(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043918
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0035 20190101AFI20230323BHJP
【FI】
F24F1/0035
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151668
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】竹林 嵩紘
(72)【発明者】
【氏名】中尾 周
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 平
(72)【発明者】
【氏名】名越 健二
(57)【要約】
【課題】外気導入ユニットから空気を導入するノズルの内部クリーニングを容易にする。
【解決手段】本開示における空気調和機の室内機は、台枠と該台枠に着脱可能に取付けられるフィルターワクとを有し、外気導入ユニットから供給される室外空気を室内側へ導入するノズルを有し、該ノズルは上ノズルおよび下ノズルとで構成され、前記上ノズルは前記フィルターワクに固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、前記下ノズルは前記台枠に固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、縮流部を設けていることを特徴とする空気調和機。
【選択図】
図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と外気導入ユニット外気導入ユニットを搭載した室外機とを有する空気調和機であって、前記室内機は、台枠と該台枠に着脱可能に取付けられるフィルターワクとを有し、前記外気導入ユニット外気導入ユニットから供給される室外空気を室内側へ導入するノズルを有し、該ノズルは上ノズルおよび下ノズルとで構成され、前記上ノズルは前記フィルターワクに固定され、前記下ノズルは前記台枠に固定されていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記上ノズルが前記下ノズルに挿入する形で結合し、且つ前記ノズル同士の結合部の内部経路に断面積が小さくなる段差が生じない形状であることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記下ノズル内部経路に該経路を狭める縮流部を設けたことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記上ノズルと前記下ノズル共に経路の方向に沿って分割できる形状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【0002】
特許文献1は、室内熱交換器に室外空気を吹き出す加湿ダクトを開示する。この加湿ダクトは給気ホースが接続される入口と、室外空気を吹き出す出口とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された加湿ダクトは1部品で構成され、さらに曲げ部が複数あるため、経路にホコリ等が詰まった際に取り除くことや、カビまたは汚れがあるかの確認を行うことが困難である。また、外気導入ユニットからの供給風量を上げた場合、室内機側の騒音値が大きくなる。
【0005】
従って本開示は、ダクト内部でのカビの発生、外部からのホコリが詰まった際に容易に除去できるとともに、騒音値を下げることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、室内機と外気導入ユニットを搭載した室外機とを有する空気調和機であって、前記室内機が、台枠と該台枠に着脱可能に取付けられるフィルターワクとを有し、前記外気導入ユニットから供給される室外空気を室内側へ導入するノズルを有し、該ノズルは上ノズルおよび下ノズルとで構成され、前記上ノズルは前記フィルターワクに固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、前記下ノズルは前記台枠に固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、縮流部を設けていることを特徴とする空気調和機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、室外空気を室外機から室内機に供給する空気調和機において、ノズル内部の確認を容易に行い、ホコリを除去することができるとともに、供給風量が増加しても騒音値を抑えられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図
【
図14】
図12のA-A線に沿ったヒータユニットの概略的な断面図
【
図15】第2の空間を示す換気装置の筺体の一部分の上面図
【
図16】吸収材の径方向と直交する吸収材の一部分の概略的な断面図
【
図17】比較例の換気装置における、吸収材の径方向と直交する吸収材の一部分の概略的な断面図
【
図18】異なる実施の形態に係る換気装置における、吸収材の径方向と直交する吸収材の一部分の概略的な断面図
【
図19】吸収材ホルダの外側に形成されたラビリンス流路を示す吸収材ホルダの概略的な断面図
【
図20】第1のファンまわりの構成要素の概略的な断面図
【
図21】異なる実施の形態に係る換気装置における、筺体の吸気口の概略的な断面図
【
図22】異なる実施の形態に係る換気装置における、第2の空間を示す換気装置の筺体の一部分の上面図
【
図23A】室内に接続した状態のダンパ装置を示す断面図
【
図23B】室外に接続した状態のダンパ装置を示す断面図
【
図24】ダンパ装置から流出した室外空気の流れを示す換気装置の断面斜視図
【
図25】室外機の本体内部を概略的に示す室外機の正面図
【
図26】室内機に設けられた室内熱交換器とノズルを示す斜視図
【
図29】2つに分離された状態のノズルを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示における空気調和機の室内機は、台枠と該台枠に着脱可能に取付けられるフィルターワクとを有し、外気導入ユニットから供給される室外空気を室内側へ導入するノズルを有し、該ノズルは上ノズルおよび下ノズルとで構成され、前記上ノズルは前記フィルターワクに固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、前記下ノズルは前記台枠に固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、縮流部を設けている。
【0010】
このような一態様によれば、室外空気を室外機から室内機に供給する空気調和機において、ノズル内部の確認を容易に行い、ホコリを除去することができるとともに、供給風量が増加しても騒音値を抑えられることができる。
【0011】
例えば、ノズルの経路は前記台枠を回避するのではなく、前記台枠に穴を開けて貫通するような経路でもよい。
【0012】
例えば、ノズルの吹き出し部は熱交換器と前記フィルターワクの間に設置され、熱交換器に向かって室外空気を吹出してもよい。
【0013】
例えば、前記上ノズルは前記フィルターワクにねじなどの固定部品を使用することなく、スナップ係合などにより固定されてもよい。
【0014】
例えば、前記下ノズルは前記台枠にねじなどの固定部品を使用することなく、スナップ係合などにより固定されてもよい。
【0015】
例えば前記上ノズルと前記下ノズルの接続部が、ねじなどの固定部品を使用することなく、スナップ係合などにより固定されてもよい。
【0016】
以下、本開示の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態は加湿機能を有する外気導入ユニットについてを例にとって説明するが、加湿機能を有さない単なる外気導入機能を有するユニットでもよい。
【0017】
図1は、本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和機10は、空調対象の室内Rinに配置される室内機20と、室外Routに配置される室外機30とを有する。
【0019】
室内機20には、室内空気A1と熱交換を行う室内熱交換器22と、室内空気A1を室内機20内に誘引するとともに、室内熱交換器22と熱交換した後の室内空気A1を室内Rinに吹き出すファン24とが設けられている。
【0020】
室外機30には、室外空気A2と熱交換を行う室外熱交換器32と、室外空気A2を室外機30内に誘引するとともに、室外熱交換器32と熱交換した後の室外空気A2を室外Routに吹き出すファン34とが設けられている。また、室外機30には、室内熱交換器22および室外熱交換器32と冷凍サイクルを実行する圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40が設けられている。
【0021】
