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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043841
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】抵抗アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/00 20060101AFI20230322BHJP
   H01C 13/00 20060101ALI20230322BHJP
   H01C 1/144 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G01R15/00 500
H01C13/00 J
H01C1/144
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130915
(22)【出願日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】10 2021 004 687.0
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】592179160
【氏名又は名称】ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WIELAND-WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】トニー ロベルト ノル
(72)【発明者】
【氏名】ガーハード ツァム
(72)【発明者】
【氏名】クリストファ カストル
(72)【発明者】
【氏名】ジョセン ワリッサー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス スチュールズ
【テーマコード(参考)】
2G025
5E028
【Fターム(参考)】
2G025AA09
2G025AB05
2G025AC01
5E028BA21
5E028BB01
5E028CA12
5E028JA11
5E028JB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電流強度を測定するための抵抗アセンブリを提供する。
【解決手段】抵抗アセンブリ(1)は、少なくとも2つのストリップ状または板状の端子素子(2、2‘)と、電流の方向で端子素子(2、2‘)の間に配置されている少なくとも1つのストリップ状または板状の抵抗素子(3)とを備え、端子素子(2、2‘)と抵抗素子(3)が一平面上に相並んで、および相対して一列に配置され、少なくとも1つの抵抗素子(3)は、室温での比電気抵抗が端子素子(2、2‘)の材料の比電気抵抗より少なくとも10倍大きい材料からなり、少なくとも1つの抵抗素子(3)は、2つの互いに平行の接触辺(31、32)を有し、端子素子(2、2‘)は、それぞれ1つの接触面(21、21‘)を有し、接触面にて端子素子が少なくとも1つの抵抗素子(3)または別の抵抗素子の接触辺(31、32)のうちの1つと接続され、かつ電気的に接触している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗アセンブリ(1)を流れる電流の強度を測定するための抵抗アセンブリ(1)であって、前記抵抗アセンブリ(1)が、外部電気回路に前記抵抗アセンブリ(1)を接続するための少なくとも2つのストリップ状または板状の端子素子(2、2‘)と、電流の方向で前記端子素子(2、2‘)の間に配置されている少なくとも1つのストリップ状または板状の抵抗素子(3)とを備え、
前記抵抗アセンブリ(1)を形成するために、前記抵抗アセンブリ(1)がストリップの形状であるとともに、前記電流の方向に対して垂直に向いた方向に最小の空間的広がりを有するように、前記端子素子(2、2‘)と前記抵抗素子(3)が一平面上に相並んで、および相対して一列に配置され、
前記少なくとも1つの抵抗素子(3)は、室温での比電気抵抗が前記端子素子(2、2‘)の材料の比電気抵抗より少なくとも10倍大きい材料からなり、
前記少なくとも1つの抵抗素子(3)は、2つの互いに平行の接触辺(31、32)を有し、
前記端子素子(2、2‘)は、それぞれ1つの接触面(21、21‘)を有し、前記接触面にて前記端子素子が前記少なくとも1つの抵抗素子(3)または別の抵抗素子の接触辺(31、32)のうちの1つと接続され、かつ電気的に接触している、抵抗アセンブリにおいて、
