(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043919
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 73/02 20060101AFI20230323BHJP
D06F 58/10 20060101ALI20230323BHJP
D06F 58/34 20200101ALI20230323BHJP
【FI】
D06F73/02
D06F58/10 Z
D06F58/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151669
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】下部 静男
(72)【発明者】
【氏名】仁藤 智也
【テーマコード(参考)】
3B167
3B168
【Fターム(参考)】
3B167AB30
3B167AB43
3B167AC14
3B167AE02
3B167AE11
3B167BA23
3B167BA24
3B167BA45
3B167BA78
3B167KA01
3B168AB30
3B168AB43
3B168AC14
3B168AE02
3B168AE11
3B168BA23
3B168BA24
3B168BA45
3B168BA78
3B168JM02
3B168JM03
3B168WA08
(57)【要約】
【課題】本開示は、筐体の振動を抑制して被処理物に所定のケアを施すことができる衣類処理装置を提供する。
【解決手段】本開示における衣類処理装置は、扉3を備える筐体2と、筐体2の内部に、ハンガー9に掛けられた被処理物4を収容する収容空間5aを有する収容部5と、被処理物4をケアする処理空気を生成する生成部7と、収容空間5aに処理空気を供給する送風部6と、を備え、送風部6は、空気の吸込部12と送風機10と吹出部13とこれらを連通する送風路11と、を有し、吹出部13は、被処理物4で形成される複数の空間Sを個別に狙う位置に設けられる吹出口16を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を備える筐体と、
前記筐体の内部に、ハンガーに掛けられた被処理物を収容する収容空間を有する収容部と、
前記被処理物をケアする処理空気を生成する生成部と、
前記収容空間に前記処理空気を供給する送風部と、を備え、
前記送風部は、空気の吸込部と送風機と吹出部とこれらを連通する送風路と、を有し、
前記吹出部は、前記被処理物で形成される複数の空間Sを個別に狙う位置に設けられる吹出口を含む、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記吹出部は、複数の前記空間Sの位置に合わせて個別に設けられる吹出口を含む、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記収容部の両側の側壁とそれぞれ対向する前記被処理物との間は前記空間Sに含まれる、
請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、少なくとも、前記空気に含まれる微粒子を取り除くフィルター、前記空気の臭気を取り除く脱臭部、前記空気を除湿する除湿部、前記空気を加熱する加熱部、前記空気に湿度を与える加湿部、前記空気に液粒子を与える液粒子生成部、前記空気にイオン粒子を与えるイオン生成部、前記空気に芳香を与える芳香付加部、のうちいずれかを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記吹出部は、前記空間Sへの送風を上下に所定の範囲だけ風向変更できるように構成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記吹出部は、送風チャンバーと、前記送風チャンバーに複数設けられる吹出口と、前記送風チャンバーを回転動作させる駆動部と、を含む、
請求項5に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記吹出部は、前記吹出口ごとに分割される前記送風チャンバーと、分割された前記送風チャンバーごとに回転動作させる駆動部と、を含む、
