(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004378
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】モータ及びディスク駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 1/22 20060101AFI20230110BHJP
G11B 19/20 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
H02K1/22 A
H02K1/22 C
G11B19/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106006
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 諒
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和博
(72)【発明者】
【氏名】秋山 俊博
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601BB03
5H601CC01
5H601CC15
5H601CC20
5H601DD02
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD41
5H601DD48
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA37
5H601GA40
5H601JJ05
5H601KK13
5H601KK21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハブの周期的な振れを抑制することができるモータを提供する。
【解決手段】ロータ20は、シャフト10が固定される貫通孔214を有するロータハブ21を有し、シャフト10の外周面と貫通孔214の内周面とが径方向に対向する対向領域の上端及び下端には、それぞれ、径方向に空間を介して対向する上側間隙部61及び下側間隙部62を有する。上側間隙部61及び下側間隙部62は、中心軸Cxと交差する方向に拡がる底部と、底部の径方向外縁と接続し中心軸Cxに沿って延びる周壁部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸に沿うとともに、前記中心軸の周りに回転するシャフトと、
前記シャフトに固定されるロータと、
前記シャフトを回転可能に支持する軸受部と、
前記ロータと径方向に対向するステータと、を有し、
前記ロータは、前記シャフトが固定される貫通孔を有するロータハブを有し、
前記シャフトの外周面と前記貫通孔の内周面とが径方向に対向する対向領域の上端及び下端には、それぞれ、径方向に空間を介して対向する上側間隙部及び下側間隙部を有し、
前記上側間隙部及び前記下側間隙部は、
前記中心軸と交差する方向に拡がる底部と、
前記底部の径方向外縁と接続し前記中心軸に沿って延びる周壁部と、を有するモータ。
【請求項2】
前記上側間隙部及び前記下側間隙部の少なくとも一方の前記周壁部及び前記底部は、前記ロータハブに形成される請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記上側間隙部及び前記下側間隙部の少なくとも一方の前記周壁部及び前記底部は、前記シャフトに形成される請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記対向領域における前記上側間隙部よりも下方かつ前記下側間隙部よりも上方の前記シャフトの外周面及び前記貫通孔の内周面の少なくとも一方には、周方向に連続する周溝が少なくとも1つ形成され、
前記周溝には、接着剤が充填される請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記上側間隙部の軸方向の長さと前記下側間隙部の軸方向の長さとの和は、
前記対向領域の前記上側間隙部の軸方向の長さ及び前記下側間隙部の軸方向の長さを引いた長さよりも小さい請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記上側間隙部及び前記下側間隙部の少なくとも一方には、接着剤が充填される請求項1から請求項5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記上側間隙部の上端の径方向の長さは、前記上側間隙部の軸方向の長さよりも短い請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記下側間隙部の下端の径方向の長さは、前記下側間隙部の軸方向の長さよりも短い請求項6又は請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記上側間隙部の周壁部は、軸方向上方に向かうにつれて前記シャフトと前記貫通孔との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である請求項1から請求項8のいずれかに記載のモータ。
【請求項10】
前記下側間隙部の周壁部は、軸方向下方に向かうにつれて前記シャフトと前記貫通孔との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である請求項1から請求項9のいずれかに記載のモータ。
【請求項11】
前記上側間隙部の底部は、軸方向上方に向かうにつれて前記シャフトと前記貫通孔との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である請求項1から請求項10のいずれかに記載のモータ。
【請求項12】
