(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043896
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】サイドスタンドスイッチおよびサイドスタンド装置
(51)【国際特許分類】
B62H 1/02 20060101AFI20230323BHJP
B62J 45/42 20200101ALI20230323BHJP
F16J 15/3232 20160101ALI20230323BHJP
F16J 15/3236 20160101ALI20230323BHJP
【FI】
B62H1/02 B
B62H1/02 E
B62J45/42
F16J15/3232 201
F16J15/3236
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020043365
(22)【出願日】2020-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】荒内 進
(72)【発明者】
【氏名】菊池 信士
(72)【発明者】
【氏名】阿部 英樹
【テーマコード(参考)】
3J006
【Fターム(参考)】
3J006AB03
3J006AE12
3J006AE16
3J006AE30
3J006AE38
3J006AE41
3J006AF01
3J006CA01
(57)【要約】
【課題】製造上の負荷を過度に高めることなくシール部材の抜け止めを適切に実現可能なサイドスタンドスイッチを提供する。
【解決手段】サイドスタンドに連動して回動する回転体を有するロータ部と、回転体が挿通する貫通孔を有するケース部と、回転体の回転軸方向に延設された剛性部材からなる筒状体と筒状体に固定され弾性部材からなるシール部とを有するシール部材と、を備え、シール部材が回転体と貫通孔との間に圧入により配置されたサイドスタンドスイッチであって、シール部は、筒状体の外側に等しい厚さで形成されて貫通孔の内周面に圧接する第1弾性部と、筒状体の内側に設けられて回転体の外周面に対して摺動可能に対向する第2弾性部と、を備え、貫通孔の内周面は、筒状体に対向する位置に、気密部と、気密部よりもケース部の内側に位置する抜け止め部と、を有し、気密部に対向配置される第1弾性部は気密可能に圧縮され、抜け止め部において貫通孔は拡径する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドスタンドに連動して回動する回転体を有するロータ部と、
前記回転体が挿通する貫通孔を有するケース部と、
前記回転体の回転軸方向に延設された剛性部材からなる筒状体と前記筒状体に固定され弾性部材からなるシール部とを有するシール部材と、
前記回転体の回動位置を検出する位置検出部と、
を備え、
前記シール部材が前記回転体と前記貫通孔との間に圧入により配置されたサイドスタンドスイッチであって、
前記シール部は、前記筒状体の外側に等しい厚さで形成されて前記貫通孔の内周面に圧接する第1弾性部と、前記筒状体の内側に設けられて前記回転体の外周面に対して摺動可能に対向する第2弾性部と、を備え、
前記貫通孔の内周面は、前記筒状体に対向する位置に、気密部と、前記気密部よりも前記ケース部の内側に位置する抜け止め部と、を有し、
前記気密部に対向配置される前記第1弾性部は気密可能に圧縮され、
前記抜け止め部において前記貫通孔は拡径すること
を特徴とするサイドスタンドスイッチ。
【請求項2】
前記抜け止め部における前記貫通孔の拡径幅Dは下記式(1)を満たす、請求項1に記載のサイドスタンドスイッチ。
D≧T×0.005 (1)
ここで、Tは前記気密部における前記貫通孔と前記筒状体とのクリアランスである。
【請求項3】
前記抜け止め部は前記貫通孔の全周にわたって設けられている、請求項1または請求項2に記載のサイドスタンドスイッチ。
【請求項4】
前記気密部と前記抜け止め部との間に、前記貫通孔の口径が変化する遷移部をさらに有し、前記遷移部の前記回転軸方向の長さLは、前記貫通孔の拡径幅Dの2倍以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサイドスタンドスイッチ。
【請求項5】
前記遷移部は前記貫通孔の口径が連続的に変化するテーパ部からなる、請求項4に記載のサイドスタンドスイッチ。
【請求項6】
前記回転軸方向に沿って前記シール部材から離間した位置に、前記貫通孔に気密圧接する固定シール部材をさらに備え、
前記ケース部には、前記固定シール部材が前記回転軸方向に沿って前記シール部材から離間する移動を規制する支持部材が設けられた、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のサイドスタンドスイッチ。
【請求項7】
車体を起立状態に支持するサイドスタンドバーと、
ブラケットと、
前記ブラケットに前記サイドスタンドバーを回動可能に取り付けるピボットボルトと、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサイドスタンドスイッチと、
前記サイドスタンドスイッチを前記ピボットボルトに締め付けにより取り付ける固定ボルトと、を備えたことを特徴とする、サイドスタンド装置。