請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記被処理物の有無を個別に検知する検知部と、前記吹出口を個別に開閉する開閉部と、を備え、
前記被処理物が検知されない所定の空間に対応する前記吹出口は閉成されて前記処理空気を吹き出さないように構成される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記送風部は、開成される前記吹出口の数が変更されたとき、前記吹出口ごとの吹き出し風速が変化しないように前記送風機の能力が制御されるように構成される、
請求項8に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類等の被処理物に送風してケアする衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ハンガー棒を往復運動させるとともに、送風ファンによって処理室内の空気を循環させることで処理室内の空気の流動を均一にさせる衣類処理装置を開示する。この衣類処理装置は、衣類が収容される処理室、前記処理室内で熱風及びスチームの中で少なくとも一つを供給する加熱部、前記処理室内部に配置されたハンガー棒、回転力を発生させる駆動部、前記駆動部の回転力を変換して前記ハンガー棒を往復運動させる変換部、及び前記駆動部によって回転する送風ファンを含む。
【0003】
特許文献2は、収容空間に収容された布材に対して、所定の処理を施与する布材処理装置を開示する。この布材処理装置は、超音波を発生する発生部と前記発生部へ液体を供給する給液部とを含む霧化部を含み、前記発生部は、前記液体を前記超音波に曝すことによって、前記液体を霧化し、霧化液を生成する。布材処理装置は、前記霧化部から前記収容空間へ向かう気流を作り出す送風部を更に備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/068028号
【特許文献2】特開特開2015-70928特開2015-709282015-070928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、筐体の振動を抑制して衣類等の被処理物をケアする衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における衣類処理装置は、扉を備える筐体と、前記筐体の内部に、ハンガーに掛けられた被処理物を収容する収容空間を有する収容部と、前記被処理物をケアする処理空気を生成する生成部と、前記収容空間に前記処理空気を供給する送風部と、を備え、前記送風部は、空気の吸込部と送風機と吹出部とこれらを連通する送風路と、を有し、前記吹出部は、前記被処理物で形成される複数の空間を個別に狙う位置に設けられる吹出口を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示における衣類処理装置は、被処理物をケアする処理空気を生成し、ハンガーに掛けられた被処理物の間の空間を狙って処理空気を送風することにより、ハンガーを往復運動させずとも、被処理物を処理空気により効率的に揺らすことができる。このため、筐体の振動を抑制して被処理物に所定のケアを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施の形態1における衣類処理装置の側面縦断面概略図
【
図3】実施の形態1における衣類処理装置の正面要部縦断面概略図
【
図4】実施の形態1における衣類処理装置の側面要部縦断面概略図
【
図5】実施の形態1における衣類処理装置の要部斜視図
【
図6】実施の形態2における衣類処理装置の正面要部縦断面概略図
【
図7】他の実施の形態における衣類処理装置の正面要部縦断面概略図
【
図8】他の実施の形態における衣類処理装置の要部斜視図
【
図9】他の実施の形態における衣類処理装置の要部斜視図
【
図10】他の実施の形態における衣類処理装置の側面縦断面概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、衣類処理装置で衣類のしわを除去する方法として、収容空間内でハンガーに掛けられた衣類等を揺らす方法があり、この衣類等を揺らすために、ハンガーが掛けられるハンガー棒を往復運動させてハンガーごと揺らす技術があった。
