(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043974
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20230323BHJP
F24F 11/61 20180101ALI20230323BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20230323BHJP
F24F 1/0083 20190101ALI20230323BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20230323BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/61
F24F6/00 331
F24F1/0083
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151753
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 悠二
(72)【発明者】
【氏名】大西 優生
【テーマコード(参考)】
3L055
3L260
【Fターム(参考)】
3L055AA01
3L260AB02
3L260AB12
3L260BA05
3L260BA13
3L260CA32
3L260EA07
3L260FA13
3L260FB63
3L260HA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空気調和機の除湿効率を向上させる。
【解決手段】室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、吸収材を通過し、室外空気が流れる流路と、流路に室外空気を送るファンと、流路を流れる室外空気を、室外と室内機とに振り分けるダンパ装置と、流路における吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータと、室外空気の温度を検出する第1温度センサと、ファンとダンパ装置とヒータとを制御する制御部と、を備え、制御部は、ダンパ装置を制御して室外空気を室内機に振り分け、ファンを回転駆動し、吸収材に水分を捕集されて乾燥した室外空気を室内機に送出する吸着運転と、ダンパ装置を制御して室外空気を室外に振り分け、ファンを回転駆動し、ヒータを作動して、加熱された室外空気により吸収材を乾燥させる再生運転と、を実行し、室外空気の温度情報に基づいて、吸着運転から再生運転に切り替える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外空気が流れる流路と、
前記流路に室外空気を送るファンと、
前記流路を流れる室外空気を、室外と前記室内機とに振り分けるダンパ装置と、
前記流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータと、
前記流路における前記吸収材に対する下流側に配置され、室外空気の温度を検出する第1温度センサと、
前記ファンと前記ダンパ装置と前記ヒータとを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ダンパ装置を制御して室外空気を前記室内機に振り分け、前記ファンを回転駆動し、前記吸収材に水分を捕集されて乾燥した室外空気を前記室内機に送出する吸着運転と、
前記ダンパ装置を制御して室外空気を室外に振り分け、前記ファンを回転駆動し、前記ヒータを作動して、加熱された室外空気により前記吸収材を乾燥させる再生運転と、
を実行し、
前記第1温度センサにより検出された前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記吸着運転から前記再生運転に切り替える、
空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記再生運転から前記吸着運転に切り替える、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記再生運転中に、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報が第1の閾値を超えた場合に前記吸着運転に切り替え、
前記吸着運転中に、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報が第2の閾値を下回った場合に前記再生運転に切り替える、
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、前記吸着運転の運転時間が所定の時間を経過した場合に、前記再生運転に切り替える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報を取得し、前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報と、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報と、に基づいて、前記吸着運転と前記再生運転との切り替えを実行する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記吸収材の上流側に配置される第2温度センサ、をさらに備え、
前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報は、前記第2温度センサにより検出される、
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記制御部は、前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報と、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報とに基づいて前記吸収材の上流側と下流側の室外空気の温度差を算出し、前記温度差に基づいて、前記吸着運転と前記再生運転との切り替えを実行する、
請求項5または6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御部は、
前記再生運転中に、前記温度差が第3の閾値を超えた場合に前記吸着運転に切り替え、
前記吸着運転中に、前記温度差が第4の閾値を下回った場合に前記再生運転に切り替える、
請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記制御部は、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記ヒータを停止する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記吸収材を回転駆動するモータをさらに備え、
