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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043722
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】振幅変調回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/04 20060101AFI20230322BHJP
   H03C 1/00 20060101ALI20230322BHJP
   H03G 3/20 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
H04L27/04 Z
H03C1/00 A
H03G3/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151499
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】西脇 裕人
【テーマコード(参考)】
5J100
【Fターム(参考)】
5J100JA01
(57)【要約】
【課題】入力データの振幅が不定であっても所望の振幅変調データを生成する。
【解決手段】外部から入力された入力データを変調した変調データを生成する振幅変調回路1は、入力データの最大値及び最小値を検出する検出部12と、最大値及び最小値に基づいて入力データを変換することにより変換データを生成するデータ変換部14と、変換データの振幅に基づいて振幅変調信号を生成する振幅変調信号生成部15と、を有し、データ変換部14は、振幅変調信号生成部15に入力可能な電圧範囲における最大電圧に最大値が対応し、電圧範囲における最小電圧に最小値が対応するように入力データを正規化データに変換し、振幅変調信号生成部における変調度に基づいて正規化データを変換することにより変換データを生成する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された入力データを変調した変調データを生成する振幅変調回路であって、
前記入力データの最大値及び最小値を検出する検出部と、
前記最大値及び前記最小値に基づいて前記入力データを変換することにより変換データを生成するデータ変換部と、
前記変換データの振幅に基づいて振幅変調信号を生成する振幅変調信号生成部と、
を有し、
前記データ変換部は、前記振幅変調信号生成部に入力可能な電圧範囲における最大電圧に前記最大値が対応し、前記電圧範囲における最小電圧に前記最小値が対応するように前記入力データを正規化データに変換し、前記振幅変調信号生成部における変調度に基づいて前記正規化データを変換することにより前記変換データを生成する振幅変調回路。
【請求項2】
前記データ変換部は、
前記最大値が前記最大電圧に対応するように前記入力データをオフセットし、
前記オフセットした入力データの最小値が前記最小電圧に対応するように前記オフセットした入力データを変換することにより、前記入力データを前記正規化データに変換する、
請求項1に記載の振幅変調回路。
【請求項3】
前記データ変換部は、前記変換データの最大値と最小値との和に対する前記変換データの最大値と最小値との差の割合が前記変調度になるように、前記正規化データに第1係数を乗算した後にオフセットすることにより前記変換データを生成する、
請求項1又は2に記載の振幅変調回路。
【請求項4】
前記データ変換部は、前記変換データの最大値が所定値になるように、前記正規化データに前記第1係数を乗算した後にオフセットすることにより生成したデータに第2係数を乗算することにより前記変換データを生成する、
請求項3に記載の振幅変調回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅変調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
入力データの振幅を変調して変調データを生成する振幅変調回路が知られている。特許文献1には、出力データの変調度が所望の最大変調度となるように、予め設定された増幅率又は減衰率で入力データを増幅又は減衰する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-359656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、入力データの振幅が一定であることを前提とした増幅率又は減衰率が設定されている。そのため、振幅が不定である入力データが入力されると、所望の最大変調度の出力データを得ることができなかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、入力データの振幅が不定であっても所望の振幅変調データを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、外部から入力された入力データを変調した変調データを生成する振幅変調回路であって、前記入力データの最大値及び最小値を検出する検出部と、前記最大値及び前記最小値に基づいて前記入力データを変換することにより変換データを生成するデータ変換部と、前記変換データの振幅に基づいて振幅変調信号を生成する振幅変調信号生成部と、を有し、前記データ変換部は、前記振幅変調信号生成部に入力可能な電圧範囲における最大電圧に前記最大値が対応し、前記電圧範囲における最小電圧に前記最小値が対応するように前記入力データを正規化データに変換し、前記振幅変調信号生成部における変調度に基づいて前記正規化データを変換することにより前記変換データを生成する振幅変調回路を提供する。
