(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043802
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】異常診断システム、洗濯機、情報端末、及び異常診断方法
(51)【国際特許分類】
D06F 33/47 20200101AFI20230322BHJP
【FI】
D06F33/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151607
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】杜 婉静
(72)【発明者】
【氏名】大崎 勇士
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA12
3B167AB23
3B167AB32
3B167AE04
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3B167LC25
3B167LD01
3B167MA03
3B167MA15
3B167MA17
(57)【要約】
【課題】洗濯機の異常の有無を診断する精度を向上しやすくすること。
【解決手段】異常診断システム1は、取得部11と、診断部12と、出力部13と、を備える。取得部11は、洗濯機2による運転に関する運転情報を取得する。診断部12は、洗濯機2の洗濯槽25に洗濯物が入っていない状態での空運転を洗濯機2が実行している場合に、取得部11が取得した運転情報に基づいて洗濯機2の異常の有無を診断する。出力部13は、診断部12による診断結果に関する情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機による運転に関する運転情報を取得する取得部と、
前記洗濯機の洗濯槽に洗濯物が入っていない状態での空運転を前記洗濯機が実行している場合に、前記取得部が取得した前記運転情報に基づいて前記洗濯機の異常の有無を診断する診断部と、
前記診断部による診断結果に関する情報を出力する出力部と、を備える、
異常診断システム。
【請求項2】
前記空運転は、前記洗濯物を脱水するための脱水運転であって、
前記取得部は、前記運転情報として前記洗濯槽の振幅を取得し、
前記診断部は、前記洗濯槽の振幅に基づいて前記洗濯機の前記脱水運転での異常の有無を診断する、
請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項3】
前記空運転は、前記洗濯物を乾燥するための乾燥運転であって、
前記取得部は、前記運転情報として前記洗濯槽の内部の温度を取得し、
前記診断部は、前記洗濯槽の内部の温度に基づいて前記洗濯機の前記乾燥運転での異常の有無を診断する、
請求項1又は2に記載の異常診断システム。
【請求項4】
前記空運転は、前記洗濯機の状態の回復を試みるメンテナンス用運転である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の異常診断システム。
【請求項5】
前記診断部は、前記洗濯槽に前記洗濯物が入っている状態での通常運転を前記洗濯機が実行している場合に、前記洗濯機の異常の有無を更に診断し、
前記出力部は、前記診断部が前記洗濯機の前記通常運転時において前記洗濯機に異常があると診断した場合、前記メンテナンス用運転の実行をユーザに促す推奨情報を出力する、
請求項4に記載の異常診断システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の異常診断システムと、
前記運転情報の少なくとも一部を検知するセンサと、を備える、
洗濯機。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の異常診断システムとの間で通信する通信部と、
前記通信部で受信した前記診断結果に関する情報を表示する表示部と、を備える、
情報端末。
【請求項8】
洗濯機による運転に関する運転情報を取得し、
前記洗濯機の洗濯槽に洗濯物が入っていない状態での空運転を前記洗濯機が実行している場合に、取得した前記運転情報に基づいて前記洗濯機の異常の有無を診断し、
診断による診断結果に関する情報を出力する、
異常診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機の異常の有無を診断する異常診断システム、洗濯機、情報端末、及び異常診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドラム式乾燥洗濯機を開示している。このドラム式乾燥洗濯機は、水槽と、水槽内に回転可能に配設された回転ドラムと、回転ドラムに収容された洗濯物を乾燥する温風を供給するための温風供給手段と、温風の温度を検知する温度センサと、を備える。そして、このドラム式乾燥洗濯機は、温度センサにより温風の所定の温度、所定の温度上昇率、又は所定の乾燥運転の履歴値を検知したときに、異常状態として運転停止又は異常報知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、洗濯機の異常の有無を診断する精度を向上しやすい異常診断システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る異常診断システムは、取得部と、診断部と、出力部と、を備える。前記取得部は、洗濯機による運転に関する運転情報を取得する。前記診断部は、前記洗濯機の洗濯槽に洗濯物が入っていない状態での空運転を前記洗濯機が実行している場合に、前記取得部が取得した前記運転情報に基づいて前記洗濯機の異常の有無を診断する。前記出力部は、前記診断部による診断結果に関する情報を出力する。