前記少なくとも1つの抵抗素子(3)は、前記抵抗アセンブリ(1)を電流が流れる場合に電流フロー線(4)が形成されるように配置され、前記電流フロー線は、前記抵抗素子(3)の前記接触辺(31、32)のうちの少なくとも1つにて前記端子素子(2、2‘)から前記抵抗素子(3)へ移行する場合に前記接触面(21、21‘)全体で平均して少なくとも5°の角度だけ偏向され、前記偏向が、前記抵抗アセンブリ(1)の前記最小の空間的広がりの方向に対して垂直の平面で行われることを特徴とする、抵抗アセンブリ。
【請求項2】
前記端子素子(2、2‘)と前記少なくとも1つの抵抗素子(3)は、前記電流フロー線(4)が少なくとも15°の角度および最大で60°偏向されるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の抵抗アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの抵抗素子(3)は、前記抵抗アセンブリ(1)を電流が流れる場合に電流フロー線(4)が形成されるように配置され、前記電流フロー線は、前記それぞれの端子素子(2、2‘)から前記抵抗素子(3)へ移行する場合に、前記抵抗素子(3)の両方の接触辺(31、32)にて前記それぞれの接触面(21、21‘)全体で平均して等しい角度で、しかし互いに逆方向に偏向されることを特徴とする、請求項1または2に記載の抵抗アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記抵抗アセンブリ(1)は、前記抵抗アセンブリ(1)の前記最小の空間的広がりの方向に対して垂直の平面に、実質的に平行四辺形に相当する底面を有し、前記平行四辺形は、前記端子素子における電流の方向に対して平行の第1の長辺(51)および第2の長辺(52)を有することと、前記少なくとも1つの抵抗素子(3)の前記接触辺(31、32)が、前記平行四辺形の長辺(51、52)と少なくとも25°、最大で85°の角度をなすことと、を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の抵抗アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記端子素子(2、2‘)のうちの少なくとも1つに少なくとも1つの電圧タップ(6)が設けられ、前記電圧タップは、直角三角形により取り囲まれる面に位置決めされ、前記直角三角形の斜辺が前記抵抗素子(3)の接触辺(31、32)を含むか、または前記接触辺であり、前記直角三角形の第1の辺が前記平行四辺形の前記第1の長辺(51)の一部であり、前記直角三角形の第2の辺は、前記斜辺と前記平行四辺形の前記第2の長辺(52)との交点から前記平行四辺形の前記第1の長辺(51)へ下される垂線によってなることを特徴とする、請求項4に記載の抵抗アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記電圧タップ(6)は、直角三角形により取り囲まれる面に位置決めされ、前記直角三角形の斜辺が前記抵抗素子(3)の接触辺(31、32)の一部を含むか、または前記接触辺の一部であり、前記直角三角形の第1の辺が前記平行四辺形の前記第1の長辺(51)の一部であり、前記直角三角形の第2の辺は、前記斜辺の、前記平行四辺形の前記2つの長辺(51、52)の間の中心に位置する点から前記平行四辺形の前記第1の長辺(51)へ下される垂線によってなることを特徴とする、請求項5に記載の抵抗アセンブリ(1)。
【請求項7】
2つの端子素子(2、2‘)にそれぞれ少なくとも1つの電圧タップ(6、6‘)が設けられていることと、少なくとも2つの電圧タップが互いに点対称に配置され、前記対称中心が、前記平行四辺形の2つの長辺(51、52)から等しく離隔し、かつ前記抵抗素子(3)の前記2つの接触辺(31、32)の間に等間隔に延びる仮想線上に位置する点により定義されることと、を特徴とする請求項5または6に記載の抵抗アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記端子素子(2、2‘)は、外部電気回路に前記抵抗アセンブリ(1)を接続するための手段(7、7‘)を有し、それにより前記手段(7、7‘)によって前記抵抗アセンブリにおいて主電流方向が定義されることと、前記抵抗素子(3)の前記接触辺(31、32)は、前記主電流方向と最大85°の角度をなすことと、を特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の抵抗アセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流の強度を測定するための抵抗アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路における電流測定のために、監視すべき部品と直列に接続される測定抵抗が使用される。その場合、電流強度は、シャント抵抗と呼ばれる測定抵抗で降下する電圧からオームの法則に従い決定される。その場合、抵抗の大きさが既知であることが前提となる。例えば電気車またはハイブリッド車のバッテリマネージメントシステムにおいて、電流強度の正確で信頼できる測定は特に重要である。約10~50μOhmの低オームの測定抵抗と、抵抗アセンブリを電気回路と接続するための端子素子とを備える抵抗アセンブリを、縦シーム溶接された複合材料から製造することができる。これは、例えば特許文献1から知られている。複合材料は3つの金属帯から製作され、その際、個々の金属帯は、それぞれ電子ビーム法またはレーザ溶接法により縦方向継目で互いに接合される。その場合、真ん中の金属帯は、非常に小さい抵抗温度係数の材料からなる。この材料は、測定抵抗の実際の抵抗素子を形成する。