【請求項8】
前記抜け止め部は、前記貫通孔の全周にわたり、周方向に均等の間隔で部分的に設けられている、請求項1または請求項2に記載のサイドスタンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドスタンドスイッチおよびサイドスタンド装置に関し、特に、自動二輪車等の二輪車を支持するサイドスタンドバーの位置を検出するサイドスタンドスイッチおよびサイドスタンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動二輪車等には、駐車時に車体を起立状態に支持するサイドスタンド装置が設けられている。このサイドスタンド装置は、車体フレームに設けられたブラケットにピボットボルトを介してサイドスタンドバーを回動自在に取り付け、ピボットボルトに固定ボルトを介してサイドスタンドスイッチを取り付けて構成される。サイドスタンドスイッチは、固定接点が設けられたケース部と、可動接点が設けられたロータ部とを有し、サイドスタンドバーと共にロータ部が回動されることで、サイドスタンドバーの回動位置を検出している。
【0003】
従来、サイドスタンドバーの位置を検出するサイドスタンドスイッチとして、ロータ部がピンを介してサイドスタンドバーに係合され締結部材の締め付けによって生じるトルクを受けるトルク受け部材を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図8に示すように、このサイドスタンドスイッチ101においては、ケース部108がブラケットから突出した規制ピン107により回動規制され、ロータ本体109から突出した係合ピン111がサイドスタンドバー103に形成された係合孔93と係合している。この状態で、ケース部108およびロータ本体109の中央開口に挿通した固定ボルト106を、ピボットボルト104の頭部のネジ穴112に締め付けることで、サイドスタンドスイッチ101がピボットボルト104に固定される。そして、サイドスタンドバー103が回動すると、係合ピン111を介してロータ本体109が回動し、サイドスタンドバー103の回動位置が検出される。
【0004】
ロータ本体109と固定ボルト106との間には、相対回転可能な状態でロータ本体109と摩擦係合したトルク受け部材110が設けられている。また、ロータ本体109とのトルク受け部材110の係合面の摩擦力は、固定ボルト106の締め付けによって生じる摩擦力よりも小さくなっている。この構成により、一定以上のトルクがロータ本体109に伝達される場合にのみ、ロータ本体109とトルク受け部材110とが相対回転する。
【0005】
上記のとおり、サイドスタンドスイッチ101は、最終的に、固定ボルト106をネジ穴112に締め付けて、ピボットボルト104に固定されるため、流通・保存の状態では固定ボルト106は取り付けられていない。このため、ケース部108とロータ本体109との間に位置するシール部材120は、固定ボルト106が取り付けられていない状態でも抜け(Z1-Z2方向Z1側への移動)が適切に規制されていることが必要である。
【0006】
特に、特許文献1に開示されるサイドスタンドスイッチ101では、Z1-Z2方向Z2側にさらにシール部材130が設けられており、このシール部材130は、ケース部に設けられたカシメ部131によって、抜け(Z1-Z2方向Z2側への移動)が完全に規制されている。このため、流通・保存における環境温度が高い場合には、ケース部108およびロータ本体109と2つのシール部材120、130との間に形成される閉空間(気密空間)の体積が膨張して、抜けが規制されていないシール部材120に対して、抜ける方向(Z1-Z2方向Z1側)の外力が付与されやすい。
【0007】
従来技術に係るシール部材では、例えば特許文献2の
図5に示されるように、弾性変形するシール部に部分的に突出部を設け、シール部材が当接するハウジング側に溝を設けて、突出部を溝に嵌め込んで抜け止めとしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-274902号公報
【特許文献2】特許第4082035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示される構造では、ハウジングにシール部材を挿入する際に、突出部は溝よりも手前側の部分を通過してから溝に至るため、この手前部分を突出部が通過できることが必要とされる。この手前部分における突出部の挿入性を確保するための弾性変形量を確保した結果、溝部における突出部の弾性圧縮量が少なくなる。これは気密性の低下原因となる。また、溝部に突出部が確実に嵌め込まれないと、突出部の弾性回復力は、シール部材のハウジングからの抜け力となってしまう。このため、溝部と突出部との嵌め合いを厳密に管理する必要がある。さらに、ハウジングに溝部を形成することは、機械加工の場合には追加工が必要となり、成形加工の場合には入れ子構造の金型を用意する必要があり、いずれも製造容易性・製造安定性の低下要因となる。
【0010】