前記制御部は、前記モータを駆動して前記吸収材を回転させる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記制御部は、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記モータのトルクを制御する、
請求項10に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記吸収材は、高分子収着材である、
請求項1から11のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に記載するように、空気調和対象の室内に配置される室内機と、室外に配置される室外機とから構成される空気調和機が知られている。この空気調和機は、室外機から室内機に加湿された室外空気を供給できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気調和機の除湿効率を向上させたいというニーズがある。
【0005】
そこで、本開示は、除湿効率を向上することのできる空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外空気が流れる流路と、
前記流路に室外空気を送るファンと、
前記流路を流れる室外空気を、室外と前記室内機とに振り分けるダンパ装置と、
前記流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータと、
前記流路における前記吸収材に対する下流側に配置され、室外空気の温度を検出する第1温度センサと、
前記ファンと前記ダンパ装置と前記ヒータとを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ダンパ装置を制御して室外空気を前記室内機に振り分け、前記ファンを回転駆動し、前記吸収材に水分を捕集されて乾燥した室外空気を前記室内機に送出する吸着運転と、
前記ダンパ装置を制御して室外空気を室外に振り分け、前記ファンを回転駆動し、前記ヒータを作動して、加熱された室外空気により前記吸収材を乾燥させる再生運転と、
を実行し、
前記第1温度センサにより検出された前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記吸着運転から前記再生運転に切り替える、空気調和機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、除湿効率を向上することのできる空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図
【
図7】換気装置の第1の流路P1の一部を示す部分断面図
【
図8】除湿運転ONからOFFまでの全体の動作を示すフローチャート
【
図12】変形例の空気調和機の構成を示すブロック図
【
図13】変形例の換気装置の第1の流路P1の一部を示す部分断面図
【
図14】変形例の再生運転の動作を示すフローチャート
【
図15】変形例の吸着運転の動作を示すフローチャート
【
図16】変形例の除湿運転制御のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様の空気調和機は、室内機と室外機とを備える空気調和機であって、前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、前記吸収材を通過し、室外空気が流れる流路と、前記流路に室外空気を送るファンと、前記流路を流れる室外空気を、室外と前記室内機とに振り分けるダンパ装置と、前記流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータと、前記流路における前記吸収材に対する下流側に配置され、室外空気の温度を検出する第1温度センサと、前記ファンと前記ダンパ装置と前記ヒータとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ダンパ装置を制御して室外空気を前記室内機に振り分け、前記ファンを回転駆動し、前記吸収材に水分を捕集されて乾燥した室外空気を前記室内機に送出する吸着運転と、前記ダンパ装置を制御して室外空気を室外に振り分け、前記ファンを回転駆動し、前記ヒータを作動して、加熱された室外空気により前記吸収材を乾燥させる再生運転と、を実行し、前記第1温度センサにより検出された前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記吸着運転から前記再生運転に切り替える。
【0010】
このような一態様によれば、除湿効率を向上することができる。
【0011】
例えば、前記制御部は、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記再生運転から前記吸着運転に切り替えてもよい。
【0012】
例えば、前記制御部は、前記再生運転中に、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報が第1の閾値を超えた場合に前記吸着運転に切り替え、前記吸着運転中に、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報が第2の閾値を下回った場合に前記再生運転に切り替えてもよい。
【0013】
例えば、前記制御部は、前記吸着運転の運転時間が所定の時間を経過した場合に、前記再生運転に切り替えてもよい。
【0014】
例えば、前記制御部は、前記制御部は、前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報を取得し、前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報と、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報と、に基づいて、前記吸着運転と前記再生運転との切り替えを実行してもよい。
【0015】
例えば、前記吸収材の上流側に配置される第2温度センサ、をさらに備え、
前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報は、前記第2温度センサにより検出されてもよい。
【0016】
例えば、前記制御部は、前記吸収材の上流側の室外空気の温度情報と、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報とに基づいて前記吸収材の上流側と下流側の室外空気の温度差を算出し、前記温度差に基づいて、前記吸着運転と前記再生運転との切り替えを実行してもよい。
【0017】
例えば、前記制御部は、前記再生運転中に、前記温度差が第3の閾値を超えた場合に前記吸着運転に切り替え、前記吸着運転中に、前記温度差が第4の閾値を下回った場合に前記再生運転に切り替えてもよい。
【0018】