室内熱交換器22、室外熱交換器32、圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40それぞれは、冷媒が流れる冷媒配管によって接続されている。冷房運転および除湿運転(弱冷房運転)の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室外熱交換器32、膨張弁38、室内熱交換器22を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。暖房運転の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室内熱交換器22、膨張弁38、室外熱交換器32を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。
【0022】
空気調和機10は、冷凍サイクルよる空調運転の他に、室外空気A3を室内Rinに導入する空調運転を実行する。そのために、空気調和機10は、換気装置50を有する。換気装置50は、室外機30に設けられている。
【0023】
【0024】
図2に示すように、換気装置50は、その内部に室外空気A3、A4が通過する吸収材52を備える。
【0025】
吸収材52は、空気が通過可能な部材であって、通過する空気から水分を捕集するまたは通過する空気に水分を与える部材である。本実施の形態の場合、吸収材52は、円盤状であって、その中心を通過する回転中心線C1を中心にして回転する。吸収材52は、モータ54によって回転駆動される。
【0026】
吸収材52は、空気中の水分を収着する高分子収着材が好ましい。高分子収着材は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体から構成される。高分子収着材は、シリカゲルやゼオライトなどの吸着材に比べて、同一体積あたり水分を吸収する量が多く、低い加熱温度で担持する水分を脱着することができ、そして水分を長時間担持することができる。
【0027】
換気装置50の内部には、吸収材52をそれぞれ通過し、室外空気A3、A4がそれぞれ流れる第1の流路P1と第2の流路P2とが設けられている。第1の流路P1と第2の流路P2は、異なる位置で吸収材52を通過する。
【0028】
第1の流路P1は、室内機20内に向かう室外空気A3が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3は、換気導管56を介して、室内機20内に供給される。
【0029】
本実施の形態の場合、第1の流路P1は、吸収材52に対して上流側に複数の支流路P1a、P1bを含んでいる。なお、本明細書において、「上流」および「下流」は、空気の流れに対して使用される。
【0030】
複数の支流路P1a、P2aは、吸収材52に対して上流側で合流する。複数の支流路P1a、P1bそれぞれには、室外空気A3を加熱する第1および第2のヒータ58、60が設けられている。
【0031】
第1および第2のヒータ58、60は、同一の加熱能力を備えるヒータであってもよいし、異なる加熱能力を備えるヒータであってもよい。また、第1および第2のヒータ58、60は、電流が流れて温度が上昇すると電気抵抗が増加する、すなわち過剰な加熱温度の上昇を抑制することができるPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが好ましい。ニクロム線やカーボン繊維などを用いるヒータの場合、電流が流れ続けると加熱温度(表面温度)が上昇し続けるため、その温度をモニタリングする必要がある。PTCヒータの場合、ヒータ自体が加熱温度を一定の温度範囲内で調節するために、加熱温度をモニタリングする必要がなくなる。
【0032】
第1の流路P1には、室内機20内に向かう室外空気A3の流れを発生させる第1のファン62が設けられている。本実施の形態の場合、第1のファン62は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第1のファン62が作動することにより、室外空気A3が、室外Routから第1の流路P1内に流入し、吸収材52を通過する。
【0033】
また、第1の流路P1には、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)または室外Routに振り分けるダンパ装置64が設けられている。本実施の形態の場合、ダンパ装置64は、第1のファン62に対して下流側に配置されている。ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられた室外空気A3は、換気導管56を介して室内機20内に入り、ファン24によって室内Rinに吹き出される。
【0034】
第2の流路P2は、室外空気A4が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3と異なり、第2の流路P2を流れる室外空気A4は、室内機20に向かうことはない。第2の流路P2を流れる室外空気A4は、吸収材52を通過した後、室外Routに流出する。
【0035】
第1の流路P1には、室外空気A4の流れを発生させる第2のファン66が設けられている。本実施の形態の場合、第2のファン66は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第2のファン66が作動することにより、室外空気A4が、室外Routから第2の流路P2内に流入し、吸収材52を通過し、そして室外Routに流出する。
【0036】
換気装置50は、吸収材52(モータ54)、第1のヒータ58、第2のヒータ60、第1のファン62、ダンパ装置64、および第2のファン66を選択的に使用して換気運転、加湿運転、および除湿運転を選択的に実行する。
【0037】
【0038】
換気運転は、室外空気A3をそのまま換気導管56を介して室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図3に示すように、換気運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0039】
このような換気運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。吸収材52を通過した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような換気運転により、室外空気A3がそのまま室内Rinに供給され、室内Rinが換気される。
【0040】
【0041】
加湿運転は、室外空気A3を加湿し、その加湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図4に示すように、加湿運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、ON状態であって、それにより第2の流路P2内を室外空気A4が流れている。
【0042】
このような加湿運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、加熱されていない場合に比べて、吸収材52からより多量の水分を奪うことができる。それにより、室外空気A3が多量の水分を担持する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような加湿運転により、多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが加湿される。
【0043】
なお、第1のヒータ58と第2のヒータ60のいずれか一方をOFF状態にすることによって室外空気A3が吸収材52から奪う水分量を少なくする、すなわち室内Rinの加湿量が少ない弱加湿運
加熱された室外空気A3に水分が奪われることにより、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥する。吸収材52が乾燥すると、第1の流路P1を流れる室外空気A3は吸収材52から水分を奪うことができない。その対処として、吸収材52は、第2の流路P2を流れる室外空気A4から水分を奪う。それにより、吸収材52の保水量がほぼ一定に維持され、加湿運転を継続することができる。
【0044】
【0045】
除湿運転は、室外空気A3を除湿し、その除湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図5に示すように、除湿運転では、吸着運転と再生運転とが交互に実行される。
【0046】
吸着運転は、室外空気A3に担持されている水分を吸収材52に吸着させ、それにより室外空気A3を除湿する運転である。
図5に示すように、吸着運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
このような吸着運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。このとき、室外空気A3に担持されている水分が吸収材52に吸着する。それにより、室外空気A3の水分の担持量が減少する、すなわち室外空気A3が乾燥される。吸収材52を通過して乾燥した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような吸着運転により、乾燥した室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが除湿される。
【0047】
吸着運転が続くと、吸収材52の保水量が増加し続け、その結果、室外空気A3に担持されている水分に対する吸収材52の吸着能力が低下する。その吸着能力を回復するために吸収材52を再生させる再生運転が実行される。