【0010】
また、収容空間における送風は、ハンガーに掛けられた衣類等に向けて直接送風するものが一般的であった。
【0011】
しかしながら、ハンガー棒を往復運動させる構成では、左右または前後に揺らす駆動部を本体の上部に有することになり、この駆動部が振動源となって本体に振動および騒音が発生しやすくなる。
【0012】
また、衣類等に向けて送風される場合、送風の吹出口に近い部分に強い風力がかかり、その部分だけケアの作用が強く働いたり、繊維の風合いが変化してしやすくなったりすることがある。
【0013】
このような課題を解決するために、発明者らは本開示の主題を構成するに至った。
【0014】
そこで本開示は、ハンガーを揺らさないようにして振動を抑制するとともに、衣類等の被処理物に効率よく送風し、衣類のしわの除去を含めて衣類ケアの作用を効果的に発揮する衣類処理装置を提供する。
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0017】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図5を用いて、実施の形態1を説明する。
【0018】
[1-1.構成]
図1および
図2において、衣類処理装置1は、縦に細長い筐体2を備え、前面に回転式の扉3を有する。筐体2の内部に、衣類等の被処理物4を収容する収容空間5aを有する収容部5と、収容空間5aに空気を供給する送風部6と、被処理物4をケア(以降、衣類ケアと称する)する処理空気を生成する生成部7と、が設けられる。収容空間5aの上部には、ハンガー棒8が設けられ、ハンガー棒8には、複数のハンガー9を等間隔の所定位置に掛けることができるようにハンガー支持部8a(
図3参照)が設けられる。これにより、被処理物4はハンガー9に吊るされた状態でハンガー棒8に掛けられ、等間隔でおお
むね並行に収容部5内に収容される。なお、本実施の形態において、掛けられる被処理物4は3つとしているが、これに限られず、筐体2の大きさに応じて任意に設定されればよい。
【0019】
送風部6は、送風機10および送風路11を含む。本実施の形態において、送風路11は、収容空間5aを挟んで空気が循環するように構成される。具体的には、送風路11は、一端に吸込部12、および他端に吹出部13を有する。吸込部12は収容部5の底面前部に設けられ、吹出部13は収容部5の上面後部に設けられる。そして、送風路11は、収容部5の下方に設けられる機械室14を通って収容部5の後壁に沿って上方に向かい、吸込部12と吹出部13とを連通する。機械室14では、送風路11の途中に空気を循環させる送風機10と生成部7とが設けられる。
【0020】
生成部7は、収容空間5aに吹き出される空気に対して、被処理物4を衣類ケアする処理空気を生成する。衣類ケアの種類としてはいろいろあるが、衣類処理装置1に複数の衣類ケア機能が設けられていれば、使用者は所望の機能を選択することができる。
【0021】
具体的には、それぞれ異なる機能を有するデバイスとして、空気に含まれる微粒子を取り除くフィルター7a、空気の臭気を取り除く脱臭部7b、空気を除湿する除湿部7c、空気を加熱する加熱部7d、空気に湿度を与える加湿部7e、空気に液粒子を与える液粒子生成部7f、空気にイオン粒子を与えるイオン生成部7g、空気に芳香を与える芳香付加部7h、などのうちいずれかを含む。本実施の形態では、吸込部12にフィルター7aが設けられ、さらに、送風機10の後にいずれかの機能を有する生成部7が設けられる。生成部7の機能は、1つに限られるものではなく、複数の異なる機能を有してもよいし、それぞれの機能を有するデバイスが送風路11中に個別に分離して設けられてもよい。
【0022】
次に、
図3~
図5を用いて吹出部13について詳しく説明する。
【0023】
吹出部13は、送風路11から連通する円筒状の送風チャンバー15と、送風チャンバー15に複数設けられる吹出口16と、送風チャンバー15を回転動作させる駆動部17と、を含む。送風チャンバー15は、ハンガー棒8と並行して斜め上後方に設けられる。吹出口16は、