【0003】
2つの外側の帯は、通常、例えば銅などの高導電性の材料からなる。そのような材料は、大抵の場合、抵抗素子の材料と比べて高い抵抗温度係数を有する。これらの2つの外側の帯から端子素子が形成され、これらの端子素子を介して測定抵抗を電気回路に接続することができる。
【0004】
測定抵抗で降下する電圧からの電流強度の決定は、抵抗値を正確に知ることが前提となる。その場合、使用される材料の比抵抗への温度の影響が重要や役割を果たす。通常、電圧タップは、端子素子において抵抗素子に対して距離をおいて位置決めされ、それにより測定電圧が、抵抗素子での電圧降下だけでなく、端子素子のそれぞれ一部での電圧降下から結果として生じる寄与も含む。これらの寄与は、温度とともに変化し、したがって電流強度の決定を歪曲する可能性がある。
【0005】
特許文献2および特許文献3から、電流強度の決定への温度の影響が最小限に抑えられるように、切込みによって電位の分布を変化させる抵抗アセンブリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0605800号明細書
【特許文献2】欧州特許第2446449号明細書
【特許文献3】国際公開第2011/028870号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、抵抗アセンブリを流れる電流の強度を決定するための、電流強度の決定への温度の影響が低減される代替の抵抗アセンブリを提供するという課題にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1の特徴により示される。他の引用する請求項は、本発明の有利な実施形態および発展形態に該当する。
【0009】
本発明は、実質的に外側から設定可能な方向で抵抗アセンブリを流れる電流の強度を測定するための抵抗アセンブリに関する。抵抗アセンブリは、外部電気回路に抵抗アセンブリを接続するための少なくとも2つのストリップ状または板状の端子素子と、電流の方向で端子素子の間に配置されている少なくとも1つのストリップ状または板状の抵抗素子とを備えている。抵抗アセンブリを形成するために、抵抗アセンブリがストリップの形状であるとともに、電流の方向に対して垂直に向いた方向に最小の空間的広がりを有するように、端子素子と抵抗素子が一平面上に相並んで、および相対して一列に配置されている。少なくとも1つの抵抗素子は、室温での比電気抵抗が端子素子の材料の比電気抵抗より少なくとも10倍大きい材料からなる。少なくとも1つの抵抗素子は、2つの互いに平行の接触辺(Kontaktseite)を有する。端子素子は、それぞれ1つの接触面を有し、接触面にて端子素子が少なくとも1つの抵抗素子または別の抵抗素子の接触辺のうちの1つと直接、または移行ゾーンを介して間接的に接続され、かつ電気的に接触している。本発明によれば、少なくとも1つの抵抗素子は、抵抗アセンブリを電流が流れる場合に電流フロー線(Stromflusslinie)が形成されるように配置され、電流フロー線は、抵抗素子の接触辺のうちの少なくとも1つにて端子素子から抵抗素子へ移行する場合に、接触面全体で平均して少なくとも5°の角度だけ偏向され、偏向は、抵抗アセンブリの最小の空間的広がりの方向に対して垂直の平面で行われる。
【0010】
上記の抵抗アセンブリは、抵抗が10~100μOhmのシャント抵抗を抵抗素子として有することができる。抵抗素子のみならず端子素子も導電性材料からなる。その場合、抵抗素子の材料の比電気抵抗は、端子素子の材料の比電気抵抗より少なくとも10倍大きい。その一方で、端子素子の材料の抵抗温度係数は、抵抗素子の材料の抵抗温度係数の値よりはるかに大きく、典型的には少なくとも80倍大きい。通常、抵抗素子の材料の抵抗温度係数の値は5・10-51/K未満であるのに対して、端子素子の材料の抵抗温度係数は約4・10-31/Kである。抵抗アセンブリの端子素子は、特に銅、好ましくは低合金化した銅合金、アルミニウム、または好ましくは低合金化したアルミニウム合金からなることができ、あるいはこれらの材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。抵抗素子は、抵抗合金として一般的に使用される銅合金、または鋼からなることができる。