本発明の目的は、製造上の負荷を過度に高めることなくシール部材の抜け止めを適切に実現可能なサイドスタンドスイッチおよびサイドスタンド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく提供される本発明の一態様に係るサイドスタンドスイッチは、サイドスタンドに連動して回動する回転体を有するロータ部と、回転体が挿通する貫通孔を有するケース部と、回転体の回転軸方向に延設された剛性部材からなる筒状体と筒状体に固定され弾性部材からなるシール部とを有するシール部材と、回転体の回動位置を検出する位置検出部と、を備え、シール部材が回転体と貫通孔との間に圧入により配置されたサイドスタンドスイッチであって、シール部は、筒状体の外側に等しい厚さで形成されて貫通孔の内周面に圧接する第1弾性部と、筒状体の内側に設けられて回転体の外周面に対して摺動可能に対向する第2弾性部と、を備え、貫通孔の内周面は、筒状体に対向する位置に、気密部と、気密部よりもケース部の内側に位置する抜け止め部と、を有し、気密部に対向配置される第1弾性部は気密可能に圧縮され、抜け止め部において貫通孔は拡径する。
【0012】
シール部材の外周面に部分的に拡径した抜け止め部を設ける場合(凸状の抜け止め部を設けた場合)、シール部材を貫通孔に圧入すると、抜け止め部がある箇所は拡径した分だけ径方向にさらに圧縮され、抜け止め部が無い箇所はある箇所が圧縮された分だけ膨らもうとする。
【0013】
これに対し、本態様に係るサイドスタンドスイッチの構造では、第1弾性部の厚さは等しいため、気密部に対向する第1弾性部は均一に圧縮される。このため、第1弾性部が圧縮することによりもたらされる気密の程度は貫通孔の周方向で均一となり、気密の安定性を高めることができる。また、シール部材が部分的に拡径して抜け止め部となる場合に比べて、シール部材を圧入しやすく、気密の程度を高めやすい。シール部分における拡径した部分は圧入の際に障害となるだけでなく、この拡径部分が気密部を通過できることを優先した結果、気密部の圧入クリアランスが相対的に大きくなり、気密の程度が相対的に低下してしまう。さらに、シール部材の拡径部分に対応して貫通孔にも拡径部分を設けると、圧入後に気密性に影響が出ないように、これらのはめ合いを十分に管理する必要がある。
【0014】
貫通孔は圧入方向の先端側に位置する抜け止め部において拡径しているため、圧入されて気密部を通過した第1弾性部は抜け止め部で相対的に膨張した状態で貫通孔に圧接する。それゆえ、圧入後にシール部材を回転軸方向に外す(抜く)向きの外力が生じると、貫通孔はシール部材が抜ける方向に縮径しているため、第1弾性部における抜け止め部に圧接する部分はさらに圧縮されなければシール部材は現実に抜ける方向に移動しない。すなわち、第1弾性部における抜け止め部に圧接する部分の圧縮抵抗が、外力の抵抗力として機能する。したがって、本態様に係るサイドスタンドスイッチでは、外力が生じてもシール部材が抜けにくい。また、ケース部の貫通孔側に設けられる形状は例えば特許文献2の溝部に比べて加工が容易であるため、製造容易性は低下しにくい。
【0015】
上記のサイドスタンドスイッチは、抜け止め部における貫通孔の拡径幅Dが下記式(1)を満たすことが好ましい。
D≧T×0.005 (1)
ここで、Tは気密部における貫通孔と筒状体とのクリアランスである。
【0016】
拡径幅Dは、回転軸を含む面での断面において、回転軸方向に対して直交する方向に貫通孔の半径が広がった幅を意味する。したがって、抜け止め部において貫通孔の内側面に圧接する第1弾性部の幅、すなわち抜け止め部における貫通孔と筒状体とのクリアランスT1は、気密部における貫通孔と筒状体とのクリアランスTと、拡径幅Dとを用いて、下記式(2)により表される。
T1=D+T (2)
で表される。
クリアランスT1がクリアランスTよりも0.5%以上大きければ、抜け止め部に位置する第1弾性部が気密部側に移動する際に生じる圧縮抵抗は十分に高くなり、抜け止めとして適切に機能する。
【0017】
上記のサイドスタンドスイッチは、抜け止め部が貫通孔の全周にわたって設けられていることが好ましい。抜け止め部が全周方向に渡って設けられていることにより、拡径幅Dを大きくすることなく抜け止め機能を高めることができる。抜け止め部は、貫通孔の全周にわたり、周方向に均等の間隔で部分的に設けられていてもよい。
【0018】
上記のサイドスタンドスイッチは、気密部と抜け止め部との間に、貫通孔の口径が変化する遷移部をさらに有していることが好ましく、この場合において、遷移部の回転軸方向の長さLは、貫通孔の拡径幅Dの2倍以下であることが好ましい。
【0019】
遷移部の長さLが拡径幅Dの2倍以下であることにより、シール部材に抜く力が加わると弾性部材の圧縮抵抗が速やかに発生して、抜け止め機能が適切に発揮される。なお、遷移部の長さLは短いほど圧縮抵抗を効率的に高めることができるが、ケース部の貫通孔の加工性(成形加工性、切削加工性)を高める観点から、遷移部の長さLが拡径幅Dの1/2程度までとすることが好ましい場合もある。遷移部は貫通孔の口径が連続的に変化するテーパ部からなることが遷移部の形成しやすさの観点から好ましい場合もある。
【0020】
上記のサイドスタンドスイッチは、回転軸方向に沿ってシール部材から離間した位置に、貫通孔に気密圧接する固定シール部材をさらに備えていてもよい。この場合において、ケース部には、固定シール部材が回転軸方向に沿ってシール部材から離間する移動を規制する支持部材が設けられていることが好ましい。気密空間の圧力が上昇しても、第1弾性部における抜け止め部に対向する部分が優先的に弾性変形しうるため、気密空間の圧力が過度に高まることが抑制される。