【0048】
再生運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を、室内機20ではなく、室外Routに振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0049】
このような再生運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、吸収材52から多量の水分を奪う。それにより、室外空気A3に多量の水分が担持される。それとともに、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥してその吸着能力が再生する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室外Routに振り分けられ、室外Routに排出される。これにより、除湿運転における再生運転中に、吸収材52の再生によって多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給されることがない。
【0050】
このような吸着運転と再生運転を交互に行うことにより、吸収材52の吸着能力が維持され、除湿運転を継続的に実行することができる。
【0051】
上述の冷凍サイクルによる空調運転(冷房運転、除湿運転(弱冷房運転)、暖房運転)と換気装置50による空調運転(換気運転、加湿運転、除湿運転)は、別々に実行可能であり、また同時に実行することも可能である。例えば、冷凍サイクルによる除湿運転と換気装置50による除湿運転を同時に実行すれば、室温を一定に維持した状態で室内Rinを除湿することが可能である。
【0052】
空気調和機10が実行する空調運転は、ユーザによって選択される。例えば、
図1に示すリモートコントローラ70に対するユーザの選択操作により、その操作に対応する空調運転を空気調和機10は実行する。
【0053】
ここまでは、本実施の形態に係る空気調和機10の構成および動作について概略的に説明してきた。ここからは、本実施の形態に係る空気調和機10の更なる特徴について説明する。
【0054】
図6は、空気調和機10の室外機の斜視図である。また、
図7は、蓋体を取り除いた状態の換気装置の斜視図である。さらに、
図8は、蓋体を取り除いた状態の換気装置の上面図である。さらにまた、
図9は、蓋体を取り除いた状態の換気装置の分解斜視図である。そして、
図10は、換気装置の概略的な断面図である。なお、図面に示すX-Y-Z直交座標系は、実施の形態の理解を容易にするためのものであって、実施の形態を限定するものではない。X軸方向は室外機30の前後方向を示し、Y軸方向は左右方向を示し、Z軸方向は高さ方向を示している。
【0055】
図6に示すように、本実施の形態の場合、換気装置50は、室外機30の上部に設けられている。具体的には、換気装置50は、室外熱交換器32、ファン34、圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40を格納する室外機30の本体の筺体100上に設けられている。
【0056】
図6-
図8に示すように、換気装置50は、室外機30の左右方向(Y軸方向)に長い略直方体形状であって、上方が開いた箱状の筺体102と、筺体102の上部に取り付けられる蓋体104とを備える。筺体102内に、吸収材52などの換気装置50の構成要素が格納されている。なお、
図7および
図8は、蓋体104を取り除いた状態の換気装置50を示している。
【0057】
図7-
図9に示すように、本実施の形態の場合、吸収材52は、換気装置50の左右方向(Y軸方向)の中央に配置されている。吸収材52に対して長手方向の一方側(右側)に第1の流路P1に関連する構成要素が配置され、他方側(左側)に第2の流路P2に関連する構成要素が配置されている。
【0058】
また、
図10に示すように、換気装置50の筺体102内には、複数の空間S1~S4が実質的に形成されている。
【0059】
第1の空間S1は、室外空気A3が最初に流入する空間である。また、第1の空間S1は、実質的に、筺体102内の右側および上側部分に形成されている。
【0060】
第2の空間S2は、吸収材52を介して第1の空間S1に連絡する空間であって、第1の空間S1内の室外空気A3が吸収材52を通過して流入する空間である。また、第2の空間S2は、実質的に、筺体102内の右側および下側部分に形成されている。
【0061】
第3の空間S3は、室外空気A4が最初に流入する空間である。また、第3の空間S3は、実質的に、筺体102内の左側および下側部分に形成されている。
【0062】
第4の空間S4は、吸収材52を介して第3の空間S3に連絡する空間であって、第3の空間S3内の室外空気A4が吸収材52を通過して流入する空間である。また、第4の空間S4は、実質的に、筺体102内の左側および上側部分に形成されている。
【0063】
第1および第2の空間S1、S2内部の室外空気A3が第3および第4の空間S3、S4内に移動しないように、また、逆に第3および第4の空間S3、S4内の室外空気A4が第1および第2の空間S1、S2に移動しないように、第1および第2の空間S1、S2に対して第3および第4の空間
まず、構成がシンプルな第2の流路P2に関連する換気装置50の構成要素について説明する。
【0064】
本実施の形態の場合、
図8および
図9に示すように、室外空気A4が流れる第2の流路P2に関連して、換気装置50の筺体102には、第1の吸気口102a、第2の吸気口102b、および排気口102cが設けられている。第1の吸気口102aは、筺体102の前壁102dの左右方向(Y軸方向)の中央に形成されている。また、第2の吸気口102bは、筺体102の後壁102eの左右方向の中央に形成されている。そして、排気口102cは、前壁102dの左側に形成されている。
【0065】
室外空気A4は、第2のファン66が作動すると、第1の吸気口102aと第2の吸気口102bとを介して、筺体102内の第3の空間S3に流入する。具体的には、室外空気A4は、
図10に示すように、筺体102の底板102fと吸収材52の第2の端面52bとの間の第3の空間S3に流入する。
【0066】
第3の空間S3内の室外空気A4は、第2の端面52bを介して吸収材52内に流入し、第1の端面52aを介して吸収材52から第4の空間S4に流出する。吸収材52を通過して第4の空間S4に流入した室外空気A4は、第2のファン66に吸い込まれる。本実施の形態の場合、第2のファン66は、シロッコファンであって、ファン室F1内に配置されて上下方向(Z軸方向)に延在する回転中心線を中心にして回転する羽根車66aと、羽根車66aを回転させるモータ66bとから構成されている。室外空気A4は、羽根車66aの回転により、ファン室F1に吸い込まれ、ファン室F1に連通する排気口102cを介して室外Routに排出される。なお、ファン室F1は、筺体102と、第3の空間S3と第4の空間S4とを隔てる仕切り板106とによって画定されている。仕切り板106には、ファン室F1に連通して室外空気A4が通過する空気吸い込み口106aが形成されている。
【0067】
次に、第1の流路P1に関連する換気装置50の構成要素ついて説明する。
【0068】
本実施の形態の場合、
図8および
図9に示すように、室外空気A3が流れる第1の流路P1に関連して、換気装置50の筺体102には、第3の吸気口102gおよび第4の吸気口102hが設けられている。第3の吸気口102gは、筺体102の右壁102iに形成されている。また、第4の吸気口102hは、筺体102の後壁102eの右側に形成されている。
【0069】
室外空気A3は、第1のファン62が作動すると、第3の吸気口102gと第4の吸気口102hとを介して、筺体102内の第1の空間S1に流入する。第1の空間S1内に流入した室外空気A3は、第1および第2のヒータ58、60を通過し、吸収材52の第1の端面52aの上方に向かう。
【0070】
本実施の形態の場合、第1および第2のヒータ58、60は、換気装置50の中央に配置されるヒータユニット110内に組み込まれている。
【0071】
図11は、ヒータユニットの斜視図である。また、
図12は、ヒータユニットの下面図である。さらに、
図13は、ヒータユニットの分解斜視図である。そして、
図14は、
図12のA-A線に沿ったヒータユニットの概略的な断面図である。
【0072】
図11-
図14に示すように、ヒータユニット110は、第1および第2のヒータ58、60を保持するヒータベース部材112を含んでいる。ヒータベース部材112は、第1および第2のヒータ58、60が載置される略三角形状のヒータ載置部112aと、吸収材52を回転可能に収容する円筒状の吸収材収容部112bとを備える。なお、ヒータベース部材112のヒータ載置部112aと吸収材収容部112bは、別部品として構成することも可能である。
【0073】
第1および第2のヒータ58、60は、ヒータベース部材112のヒータ載置部112a上に、「ハ」の字状に配置されている。第1のヒータ58と第2のヒータ60とをそれぞれ通過した室外空気A3(すなわち支流路P1a、P2b)は、ヒータベース部材112の吸収材収容部112bに収容された吸収材52の第1の端面52a上で合流する(すなわち支流路P1a、P1bが第1の流路P1における本流路P1cに合流する)。なお、第1および第2のヒータ58、60は、支流路P1a、P2aを流れる室外空気A3に熱を伝達する複数の加熱フィンを備えるフィンヒータである。