【0007】
前記データ変換部は、前記最大値が前記最大電圧に対応するように前記入力データをオフセットし、前記オフセットした入力データの最小値が前記最小電圧に対応するように前記オフセットした入力データを変換することにより、前記入力データを前記正規化データに変換してもよい。
【0008】
前記データ変換部は、前記変換データの最大値と最小値との和に対する前記変換データの最大値と最小値との差の割合が前記変調度になるように、前記正規化データに第1係数を乗算した後にオフセットすることにより前記変換データを生成してもよい。
【0009】
前記データ変換部は、前記変換データの最大値が所定値になるように、前記正規化データに前記第1係数を乗算した後にオフセットすることにより生成したデータに第2係数を乗算することにより前記変換データを生成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力データの振幅が不定であっても所望の振幅変調データを生成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る振幅変調回路模式図である。
図2】入力データの模式図である。
図3】正規化データの模式図である。
図4】正規化データに第1係数を乗算した乗算後データの模式図である。
図5】オフセットデータの模式図である。
図6】オフセットデータに第2係数を乗算して生成された変換データの模式図である。
図7】正規化していない入力データに第1係数を乗算した比較例の乗算後データの模式図である。
図8】比較例のオフセットデータの模式図である。
図9】比較例のオフセットデータに第2係数を乗算して生成された変換データの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係る振幅変調回路1の模式図である。振幅変調回路1は、例えば内部論理回路を定義及び変更できる集積回路(プログラマブルロジックデバイス)である。本実施形態に係る振幅変調回路1は、FPGA(field-programmable gate array)であるが、これに限定されない。
【0013】
振幅変調回路1は、外部から入力された入力データを正規化した正規化データに基づき変換データを生成する。そして、振幅変調回路1は、生成した変換データの振幅に基づく振幅変調信号を生成する。振幅変調回路1は、メモリ11と、検出部12と、係数算出部13と、データ変換部14と、振幅変調信号生成部15とを有する。
【0014】
メモリ11は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)であり、各種情報を記憶する。例えば、メモリ11は、外部から入力された変調度、最大信号レベル及び入力データを記憶する。
【0015】
検出部12は、入力データの最大値及び最小値を検出する。図2は、入力データの模式図である。縦軸は入力データの値の大きさを示す。縦軸の範囲は、振幅変調信号生成部15に入力可能な電圧範囲である。なお、図2の最大電圧VMAXは、入力可能な電圧範囲の最大電圧であり、最小電圧VMINは、入力可能な電圧範囲の最小電圧である。検出部12は、図2に示す入力データの最大値51及び最小値61を検出する。
【0016】
係数算出部13は、データ変換部14が用いる各種係数を算出する。例えば、係数算出部13は、メモリ11から変調度を取得し、取得した変調度に基づいて第1係数を算出する。第1係数は、所定データに乗算することにより当該所定データの最大値と最小値との和に対する当該所定データの最大値と最小値との差の割合を、取得した変調度にする係数である。変調度は、例えば振幅変調回路1を設計する設計者又は振幅変調回路1を有する装置の使用者が適宜設定でき、例えば外部装置から入力された値がメモリ11に記憶されている。
【0017】
係数算出部13は、メモリ11から最大信号レベルを取得し、取得した最大信号レベルに基づいて第2係数を算出する。第2係数は、所定データに乗算することにより当該所定データの最大値を最大信号レベルにする係数である。最大信号レベルは、例えば振幅変調回路1を設計する設計者が適宜設定でき、例えば外部装置から入力された値がメモリ11に記憶されている。
【0018】
データ変換部14は、検出部12が検出した最大値及び最小値に基づいて入力データを変換することにより変換データを生成する。具体的には、データ変換部14は、正規化部141、変調度調整部142、及び最大信号レベル調整部143を有する。
【0019】
正規化部141は、振幅変調信号生成部15に入力可能な電圧範囲に入力データが対応するように、入力データを正規化データに変換する。入力可能な電圧範囲は、振幅変調信号生成部15の仕様に応じて決定される。電圧範囲として入力可能な値は、例えば16ビットのデジタルデータで表される。この場合、最大電圧として表される値はFFFFであり、最小電圧として表される値は0000である。
【0020】
正規化部141は、入力データの最大値が、電圧範囲の最大電圧VMAXに対応するように入力データをオフセットする。次に、正規化部141は、オフセットした入力データの最小値が、電圧範囲における最小電圧VMINに対応するようにオフセットした入力データを変換することにより、オフセットした入力データを正規化データに変換する。具体的には、正規化部141は、オフセットした入力データの最小値が最小電圧VMINに対応するように、オフセットした入力データを伸長することによりオフセットした入力データを正規化データに変換する。
【0021】
図3は、正規化データの模式図である。図3に示すとおり、正規化データの最大値52は電圧範囲の最大電圧VMAXに対応し、最小値62は電圧範囲の最小電圧VMINに対応している。
【0022】
