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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004391
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】多機能ベッド
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/02 20060101AFI20230110BHJP
   A61G 7/002 20060101ALI20230110BHJP
   A61H 33/00 20060101ALI20230110BHJP
   A47C 21/04 20060101ALI20230110BHJP
   A47C 17/04 20060101ALI20230110BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20230110BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20230110BHJP
   A47K 11/08 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61G7/02
A61G7/002
A61H33/00 310H
A47C21/04 F
A47C17/04 B
A47K3/00 Z
A47K4/00
A47K11/08
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106020
(22)【出願日】2021-06-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】508364886
【氏名又は名称】坂本 美穂
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 祥一
【テーマコード(参考)】
2D005
2D036
2D132
4C040
4C094
【Fターム(参考)】
2D005FA00
2D036CB02
2D036HA06
2D132GA11
4C040AA11
4C040AA12
4C040BB01
4C040DD05
4C040EE02
4C040FF08
4C040FF17
4C094AA01
4C094BB12
4C094CC09
4C094DD14
4C094GG02
(57)【要約】
【課題】人の尊厳にかかわる行為を介護人に頼らなくても可能とする多機能ベッドを提案する。
【解決手段】浴槽と、水洗トイレと、汚物粉砕圧送機と、背もたれ部と座部と脚部と足部からなる着座シートと、が備えられ、着座シートは、伸縮アームと補助伸縮アームにより駆動され、座部の側部に設けられた滑車がレールのスライド溝をスライドすることにより、着座シートを、人が横になれるベッドモード、人が着座姿勢を取れる椅子モード又はトイレモード、人がしゃがみ込み姿勢を取れる入浴モードに変形させることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に、浴槽と、水洗トイレと、汚物粉砕圧送機と、背もたれ部と座部と脚部と足部からなる着座シートと、が備えられ、
前記着座シートは、伸縮アームと補助伸縮アームにより駆動され、前記座部の側部に設けられた滑車がレールのスライド溝をスライドすることにより、前記着座シートを、人が横になれるベッドモード、人が着座姿勢を取れる椅子モード又はトイレモード、人がしゃがみ込み姿勢を取れる入浴モードに変形させることを特徴とする多機能ベッド。
【請求項2】
前記着座シートの座部に排便蓋が設けられ、人が着座姿勢のままで椅子モードから入浴モードにされ、その後、再び椅子モードにされる時、前記排便蓋が浴槽の底部に取り置かれることを特徴とする請求項1に記載の多機能ベッド。
【請求項3】
スライドポールが前記本体の左右両側の前方側と、前記本体の上部の前方側から後方側に掛けて設けられ、布団又はこたつカバーがスライド可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の多機能ベッド。
