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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043792
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】自動ドア及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/32 20060101AFI20230322BHJP
   E06B 1/14 20060101ALI20230322BHJP
   E06B 1/52 20060101ALI20230322BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
E06B3/32 Z
E06B1/14
E06B1/52
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151596
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋介
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩光
(72)【発明者】
【氏名】高波 信一
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
【Fターム(参考)】
2E011ED01
2E011EE00
2E014AA02
2E014AA03
2E014CA03
2E014FA03
2E014FB11
2E014FC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組み立てや設置現場における設置の作業性の高い自動ドア及びその施工方法を提供する。
【解決手段】自動ドア100は、外枠1と、外枠1内においてスライドする障子2と、外枠1内に固定された袖部3と、を備え、障子2は、第一戸板21と障子側框4とを有し、袖部3は、第二戸板31と袖部側框6とを有し、見込み方向視において、障子2と見付け方向に隣接して配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠と、
前記外枠内においてスライドする障子と、
前記外枠内に固定された袖部と、を備え、
前記障子は、第一戸板と障子側框とを有し、
前記袖部は、第二戸板と袖部側框とを有し、見込み方向視において、前記障子と見付け方向に隣接して配置されている自動ドア。
【請求項2】
前記袖部側框は、前記外枠内に固定されている請求項1に記載の自動ドア。
【請求項3】
前記外枠は、前記障子側框における戸先框を収容し、見込み方向視において、前記戸先框と重複する第一縦枠を有する請求項1又は2に記載の自動ドア。
【請求項4】
前記第一縦枠は、前記戸先框が嵌り込んで収容される第一縦凹部を有する請求項3に記載の自動ドア。
【請求項5】
前記外枠は、前記袖部側框における袖部縦框を収容し、見込み方向視において、前記袖部縦框と重複する第二縦枠を更に有し、
前記袖部は、前記第二縦枠に前記袖部縦框を固定されている請求項1から4の何れか一項に記載の自動ドア。
【請求項6】
前記第二縦枠は、前記袖部縦框がはめ込まれて固定される第二縦凹部を有する請求項5に記載の自動ドア。
【請求項7】
前記障子又は袖部は、前記外枠に対してけんどん式で嵌め込み可能とされている請求項1から6の何れか一項に記載の自動ドア。
【請求項8】
躯体に外枠を固定する外枠固定工程と、
前記外枠内においてスライドする障子を前記外枠内に嵌めこむ障子嵌め込み工程と、
前記外枠内に袖部をはめ込んで固定する袖部嵌め込み工程と、を含み、
前記障子嵌め込み工程では、前記障子の戸先框を前記外枠の第一縦枠に収容し、見込み方向視において、前記戸先框と第一縦枠とを重複させ、