前記下側間隙部の底部は、軸方向下方に向かうにつれて前記シャフトと前記貫通孔との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である請求項1から請求項11のいずれかに記載のモータ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載のモータと、
前記ロータハブに設けられてディスクを支持するディスク支持部と、を有するディスク駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及びモータを用いたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転駆動体が知られている。この種の回転駆動体では、シャーシに固定された動圧軸受機構に回転可能に支持されたシャフトの端部にハブが圧入されている。そして、シャーシに取り付けられたステータコアに形成されたコイルと、ハブにヨークを介して取り付けられたマグネットとを有し、コイルとマグネットとの間で発生する磁力でハブを回転させる。
【0003】
また、シャフトはハブに形成された開口に圧入される。ハブと開口とが接触する部分をハブの厚み一杯まで確保してシャフトとハブとの締結強度を高めている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の回転駆動体では、ハブに衝撃、振動等による外力が作用したときに、ハブの上端及び下端にシャフトから離れる方向の力が作用する。この力によって、ハブの上端及び下端が塑性変形すると、ハブとシャフトとの締結が不安定になり、回転時に周期的にハブが振れる、いわゆる、RRO(Repeatable Run-Out)が発生する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、ハブの周期的な振れを抑制することができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なモータは、上下に延びる中心軸に沿うとともに、前記中心軸周りに回転するシャフトと、前記シャフトに固定されるロータと、前記シャフトを回転可能に支持する軸受部と、前記ロータと径方向に対向するステータと、を有する。前記ロータは、前記シャフトが固定される貫通孔を有するロータハブを有し、前記シャフトの外周面と前記貫通孔の内周面とが径方向に対向する対向領域の上端及び下端には、それぞれ、径方向に空間を介して対向する上側間隙部及び下側間隙部を有する。前記上側間隙部及び前記下側間隙部は、前記中心軸と交差する方向に拡がる底部と、前記底部の径方向外縁と接続し前記中心軸に沿って延びる周壁部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明のモータによれば、ハブの周期的な振れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明にかかるモータの一例の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すモータを中心軸を含む面で切断した断面図である。
【
図3】
図3は、シャフトの外周面とロータの内周面との対向領域の拡大断面図である。
【
図4】
図4は、第1変形例のモータの拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第2変形例のモータの拡大断面図である。
【
図6】
図6は、第3変形例のモータの拡大断面図である。
【
図7】
図7は、第4変形例のモータの拡大断面図である。
【
図8】
図8は、第5変形例のモータの拡大断面図である。
【
図9】
図9は、第6変形例のモータの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、モータの中心軸Cxと平行な方向を「軸方向」、中心軸Cxと直交する方向を「径方向」、中心軸Cxを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。また、本明細書では、
図2に示すモータAを基準として、中心軸Cxに沿って「上」、「下」を定義し、各部の形状や位置関係を説明する。なお、上下方向は単に説明のために用いられる名称であって、モータの使用状態における位置関係及び方向を限定しない。
【0011】
<1.モータAの全体構成>
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかるモータの一例の分解斜視図である。
図2は、
図1に示すモータを中心軸を含む面で切断した断面図である。
図3は、シャフト10の外周面とロータ20の内周面との対向領域Fsの拡大断面図である。
【0012】
モータAは、ハードディスク等の円板状のデータ記録用のディスクDsを駆動するディスク駆動装置Ddに用いられる。モータAは、スピンドルモータである。
図1及び
図2に示すように、モータAは、シャフト10と、ロータ20と、ステータ30と、軸受部40と、ベース部50と、を有する。以下に、モータAの各部にについて説明する。
【0013】
<2 ベース部50>
図1、
図2に示すように、ベース部50は、モータAの軸方向下端に配置される。ベース部50は、ベースプレート51と、内筒部52と、外筒部53と、を有する。ベースプレート51は、軸方向から見て環状である。さらに詳しく説明すると、ベースプレート51は、環状であり、軸方向から見たとき中央部に軸方向に貫通する貫通孔510を有する。なお、本実施形態のモータAでは、ベースプレート51は、円環状であるが、これに限定されない。
【0014】
内筒部52は、ベースプレート51の貫通孔510の辺縁部から中心軸Cxに沿って上方に延びる。内筒部52は、第1外周面521と第2外周面522と、連結面523とを有する。第1外周面521は、ベースプレート51の上面から中心軸Cxに沿って上方に突出する。第2外周面522は、第1外周面521の軸方向上端から中心軸Cxに沿って上方に突出する。
【0015】