【0006】
本開示の一態様に係る洗濯機は、前記異常診断システムと、前記運転情報の少なくとも一部を検知するセンサと、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る情報端末は、前記異常診断システムとの間で通信する通信部と、前記通信部で受信した前記診断結果に関する情報を表示する表示部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る異常診断方法は、洗濯機による運転に関する運転情報を取得し、前記洗濯機の洗濯槽に洗濯物が入っていない状態での空運転を前記洗濯機が実行している場合に、取得した前記運転情報に基づいて前記洗濯機の異常の有無を診断し、診断による診断結果に関する情報を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本開示による異常診断システム等によれば、洗濯機の異常の有無を診断する精度を向上しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態における異常診断システムを含む全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における異常診断システムの第1動作例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態における異常診断システムの第2動作例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態の変形例における異常診断システムを搭載した洗濯機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
まず、発明者の着眼点が下記に説明される。
【0012】
例えば特許文献1に開示されているドラム式洗濯乾燥機では、回転ドラムに収容された衣服等の洗濯物を乾燥するために温風を供給する乾燥運転中において、温度センサにより温風の温度を監視し、温風の温度が所定の温度等に達すると異常報知を行っている。
【0013】
しかしながら、このようなドラム式洗濯乾燥機では、乾燥運転中において回転ドラム内に洗濯物が収容されているため、洗濯物により熱の伝導が妨げられ、温度センサにて検知される温度に影響を及ぼし得る。また、ユーザに応じて回転ドラムに収容する洗濯物の量及び材質が異なるため、やはり温度センサにて検知される温度に影響を及ぼし得る。
【0014】
このように、乾燥運転中においては、洗濯物のばらつきにより温度センサの検知結果も異なり得るため、洗濯機に異常が発生しているか否かを精度良く診断することが難しい、という課題がある。
【0015】
上記の課題は、脱水運転においても生じ得る。すなわち、従来、回転ドラムに収容された洗濯物を脱水するために回転ドラムを回転させる脱水運転中において、加速度センサにより回転ドラムの振幅を監視し、回転ドラムの振幅が所定の振幅に達すると異常報知を行っている。しかしながら、脱水運転中において回転ドラム内に洗濯物が収容されているため、洗濯物の回転ドラム内における偏り、並びに洗濯物の量及び材質により、加速度センサにて検知される回転ドラムの振幅に影響を及ぼし得る。このように、脱水運転中においても、洗濯物のばらつきにより加速度センサの検知結果も異なり得るため、洗濯機に異常が発生しているか否かを精度良く診断することが難しい、という課題がある。
【0016】
以上を鑑み、発明者は本開示を創作するに至った。
【0017】
以下、適宜図面を参照しながら、各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0018】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0019】
(実施の形態)
[1-1.全体構成]
まず、実施の形態における異常診断システム1を含む全体構成について
図1を用いて説明する。
図1は、実施の形態における異常診断システム1を含む全体構成を示すブロック図である。異常診断システム1は、洗濯機2の異常の有無を診断するためのシステムである。ここでいう「異常」とは、洗濯機2の少なくとも一部が故障することにより、通常の運転性能を発揮できない異常を含む他、このまま洗濯機2を使用し続けると故障する可能性のある異常等を含み得る。
【0020】