【請求項4】
前記浴槽に着脱可能に温風乾燥機が設置されることを特徴とする請求項3に記載の多機能ベッド。
【請求項5】
前記浴槽の内側の側部に傾斜した2本のスライド溝が設けられることを特徴とする請求項1に記載の多機能ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多機能ベッドに関し、より詳細には、他の人の手を借りないでも入浴やトイレが可能で、ベッドの他に椅子やこたつにもなる多機能ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベッドから自力で起き上がるのが困難な被介護者を介護でき、また、介護者の負担を軽減できる「介護用ベッド」が開示される。この介護用ベッドは、被介護者の臀部を持ち上げるリフト部を備える。また、マッド部の前方側(被介護者の足側)の一部又は全部が分離可能で、必要に応じてトイレ、浴槽を嵌め込むことができる。
【0003】
特許文献2には、「浴槽となるベッド、それに着脱できるトイレおよびそれを使用したベッド、バスおよびトイレシステム」が開示される。寝た切り老人を、一人の介護者により風呂に入れることが可能な浴槽に変化可能なベッドと、ベッドに横付けされ移乗可能なトイレが設けられる。風呂に入る場合、ベッドの上面が浴槽内に沈み込む。
【0004】
特許文献1、2の介護ベッドは、いずれも介護者の介護を必要とする。従来の介護ベッドは、介護人の負担軽減を目的に考えられており、排便や風呂など人の尊厳を守れない行為まで介護人に頼らざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3223004号公報
【特許文献2】特開平8-224285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、介護の軽減が目的ではなく、就寝から椅子の着座姿勢、トイレ排便、入浴、及びこれらを補完する機能を持たせ、本人の意思が正常で、ボタン操作が可能な限り、人の尊厳にかかわる行為を介護人に頼らなくても可能とする多機能ベッドを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による多機能ベッドは、本体に、浴槽と、水洗トイレと、汚物粉砕圧送機と、背もたれ部と座部と脚部と足部からなる着座シートと、が備えられ、前記着座シートは、伸縮アームと補助伸縮アームにより駆動され、前記座部の側部に設けられた滑車がレールのスライド溝をスライドすることにより、前記着座シートを、人が横になれるベッドモード、人が着座姿勢を取れる椅子モード又はトイレモード、人がしゃがみ込み姿勢を取れる入浴モードに変形させることを特徴とする。
【0008】
前記着座シートの座部に排便蓋が設けられ、人が着座姿勢のままで椅子モードから入浴モードにされ、その後、再び椅子モードにされる時、前記排便蓋が浴槽の底部に取り置かれることを特徴とする。
【0009】
スライドポールが前記本体の左右両側の前方側と、前記本体の上部の前方側から後方側に掛けて設けられ、布団またはこたつカバーがスライド可能に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
前記浴槽に着脱可能に温風乾燥機が設置されることを特徴とする。
【0011】
前記浴槽の内側の側部に傾斜した2本のスライド溝が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浴槽(1)と、水洗トイレ(11)と、汚物粉砕圧送機(13)と、背もたれ部(6a)と座部(6b)と脚部(6c)と足部(6d)からなる着座シート(6)と、を備え、着座シート(6)が伸縮アーム(18)と補助伸縮アームにより駆動され、スライドして、人が横になれるベッドモード(100a)と、人が着座姿勢を取れる椅子モード(100b)又はトイレモード(100c)と、人がしゃがみ込む姿勢を取れる入浴モード(100d)をサポートしたので、人の尊厳にかかわる行為を介護人に頼らなくても可能とできる。
【0013】
人が着座姿勢のままで椅子モード(100b)から入浴モード(100d)にされ、その後、再び椅子モード(100b)にされる時、排便蓋(7)が、浴槽(1)の底部に取り置かれるようにしたので、人の臀部と排便蓋(7)との摩擦がなく容易に分離することができる。