第2外周面522は、第1外周面521よりも外径が小さい。そして、連結面523は、中心軸Cxと直交する平面である。連結面523は、第1外周面521の上端と第2外周面522の下端と、を接続する。内周面520の中心軸Cxと直交する断面は、全長に渡って一様な円筒面である。第2外周面522には、ステータ30の後述するステータコア31が固定される。
【0016】
外筒部53は、ベースプレート51の径方向外縁から中心軸Cxに沿って、上方に延びる。モータAにおいて、外筒部53は、円筒状であるがこれに限定されない。モータAにおいて、ロータ20の後述するロータハブ21の下端部が、外筒部53の内部で回転する。そのため、外筒部53の外周面の形状は特に限定はないが、内周面は、円筒形であることが好ましい。
【0017】
<3.軸受部40>
軸受部40は、ベースプレート51の内筒部52の内周面520に固定される。軸受部40は、シャフト10を回転可能に支持する。軸受部40は、スリーブ部41と、シール部42(
図2参照)とを有する。スリーブ部41は、中心軸Cxを中心とする筒状である。なお、モータAにおいて、スリーブ部41は円筒状であり、中心が中心軸Cxと重なる。スリーブ部41は、内筒部52の内部に配置される。スリーブ部41は、例えば、圧入等の固定方法で、内筒部52の内周面520に固定される。なお、スリーブ部41の固定方法は、圧入に限定されず、接着、溶接等の固定方法を採用してもよい。
【0018】
スリーブ部41の内部には、シャフト10が配置される。より詳しくは、シャフト10は、スリーブ部41を貫通し、上端部がスリーブ部41の上端より上方に突出して配置される。スリーブ部41は、下端面に、上方に凹む凹部411を有する。凹部411は中心軸Cxと重なる円柱状である。凹部411内には、シャフト10の後述するフランジ部11が収容される。
【0019】
シール部42は、ベースプレート51の内筒部52のスリーブ部41の下方に配置される。シール部42は、例えば、圧入等の固定方法で、内筒部52の内周面520に固定される。シール部42は、後述する潤滑油の漏洩を抑制するために用いられる。そのため、シール部42の外周面と、内筒部52の内周面520とは、潤滑油が通過しない程度に密に接触している。なお、シール部42の外周面と内筒部52の内周面520とが、上述の密状態を維持できる固定方法を広く採用することが可能である。
【0020】
スリーブ部41の内周面とシャフト10の外周面との間、スリーブ部41とフランジ部11の上面及び外周面との間、及び、シール部42の上面とフランジ部11の下面との間には間隙が設けられる。この間隙に、流体として潤滑油が連続して充填される。モータAにおいて、スリーブ部41、シール部42、シャフト10及び潤滑油により軸受部40が構成される。
【0021】
軸受部40では、シャフト10の外周面のスリーブ部41と対向する部分にラジアル溝(不図示)が形成される。シャフト10が回転するとき、このラジアル溝によって潤滑油に動圧が発生し、動圧によって潤滑油が流動する。そして、潤滑油の動圧によって、シャフト10の外周面とスリーブ部41の内周面とが所定の間隔で維持される。そして、潤滑油が循環することで、シャフト10は、外周面がスリーブ部41の内周面に対して一定の間隙を維持して回転する。つまり、周方向に回転支持される。
【0022】
さらに説明すると、シャフト10の外周面とスリーブ部41の内周面とその隙間を流動する潤滑油とがシャフト10を周方向に支持する、いわゆる、ラジアル軸受を構成する。
【0023】
なお、ラジアル溝は、軸方向に離れて2か所に設けられている。これにより、シャフト10は、軸方向に離れた2か所でスリーブ部41に支持される。これにより、シャフト10は、回転時に中心軸Cxに対して傾いて、いわゆる、振れて回転することが抑制される。なお、ラジアル溝は、2か所に限定されず、3か所以上であってもよい。また、ラジアル溝は、シャフト10の外周面に限定されず、スリーブ部41の内周面に形成されてもよい。
【0024】
また、フランジ部11の上面には、スラスト溝(不図示)が形成されている。シャフト10が回転するときに、スラスト溝によって潤滑油に動圧が発生し、動圧によって潤滑油が流動する。そして、潤滑油の動圧によって、フランジ部11の上面と凹部411の底面とが所定の間隔で維持される。
【0025】
また、シール部42の上面、つまり、フランジ部11の下面と対向する面に、上述と同様のスラスト溝(不図示)が形成されている。シャフト10が回転するときに、スラスト溝によって潤滑油に動圧が発生する。そして、潤滑油の動圧によって、フランジ部11の下面とシール部42の上面とが所定の間隔で維持される。
【0026】
さらに説明すると、スリーブ部41の凹部411とフランジ部11とその隙間、フランジ部11とシール部42とその隙間、スリーブ部41とハブ天板部211の軸方向下面とその隙間、及びその隙間を流動する潤滑油がシャフト10を軸方向に支持する、いわゆる、スラスト軸受を構成する。なお、フランジ部11と凹部411との間のスラスト軸受を構成するためのスラスト溝は、フランジ部11の上面に限定されず、凹部411の下面に形成されてもよい。また、フランジ部11とシール部42との間のスラスト軸受を構成するためのスラスト溝は、シール部42の上面に限定されず、フランジ部11の下面に形成されてもよい。
【0027】
以上のように、スリーブ部41とシャフト10との間に介在する潤滑油によって、シャフト10は、軸受部40に回転可能に支持される。
【0028】
<4.シャフト10>
図1、
図2に示すように、シャフト10は、円柱状である。シャフト10は、金属製であり、中心が中心軸Cxと一致する。シャフト10は、中心軸Cx周りに回転する。すなわち、シャフト10は、上下に延びる中心軸Cxに沿うとともに、中心軸Cx周りに回転する。シャフト10の下端部には、フランジ部11が配置される。フランジ部11は、径方向外側に拡がる。フランジ部11は、円板状である。フランジ部11は、シャフト10と一体的に成型される。なお、フランジ部11は、シャフト10と別体で形成され、シャフト10に固定されてもよい。