【0011】
端子素子を用いて抵抗アセンブリを外部電気回路に接続することができる。端子素子によって、抵抗アセンブリにおける電流の方向を実質的に定義することができる。抵抗アセンブリの端子素子は末端にある端子素子であり得る。しかし、少なくとも1つの端子素子が、2つの抵抗素子間に生じる可能性のある電流経路に配置されることも可能である。
【0012】
抵抗アセンブリは平面配置で形成されている。その場合、端子素子と少なくとも1つの抵抗素子が板状またはストリップ状の素子として形成され、一平面上に相並んで一列に配置されている。板状またはストリップ状体は、少なくとも2つの互いに平行の辺を有する。さらに、板状またはストリップ状体は、通常、互いに平行の辺に対して垂直の空間方向に、2つの他の空間方向の体の広がりより小さい、大抵の場合、格段に小さい広がりを有する。この方向の体の広がりは、板状またはストリップ状体の厚さと呼ばれる。1つの抵抗素子もしくは複数の抵抗素子の厚さは任意であり得る。しかしこれは通常、端子素子の厚さより大きくならない。
【0013】
端子素子と抵抗素子は一平面上に相並ぶように互いに一列に配置され、それにより抵抗アセンブリ自体もまた実質的にストリップ状の複合体とすることができる。したがって、抵抗アセンブリは、一空間方向に、抵抗アセンブリの他の2つの空間方向の空間的広がりより格段に小さい広がりを有する。抵抗アセンブリの最小の空間的広がりの方向は、電流の方向に対して垂直である。
【0014】
抵抗素子は2つの接触辺を有し、これらの接触辺にてそれぞれ端子素子と直接、または移行ゾーンを介して間接的に接続されてこれと電気的に接触する。接続は溶接シームによって実現することができ、それにより材料間にそれぞれ空間的に広がった、溶接ゾーンとして形成された冶金移行領域が存在する。抵抗素子の2つの接触辺は互いに平行であり、好ましくは長方形の形状を有することができる。
【0015】
抵抗アセンブリを電流が流れる場合に、抵抗アセンブリに一定電位の面が形成され、これらの面と抵抗アセンブリの表面との交線が等電位線と呼ばれる。電流は、一定電位の面に対して垂直に、もしくは等電位線に対して垂直に流れる。電流の経路は、電流フロー線によって示すことができる。抵抗素子を電流が流れ、それにより、予め設定された電流強度で抵抗アセンブリでの電圧降下が最小となる。そのため、抵抗素子において、電流フロー線は、縁領域を除いて抵抗素子の2つの平行の接触辺に対して垂直に、少なくともほぼ垂直に向くように形成される。電流フロー線は、抵抗素子の接触辺に対して最大でも小角度しか傾いていない。
【0016】
抵抗素子が、電流フロー線が抵抗素子の接触辺のうちの少なくとも1つにて端子素子から抵抗素子へ移行する場合にかなり大きい角度偏向されるように抵抗アセンブリに配置されている場合、この端子素子では電流フロー線が抵抗素子に向かって垂直にではなく、特定角度傾いて延びる。電流フロー線が偏向される角度は、端子素子において電流フロー線が抵抗素子に向かって延びる角度と抵抗素子および端子素子の材料の比抵抗の比率とに依存する。この比率は典型的には20~30である。端子素子において電流フロー線が抵抗素子に向かって垂直に延びていないので、電流フロー線上に垂直に立つ等電位線は、抵抗素子の接触辺に対して平行ではなく、電流フロー線が偏向される角度にほぼ相当する角度傾いて延びる。そのため、端子素子には抵抗素子の接触辺と特定角度で交差する等電位線がある。したがって、端子素子において、端子素子と抵抗素子との間の接触面の一箇所にある電位をこれらの等電位線で取り出すことができる。したがって、すなわち端子素子の領域で抵抗素子に対して距離をおいて電圧タップを位置決めするが、それでも端子素子と抵抗素子との間の接触面にて電位を取り出す有利な可能性が開かれる。このようにすることで、測定値への端子素子の材料の比抵抗の影響が低減される。
【0017】
抵抗アセンブリの温度が変化した場合、端子素子および抵抗素子の比抵抗も変化する。その場合、端子素子の比抵抗の変化は、抵抗素子の比抵抗の変化より格段に大きい。抵抗が温度とともに変化することによって、抵抗アセンブリにおける等電位線が変位する。しかし、抵抗素子の接触辺と交差する等電位線はごくわずかしか変位しない。なぜならこの等電位線の電位は、抵抗素子にいわば固定されていて、温度に伴うその抵抗値の変化が端子素子の抵抗より格段に小さいからである。端子素子のこれらの等電位線の領域に位置決めされている電圧タップでは、温度が変化した場合、これらの等電位線の領域に位置決めされていない電圧タップより電位の変化が小さい。特に、上記の抵抗アセンブリでは、そのような電圧タップで検出される測定信号への温度の影響が、端子素子から抵抗素子へ移行する場合に電流フロー線が偏向されない抵抗アセンブリの場合よりはるかに少ない。
【0018】