例えば、前記制御部は、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記ヒータを停止してもよい。
【0019】
例えば、前記吸収材を回転駆動するモータをさらに備え、前記制御部は、前記モータを駆動して前記吸収材を回転させてもよい。
【0020】
例えば、前記制御部は、前記吸収材の下流側の室外空気の温度情報に基づいて、前記モータのトルクを制御してもよい。
【0021】
例えば、前記吸収材は、高分子収着材であってもよい。
【0022】
以下、本開示の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和機10は、空調対象の室内Rinに配置される室内機20と、室外Routに配置される室外機30とを有する。
【0025】
室内機20には、室内空気A1と熱交換を行う室内熱交換器22と、室内空気A1を室内機20内に誘引するとともに、室内熱交換器22と熱交換した後の室内空気A1を室内Rinに吹き出すファン24とが設けられている。
【0026】
室外機30には、室外空気A2と熱交換を行う室外熱交換器32と、室外空気A2を室外機30内に誘引するとともに、室外熱交換器32と熱交換した後の室外空気A2を室外Routに吹き出すファン34とが設けられている。また、室外機30には、室内熱交換器22および室外熱交換器32と冷凍サイクルを実行する圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40が設けられている。
【0027】
室内熱交換器22、室外熱交換器32、圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40それぞれは、冷媒が流れる冷媒配管によって接続されている。冷房運転および除湿運転(弱冷房運転)の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室外熱交換器32、膨張弁38、室内熱交換器22を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。暖房運転の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室内熱交換器22、膨張弁38、室外熱交換器32を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。
【0028】
空気調和機10は、冷凍サイクルよる空調運転の他に、室外空気A3を室内Rinに導入する空調運転を実行する。そのために、空気調和機10は、換気装置50を有する。換気装置50は、室外機30に設けられている。
【0029】
【0030】
図2に示すように、換気装置50は、その内部に室外空気A3、A4が通過する吸収材52を備える。
【0031】
吸収材52は、空気が通過可能な部材であって、通過する空気から水分を捕集するまたは通過する空気に水分を与える部材である。本実施の形態の場合、吸収材52は、円盤状であって、その中心を通過する回転中心線C1を中心にして回転する。吸収材52は、モータ54によって回転駆動される。
【0032】
吸収材52は、空気中の水分を収着する高分子収着材が好ましい。高分子収着材は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体から構成される。高分子収着材は、シリカゲルやゼオライトなどの吸着材に比べて、同一体積当たり水分を吸収する量が多く、低い加熱温度で担持する水分を脱着することができ、そして水分を長時間担持することができる。
【0033】
換気装置50の内部には、吸収材52をそれぞれ通過し、室外空気A3、A4がそれぞれ流れる第1の流路P1と第2の流路P2とが設けられている。第1の流路P1と第2の流路P2は、異なる位置で吸収材52を通過する。なお、第1の流路P1が、本開示の「流路」に相当する。
【0034】
第1の流路P1は、室内機20内に向かう室外空気A3が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3は、換気導管56を介して、室内機20内に供給される。
【0035】
本実施の形態の場合、第1の流路P1は、吸収材52に対して上流側に複数の支流路P1a、P1bを含んでいる。なお、本明細書において、「上流」および「下流」は、空気の流れに対して使用される。
【0036】
複数の支流路P1a、P2aは、吸収材52に対して上流側で合流する。複数の支流路P1a、P1bそれぞれには、室外空気A3を加熱する第1および第2のヒータ58、60が設けられている。
【0037】
第1および第2のヒータ58、60は、同一の加熱能力を備えるヒータであってもよいし、異なる加熱能力を備えるヒータであってもよい。また、第1および第2のヒータ58、60は、電流が流れて温度が上昇すると電気抵抗が増加する、すなわち過剰な加熱温度の上昇を抑制することができるPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが好ましい。ニクロム線やカーボン繊維などを用いるヒータの場合、電流が流れ続けると加熱温度(表面温度)が上昇し続けるため、その温度をモニタリングする必要がある。PTCヒータの場合、ヒータ自体が加熱温度を一定の温度範囲内で調節するために、加熱温度をモニタリングする必要がなくなる。
【0038】
第1の流路P1には、室内機20内に向かう室外空気A3の流れを発生させる第1のファン62が設けられている。本実施の形態の場合、第1のファン62は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第1のファン62が作動することにより、室外空気A3が、室外Routから第1の流路P1内に流入し、吸収材52を通過する。なお、第1のファン62が本開示の「ファン」に相当する。
【0039】
また、第1の流路P1には、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)または室外Routに振り分けるダンパ装置64が設けられている。本実施の形態の場合、ダンパ装置64は、第1のファン62に対して下流側に配置されている。ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられた室外空気A3は、換気導管56を介して室内機20内に入り、ファン24によって室内Rinに吹き出される。
【0040】
第2の流路P2は、室外空気A4が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3と異なり、第2の流路P2を流れる室外空気A4は、室内機20に向かうことはない。第2の流路P2を流れる室外空気A4は、吸収材52を通過した後、室外Routに流出する。
【0041】