【0074】
本実施の形態の場合、換気装置50は、第1の端面52aと第2の端面52bとを備える円盤状の吸収材52を保持する吸収材ホルダ114を含んでいる。吸収材ホルダ114は、吸収材52の外周面52cを保持する円筒状部114aと、換気装置50の筺体102の底板102fに立設する支持シャフト102jに回転可能に支持されるハブ部114bと(
図10参照)、円筒状部114aとハブ部114bとを連結する複数のスポーク部114cとを備える。複数のスポーク部114cは、吸収材52の第2の端面52bを支持する。
【0075】
ヒータベース部材112の吸収材収容部112bには、吸収材52を保持した状態の吸収材ホルダ114が収容される。また、ヒータベース部材112の吸収材収容部112bの中央は、吸収材ホルダ114のハブ部114bを貫通した筺体102の支持シャフト102jと係合する係合部112cが設けられている。円筒状の吸収材収容部112bとその中央に位置する係合部112cとを連結する複数のビーム部112dが、ヒータベース部材112に設けられている。
【0076】
なお、
図9に示すように、吸収材ホルダ114の円筒状部114aの外周面には、モータ54に取り付けられたピニオンギア116と係合する外歯114dが形成されている。このような吸収材ホルダ114を介して、モータ54は吸収材52を回転駆動する。
【0077】
ヒータユニット110はまた、
図13に示すように、室外空気A3が通過する吸収材52の第1の端面52aの一部分、第1のヒータ58、および第2のヒータ60を覆う、第1のカバー部材118と第2のカバー部材120とを含んでいる。第1のカバー部材118および第2のカバー部材120は、ヒータベース部材112のヒータ載置部112aと複数のビーム部112dに支持されている。その結果、第1のカバー部材118が、第1および第2のヒータ58、60を覆うとともに、上方視(Z軸方向視)でヒータ載置部112aとビーム部112dとに囲まれた吸収材52の第1の端面52aの部分を覆う。そのような第1のカバー部材118を、第2のカバー部材120が第1のカバー部材118との間に隙間を設けた状態で覆う。なお、本実施の形態の場合、第1のカバー部材118は樹脂材料から作製され、第2のカバー部材120は金属材料から作製されている。このような第1のカバー部材118と第2のカバー部材120とにより、第1のヒータ58および第2のヒータ60をそれぞれ通過した室外空気A3は、第1のカバー部材118と第2のカバー部材120とに覆われた吸収材52の第1の端面52aの部分を通過する。
【0078】
図14に示すように、第1のヒータ58および第2のヒータ60は、室外空気A3の通過方向が水平方向(X軸方向)になるようにヒータ載置部112aに載置されている。第1のカバー部材118は、室外空気A3が水平方向に第1のヒータ58および第2のヒータ60を通過できるように、第1のヒータ58および第2のヒータ60の上部を覆う。
【0079】
第2のカバー部材120は、第1のカバー部材118を覆う天板部120aと、天板部120aの外周縁から下方向に延在する壁部120bとを備える。天板部120aは、第1のカバー部材118に対して高さ方向(Z軸方向)に間隔をあけて対向する。また、壁部120bは、第1のヒータ58および第2のヒータ60に対して水平方向に間隔をあけて対向する。
【0080】
また、本実施の形態の場合、
図14に示すように、ヒータベース部材112のヒータ載置部112aの下部には、アンダーカバー部材122が取り付けられている。アンダーカバー部材122は、ヒータ載置部112aに取り付けられる底板部122aと、高さ方向(Z軸方向)に底板部122aから延在する壁部122bとを備える。壁部122bは、第1のヒータ58および第2のヒータ60と第2のカバー部材120の壁部120bとの間で延在している。
【0081】
このような第2のカバー部材120およびアンダーカバー部材122によれば、室外空気A3は、第2のカバー部材120の壁部120bとアンダーカバー部材122の壁部122bとの間の隙間を上方向に向かって流れる。次に、室外空気A3は、アンダーカバー部材122の壁部122bを乗り越えて底板部122aの上方を水平方向(X軸方向)に流れ、そして、第1のヒータ58と第2のヒータ60とに到達する。このような室外空気A3の流れ(すなわち支流路P1a、P1b)により、室外空気A3が第1のヒータ58および第2のヒータ60に到達する前に、室外空気A3に同伴するほこりなど異物が、重力によって取り除かれる。なお、第2のカバー部材120の壁部120bとアンダーカバー部材122の壁部122bとの間の隙間の距離Dは、昆虫などの生物が進入できないサイズ、例えば8mm以下にされている。これにより、第1のヒータ58と第2のヒータ60への生物の侵入が抑制されている。
【0082】
図14に示すように、第1のカバー部材118と第2のカバー部材120の天板部120aとの間の隙間には、室外空気A3が流れる。すなわち、第1のカバー部材118と第2のカバー部材120との間の隙間が、支流路P1aにおける第1のヒータ58に対する上流側部分と支流路P1bにおける第2のヒータ60に対する上流側部分とを連絡する連絡路P1dとして機能する。本実施の形態の場合、第1のヒータ58から第1のファン62までの流路長が、第2のヒータ60から第1のファン62までの流路長が短い。そのため、第1のヒータ58での室外空気A3の流速が、第2のヒータ60での流速に比べて高速である。その結果、
図14に示すように、第2のヒータ60に対して上流側の支流路P1bの部分を流れる室外空気A3の一部が、連絡路P1dを流れて支流路P1aに流入し、そして第1のヒータ58を通過する。
【0083】
このような連絡路P1dを設ける理由は、第1のヒータ58および第2のヒータ60の排熱Hを有効利用するためである。具体的には、第1のヒータ58および第2のヒータ60が発生する熱の多くは、これらを通過する室外空気A3の加熱に使用される。しかしながら、発生した熱の一部は、第1のヒータ58および第2のヒータ60を通過する室外空気A3に伝達することなく、第1のヒータ58および第2のヒータ60の周囲に伝達する、特に第1のヒータ58と第2のヒータ60の上方に伝
本実施の形態の場合、第1のヒータ58と第2のヒータ60の排熱Hは、連絡路P1dを流れる室外空気A3に伝達する。その排熱Hによって加熱された室外空気A3は、第1のヒータ58または第2のヒータ60を通過し、そして吸収材52を通過する。このように、連絡路P1dを流れる室外空気A3が第1のヒータ58と第2のヒータ60の排熱Hを回収することにより、第1および第2のヒータ58、60による室外空気A3の加熱効率が向上する。その結果、室外空気A3の加湿量(吸収材52から奪う水分量)が増加し、加湿運転の効率(室内Rinの加湿効率)または除湿運転における再生運転の効率(吸収材52の再生効率)が向上する。
【0084】
なお、このような排熱回収用の連絡路P1dは、第1のヒータ58および第2のヒータ60の上方に限らず、下方にも設けてもよい。連絡路P1dは、第1のヒータ58および第2のヒータ60近傍、すなわち第1のヒータ58および第2のヒータ60の排熱が伝達する領域を通過すればよい。
【0085】
第1のヒータ58および第2のヒータ60の少なくとも一方によって加熱された室外空気A3は、
図10に示すように、吸収材52を第1の端面52aから第2の端面52bに向かって下方向に通過し、第2の空間S2に入る。
【0086】
図15は、第2の空間を示す換気装置の筺体の一部分の上面図である。
【0087】
図15に示すように、筺体102の底板102fには、高さ方向(Z軸方向)に延在する環状壁部102kが形成されている。この環状壁部102kの頂部に、第1の空間S1と第2の空間S2とを隔てる仕切り板124が配置される(
図10参照)。これらの筺体102の環状壁部102kと仕切り板124とにより、第2の空間S2が画定されている。なお、吸収材52の下方に位置する環状壁部102kの部分102l上には、環状壁部102kと吸収材52との間をシールする、後述するシ
図16は、吸収材の径方向と直交する吸収材の一部分の概略的な断面図である。
【0088】
図16に示すように、吸収材52の第1の端面52aに対する複数の第1のシールユニット126と、吸収材52の第2の端面52bに対する複数の第2のシールユニット128が、換気装置50に設けられている。本実施の形態の場合、第1のシールユニット126は、吸収材52の第1の端面52aに対向するヒータベース部材112の複数のビーム部112dに設けられている。第2のシールユニット128は、吸収材52の第2の端面52bに対向する筺体102の環状壁部102kの部分102lに設けられている。
【0089】
複数の第1のシールユニット126は、吸収材52の第1の端面52aに高さ方向(Z軸方向)に接触するシール部材126aと、シール部材126aを保持してヒータベース部材112に取り付けられるシールホルダ126bとを備える。シール部材126aは、円盤状の吸収材52の径方向に実質的に延在し、吸収材52の第1の端面52aに接触する。本実施の形態の場合、シール部材126aは、ブラシである。なお、シール部材126aは、回転する吸収材52の第1の端面52aに対して摺動可能であれば、ブラシに限らない。シール部材126aは、例えば、可撓性を備えるシリコンゴムなどの弾性部材であってもよい。