前記袖部嵌め込み工程では、前記袖部の袖部縦框を前記外枠の第二縦枠に収容し、見込み方向視において、前記袖部縦框と第二縦枠とを重複させ、更に、前記第二縦枠に前記袖部縦框を固定する自動ドアの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動ドアが記載されている。この自動ドアは、横枠である上枠、下枠および無目と、縦枠である左右の方立および縦骨とを枠組みして構成される枠体と、下枠、無目、方立および縦骨によって形成される枠内に配置されるパネルと、上枠、無目および方立によって形成される枠内に配置されるパネルと、無目に取り付けられたエンジンユニットと、エンジンユニットに吊り下げられた開閉戸とを備えている。この自動ドアでは、開閉戸の戸先側の縦框は一方の方立の室内枠材に当接して閉鎖状態となる。他方の方立の側には、パネルの室外面に対向して押縁が配置され、この押縁には、パネルの室外面に当接するバックアップ材およびシール材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-193893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動ドアにおける袖部の袖ガラスなどの戸板は、通常、自動ドアの外枠に対して固定される。袖部の戸板は、従来、設置場所(いわゆる、現場)において、組み立て、すなわち、外枠に取り付けて固定する場合が多かった。そのため、現場作業の工数の削減が望まれていた。そこで、予め工場で外枠を組み立てておき、更に、予め工場で袖部を外枠に組付け、すなわち、袖部の戸板を工場で外枠に固定しておき、戸板を固定した組み立て済みの外枠を工場から現場に輸送することも検討し得た。しかし、特に戸板がガラス板などである場合は、組み立て済み、且つ、ガラス板取り付け済みの外枠を工場から設置場所まで輸送する取り扱い性に問題があった。さらに、設置現場で組み立てる場合も、工場で組み立てる場合も、十分な作業スペースが必要になり、作業スペースの確保が問題となっていた。そのため、組み立てや設置現場における設置の作業性の高い自動ドアの提供が望まれる。
【0005】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、組み立てや設置現場における設置の作業性の高い自動ドア及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る自動ドアは、
外枠と、
前記外枠内においてスライドする障子と、
前記外枠内に固定された袖部と、を備え、
前記障子は、第一戸板と障子側框とを有し、
前記袖部は、第二戸板と袖部側框とを有し、見込み方向視において、前記障子と見付け方向に隣接して配置されている。
【0007】
本発明に係る自動ドアでは、更に、
前記袖部側框は、前記外枠内に固定されているとよい。
【0008】
本発明に係る自動ドアでは、更に、
前記外枠は、前記障子側框における戸先框を収容し、見込み方向視において、前記戸先框と重複する第一縦枠を有するとよい。
【0009】
本発明に係る自動ドアでは、更に、
前記第一縦枠は、前記戸先框が嵌り込んで収容される第一縦凹部を有するとよい。
【0010】
本発明に係る自動ドアでは、更に、
前記外枠は、前記袖部側框における袖部縦框を収容し、見込み方向視において、前記袖部縦框と重複する第二縦枠を更に有し、
前記袖部は、前記第二縦枠に前記袖部縦框を固定されているとよい。
【0011】
本発明に係る自動ドアでは、更に、
前記第二縦枠は、前記袖部縦框がはめ込まれて固定される第二縦凹部を有するとよい。
【0012】
本発明に係る自動ドアでは、更に、
前記障子又は袖部は、前記外枠に対してけんどん式で嵌め込み可能とされているとよい。
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る自動ドアの施工方法は、
躯体に外枠を固定する外枠固定工程と、
前記外枠内においてスライドする障子を前記外枠内に嵌めこむ障子嵌め込み工程と、
前記外枠内に袖部をはめ込んで固定する袖部嵌め込み工程と、を含み、
前記障子嵌め込み工程では、前記障子の戸先框を前記外枠の第一縦枠に収容し、見込み方向視において、前記戸先框と第一縦枠とを重複させ、
前記袖部嵌め込み工程では、前記袖部の袖部縦框を前記外枠の第二縦枠に収容し、見込み方向視において、前記袖部縦框と第二縦枠とを重複させ、更に、前記第二縦枠に前記袖部縦框を固定する。
【発明の効果】
【0014】
組み立てや設置現場における設置の作業性の高い自動ドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態における自動ドア100の正面図である。
図2図1におけるII-II矢視断面図である。
図3】第一実施形態における自動ドアがおよそ半分開いた場合の正面図である
図4図3におけるIV-IV矢視断面図である。
図5】別の自動ドアの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る自動ドア及びその施工方法について説明する。