実施の形態では、異常診断システム1は、サーバ4に搭載されている。サーバ4は、例えば洗濯機2が設置されている施設から離れた遠隔地に設置されており、例えばインターネット等の外部ネットワークNT1を介して洗濯機2及び情報端末3の各々との間で通信可能に構成されている。したがって、実施の形態では、異常診断システム1は、サーバ4において、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2との間でデータを送信及び受信することにより、各部の機能を発揮する。
【0021】
洗濯機2は、機能部21と、データ取得部22と、通信部23と、1以上のセンサ24と、洗濯槽25と、を備えている。また、図示していないが、洗濯機2は、入力部と、表示部と、を更に備えている。実施の形態では、洗濯機2は、一例としてドラム式の洗濯機である。もちろん、洗濯機2は、ドラム式の洗濯機に限らず、例えば縦型の洗濯機等であってもよい。
【0022】
機能部21は、洗濯機2が備える各種機能を実行する。実施の形態では、機能部21は、洗濯槽25に収容された洗濯物を洗濯する洗濯運転を実行する洗濯機能と、洗濯槽25に収容されて洗濯された洗濯物を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥機能と、を有している。つまり、実施の形態では、洗濯機2は、乾燥機能付き洗濯機である。洗濯運転は、洗濯槽25を回転させる等して、洗濯槽25に収容された洗濯物に対して洗い、すすぎ、及び/又は脱水等を行うことにより、洗濯物を洗濯する。乾燥運転は、例えばヒートポンプにより除湿された乾燥空気を送る等して、洗濯槽25に収容されて洗濯された洗濯物を乾燥する。ここでいう「洗濯物」は、衣類の他に、タオル等の人が着用しない汚れ物も含み得る。
【0023】
機能部21は、入力部が受け付けた入力に応じた機能を実行する。なお、機能部21は、例えばユーザが所有する情報端末3との間で通信することにより、情報端末3で受け付けたユーザの入力に応じた機能を実行してもよい。情報端末3の詳細については後述する。
【0024】
入力部は、ユーザの操作による入力を受け付ける。入力部は、例えば各種入力を受け付ける押釦等により構成されている。入力部は、例えば機能部21に実行させる運転を選択する入力、運転の内容(例えば、運転モード等)を選択する入力、運転を開始させる入力、及び運転を一時停止させる入力等を受け付ける。なお、表示部がタッチパネルディスプレイで構成されている場合、表示部が入力部の一部を兼ねていてもよい。
【0025】
表示部は、例えば液晶ディスプレイであって、洗濯機2に関する各種情報を表示する。例えば、表示部は、洗濯運転中であれば、洗濯運転中であることを示す文字列及び画像の少なくとも一方と、洗濯時間の予測時間を示す文字列等を表示する。また、例えば、表示部は、乾燥運転中であれば、乾燥運転中であることを示す文字列及び画像の少なくとも一方と、乾燥時間の予測時間を示す文字列等を表示する。なお、表示部は、液晶ディスプレイの他に、情報に応じて点灯又は消灯するランプを有していてもよい。
【0026】
データ取得部22は、各センサ24が検知した洗濯機2の運転のパラメータを取得する。実施の形態では、データ取得部22は、洗濯機2による脱水運転に関するパラメータと、洗濯機2による乾燥運転に関するパラメータと、を取得する。脱水運転に関するパラメータは、例えば洗濯槽25の振幅である。ここでいう「振幅」は、洗濯槽25を上方から見た場合のXY平面におけるX軸方向の振幅と、Y軸方向の振幅と、を含み得る。乾燥運転に関するパラメータは、例えば洗濯槽の内部の温度であって、より具体的には吸込温度及び吐出温度である。ここで、「吸込温度」は、洗濯槽25からヒートポンプへと取り込まれる空気の温度をいう。また、「吐出温度」は、ヒートポンプから洗濯槽25へ排出される空気の温度をいう。
【0027】
通信部23は、外部ネットワークNT1を介して情報端末3及びサーバ4と通信する。通信部23と情報端末3との間の通信、及び通信部23とサーバ4との間の通信は、無線通信の他に、有線通信であってもよい。また、通信部23と情報端末3との間の通信の規格、及び通信部23とサーバ4との間の通信の規格は、特に限定されない。
【0028】
各センサ24は、洗濯機2の運転に関する種々の状態を検知する。言い換えれば、各センサ24は、洗濯機2の運転のパラメータを検知する。例えば、1以上のセンサ24には、洗濯槽25に収容された洗濯物の重量を検知する重量センサ等が含まれる。1以上のセンサ24には、主として、洗濯運転に関する状態を検知するセンサと、乾燥運転に関する状態を検知するセンサと、が含まれている。
【0029】
実施の形態では、1以上のセンサ24には、洗濯運転に関する状態を検知するセンサとして、洗濯槽25の振幅を検知する加速度センサと、洗濯槽25を駆動するモータに流れる電流を検知する電流センサと、が含まれている。また、1以上のセンサ24には、乾燥運転に関する状態を検知するセンサとして、吸込温度を検知する第1温度センサと、吐出温度を検知する第2温度センサと、が含まれている。第1温度センサ及び第2温度センサは、いずれもサーミスタにより構成されている。第1温度センサは、例えばヒートポンプの吸気口の近傍に設置される。第2温度センサは、例えばヒートポンプの排気口の近傍に設置される。また、1以上のセンサ24には、乾燥運転に関する状態を検知するセンサとして、洗濯槽25の内部の湿度を検知する湿度センサと、ヒートポンプを構成するコンプレッサの回転を検知する回転センサと、が含まれている。