図3に示すように、送風チャンバー15の下部に直列に設けられ、特に、複数のハンガー9に吊るされた被処理物4で形成される複数の空間Sを狙って送風できる位置に個別に設けられる。具体的には、吹出口16は、設定された向きで処理空気を吹き出せばそれぞれ複数の空間Sに到達するように、被処理物4で形成される複数の空間Sの位置に合わせて個別に設けられる。なお、本実施の形態において、収容部5の両側の側壁5bとそれぞれ対向する被処理物4との間も空間Sとして含まれる。
【0024】
また、送風チャンバー15は、
図4に示すように、送風チャンバー15の円筒中心線Xを回転軸として回動し、吹出口16から空間Sへの送風を上下に風向変更できるように構成される。その回動動作は、おおむね被処理物4の幅の全範囲に処理空気が吹き出されるように、上下方向に所定角度θの範囲で揺動する。駆動部17の構成は特に限定されないが、例えば、
図5に示すように、動力源であるモータ17aと所定の減速比を有するギアボックス17bとを組み合わせて構成されてもよい。
【0025】
[1-2.動作]
以上のように構成された衣類処理装置1について、その動作を以下説明する。
【0026】
[1-2-1.衣類処理動作]
本実施の形態における衣類処理装置1の衣類処理動作は、衣類ケア用の処理空気を衣類等の被処理物4に吹き付けるという点では従来の衣類処理装置と同様であり、その概要を
説明する。
【0027】
本実施の形態における衣類処理装置1は、ハンガー9に吊るされた被処理物4を3つまで収容できる。まず、使用者は、所定の衣類ケアを行いたい被処理物4をハンガー9に吊るし、そのハンガー9をハンガー棒8に掛ける。使用者がハンガー9をハンガー支持部8aに掛けると、被処理物4はほぼ等間隔の空間Sを空けて並行に掛けられる。
【0028】
使用者は、所望の衣類ケアの種類に応じて、例えば、フィルター7aの掃除、除湿部7cの排水確認、加湿部7eの水分補充、液粒子生成部7fおよび芳香付加部7hの処理剤補充、など生成部7に必要なメンテナンスを行う。その後使用者は、衣類処理装置1の電源をオンにし、衣類ケアに必要な設定をして運転を開始する。
【0029】
衣類処理装置1の運転が開始されると、衣類処理装置1は、送風機10を起動し、設定された衣類ケアの種類に応じて生成部7を動作させる。これにより、所定の衣類ケア用の処理空気が生成され、処理空気は送風路11を通って吹出部13から収容空間5aに吹き出される。吹き出された処理空気は収容空間5a内を循環し、被処理物4は所定の衣類ケアが施される。そして、収容空間5a内の処理空気は、適宜、吸込部12から送風部6に吸い込まれ、新たな処理空気となって循環する。
【0030】
所定時間が経過すれば、衣類処理装置1は終了報知を行い、すべての動作を停止して電源をオフにする。
【0031】
[1-2-2.送風動作]
図3および
図4に基づいて、衣類処理装置1の送風動作について詳細に説明する。
【0032】
上記構成で説明したように、吹出部13に設けられる吹出口16は、複数のハンガー9に吊るされた被処理物4で形成される複数の空間Sの位置に合わせて、複数の空間Sを個別に狙って送風できる位置に設けられ、上下方向に所定角度θの範囲だけ揺動するように構成される。
【0033】
つまり、この構成により、吹出口16から吹き出された処理空気は、ハンガー9近傍の上部においても被処理物4の幅全体に向けて広範囲に吹き出されるとともに、被処理物4の吹出口16に近い部分に対して極端に強く当たることはなく、被処理物4同士の空間Sにスムーズに流れ込み、下方まで到達する。これにより、処理空気は空間Sを形成する両側の被処理物4の表面全体に接触し、効率的に衣類ケアを行うことができる。また、両端に掛けられた被処理物4と側壁5bで形成される空間Sにも処理空気が吹き出されるので、被処理物4の側壁5b側の面にも処理空気が接触して所定の衣類ケアを確実に行うことができる。
【0034】
具体的に、その作用を従来との違いを交えて説明する。従来の衣類処理装置は、例えば、吹出口が細長く形成され複数の被処理物4に跨って配置されており、特に被処理物4同士の間の空間Sだけを狙ったものではない。本実施の形態と同様に、吹出口が収容部5の上面後部に設けられる場合、被処理物4の吹出口に近い部分(上着類であれば肩口から襟上部の部分)に処理空気が強く当たる。そして、ここに当たって方向を変えた風が空間Sに向けて送風された風と衝突し、空間Sに流入する流れが乱されて勢いが衰えるおそれがある。これにより、処理空気が被処理物4の下方まで到達しにくくなる。
【0035】