【0029】
上述したとおり、シャフト10の外周面には、回転により潤滑油の動圧を発生させるラジアル溝、例えば、へリングボーン溝が形成される。また、フランジ部11の上面には、回転により潤滑油の動圧を発生させるスラスト溝が形成される。
【0030】
<5.ロータ20>
ロータ20は、シャフト10に固定される。つまり、シャフト10と一体的に回転する。ロータ20は、ロータハブ21と、ロータマグネット22とを有する。ロータハブ21は、ハブ天板部211と、ハブ筒部212と、ディスクフランジ部213と、貫通孔214と、を有する。
【0031】
ハブ天板部211は、径方向に拡がる。ハブ天板部211は、軸方向から見て円形である。ハブ筒部212は、筒状である。ハブ筒部212は、ハブ天板部211の径方向外縁から軸方向下側に向かって延びる。ディスクフランジ部213は、ハブ筒部212の軸方向下端部から径方向外側に拡がる。ディスクフランジ部213は、軸方向に見て円形である。ハブ天板部211、ハブ筒部212及びディスクフランジ部213は、同一の部材で一体的に成形される。
【0032】
ディスクフランジ部213は、軸方向上面が、中心軸Cxに対して直交する平面である。そして、ディスクフランジ部213の軸方向上面は、データ記録用のディスクDsの下面が接触して配置される。すなわち、ディスクフランジ部213は、ディスクDsを支持するディスク支持部である。このとき、データ記録用のディスクDsの上面には、不図示の固定部材で固定される。これにより、データ記録用のディスクDsは、中心軸Cxに対して、垂直に固定される。そして、ロータ20の回転によってデータ記録用のディスクDsも回転する。
【0033】
なお、本実施形態のモータAでは、1枚のデータ記録用のディスクDsを固定する構成を示しているが、これに限定されず、複数枚のデータ記録用のディスクDsを中心軸Cx方向に間隔あけて固定する構成であってもよい。この構成であっても、全てのデータ記録用のディスクDsが、中心軸Cxと直交した状態で、固定される。
【0034】
貫通孔214は、ハブ天板部211の軸方向に見て中央に形成される。貫通孔214は、軸方向に貫通する。貫通孔214には、シャフト10が挿入される。貫通孔214の後述するシャフト固定部215にシャフト10が固定される。すなわち、ロータ20は、シャフト10が固定される貫通孔214を有するロータハブ21を有する。
【0035】
ロータ20において、シャフト10の外周面と貫通孔214の内周面とが径方向に対向する領域が、対向領域Fsである。モータAにおいて、対向領域Fsの上端及び下端には、径方向に空間Spを介して対向する上側間隙部61及び下側間隙部62が形成される。すなわち、シャフト10の外周面と貫通孔214の内周面とが径方向に対向する対向領域Fsの上端及び下端には、それぞれ、径方向に空間Spを介して対向する上側間隙部61及び下側間隙部62を有する。
【0036】
貫通孔214は、シャフト固定部215と、上側凹部216と、下側凹部217とを有する。シャフト固定部215は、貫通孔214の軸方向中央部に配置される。
【0037】
シャフト固定部215は円筒状の貫通孔であり、中心が中心軸Cxと一致する。シャフト固定部215にはシャフト10が固定される。シャフト10は、例えば、圧入によってシャフト固定部215に固定される。シャフト固定部215にシャフト10が固定されることで、ロータ20とシャフト10とが固定される。シャフト固定部215へのシャフト10の固定方法は、圧入に限定されず、接着、溶接等、シャフト10をロータハブ21に強固に固定できる固定方法を広く採用できる。なお、本実施形態において、シャフト固定部215の内径は、シャフト10の外径と略同じである。
【0038】
図1等に示すように、上側凹部216は貫通孔214の上端部に配置され、下側凹部217は貫通孔214の下端部に配置される。上側凹部216はシャフト固定部215の上端に接続される。上側凹部216は中心が、中心軸Cxと一致する円筒状である。上側凹部216の内径は、シャフト固定部215の内径よりも大きい。上側凹部216は、底部2161と、周壁部2162とを有する。周壁部2162は、中心軸Cxを中心とする筒状である。
【0039】
底部2161は、中心軸Cxと交差する方向に拡がる平面状である。そして、底部2161は円環状であり、径方向内縁は、シャフト固定部215と接続し、径方向外端は、周壁部2162と接続する。
【0040】
シャフト10がシャフト固定部215に固定されるとき、シャフト10の上端は、ロータハブ21の上端に到達する。ここで、シャフト10の上端がロータハブ21の上端に到達するとは、シャフトの上端面がロータハブ21の上端面とが単一の面内に配置される場合を含むとともに、多少上下にずれる場合も含む。
【0041】
図1等に示すように、下側凹部217は、シャフト固定部215の下端に接続される。下側凹部217は中心が、中心軸Cxと一致する円筒状である。下側凹部217の内径は、シャフト固定部215の内径よりも大きい。下側凹部217は、底部2171と、周壁部2172とを有する。周壁部2172は、中心軸Cxを中心とする筒状である。
【0042】
すなわち、上側間隙部61及び下側間隙部62は、中心軸Cxと交差する方向に拡がる底部2161、2171と、底部2161、2171の径方向外縁と接続して中心軸Cxに沿って延びる周壁部2162,2172と、を有する。
【0043】
すなわち、上側間隙部61及び下側間隙部62の少なくとも一方の底部2161、2171及び周壁部2162、2172は、ロータハブ21に形成される。このように、底部2161、2171及び周壁部2162、2172をロータハブ21に形成することで、容易に形成することができる。
【0044】
底部2171は、中心軸Cxと交差する方向に拡がる平面状である。そして、底部2171は円環状であり、径方向内縁は、シャフト固定部215と接続し、径方向外端は、周壁部2172と接続する。