【0017】
(概要の説明)
図1から図3には、本実施形態に係る自動ドア100を示している、自動ドア100は、外枠1と、外枠1内においてスライドする障子2と、外枠1内に固定された袖部3と、を備えている。
【0018】
自動ドア100では、障子2の開閉によって障子2が閉じた状態(図1,2参照)と、障子2が袖部3の側にスライドして開いた状態(図3参照)とに変化する。以下では、特に言及しない限り、障子2が閉じた状態を基準として自動ドア100の説明を行う。
【0019】
障子2は、第一戸板21と障子側框4とを有する。
【0020】
袖部3は、第二戸板31と袖部側框6とを有し、見込み方向視において、障子2と見付け方向に隣接して配置されている。
【0021】
このように、自動ドア100では、袖部3が袖部側框6を有するため、第二戸板31を有する袖部3をひとまとまりの部材として取り扱うことができる。これにより、袖部3の組付けを要する自動ドア100の組み立てや設置現場における設置の作業性が高くなる。
【0022】
(各部の説明)
図1から図3に示す自動ドア100は、例えば人感センサなどの開動作の開始タイミングを検知するセンサの検知結果などの、開動作開始のトリガーとなる指令や情報に基づいて、自動的に開状態となる扉としてのドア装置である。自動ドア100は、集合住宅、商業施設、オフィスなどの建物における、任意の出入り口に設置可能である。自動ドア100は、予め一部の部品をある程度の段階まで工場で組み立てて、設置場所である現場にてこれを施工するものであってもよいし、現場ですべての組み立てを行うものであってもよい。図1は、自動ドア100を、見込み方向において建物内(例えば、集合住宅の玄関ホール内、室内側)から見た場合の正面図である。図1では、自動ドア100が閉状態である場合を示している。図2は、図1における、II-II矢視断面図であり、いわゆる水平断面図である。図3は、自動ドア100がおよそ半分開いた場合の正面図である。
【0023】
自動ドア100は、建物に固定される外枠1と、駆動部によって駆動され、外枠1内においてスライドする障子2と、外枠1内に固定された袖部3と、を備えている。本実施形態では、鉛直方向における上側を上、下側を下と称する。また、外枠1における、幅に対応する方向と同じ方向(図1から図3では、図の左右方向)を見付け方向と称する。また、外枠1における、奥行き方向と同じ方向を、見込み方向と称する。以下では、説明の便宜として、見付け方向における、袖部3から見て障子2の側の向き右、その逆向きを左と称する場合がある。また、見込み方向における、袖部3から見て障子2の側を手前、その逆を奥と称する場合がある。すなわち、袖部3は、障子2の左側に位置し、また、奥側に位置している。
【0024】
外枠1は図1に示すよう、障子2と袖部3を支持するための矩形状の枠体であり、障子2がスライド開閉するための案内となる部材である。外枠1は、矩形状の上側に位置し、水平方向、本実施形態では見付け方向に沿って延在する上枠13と、矩形状の下側に位置し上枠13と平行に延在する下枠14と、障子2が閉状態である場合に、障子2の右側側面が当接し、上枠13と下枠14との間に掛け渡された第一縦枠11と、第一縦枠11と平行に延在し、上枠13と下枠14との間に掛け渡された第二縦枠12とを有する。下枠14は、その下部が床に埋め込まれてよい。
【0025】
第一縦枠11の左側側面には、上下方向に沿い延在する第一縦凹部11aが形成されている。第一縦凹部11aは、上枠13から下枠14に至るまでの範囲に延在している。
【0026】
第二縦枠12の右側側面には、上下方向に沿い延在する第二縦凹部12aが形成されている。第二縦凹部12aは、上枠13から下枠14に至るまでの範囲に延在している。本実施形態において、第二縦枠12は第一縦枠11と同じ形状である。すなわち、第一縦枠11と第二縦枠12とは相互に入れ替え可能であり、部品として共通化されている。これによりコストダウンできる。
【0027】
その他、上枠13及び下枠14には、障子2の開閉移動を案内したり、袖部3を固定支持するためのガイド構造や溝状の構造が形成されているが、これらについての詳細は後述する。
【0028】