電流フロー線の偏向が接触面の縁領域における周辺効果として生じるだけでなく、電流フロー線の偏向が実質的に接触面の広がり全体に生じる場合、上述の効果は、外に向かって作用し、したがって技術的に有用である。そのため、電流フロー線は、接触面全体で平均して少なくとも5°の角度偏向されなければならない。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの抵抗素子を、電流フロー線が少なくとも15°、好ましくは少なくとも25°、最大で60°の角度偏向されるように配置することができる。電流フロー線が少なくとも15°偏向される場合、測定信号への温度の影響が特に少ない。60°を超える偏向は、設計上達成することが難しい。
【0020】
一実施形態の範囲内で、抵抗アセンブリを電流が流れる場合に、それぞれの端子素子から抵抗素子へ移行する場合、すなわち抵抗素子の2つの接触辺にてそれぞれの接触面を通り抜ける場合、それぞれの接触面全体で平均して等しい角度で、しかし互いに逆の方向に偏向される電流フロー線が形成されるように端子素子と少なくとも1つの抵抗素子を配置することができる。すなわち、電流フロー線は、抵抗素子の第2の接触辺にて、抵抗素子の第1の接触辺にてなされたのと同じ角度の大きさであるが逆の方向、すなわち逆の向きの角度で偏向される。角度の正負符号が異なる。第2の接触辺での偏向は、抵抗素子の第1の接触辺にて電流フロー線が偏向される第1の方向とは逆の第2の方向に行われる。電流フロー線が同じ角度であるが逆の方向に2回偏向されることによって、端子素子における電流の方向が同じである。電流フロー線の分布は、抵抗素子の幾何学的中心点を中心としていわば点対称である。このような抵抗アセンブリは、自動車の蓄電器を監視するために特に良く適している。
【0021】
別の一実施形態の範囲内で、抵抗アセンブリは、抵抗アセンブリの最小の空間的広がりの方向に対して垂直の平面に実質的に平行四辺形、特に長方形に相当する底面を有することができ、平行四辺形は、端子素子における電流の方向に対して実質的に平行の第1および第2の長辺を有し、少なくとも1つの抵抗素子の接触辺、またはそれらのそれぞれの延長線は、平行四辺形の長辺と少なくとも25°、最大で85°の角度をなすことができる。抵抗アセンブリの底面が実質的に平行四辺形に相当することは、底面のそれぞれ向かい側に位置する辺が互いに平行であることを意味する。抵抗アセンブリの底面は、例えば抵抗アセンブリの角が丸くされるか、または斜めにされることによって、あるいは抵抗アセンブリの外輪郭が多くの箇所に凹部または凸部を有することによって、幾何学的に理想的な平行四辺形の形状から逸脱することができる。特に、抵抗アセンブリの底面は、実質的に長方形の形状を有することができる。抵抗素子の接触辺は、抵抗アセンブリの外輪郭に対して傾けられ、これらは平行四辺形の長辺と少なくとも25°、最大で85°の角度をなす。したがって抵抗素子は、実質的に端子素子の位置にもとづく電流フロー方向に対して垂直に配置されるのではなく、斜めに配置され、垂直配置に対する偏差は、少なくとも5°、最大で65°である。この斜めの配置にもとづいて、電流フロー線は、端子素子から抵抗素子へ移行する場合、すなわち抵抗素子と端子素子との間の接触面を通り抜ける場合にそれぞれ少なくとも5°の角度だけ偏向される。好ましくは、抵抗素子の接触辺は、平行四辺形の長辺によって定義される抵抗アセンブリの外輪郭と少なくとも40°、最大で75°、特に好ましくは最大で65°の角度をなす。この場合、直角配置に対する偏差は、少なくとも15°、特に好ましくは少なくとも25°、最大で50°である。
【0022】
この実施形態の特別な一形態の範囲内で、端子素子のうちの少なくとも1つに少なくとも1つの電圧タップを設けることができ、電圧タップは、直角三角形により取り囲まれる面上に位置決めされ、この直角三角形の斜辺は、抵抗素子の接触辺を含むか、接触辺であり、第1の辺が平行四辺形の第1の長辺の一部であり、第2の辺が、斜辺と平行四辺形の第2の長辺との交点から平行四辺形の第1の長辺へ下される垂線によってなる。そのように定義された面において電流が流れる場合に抵抗素子の接触辺と交差し、そのため温度が変化したときに少ししか変位しない等電位線が形成される。すなわちそこに位置決めされた電圧タップは、端子素子の材料の比抵抗の温度依存性による影響をほとんど受けない電圧信号を検出する。
【0023】
この実施形態の特別な一形態の範囲内で、電圧タップを直角三角形により取り囲まれる面上に位置決めすることができ、直角三角形の斜辺は、抵抗素子の接触辺の一部を含むか、またはそのような一部であり、第1の辺が平行四辺形の第1の長辺の一部であり、第2の辺は、平行四辺形の2つの長辺の間の中心に位置する斜辺の点から平行四辺形の第1の長辺へ下される垂線によってなる。そのように定義されたこの三角形は、上述の定義された三角形の部分三角形である。この部分三角形において、電流が流れる場合に、温度が変化したときの変位が特に少ない等電位線が形成される。電圧タップをこの部分三角形に位置決めした場合、電圧タップは、端子素子の材料の比抵抗の温度依存性による影響が特に少ない電圧信号を検出する。