【0045】
ロータ20のロータハブ21にシャフト10を固定する。このとき、上側凹部216の周壁部2162とシャフト10の外周面との間には、空間Spが形成される。これにより、対向領域Fsの上端には、上側間隙部61が形成される。また、下側凹部217の周壁部2172とシャフト10の外周面との間には、空間Spが形成される。これにより、対向領域Fsの下端には、下側間隙部62が形成される。
【0046】
そして、上側間隙部61及び下側間隙部62には、接着剤Adが充填される。なお、接着剤は、上側間隙部61及び下側間隙部62のいずれか一方に充填されてよい。すなわち、上側間隙部61及び下側間隙部62の少なくとも一方には、接着剤が充填される。
【0047】
このように、接着剤Adが充填されることで、シャフト10とロータハブ21とを強固に固定することができる。
【0048】
シャフト10とロータハブ21との対向領域Fsの上端及び下端の少なくとも一方を接着剤で固定することで、シャフト10とロータハブ21とを強固に固定することができる。さらに、上側間隙部61及び下側間隙部62に接着剤Adを充填可能とすることで、接着剤Adが軸方向上端及び軸方向下端から外部に漏れることを抑制できる。
【0049】
例えば、接着剤Adとして、シャフト10及びロータハブ21よりも弾性係数が小さい、つまり、変形しやすい材料としてもよい。このようにすることで、衝撃、振動等により中心軸Cxと交差する方向の力Frが作用したときに、接着剤Adがクッションとして作用し、ロータハブ21のシャフト10との締結部分の上端及び下端の塑性変形を抑制できる。
【0050】
図3に示すように、上側間隙部61の軸方向長さを長さM、下側間隙部62の軸方向長さを長さN、シャフト固定部215の軸方向の長さを長さPとする。このとき、対向領域Fsにおいて、式1が成り立つように形成される。
P>M+N ・・・(式1)
【0051】
すなわち、上側間隙部61の軸方向の長さMと下側間隙部62の軸方向の長さNとの和は、対向領域Fsの上側間隙部61の軸方向の長さM及び下側間隙部62の軸方向の長さNを引いた長さよりも小さい。
【0052】
対向領域Fsの中央部分の締結部分を大きくすることで、シャフト10とロータハブ21とを強固に固定することができる。また、中心軸Cxと交差する方向に衝撃、振動等による力Frが印加されたときに、対向領域Fsの上端及び下端に応力が集中する。このとき、応力が集中する対向領域Fsの上端及び下端に径方向の空間Spを有するため、ロータハブ21上には力Frによる塑性変形が発生しにくい。このため、シャフト10の回転に同期して発生する振れ(RRO)の増大を抑制できる。
【0053】
また、
図3に示すように、上側間隙部61の底部2161の径方向の長さを長さαとし、下側間隙部62の底部2171の径方向の長さを長さβとする。上側間隙部61及び下側間隙部62において、式2及び式3が成り立つように形成される。
M>α ・・・(式2)
N>β ・・・(式3)
【0054】
すなわち、上側間隙部61の上端の径方向の長さαは、上側間隙部61の軸方向の長さMよりも短い。また、下側間隙部62の上端の径方向の長さβは、下側間隙部62の軸方向の長さNよりも短い。
【0055】
このような構成とすることで、ロータハブ21をシャフト10に強固に固定することができる。このようにすることで、接着剤Adの充填量を少なく抑えるとともに、ロータハブ21とシャフト10とを強固に固定できる。また、上側間隙部61及び下側間隙部62を深くすることで、接着剤のはみだしを抑制できる。
【0056】
さらに、上側間隙部61の径方向の長さαと、下側間隙部62の径方向の長さβとは、同じであってもよいし、一方が他方よりも大きくてもよい。
【0057】
なお、上側間隙部61又は下側間隙部62の一方にだけ接着剤Adを充填してもよい。さらに、シャフト固定部215のみでシャフト10に強固に固定できる場合、接着剤Adを充填しなくてもよい。
【0058】
図2に示すとおり、ハブ筒部212の内面には、ロータマグネット22が配置される。ロータマグネット22は、中心軸Cxに沿う方向に延びる円筒状である。ロータマグネット22の内面は、ステータ30のステータコア31の外周面、と径方向に隙間をあけて対向する。ロータマグネット22は、複数個のマグネットを周方向に並べた構成であってもよいし、円筒形の磁性体に対して、周方向にN極とS極とを交互に着磁させた構成であってもよい。ロータマグネット22は、例えば、圧入によって、ハブ筒部212の内部に固定される。なお、ロータマグネット22の固定方法は、圧入に限定されず、接着、溶着及び機械的な固定方法等が採用されてもよい。
【0059】
<6 ステータ30>
ステータ30は、ベース部50の内筒部52の第2外周面522に固定される。ステータ30は、ロータ20と径方向に対向する。ステータ30は、ステータコア31と、コイル部32とを有する。ステータコア31は複数の珪素鋼板を積層して形成される。
図1に示すように、ステータコア31は、環状のコアバック311と、ティース312とを有する。
【0060】
コアバック311は、軸方向に延びる環状である。コアバック311の内面がベース部50の内筒部52の第2外周面522に固定される。なお、コアバック311の内筒部52への固定は、圧入にて固定される。また、これ以外にも、接着、溶着、溶接等、内筒部52とコアバック311とを強固に固定できる固定方法を広く採用できる。
【0061】
ティース312は、コアバック311の外周面から径方向外側に突出する。ティース312は、周方向に等間隔に配列される。ステータ30の少なくともティース312には、絶縁性を有するインシュレータ(不図示)が取り付けられており、インシュレータの上から導線が巻き付けられる。ステータコア31の各ティース312に導線を巻きつけてコイル部32が形成される。
【0062】