【0030】
情報端末3は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はデスクトップ型若しくはラップトップ型のパーソナルコンピュータ等を含み得る。情報端末3は、通信部31と、表示部32と、を備えている。
【0031】
通信部31は、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2及びサーバ4と通信する。実施の形態では、通信部31は、サーバ4に搭載されている異常診断システム1との間で通信することになる。通信部31と洗濯機2との間の通信、及び通信部31とサーバ4との間の通信は、無線通信の他に、有線通信であってもよい。また、通信部31と洗濯機2との間の通信の規格、及び通信部31とサーバ4との間の通信の規格は、特に限定されない。なお、通信部31と洗濯機2との間の通信は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信規格に従った無線通信であってもよい。
【0032】
表示部32は、例えば液晶ディスプレイであって、洗濯機2又はサーバ4の異常診断システム1から受信した各種情報を表示する。実施の形態では、表示部32は、通信部31で受信した診断結果に関する情報を表示する。ここでいう「診断結果」は、後述する異常診断システム1の診断部12による洗濯機2の異常の有無についての診断の結果をいう。
【0033】
[1-2.異常診断システム]
次に、異常診断システム1の詳細について説明する。異常診断システム1は、
図1に示すように、取得部11と、診断部12と、出力部13と、記憶部14と、を備えている。なお、実施の形態において、異常診断システム1は、取得部11、診断部12、及び出力部13を少なくとも備えていればよく、記憶部14は備えていなくてもよい。
【0034】
取得部11は、洗濯機2による運転に関する運転に関する運転情報を取得する。取得部11は、異常診断方法におけるステップS11(後述する
図2参照)の実行主体である。実施の形態では、取得部11は、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2との間で通信することにより、洗濯機2のデータ取得部22が取得した洗濯機2の運転の各種パラメータを運転情報として取得する。一例として、取得部11は、洗濯機2による脱水運転に関するパラメータとして、洗濯槽25の振幅を運転情報として取得する。また、取得部11は、洗濯機2による乾燥運転に関するパラメータとして、洗濯槽25の内部の温度(吸込温度及び吐出温度)を運転情報として取得する。
【0035】
診断部12は、取得部11が取得した運転情報に基づいて洗濯機2の異常の有無を診断する。診断部12は、異常診断方法におけるステップS12(後述する
図2参照)の実行主体である。例えば、診断部12は、取得部11が取得した運転情報のうち、洗濯機2による脱水運転に関するパラメータを参照することにより、洗濯機2の脱水運転での異常の有無を診断する。具体的には、診断部12は、取得部11が取得した洗濯槽25の振幅と、あらかじめ記憶部14に記憶されている洗濯槽25の振幅の閾値範囲とを比較し、洗濯槽25の振幅が閾値範囲内に収まっていれば洗濯機2での脱水運転が正常であり、閾値範囲を逸脱していれば洗濯機2での脱水運転が異常であると診断する。
【0036】
また、例えば、診断部12は、取得部11が取得した運転情報のうち、洗濯機2による乾燥運転に関するパラメータを参照することにより、洗濯機2の乾燥運転での異常の有無を診断する。具体的には、診断部12は、取得部11が取得した吸込温度と吐出温度との温度差と、あらかじめ記憶部14に記憶されている温度差の閾値範囲とを比較し、温度差が閾値範囲内に収まっていれば洗濯機2での乾燥運転が正常であり、閾値範囲を逸脱していれば洗濯機2での乾燥運転が異常であると診断する。また、例えば、診断部12は、取得部11が取得した吸込温度又は吐出温度の一定時間における上昇率と、あらかじめ記憶部14に記憶されている上昇率の閾値範囲とを比較し、上昇率が閾値範囲内に収まっていれば洗濯機2での乾燥運転が正常であり、閾値範囲を逸脱していれば洗濯機2での乾燥運転が異常であると診断する。
【0037】
ここで、実施の形態では、診断部12は、洗濯機2の洗濯槽25に洗濯物が入っていない状態での空運転を洗濯機2が実行している場合に、取得部11が取得した運転情報に基づいて洗濯機2の異常の有無を診断する。ここでいう「空運転」は、洗濯槽25に洗濯物が入っていない状態、つまり洗濯槽25が空の状態での洗濯機2による洗濯運転又は乾燥運転をいう。
【0038】
例えば、空運転が洗濯物を脱水するための脱水運転であれば、診断部12は、当該空運転の実行中において取得部11が取得した洗濯槽25の振幅に基づいて、洗濯機2の脱水運転での異常の有無を診断する。
【0039】
また、例えば、空運転が洗濯物を乾燥するための乾燥運転であれば、診断部12は、当該空運転の実行中において取得部11が取得した洗濯槽25の内部の温度(吸込温度及び吐出温度)に基づいて、洗濯機2の乾燥運転での異常の有無を診断する。
