す本実施形態の光学データ生成装置1は、以下の構成を備える。
【0021】
光学データ生成装置1は、台2、支柱3a、駆動装置4、移動軸調整部5、及び光学データ生成部6を備える。
【0022】
台2は、設置面G1に載置される。設置面G1は、床、又は構造物の上面などであり、光学データ生成装置1の設置場所になる。
【0023】
支柱3aは、台2の上部に取り付けられて、水平方向に交差する方向に移動可能である。
【0024】
駆動装置4は、1つの移動軸L1に沿って移動する移動体4aを有し、支柱3aに取り付けられている。
【0025】
移動軸調整部5は、移動体4aの移動軸L1の方向を可変とする。
【0026】
光学データ生成部6は、移動体4aに取り付けられて、光を受光することで光学データを生成する。
【0027】
上述の光学データ生成装置1では、移動体4aは、移動軸L1に沿って移動することが可能である。移動体4aは、支柱3aによって、更に上下方向に沿って移動することができる。さらに、移動軸L1は、移動軸調整部5によって可変となる。
【0028】
したがって、光学データ生成装置1は、移動体4aを1つの移動軸L1に沿って移動させる1自由度の駆動装置4を用いることで、2以上の自由度を有する駆動装置を用いる場合に比べて、小型化を図ることができる。さらに、光学データ生成装置1は、移動軸調整部5によって、移動軸L1の方向を可変とできる。さらに、光学データ生成装置1は、支柱3aによって光学データ生成部6を上下方向に移動させることができる。
【0029】
すなわち、光学データ生成装置1は、小型化を図りながら、光学データ生成部6の上下方向の位置(高さ位置)及び水平方向の位置(水平位置)を調整できる。この結果、光学データ生成装置1は、撮像対象となる空間の状況に関わらず、光学データ生成時における作業者等の人の負担を低減させることができる。
【0030】
(2)詳細
図1に示すように、光学データ生成装置1は、部屋R1の設置面G1に載置される。設置面G1は部屋R1の床面であり、設置面G1の上方には天井パネルP1が対向して配置されている。天井パネルP1には、部屋R1から天井パネルP1の上方の空間である天井裏空間R2にアクセスするための矩形状の点検口P11が形成されている。点検口P11は、1人の人が通れる程度の大きさであり、例えば400mm×400mmの寸法に形成されている。
【0031】
光学データ生成装置1は、台2、ジャッキ装置3、駆動装置4、移動軸調整部5、及び光学データ生成部6を備える。光学データ生成装置1は、撮像方向調整部7、照明ブラケット8、カメラ9、及び照明装置10を更に備える。そして、光学データ生成装置1は、移動軸調整部5によって移動軸L1の方向を調整し、撮像方向調整部7によって光学データ生成部6の撮像方向(光軸方向)を調整した後、ジャッキ装置3によって支柱3aを上方向に移動させて、光学データ生成部6を天井パネルP1の点検口P11に下方から挿入する。さらに、光学データ生成装置1は、駆動装置4によって、天井裏空間R2内の光学データ生成部6を移動軸L1に沿って移動させて、光学データを生成する。
【0032】
(2.1)台
図1に示すように、本実施形態の台2は三脚2Aである。三脚2Aは、台座2a、及び3本の脚2bを備える周知の構造である。
【0033】
台座2aは、円板形状であり、台座2aの下面には3本の脚2bの各基部2cが回動自在に取り付けられている。脚2bは、棒形状であり、脚2bの先端(下端)2dが設置面G1に接触して、台座2aを支持している。脚2bは、軸方向に伸縮自在な構造であってもよい。
【0034】
(2.2)ジャッキ装置
ジャッキ装置3は、台座2aに取り付けられて、上下方向に移動可能な支柱3aを備える。
【0035】
図2に示すように、ジャッキ装置3は、支柱3a、筒体3b、ジャッキ本体3c、及びハンドル3dを備える。
【0036】
支柱3aは、断面を円形状に形成された棒体であり、支柱3aの長手方向は上下方向に沿っている。
【0037】
筒体3bは、円筒形状であり、筒体3bの内部には、支柱3aが上下方向に移動可能に収納されている。
【0038】
ジャッキ本体3cは、筒体3bの上端に取り付けられており、台形ねじ、ラックアンドピニオン機構、又はシリンダ機構などによって支柱3aを上下方向に移動(昇降)させる。支柱3aは、ジャッキ本体3cの上面から上方に突出し、ジャッキ本体3cによって上下方向に移動することで、ジャッキ本体3cの上方において支柱3aの上端の高さ位置が変化する。
【0039】
ハンドル3dは、ジャッキ本体3cに回転可能に取り付けられており、作業者がハンドル3dを回転操作することで、ジャッキ本体3cを動作させて、支柱3aを上下方向に移動(昇降)させる。例えば、ハンドル3dが時計方向に回転すると、ジャッキ本体3cは支柱3aを上方向に移動させ、ハンドル3dが反時計方向に回転すると、ジャッキ本体3cは支柱3aを下方向に移動させる。
【0040】
例えば、ジャッキ本体3cが台形ねじを用いて支柱3aを昇降させる場合、台形ねじの歯の摩擦抵抗がブレーキの機能を果たすことで、支柱3aに駆動装置4及び光学データ生成部6などを取り付けても、支柱3aが落下することなく、支柱3aを支持できる。さらに、作業者の手などが台形ねじに直接触れないように、安全確保かつグリス飛散防止も兼ねて、支柱3aの昇降に合わせて伸縮するジャバラ構造のカバーが支柱3aを覆っていることが好ましい。
【0041】