【0090】
このような第1のシールユニット126により、第1の流路P1を流れる室外空気A3、具体的には第1のカバー部材118内を流れる室外空気A3の一部が、第2の流路P2(すなわち第4の空間S4)内に侵入することが抑制される。また、それとは逆に、第2の流路P2内を流れる室外空気A4が第1の流路P1内に侵入することも抑制される。
【0091】
複数の第2のシールユニット128は、吸収材52の第2の端面52bに高さ方向(Z軸方向)に接触するシール部材128aと、シール部材128aを保持して筺体102に取り付けられるシールホルダ128bとを備える。シール部材128aは、円盤状の吸収材52の径方向に実質的に延在するとともに、第1のシールユニット126のシール部材126aに対して平行に延在し、吸収材52の第2の端面52bに接触する。本実施の形態の場合、シール部材128aは、ブラシである。なお、シール部材128aは、回転する吸収材52の第2の端面52bに対して摺動可能であれば、ブラシに限らない。シール部材128aは、例えば、可撓性を備えるシリコンゴムなどの弾性部材であってもよい。また、シール部材128aは、第1のシールユニット126のシール部材126aと異なってもよく、また同一であってもよい。
【0092】
このような第2のシールユニット128により、第1の流路P1を流れる室外空気A3、具体的には吸収材52の第2の端面52bから第2の空間S2に流入する室外空気A3の一部が、第2の流路P2(すなわち第3の空間S3)内に侵入することが抑制される。
また、それとは逆に、第2の流路P2内を流れる室外空気A4が第1の流路P1内に侵入することも抑制される。
【0093】
なお、本実施の形態の場合、
図12に示すように、第2のシールユニット128(そのシール部材128a)が接触する吸収材52の第2の端面52b上には、吸収材ホルダ114の複数のスポーク部114cが存在する。そのため、吸収材ホルダ114の回転中、シール部材128aは、複数のスポーク部114cを乗り越える必要がある。
【0094】
このとき、シール部材128a全体が同時のタイミングでスポーク部114cを乗り越えると、そのタイミングに吸収材ホルダ114の回転抵抗が増加する。その結果、吸収材ホルダ114を回転させるモータ54に断続的にトルク負荷がかかる。
【0095】
そこで、シール部材128a全体が同時のタイミングでスポーク部114cを乗り越えないように、スポーク部114cが延在している。具体的には、シール部材128aは吸収材52の径方向に実質的に延在し、スポーク部114cは吸収材52の径方向に実質的に延在していない。その結果、例えばシール部材128aの吸収材52の中心側の端がスポーク部114c上に位置するとき、シール部材128aの外側の端はスポーク部114c上に位置していない。このような延在方向の違いにより、シール部材128aは、その全体がスポーク部114cを同時に乗り越えることなく、一部分ずつスポーク部114cを乗り越える。その結果、モータ54への負荷が低減される。
【0096】
また、
図16に示すように、第1のシールユニット126が設けられるヒータベース部材112のビーム部112dには、第1のシールユニット126から離れる方向に延在する衝突板112eが設けられている。衝突板112eは、室外空気A4が流出する吸収材52の第1の端面52aの部分の上方を延在する。その結果、衝突板112eには、第1のシールユニット126近傍で吸収材52を通過した室外空気A4が衝突する。この「衝突板」について比較例を挙げて説明する。
【0097】
図17は、比較例の換気装置における、吸収材の径方向と直交する吸収材の一部分の概略的な断面図である。
【0098】
図17の比較例に示すように、第1のシールユニット126から離れるように第2の流路P2内に突出する衝突板112eがない場合、第1のヒータ58および第2のヒータ60を通過して吸収材52内に流入する前の室外空気A3の一部が、第2の流路P2内に侵入しうる。具体的には、室外空気A3の一部が、シール部材126aと吸収材52との間を通過して第2の流路P2内に侵入しうる。
【0099】
この室外空気A3のシール部材126aと吸収材52との間の通過は、第1の流路P1内の圧力が第2の流路P2内の圧力に比べて高く、その圧力差が大きい場合に生じうる。第2の流路P2内は、室外空気A4が加熱されることなく流れるため、実質的に大気圧で維持されている。これに対して、第1のヒータ58および第2のヒータ60の少なくとも一方によって室外空気A3が加熱されている場合(加湿運転中または除湿運転における再生運転中)、第1のカバー部材118および第2のカバー部材120に覆われている吸収材52の第1の端面52aの部分上方の空間S5内は、圧力が増加する(室外空気A3が加熱されていない場合に比べて)。すなわち、第1のシールユニット126に対して第2の流路P2側が相対的に低圧になり、第1の流路P1側が相対的に高圧な状態になる。その結果、高圧の第1の流路P1内の高温の室外空気A3が、シール部材126aと吸収材52との間を介して、低圧の第2の流路P2内に侵入しうる。
【0100】
このように加熱されて高温の室外空気A3の一部が吸収材52を通過せずに第2の流路P2内に侵入すると、室外空気A3が吸収材52から奪う水分量が減少する、すなわち加湿運転の効率(室内Rinの加湿効率)または除湿運転における再生運転の効率(吸収材52の再生効率)が低下する。この対処として、本実施の形態の場合、
図16に示すように、第1のシールユニット126から第2の流路P2内に突出する衝突板112eが存在する。
【0101】
図16に示すように、第1のシールユニット126近傍を流れる室外空気A4は、吸収材52の第1の端面52aから流出した後、衝突板112eに衝突する。それにより、吸収材52の第1の端面52aと衝突板112eとの間に乱流状態の高圧領域APが発生する。この高圧領域APにより、シール部材126aの両側の圧力差が小さくなる。その結果、シール部材126aと吸収材52との間を介する室外空気A3の第2の流路P2への侵入が抑制される。
【0102】
本実施の形態の場合、衝突板112eの先端(第1のシールユニット126から遠い端)には、吸収材52の第1の端面52aに向かって延在する絞り壁112fが設けられている。これにより、シール部材126a、衝突板112e、吸収材52の第1の端面52a、および絞り壁112fによって囲まれたほぼ閉じた状態の空間が形成され、その空間内により圧力が高い高圧領域APが発生する。その結果、絞り壁112fがない場合に比べて、シール部材126aと吸収材52との間を介する室外空気A3の第2の流路P2への侵入がより抑制される。
【0103】
なお、
図16に示すように、第1のシールユニット126のシール部材126aと第2のシールユニット128のシール部材128aそれぞれは、吸収材52の第1の端面52aおよび第2の端面52bに対して直交する方向に吸収材52に接触している。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0104】
図18は、異なる実施の形態に係る換気装置における、吸収材の径方向と直交する吸収材の一部分の概略的な断面図である。
【0105】
図18に示すように、異なる実施の形態に係る換気装置において、シール部材126a、128aそれぞれは、第1の端面52aおよび第2の端面52bそれぞれに対して傾斜した状態で吸収材52に接触する。具体的には、吸収材52の回転方向DRの上流側から下流側に向かうにしたがって吸収材52に接近するように傾いた状態で、シール部材126a、128aはシールホルダ226b、228bに保持されている。この場合、
図16に示す実施の形態に比べて、シール部材126a、128aと吸収材52との間の摺動抵抗が低くなり、モータ54に対する負荷が低下する。
【0106】
なお、吸収材52の回転方向が切り替わる場合、シール部材126a、128aそれぞれは、吸収材52の径方向に延在する回転中心線を中心として揺動可能にシールホルダに保持されてもよい。
【0107】
また、第1のシールユニット126のシール部材126aと吸収材52の第1の端面52aとの間、および第2のシールユニット128のシール部材128aと吸収材52の第2の端面52bとの間を室外空気A3または室外空気A4が通過しないように、第1のファン62と第2のファン66の回転数を調節してもよい。例えば第1のファン62や第2のファン66の回転速度が高くなると、第1の流路P1や第2の流路P2内の圧力が下がる。それとは逆に回転速度が高くなると圧力が上がる。
【0108】
例えば、第1のヒータ58および第2のヒータ60の少なくとも一方がONの場合、第1のファン62の回転速度を上げて第1の流路P1内の圧力を下げるおよび/または第2のファン66の回転速度を下げて第2の流路P2内の圧力を上げることにより、加熱された室外空気A3の第1のシールユニット126のシール部材126aと吸収材52との間の通過がより抑制することができる。
【0109】
吸収材52に関するシールとして、第1のシールユニット126と第2のシールユニット128以外に、
図13に示すように、ラビリンスシール部材130を換気装置50は備える。
【0110】
図19は、吸収材ホルダの外側に形成されたラビリンス流路を示す吸収材ホルダの概略的な断面図である。
【0111】