【0024】
この実施形態の別の形態の範囲内で、2つの端子素子にそれぞれ少なくとも1つの電圧タップを設けることができ、少なくとも2つの電圧タップを互いに点対称に配置することができる。その場合、対称中心は、平行四辺形の両方の長辺から等しく離隔された、かつ抵抗素子の2つの接触辺の間に等間隔に延びる仮想線上に位置する点によって定義される。すなわち、その縁に場合によって存在する空所を考慮しない場合、対称中心は、抵抗素子の幾何学的中心点に相当する。研究は、そのような一対の電圧タップによって、端子素子の材料の比抵抗の温度依存性による影響をほとんど受けない電圧信号を検出できることを示す。
【0025】
追加的実施形態の範囲内で、端子素子は、外部電気回路に抵抗アセンブリを接続する手段を有することができ、この手段によって、抵抗アセンブリにおいて主電流方向を定義することができ、抵抗素子の接触辺は、主電流方向と最大85°の角度をなすことができる。その場合、外部電気回路に抵抗アセンブリを接続する手段によって、主電流方向に対する抵抗素子の傾きを比較的正確に定義することができる。
【0026】
本発明による抵抗アセンブリの他の技術的特徴および利点については、ここで図、図の説明、および実施例が明示的に参照される。
【0027】
模式図をもとにして本発明の実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術から知られる抵抗アセンブリの図である。
図2図1による抵抗アセンブリにおける電流線の模式図である。
図3図1による抵抗アセンブリにおける等電位線の模式図である。
図4】斜めに位置決めされた抵抗素子を有する抵抗アセンブリの図である。
図5図4による抵抗アセンブリにおける電流線の模式図である。
図6図4による抵抗アセンブリにおける等電位線の模式図である。
図7】斜めに位置決めされた抵抗素子と電圧タップのための領域とを有する抵抗アセンブリの図である。
図8】斜めに位置決めされた抵抗素子と電圧タップのための好ましい領域とを有する抵抗アセンブリの図である。
図9】斜めに位置決めされた抵抗素子と電圧タップのための好ましい領域とを有する抵抗アセンブリの図である。
図10】測定データの比較グラフである。
図11】シミュレーション結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
すべての図において相互に対応する部分には同じ参照符号が付される。
【0030】
図1は、従来技術から知られる抵抗アセンブリ1の斜視図を模式的に示す。抵抗アセンブリ1は、2つの端子素子2、2‘と、これらの端子素子2、2‘の間に配置された抵抗素子3とを有している。2つの端子素子2、2‘は、それぞれ1つの孔7、7‘を有し、この孔により抵抗アセンブリ1を外部電気回路に接続することができる。抵抗素子3は、2つの接触辺31、32を有し、これらの接触辺にて抵抗素子がそれぞれ1つの端子素子2、2‘と導電接続されている。端子素子2、2‘の各々に電圧タップ6、6‘が設けられている。抵抗アセンブリ1を電流が流れる場合、抵抗素子3で降下する電圧をこれらの電圧タップ6、6‘により測定することができる。電圧タップ6、6‘は、抵抗素子3とそれぞれの端子素子2、2‘との間の接触線に正確に位置決めされていないので、電圧信号は、端子素子2、2‘での電圧降下によって引き起こされる寄与も含む。
【0031】
図2は、図1による抵抗アセンブリ1の平面図を示す。抵抗アセンブリ1は、互いに平行の2つの長辺51、52を有する長方形の形状の底面を有する。抵抗素子3は、2つの接触辺31、32が、長方形の2つの長辺51、52に対して垂直になるように配置されている。抵抗アセンブリ1を通る電流の経路を表す電流フロー線4が一点鎖線矢印で模式的に示される。電流フロー線4は、端子素子2、2‘のみならず抵抗素子3においても抵抗アセンブリの2つの長辺51、52に対して平行に延びる。電流フロー線4は、両方の端子素子2、2‘の接触面21、21‘上に垂直に立つ。接触面21、21‘を電流が通り抜ける場合、すなわち、それぞれ1つの端子素子2、2‘から抵抗素子3へ移行する場合に、電流はその方向を変えない。電流フロー線4は偏向されない。
【0032】
図3は、図1および図2による抵抗アセンブリ1を電流が流れる場合に生じる等電位線41を模式的に示す。等電位線41は、端子素子2、2‘のみならず抵抗素子3においても抵抗素子3の接触面31、32に対して平行に延び、かつ抵抗アセンブリ1の長辺51、52に対して垂直に延びる。したがって端子素子2、2‘における等電位線41は、抵抗素子3の接触面31、32と交わらない。抵抗素子3では、抵抗がより大きいことにもとづいて、等電位線41は、端子素子2、2‘におけるよりはるかに密である。端子素子2、2‘の材料の比抵抗は、抵抗素子3の材料の比抵抗より温度に大きく依存するので、抵抗アセンブリ1の温度が変化すると、主に端子素子2、2‘における等電位線41が変位する。したがって、同じ電流強度で変化した電圧が2つの電圧タップ6、6‘により検出される。