【0021】
本発明のサイドスタンド装置は、車体を起立状態に支持するサイドスタンドバーと、ブラケットと、前記ブラケットに前記サイドスタンドバーを回動可能に取り付けるピボットボルトと、上記の本発明の一態様に係るサイドスタンドスイッチと、前記サイドスタンドスイッチを前記ピボットボルトに締め付けにより取り付ける固定ボルトと、を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、製造上の負荷を過度に高めることなくシール部材の抜け止めを適切に実現可能なサイドスタンドスイッチ、および当該サイドスタンドスイッチを備えるサイドスタンド装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチを備えたサイドスタンド装置の実施の形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチを備えたサイドスタンド装置の実施の形態を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチの実施の形態を示す部分断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチの取り付け前の状態を示す図である。
【
図6】(a)本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチの機能を説明する概念図、(b)
図6(a)の部分拡大図である。
【
図7】本発明の他の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチのケース部の貫通孔の構造を説明する部分断面図である。
【
図8】従来のサイドスタンドスイッチを備えたサイドスタンド装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のスタンドの位置検出装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。同じ部材には各図面において同じ番号を付して、適宜、説明を省略する。まず、
図1および
図2を参照して、サイドスタンド装置1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るサイドスタンドスイッチ5を備えたサイドスタンド装置1の斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るサイドスタンド装置1の分解斜視図である。
【0025】
図1および
図2に示すように、サイドスタンド装置1は、自動二輪車を駐車時に起立状態に支持するものであり、図示しない車体フレームに設けられたブラケット2と、ブラケット2にピボットボルト4を介して回動可能、すなわち所定範囲内で回転可能に取り付けられたサイドスタンドバー3とを備えて構成されている。また、サイドスタンド装置1には、ピボットボルト4に固定ボルト6を介してサイドスタンドスイッチ5が設けられ、サイドスタンドスイッチ5によりサイドスタンドバー3の位置が検出される。
【0026】
ブラケット2は、板状部11と、板状部11を厚み方向に貫通して固定された貫通ピン12とを有して構成されている。板状部11には、サイドスタンドバー3の取り付け位置において、厚み方向(Z1-Z2方向)に貫通形成された軸孔13が形成されている。貫通ピン12の一端側(Z1-Z2方向Z1側)は、サイドスタンドスイッチ5を位置決めする位置決めピンとして機能し、貫通ピン12の他端側(Z1-Z2方向Z2側)は、図示しないリターンスプリング(戻しバネ)に係止される係止ピンとして機能する。
【0027】
サイドスタンドバー3は、ピボットボルト4によりブラケット2に取り付けられ、ピボットボルト4を中心として地面に接地される起立位置と地面に対して略水平な収納位置との間を回動可能に構成されている。サイドスタンドバー3の基端側は、板状部11を挟み込むように二股に形成された一対の連結部15、16が設けられており、この一対の連結部15、16を貫通するように軸孔17、18が形成されている。一方の連結部15の軸孔17の近傍には、サイドスタンドスイッチ5のロータ部32に係合される係合孔19が貫通形成されている。
【0028】
ピボットボルト4は、一対の連結部15、16にブラケット2を挟み込んだ状態で、一対の連結部15、16の軸孔17、18およびブラケット2の軸孔13に挿通される。このとき、ピボットボルト4の中間部23は、一方(Z1-Z2方向Z1側)の連結部15の軸孔17およびブラケット2の軸孔13に挿通され、先端側のネジ部24は、他方(Z1-Z2方向Z2側)の連結部16の軸孔18に挿通されて一部が外部に露出される。
【0029】
ピボットボルト4は、この露出されたネジ部24に固定ナット7が螺合され、固定ナット7が締め付けられることにより一対の連結部15、16に固定される。これにより、サイドスタンドバー3は、ピボットボルト4と一体となってブラケット2に対して回転するように動かされる。また、ピボットボルト4の頭部21には、固定ボルト6が螺合されるネジ穴22が形成されている。