障子2は、自動ドア100において自動で開閉する扉部分である。障子2は、例えばけんどん式で外枠1に嵌め込み可能とされてよい。障子2は、例えば上枠13の枠の内側に収容されたエンジンユニットにより駆動されて開閉する。図1,2には、自動ドア100において障子2が閉じた状態を示している。図3には、自動ドア100において、障子2が閉じた状態(図1,2参照)から開いていく途中の状態(半開状態)を示している。
【0029】
障子2は、図1に示すように、矩形状の障子側框4と、障子側框4の矩形の環内に嵌めこまれて固定されている矩形状の第一戸板21とを有する。第一戸板21は、例えば金属製の板材、ガラス板などである。以下では、第一戸板21が、ガラス板である場合を例示して説明する。
【0030】
障子側框4は、第一戸板21の外周部に取り付けられる框である。障子側框4は、外枠1に支持されており、第一戸板21は、障子側框4を介して外枠1に支持されている。
【0031】
自動ドア100では、障子2が障子側框4を有し、第一戸板21が障子側框4に嵌め込まれて障子2をひとまとまりの部材として取り扱うことができるため、例えば第一戸板21がガラス板のように壊れやすいものであっても、取り扱い性の良いものとなっている。これにより、障子2の組付けを要する自動ドア100の組み立てや設置現場における設置の作業性が高くなる。例えば、障子2をあらかじめ工場で組み立てて、設置現場に輸送して組み付けるような作業も容易に行えるようになる。
【0032】
障子側框4は、図2に示すように、障子2が閉状態である場合に、外枠1の第一縦枠11の見付け方向の内側面、すなわち左側面に当接する戸先框41と、袖部3と見込み方向視で重複する第一召し合わせ框42と、図4に示すように、障子2が開閉する際に上枠13に案内される第一上框43と、障子2が開閉する際に下枠14に案内される第一下框44とを有する。戸先框41、第一召し合わせ框42、第一上框43及び第一下框44は直線状の枠体である。第一戸板21は、例えば障子側框4の矩形の環の内面に形成された溝に嵌めこまれて障子側框4に固定されてよい。なお、図4は、図3におけるIV-IV矢視断面図を示しており、いわゆる垂直断面図である。
【0033】
戸先框41は、上下方向に沿い延在する枠体である。戸先框41は、障子2が閉状態である場合、見込み方向視において、外枠1の第一縦枠11によって隠蔽されるようになっている。本実施形態では、障子2が閉状態である場合、戸先框41は、第一縦凹部11aに嵌り込んで収容されることで、見込み方向視において、手前側(室内側)から見ても奥側(室外側、建物の外側)から見ても、第一縦枠11と重複し、第一縦枠11によって隠蔽される。これにより、戸先框41が第一縦枠11の第一縦凹部11aに支持される状態となり、見込み方向における荷重に対する障子2の強度が向上する。また、戸先框41が第一縦枠11に隠蔽されることによって、自動ドア100はすっきりとした見た目となり、意匠性が向上する。なお、障子2は自動で開閉するものであるから、戸先框41に人が開閉するための取っ手を設ける必要は特になく、戸先框41が第一縦枠11によって隠蔽されることや戸先框41が第一縦凹部11aに嵌り込んで収容されることは、自動ドア100の使用においてなんら障害とならない。
【0034】
戸先框41は、完全に第一縦凹部11aに嵌り込み、外枠1の第一縦枠11に完全に隠蔽されてもよいし、一部が第一縦凹部11aに嵌り込み、その嵌り込んだ一部を第一縦枠11に隠蔽されてもよい。戸先框41が完全に第一縦凹部11aに嵌り込み、外枠1の第一縦枠11に完全に隠蔽される場合にあっては、第一縦凹部11aの見付け方向における深さは、戸先框41の見付け方向における幅と少なくとも同一、好ましくはそれを超える深さとするとよい。第一縦凹部11aの見付け方向における深さが戸先框41の見付け方向における幅を超える深さであれば、戸先框41の戸当たり面にゴムなどのクッション材料が装着されている場合であっても、戸先框41を完全に隠蔽させることができる。また、戸先框41の戸当たり面にゴムなどのクッション材料が装着されていない場合であっても、第一縦凹部11aの見付け方向における深さが戸先框41の見付け方向における幅を超える深さであれば、障子2を閉じた状態で、戸先框41を完全に隠蔽し、且つ、戸先框41の戸当たり面と第一縦凹部11aの底面とを離間させることができる。これにより、例えば、障子2を閉じる際の衝突音の発生を防止できる。
【0035】
第一召し合わせ框42は、上下方向に沿い延在する枠材である。第一召し合わせ框42は、障子2が開くと、外枠1の第二縦枠12に近接する。本実施形態では、障子2が全開となった場合において、第一召し合わせ框42と第二縦枠12との間には所定の隙間が確保されている。これにより、指を詰めるような事故は起きない。
