IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

<>
  • 特開-無線機および表示装置 図1
  • 特開-無線機および表示装置 図2
  • 特開-無線機および表示装置 図3
  • 特開-無線機および表示装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043783
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】無線機および表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3827 20150101AFI20230322BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20230322BHJP
【FI】
H04B1/3827
G06F1/3287
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151583
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昇
(72)【発明者】
【氏名】海藤 輝一
(72)【発明者】
【氏名】溝井 俊明
【テーマコード(参考)】
5B011
5K011
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011DB05
5B011EA10
5B011EB09
5B011LL11
5K011JA01
5K011KA03
(57)【要約】
【課題】信号品質の低下を抑えつつ、表示装置の消費電力を改善し、無線機の消費電流を低減可能な技術を提供することにある。
【解決手段】無線機は、表示装置と、CPUと、抵抗素子とツェナダイオードで構成される保護回路とプルアップ電圧供給回路とを含むデジタル信号インターフェースと、を含む。表示装置は保護回路を介してCPUとデジタル信号インターフェースで接続され、デジタル信号インターフェースのプルアップ電圧供給回路のオン・オフ制御はCPUから制御可能である。プルアップ電圧供給回路は、表示装置の表示の更新が必要なタイミングの期間にCPUによりオン制御され、表示装置の表示の更新が必要なタイミング以外の期間にCPUによりオフ制御される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
CPUと、
抵抗素子とツェナダイオードで構成される保護回路とプルアップ電圧供給回路とを含むデジタル信号インターフェースと、を含み、
前記表示装置は前記保護回路を介して前記CPUと前記デジタル信号インターフェースで接続され、
前記デジタル信号インターフェースの前記プルアップ電圧供給回路のオン・オフ制御は前記CPUから制御可能である、無線機。
【請求項2】
請求項1の無線機において、
前記プルアップ電圧供給回路は、
前記表示装置の表示の更新が必要なタイミングの期間に、前記CPUによりオン制御され、
前記表示装置の表示の更新が必要なタイミング以外の期間に、前記CPUによりオフ制御される、無線機。
【請求項3】
表示装置と、
CPUと、
前記表示装置と前記CPUとの間に設けられ、前記CPUから前記表示装置の更新データが供給される信号線と、
前記信号線に直列に接続された抵抗素子と、前記信号線と接地電位線との間に接続されたツェナダイオードとを含む保護回路と、
前記信号線にプルアップ抵抗素子を介してプルアップ電圧を供給可能なプルアップ電圧供給回路と、を含み、
前記CPUは、
前記表示装置の表示の更新が必要なタイミングにおいて、前記プルアップ電圧供給回路のオン制御を行い、
前記表示装置の表示の更新が必要なタイミング以外において、前記プルアップ電圧供給回路のオフ制御を行う、無線機。
【請求項4】
CPUに接続された表示装置であって、
前記表示装置に接続され、前記CPUから前記表示装置の更新データが供給される信号線と、
前記信号線に直列に接続された抵抗素子と、前記信号線と接地電位線との間に接続されたツェナダイオードとを含む保護回路と、
前記信号線にプルアップ抵抗素子を介してプルアップ電圧を供給可能なプルアップ電圧供給回路と、を含み、
前記プルアップ電圧供給回路は、
前記表示装置の表示の更新が必要なタイミングにおいて、前記CPUからオン制御され、
前記表示装置の表示の更新が必要なタイミング以外において、前記CPUからオフ制御される、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線機および表示装置に関し、特に、表示装置を有する防爆型の無線機に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
無線機には、表示装置を有する携帯型無線機や、表示装置を有する携帯型の防爆型無線機などがある。防爆型無線機は、石油精製プラントや、化学工場、発電所など、爆発や発火の危険のある場所でも安全に利用するために製造された無線機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-84884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯型無線機は、バッテリ駆動されるため、表示装置の消費電力を改善することが求められている。携帯型無線機において、表示装置の消費電力が多いと、バッテリライフの短縮に繋がり、携帯型無線機の利便性を大きく損なうことになる。
【0005】