【0030】
サイドスタンドスイッチ5は、サイドスタンドバー3が起立位置側または収納位置側のどちら側に位置するかを検出するものであり、後述する挟持部34で貫通ピン12の一端側を挟み込んだ状態で固定ボルト6によりピボットボルト4の頭部21に取り付けられる。サイドスタンドスイッチ5のケース部31には、挟持部34およびカプラ部35が形成されている。挟持部34で貫通ピン12の一端側(Z1-Z2方向Z1側)を挟み込むことによりサイドスタンドスイッチ5が位置決めされ、カプラ部35からサイドスタンドバー3の位置に応じた信号が出力される。サイドスタンドスイッチ5の詳細構成については後述する。
【0031】
固定ボルト6は、サイドスタンドスイッチ5を挿通してピボットボルト4のネジ穴22に螺合された状態で締め付けられることで、サイドスタンドスイッチ5をピボットボルト4に固定する。固定ボルト6は、頭部に円形のフランジ部27を有し、このフランジ部27により飛び石などから環状のシール部材41(
図3など参照)を保護すると共に、サイドスタンドスイッチ5を安定的に押圧している。
【0032】
次に、
図3および
図4を参照して、サイドスタンドスイッチ5の詳細構成について説明する。
図3は、本発明に係るサイドスタンドスイッチ5の実施の形態を示す部分断面図である。
図4は、
図3のシール部材が位置する部分の拡大図である。
【0033】
図3に示すように、サイドスタンドスイッチ5は、貫通ピン12によって回転規制されたケース部31と、ケース部31の内側に回動可能な状態で収納されたロータ部32と、を有して構成されている。ケース部31は、合成樹脂等で成形され、ブラケット2側(Z1-Z2方向Z2側)の面(下面、以下では、ケース部31における、ブラケット2側を下、ブラケット2の反対側を上として説明する。)を開放したケース主部33と、ケース主部33の側方に設けられた上記の挟持部34(
図1、
図2参照)と、から構成されている。
【0034】
ケース主部33は貫通孔200を有し、貫通孔200の上壁(Z1-Z2方向Z1側の壁)には、円形開口37が形成されている。円形開口37には、ケース主部33とロータ部32との隙間を封止するリング状のシール部材41が設けられている。また、ケース主部33の貫通孔200の下部(Z1-Z2方向Z2側)には、ロータ部32の下部(Z1-Z2方向Z2側)とケース主部33との隙間を封止するリング状の固定シール部材42が設けられている。ケース部31はその下端(Z1-Z2方向Z2側端)において回転軸側に突出するカシメ部311を有し、固定シール部材42はカシメ部311によって下側(Z1-Z2方向Z2側)への移動が規制されている。すなわち、サイドスタンドスイッチ5には、固定シール部材42のための確実な抜け止め機構が設けられている。
【0035】
ケース主部33の上壁には、円形開口37の周囲に固定接点43が設けられており、固定接点43はケース主部33内に露出されている。また、詳細には図示しないが、本実施形態においては、固定接点43は、円弧状の共通固定接点および2つの個別固定接点を同一円周上に配置して構成されている。例えば、サイドスタンドバー3が収納位置にある場合に、後述する可動接点54によって共通固定接点と一方の個別固定接点とが導通する構成とし、サイドスタンドバー3が起立位置にある場合に、後述する可動接点54によって共通固定接点と他方の個別固定接点とが導通する構成とする。このような構成にすることで、自動二輪車の走行可能状態と自動二輪車の駐車状態とが検出される。このようなサイドスタンバー3の状態の検出を可能にすることで、例えば、サイドスタンドバー3が起立状態のままでは走行できなくするなどの車体制御に用いられる。
【0036】
ロータ部32は、ケース部31に対して回動可能に支持される回転体(ロータ本体51)と、ロータ本体51の中央部分の挿通孔56に摩擦係合されたトルク受け部材52とから構成されている。ロータ本体51は、トルク受け部材52と係合ピン63を除いて、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂で成形され、中央部分に回転軸方向に貫通した円筒形の挿通孔56を有するリング状の円盤部57と、円盤部57の開口縁部から上方に突出した環状の上軸部58と、円盤部57の外周側において下方に突出した環状の下軸部59とを有している。
【0037】
円盤部57の上面には、半円弧状に形成された可動接点54が設けられている。可動接点54は、背面からコイルばね53により固定接点43側に付勢された状態で、ロータ本体51と共に回動可能に構成される。
【0038】