ジャッキ本体3cは、支柱3aを、支柱3aの軸の周りに回転できるように支持していることが好ましい。さらに、支柱3aの回転可能範囲は、少なくとも360度であることが好ましい。この場合、支柱3aは、支柱3aの軸の周りを360度以上回転可能となる。したがって、支柱3aが軸周りに回転することで、光学データ生成部6の撮像方向を回転させることが可能となり、光学データ生成部6の撮像範囲を容易に調整できる。
【0042】
(2.3)移動軸調整部
図3及び図4に示すように、本実施形態の移動軸調整部5は、水平雲台51と自由雲台52とで構成されている。移動軸調整部5は、駆動装置4の姿勢(方向、角度)を3次元的に調整することで、移動体4aの移動軸L1の方向を調整する。
【0043】
図3に示すように、水平雲台51は支柱3aの上端に取り付けられている。
【0044】
水平雲台51は、円板形状であり、水平面において360度以上の旋回が可能な構造を有する。したがって、水平雲台51は、水平雲台51の上面に取り付けられた自由雲台52を、水平面において支柱3aを中心として回転させることができる。
【0045】
図4に示すように、自由雲台52は、所謂ボール雲台であり、水平雲台51の上面に取り付けられている。本実施形態では、水平雲台51の上面と自由雲台52の下面とに間に照明ブラケット8を挟んだ状態で、自由雲台52は水平雲台51に取り付けられている。
【0046】
自由雲台52は、固定部52a、及び可動部52bを備える。固定部52aは、水平雲台51の上面に照明ブラケット8を介して固定されている。可動部52bは、固定部52aに、固定部52aに対する方向及び角度を変化可能に取り付けられている。可動部52bには駆動装置4が取り付けられており、自由雲台52は、可動部52bが固定部52aに対して変位することで、駆動装置4の姿勢を調整することができる。
【0047】
移動体4aの移動軸L1が鉛直方向に対してなす角を傾斜角とすると、本実施形態では、傾斜角の調整範囲が0度以上、かつ、45度以下となるように、固定部52aに対する可動部52bの可動範囲が設定されている。したがって、移動軸L1は、この調整範囲内で調整可能となる。例えば、傾斜角が0度であれば、移動軸L1は鉛直方向に延びる(図1の破線のL1参照)。傾斜角が45度であれば、移動軸L1は鉛直方向に対して45度の方向に延びる(図1の一点鎖線のL1参照)。
【0048】
本実施形態では、傾斜角の上限値を45度とすることで、作業者は、移動体4aに取り付けられている3Dレーザスキャナ6Aを狭い点検口P11に容易に通すことができる。また、傾斜角の上限値を45度とすることで、水平方向における移動体4aの移動範囲を確保することもできる。すなわち、傾斜角の上限値を45度とすることで、作業者による光学データ生成装置1の移動を容易にし、かつ、3Dレーザスキャナ6Aの移動範囲を確保することができる。
【0049】
そして、移動軸調整部5は、水平雲台51及び自由雲台52によって、駆動装置4の姿勢を3次元的に調整し、移動体4aの移動軸L1の方向を調整する。
【0050】
(2.4)駆動装置
図4に示すように、本実施形態の駆動装置4は電動スライダ4Aである。
【0051】
電動スライダ4Aは、移動体4a、及びケース4bを備える。
【0052】
ケース4bは、長尺の円筒形状である。図5に示すように、ケース4bには、移動体4a、モータ4c、スライダ用バッテリ4d、及び信号受信部4eが収納されている。モータ4cは、スライダ用バッテリ4dを電源として駆動される。スライダ用バッテリ4dは、リチウムイオンバッテリ、又はニッケル水素バッテリなどの二次電池であることが好ましい。スライダ用バッテリ4dは、ケース4bに着脱自在に装着される。なお、スライダ用バッテリ4dは、一次電池であってもよい。
【0053】
移動体4aは、長尺の棒形状のロッドであり、移動体4aの長手方向がケース4bの長手方向に沿うように、ケース4bに収納されている。移動体4aは、モータ4cによって、ケース4bの長手方向に沿って移動する。すなわち、ケース4bの長手方向に沿って延びる仮想的な軸を移動軸L1とすると、移動体4aは、移動軸L1に沿って移動する。移動体4aの移動軸L1の方向は、移動軸調整部5の水平雲台51及び自由雲台52によって調整可能である。
【0054】
そして、電動スライダ4Aは、別体のリモートコントローラ20(図1参照)によって遠隔操作される。リモートコントローラ20は、リモートコントローラ20の操作に応じた無線信号を、移動制御信号として送信する。電動スライダ4Aの信号受信部4eは、無線信号を受信するインタフェース機能を有し、リモートコントローラ20から移動制御信号を受信する。モータ4cは、信号受信部4eが受信した移動制御信号に基づいて動作する。すなわち、作業者は、リモートコントローラ20を操作することで、電動スライダ4Aを遠隔操作して、移動体4aの位置を調整できる。
【0055】
(2.5)撮像方向調整部
図4に示すように、本実施形態の撮像方向調整部7はボールジョイント7Aである。
【0056】
ボールジョイント7Aは、移動体4aの先端に取り付けられている。ボールジョイント7Aの可動部には、光学データ生成部6が取り付けられており、光学データ生成部6の撮像方向を調整することができる。すなわち、ボールジョイント7Aは、電動スライダ4A(駆動装置4)に対する光学データ生成部6の姿勢を可変とすることで、光学データ生成部6の撮像方向(光軸方向)を容易に調整できる。
【0057】
(2.6)光学データ生成部