変調度調整部142は、正規化データが所望の変調度になるように変換する。具体的には、まず、変調度調整部142は、正規化データに第1係数を乗算する。第1係数は、所定データの最大値が最大電圧になるようにオフセットしたオフセットデータの最大値と最小値との和に対する当該オフセットデータの最大値と最小値との差の割合が、所望の変調度になるように設定されている。すなわち、第1係数は、正規化データに第1係数を乗算した乗算後データの最大値が最大電圧に対応するように乗算後データをオフセットしたオフセットデータの変調度が、所望の変調度になるように設定されている。
【0023】
図4は、正規化データに第1係数を乗算した乗算後データの模式図である。図4に示す最大値53は、図3の最大値52の第1係数倍である。また、図4に示す最小値63は、図3の最小値62の第1係数倍である。
【0024】
変調度調整部142は、正規化データに第1係数を乗算した乗算後データをオフセットしてオフセットデータを生成する。変調度調整部142は、乗算後データの最大値が最大電圧VMAXに対応するように、乗算後データをオフセットしてオフセットデータを生成する。
【0025】
図5は、オフセットデータの模式図である。図5に示すとおり、オフセットデータの最大値54は最大電圧VMAXに対応している。また、最大値54の値はαであり、最小値64の値はβである。αとβの和に対するαとβの差の割合は、係数算出部13が取得した変調度になっている。取得した変調度をmpとすると、mpは下記式(1)で表される。
mp=(α-β)/(α+β)…(1)
【0026】
最大信号レベル調整部143は、オフセットデータの振幅を調整して変換データを生成する。具体的には、最大信号レベル調整部143は、オフセットデータに第2係数を乗算することにより変換データを生成する。第2係数は、オフセットデータに第2係数を乗算して生成された変換データの最大値が、最大信号レベルになるように設定されている。
【0027】
図6は、オフセットデータに第2係数を乗算して生成された変換データの模式図である。図6に示すとおり、変換データの最大値55は、最大信号レベルSMAXに対応している。第2係数をNとすると、変換データの最大値はαNであり、変換データの最小値はβNである。変換データの変調度は、下記式(2)で表される。
mp=(αN-βN)/(αN+βN)=(α-β)/(α+β)…(2)
式(2)のとおり、オフセットデータに第2係数を乗算しても、変調度は変化しない。
【0028】
[入力データを正規化しない比較例]
本実施形態と異なり、入力データを正規化しない比較例の振幅変調回路が生成する変換データについて説明する。図7は、正規化していない入力データに第1係数を乗算した比較例の乗算後データの模式図である。図7に示す比較例の乗算後データの最大値72は、図4に示す本実施形態の乗算後データの最大値53よりも小さくなっている。また、図7に示す比較例の乗算後データの最小値82の絶対値は、図4に示す本実施形態の乗算後データの最小値63の絶対値よりも小さくなっている。
【0029】
図8は、比較例のオフセットデータの模式図である。図8に示す比較例のオフセットデータの最大値73の値は、図5に示す本実施形態のオフセットデータの最大値54の値と同様にαである。一方、図8に示す比較例のオフセットデータの最小値83の値は、図5に示す本実施形態のオフセットデータの最小値64の値と異なり、Bである。
【0030】
図9比較例のオフセットデータに第2係数を乗算して生成された変換データの模式図である。図9に示す比較例の変換データの最大値74の値は、図6に示す本実施形態の変換データの最大値55の値と同様にαNである。一方、図9に示す比較例の変換データの最小値84の値は、図6に示す本実施形態の変換データの最小値65の値と異なり、BNである。
【0031】
比較例の変換データの変調度は、(αN-BN)/(αN+BN)となり、β≠Bであるから、取得した変調度mpにならない。比較例のように、入力データの振幅が不定である入力データを正規化することなく振幅変調すると、所望の変調度にすることができない。一方、本実施形態の振幅変調回路1は、入力データを正規化することにより、振幅を一定にした正規化データを振幅変調できるから、所望の変調度の変換データを生成できる。
【0032】
振幅変調信号生成部15は、変換データの振幅に基づいて振幅変調信号を生成する。具体的には、振幅変調信号生成部15は、D/A151とミキサ152とを有する。D/A151は、デジタルアナログコンバータであり、データ変換部14が生成した変換データをアナログ信号に変換する。ミキサ152は、変換したアナログ信号に搬送波を重畳して振幅変調信号を生成する。
【0033】
[振幅変調回路1の効果]
以上説明したとおり、振幅変調回路1は、所定の電圧範囲における最大電圧VMAXに入力データの最大値51が対応し、電圧範囲における最小電圧VMINに最小値61が対応するように入力データを正規化データに変換する。次に、振幅変調回路1は、正規化データを変換した変換データの振幅と所定の変調度に基づいて振幅変調信号を生成する。このように、振幅変調回路1は、入力データを正規化することにより振幅を一定にした正規化データを振幅変調するから、入力データの振幅が不定であっても所望の変調度の振幅変調信号を生成できる。
【0034】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0035】
1 振幅変調回路
11 メモリ
12 検出部
13 係数算出部
14 データ変換部
141 正規化部
142 変調度調整部
143 最大信号レベル調整部
15 振幅変調信号生成部
151 D/A
152 ミキサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9