本実施形態にかかるモータAは以上示した構成を有する。次に本実施形態にかかるモータAの動作時に作用する力について説明する。
図3には、モータAに作用する衝撃、振動等によってロータ20に作用する力Frを矢印で示す。
【0063】
モータAのロータ20に中心軸Cxと交差する方向の力が作用する場合がある。例えば、
図3において、ロータ20に左から右に向かう力Frが作用する場合を考える。このとき、シャフト10とロータハブ21との接続部分である対向領域Fsには、
図3に示すような力Fr1が作用する。詳しく説明すると、シャフト10は、軸受部40によって一端が支持されている。そのため、力Frが作用したとき、対向領域Fsには、
図3に示す状態において、時計回り方向のモーメントが作用する。
【0064】
図3に示すモータAで対向領域Fsに時計回り方向のモーメントが作用すると、対向領域Fsの上端及び下端のロータハブ21には力Frに平行な方向の一端にシャフト10からはがれる方向の力Fr1が作用する。
【0065】
上述したように、上側間隙部61及び下側間隙部62には、接着剤Adが充填されている。そのため、ロータハブ21に作用するシャフト10からはがす方向の力Fr1によって、シャフト10及びロータハブ21よりも弾性係数が小さい接着剤Adが変形する。これにより、ロータハブ21の塑性変形を抑制することができる。その結果、ロータハブ21のロータ20の回転と同期した周期的な振れ(RRO:Repeatable Run-Out)を抑制できる。
【0066】
なお、上側間隙部61及び下側間隙部62に接着剤Adが充填されていない場合、対向領域Fsの上端及び下端でロータハブ21が、シャフト10から離れている。対向領域Fsの上端及び下端でロータハブ21には、シャフト10に固定する力が付与されていない。そのため、ロータハブ21に力Fr1が作用した場合でも、ロータハブ21の塑性変形が抑制される。
【0067】
ロータハブ21が塑性変形することで発生する、シャフト10及びロータ20と同期した周期的な回転の振れ(RRO:Repeatable Run-Out)を抑制することが可能である。つまり、本実施形態にかかるモータAでは、対向領域Fsの上端及び下端に、それぞれ、上側間隙部61及び下側間隙部62を有することで、ロータハブ21の塑性変形を抑制する。これにより、周期的な振れを抑制でき、モータAの回転精度を高めることができる。この結果、ロータハブ21に固定されたデータ記録用のディスクDsを精度よく回転させることができる。
【0068】
(第1変形例)
図4は、第1変形例のモータBの拡大断面図である。
図4に示すモータBでは、シャフト10bに接着剤Adが充填される周溝12を有する点が、
図2等に示すモータAと異なる。これ以外の点では、モータBは、モータAと実質上同じ構成を有する。そのため、モータBのモータAと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0069】
図4に示すように、シャフト10bは、外周面のシャフト固定部215と径方向に対向する部分に径方向内方に凹む周溝12を有する。すなわち、対向領域Fsにおける上側間隙部61よりも下方かつ下側間隙部62よりも上方のシャフト10の外周面には、周方向に連続する周溝12が少なくとも1つ形成される。周溝12は、シャフト10bの外周面に周方向に連続する。そして、周溝12には、接着剤Adが充填される。
【0070】
本変形例では、シャフト10bの外周面に周溝12を1つ形成しているが、これに限定されない。軸方向に離れて複数の周溝12を形成してもよい。また、周溝12は、シャフト10bの外周面に形成されているが、これに限定されず、ロータハブ21の貫通孔214の内周面に径方向外側に凹む周溝を形成してもよい。
【0071】
接着剤Adを充填する周溝12を有することで、シャフト10bとロータハブ21とをより強固に固定することが可能である。また、対向領域Fsにおけるシャフト10bとロータハブ21との接触面積を小さくすることができるので、シャフト10bをロータハブ21に圧入するときの圧入力を小さくできる。これにより、圧入時の荷重によるシャフト10bの変形を抑制し、シャフト10bの変形による周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0072】
(第2変形例)
図5は、第2変形例のモータCの拡大断面図である。
図5に示すモータCでは、上側間隙部61cの周壁部2163及び下側間隙部62cの周壁部2173が、
図3等に示すモータAの上側間隙部61の周壁部2162及び下側間隙部62の周壁部2172と異なる。モータCのこれ以外の点については、
図3等に示すモータAと同じ構成を有する。そのため、モータCのモータAと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0073】
図5に示すように、上側凹部216cの周壁部2163が、軸方向上方に向かうにつれて、径方向外側に拡がる。すなわち、上側間隙部61cの周壁部2163は、軸方向上方に向かうにつれてシャフト10と貫通孔214との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、周壁部2163が軸方向上方に向かって拡がるテーパ状である。周壁部2163の上端がシャフト10と貫通孔214との接触面から遠くなるため、中心軸Cxと交差する力Frが印加されたときにロータハブ21cの締結部分における上端の塑性変形を抑制できる。これにより、ロータ20cの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0074】