つまり、このような処理空気の流れにより、被処理物4の吹出口に近い部分は、他の部分より衣類ケアの処理が進んでしまうとともに、特に被処理物4の下部は衣類処理が遅れることになる。具体的には、加熱空気による過熱および過乾燥、水分または処理剤などの
集中的な付着、などが発生する。そして、吹出口から遠い部分においては、所定時間内では処理不足が発生したり、所定時間そのものが長引いたりすることになる。
【0036】
また、複数の吹出口16を1つの送風チャンバー15を回転動作させることで揺動させることができ、簡易な構造で安価に構成できる。
【0037】
以上のように、本実施の形態の衣類処理装置1は、ハンガー9を揺らさないので筐体2の振動を抑制することができる。そして、被処理物4の吹出口16に近い部分に対して強い送風を当てることはなく、収容部5内の風の流れは隅々まで行き渡り、被処理物4に対する衣類ケアにおいて、部分的な過度の進行の発生が抑制され、効率的に処理を行うことができる。
【0038】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置1は、扉3を備える筐体2と、筐体2の内部に、ハンガー9に掛けられた被処理物4を収容する収容空間5aを有する収容部5と、被処理物4をケアする処理空気を生成する生成部7と、収容空間5aに処理空気を供給する送風部6と、を備え、送風部6は、空気の吸込部12と送風機10と吹出部13とこれらを連通する送風路11と、を有し、吹出部13は、被処理物4で形成される複数の空間Sを個別に狙う位置に設けられる吹出口16を含む。
【0039】
これにより、衣類処理装置1は、ハンガー9を揺らさずに筐体2の振動を抑制することができる。そして、被処理物4の吹出口16に近い部分に対して所定以上に強い送風を当てることはなく、しわの除去を含む被処理物4に対する衣類ケアにおいて、部分的な過度の進行の発生が抑制され、効率的に処理を行うことができる。
【0040】
また、本実施の形態のように、衣類処理装置1の吹出部13は、被処理物4で形成される複数の空間Sの位置に合わせて個別に設けられる吹出口16を含む。これにより、複数の吹出口16からまっすぐ吹き出された処理空気は、それぞれの空間Sに吹き出され、被処理物4の吹出口16に近い部分に対して所定以上に強く当たることはなく、被処理物4に対する衣類ケアにおいて、部分的な過度の進行の発生が抑制され、効率的に処理を行うことができる。
【0041】
また、本実施の形態のように、収容部5の両側の側壁5bとそれぞれ対向する両端の被処理物4との間は空間Sに含まれる。これにより、両端に掛けられた被処理物4と側壁5bの間にも処理空気が吹き出されるので、被処理物4の側壁5b側の面にも処理空気が接触して所定の衣類ケアを確実に行うことができる。
【0042】
また、本実施の形態のように、衣類処理装置1の生成部7は、少なくとも、空気に含まれる微粒子を取り除くフィルター7a、空気の臭気を取り除く脱臭部7b、空気を除湿する除湿部7c、空気を加熱する加熱部7d、空気に湿度を与える加湿部7e、空気に液粒子を与える液粒子生成部7f、空気にイオン粒子を与えるイオン生成部7g、空気に芳香を与える芳香付加部7h、のうちいずれかを含む。これにより、衣類処理装置1は複数の異なる衣類ケア機能を有することができ、使用者は所望の機能を選択することができる。
【0043】
また、本実施の形態のように、衣類処理装置1の吹出部13は、空間Sへの送風を上下に所定の範囲だけ風向変更できるように構成される。これにより、衣類処理装置1は、被処理物4に対してハンガー9近傍の上部から下部まで全体に向けて処理空気を広範囲に吹き出すことができる。
【0044】
また、本実施の形態のように、衣類処理装置1の吹出部13は、送風チャンバー15と
、送風チャンバー15に複数設けられる吹出口16と、送風チャンバー15を回転動作させる駆動部17と、を含む。これにより、複数の吹出口16を1つの送風チャンバー15を回転動作させることで揺動させることができ、簡易な構造で安価に構成できる。
【0045】
(実施の形態2)
以下、
図6を用いて、実施の形態2を説明する。実施の形態2における衣類処理装置1は、以下に記載する新たな構成以外は実施の形態1における衣類処理装置1と特に変わることはない。このため、衣類処理装置1の基本的な構成は実施の形態1での記載を援用する。
【0046】
[2-1.衣類検知構成]