上軸部58は、中空円筒状に形成され、シール部材41により回動可能に支持されている。下軸部59は、内側にピボットボルト4の頭部21が収容され、固定シール部材42により回動可能に支持されている。このように、ロータ本体51は、上下両端側においてシール部材41および固定シール部材42により回動可能に支持されるため、ケース部31内において安定的に保持される。すなわち、上軸部58および下軸部59と、ロータ本体51と、の間にはシール部材41および固定シール部材42が圧入され、シール部材41および固定シール部材42の弾性力によってロータ本体51がケース部31内から脱落することなく保持される。前述のように、サイドスタンドスイッチ5が自動二輪車に取り付けられると、シール部材41は固定ボルト6のフランジ部27により、上側(Z1-Z2方向Z1側)への移動が規制されている。なお、固定シール部材42に対してはカシメ部311が設けられ、固定シール部材42の脱落を防止している。しかし、シール部材41に対してはカシメ部311と同様の脱落防止構造は設けられていない。これは、上述のようにシール部材41の上面が固定ボルト6のフランジ部27により押さえつけられるためである。カシメ部311と同様の脱落防止構造を設けた場合、固定ボルト6の取り付けが傾いたり、締め付けにより脱落防止構造が破損して別の不具合が発生する等のおそれがある。
【0039】
また、下軸部59には、下端面(Z1-Z2方向Z2側端面)から下方(Z1-Z2方向Z2側)に突出した係合ピン63が形成され、係合ピン63はサイドスタンドバー3に形成された係合孔19に挿通される。この構成により、ロータ本体51は、係合ピン63を介してサイドスタンドバー3に係合され、サイドスタンドバー3と共に回動される。
【0040】
トルク受け部材52は、機械構造用炭素鋼(S45C)等の金属により中空円筒状に形成されている。トルク受け部材52の中央部分は、固定ボルト6の軸部が挿通される挿通孔71となっており、挿通孔71を介して固定ボルト6がピボットボルト4のネジ穴22に螺合される。この場合、トルク受け部材52は、上端面81(Z1-Z2方向Z1側端面)が固定ボルト6のフランジ部27の裏面に当接され、下端面(Z1-Z2方向Z2側端面)がピボットボルト4の頭部21の上面(Z1-Z2方向Z1側面)に当接される。
【0041】
このように構成されたサイドスタンド装置1においては、自動二輪車が走行される場合には、運転者によりサイドスタンドバー3が押し上げられ、サイドスタンドバー3がピボットボルト4を支点として起立位置から収納位置に回動される。このとき、サイドスタンドバー3と共に、係合ピン63を介してロータ本体51が回動し、ロータ本体51に設けられた可動接点54の接点部が固定接点43の共通固定接点と一方の個別固定接点とを導通させる。これにより、サイドスタンドスイッチ5によりサイドスタンドバー3が収納位置に位置することが検出される。このように、本実施形態に係るサイドスタンドスイッチ5では、位置検出部は、固定接点43および可動接点54を含む。
【0042】
一方、自動二輪車が駐車される場合には、運転者によりサイドスタンドバー3が押し下げられ、サイドスタンドバー3がピボットボルト4を支点として収納位置から起立位置に回動される。このとき、サイドスタンドバー3と共に、係合ピン63を介してロータ本体51が回動し、ロータ本体51に設けられた可動接点54の接点部が固定接点43の共通固定接点と他方の個別固定接点とを導通させる。これにより、サイドスタンドスイッチ5によりサイドスタンドバー3が起立位置に位置することが検出される。
【0043】
上述したように、サイドスタンドバー3に同期して回動するロータ本体51の回動に対応して、固定接点43が可動接点54を介して電気的に接続状態された状態と、電気的に接続状態されていない状態とが切り替わる。すなわち、サイドスタンドスイッチ5は、可動接点54と固定接点43との電気的な接続状態が切り替わることにより、サイドスタンドバー3が収納位置または起立位置のいずれの位置であるかを検出する。
【0044】
図4に示すように、シール部材41は、回転体であるロータ本体51の回転軸方向(Z1-Z2方向)に延設された剛性部材からなる筒状体210と、筒状体210に固定され弾性部材からなるシール部220とを有する。筒状体210は、回転軸方向(Z1-Z2方向)に延びる円筒状の円筒部212および円筒部212の一方の端部、具体的にはZ1-Z2方向Z1側の端部から外側に広がるフランジ部211を備える。円筒部212は、シール部220の支持体として機能し、フランジ部211は、ピボットボルト4に締結される固定ボルト6のZ1-Z2方向の受け部として機能するとともに、フランジ部211の先端部(
図4においてはX1-X2方向X2側の先端)がケース主部33に当接することで回転軸方向(Z1-Z2方向)のストッパーとして機能する。
【0045】
シール部220は、筒状体210の円筒部212の外側に等しい厚さT0で形成されてケース主部33の貫通孔200の内周面に圧接する第1弾性部221、および筒状体210の内側に設けられて回転体(ロータ本体51)の外周面に対して摺動可能に対向する第2弾性部222を備える。第2弾性部222は上下斜め方向へ襞状に延設されている。
図4では、一方の襞はZ1-Z2方向Z1側かつX1-X2方向X1側に延び、他方の襞はZ1-Z2方向Z2側かつX1-X2方向X1側に延びている。このような構成により、襞の先端部分が根元部分よりもより強い力で回転体(ロータ本体51)の外周面に圧接することが実現されている。なお、
図4においては根元部が回転体(ロータ本体51)の外周面には接触しない構成としている。このような構成とすることで、回転体(ロータ本体51)の回動を妨げることなく、ケース部31の内部への異物の侵入を防止することができる。本実施形態に係るシール部220では、第1弾性部221と第2弾性部222とは、Z1-Z2方向Z2側において連設されている。