【0036】
図4に示すように、第一上框43は、見付け方向に沿い延在する枠材である。第一上框43は、外枠1の上枠13に形成された溝状のガイド構造に案内されて、障子2のスライド開閉を実現している。本実施形態では、図4に示すように、上枠13における、手前側の下面部が上方に向けて折り込まれた案内枠13Gが形成されており、この案内枠13Gによって形成される溝状で、ガイドレール状の凹部に第一上框43が嵌り込むようになっている。第一上框43は、案内枠13Gによって形成されるガイドレール状の凹部に案内されることによって、障子2のスライド開閉を実現している。本実施形態において第一上框43は、案内枠13Gによって形成されるガイドレール状の凹部に嵌り込み収容された状態となって、見込み方向視において、上枠13と重複し、上枠13によって隠蔽されている。これにより、第一上框43が上枠13に支持される状態となり、見込み方向における荷重に対する障子2の強度が向上する。また、第一上框43が上枠13に隠蔽されることによって、自動ドア100はすっきりとした見た目となり、意匠性が向上する。
【0037】
なお、第一上框43は、外枠1の上枠13に完全に隠蔽されてもよいし、一部が上枠13に隠蔽されてもよい。
【0038】
第一下框44は、見付け方向に沿い延在する枠材である。第一下框44は、外枠1の下枠14に形成された溝状のガイド構造を有するレール部14Lに案内されて、障子2のスライド開閉を実現している。レール部14Lの上面部には例えば見付け方向に沿い延在する溝14aが形成されてよい。第一下框44の下面部に障子2の戸車が配置されている場合は、この戸車が溝14aに沿って走行することで、開閉時に障子2が下枠14にガイドされる。なお、第一下框44は、見込み方向視で露出しており視認可能である。
【0039】
袖部3は、図1に示すように、矩形状の袖部側框6と、袖部側框6の矩形の環内に嵌めこまれて固定されている矩形状の第二戸板31とを有する。袖部3は、外枠1に対して固定されている。袖部3は、いわゆるFIX(フィックス)であるとかFIX部と称されものである。袖部3は、例えばけんどん式で外枠1に嵌め込んだ後に、外枠1に固定されたものであってよい。袖部3は、後述するように、見付け方向における左側側端部が外枠1の第二縦枠12の第二縦凹部12aに嵌めこまれて固定されている。
【0040】
第二戸板31は、例えば金属製の板材、ガラス板などである。以下では、第二戸板31が、ガラス板、すなわち袖ガラスである場合を例示して説明する。見込み方向視において、障子2の第一戸板21と第二戸板31とは左右対称である。すなわち、見込み方向視において視認可能な第二戸板31の形状は、見込み方向視において視認可能な第一戸板21の形状と同じである。第二戸板31は第一戸板21と同じ寸法、同じ規格のものを用いてよい。これにより自動ドア100の部品を共通化してコストダウンできる。
【0041】
袖部側框6は、第二戸板31の外周部に取り付けられる框である。袖部側框6は、外枠1に固定されており、第二戸板31は、障子側框4を介して外枠1に支持されている。
【0042】
自動ドア100では、上記のように袖部3が袖部側框6を有し、第二戸板31が袖部側框6に嵌め込まれて袖部3をひとまとまりの部材として取り扱うことができるため、例えば第二戸板31がガラス板のように壊れやすいものであっても、取り扱い性の良いものとなっている。これにより、袖部3の組付けを要する自動ドア100の組み立てや設置現場における設置の作業性が高くなる。例えば、袖部3をあらかじめ工場で組み立てて、設置現場に輸送して組み付けるような作業も容易に行えるようになる。すなわち、袖部3も障子2と同様に取り扱い性の良いものとなる。
【0043】
袖部側框6は、図2に示すように、第二縦枠12に固定された袖部縦框61と、第一召し合わせ框42と見込み方向視で重複する第二召し合わせ框62と、図4に示すように、上枠13に固定された第二上框63と、下枠14に固定された第二下框64とを有する。袖部縦框61、第二召し合わせ框62、第二上框63及び第二下框64は直線状の枠体である。第二戸板31は、例えば袖部側框6の矩形の環の内面に形成された溝に嵌めこまれて袖部側框6に固定されてよい。このように、障子2が障子側框4と第一戸板21とを有するのと同様に、袖部3が、袖部側框6と第二戸板31とを有することで、障子2と袖部3との外観が統一され、自動ドア100の外観に統一感が醸し出されて意匠性の高いものとなる。