【0014】
スライドポール(3)に布団またはこたつカバー(4)をスライド可能に取り付けたので、布団またはこたつカバー(4)のはみだし落下や横ずれを防止できる。布団またはこたつカバー(4)の上げ下げもスライドするだけであるので、容易にできる。
【0015】
浴槽(1)に着脱可能に温風乾燥機(12)を設置したので、椅子モード(100b)で着座してこたつにできる。入浴モード(100d)ではしゃがみ込み姿勢での全身こたつができる。
【0016】
浴槽(1)の内側の側部に傾斜した2本のスライド溝(10a、10b)を設けたので、椅子モード(100b)から入浴モード(100c)にする場合、滑車(5b)と滑車(5a)が傾斜したスライド溝を滑るので、急激な着座姿勢からしゃがみ込みの姿勢になることが防止され、前のめりの不安が軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の多機能ベッド(ベッドモード)の斜視図である。
図2図1で多機能ベッドが分割されることを示す図である。
図3】本発明の多機能ベッド(椅子モード)の斜視図である。
図4】本発明の多機能ベッド(トイレモード)の斜視図である。
図5】本発明の多機能ベッド(入浴モード)の斜視図である。
図6】本発明による多機能ベッドの内部構成を示す図である。
図7図1で着座シートを除いた平面図である。
図8】ベッドとして使用する場合の説明図である。
図9】風呂として使用する場合の説明図である。
図10】サイドポールの使い方を示す説明図である。
図11】こたつとして使用する場合の説明図である。
図12】全身こたつとして使用する場合の説明図である。
図13】排便蓋が着座シートに支持される構造図である。
図14】排便蓋を支持するピンが外れる説明図である。
図15】排便蓋が浴槽の底部に取り置く説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
添付の図面を参照して、本発明による多機能ベッドを詳しく説明する。
【0019】
図1は、本発明の多機能ベッド100(ベッドモード100a)の斜視図である。多機能ベッド100は、本体29が第1躯体15と第2躯体16が連結されたものである。第1躯体15が浴槽1となる部分で、第2躯体16がトイレとなる部分である。本体29の上部にはレール34、34が設けられ、レール34の溝に支持されて着座シート6が設置される。図1に示すように、ベッド2として使用する場合、着座シート6はフラットにされる。着座シート6がフラットで、この上に人が横になれる状態を多機能ベッド100のベッドモード100aとする。図1では、前方側の上部が開口しているが、蓋で覆われてもよい。多機能ベッド100の寸法は、これに限るものではないが、横幅が約1m、長さは約2.3mである。
【0020】
図2は、図1で多機能ベッド100が分割されることを示す図である。多機能ベッド100は、幅が約1m第1躯体15と第2躯体16に分割できるので、廊下や入口が狭い部屋に搬入するような場合に便利である。本実施例では第1躯体15と第2躯体16を連結台座17で連結しているが、金具で連結してもよい。
【0021】
図3は、本発明の多機能ベッド100(椅子モード100b)の斜視図である。着座シート6は、背もたれ部6a、座部6b、脚部6c及び足部6dからなる。各部はヒンジで結合されている。また、脚部6cの側面には、第1躯体15と第2躯体16の内側の上部に設けられた溝にスライド可能な突起具(図示せず)で支持されているので、突起具を溝から外すと、脚部6cが、浴槽1の内側に垂れ下がる。背もたれ部6aの後方側には、伸縮アームが備えられる。操作パネル(図示せず)からの指示で、図1に示ように、背もたれ部6aが立ち上げられる。足部6dをフックで立てるように固定する。椅子モード100bは、着座シート6を変形し、背もたれ部6aを立て、脚部6cを折り曲げることで、多機能ベッド100を椅子8にできる。
【0022】