【0046】
ケース主部33の貫通孔200の内周面は、筒状体210に対向する位置に、気密部202と、気密部202よりもケース主部33の内側(Z1-Z2方向Z2側)に位置する抜け止め部203とを有する。言い換えると、抜け止め部203は、貫通孔200の内周面において円筒部212の先端部(Z1-Z2方向Z2側端)に対向する位置よりも上方側(Z1-Z2方向Z1側)から始まり下方(Z1-Z2方向Z2側)へと延在する。それゆえ、抜け止め部203と円筒部212との間には、第1弾性部221が圧縮された状態で配置されている。
【0047】
気密部202に対向配置される第1弾性部221は気密可能に圧縮されている。具体的には、第1弾性部221は、圧縮前の厚さT0から、気密部202における貫通孔200と筒状体210とのクリアランスTに至るまで圧縮されている。したがって、貫通孔200の内部空間のうち、気密部202に対向配置される第1弾性部221よりもケース主部33の内側(Z1-Z2方向Z2側)に位置する空間は気密空間201となる。
【0048】
貫通孔200は圧入方向の先端側(Z1-Z2方向Z2側)に位置する抜け止め部203において拡径している。このため、圧入されて気密部202を通過した第1弾性部221は抜け止め部203で相対的に膨張した状態で貫通孔200に圧接する。具体的には、抜け止め部203における第1弾性部221の拡径幅Dは、抜け止め部203における貫通孔200と筒状体210とのクリアランスT1の気密部202における貫通孔200と筒状体210とのクリアランスTに対する差(T1-T)である。
【0049】
このように貫通孔200はシール部材41が抜ける方向に縮径しているため、圧入後にシール部材41を回転軸方向に外す(抜く)向き(Z1-Z2方向Z1側)の外力が生じると、第1弾性部221における抜け止め部203に圧接する部分はさらに圧縮されなければ、シール部材41は現実に抜ける方向に移動しない。すなわち、第1弾性部221における抜け止め部203に圧接する部分の圧縮抵抗が、外力の抵抗力として機能する。したがって、本実施形態に係るサイドスタンドスイッチ5では、外力が生じてもシール部材41が抜けにくい。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチの取り付け前の状態を示す図である。
図6(a)は、本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチの機能を説明する概念図である。
図6(b)は、
図6(a)の部分拡大図である。
図5に示されるように、サイドスタンドスイッチ5が自動二輪車に取り付けられるまでは、シール部材41のZ1-Z2方向Z1側には固定ボルト6が位置しない。
【0051】
一方、
図6に示されるように、固定シール部材42は回転軸方向(Z1-Z2方向)に沿ってシール部材41から離間した位置に、貫通孔200に気密圧接している。このため、
図6(a)の破線で囲んだ領域に、具体的には、回転体(ロータ本体51)と貫通孔200との間でシール部材41と固定シール部材42とによって囲まれた領域に、気密空間201は形成される。
【0052】
ここで、固定シール部材42は、ケース部31に設けられた支持部材(カシメ部311)によって、回転軸方向(Z1-Z2方向)に沿ってシール部材41から離間する移動(Z1-Z2方向Z2側への移動)が規制されている。このため、自動二輪車に取り付ける前のサイドスタンドスイッチ5の保管中や輸送中に、環境温度が高くなって気密空間201の温度が高くなると、気密空間201の圧力上昇が生じたとしても、固定シール部材42はZ1-Z2方向Z2側に移動できない。
【0053】
これに対し、上記のとおり、自動二輪車に取り付ける前のサイドスタンドスイッチ5では、シール部材41はZ1-Z2方向Z1側への移動を規制する積極的な部材(締結された固定ボルト6)が存在しない。このため、何らかの抜け止めが設けられていないと、シール部材41は気密空間201の圧力上昇によって抜く向き(Z1-Z2方向Z1側)に移動してしまう。しかしながら、本実施形態に係るサイドスタンドスイッチ5では、第1弾性部221における抜け止め部203に対向する部分は、相対的に圧縮の程度が低く、第1弾性部221における気密部202に対向する部分と同程度までは圧縮される余地がある。このため、気密空間201の圧力が上昇すると、第1弾性部221における抜け止め部203に対向する部分が優先的に弾性変形して気密空間201が膨張するため、気密空間201の圧力が過度に膨張することが抑制される。
図6(b)は第1弾性部221における抜け止め部203に対向する部分が優先的に弾性変形した状態を示しており、図中の破線で示す形状は、気密空間201の圧力が上昇する前のシール部材41のZ1-Z2方向Z2側の外形を示している。
図6(b)に示されるように、第1弾性部221の気密空間201に向いた部分223が優先的に圧縮されている。
【0054】
抜け止め部203における貫通孔200の拡径幅Dは下記式(1)を満たすことが好ましい。
D≧T×0.005 (1)
【0055】
拡径幅Dは、上記のとおり、回転軸を含む面での断面(
図4ではXZ面)において、回転軸方向に対して直交する方向(