第1の流路P1には、室外空気A4の流れを発生させる第2のファン66が設けられている。本実施の形態の場合、第2のファン66は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第2のファン66が作動することにより、室外空気A4が、室外Routから第2の流路P2内に流入し、吸収材52を通過し、そして室外Routに流出する。
【0042】
換気装置50は、吸収材52、モータ54、第1のヒータ58、第2のヒータ60、第1のファン62、ダンパ装置64、および第2のファン66を選択的に使用して換気運転、加湿運転、および除湿運転を選択的に実行する。
【0043】
【0044】
換気運転は、室外空気A3をそのまま換気導管56を介して室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図3に示すように、換気運転中、モータ54は吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0045】
このような換気運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。吸収材52を通過した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような換気運転により、室外空気A3がそのまま室内Rinに供給され、室内Rinが換気される。
【0046】
【0047】
加湿運転は、室外空気A3を加湿し、その加湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図4に示すように、加湿運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、ON状態であって、それにより第2の流路P2内を室外空気A4が流れている。
【0048】
このような加湿運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、加熱されていない場合に比べて、吸収材52からより多量の水分を奪うことができる。それにより、室外空気A3が多量の水分を担持する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような加湿運転により、多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが加湿される。
【0049】
なお、第1のヒータ58と第2のヒータ60のいずれか一方をOFF状態にすることによって室外空気A3が吸収材52から奪う水分量を少なくする、すなわち室内Rinの加湿量が少ない弱加湿運転が実行されてもよい。
【0050】
加熱された室外空気A3に水分が奪われることにより、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥する。吸収材52が乾燥すると、第1の流路P1を流れる室外空気A3は吸収材52から水分を奪うことができない。その対処として、吸収材52は、第2の流路P2を流れる室外空気A4から水分を奪う。それにより、吸収材52の保水量がほぼ一定に維持され、加湿運転を継続することができる。
【0051】
【0052】
除湿運転は、室外空気A3を除湿し、その除湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図5に示すように、除湿運転では、吸着運転と再生運転とが交互に実行される。
【0053】
吸着運転は、室外空気A3に担持されている水分を吸収材52に吸着させ、それにより室外空気A3を除湿する運転である。
図5に示すように、吸着運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0054】
このような吸着運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。このとき、室外空気A3に担持されている水分が吸収材52に吸着する。それにより、室外空気A3の水分の担持量が減少する、すなわち室外空気A3が乾燥される。吸収材52を通過して乾燥した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような吸着運転により、乾燥した室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが除湿される。
【0055】
吸着運転が続くと、吸収材52の保水量が増加し続け、その結果、室外空気A3に担持されている水分に対する吸収材52の吸着能力が低下する。その吸着能力を回復するために吸収材52を再生させる再生運転が実行される。
【0056】
再生運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を、室内機20ではなく、室外Routに振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0057】
このような再生運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、吸収材52から多量の水分を奪う。それにより、室外空気A3に多量の水分が担持される。それとともに、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥してその吸着能力が再生する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室外Routに振り分けられ、室外Routに排出される。これにより、除湿運転における再生運転中に、吸収材52の再生によって多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給されることがない。
【0058】
このような吸着運転と再生運転を交互に行うことにより、吸収材52の吸着能力が維持され、除湿運転を継続的に実行することができる。
【0059】
上述の冷凍サイクルによる空調運転(冷房運転、除湿運転(弱冷房運転)、暖房運転)と換気装置50による空調運転(換気運転、加湿運転、除湿運転)は、別々に実行可能であり、また同時に実行することも可能である。例えば、冷凍サイクルによる除湿運転と換気装置50による除湿運転を同時に実行すれば、室温を一定に維持した状態で室内Rinを除湿することが可能である。
【0060】
空気調和機10が実行する空調運転は、ユーザによって選択される。例えば、
図1に示すリモートコントローラ70に対するユーザの選択操作により、その操作に対応する空調運転を空気調和機10は実行する。
【0061】
ここまでは、本実施の形態に係る空気調和機10の構成および動作について概略的に説明してきた。ここからは、本実施の形態に係る空気調和機10の更なる特徴について説明する。
【0062】
図6は、空気調和機を制御する構成を示すブロック図である。
図7は、換気装置の第1の流路P1の一部を示す部分断面図である。
【0063】
図6および