実施の形態2にかかる衣類処理装置1は、ハンガー棒8に掛けられた被処理物4(4a、4b、4c)の有無をそれぞれ検知する検知部18(18a、18b)と、複数の吹出口16(16a、16b、16c、16d)を個別に開閉する開閉部19(19a、19b、19c、19d)と、をさらに有する。なお、検知部18は、少なくとも、後述する検知部18aまたは検知部18bのいずれかが設けられればよい。
【0047】
そして、衣類処理装置1は、検知部18によって被処理物4が掛けられていない部分を認識し、被処理物4が掛けられていないときには通常より幅広く形成される1つの空間Sに開口する複数の吹出口16のうち、少なくとも1つの吹出口16を開閉部19により閉成するように構成される。つまり、衣類処理装置1は、基本的には、1つの空間Sには1つの吹出口16からだけ処理空気を吹き出すように、吹出口16を個別に開閉できるように構成される。
【0048】
検知部18は、例えば、検知部18aのように、ハンガー支持部8aに設けられてハンガー9の有無を検知するもの、または、検知部18bのように、光線等を当てて被処理物4の有無を検知するもの、など、特に限定されない。前者であれば、個々のハンガー9の有無を直接検知するマイクロスイッチなどでもよい。あるいは、ハンガー9の重量を検知する圧力センサーまたはひずみゲージなどでもよい。また、後者であれば、光センサーであって、透過型でも反射型でもよい。光センサーであれば、投光素子および受光素子を1セットとして被処理物4ごとに設けられてもよいし、1つの投光素子と被処理物4ごとの受光素子が設けられてもよい。あるいは、1セットですべての被処理物4を検知できる光センサーでもよい。
【0049】
これらの検知部18において、重量を検知したり、光線で被処理物4そのものを検知したりできれば、ハンガー9だけが掛けられて被処理物4が吊るされていない場合でも、被処理物4が存在しないことを検知できる。
【0050】
また、検知部18は、3つあるすべての被処理物4の有無を検知できるように配置されることがより望ましいが、少なくとも、両端に位置する被処理物4の有無を検知できるように配置されることが望ましい。
【0051】
[2-2.動作]
以上のように構成された衣類処理装置1について、その動作を以下説明する。
図6に示すように、被処理物4を左から被処理物4a、4b、4cとし、吹出口16を左から吹出口16a、16b、16c、16dとする。表1は、被処理物4a、4b、4cの有無による吹出口16a、16b、16c、16dの開閉状態を各パターンに分けて示したものである。
【0052】
【0053】
本実施の形態の衣類処理装置1において、被処理物4は3つまで掛けられるが、使用者は必ずしも3つとも掛けるとは限らない。衣類処理装置1は、運転を開始すると、検知部18により、被処理物4a、4b、4cそれぞれが掛けられているか否か、つまり被処理物の有無を認識する。そして、表1に示すように、被処理物4が掛けられている位置に応じて、送風機10および開閉部19を制御し、それぞれの吹出口16a、16b、16c、16dから処理空気を吹き出す。これにより、被処理物4に対して過不足なく十分な処理空気を当てることができる。
【0054】
具体的には、パターン1のように、3か所すべての位置に被処理物4が掛けられていれば、すべての吹出口16は開成される。パターン2または3のように、端側の被処理物4cまたは4aが掛けられていない場合、それぞれ吹出口16dまたは16aが閉成される。
【0055】
パターン4のように、中央の被処理物4bが掛けられていない場合、表1ではいずれの吹出口16も閉成されない。これは、離れた被処理物4aおよび4cのいずれにもおおむね均等に処理空気が当たるように配慮したものである。しかしこれに限られるものではなく、上述したように、基本的には1つの空間Sには1つの吹出口16からだけ処理空気を吹き出すように、吹出口16を個別に開閉できるように構成されればよく、吹出口16bまたは16cのいずれかを閉成しても構わない。さらに、1つの吹出口16を閉成することにより1カ所当たりの風量を増加して吹出口16の片寄りを緩和するようにしてもよい。
【0056】
パターン5,6および7は、被処理物4a,4bおよび4cのいずれか1つだけが掛けられた状態である。この場合、被処理物4の両側の2カ所の吹出口16だけが開成され、他の2つの吹出口16は閉成される。