図4は、本発明の多機能ベッド100(トイレモード100c)の斜視図である。(a)は前方から見た斜視図で、(b)は後方から見た斜視図である。トイレモード100cは、着座シート6が椅子8の状態で、排便蓋9が外されて、排便穴9が開口した状態をいう。排便穴9の下側には、水洗トイレ11が設けられる。水洗トイレ11なので噴水により尻の洗浄ができる。また、汚物は汚物粉砕圧送機13で100m先まで排出できる。図示しないが水道水も配管されている。図4(b)に示すように、背もたれ部6aは伸縮アーム18が伸びて、所定の角度に傾斜している。伸縮アーム18は、例として空気シリンダ式のアームを使用できる。排便蓋9は、例としてスライドして着座シート6の座部6bから分離し、浴槽1の底部に落とした状態で示す。
【0023】
図5は、本発明の多機能ベッド100(入浴モード100d)の斜視図である。(a)は前方から見た斜視図で、(b)は側面から見た斜視図で、(c)は鳥瞰図である。入浴モード100cは、着座シート6の背もたれ部6aを傾斜して浴槽1に半分程度沈め、座部6bと脚部6cを折り曲げて浴槽1の底部に接触するように折り曲げることで実現される。背もたれ部6aは、伸縮アーム18と補助伸縮アーム27の角度を電動で調節することにより、椅子8の場合より浴槽1内に倒す。図5(a)に示すように、座部6bの側面には、三角形(△)で示す箇所に滑車5a、5bがあり、座部6bと脚部6cが角度を持って下降できる。着座シート6が、伸縮アーム18と補助伸縮アーム27で動かされるので、人は、椅子2に着座した状態のままで、入浴モード(100c)の姿勢になれる。
【0024】
図6は、本発明による多機能ベッド100の内部構成を示す図である。図1~5と一部重複するが、多機能ベッド100の内部の構造を示す。図6では椅子モード100bの状態にあるとする。着座シート6の座部6bの側面には、第1滑車5aと第2滑車5bが設けられ、水平溝10cに嵌め込まれてスライドできる。水平溝10cの前方側には、延長して第1傾斜溝10aと第2傾斜溝10bが設けられる。これは浴槽1の側面に形成される。図6で着座シート6が伸縮アーム18で左方向に押されると、第1滑車5aと第2滑車5bが左方向に進行するが、第1滑車5aは、第2傾斜溝10bを滑り落ちずに水平に進行し、第2滑車5bは、第2傾斜溝10bを滑り落ちるようにできる。例として第1滑車5aに‘そり’を装着しておく。これによれば、第1滑車5aは、‘そり’により第2傾斜溝10bを滑り落ちることなく水平に進行でき、溝幅が広い第1傾斜溝10aでは滑り落ちるようにできる。
【0025】
浴槽1は、例としてヒノキなどの木製にできる。水洗トイレ11は、着座シート6の座部6bの下側に位置する。汚物は汚物粉砕圧送機13で遠方に排出できる。アクチュエータ19は、伸縮アーム18と補助伸縮アームの空気シリンダを制御する駆動装置である。浴槽1の底部には、断面が三角形状の突出傾斜板25が設けられる。多機能ベッド100の左右の上部には、スライドポール3が設けられる。スライドポール3は、機能ベッド100の前方の下部から発し、上部を後方に延びる。
【0026】
図7は、図1で着座シート6を除いた平面図である。浴槽1の底部には、突出傾斜板25が設けられる。浴槽1の後方側の壁は、高さが前方側の壁より少し低い。水洗トイレ11と汚物粉砕圧送機13は、第2躯体16の内部に設けられる。多機能ベッド100の左右の上部には、スライドポール3が設けられる。
【0027】
図8は、多機能ベッド100をベッド2として使用する場合の説明図である。使用者は、横になって睡眠姿勢20の姿勢を取れる。この場合、着座シート6は水平にされる。
【0028】
図9は、風呂として使用する場合の説明図である。着座シート6が浴槽1に沈み込んでおり、使用者は入浴姿勢(しゃがみ込み姿勢)22を取れる。この場合、着座シート6の座部6bと脚部6は、断面が三角形状の突出傾斜板25に当接し、少し折れ曲がった状態にある。そのため、使用者は足と脚を少し折り曲げて座り、湯につかることができる。風呂上りのために大型ドライヤー14が用意され、風呂上りに体を乾かすことができる。着座シート6が半ば浴槽1に沈むので、伸縮アーム18がその分、延長される。浴槽1には、湯の供給口と排出口(図は省略)が設けられる。
【0029】
図10は、サイドポールの使い方を示す説明図である。サイドポール3は手摺りとして使用できる。布団又はこたつカバー4をカーテンのようにサイドポール3に取り付ける。図10(a)、(b)に示すように、こうすることで布団又はこたつカバー4を、スライドするだけで上げ下げできる。畳む手間が省ける。