本開示の課題は、信号品質の低下を抑えつつ、表示装置の消費電力を改善し、無線機の消費電流を低減可能な技術を提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0008】
一実施の形態にかかる無線機は、表示装置と、CPUと、抵抗素子とツェナダイオードで構成される保護回路とプルアップ電圧供給回路とを含むデジタル信号インターフェースと、を含む。表示装置は保護回路を介してCPUとデジタル信号インターフェースで接続され、デジタル信号インターフェースのプルアップ電圧供給回路のオン・オフ制御はCPUから制御可能である。プルアップ電圧供給回路は、表示装置の表示の更新が必要なタイミングの期間にCPUによりオン制御され、表示装置の表示の更新が必要なタイミング以外の期間にCPUによりオフ制御される。
【発明の効果】
【0009】
上記一実施の形態に係る無線機によれば、信号品質の低下を抑えつつ、表示装置の消費電力を改善し、無線機の消費電流を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、比較例1に係る無線機の表示装置と制御装置との間のインターフェースを示す回路図である。
図2図2は、比較例2に係る無線機の表示装置と制御装置との間のインターフェースを示す回路図である。
図3図3は、実施例に係る無線機の表示装置と制御装置との間のインターフェースを示す回路図である。
図4図4は、実施例に係る無線機の表示更新処理制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0012】
実施例の理解を容易とするために、まず、課題を図1図2を用いて説明する。
【0013】
図1は、比較例1に係る無線機の表示装置と制御装置との間のインターフェースを示す回路図である。図2は、比較例2に係る無線機の表示装置と制御装置との間のインターフェースを示す回路図である。
【0014】
図1に示すように、携帯型の無線機1rの液晶表示装置(LCD)101の制御用インターフェースは、制御用の中央処理装置(CPU)102とLCD101とが信号線103とクロック線104で接続されており、この2線(103,104)を介してCPU102からLCD101にデータを送信し、LCD101の表示内容を更新する。信号線103とクロック線104はプルアップ抵抗106、108を介してプルアップ電圧105、107に接続されており、LCD101-CPU102間でデータのやり取りが無い期間は、信号線103とクロック線104の電圧はハイレベル(HIGH)に固定され、常に電流消費が発生する。
【0015】
一般的な液晶表示装置では供給された電源電圧をコントラスト調整に用いるための高電圧に昇圧して使用する。防爆仕様の携帯型の無線機1sでは、電源電圧を超える高電圧を生成する回路は非安全回路201とみなされ、安全回路202との接続に、図2に示した保護回路(203,204)を設ける必要が有る。例えば、無線機1sにおいて、安全回路202をCPU、非安全回路201をLCDと見なす場合を考える。保護回路は直列抵抗203とツェナダイオード204で構成される。直列抵抗203は高電流が流れた場合ヒューズとして、ツェナダイオード204は高電圧防止用のバリア素子として機能し、安全回路202を保護する。
【0016】
このインターフェース回路は安全回路として機能する一方、直列抵抗203の抵抗値とツェナダイオード204の寄生容量が抵抗とコンデンサから構成されたRCローパスフィルタとして機能する。安全回路202から出力された信号波形205にこのローパスフィルタが適用され、非安全回路201の入力信号波形206がなまり、信号品質が低下してしまう。
【0017】
この対策のために、信号線のプルアップ電圧を上昇させ、閾値電圧に至るまでの時間を短縮する、といった手法を用いることができる(例えば、図1参照)。しかし、この手法は、プルアップ抵抗に流れる電流値の上昇、つまりはバッテリライフの短縮に繋がり、携帯型の無線機の利便性を大きく損なうものである。
【実施例0018】
次に、図3および図4を用いて、実施例を説明する。図3は、実施例に係る無線機の表示装置と制御装置との間のデジタル信号インターフェースを示す回路図である。図4は、実施例に係る無線機の表示更新処理制御フローを示す図である。
【0019】
図3に示すように、携帯型および防爆型の無線機300は、中央処理装置(CPU)302と、液晶表示パネルを用いた表示装置(LCD)301と、信号線303と、クロック線304と、直列抵抗素子305,306とツェナダイオード307,308と含む防爆保護回路320と、を含む。無線機300は、さらに、プルアップ抵抗素子309、310と、レギュレータ(LDO)311と、制御信号線312と、を含む。無線機300のデジタル信号インターフェースは、信号線303と、クロック線304と、直列抵抗素子305,306とツェナダイオード307,308と含む防爆保護回路320と、プルアップ抵抗素子309、310と、レギュレータ(LDO)311と、制御信号線312と、を含む。
【0020】