【0057】
以上のように、被処理物4が掛けられていない場合には吹出口16は閉成するという考え方に沿って吹出口16が開閉されることにより、被処理物4が存在しない位置に無駄に処理空気が吹き出されることを抑制できる。
【0058】
そして、このように開成される吹出口16の数が変更されると、送風機10の能力が同等のままでは、吹出口16からの吹き出し風速が変化する。つまり、掛けられる被処理物4の数量が少なくなり、開成される吹出口16の数が少ないほど、吹き出し風速が増加する。通常でも吹き出し風速が増加することにより処理能力が向上する可能性があるが、この場合は被処理物4の数量も少なくなることにより、より処理時間を短縮することができる。
【0059】
また、送風部6は、開成される吹出口16の数が変更されたとき、吹出口16ごとの吹き出し風速が変化しないように送風機10の能力が制御されるように構成されてもよい。変化しないというのは、おおむね±20%の範囲に収めることが望ましい。この場合、衣類処理装置1は、収容される被処理物4の数量に関わらず、同等の処理時間で安定した処理能力を発揮することができる。さらに、掛けられる被処理物4の数量が少ないほど、送風機10の入力を低下させることができるとともに、送風騒音を低下させることができる。
【0060】
なお、表1は、被処理物4の有無による吹出口16の開閉状態の基本的な考え方を示すものであり、本実施の形態においては、掛けられる被処理物4は3つとしているが、これに限られない。つまり、筐体2の大きさに応じて被処理物4および吹出口16の数が任意に設定されるとともに、この考え方に沿って被処理物4の位置に応じて吹出口16が開閉されればよい。
【0061】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置1は、被処理物4の有無を個別に検知する検知部18と、吹出口16を個別に開閉する開閉部19と、を備え、被処理物4が検知されない所定の空間Sに対応する吹出口16は閉成されて処理空気を吹き出さないように構成される。これにより、被処理物4が存在しない位置に無駄に処理空気が吹き出されることを抑制できる。
【0062】
また、本実施の形態において、衣類処理装置1の送風部6は、開成される吹出口16の数が変更されても吹き出し風速が変化しないように送風機10の能力が制御されるように構成される。変化しないというのは、おおむね±20%の範囲に収めることが望ましいが、これにより、衣類処理装置1は、収容される被処理物4の数量に関わらず、同等の処理時間で安定した処理能力を発揮することができる。さらに、掛けられる被処理物4の数量が少ないほど、送風機10の入力を低下させることができるとともに、送風騒音を低下させることができる。
【0063】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0064】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0065】
実施の形態1および2では、衣類処理装置1の吹出部13の一例として、
図3に示すよ
うに、送風路11に送風チャンバー15が接続され、1つの送風チャンバー15に複数の吹出口16が設けられ、送風チャンバー15が回動することによって、吹出口16が一体となって空間Sへの送風を上下に風向変更できる構成として説明した。しかしながら、吹出口16ごとに風向変更できるように構成されてもよい。
【0066】
例えば、
図7および
図8に示すように、吹出部13は、複数の吹出口16a、16b、16c、16dごとに分割される送風チャンバー15(15a、15b、15c、15d)と、分割された送風チャンバー15a、15b、15c、15dのそれぞれを回動動作させる個別駆動部20(20a、20b、20c、20d)と、を含む。送風チャンバー15には、各送風チャンバー15a、15b、15c、15dに合わせて送風路開口部11a、11b、11c、11dが設けられた送風路11が挿入され、送風路11と送風チャンバー15とは、送風チャンバー15a、15b、15c、15dごとにシールされた二重構造になっている。
【0067】
なお、送風路11が挿入されず、個別駆動部20a、20b、20c、20dが筐体2等に固定され、分割された送風チャンバー15a、15b、15c、15dが密接に連接されて個別に回動するように構成されてもよい。