図4ではX1-X2方向)に貫通孔200の半径が広がった幅である。したがって、抜け止め部203において貫通孔200の内側面に圧接する第1弾性部221の幅、すなわち抜け止め部203における貫通孔200と筒状体210(円筒部212)とのクリアランスT1は、気密部202における貫通孔200と筒状体210(円筒部212)とのクリアランスTと、拡径幅Dとを用いて、下記式(2)により表される。
T1=D+T (2)
で表される。
【0056】
クリアランスT1がクリアランスTよりも0.5%以上大きければ、抜け止め部203に位置する第1弾性部221が気密部202側に移動する際に生じる圧縮抵抗は十分に高くなり、抜け止めとして適切に機能する。
すなわち、下記式(3)を満たすことが好ましい。
T1/T≧1.005 (3)
【0057】
上記式(2)および上記式(3)より、下記式(4)となり、上記式(1)が導きだされる。
(D+T)/T=D/T+1≧1.005 (4)
【0058】
なお、クリアランスTは、求められる気密の程度、第1弾性部221を構成する材料などにより基づき決定される圧縮率P(75%から85%が例示される。)を用いて、第1弾性部221の圧縮前の厚さT0と下記式(5)の関係を満たすように、設定される。
T=T0×P (5)
【0059】
本実施形態に係るサイドスタンドスイッチ5では、ケース部31のケース主部33の貫通孔200側に設けられる形状は例えば特許文献2の溝部に比べて加工が容易であるため、製造容易性は低下しにくい。
【0060】
抜け止め部203が貫通孔200の全周にわたって設けられていることが好ましい。抜け止め部203が全周方向に渡って設けられていることにより、拡径幅Dを大きくすることなく抜け止め機能を高めることができる。抜け止め部203は貫通孔200の周方向に部分的に設けられていてもよい。この場合には、抜け止め部203が貫通孔200の全周にわたり、周方向に均等な間隔で設けられていれば、抜け止め機能を均一化することができ、好ましい。
【0061】
図7は、本発明の他の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチのケース部の貫通孔の構造を説明する部分断面図である。
図7に示されるように、気密部202と抜け止め部203との間に、貫通孔200の口径が変化する遷移部204をさらに有していることが、貫通孔200の形状加工性の観点から好ましい。この場合において、遷移部204の回転軸方向(Z1-Z2方向)の長さLは、貫通孔200の拡径幅Dの2倍以下であることが好ましい。遷移部204の長さLが拡径幅Dの2倍以下であることにより、シール部材41に抜く力が加わると第1弾性部221を構成する弾性部材の圧縮抵抗が速やかに発生して、抜け止め機能が適切に発揮される。なお、遷移部204の長さLは短いほど圧縮抵抗を効率的に高めることができるが、ケース部31の貫通孔200の加工性(成形加工性、切削加工性)を高める観点から、遷移部204の長さLが拡径幅Dの1/2程度までとすることが好ましい場合もある。遷移部204は貫通孔200の口径が連続的に変化するテーパ部からなることが遷移部204の形成しやすさの観点から好ましい場合もある。
【0062】
上記した実施の形態および具体例においては、締結部材として固定ボルト6を例に挙げて説明したが、この構成に限定されるものではない。締め付けによってサイドスタンドスイッチ5を取り付ける構成であればよく、例えば、締結部材を固定ナットで構成してもよい。
【0063】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、固定ボルト6が締結される前の状態であっても、シール部材41が抜けにくいという効果を有し、特に、自動二輪車等の二輪車を支持するサイドスタンドバーの回動位置を検出するサイドスタンドスイッチおよびサイドスタンド装置に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 :サイドスタンド装置
2 :ブラケット
3、103:サイドスタンドバー
4、104:ピボットボルト
5、101:サイドスタンドスイッチ
6、106:固定ボルト
7 :固定ナット
11 :板状部
12 :貫通ピン
13、17、18:軸孔
15、16:連結部
19 :係合孔
21 :頭部
22、112:ネジ穴
23 :中間部
24 :ネジ部
27 :フランジ部
31、108:ケース部
32 :ロータ部
33 :ケース主部
34 :挟持部
35 :カプラ部
37 :円形開口
41、120、130:シール部材
42 :固定シール部材
43 :固定接点(位置検出部の一部)
51、109:ロータ本体(回転体)
52、110:トルク受け部材
53 :コイルばね
54 :可動接点(位置検出部の一部)
56、71:挿通孔
57 :円盤部
58 :上軸部
59 :下軸部
63、111:係合ピン
81 :トルク受け部材の上端面
93 :係合孔
107 :規制ピン
200 :貫通孔
201 :気密空間
202 :気密部
203 :抜け止め部
204 :遷移部
210 :筒状体
211 :フランジ部
212 :円筒部
220 :シール部
221 :第1弾性部
222 :第2弾性部
223 :第1弾性部の気密空間に向いた部分
311、131:カシメ部
D :拡径幅
P :圧縮率
T、T1:クリアランス
T0 :厚さ