CPU302とLCD301とは信号線303とクロック線304とにより接続される。CPU302は、この2線(303,304)を介して、LCD301の液晶表示パネルに表示される表示内容を更新するために必要な更新表示データをLCD301に送信する。この2線(303,304)は、直列抵抗素子305、306、ツェナダイオード307,308による防爆保護回路320を介して接続され、かつ、2線(303,304)の電圧をハイレベル(HIGH)に固定するためのプルアップ抵抗素子309,310を介してLDO311の出力端子と接続される。ツェナダイオード307のアノードとカソードとは、接地電位線VSSと信号線303とに接続されている。ツェナダイオード308のアノードとカソードとは、接地電位線VSSとクロック線304とに接続されている。防爆保護回路320の抵抗305,306は高電流が流れた場合ヒューズとして機能し、ツェナダイオード307,308は高電圧防止用のバリア素子として機能し、CPU302を保護する。
【0021】
LDO311はLow Dropoutレギュレータの略で、低い入出力間電位差でも動作するリニアレギュレータであり、例えば、低損失型リニアレギュレータや低飽和型リニアレギュレータと呼ぶ場合もある。LDO311はプルアップ電圧供給回路と言うこともできる。LDO311は制御信号線312を介してCPU302と接続されている。CPU302は制御信号線312を用いてLDO311のオン・オフの制御を行う。つまり、CPU302はLDO311のオン・オフを制御可能である。LDO311はたとえば、制御信号線312が制御レベルのようなハイレベルとされると、オン制御されて、プルアップ電圧としての出力電圧を生成し、生成した出力電圧(プルアップ電圧)をその出力端子から発生する。つまり、LDO311はプルアップ電圧を供給可能である。一方、LDO311は、たとえば、制御信号線312が非制御レベルのようなロウレベルとされると、オフ制御されて、出力電圧(プルアップ電圧)の生成を停止し、その出力端子をたとえばハイインピーダンス状態にする。
【0022】
次に、図4を用いて、図3の無線機300のLCD301の液晶表示パネルに表示される表示内容を更新する更新処理制御フローを説明する。
【0023】
ステップ401(開始):
図4の更新処理制御フローは、CPU302がLCD301の液晶表示パネルの表示データを更新すべき時に、開始される。つまり、更新処理制御フローの開始は、CPU302が更新すべき表示データを生成した場合やCPU302が更新すべき表示データが発生したことを検出した場合に、CPU302により開始される。
【0024】
ステップ402(プルアップ(LCD)ON):
CPU302が、制御信号線312をハイレベルにして、LDO311をオン制御する。これにより、LDO311はプルアップ電圧としての出力電圧を生成し、生成した出力電圧(プルアップ電圧)をその出力端子から発生する。プルアップ電圧は、プルアップ抵抗素子309、310を介して信号線303とクロック線304とに供給される。
【0025】
ステップ403(LCD更新データ送信):
CPU302がクロック線304のクロック信号に従って、信号線303に更新すべき表示データを送信する。これにより、LCD301は、CPU302から更新すべき表示データを受信ずる。信号線303の電位がプルアップ電圧により上昇されているので、更新すべき表示データが閾値電圧に至るまでの時間を短縮することができる。直列抵抗素子305の抵抗値とツェナダイオード307の寄生容量が抵抗とコンデンサから構成されたRCローパスフィルタとして機能する。CPU302から出力された表示データの信号波形(矩形形状)にこのローパスフィルタが適用されるが、信号線303の電位がプルアップ電圧により上昇されているので、LCD301の入力信号波形のなまりが低減され、信号品質の低下が抑制されることになる。
【0026】
ステップ404(プルアップ(LDO)OFF):
ステップ403の終了後、CPU302が、制御信号線312をロウレベルにして、LDO311をオフ制御する。これにより、LDO311はプルアップ電圧としての出力電圧の生成を停止する。したがって、LDO311は、ステップ402の前にオン制御され、ステップ403の期間にオン制御され、ステップ403の終了後、直ちに、オフ制御される。言い換えれば、LCD更新データ送信(ステップ403)の前に、まず、プルアップ電圧(LDO311をオン制御)を生成させ(ステップ402)、LCD更新データ送信(ステップ403)が完了した後、プルアップ電圧(LDO311をオフ制御)の生成を停止する(ステップ404)。あるいは、前記プルアップ電圧供給回路は、LCD301の表示の更新が必要なタイミング(ステップ403)の期間に、CPU302によりオン制御され、LCD301の表示の更新が必要なタイミング(ステップ403)以外の期間に、CPU302によりオフ制御される。
【0027】
したがって、LDO311によるプルアップ電圧の生成は、比較的短いステップ402,403の期間のみであり、LCD301を低消費電力化でき、また、無線機300を低消費電力化できる。したがって、無線機300のバッテリライフの短縮を防止でき(バッテリライフを延長でき)、携帯型の無線機300の利便性を大きく向上できる。
【0028】
ステップ405(終了):
ステップ404の終了後、CPU302は、更新処理制御フローを終了する。
【0029】
実施例によれば、信号品質の低下を抑えつつ、表示装置の消費電力を改善し、無線機の消費電流を低減できる。
【0030】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0031】
300:無線機
302:中央処理装置(CPU)
301:表示装置(LCD)
303:信号線
304:クロック線
305,306:直列抵抗素子
307,308:ツェナダイオード
309,310:プルアップ抵抗素子
311:レギュレータ(LDO)
312:制御信号線
320:防爆保護回路
図1
図2
図3
図4