【0044】
袖部側框6は、見込み方向視において、障子2の障子側框4と同じ形状(外観)にされるとよい。これにより、障子2と袖部3とが、見込み方向視において左右対称となる。これにより、自動ドア100はすっきりとした見た目となり、意匠性が向上する。なお、袖部側框6は障子側框4と同じ寸法、同じ規格のものを用いてよい。これにより自動ドア100の部品を共通化してコストダウンできる。
【0045】
袖部縦框61は、見込み方向視において、外枠1の第二縦枠12によって隠蔽されるようになっている。本実施形態では、袖部縦框61は、第二縦凹部12aに嵌り込んで収容された状態で固定されている。すなわち、袖部3における見付け方向の側端部である袖部縦框61は、外枠1の第二縦枠12に嵌めこまれて固定されている。これにより、見込み方向視において、袖部3における見付け方向の側端部としての袖部縦框61は、第二縦枠12と重複し、第二縦枠12によって隠蔽される。袖部3における見付け方向の側端部としての袖部縦框61が第二縦枠12に隠蔽されることによって、自動ドア100はすっきりとした見た目となり、意匠性が向上する。
【0046】
なお、袖部縦框61は、完全に第二縦凹部12aに嵌り込み、外枠1の第二縦枠12に完全に隠蔽されてもよいし、一部が第二縦凹部12aに嵌り込み、その嵌り込んだ一部を第二縦枠12に隠蔽されてもよい。袖部縦框61が完全に第二縦凹部12aに嵌り込み、外枠1の第二縦枠12に完全に隠蔽される場合にあっては、第二縦凹部12aの、見付け方向における深さと、袖部縦框61の、見付け方向における幅とを同一以上にするとよい。
【0047】
第二召し合わせ框62は、障子2の閉状態において、見込み方向視において第一召し合わせ框42と重複している。これにより、第一召し合わせ框42と第二召し合わせ框62とが見込み方向において相互に隠蔽する。これにより自動ドア100はすっきりとした見た目となり、意匠性が向上する。
【0048】
図4に示すように、第二上框63は、外枠1の上枠13に形成された凹部に嵌めこまれた状態で固定されている。上枠13は、角張ったU字形状に形成されており、そのU字形状の内側部分である凹部が下方を向く状態となっている。第二上框63は、この上枠13の凹部に嵌めこまれることで、見込み方向視において、上枠13によって隠蔽されている。すなわち、袖部3における上端部としての第二上框63が上枠13によって隠蔽されている。これにより、自動ドア100はすっきりとした見た目となり、意匠性が向上する。
【0049】
なお、第二上框63は、外枠1の上枠13に完全に隠蔽されてもよいし、一部が上枠13に隠蔽されてもよい。
【0050】
第二下框64は、外枠1の下枠14の上面に形成された平面部14b上に載置されている。第二下框64は、平面部14bに固定されてよい。すなわち、袖部3の下端部は、下枠14に固定されてよい。第二下框64は、見込み方向視で露出しており視認可能である。
【0051】
本実施形態における自動ドア100の設置は、例えば以下のように行える。
【0052】
障子2、袖部3はあらかじめ工場で組み立ておくとよい。外枠1もあらかじめ工場で組み立てておいてよいが、輸送の手軽さを考慮して、現場で組み立ててもよい。
【0053】
図1に示すように、建物に自動ドア100を設置する場合は、まず、建物の躯体に外枠1を固定する外枠固定工程を行う。
【0054】
次に、障子2を外枠1内に嵌めこむ障子嵌め込み工程を行う。また、外枠1内に袖部3をはめ込んで固定する袖部嵌め込み工程を行う。本実施形態では、障子2及び袖部3の外枠1への嵌め込みはけんどん式によって行える。
【0055】
障子嵌め込み工程では、障子2の戸先框41を外枠1の第一縦枠11に収容し、見込み方向視において、戸先框41と第一縦枠11とを重複させる。
【0056】
袖部嵌め込み工程では、袖部3の袖部縦框61を外枠1の第二縦枠12に収容し、見込み方向視において、袖部縦框61と第二縦枠12とを重複させる。更に、第二縦枠12に袖部縦框61を固定する。
【0057】
このようにして、自動ドア100を提供し、また、自動ドア100を建物などに設置する施工を行える。
【0058】
以上のようにして、組み立てや設置現場における設置の作業性の高い自動ドア及びその施工方法を提供することができる。
【0059】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、障子2と袖部3とが見込み方向視において左右対称である場合を説明したが、左右対称であることは必須の要件ではない。