図4に示すように、本実施形態の光学データ生成部6は3次元レーザスキャナ6Aである。なお、以降では、3次元レーザスキャナ6Aを3Dレーザスキャナ6Aと称する。
【0058】
3Dレーザスキャナ6Aの前面には、レーザ光が透過する透過面6aが形成されており、3Dレーザスキャナ6Aは、透過面6aからビーム状のレーザ光を空間に放射し、点状のスポットを測定点として物体に投影するように構成されている。そして、3Dレーザスキャナ6Aは、物体で反射されたレーザ光を透過面6aを介して受光する。3Dレーザスキャナ6Aは、放射したレーザ光と受光したレーザ光とから物体までの距離を計測することで、光学データとして、距離情報を含む3次元の測定データを生成する。また、3Dレーザスキャナ6Aは、透過面6aが1回転するように回転しながらスキャンすることで、周囲の360度に亘る3次元の測定データを生成することができる。
【0059】
3Dレーザスキャナ6Aは、SDメモリカード、USBメモリ、又は光学ディスクなどの携行型外部記憶装置を着脱可能な構成である。そして、3Dレーザスキャナ6Aは、生成した測定データを携行型外部記憶装置に記憶する。作業者は、携行型外部記憶装置を3Dレーザスキャナ6Aから取り外して、パーソナルコンピュータ、又はタブレット端末などの情報処理装置に装着することで、携行型外部記憶装置に記憶された測定データを利用することができる。また、3Dレーザスキャナ6Aは、生成した測定データを、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した無線通信でデータ収集装置へ送信してもよい。
【0060】
また、3Dレーザスキャナ6Aは、3次元計測を行うだけではなく、各測定点にレーザ光の反射強度をさらに対応付けた点群データを、測定データとして生成することもできる。すなわち、3Dレーザスキャナ6Aは、レーザ光の反射強度を画素値とする濃淡画像(反射強度画像)の画像データを点群データとして生成する機能を有する。点群データは、複数の測定点におけるそれぞれの3次元計測値のデータ及び反射強度のデータを含んでおり、レーザ光の反射強度を画素値とする3次元の濃淡画像(反射強度画像)の画像データに相当する。
【0061】
この種の3Dレーザスキャナ6Aでの距離の計測には、フェイズシフト方式、タイムオブフライト方式、三角測量方式のいずれかが主に用いられている。一例として、フェイズシフト方式は、強度を変調したパルス状のレーザ光を空間に放射し、受光したレーザ光と放射したレーザ光とを干渉させることにより、受光したレーザ光と放射したレーザ光との位相差に相当する情報を抽出する。
【0062】
光学データ生成部6として3Dレーザスキャナ6Aを用いることで、曲面の計測も精度よく実行でき、精度のよい測定データを生成できる。
【0063】
そして、3Dレーザスキャナ6Aは、移動体4aの先端に設けられているボールジョイント7Aに取り付けられている。したがって、3Dレーザスキャナ6Aの撮像方向(光軸方向)は、ボールジョイント7Aによって変化可能であり、3Dレーザスキャナ6Aの撮像方向を調整することができる。
【0064】
また、移動軸調整部5が移動軸L1の方向を調整することで、移動体4aによる3Dレーザスキャナ6Aの移動方向は調整される。さらに、3Dレーザスキャナ6Aの高さ位置は、支柱3aが昇降することによって調整される。
【0065】
すなわち、3Dレーザスキャナ6Aの位置及び姿勢は、支柱3a、移動軸調整部5及び撮像方向調整部7によって3次元的に調整される。
【0066】
3Dレーザスキャナ6Aは、別体のリモートコントローラ20(図1参照)によって遠隔操作される。リモートコントローラ20は、リモートコントローラ20の操作に応じた無線信号を、撮像制御信号として送信する。3Dレーザスキャナ6Aは、無線信号を受信する無線通信部を有し、リモートコントローラ20から撮像制御信号を受信する。3Dレーザスキャナ6Aは、撮像制御信号に基づいて撮像動作(スキャン動作)を行う。すなわち、作業者は、リモートコントローラ20を操作することで、3Dレーザスキャナ6Aを遠隔操作して、3Dレーザスキャナ6Aに3次元の測定データを生成させることができる。
【0067】
(2.7)カメラ
図4に示すように、カメラ9は、3Dレーザスキャナ6Aの透過面6aに、カメラブラケット11によって取り付けられている。カメラブラケット11は、透過面6aのうち、3Dレーザスキャナ6Aのレーザが透過しない箇所に設けられており、本実施形態ではS字状に屈曲した形状である。
【0068】
カメラ9の前面にはレンズ9aが配置されており、レンズ9aの光軸は、3Dレーザスキャナ6Aの透過面6aの光軸と同一方向に延びており、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲(スキャン範囲)とカメラ9の撮像範囲とは一致(又はほぼ一致)する。
【0069】
カメラ9は、モノクロ又はカラーの静止画又は動画を撮像することで、2次元の撮像データを生成する。カメラ9は、生成した撮像データを、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した無線通信でデータ収集装置へ送信する。すなわち、カメラ9は、2次元の撮像データを無線信号で送信する通信機能を備える。データ収集装置は、受信した撮像データをモニタ装置に表示することで、カメラ9が撮像した画像(撮像画像)を作業者に提示する。
【0070】