また、下側凹部217cの周壁部2173が、軸方向下方に向かうにつれて、径方向外側に拡がる。すなわち、下側間隙部62cの周壁部2173は、軸方向下方に向かうにつれてシャフト10と貫通孔214との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、周壁部2173が軸方向下方に向かって拡がるテーパ状である。周壁部2173の下端がシャフト10とロータハブ21cとの接触面から遠くなるため、中心軸Cxと交差する力Frが印加されたときにロータハブ21cのシャフト10との締結部分における下端の塑性変形を抑制できる。これにより、ロータ20cの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0075】
第2変形例では、上側間隙部61cの周壁部2163及び下側間隙部62cの周壁部2173の両方がテーパ状であるが、少なくとも一方が、一定の内径の断面の円筒状であってもよい。
【0076】
(第3変形例)
図6は、第3変形例のモータDの拡大断面図である。
図6に示すモータDでは、上側間隙部61dの底部2164及び下側間隙部62dの底部2174が、
図3等に示すモータAの上側間隙部61の底部2161及び下側間隙部62の底部2171と異なる。モータDのこれ以外の点については、
図3等に示すモータAと同じ構成を有する。そのため、モータDのモータAと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0077】
図6に示すように、上側凹部216dの底部2164が、径方向外方に向かうにつれて、軸方向上方に傾斜する。すなわち、上側間隙部61dの底部2164は、軸方向上方に向かうにつれてシャフト10と貫通孔214との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、底部2164が軸方向上方に向かって拡がるテーパ状である。底部2164をテーパ形状とすることで、中心軸Cxと直交する方向に作用する力を緩和し、ロータハブ21dのシャフト10との締結部分の上端の塑性変形を抑制することができる。これにより、ロータ20dの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0078】
また、下側凹部217dの底部2174が、軸方向下方に向かうにつれて、径方向外方に傾斜する。すなわち、下側間隙部62dの底部2174は、軸方向下方に向かうにつれてシャフト10と貫通孔214との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、底部2174が軸方向下方に向かって拡がるテーパ状である。底部2174をテーパ形状とすることで、中心軸Cxと直交する方向に作用する力を緩和し、ロータハブ21dのシャフト10との締結部分の下端の塑性変形を抑制することができる。これにより、ロータ20dの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0079】
第3変形例では、上側間隙部61cの周壁部2163及び下側間隙部62cの周壁部2173の両方がテーパ状であるが、一方は、中心軸Cxと直交する面であってもよい。また、周壁部2163及び2173がテーパ状であるが、これに限定されず、少なくとも一方が、一定の内径の断面の円筒状であってもよい。
【0080】
(第4変形例)
図7は、第4変形例のモータEの拡大断面図である。
図7に示すモータEでは、上側間隙部63及び下側間隙部64が、
図3等に示すモータAの上側間隙部61及び下側間隙部62と異なる。また、モータEのロータハブ21eの貫通孔214eの形状が、モータAの貫通孔214の形状と異なる。モータEのこれ以外の点については、
図3等に示すモータAと同じ構成を有する。そのため、モータEのモータAと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0081】
図7に示すように、ロータハブ21eは、ハブ天板部211の径方向の中央に軸方向に貫通する貫通孔214eを有する。貫通孔214eの中心軸Cxで切断した断面は、軸方向の全長に渡って均一な内径を有する円形である。
【0082】
そして、シャフト10eのロータハブ21eの貫通孔214eと対向する対向領域Fsの上端部には、周方向に連続する上側凹溝13が形成される。上側凹溝13は、軸方向下側に配置されて中心軸Cxと交差する方向に拡がる底部131と、底部131の径方向外縁から中心軸Cxに沿って上方に延びる円筒状の周壁部132とを有する。モータEにおいて、対向領域Fsの上端部に、上側間隙部63が形成される。
【0083】
また、シャフト10eのロータハブ21eの貫通孔214eと対向する対向領域Fsの下端部には、周方向に連続する下側凹溝14が形成される。下側凹溝14は、軸方向上側に配置されて中心軸Cxと交差する方向に拡がる底部141と、底部141の径方向外縁から中心軸Cxに沿って上方に延びる円筒状の周壁部142とを有する。モータEにおいて、対向領域Fsの下端部に、下側間隙部64が形成される。
【0084】
すなわち、上側間隙部63及び下側間隙部64の少なくとも一方の周壁部132、142及び底部131、141は、シャフト10eに形成される。このように構成することで、中心軸Cxと交差する方向に衝撃、振動等による力Frが印加されたときに、ロータハブ21eの対向領域の上端部及び下端部の塑性変形を抑制できる。ロータハブ21eの塑性変形が抑制されることで、シャフト10eの回転に同期して発生する振れ(RRO)の増大を抑制できる。また、上側間隙部63及び下側間隙部64が底部131、141及び周壁部132、142を有する構成であることで、上側間隙部63及び下側間隙部64の軸方向の長さを短くすることができる。これにより、締結部分を大きくすることができ、ロータハブ21eをシャフト10eに強固に固定することができる。
【0085】
(第5変形例)
図8は、第5変形例のモータFの拡大断面図である。
図8に示すモータFでは、シャフト10fの上側間隙部63fの周壁部132f及び下側間隙部64fの周壁部142fが、
図7等に示すモータEの上側間隙部63の周壁部132及び下側間隙部64の周壁部142と異なる。モータFのこれ以外の点については、