【0068】
この構成により、複数の吹出口16が独立して回動しながら送風することが可能となり、収容される被処理物4の種類および数などによって回動方法を工夫することにより、衣類処理の効率を向上させることができる。
【0069】
また、実施の形態1および2では、衣類処理装置1の吹出部13の一例として、
図5に示すように、吹出口16が円筒形状で開口が円形に形成されもので説明した。しかしながら、吹出口16の形状はこれに限られず、例えば、
図9に示すように、吹出口16が四角錐台形状で開口が長方形に形成されるなど、任意の形状でも構わない。特に、吹出口16の開口形状が長方形などのように細長いものであれば、被処理物4の間の狭い空間Sへの送風が、より容易になる。
【0070】
また、実施の形態1および2では、衣類処理装置1の一例として、送風部6は、複数のデバイスを含む1つの送風路11が収容空間5aを通じて空気が循環するように構成され、送風路11の一端の吸込部12は収容部5の底面前部に設けられ、他端の吹出部13は収容部5の上面後部に設けられる構成として説明した。
【0071】
しかしながら、この構成に限られず、例えば、
図10に示すように、衣類処理装置101は、送風部が上下に分割され、上部の送風部106Aおよび下部の送風部106Bを備えるように構成されてもよい(以下、上部を符号A、下部を符号B、と記載)。送風部106A、106Bは、それぞれ、送風機110A、110Bおよび送風路111A、111Bを含む。送風路111A、111Bは、それぞれ一端に吸込部112A、112B、および他端に吹出部113A、113Bを有する。そして、送風機110A、110Bの下流にそれぞれ生成部107A、107Bが設けられ、生成部107A、107Bはそれぞれ所定の機能を分担するように構成される。なお、
図10では、
図2と同様に生成部107A、107Bのうち、フィルター107Aa、107Baは吸込部112A、112Bに分離して設けられる構成となっている。
【0072】
このとき、少なくとも上部の送風部106Aは、実施の形態1および2で説明した構成を備える。そして、使用者の運転設定により、必要に応じて送風部106A、106Bのいずれか、あるいは両方が動作するように構成されてもよい。
【0073】
この構成により、上部からの送風だけでなく、下部からの送風を行うことができるので
、衣類処理の効率を向上させることができる。また、生成部107A、107Bが異なる機能を有するように構成することも可能であり、これにより、異なる処理空気を同時に生成することができる。
【0074】
また、実施の形態1および2では、衣類処理装置1の送風部6は、収容空間5aを含めた閉空間内で処理空気を循環させる構成として説明した。しかしながら、この構成に限られず、例えば、吸込部12および吹出部13の一部が筐体2の外面に設けられ、いくらかの外気を導入して換気するように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、ハンガーに掛けられた被処理物を処理空気によりケアする衣類処理装置に適用可能である。衣類処理装置は、洗浄機能または乾燥機能を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 衣類処理装置
2 筐体
3 扉
4、4a、4b、4c 被処理物
5 収容部
5a 収容空間
5b 側壁
6 送風部
7 生成部
7a フィルター
7b 脱臭部
7c 除湿部
7d 加熱部
7e 加湿部
7f 液粒子生成部
7g イオン生成部
7h 芳香付加部
8 ハンガー棒
8a ハンガー支持部
9 ハンガー
10 送風機
11 送風路
12 吸込部
13 吹出部
14 機械室
15、15a、15b、15c、15d 送風チャンバー
16、16a、16b、16c、16d 吹出口
17 駆動部
17a モータ
17b ギアボックス
18、18a、18b 検知部
19、19a、19b、19c、19d 開閉部
20、20a、20b、20c、20d 個別駆動部
101 衣類処理装置
106A、106B 送風部
107A、107B 生成部
107Aa、107Ba フィルター
110A、110B 送風機
111A、111B 送風路
112A、112B 吸込部
113A、113B 吹出部