また、カメラ9は、USBメモリ、またはSDメモリカードなどの携行型外部記憶装置を着脱可能な構成であってもよく、携行型外部記憶装置に撮像データを記憶させてもよい。
【0071】
また、カメラ9は、カメラ用バッテリを搭載しており、カメラ用バッテリを電源として駆動する。カメラ用バッテリは、リチウムイオンバッテリ、又はニッケル水素バッテリなどの二次電池であることが好ましい。なお、カメラ用バッテリは、一次電池であってもよい。
【0072】
(2.8)照明装置
図3及び図4に示すように、照明装置10は、電動スライダ4A(駆動装置4)を囲んで環状に並んで配置された複数の光源10aを備える。
【0073】
具体的に、3つの光源10aは照明ブラケット8に取り付けられている。
【0074】
照明ブラケット8は、水平雲台51の上面と自由雲台52の下面との間に挟み込まれて保持されている。照明ブラケット8は、水平雲台51の上面と自由雲台52の下面との間に挟み込まれている平面状のブラケット基部8a、及びブラケット基部8aの外周縁に等間隔(120度間隔)で設けられた3つの矩形板状の取付片8bを備える。取付片8bは、ブラケット基部8aの外周縁から上方に延びている。3つの取付片8bは、自由雲台52の周囲に120度間隔で位置し、自由雲台52に取り付けられている電動スライダ4Aを水平面において囲んでいる。取付片8bの両側縁のうち、一方の側縁からは側片8cが延びている。
【0075】
取付片8bの外面(自由雲台52に対向している面とは反対の面)には、光源10aが取り付けられている。さらに、光源10aの両側面のうち一方の側面は側片8cに当接している。そして、光源10aは、支柱3aの軸に直交する方向に延びる光軸を有して、支柱3aから離れる方向に照明光を照射する。3つの光源10aの各光軸は、水平面において120度間隔で位置するように形成されている。したがって、照明装置10は、3Dレーザスキャナ6A(光学データ生成部6)の周りを全周に亘って照明可能である。
【0076】
一般に、天井裏空間R2などのように暗い環境は、カメラ9の撮像環境として好ましくなかった。例えば、天井裏空間R2などのように暗い環境では、カメラ9はモノクロ画像を撮像できるが、カラー画像を撮像することは困難であった。そこで、上述のように、照明装置10が3Dレーザスキャナ6Aの周りを全周に亘って照明することで、光学データ生成部6の撮像動作を補助できる。また、照明装置10が3Dレーザスキャナ6Aの周りを全周に亘って照明することで、カメラ9はカラー画像を容易に撮像できるようになり、撮像画像の再現性が向上する。
【0077】
照明装置10は、照明用バッテリを搭載しており、照明用バッテリを電源として駆動する。照明用バッテリは、リチウムイオンバッテリ、又はニッケル水素バッテリなどの二次電池であることが好ましい。なお、照明用バッテリは、一次電池であってもよい。
【0078】
(2.9)動作
以下、光学データ生成装置1を用いた光学データの生成について説明する。
【0079】
まず、光学データ生成装置1は、点検口P11の下方に位置するように、設置面G1上に設置される。このとき、三脚2Aの脚2bの先端(下端)2dが設置面G1に接触して、台座2aを支持している。
【0080】
そして、作業者(人)は、支柱3aの高さ位置が比較的低く、移動軸調整部5及び撮像方向調整部7を操作可能な状態で、移動体4aの移動軸L1の方向、及び3Dレーザスキャナ6Aの撮像方向(光軸方向)を調整する。
【0081】
具体的に、作業者は、移動軸調整部5の水平雲台51及び自由雲台52を操作して、電動スライダ4Aの移動体4aの移動軸L1の方向を調整する。移動体4aは、調整された移動軸L1に沿って移動可能となる。すなわち、作業者は、移動軸調整部5によって、移動体4aの移動方向を設定する。
【0082】
また、作業者は、撮像方向調整部7を操作して、3Dレーザスキャナ6Aの撮像方向を調整する。すなわち、作業者は、撮像方向調整部7によって、3Dレーザスキャナ6Aの光軸の方向を設定する。このとき、3Dレーザスキャナ6Aの光軸は、水平方向になることが好ましい。
【0083】
次に、作業者は、ハンドル3dを操作して、支柱3aを上方に移動させる。支柱3aの上方には点検口P11が位置しており、支柱3aの上部に取り付けられている3Dレーザスキャナ6A及び照明装置10は、点検口P11を下方から挿通して、部屋R1から天井裏空間R2に移動する。
【0084】
次に、作業者は、リモートコントローラ20を操作して、電動スライダ4Aの移動体4aを移動させる。このとき、移動体4aは、移動軸調整部5によって調整された移動軸L1に沿って移動する。移動体4aが移動すると、移動体4aに取り付けられている3Dレーザスキャナ6A及びカメラ9も、移動軸L1に沿って同様に移動する。
【0085】
具体的に、作業者は、モニタ装置に表示されたカメラ9の撮像画像を見ながら、リモートコントローラ20を操作することで、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲に測定対象が含まれるように、移動体4aを移動させる。ここで、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲(光軸)とカメラ9の撮像範囲(光軸)とは一致(又はほぼ一致)しているので、作業者は、移動体4aの位置決めを容易に行うことができる。この結果、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲の設定を容易に行うことができる。例えば、作業者は、カメラ9の撮像画像によって、天井裏空間R2のダクト及び配管など敷設部材の位置を把握でき、3Dレーザスキャナ6Aの撮像位置が所望位置となるように、移動体4aの位置決めを行うことができる。作業者は、移動体4aの位置決めが完了すると、リモートコントローラ20を操作して、3Dレーザスキャナ6Aを制御し、3Dレーザスキャナ6Aに3次元の測定データを生成させる。