【0040】
洗濯機2による空運転は、例えばユーザが洗濯機2の入力部又は情報端末3にて所定の操作入力を行うことで、実行される。洗濯機2による空運転を実行する際には、ユーザは、洗濯槽25に洗濯物が入っていないことを確認するのが好ましい。
【0041】
実施の形態では、空運転は、洗濯機2の状態の回復を試みるメンテナンス用運転である。メンテナンス用運転は、例えば洗濯槽25に発生したカビ又は臭いを除去するための運転であって、洗濯槽25を洗浄する運転と、洗濯槽25を乾燥する運転と、を含み得る。なお、メンテナンス用運転は、洗濯槽25に発生し得るカビ又は臭いを予防するための運転を含み得る。
【0042】
出力部13は、診断部12による診断結果に関する情報を出力する。出力部13は、異常診断方法におけるステップS14,S15(後述する
図2参照)の実行主体である。ここで、診断部12による診断結果に関する情報は、例えば洗濯機2が正常であるか異常であるかを示す情報、洗濯機2が異常である場合には洗濯機2のどの箇所に異常が発生しているかを示す情報等を含み得る。
【0043】
実施の形態では、出力部13は、診断部12による診断結果に関する情報を、文字列及び画像の少なくとも一方により表したデータとして、情報端末3へ送信(出力)する。当該データを受信した情報端末3は、当該データを表示部32に表示する。これにより、診断部12による診断結果に関する情報が、情報端末3を所有するユーザに提示される。つまり、出力部13は、診断部12による診断結果に関する情報をユーザに提示する。
【0044】
記憶部14は、異常診断システム1の各部が各種機能を実行するために必要な情報(コンピュータプログラム等)が記憶される記憶装置である。記憶部14は、例えば半導体メモリにより実現されるが、特に限定されることなく公知の電子情報記憶の手段を用いることができる。記憶部14は、例えば診断部12による診断に用いられる閾値範囲を、洗濯機2の運転の種類ごとに記憶する。
【0045】
[2.動作]
以上のように構成された異常診断システム1について、以下
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、実施の形態における異常診断システム1の第1動作例を示すフローチャートである。
図3は、実施の形態における異常診断システム1の第2動作例を示すフローチャートである。
【0046】
[2-1.第1動作例]
第1動作例では、異常診断システム1は、洗濯機2が空運転を実行している場合にのみ、洗濯機2の異常の有無を診断する。第1動作例では、例えばユーザが洗濯機2の入力部又は情報端末3にて所定の操作入力を行うことで、洗濯機2が空運転(ここでは、メンテナンス用運転)を開始すると、異常診断システム1が動作を開始する。
【0047】
まず、取得部11は、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2との間で通信することにより、運転情報を取得する(ステップS11)。次に、診断部12は、取得部11が取得した運転情報に基づいて、洗濯機2の異常の有無を診断する(ステップS12)。診断部12は、洗濯機2が洗濯運転のみを行う場合であれば、脱水運転についての異常の有無を診断する。また、診断部12は、洗濯機2が洗濯運転の後に乾燥運転を行う場合であれば、脱水運転及び乾燥運転の各々についての異常の有無を診断する。
【0048】
診断部12が洗濯機2に異常があると診断した場合(ステップS13:Yes)、出力部13は、洗濯機2に異常があることを示す診断結果に関する情報を出力する(ステップS14)。一方、診断部12が洗濯機2に異常がないと診断した場合(ステップS13:No)、出力部13は、洗濯機2に異常がないことを示す診断結果に関する情報を出力する(ステップS15)。ここでは、出力部13は、ユーザが所有する情報端末3へ診断結果に関する情報を送信(出力)する。なお、診断部12が洗濯機2に異常がないと診断した場合においては、出力部13は、診断結果に関する情報を出力しなくてもよい。
【0049】
[2-2.第2動作例]
第2動作例では、異常診断システム1は、洗濯機2が空運転を実行している場合のみならず、洗濯機2が通常運転を実行している場合においても、洗濯機2の異常の有無を診断する。つまり、第2動作例では、診断部12は、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態での通常運転を洗濯機2が実行している場合に、洗濯機2の異常の有無を更に診断する。そして、出力部13は、診断部12が洗濯機2の通常運転時において洗濯機2に異常があると診断した場合、メンテナンス用運転の実行をユーザに促す推奨情報を出力する。
【0050】
第2動作例では、例えばユーザが洗濯物を洗濯槽25に投入した後に、ユーザが洗濯機2の入力部又は情報端末3にて所定の操作入力を行うことで洗濯機2が通常運転を開始すると、異常診断システム1が動作を開始する。
【0051】