【0033】
図4は、抵抗素子3が2つの端子素子2、2‘の間に斜めに配置されている抵抗アセンブリ1の斜視図を模式的に示す。抵抗素子3は2つの接触辺31、32を有し、これらの接触辺にて、抵抗素子がそれぞれ1つの端子素子2、2‘と導電接続されている。2つの端子素子2、2‘はそれぞれ1つの孔7、7‘を有し、この孔により抵抗アセンブリ1を外部電気回路に接続することができる。両方の孔7、7‘のそれぞれの中心点が仮想的に線で結ばれることにより、これらの孔により主電流方向を定義することができる。抵抗素子3の接触辺31、32は、この主電流方向に対して傾けられている。端子素子2、2‘の各々に電圧タップ6、6‘が設けられている。従来技術から知られる抵抗アセンブリ1でのように、電圧タップ6、6‘は、抵抗素子3とそれぞれの端子素子2、2‘との間の接触線に正確に位置決めされず、抵抗素子3に対して距離をおいている。
【0034】
図5は、図4による抵抗素子1の平面図を示す。抵抗アセンブリ1は、2つの互いに平行の長辺51、52を有する長方形の形状の底面を有する。抵抗素子3は、それが長辺51、52と約70°の角度をなすように配置されている。抵抗アセンブリ1を通る電流の経路を表す電流フロー線4が一点鎖線矢印によって模式的に示される。電流フロー線4は、端子素子2、2‘においてのみ抵抗アセンブリ1の両方の長辺51、52に対して平行に延びる。抵抗素子3においては、電流フロー線4が抵抗素子3の接触辺31、32に対してほぼ垂直に延び、したがって抵抗アセンブリ1の長辺51、52に対して斜めに延びる。すなわち、2つの端子素子2、2‘のそれぞれの接触面21、21‘を通り抜ける場合、すなわちそれぞれ1つの端子素子2、2‘から抵抗素子3へ移行する場合に、電流フロー線4がそれぞれ約20°偏向される。偏向は、第2の接触面21‘では第1の接触面21での偏向と比較して逆の方向に行われ、それにより両方の端子素子2、2‘における電流フロー線4の方向が同じである。
【0035】
図6は、図4および図5による抵抗アセンブリ1を電流が流れる場合の等電位線41を模式的に示す。従来技術から知られる抵抗アセンブリでのように、抵抗素子3では、等電位線41は、抵抗がより大きいことにもとづいて、端子素子2、2‘におけるよりはるかに密である。2つの端子素子2、2‘において、等電位線41は、抵抗アセンブリ1の両方の長辺51、52に対して実質的に垂直に延びる。等電位線41は、抵抗素子3において、抵抗素子3の接触面31、32に対してほぼ平行に延びる。これらは接触面31、32に対して5°未満の角度しか傾いていない。この傾きにもとづいて、抵抗素子3の接触面31、32の近くに延びる等電位線41は、これらの接触面31、32と交わり、次いで、端子素子2、2‘の領域において上記のように続く。2つの電圧タップ6、6‘は、両方の端子素子2、2‘のこの領域に位置決めされている。
【0036】
図7は、図4図6による抵抗アセンブリ1の平面図を模式的に示す。抵抗素子3の両側に2つの直角三角形がハッチングして描かれ、上記の効果を利用するために電圧タップ6、6‘をこれらに位置決めすることができる。電圧タップ6、6‘は、抵抗素子3の近くに位置決めされている。電圧タップ6、6‘は、抵抗素子3の近くに位置決めされている。両方の電圧タップ6、6‘は、互いに点対称に配置されている。対称中心は、抵抗素子3の幾何学的中心点にあり、十字で示される。
【0037】
図8は、図4図6による抵抗アセンブリ1の平面図を模式的に示す。抵抗素子3の両側に2つの直角三角形がハッチングして描かれ、上記の効果を特に良好に利用できるようにするために、電圧タップ6、6‘を好ましくはこれらに位置決めすることができる。電圧タップ6、6‘は、抵抗素子3の近くに位置決めされている。両方の電圧タップ6、6‘は、互いに点対称に配置されている。対称中心は、抵抗素子3の幾何学的中心点にあり、十字で示される。
【0038】
図9は、図8に類似の抵抗アセンブリ1の平面図を模式的に示す。図9の場合、電圧タップ6、6‘は、抵抗素子3から明確な距離をおいて、抵抗アセンブリ1の長辺51、52のそれぞれ1つの近くの外縁の好ましい領域に位置決めされている。
【0039】