【0086】
上述のように、作業者は、支柱3a、移動軸調整部5及び撮像方向調整部7によって、3Dレーザスキャナ6Aの位置及び姿勢を3次元的に調整できる。すなわち、作業者は、天井裏空間R2に入ったり、光学データ生成装置1を移動させたり、光学データ生成装置1を持ち上げたり、高所作業を行ったりすることなく、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲を変えることができる。この結果、光学データ生成装置1は、撮像対象となる天井裏空間R2などの空間の状況に関わらず、光学データ生成時における人の負担を低減させることができる。
【0087】
また、作業者は、リモートコントローラ20を操作し、3Dレーザスキャナ6Aを天井裏空間R2内で移動させて、3Dレーザスキャナ6Aに3次元の測定データを生成させることができる。すなわち、光学データ生成装置1は、光学データ生成時における人の負担を更に低減させることができる。
【0088】
したがって、光学データ生成装置1は、撮像対象となる天井裏空間R2が狭所であったり、天井裏空間R2に敷設部材があったり、点検口P11が狭かったりしても、3Dレーザスキャナ6Aの位置を変えながら、複数回の撮像を行うことで、撮像できない死角の発生を容易に抑えることができる。
【0089】
また、3つの光源10aは、電動スライダ4Aと照明装置10との干渉を抑えるために、水平面において自由雲台52を囲むように環状に配置されている。この結果、照明装置10を備えることによる光学データ生成装置1の大型化を抑えることができ、3Dレーザスキャナ6A及び照明装置10を、狭い点検口P11(図1参照)を通して天井裏空間R2に容易に移動させることができる。
【0090】
図6は、本実施形態における3Dレーザスキャナ6Aと照明装置10との位置関係を示す。本実施形態の3Dレーザスキャナ6Aは、3Dレーザスキャナ6Aの下面から下方に拡がりながら延びる円錐形状の撮像死角D1を有する。3Dレーザスキャナ6Aは、撮像死角D1からの光を受光できない。そこで、光学データ生成装置1では、照明装置10の少なくとも一部が撮像死角D1に含まれるように、3Dレーザスキャナ6Aと照明装置10との位置関係を設定している。
【0091】
例えば、照明装置10から発せられた照明光が3Dレーザスキャナ6Aの透過面6aに直接入射すると、3Dレーザスキャナ6Aの露出が照明光に合う設定になり、測定データの精度が低下する可能性がある。そこで、光学データ生成装置1は、3Dレーザスキャナ6Aと照明装置10との位置関係を上述のように設定することで、照明装置10から発せられた照明光が3Dレーザスキャナ6Aの透過面6aに直接入射することを抑制でき、照明光が3Dレーザスキャナ6Aの測定結果に及ぼす影響を低減できる。
【0092】
なお、照明装置10の全部が撮像死角D1に含まれるように、3Dレーザスキャナ6Aと照明装置10との位置関係を設定してもよい。
【0093】
(3)第1変形例
図7は、第1変形例における照明装置10を示す。
【0094】
本変形例の照明装置10は、照明光の配光を制御する配光制御部として、光源10aの発光面10bを覆う配光制御板12を更に備えている。配光制御板12は、発光面10bと同様の形を有する板形状であり、配光制御板12の裏面が発光面10bに接触するように、発光面10bに取り付けられている。
【0095】
配光制御板12は、発光面10bから出射した照明光の配光を制御する機能を有する板状のレンズである。発光面10bから出射した照明光が、配光制御板12の裏面に入射し、配光制御板12を透過した後に、配光制御板12の表面から出射することで、配光制御板12によって配光を制御される。
【0096】
配光制御板12は、照明光の配光範囲、配光方向などの配光特性を制御(配光制御)することができる。例えば、配光制御板12は、照明光を、例えば拡散配光、広角配光、狭角配光、集光、又はコリメート光などに制御する。したがって、照明装置10は、配光制御板12によって、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲に照明光を適切に照射することができる。一例として、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲における影の発生を抑えることができる。
【0097】
例えば、配光制御板12が照明光を拡散配光する拡散板であれば、照明装置10の位置を変えずに、照明装置10の配光範囲を拡げることができ、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲を拡げることができる。
【0098】
また、電動スライダ4Aの移動体4aが伸びて、照明装置10と3Dレーザスキャナ6Aとの間の距離が長くなっても、配光制御板12によって、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲に照明光を照射することができる。