まず、取得部11は、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2との間で通信することにより、運転情報を取得する(ステップS21)。次に、診断部12は、取得部11が取得した運転情報に基づいて、洗濯機2の異常の有無を診断する(ステップS22)。診断部12は、洗濯機2が洗濯運転のみを行う場合であれば、脱水運転についての異常の有無を診断する。また、診断部12は、洗濯機2が洗濯運転の後に乾燥運転を行う場合であれば、脱水運転及び乾燥運転の各々についての異常の有無を診断する。
【0052】
ここで、洗濯機2が通常運転を実行している場合においては、診断部12が参照する閾値範囲は、洗濯機2が空運転を実行している場合に診断部12が参照する閾値範囲と異なっている。洗濯機2の通常運転時においては、洗濯槽25に洗濯物が入っているからである。なお、洗濯機2が通常運転を実行している場合において診断部12が参照する閾値範囲は、洗濯槽25に入っている洗濯物の量に応じて適宜設定されてもよい。
【0053】
診断部12が洗濯機2に異常があると診断した場合(ステップS23:Yes)、出力部13は、推奨情報を出力する(ステップS24)。一方、診断部12が洗濯機2に異常がないと診断した場合(ステップS23:No)、出力部13は、特に何も実行しない。ここでは、出力部13は、ユーザが所有する情報端末3へ推奨情報を送信(出力)する。
【0054】
推奨情報を受信した情報端末3では、例えば「そろそろ洗濯機のメンテナンスを行ってはいかがでしょうか?」等の洗濯機2のメンテナンス用運転を促す文字列及び画像の少なくとも一方を、推奨情報として表示部32に表示する。これにより、推奨情報を確認したユーザは、メンテナンス用運転を実行するか否かを自らの意思で決定する。
【0055】
メンテナンス用運転を実行すると決定した場合、ユーザは、例えば洗濯機2の入力部又は情報端末3にて所定の操作入力を行うことで、洗濯機2にメンテナンス用運転を実行させる。この場合、異常診断システム1は、第1動作例での動作を開始することになる。
【0056】
上記推奨情報には、洗濯機2に異常があることを示す診断結果は含まれない。このため、推奨情報を確認したユーザは、洗濯機2に異常があるという診断結果を知らない状態でメンテナンス用運転を洗濯機2に実行することになる。ここで、洗濯機2の通常運転時における異常の有無の診断は、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態で行われるため、洗濯機2の空運転時における異常の有無の診断と比較して精度が低い。このような洗濯機2の通常運転時における異常の有無の診断結果をユーザに知らせると、ユーザに無用な不安を与える可能性がある。これに対して、第2動作例では、洗濯機2の通常運転時において異常があると診断しても、単にメンテナンス用運転の実行をユーザに促すだけであるので、ユーザに無用な不安を与えることなく、より精度の高い診断に誘導することが可能である。
【0057】
[3.効果等]
以下、実施の形態における異常診断システム1の利点について説明する。
【0058】
既に述べたように、洗濯機2の運転中においては、洗濯物のばらつきにより1以上のセンサ24での検知結果も異なり得るため、洗濯機2に異常が発生しているか否かを精度良く診断することが難しい、という課題がある。
【0059】
これに対して、実施の形態における異常診断システム1では、洗濯槽25に洗濯物が入っていない状態での空運転を洗濯機2が実行している場合に、洗濯機2の異常の有無を診断している。つまり、実施の形態における異常診断システム1では、洗濯槽25に洗濯物を入れていない状態で洗濯機2の異常の有無を診断するため、洗濯機2の出荷時(初期状態)での運転性能と、現在の洗濯機2の運転性能とのずれを診断することが可能である。
【0060】
このため、実施の形態における異常診断システム1では、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態で洗濯機2の異常の有無を診断する場合と比較して、洗濯物のばらつきが診断結果に影響を及ぼすことがないため、洗濯機2の異常の有無を診断する精度を向上しやすい、という利点がある。
【0061】
また、洗濯機2が空運転を実行している場合における洗濯機2の異常の有無の診断は、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態での診断と比較して精度が高い。このため、例えば修理業者等の洗濯機2のメンテナンスを実行する者にとっても精度の高いデータを参照することができ、メンテナンスを行いやすい、という利点がある。
【0062】
なお、空運転がメンテナンス用運転である場合、例えば洗濯槽25に発生していたカビ又は洗濯槽25の汚れが除去される等して、洗濯機2の運転性能が回復することも期待できる。
【0063】
[4.変形例]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0064】
そこで、以下、実施の形態の変形例を例示する。なお、以下に例示する変形例においては、
図4に示す変形例を除いて、洗濯機2についての変形例は洗濯機2Aについての変形例でもあり、異常診断システム1についての変形例は異常診断システム1Aについての変形例でもある。
【0065】
上記実施の形態では、異常診断システム1はサーバ4に搭載されているが、これに限られない。例えば、