図19に示すように、吸収材ホルダ114は、回転するために、その円筒状部114aの外周面が、ヒータベース部材112の吸収材収容部112bと仕切り板124に対して間隔をあけて対向している。そのため、本来吸収材52を通過すべき室外空気A3の一部が、円筒状部114aの外側を流れて吸収材52をバイパスしうる。室外空気A3が第1のヒータ58および第2のヒータ60の少なくとも一方によって加熱されている場合、このようなバイパスが発生すると、室外空気A3が吸収材52から奪う水分量が減少する、すなわち加湿運転の効率(室内Rinの加湿効率)または除湿運転における再生運転の効率(吸収材52の再生効率)が低下する。そこで、本実施の形態の場合、ラビリンスシール部材130により、吸収材ホルダ114とそれに対向する部材(ヒータベース部材112と仕切り板124)との間にラビリンス流路PLが形成されている。なお、ラビリンス流路は、流体の流れ方向を複数回変更させる流路形状を備えることによって高い流路抵抗を備える流路を言う。
【0112】
ラビリンスシール部材130は、ラビリンス流路PLの一部として、吸収材52の径方向(Y軸方向)に延在する径方向流路PLaを形成する端面130aを備える。具体的には、本実施の形態の場合、吸収材ホルダ114は、その円筒状部114aの外周面に外歯114dを備える。また、吸収材ホルダ114は、吸収材52の第1の端面52aから遠い側の外歯114dの端面に設けられた環状のフランジ114eを備える。ラビリンスシール部材130の端面130aは、フランジ114eとの間に径方向流路PLaを形成する。
【0113】
このような径方向流路PLaを含むラビリンス流路PLにより、室外空気A3は、円筒状部114aの外側を流れて吸収材52をバイパスし難くなり、吸収材52を通過する。その結果、室外空気A3が吸収材52をバイパスすることよって生じる加湿運転の効率(室内Rinの加湿効率)または除湿運転における再生運転の効率(吸収材52の再生効率)の低下を抑制することができる。
【0114】
また、本実施の形態の場合、ラビリンスシール部材130の端面130aには、吸収材ホルダ114のフランジ114eに向かって突出する突条部130bが設けられている。これにより、ラビリンス流路PLの流路抵抗がさらに増加する。
【0115】
さらに、本実施の形態の場合、仕切り板124には、吸収材52の第2の端面52bに間隔をあけて対向するように吸収材52の径方向(Y軸方向)に延在するリブ124aが設けられている。このリブ124aにより、ラビリンス流路PLから室外空気A3が流出しにくくなり、その結果として、ラビリンス流路PLの流路抵抗がさらに増加する。
【0116】
さらにまた、本実施の形態の場合、仕切り板124のリブ124aの先端に、吸収材52の第2の端面52bに向かって突出する突条部124bが設けられている。この突条部124bにより、ラビリンス流路PLから室外空気A3が流出しにくくなり、その結果として、ラビリンス流路PLの流路抵抗がさらに増加する。
【0117】
なお、ラビリンス流路PLは、吸収材ホルダ114の円筒状部114aの外周面全体にわたって形成してもよく、また全体にわたって形成しなくてもよい。ラビリンス流路PLの主目的は、第1のヒータ58および第2のヒータ60の少なくとも1つによって加熱された室外空気A3の多くが吸収材52を通過するように、その室外空気A3の吸収材52のバイパスを抑制することである。したがって、加熱された室外空気A3が通過する吸収材52の部分に対応する吸収材ホルダ114の円筒状部114aの部分の外側に、ラビリンス流路PLが少なくとも存在すればよい。
【0118】
また、本実施の形態の場合、ラビリンスシール部材130の端面130aは、吸収材ホルダ114のフランジ114eとの間に径方向流路PLaを形成する。ラビリンスシール部材130の端面130aと協働して径方向流路PLaを形成する吸収材ホルダ114の部分は、フランジ114eに限らない。吸収材ホルダ114が径方向外側に突出する拡径部を備えていれば、ラビリンスシール部材130の端面130aはその拡径部との間に、径方向流路PLaを形成することが可能である。なお、フランジ114eは、外歯114dの歯間を流れる室外空気A3を妨害するものであり、これによっても、ラビリンス流路PLの流路抵抗が増加している。
【0119】
吸収材52を通過した室外空気A3は、第2の空間S2内に流入する。
【0120】
図20は、第1のファンまわりの構成要素の概略的な断面図である。
【0121】
図20に示すように、第1の流路P1を流れる、具体的には第2の空間S2内に流入した室外空気A3は、第1のファン62に吸い込まれる。本実施の形態の場合、第1のファン62は、シロッコファンであって、ファン室F2に配置された上下方向(Z軸方向)に延在する回転中心線を中心にして回転する羽根車62aと、羽根車62aを回転させるモータ62bとから構成されている。室外空気A3は、羽根車66a内の回転により、ファン室F2に吸い込まれる。なお、ファン室F1は、仕切り板124上に設けられた環状壁124cと環状壁124c上に取り付けられるファンカバー部材132によって画定されている。仕切り板124には、ファン室F2に連通して室外空気A3が通過する空気吸い込み口124dが形成されている。
【0122】
本実施の形態の場合、第1のファン62のモータ62bは、ファンカバー部材132上に設けられ、モータカバー部材134によって覆われている。すなわち、モータ62bは、ファンカバー部材132とモータカバー部材134によって画定されたモータ室M1に格納されている。
【0123】
本実施の形態の場合、モータ室M1内に室外空気A3が流入するように、ファンカバー部材132とモータカバー部材134とが構成されている。
【0124】
具体的に説明すると、第1のファン62が回転すると、
図8および
図9に示すように、第3の吸気口102gおよび第4の吸気口102hを介して、室外空気A3が第1の空間S1内に流入する。空間S1内に流入した室外空気A3は、その一部がそのまま第1のヒータ58および第2のヒータ60を通過する。その残りは、
図20に示すように、モータ室M1内に流入し、モータ62bを冷却してモータ室M1から流出し、そして、第1のヒータ58および第2のヒータ60を通過する。
【0125】
モータ室M1内に侵入する室外空気A3が局所的に上下方向(Z軸方向)に流れるように、ファンカバー部材132とモータカバー部材134それぞれには、上下方向に延在する複数の障害壁132a、134aが設けられている。これらの障害壁132a、134bにより、室外空気A3が上下方向に流れ、室外空気A3に同伴する異物が重力によって取り除かれる。その結果、モータ室M1への異物の侵入が抑制されている。
【0126】
また、第1の空間S1に連通する第4の吸気口102hには、異物の侵入を抑制する複数の桟102mが設けられている。さらに、少なくとも1つの桟102mの上面102nには、第1の空間S1側が高い傾斜面102oが形成されている。この傾斜面102oにより、斜め下方向に降る雨水の第1の空間S1内への侵入が抑制される。なお、同様の桟102mが、第1の吸気口102a、第2の吸気口102b、および第3の吸気口102gにも設けられている。
【0127】
なお、雨水の侵入を抑制する手段は、傾斜面102oに限らない。
【0128】
図21は、異なる実施の形態に係る換気装置における、筺体の吸気口の概略的な断面図である。
【0129】
図21に示すように、異なる実施の形態に係る換気装置において、筺体202の第4の吸気口202hには、複数の桟202mが設けられている。桟202mそれぞれには、下方に位置する他の桟202mに向かって延在する垂れ下がり部202pが設けられている。このような垂れ下がり部202pによっても、雨水の第1の空間S1内への侵入を抑制することができる。
【0130】
本実施の形態の場合、
図10および
図15に示すように、吸収材52から空気吸い込み口124dとの間の第1の流路P1の部分、すなわち第2の空間S2内には、オリフィス部材136が設けられている。オリフィス部材136は、吸収材52から空気吸い込み口124dとの間の第1の流路P1の部分において、局所的に流路断面積を小さくするための障害物である。オリフィス部材136を設けることにより、オリフィス部材136を設けない場合に比べて第2の空間S2内の温度分布が一様化される。
【0131】
具体的に説明すると、第2の空間S2には、第1のヒータ58を通過した室外空気A3と第2のヒータ60を通過した室外空気A3が混ざりながら流れる。第1のヒータ58と第2のヒータ60の両方がONである場合と両方がOFFである場合、第2の空間S2内の温度分布は実質的に一様である。
【0132】
これに対して、第1のヒータ58のみがONである場合の温度分布と第2のヒータ60のみがONである場合の温度分布は、それぞれ一様でなく、また互いに大きく異なる。これは、第1のヒータ58から第1のファン62(すなわち空気吸い込み口124d)までの流路長と、第2のヒータ60から空気吸い込み口124dまでの流路長とが異なるからである。その結果、第2の空間S2内の室外空気A3の温度を測定する温度センサ138は、異なる測定条件で測定を実行することになる。なお、温度センサ138は、
図9に示すように仕切り板124に設けられている。
【0133】
図15に示すように、オリフィス部材136は、第1および第2のヒータ58、60から空気吸い込み口124dまでの第1の流路P1の部分(第2の空間S2)において、温度センサ138に対して上流側に配置されている。また、オリフィス部材136は、第2の空間S2を横断するように設けられている。したがって、