【0099】
また、互いに配光特性が異なる複数の配光制御板を予め準備しておいてもよい。複数の配光制御板のそれぞれは、光源10aの発光面10bに取り付け可能である。すなわち、光源10aの発光面10bに取り付ける配光制御板12は、配光特性が異なる複数の配光制御板のいずれでもよく、さらには複数の配光制御板のいずれかに交換可能である。言い換えると、照明装置10は、複数の配光制御板のいずれか1つを、配光制御板12として交換可能に保持することができる。したがって、複数の配光制御板から、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲に適した配光制御板12を選択することで、照明光の照射範囲を適切に設定することができる。
【0100】
(4)第2変形例
図8は、撮像方向調整部7の変形例として、撮像方向調整部7Bを示す。
【0101】
本変形例の撮像方向調整部7Bは、姿勢検出部7a、及び姿勢調整部7bを備える。姿勢検出部7aは、3Dレーザスキャナ6A(光学データ生成部6)の姿勢を検出する。姿勢調整部7bは、姿勢検出部7aの検出結果に応じて、3Dレーザスキャナ6Aの姿勢を変化させる。
【0102】
具体的に、姿勢検出部7aは、ジャイロセンサなどを備えて、3Dレーザスキャナ6Aの傾き角度を検出する。姿勢調整部7bは、モータなどの駆動装置を備えて、3Dレーザスキャナ6Aの傾き角度を調整する。具体的に、姿勢調整部7bは、姿勢検出部7aの検出結果をモニタしながら、3Dレーザスキャナ6Aの光軸が水平方向に沿うように、3Dレーザスキャナ6Aの傾き角度を調整する。
【0103】
したがって、光学データ生成装置1は、移動軸調整部5の調整状況に関わらず、3Dレーザスキャナ6Aの光軸を水平方向に自動調整することができるので、光学データ生成時における人の負担を更に低減させることができる。
【0104】
(5)第3変形例
図9A及び図9Bに示すように、光学データ生成装置1は、三脚2Aの3本の脚2bのそれぞれの先端2dに取り付けられた自在車輪13を更に備えてもよい。
【0105】
3本の脚2bのそれぞれの先端2dに自在車輪13を取り付けることで、光学データ生成装置1は、自在車輪13を介して設置面G1に接触している。したがって、光学データ生成装置1の全体を設置面G1上で容易に移動させることができる。複数の撮像地点のそれぞれに光学データ生成装置1を移動させることも容易になる。
【0106】
(6)第4変形例
図10及び図11に示すように、本変形例の光学データ生成装置1Aは、部屋R3の設置面G2に載置される。設置面G2は部屋R3の床パネルP2の上面である。床パネルP2には、部屋R3から床パネルP2の下方の空間である床下空間R4にアクセスするための矩形状の点検口P21が形成されている。点検口P21は、1人の人が通れる程度の大きさであり、例えば400mm×400mmの寸法に形成されている。
【0107】
光学データ生成装置1Aでは、ジャッキ装置3の代わりにジャッキ装置3Aを備える点が、光学データ生成装置1と異なる。
【0108】
ジャッキ装置3Aは、支柱3a、ジャッキ本体3c、及びハンドル3dを備える。ジャッキ本体3cは、台形ねじ、ラックアンドピニオン機構、又はシリンダ機構などによって支柱3aを上下方向に移動(昇降)させる。ジャッキ装置3Aの支柱3aは、ジャッキ本体3cの下面から下方に突出し、ジャッキ本体3cによって上下方向に移動することで、ジャッキ本体3cの下方において支柱3aの下端の高さ位置が変化する。
【0109】
光学データ生成装置1Aでは、水平雲台51は支柱3aの下端に取り付けられており、自由雲台52は、水平雲台51の下面に取り付けられている。電動スライダ4Aは、自由雲台52に取り付けられており、3Dレーザスキャナ6Aは、撮像方向調整部7を介して電動スライダ4Aの移動体4aに取り付けられている。
【0110】
そして、光学データ生成装置1Aは、三脚2Aの下方において、3Dレーザスキャナ6Aを移動させて、光学データとして3次元の測定データを生成する。
【0111】
具体的に、光学データ生成装置1Aは、点検口P21の上方に位置するように、設置面G2上に設置される。そして、作業者は、移動軸調整部5の水平雲台51及び自由雲台52を操作して、移動体4aの移動軸L1の方向を調整する。また、作業者は、撮像方向調整部7を操作して、3Dレーザスキャナ6Aの撮像方向(光軸方向)を調整する。
【0112】
次に、作業者は、ハンドル3dを操作して、支柱3aを下に移動させる。支柱3aの下方には点検口P21が位置しており、支柱3aの下部に取り付けられている3Dレーザスキャナ6A及び照明装置10は、点検口P21を上方から挿通して、部屋R3から床下空間R4に移動する。
【0113】
次に、作業者は、リモートコントローラ20を操作して、電動スライダ4Aの移動体4aを移動軸L1に沿って移動させる。移動体4aが移動すると、移動体4aに取り付けられている3Dレーザスキャナ6A及びカメラ9も、移動軸L1に沿って同様に移動する。
【0114】
そして、作業者は、モニタ装置に表示されたカメラ9の撮像画像を見ながら、リモートコントローラ20を操作することで、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲に測定対象が含まれるように、移動体4aを移動させる。作業者は、移動体4aの位置決めが完了すると、リモートコントローラ20を操作して、3Dレーザスキャナ6Aを制御し、3Dレーザスキャナ6Aに3次元の測定データを生成させる。