図4に示すように、異常診断システム1Aは、洗濯機2Aに搭載されていてもよい。
図4は、実施の形態の変形例における異常診断システム1Aを搭載した洗濯機2Aの構成を示すブロック図である。洗濯機2Aは、実施の形態における洗濯機2とは異なり、データ取得部22及び通信部23を備えておらず、代わりに異常診断システム1Aを備えている。異常診断システム1Aは、異常診断システム1と同様の構成であるが、取得部11は、データ取得部22としても機能する。つまり、
図4に示す変形例においては、洗濯機2Aは、異常診断システム1Aと、運転情報の少なくとも一部を検知する1以上のセンサ24と、を備えている。
【0066】
上記実施の形態において、第1動作例及び第2動作例では、洗濯機2による空運転と並行して異常診断システム1が動作しているが、これに限られない。例えば、異常診断システム1は、洗濯機2による空運転の終了後において、洗濯機2から送信される空運転時の運転情報を取得することにより、洗濯機2の異常の有無を診断してもよい。
【0067】
上記実施の形態において、洗濯機2は、空運転を実行する際に、例えば重量センサを用いて洗濯槽25に洗濯物が入っているか否かを検知してもよい。この場合、例えば洗濯槽25に洗濯物が入っていなければ、洗濯機2はそのまま空運転を実行し、洗濯槽25に洗濯物が入っていれば、洗濯機2又は異常診断システム1からユーザに洗濯物を取り除くように通知する。この態様では、洗濯槽25から洗濯物を取り除いた状態で空運転を実行しやすくなるので、洗濯機2の異常の有無の診断の精度の向上が期待できる、という利点がある。
【0068】
上記実施の形態では、洗濯機2の空運転は、ユーザによる洗濯機2の入力部又は情報端末3への所定の操作入力をトリガとして実行されるが、これに限られない。例えば、洗濯機2の空運転は、ユーザがあらかじめ設定したスケジュールに従って自動的に実行されてもよい。
【0069】
上記実施の形態では、出力部13は、診断部12による診断結果に関する情報又は推奨情報を、ユーザが所有する情報端末3へ送信(出力)しているが、これに限られない。例えば、洗濯機2が液晶ディスプレイ等の表示部を有している場合、出力部13は、診断部12による診断結果に関する情報又は推奨情報を、洗濯機2へ送信(出力)してもよい。この場合、洗濯機2では、受信した診断部12による診断結果に関する情報又は推奨情報を表示部に表示させることにより、これらの情報をユーザに提示する。
【0070】
上記実施の形態では、診断部12による診断結果に関する情報又は推奨情報は、文字列及び画像の少なくとも一方を表示することによりユーザに提示されるが、これに限られない。例えば、これらの情報は、音声によりユーザに提示されてもよいし、表示及び音声の組み合わせによりユーザに提示されてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、第2動作例において、出力部13は、診断部12が洗濯機2に異常があると診断した時点で推奨情報を出力しているが、これに限られない。例えば、出力部13は、洗濯機2の運転回数が閾値に達した時点で推奨情報を出力してもよい。なお、閾値は、例えば診断部12による診断結果に応じて変更されてもよい。具体的には、診断部12により洗濯機2に異常があると診断された場合に、閾値を小さくすることで推奨情報を出力するタイミングを早めてもよい。
【0072】
上記実施の形態では、洗濯機2は乾燥機能付き洗濯機であるが、これに限られない。例えば、洗濯機2は、洗濯機能のみを有していてもよく、乾燥機能を有していなくてもよい。この場合、異常診断システム1による洗濯機2の異常の有無の診断は、脱水運転に対する診断のみ行われる。
【0073】
また、例えば、上記実施の形態では、異常診断システム1は、単一の装置として実現されたが、複数の装置によって実現されてもよい。異常診断システム1が複数の装置によって実現される場合、異常診断システム1が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。つまり、本開示は、クラウドコンピューティングによって実現されてもよいし、エッジコンピューティングによって実現されてもよい。
【0074】
また、例えば、上記実施の形態において、本開示における異常診断システム1の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0075】
また、本開示における異常診断システム1の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0076】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0077】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体で実現されてもよい。例えば、本開示は、上記実施の形態における制御方法をコンピュータによって実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体に記録されてもよいし、インターネット等の通信路で配信されてもよい。