図10に示すように、第1のヒータ58を通過した室外空気A3と第2のヒータ60を通過した室外空気A3は、オリフィス部材136と仕切り板124との間の狭い隙間を通過して空気吸い込み口124dに向かう。その隙間を通過するときに、第1のヒータ58を通過した室外空気A3と第2のヒータ60を通過した室外空気A3が適度に混ざり合う。その結果、オリフィス部材136の下流側に位置する温度センサ138の周囲において、第1のヒータ58のみがONである場合の温度分布と第2のヒータ60のみがONである場合の温度分布が略等しくなる。
【0134】
なお、オリフィス部材136は、他の形状も可能である。
【0135】
図22は、異なる実施の形態に係る換気装置における、第2の空間を示す換気装置の筺体の一部分の上面図である。
【0136】
図22に示すように、異なる実施の形態に係る換気装置おいて、オリフィス部材236は、第2の空間S2を横断するように設けられておらず、換気装置の前側のみに設けられている。この場合、第1のヒータ58を通過した室外空気A3と第2のヒータ60を通過した室外空気A4は、上方視(Z軸方向視)でオリフィス部材236をバイパスするように流れる。バイパスするときに、第1のヒータ58を通過した室外空気A3と第2のヒータ60を通過した室外空気A3とが適度に混ざり合う。この場合、温度センサ138近くでは室外空気A3が緩やかに流れ、温度センサ138の測定環境が安定する。
【0137】
図20に示すように、第2の空間S2から第1のファン62のファン室F1に流入した室外空気A3は、羽根車62aの回転よってダンパ装置64に送られる。
【0138】
図23Aは、室内に接続した状態のダンパ装置を示す断面図である。また、
図23Bに示すように、室外に接続した状態のダンパ装置を示す断面図である。
【0139】
図23Aおよび
図23B、それに加えて
図9に示すように、本実施の形態の場合、ダンパ装置64は、仕切り板124の一部分とファンカバー部材132の一部分とを、そのハウジングの構成要素として備える。また、ダンパ装置64は、室外空気A3が流入する流入口64aと、室内機20に連通して室外空気A3が流出する第1の流出口64bと、室外に連通して室外空気A3が流出する第2の流出口64cと、第1の流出口64bおよび第2の流出口64cの一方を選択的に閉じる閉鎖扉64dとを含んでいる。なお、ダンパ装置64は、高さ方向(Z軸方向)に延在する回転中心線を中心にして閉鎖扉64eを回転駆動し、空気調和機10の制御装置によって制御されるモータなどの動力源(図示せず)も含んでいる。
【0140】
ダンパ装置64の流入口64aは、第1のファン62のファン室F2に連通している。それにより、第1のヒータ58、第2のヒータ60、および吸収材52を通過し、第1のファン62の羽根車62aから吹き出された室外空気A3が、流入口64aを介してダンパ装置64内に流入する。
【0141】
ダンパ装置64の第1の流出口64bには換気導管56が接続される。これにより、第1の流出口64bは、換気導管56を介して室内機20内に連通する。その結果、流入口64aを通過した室外空気A3が室内機20内に流入する。なお、本実施の形態の場合、第1の流出口64bは、右方向に開口している。
【0142】
また、本実施の形態の場合、ダンパ装置64の第1の流出口64bの開口方向が右方向であって、流入口64aの開口方向は、その逆の左方向である。そのため、流入口64aに流入した室外空気A3は、その流れ方向を変更することなく、第1の流出口64bから流出する。そのため、室外空気A3は、第1のファン62の吹き出し速度を維持したまま減速することなく、換気導管56内に流入することができる。
【0143】
ダンパ装置64の第2の流出口64cは、直接的ではなく、間接的に室外に連通する。
具体的には、第2の流出口64cは、筺体102内に設けられた隔離室S6内で、水平方向、特に後壁102eに向いた状態で開口している。隔離室S6は、筺体102とファンカバー部材132とによって画定され、他の空間S1~S4から独立している。したがって、第2の流出口64cから流出する室外空気A3は、隔離室S6内に流出する。
【0144】
隔離室S6を画定する筺体102の底板102fには、室外機30の本体の筺体100内に連通する接続口102qが設けられている。
【0145】
図24は、ダンパ装置から流出した室外空気の流れを示す換気装置の断面斜視図である。また、
図25は、室外機の本体内部を概略的に示す室外機の正面図である。
【0146】
図24に示すように、ダンパ装置64の第2の流出口64cから後方向に流出した室外空気A3は、隔離室S6内で流れ方向を下方向に変え、筺体102の底板102fに設けられた接続口102qを通過する。
【0147】
図25に示すように、筺体102の底板102fの接続口102qを通過した室外空気A3は、室外機30の本体の筺体100内に流入する。
【0148】
本実施の形態の場合、本体の筺体100内は、室外熱交換器32やファン34などを格納する熱交換室R1と、圧縮機36、四方弁40、制御基板などを格納する機械室R2とに、大略分かれている。室外空気A3は、機械室R2内に流入する。
【0149】
このように、ダンパ装置64の第2の流出口64cから流出する室外空気A3を、室外機30の本体の筺体100を介して、室外Routに排出する理由について説明する。
【0150】
図23Bに示すように、第2の流出口64cから流出する場合、室外空気A3は、閉鎖扉64dに衝突してその流れ方向を実質的に90度変更する。このとき、ダンパ装置64内に乱流が発生し、そ
ここで、仮に第2の流出口64cに対向する筺体102の後壁102eの部分に複数の桟を備える排気口を設けた場合、乱流由来の騒音がその排気口を介して、室外Routに漏れる。また、閉鎖扉64eの動作音もその排気口を介して室外Routに漏れる。さらに、桟によって風切り音が発生しうる。
【0151】
本実施の形態のように、第2の流出口64cから流出した室外空気A3が隔離室S6を介して筺体100内に流入する場合、乱流由来の騒音や閉鎖扉64eの動作音が室外Routに漏れることが抑制される。すなわち、筺体100の内部空間が、室外空気A3がダンパ装置64を流れることによって発生して室外Routに漏れる騒音のレベルを低下させる「マフラー」として機能する。
【0152】
特に、室外空気A3が機械室R2に流入する場合、さらに室外Routに漏れる騒音のレベルを低下させることができる。機械室R2は、略密閉空間であって、その中に格納されている圧縮機36などから発生する熱が室外Routに流出できる程度の隙間を介して室外Routに連絡している。一方、熱交換室R1は、ファン34によって吸い込まれる室外空気A2が通過する吸気口および熱交換した後の室外空気A2が流出する排気口を介して、室外Routに連絡している。したがって、機械室R2にダンパ装置64の第2の流出口64cから流出した室外空気A3が流入する方が、熱交換室R1に流入する場合に比べて、室外Routに漏れる騒音のレベルを低下させることができる。
【0153】
このようにダンパ装置64が室外機30の本体の筺体100内の空間を介して室外空気A3を室外Aoutに排出することにより、室外機30から発生する騒音のレベルを低下させることができる。
【0154】
なお、ダンパ装置64の第2の流出口64cから筺体100に連通する接続口102qに向かって室外空気A3がスムーズに流れるように、すなわちこれらの間で乱流が発生して騒音が生じないように、第2の流出口64cと接続口102qとを接続するダクトが、筺体102内に設けられてもよい。
【0155】
また、隔離室S6内でダンパ装置64の第2の流出口64cと接続口102qとが対向するように、第2の流出口64cが下方向に向くようにダンパ装置64は構成されてもよい。
【0156】
ダンパ装置64の第1の流出口64bから流出した室外空気A3は、換気導管56を介して、室内機20内に流入する。
【0157】
図26は、室内機に設けられた室内熱交換器とノズルを示す斜視図である。また、
図27は、内部構造を示す室内機の側面図である。なお、図に示すU-V-W直交座標系は、実施の形態の理解を容易にするためのものであって、実施の形態を限定するものではない。U軸方向は室内機20の左右方向を示し、V軸方向は前後方向を示し、W軸方向は高さ方向を示している。
【0158】
図26に示すように、室内機20は、室内熱交換器22と、ノズル140とを備える。ノズル140は、換気導管56と接続する接続部140aと、換気導管56から供給された室外空気A3を吹き出す吹き出し口140bとを備える。
【0159】
図27に示すように、ノズル140は、室内機20の筺体142内に換気装置50から換気導管56を介して供給された室外空気A3を吹き出すように、室内機20の筺体142内に設けられている。具体的には、ノズル140は、吹き出した室外空気A3が室内機20内における乾燥領域を通過してファン24に向かうように室内機20内に配置されている。ファン24は、例えばクロスフローファンである。また、ここで言う「乾燥領域」とは、他の領域に比べて乾燥している領域である。このような「乾燥領域」は、実験的にまたはシミュレーションによって特定することができる。
【0160】