【0115】
上述のように、作業者は、支柱3a、移動軸調整部5及び撮像方向調整部7によって、3Dレーザスキャナ6Aの位置及び姿勢を3次元的に調整できる。すなわち、作業者は、床下空間R4に入ったり、光学データ生成装置1Aを移動させたり、光学データ生成装置1Aを持ち上げたりすることなく、3Dレーザスキャナ6Aの撮像範囲を変えることができる。この結果、光学データ生成装置1Aは、撮像対象となる床下空間R4などの空間の状況に関わらず、光学データ生成時における人の負担を低減させることができる。
【0116】
また、作業者は、リモートコントローラ20を操作し、3Dレーザスキャナ6Aを床下空間R4内で移動させて、3Dレーザスキャナ6Aに3次元の測定データを生成させることができる。すなわち、光学データ生成装置1Aは、光学データ生成時における人の負担を更に低減させることができる。
【0117】
(7)第5変形例
台2は、三脚2A以外であってもよい。台2の構造は、設置面G1、G2上に設置可能で、ジャッキ装置3を取り付け可能な構造であれば、特定の構造に限定されない。
【0118】
支柱3aは、上下方向に移動する構成に限定されず、水平方向に交差する方向に移動可能な構成を有していればよい。
【0119】
駆動装置4は、電動スライダ4Aに限定されず、例えばエアシリンダ、又はソレノイドであってもよい。
【0120】
光学データ生成部6は、3Dレーザスキャナ6A以外であってもよい。光学データ生成部6は、光を受光することで光学データを生成する機能を有していれば、例えば二次元レーザスキャナ、又はカメラであってもよい。また、光学データは、距離情報を含む測定データ以外であってもよく、距離情報を含まない単なる撮像データであってもよい。
【0121】
照明装置10は、複数の光源を備える構成に限定されない。照明装置10は、1つの光源を備える構成であってもよく、例えばリング照明であってもよい。
【0122】
照明光の配光を制御する配光制御部は、配光制御板12以外であってもよい。配光制御部は、レンズ、及び鏡などを用いて照明光の配光を制御する機能を有していればよい。
【0123】
カメラ9が生成した2次元の撮像データは、作業者のモニタに用いられるだけでなく、3次元の測定データの使用用途を拡げたり、3次元の測定データの質を向上させたりするために用いられる。例えば、3次元の測定データを2次元の撮像データに重ねることで、作業者にとって扱いやすいデータとすることができる。
【0124】
また、光学データ生成部6の位置だけでなく、光学データ生成部6の姿勢を変えながら複数回の撮像を行うことで、撮像できない死角の発生を抑えてもよい。
【0125】
(8)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様の光学データ生成装置(1、1A)は、台(2)と、支柱(3a)と、駆動装置(4)と、移動軸調整部(5)と、光学データ生成部(6)と、を備える。台(2)は、設置面(G1、G2)に載置される。支柱(3a)は、台(2)の上部に取り付けられて、水平方向に交差する方向に移動可能である。駆動装置(4)は、1つの移動軸(L1)に沿って移動する移動体(4a)を有し、支柱(3a)に取り付けられている。移動軸調整部(5)は、移動体(4a)の移動軸(L1)の方向を可変とする。光学データ生成部(6)は、移動体(4a)に取り付けられて、光を受光することで光学データを生成する。
【0126】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、撮像対象となる空間の状況に関わらず、光学データ生成時における人の負担を低減させることができる。
【0127】
上述の実施形態に係る第2の態様の光学データ生成装置(1、1A)では、第1の態様において、支柱(3a)は、支柱(3a)の軸の周りを360度以上回転可能であることが好ましい。
【0128】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、光学データ生成部(6)の撮像範囲を容易に調整できる。
【0129】
上述の実施形態に係る第3の態様の光学データ生成装置(1、1A)は、第1又は第2の態様において、駆動装置(4)に対する光学データ生成部(6)の姿勢を可変とする撮像方向調整部(7)を更に備えることが好ましい。
【0130】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、駆動装置(4)に対する光学データ生成部(6)の撮像姿勢を可変とすることで、光学データ生成部(6)の撮像方向を容易に調整できる。
【0131】
上述の実施形態に係る第4の態様の光学データ生成装置(1、1A)では、第3の態様において、撮像方向調整部(7)は、姿勢検出部(7a)と、姿勢調整部(7b)と、を備えることが好ましい。姿勢検出部(7a)は、光学データ生成部(6)の姿勢を検出する。姿勢調整部(7b)は、姿勢検出部(7a)の検出結果に応じて、光学データ生成部(6)の姿勢を変化させる。
【0132】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、光学データ生成時における人の負担を更に低減させることができる。
【0133】