【0030】
図11は、こたつとして使用する場合の説明図である。多機能ベッド100を椅子モード100bとし、サイドポール3にこたつカバーを取り付ける。浴槽1の上端に温風乾燥機12を着脱可能に設置する。
【0031】
図12は、全身こたつとして使用する場合の説明図である。多機能ベッド100を入浴モード100cとし、サイドポール3にこたつカバーを取り付ける。浴槽1の上端には、着脱可能に温風乾燥機12を設置する。使用者は、頭を出して全身をこたつの中に入れ、全身を温めることができる。
【0032】
使用者が排便蓋7を外す場合には、排便板7を着座シート6にスライド可能に設け、引き出せるようにする案がある。その場合でも使用者は腰を少し上げ、引き出す時の摩擦を少なくする必要がある。使用者が腰を上げる動作が不可の場合も想定し、排便蓋7を浴槽1の底部の突出傾斜板25に当接させ、自動的に取り置く機構を設けた。
【0033】
図13は、排便蓋7が着座シート6の座部6bに支持される構造図である。排便蓋7は左右の座部6bに挟まれるように設けられる。そして、座部6bに設けられたピン32により支持される。ピン32は、例として左側に2箇所、右側に2箇所の全部で4箇所を、座部6bの排便穴9の側面に設けることができる。ピン32は、L型金具を介してバネ足30に取り付けられる。
【0034】
図14は、排便蓋7を支持するピン32が外れる場合の説明図である。多機能ベッド100を入浴モード100dにする操作を行うと、着座シート6の背もたれ部6aが、伸縮アーム18と補助伸縮アーム27によって立ち上がり、前方に押し出されて傾斜し、浴槽1の内部に段を形成して半ば沈む。その場合、座部6bと排便蓋7が、浴槽1の底部の突出傾斜板25に当接する。すると、バネ足30が上方向に押し上げられ、ピン32が排便蓋7から外れる。バネ足30は、ロック機構33により下方向には下がらないとする。よって、ピン32は、排便蓋7を支持しない状態になる。
【0035】
図15は、排便蓋7を浴槽1の底部に取り置く説明図である。図14に続いて、入浴モード100dから椅子モード100bにする指示を行なう。その場合、ピン32は、排便蓋7を支持しない状態なので、着座シート6が上昇し、排便蓋7が浴槽1の底部に取り置かれる。再度、入浴モード100dにすると、着座シート6が下降して、座部6bのバネ足30が突出傾斜板25に当接する。その場合、ロック機構33が解除されるので、バネ足30が伸びて、ピン32が突出し、排便板7を支持する。そのため、椅子モード100bに戻すと、排便蓋7も座部6bと一緒に上昇する。なお、排便蓋7の底部に凸部(図示せず)を設け、突出傾斜板25に凹部(図示せず)を設け、互いに係合することにより、取り置いた排便板7を誤って、前後左右方向に動かしてしまうことを防止する。誤って排便蓋7を動かしてしまうと、着座シート6を下降させた時、座部6bの排便穴9に排便板7が入り込めない事態となる。
【0036】
図13~15では、排便蓋7をピンと足ばねで取り置き可能に支持する構造を示したが、電磁石を浴槽1の突出傾斜板25側と、着座シート6の座部6b側の両方に設けておき、排便蓋7に設けた永久磁石を座部6bの側に吸着させるか、突出傾斜板25の側に吸着させるかを電磁石のオンオフ制御で行なうことによっても可能である。これによれば操作パネルからの指示を、風呂に入るため入浴モードとするが、排便蓋7は取り置きしない操作と、風呂に入るのではなく排便蓋7を排便のために取り置きする操作に分けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、介護者の手をあまり借りずに自力で操作できる人のためのバス・トイレ付きの多機能ベッドとして好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 浴槽
2 ベッド
3 スライドポール
4 布団又はこたつカバー
5 滑車
5a 第1滑車
5b 第2滑車
6 着座シート
6a 背もたれ部
6b 座部
6c 脚部
6d 足部
7 排便蓋
8 椅子
9 排便穴
10 スライド溝
10a 第1傾斜溝