【0060】
(2)上記実施形態では、自動ドア100が、建物に固定される外枠1と、駆動部によって駆動され、外枠1内においてスライドする障子2と、外枠1内に固定された袖部3と、を備えている場合を説明した。また、障子2は、第一戸板21と障子側框4とを有し、袖部3は、第二戸板31と袖部側框6とを有し、障子2と袖部3とが、見込み方向視において左右対称となる場合を説明した。また、障子2の戸先框41は、障子2が閉状態である場合、見込み方向視において、外枠1の第一縦枠11によって隠蔽されるようになっており、また、障子2の第一上框43は、見込み方向視において、上枠13によって隠蔽されている場合を説明した。
【0061】
しかしながら、袖部3は、障子2と同様に袖部側框6と第二戸板31とを有するものであれば、障子2と袖部3との外観が統一され、自動ドア100の外観に統一感が醸し出されて意匠性の高いものとなるのであり、障子2と袖部3とが、見込み方向視において左右対称となることや、障子2における障子側框4の戸先框41が第一縦枠11によって隠蔽されることは必須ではない。また、障子2と袖部3とは、それぞれ一枚である場合に限られない。
【0062】
図5には、障子2と袖部3とをそれぞれ2枚ずつ有する自動ドア200の一例を、見込み方向における建物の外部から見た場合の正面図を示している。図5では、外枠1内に、障子2としての障子2A,2Bと、袖部3としての袖部3A,3Bとが嵌め込まれている。自動ドア200では、図5の図示における左側から右側に掛けて、袖部3A、障子2A、袖部3B及び障子2Bの順に配置されている。すなわち、袖部3Aは、見込み方向視において、障子2Aと見付け方向に隣接して配置されている。また、袖部3Bは、見込み方向視において、障子2Bと見付け方向に隣接して配置されている。
【0063】
自動ドア200では、障子2A,2B同士は左右対称である。また、袖部3A,3B同士も左右対称である。したがって、自動ドア200では、障子2A,2Bの障子側框4である框4A,4B同士は左右対称である。また、袖部3A,3Bの袖部側框6である框6A,6B同士も左右対称である。
【0064】
自動ドア200では、見込み方向視において視認可能な障子2A及び袖部3Aの領域の外観形状と、障子2B及び袖部3Aの領域の外観形状とは左右対称である。
【0065】
自動ドア200では、外枠1の両方の縦枠に隣接する框6A,6Bにおけるそれぞれの縦框は、外枠1の両方の縦枠に隠蔽されている。この態様は、上記実施形態における自動ドア100における袖部側框6の袖部縦框61の態様と同様である。
【0066】
自動ドア200では、框4A,4B及び框6A,6Bの縦框であって召し合わせとなる縦框の態様は、上記実施形態における自動ドア100にける障子側框4の第一召し合わせ框42と第二召し合わせ框62との態様と同様である。なお、見込み方向において隣接する障子2A,2Bにおける框4A,4Bの縦框のうち、それぞれ隣接する縦框は見込み方向視において露出しており視認可能である。
【0067】
自動ドア200では、障子2A,2Bにおける框4A,4Bの第一上框43である上框43A,43Bは、外枠1の上枠によって隠蔽されている。袖部3A,3Bにおける框6A,6Bの第二上框63である上框63A,63Bも同様に上枠によって隠蔽されている。なお、框4A,4B及び框6A,6Bのそれぞれの下框は見込み方向視において露出しており視認可能である。
【0068】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、自動ドアに適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 外枠
100 自動ドア
11 第一縦枠
11a 第一縦凹部
12 第二縦枠
12a 第二縦凹部
13 上枠
13G 案内枠
14 下枠
14L レール部
14a 溝
14b 平面部
2 障子
200 自動ドア
21 第一戸板
2A 障子
2B 障子
3 袖部
31 第二戸板
3A 袖部
3B 袖部
4 障子側框
41 戸先框
42 第一召し合わせ框
43 第一上框
43A 上框
43B 上框
44 第一下框
4A 框
4B 框
6 袖部側框
61 袖部縦框
62 第二召し合わせ框
63 第二上框
63A 上框
63B 上框
64 第二下框
6A 框
6B 框
図1
図2
図3
図4
図5