図10は、3つの抵抗アセンブリについて、測定された相対抵抗変化dR/R(%)が温度の関数としてプロットされた(TCR曲線)グラフを示す。抵抗は、測定ブリッジを用いて4端子法(Vier-Leiter-Technik)で測定された。それぞれ、20℃での抵抗が基準値として用いられる。「垂直」という表示のあるデータ列は、図1図3による抵抗アセンブリについて記録された。電圧タップ6、6‘は、図1および図3に模式的に示されるように位置決めされた。100℃の温度では測定抵抗が20℃での抵抗より0.6%大きく、150℃では、変化が約0.8%である。「45°傾けた」という表示のあるデータ列は、図4図6に示された抵抗アセンブリ1に類似の抵抗アセンブリについて記録され、抵抗素子3は、図1図3による抵抗アセンブリ1の抵抗素子3に対して45°傾けられた。電圧タップ6、6‘は、図4および図6に模式的に示されるように位置決めされた。100℃の温度では、測定抵抗が20℃での抵抗より0.2%小さく、150℃では、-0.5%未満の変化である。抵抗素子の傾きとともに抵抗アセンブリにおける等電位線がそれに対応して変位することによって、測定抵抗が温度とともに低下するらしいということを説明できる。「30°傾けた」という表示のあるデータ列は、図4図6に示される抵抗アセンブリ1に類似の抵抗アセンブリについて記録され、抵抗素子3は、図1図3による抵抗アセンブリ1の抵抗素子3に対して30°傾けられた。電圧タップ6、6‘は、図4および図6に模式的に示されるように位置決めされた。100℃の温度では、測定抵抗が20℃での抵抗より0.25%小さく、150℃では、変化が-0.5%よりいくらか大きい。測定データの比較は、傾けた抵抗素子を有する抵抗アセンブリでは、特に0℃~100℃の温度範囲で温度に伴う測定抵抗の変化が、従来技術から知られる抵抗アセンブリの場合より格段に小さいことを示す。このことは提案される抵抗アセンブリの利点を裏付ける。
【0040】
図11は、シミュレーション計算の結果のグラフを示す。2つの他の抵抗アセンブリについて、算出された相対抵抗変化dR/Rが温度の関数としてプロットされている。「30°傾けた」という表示のあるデータ列は、図4図6に示される抵抗アセンブリに類似の抵抗アセンブリについて算出され、抵抗素子3は、図1図3による抵抗アセンブリ1の抵抗素子3に対して30°傾けられた。「15°傾けた」という表示をもつデータ列は、図4図6に示される抵抗アセンブリ1に類似の抵抗アセンブリについて算出され、抵抗素子3は、図1図3による抵抗アセンブリ1の抵抗素子3に対して15°傾けられた。両方の抵抗アセンブリについて、それぞれ2対の電圧タップ6、6‘をシミュレーションした。第1対の電圧タップ6、6‘は、図8に示されるように、すなわち抵抗素子3の近くに位置決めしてシミュレーションされた。関連するデータ列には、「U:近く」という表示がされている。第2対の電圧タップ6、6‘は、図9に示されるように、すなわち抵抗素子3から距離をおいて、抵抗アセンブリ1の長辺51、52のそれぞれ1つの近くに位置決めしてシミュレーションされた。関連するデータ列には、「U:遠く」という表示がされている。実験的に決定されたデータ(図10)とは異なり、算出データは、それぞれ直線上に位置するのに対して、実験的に決定されたデータのデータ列は、それぞれカーブを有する。このカーブは、溶接シームによって引き起こされる効果が原因である。
【0041】
シミュレーションされた2つの抵抗アセンブリについて、抵抗素子の近くに位置決めされた電圧タップは、温度に伴う抵抗の変化がほぼ同じである。20℃での抵抗値に対する100℃での相対変化は約-0.2%である。この結果は、測定データと十分に一致する。等電位線が対応して変位することによって、シミュレーションされた抵抗が温度とともに低下するらしいということを説明できる。
【0042】
抵抗素子の遠くに位置決めされた電圧タップについてそれぞれ得られたデータは、2つのシミュレーションされた抵抗アセンブリについて明確に異なる挙動を示す。15°傾けられた抵抗素子を有する抵抗アセンブリで決定されたデータは正の勾配を示し、すなわち温度とともに抵抗が上昇を示し、従来技術による抵抗アセンブリについて実験的に決定された測定データのレベルにほぼ相当する(図10を参照)。30°傾けられた抵抗素子を有する抵抗アセンブリについて決定されたデータは負の勾配を示し、すなわち温度とともに抵抗が低下するようである。この場合、この低下は、電圧タップを抵抗素子の近くに位置決めした場合の抵抗の低下より大きい。データの比較は、抵抗素子の特定の傾きと電圧タップの特定の位置とを組み合わせたときに、互いに逆の効果を相殺することができ、それにより温度とほとんど無関係であると思われる抵抗にもとづいて電圧が測定されるということを推測させる。
【符号の説明】
【0043】
1 抵抗アセンブリ
2、2‘ 端子素子
21、21‘ 接触面
3 抵抗素子
31 接触辺
32 接触辺
4 電流フロー線
41 等電位線
51 長辺
52 長辺
6、6‘ 電圧タップ
7、7‘ 接続する手段、孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11