10b 第2傾斜溝
10c 水平溝
11 水洗トイレ
12 温風乾燥機
13 汚物粉砕圧送機
14 大型ドライヤー
15 第1躯体
16 第2躯体
17 連結台座
18 アーム
19 アクチュエータ
20 睡眠姿勢
21 着座姿勢
22 入浴姿勢(しゃがみ込み姿勢)
25 突出傾斜板
27 補助伸縮アーム
29 本体
30 バネ足
31 L型金具
32 ピン
33 ロック機構
34 レール
100 多機能ベッド
100a ベッドモード
100b 椅子モード
100c トイレモード
100d 入浴モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2021-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に、浴槽と、水洗トイレと、汚物粉砕圧送機と、背もたれ部と座部と脚部と足部からなる着座シートと、が備えられ、
前記本体は、前記浴槽となる第1躯体と、前記第1躯体に連結され前記水洗トイレと前記汚物粉砕圧送機が設けられる第2躯体からなり、
前記着座シートは、伸縮アームと補助伸縮アームにより駆動され、前記座部の側部に設けられた第1滑車と第2滑車がレールのスライド溝をスライドすることにより、前記着座シートを、人が横になれるベッドモード、人が着座姿勢を取れる椅子モード又はトイレモード、人がしゃがみ込み姿勢を取れる入浴モードに変形可能で、前記着座シートを前記入浴モードにする際は、前記第1滑車と前記第2滑車が、前記浴槽の内側側部に設けられた第1傾斜溝と第2傾斜溝に沿ってスライドして下降し、
前記着座シートの座部の一部が排便蓋となっており、使用者が着座姿勢のままで椅子モードから入浴モードにされ、その後、再び椅子モードにされる時、前記排便蓋が浴槽の底部に取り置き可能で、
前記座部に前記排便蓋を支持するピンを設け、前記ピンの排便蓋への係合または離脱により排便蓋を浴槽の底部に取り置くか否かを切り換える機構または、前記排便蓋に永久磁石、前記座部及び前記浴槽の下部に電磁石を設け、排便蓋の座部への吸着または浴槽の下部への吸着により排便蓋を浴槽の底部に取り置くか否かを切り換える機構が設けられていることを特徴とする多機能ベッド。
【請求項2】
スライドポールが前記本体の左右両側の前方側と、前記本体の上部の前方側から後方側に掛けて設けられ、布団又はこたつカバーがスライド可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の多機能ベッド。
【請求項3】
前記浴槽に着脱可能に温風乾燥機が設置されることを特徴とする請求項1に記載の多機能ベッド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明による多機能ベッドは、本体に、浴槽と、水洗トイレと、汚物粉砕圧送機と、背もたれ部と座部と脚部と足部からなる着座シートと、が備えられ、前記本体は、前記浴槽となる第1躯体と、前記第1躯体に連結され前記水洗トイレと前記汚物粉砕圧送機が設けられる第2躯体からなり、前記着座シートは、伸縮アームと補助伸縮アームにより駆動され、前記座部の側部に設けられた第1滑車と第2滑車がレールのスライド溝をスライドすることにより、前記着座シートを、人が横になれるベッドモード、人が着座姿勢を取れる椅子モード又はトイレモード、人がしゃがみ込み姿勢を取れる入浴モードに変形可能で、前記着座シートを前記入浴モードにする際は、前記第1滑車と前記第2滑車が、前記浴槽の内側側部に設けられた第1傾斜溝と第2傾斜溝に沿ってスライドして下降し、前記着座シートの座部の一部が排便蓋となっており、使用者が着座姿勢のままで椅子モードから入浴モードにされ、その後、再び椅子モードにされる時、前記排便蓋が浴槽の底部に取り置き可能で、前記座部に前記排便蓋を支持するピンを設け、前記ピンの排便蓋への係合または離脱により排便蓋を浴槽の底部に取り置くか否かを切り換える機構または、前記排便蓋に永久磁石、前記座部及び前記浴槽の下部に電磁石を設け、排便蓋の座部への吸着または浴槽の下部への吸着により排便蓋を浴槽の底部に取り置くか否かを切り換える機構が設けられていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】