上述の実施形態に係る第5の態様の光学データ生成装置(1、1A)では、第1乃至第4の態様のいずれか1つにおいて、駆動装置(4)は、人の操作によって生成されて、移動体(4a)を制御する移動制御信号を受け取る信号受信部(4e)を更に備えることが好ましい。
【0134】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、遠隔操作によって光学データを生成することができるので、光学データ生成時における人の負担を更に低減させることができる。
【0135】
上述の実施形態に係る第6の態様の光学データ生成装置(1、1A)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、光学データ生成部(6)は、光学データとして、3次元の測定データを生成する3次元レーザスキャナ(6A)であることが好ましい。
【0136】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、光学データとして、距離情報を含む3次元の測定データを生成することができる。
【0137】
上述の実施形態に係る第7の態様の光学データ生成装置(1、1A)は、第6の態様において、移動体(4a)に取り付けられて、2次元の撮像データを生成するカメラ(9)を更に備えることが好ましい。
【0138】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、3次元の測定データと併せて2次元の撮像データを生成することで、3次元の測定データの使用用途を拡げたり、3次元の測定データの質を向上させたりすることができる。
【0139】
上述の実施形態に係る第8の態様の光学データ生成装置(1、1A)では、第7の態様において、3次元レーザスキャナ(6A)の光軸とカメラ(9)の光軸とは同一方向であることが好ましい。
【0140】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、3次元の測定データと2次元の撮像データとの併用をより容易に実現できる。
【0141】
上述の実施形態に係る第9の態様の光学データ生成装置(1、1A)では、第7又は第8の態様において、カメラ(9)は、2次元の撮像データを無線信号で送信する通信機能を備えることが好ましい。
【0142】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、作業者による2次元の撮像データのモニタが容易になり、光学データ生成部(6)の撮像範囲の設定をより容易に行うことができる。
【0143】
上述の実施形態に係る第10の態様の光学データ生成装置(1、1A)は、第1乃至第9の態様のいずれか1つにおいて、光学データ生成部(6)の周りを全周に亘って照明可能な照明装置(10)を更に備えることが好ましい。
【0144】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、光学データ生成部(6)の撮像動作を補助できる。
【0145】
上述の実施形態に係る第11の態様の光学データ生成装置(1、1A)は、第10の態様において、照明装置(10)は、駆動装置(4)を囲んで環状に並んで配置された複数の光源(10a)を備えることが好ましい。
【0146】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、照明装置(10)と駆動装置(4)との干渉を抑えることができる。
【0147】
上述の実施形態に係る第12の態様の光学データ生成装置(1、1A)は、第10又は第11の態様において、照明装置(10)が発する光の配光を制御する配光制御部(12)を更に備えることが好ましい。
【0148】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、光学データ生成部(6)の撮像範囲に照明光を適切に照射することができる。
【0149】
上述の実施形態に係る第13の態様の光学データ生成装置(1、1A)は、第12の態様において、照明装置(10)は、配光特性が互いに異なる複数の配光制御部のいずれか1つを、配光制御部(12)として交換可能に保持することが好ましい。
【0150】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、照明光の照射範囲を適切に設定することができる。
【0151】
上述の実施形態に係る第14の態様の光学データ生成装置(1、1A)では、第1乃至第13の態様のいずれか1つにおいて、台(2)は、3本の脚(2b)を有する三脚(2A)であることが好ましい。光学データ生成装置(1、1A)は、3本の脚(2b)のそれぞれの先端(2d)に取り付けられた自在車輪(13)を更に備えることが好ましい。
【0152】
上述の光学データ生成装置(1、1A)は、設置面(G1、G2)上において、光学データ生成装置(1、1A)の全体を容易に移動させることができる。
【符号の説明】
【0153】
1、1A 光学データ生成装置
2 台
2A 三脚
2b脚
2d 先端
3a 支柱
4 駆動装置
4a 移動体
4e 信号受信部
5 移動軸調整部
6 光学データ生成部
6A 3次元レーザスキャナ
7 撮像方向調整部
7a 姿勢検出部
7b 姿勢調整部
9 カメラ
10 照明装置
10a 光源
12 配光制御板(配光制御部)
13 自在車輪
G1、G2 設置面
L1 移動軸
図1
図2
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