図7等に示すモータEと同じ構成を有する。そのため、モータFのモータEと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0086】
図8に示すように、上側凹溝13fの周壁部132fが、軸方向上方に向かうにつれて、径方向内側に傾斜する。すなわち、上側間隙部63fの周壁部132fは、軸方向上方に向かうにつれてシャフト10fと貫通孔214eとの接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、周壁部132fが軸方向上方に向かって狭くなるテーパ状である。周壁部132fの上端がシャフト10fと貫通孔214eとの接触面から遠くなるため、中心軸Cxと交差する力Frが印加されたときにロータハブ21eの締結部分における上端の塑性変形を抑制できる。これにより、ロータ20fの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0087】
また、下側凹溝14fの周壁部142fが、軸方向下方に向かうにつれて、径方向内側に傾斜する。すなわち、下側間隙部64fの周壁部142fは、軸方向下方に向かうにつれてシャフト10fと貫通孔214eとの接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、周壁部142fが軸方向下方に向かって狭くなるテーパ状である。周壁部142fの下端がシャフト10fとロータハブ21eとの接触面から遠くなるため、中心軸Cxと交差する力Frが印加されたときにロータハブ21eのシャフト10fとの締結部分における下端の塑性変形を抑制できる。これにより、ロータ20fの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0088】
第5変形例では、上側間隙部63fの周壁部132f及び下側間隙部64fの周壁部142fの両方がテーパ状であるが、少なくとも一方が、一定の内径の断面の円筒状であってもよい。
【0089】
(第6変形例)
図9は、第6変形例のモータGの拡大断面図である。
図9に示すモータGでは、上側間隙部63gの底部131g及び下側間隙部64gの底部141gが、
図8等に示すモータFの上側間隙部63fの底部131及び下側間隙部64fの底部141と異なる。モータFのこれ以外の点については、
図8等に示すモータFと同じ構成を有する。そのため、モータGのモータFと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0090】
図9に示すように、上側凹溝13gの底部131gが、径方向内方に向かうにつれて、軸方向上方に傾斜する。すなわち、上側間隙部63gの底部131gは、軸方向上方に向かうにつれてシャフト10gと貫通孔214eとの接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、底部131gが軸方向上方に向かって狭くなるテーパ状である。底部131gをテーパ形状とすることで、中心軸Cxと直交する方向に作用する力を緩和し、ロータハブ21eのシャフト10gとの締結部分の上端の塑性変形を抑制することができる。これにより、ロータ20dの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0091】
また、下側凹溝14gの底部141gが、軸方向下方に向かうにつれて、径方向内方に傾斜する。すなわち、下側間隙部64gの底部141gは、軸方向下方に向かうにつれてシャフト10と貫通孔214との接触面から離れる方向に延びるテーパ形状である。つまり、底部2174が軸方向下方に向かって拡がるテーパ状である。底部141gをテーパ形状とすることで、中心軸Cxと直交する方向に作用する力を緩和し、ロータハブ21eのシャフト10gとの締結部分の下端の塑性変形を抑制することができる。これにより、ロータ20dの周期的な振れ(RRO)を低減できる。
【0092】
第6変形例では、上側間隙部63gの底部131g及び下側間隙部64gの底部141gの両方がテーパ状であるが、一方は、中心軸Cxと直交する面であってもよい。また、周壁部132e及び142eがテーパ状であるが、これに限定されず、少なくとも一方が、一定の内径の断面の円筒状であってもよい。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、ハードディスク装置、光ディスク装置等の記憶装置を駆動するモータとして用いることができる。
【符号の説明】
【0095】
A~G モータ
10、10b、10e、10f、10g シャフト
11 フランジ部
12 周溝
13、13f、13g 上側凹溝
14、14f、14g 下側凹溝
20、20c、20d、20f ロータ
21、21c、21d、21e ロータハブ
22 ロータマグネット
30 ステータ
31 ステータコア
32 コイル部
40 軸受部
41 スリーブ部
42 シール部
50 ベース部
51 ベースプレート
52 内筒部
53 外筒部
61、61c、61d 上側間隙部
62、62c、62d 下側間隙部
63、63f、63g 上側間隙部
64、64f、64g 下側間隙部
131、131g 底部
132、132f 周壁部
141、141g 底部
142、142f 周壁部
211 ハブ天板部
212 ハブ筒部
213 ディスクフランジ部
214、214e 貫通孔
215 シャフト固定部
216、216c、216d 上側凹部
217、217c、217d 下側凹部
311 コアバック
312 ティース
411 凹部
510 貫通孔
520 内周面
521 第1外周面
522 第2外周面
523 連結面
2161 底部
2162 周壁部
2163 周壁部
2164 底部
2171 底部
2172 周壁部
2173 周壁部
2174 底部
Ad 接着剤
Dd ディスク駆動装置
Ds データ記録用のディスク\