【0078】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
【0079】
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0080】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【0081】
(まとめ)
以上述べたように、実施の形態における異常診断システム1,1Aは、取得部11と、診断部12と、出力部13と、を備える。取得部11は、洗濯機2,2Aによる運転に関する運転情報を取得する。診断部12は、洗濯機2,2Aの洗濯槽25に洗濯物が入っていない状態での空運転を洗濯機2,2Aが実行している場合に、取得部11が取得した運転情報に基づいて洗濯機2,2Aの異常の有無を診断する。出力部13は、診断部12による診断結果に関する情報を出力する。
【0082】
これによれば、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態で洗濯機2,2Aの異常の有無を診断する場合と比較して、洗濯物のばらつきが診断結果に影響を及ぼすことがないため、洗濯機2,2Aの異常の有無を診断する精度を向上しやすい、という利点がある。
【0083】
また、例えば、空運転は、洗濯物を脱水するための脱水運転である。取得部11は、運転情報として洗濯槽25の振幅を取得する。診断部12は、洗濯槽25の振幅に基づいて洗濯機2,2Aの脱水運転での異常の有無を診断する。
【0084】
これによれば、洗濯機2,2Aの脱水運転についての異常の有無を診断する精度を向上しやすい、という利点がある。
【0085】
また、例えば、空運転は、洗濯物を乾燥するための乾燥運転である。取得部11は、運転情報として洗濯槽25の内部の温度を取得する。診断部12は、洗濯槽25の内部の温度に基づいて洗濯機2,2Aの乾燥運転での異常の有無を診断する。
【0086】
これによれば、洗濯機2,2Aの乾燥運転についての異常の有無を診断する精度を向上しやすい、という利点がある。
【0087】
また、例えば、空運転は、洗濯機2,2Aの状態の回復を試みるメンテナンス用運転である。
【0088】
これによれば、ユーザが洗濯機2,2Aの異常の有無の診断について特に意識せずに空運転を洗濯機2に実行させやすい、という利点がある。
【0089】
また、例えば、診断部12は、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態での通常運転を洗濯機2,2Aが実行している場合に、洗濯機2,2Aの異常の有無を更に診断する。出力部13は、診断部12が洗濯機2,2Aの通常運転時において洗濯機2,2Aに異常があると診断した場合、メンテナンス用運転の実行をユーザに促す推奨情報を出力する。
【0090】
これによれば、洗濯機2,2Aの通常運転時において異常があると診断しても、単にメンテナンス用運転の実行をユーザに促すだけであるので、ユーザに無用な不安を与えることなく、より精度の高い診断に誘導することが可能である。
【0091】
また、実施の形態における洗濯機2Aは、異常診断システム1Aと、運転情報の少なくとも一部を検知するセンサ24と、を備える。
【0092】
これによれば、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態で洗濯機2Aの異常の有無を診断する場合と比較して、洗濯物のばらつきが診断結果に影響を及ぼすことがないため、洗濯機2Aの異常の有無を診断する精度を向上しやすい、という利点がある。
【0093】
また、実施の形態における情報端末3は、通信部31と、表示部32と、を備える。通信部31は、異常診断システム1,1Aとの間で通信する。表示部32は、通信部31で受信した診断結果に関する情報を表示する。
【0094】
これによれば、情報端末3を使用するユーザが、洗濯機2,2Aの異常の有無を診断する精度が向上した診断結果を確認することができる、という利点がある。
【0095】
また、実施の形態における異常診断方法は、洗濯機2,2Aによる運転に関する運転情報を取得する(ステップS11)。また、異常診断方法は、洗濯機2,2Aの洗濯槽25に洗濯物が入っていない状態での空運転を洗濯機2,2Aが実行している場合に、取得した運転情報に基づいて洗濯機2,2Aの異常の有無を診断する(ステップS12)。また、異常診断方法は、診断による診断結果に関する情報を出力する(ステップS14,S15)。
【0096】
これによれば、洗濯槽25に洗濯物が入っている状態で洗濯機2,2Aの異常の有無を診断する場合と比較して、洗濯物のばらつきが診断結果に影響を及ぼすことがないため、洗濯機2,2Aの異常の有無を診断する精度を向上しやすい、という利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、乾燥運転を実行する機能を有する乾燥機能付き洗濯機等に適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1,1A 異常診断システム
11 取得部
12 診断部
13 出力部
2,2A 洗濯機
24 センサ
25 洗濯槽
3 情報端末
31 通信部
32 表示部