本実施の形態の場合、ノズル140の室外空気A3の吹き出し方向が、吹き出し口140bから吹き出した室外空気A3が室内機20内の「乾燥領域」としての室内熱交換器22の乾燥部分DPを通過するように、方向付けされている。
【0161】
具体的に説明すると、本実施の形態の場合、
図27に示すように、ファン24の回転中心線の延在方向視(U軸方向視)で、室内熱交換器22は、ファン24を部分的に囲むように(本実施の形態の場合はファン24の下方を除いて囲むように)室内機20の筺体142内に設けられている。室内熱交換器22はまた、ファン24の後方に位置する第1の部分22aと、ファン24の前側に位置する第2の部分22bとから構成されている。このような室内熱交換器22内を、圧縮機36から供給された冷媒が流れる。本実施の形態の場合、空気調和機10の冷房運転または弱冷房運転(除湿運転)時、ファン24の回転中心線の延在方向視で、冷媒は、第1の部分22aの上部から下部に向かって流れ、そして、第2の部分22bの下部から上部に向かって流れる。すなわち、冷媒は、
図27において、反時計方向に室内熱交換器22内を流れる。
【0162】
このような冷媒の流れの結果、室内熱交換器22の第2の部分22bの上部に乾燥部分DPが発生する。乾燥部分DPは、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の下流側に位置する。冷媒は室内熱交換器22の他の部分を流れている間に温度が上昇するので、乾燥部分DPでは、他の部分に比べて結露が生じにくい(付着する結露水が少ない)。
【0163】
また、本実施の形態の場合、室内熱交換器22の乾燥部分DPは、室内熱交換器22の下方に設けられたドレインパン144、146から離れた部分であるので、付着している結露水が少ない。すなわち、結露水が室内熱交換器22の表面上をドレインパン144、146に向かって下方向に流れるので、室内熱交換器22の上部に位置する乾燥部分DPには結露水が少ない。
【0164】
このようにノズル140から吹き出された室外空気A3が室内機20内の乾燥領域(本実施の形態の場合、室内熱交換器22の乾燥部分DP)を通過してファン24に向かう理由について説明する。
【0165】
空気調和機10は、1つの運転モードとして、冷凍サイクルによる除湿運転(弱冷房運転)と換気装置50による除湿運転とを同時に実行できるように構成されている。
【0166】
冷凍サイクルによる除湿運転では、ファン24が回転すると、室内機20の筺体142の上部に設けられた空気取り込み口142aを介して室内空気A1が筺体142に取り込まれ、室内熱交換器22を通過する。このとき、室内空気A1は室内熱交換器22に冷却されるとともに水分が奪われて乾燥する。奪われた水分は、室内熱交換器22の表面で結露する。乾燥した室内空気A1は、ファン24によって空気吹き出し口142bを介して室内Rinに吹き出される。
【0167】
換気装置50による除湿運転(
図5参照)では、換気装置50からノズル140に、実質的に室外温度の乾燥した室外空気A3が供給される。室外空気A3は、ノズル140から吹き出され、ファン24に誘引されて室内熱交換器22の乾燥部分DPを通過する。このとき、室外空気A3は、乾燥部分DPを通過するので、すなわち多くの結露水が付着する室内熱交換器22の他の部分を通過しないので、乾燥状態が維持される。乾燥状態を維持された状態で室内熱交換器22を通過した室外空気A3は、ファン24によって空気吹き出し口142bを介して室内Rinに吹き出される。
【0168】
このような冷凍サイクルによる除湿運転(弱冷房運転)と換気装置50による除湿運転とを同時に実行すると、室内温度を大きく低下させることなく室内Rinを除湿することができる。
【0169】
ここで、仮にノズル140から吹き出された室外空気A3が、乾燥部分DP以外の室内熱交換器22の他の部分を通過すると、その室外空気A3は結露水の蒸発によって加湿される。その加湿された室外空気A3が室内Rinに吹き出されるので、すなわち元々室内Rinに存在した水分の一部が室内Rinに戻ることになるので、室内Rinの除湿効率が低下する。
【0170】
また、空気調和機10は、1つの運転モードとして、冷凍サイクルによる除湿運転(弱冷房運転)と換気装置50による換気運転とを同時に実行できるように構成されている。
【0171】
この場合、換気装置50から除湿されていないそのままの室外空気A3がノズル140に供給される。そして、ノズル140から吹き出された室外空気A3は、室内熱交換器22の乾燥部分DPを通過する。この場合、除湿運転によって室内熱交換器22に付着した結露水の一部を室内Rinに戻すことなく、室内Rinの換気を行うことができる。
【0172】
なお、ノズル140は、室内機20内の「乾燥領域」として、室外空気A3の少なくとも一部を室内熱交換器22とファン24との間の空間に向かって吹き出してもよい。
【0173】
本実施の形態の場合、ノズル140は、複数に非破壊で分割可能に構成されている。
【0174】
図28は、ノズルの分解斜視図である。また、
図29は、2つに分離された状態のノズルを示す斜視図である。そして、
図30は、ノズルの断面図である。
【0175】
図28に示すように、ノズル140は、4つの部品148~154から構成されている。具体的には、
図29に示すように、本実施の形態の場合、ノズル140は、接続部140aを備える後側部分140cと、吹き出し口140bを備える前側部分140dに分離可能に構成されている。後側部分140cは前側部分140dと接続するための接続口140eを備え、前側部分140dの先端部140fが接続口140eに抜き差し可能に挿入される。
【0176】
図29に示すように、本実施の形態の場合、後側部分140cは室内機20のベース部材156に取り付けられており、前側部分140dはフィルタ枠158に取り付けられている。ベース部材156は、室内機20を壁面に据え付けるときのブラケットとして機能するとともに、室内熱交換器22やファン24などの室内機20の構成要素を保持する。フィルタ枠158は、室内熱交換器22に向かう室内空気A1が通過するフィルタ(図示せず)を保持する部材であって、ベース部材156に対して取り外し可能に構成されている。フィルタ枠158をベース部材156から取り外すと、ノズル140の後側部分140cから前側部分140dが分離する。
【0177】
図30に示すように、ノズル140の後側部分140cの接続口140eに前側部分140dの先端部140fが挿入されると、後側部分140cの内周面140gと前側部分140dの内周面140hが段差なく連続するように接続する。これにより、後側部分140cから前側部分140dに流れる室外空気A3の圧力損失が抑制されている。
【0178】
図28に示すように、ノズル140の後側部分140cは、その内部流路に沿って2つの部品148、150に分割可能に構成されている。また、前側部分140dも、その内部流路に沿って2つの部品152、154に分割可能に構成されている。なお、部品148、150は、ねじなどの固定部品を使用することなく、例えばスナップ係合などにより合体可能に構成されている。同様に、部品152、154も、固定部品を使用することなく合体可能に構成されている。
【0179】
なお、
図30に示すように、本実施の形態の場合、ノズル140の後側部分140cには、流路断面積を他の場所に比べて小さくする縮流部140iが設けられている。これにより、室外機30からの騒音を反射し、室内機20内に伝わる騒音のレベルを低下させることができる。
【0180】
このような構成のノズル140によれば、その内部のチェックやクリーニングを容易に行うことができる。すなわち、ノズル140を4つの部品148~154に分割し、それぞれの部品に対してチェックやクリーニングを行うことができる。
【0181】
以上のような本実施の形態によれば、室外空気を室外機から室内機に供給する空気調和機において、ノズル内部の確認を容易に行い、ホコリを除去することができるとともに、供給風量が増加しても騒音値を抑えられることができる。
【0182】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されない。
【0183】
例えば、上述の実施の形態の場合、
図29に示すように、上ノズルと下ノズルの接続部は、下ノズルが台枠を貫通した直後に設けられている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。接続部は、室外空気がノズルを流れ熱交換器に吹出す構成であれば形態を問わない。
【0184】
すなわち、本開示の実施の形態に係る空気調和機は、広義には、室内機と外気導入ユニットを搭載した室外機とを有する空気調和機であって、前記室内機が、台枠と該台枠に着脱可能に取付けられるフィルターワクとを有し、前記外気導入ユニットから供給される室外空気を室内側へ導入するノズルを有し、該ノズルは上ノズルおよび下ノズルとで構成され、前記上ノズルは前記フィルターワクに固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、前記下ノズルは前記台枠に固定され、内部流路に沿って2部品に分割でき、縮流部を設けている。
【0185】
本開示は、室内機と室外機を備える空気調和機であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0186】
20 室内機
22 熱交換器
140 ノズル
140c 下ノズル
140d 上ノズル
140i 縮流部