図7に示すように、本実施の形態では、空気調和機10は、吸収材52の下流側に配置され、室外空気A3の温度を検出する第1温度センサ82を備える。吸収材52の下流側とは、第1の流路P1において、吸収材52と第1のファン62との間を指す(
図5参照)。
【0064】
図6に示すように、空気調和機10の構成要素は、制御部90によって制御される。制御部90は、例えば、プログラムを記憶したメモリと、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサに対応する処理回路を備える。制御部90の機能は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。制御部90は、メモリに格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。本実施の形態の場合、制御部90は、モータ54、第1のヒータ58、第2のヒータ60、第1のファン62、ダンパ装置64、第2のファン66、および第1温度センサ82を制御する。
【0065】
<除湿運転のフロー>
図8は、除湿運転ONからOFFまでの全体の動作を示すフローチャートである。なお、
図8に示す処理は、制御部90によって空気調和機10の構成要素を制御することによって実施される。なお、
図8に示す処理は一例であって、本実施の形態は、
図8に示す処理に限定されない。例えば、
図8に示す除湿始動制御およびヒータ余熱排除制御の処理は、省略することも可能である。
【0066】
図8に示す処理は、例えば、
図1に示すリモートコントローラ70に対するユーザの選択操作により、除湿運転がONになったときに開始する。
【0067】
図8に示すように、ステップS10では、制御部90が、開始条件が成立しているか否かを判定する。制御部90が、開始条件が成立していると判定した場合、処理はステップS20に進む。制御部90が、開始条件が成立していないと判定した場合、処理はステップS10を繰り返す。
【0068】
開始条件は、除湿運転を開始するための条件であり、例えば、運転モード、運転周波数、室内湿度、室外温度、室内温度、または異常の有無、のうち、少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0069】
ステップS20では、制御部90が、除湿始動制御を実施する。除湿始動制御では、空気調和機10内の異物を除去するクリーン制御と、ヒータ冷却制御と、を実施する。
【0070】
除湿始動制御では、ステップS21で、制御部90がクリーン制御を実施する。クリーン制御とは、空気調和機10内の異物を除去する制御である。例えば、換気装置50は、室外に配置されている場合、換気装置50内に異物が蓄積することがある。クリーン制御を実施することによって、換気装置50内の異物を除去し、室内に異物が流入することを抑制することができる。異物としては、例えば、埃、花粉、アレル物質、カビ、細菌、ウィルス、PM2.5、NOx、SOx、有害物質、害虫などを含む。
【0071】
クリーン制御では、制御部90が、ダンパ装置64を閉じて、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室外Routに振り分け、第1のファン62を回転させる。このようにして、第1の流路P1から室外Routへ室外空気A3を排出する。これにより、第1のファン62から送風される室外空気A3によって、第1の流路P1および吸収材52に付着した埃や虫などの異物が室外Routに排出される。
【0072】
次に、ステップS22で、制御部90がヒータ冷却制御を実施する。ヒータ冷却制御は、ヒータ58、60をOFFにして、ヒータを冷却する制御である。
【0073】
ヒータ冷却制御では、ダンパ装置64が閉じた状態で第1のファン62を回転させたまま、制御部90がヒータ58、60をOFFにして、ヒータ58、60による加熱を停止する。第1のファン62から送風される室外空気A3により、ヒータ58、60が冷却される。
【0074】
除湿始動制御が終わると、ステップS30で、制御部90が除湿運転制御を実施する。本実施の形態では、除湿運転制御では、再生運転と吸着運転とが交互に実施される。
【0075】
図9~
図11を参照して、除湿運転制御について説明する。
図9は、再生運転の動作を示すフローチャートである。
図10は、吸着運転の動作を示すフローチャートである。
図11は、除湿運転制御のタイミングチャートである。
図11(a)は、吸収材の下流側の室外空気の温度情報を示す。
図11(b)は、第1のファンの回転数の制御を示す。
図11(c)は、ダンパ装置の開閉制御を示す。
図11(d)は、吸収材を回転駆動するモータのON/OFF制御を示す。
図11(e)は、ヒータのON/OFF制御を示す。
【0076】
図8のステップS31で、制御部90は、まず再生運転を実施する。再生運転では、ダンパ装置64を制御して室外空気A3を室外Routに振り分け、第1のファン62を回転駆動し、ヒータ58、60を作動して、加熱された室外空気A3により吸収材52を乾燥させる。除湿運転制御の最初に再生運転を実施することで、吸収材52を乾燥させることができる。
【0077】
図9を参照して、再生運転について説明する。再生運転が開始されると、ステップS311で、制御部90は、ダンパ「閉」制御を実施する。制御部90は、ダンパ装置64を閉じて、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室外Routに振り分ける。
【0078】
ステップS312で、制御部90は、ヒータ58、60をONにする。制御部90は、第1の流路P1における吸収材52の上流側で室外空気A3を加熱する第1のヒータ58および第2のヒータ60をONにし、第1の流路P1を流れる室外空気A3を加熱する。
【0079】
ステップS313で、制御部90は、第1のファン62を回転させる。例えば、ヒータ58、60がPTCヒータである場合、
図11に示すように、再生運転の開始時には、第1のファンの回転速度を減速させ、その後所定の回転数となるよう、制御部90は第1のファン62の回転数を制御してもよい。再生運転の開始時に第1のファンの回転速度を減速させることにより、ダンパの開閉の制御に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0080】
さらに、ステップS314で、制御部90は、モータ54をONにして吸収材52を回転させる。
【0081】
ステップS315で、制御部90は、第1温度センサ82により検出された、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報を取得する。なお、制御部90は、再生運転が終了するまで継続して温度情報を取得する。
【0082】
ステップS316で、制御部90は、再生運転を終了するか否かを判定する。制御部90が再生運転を終了すると判定した場合、処理は
図8のステップS32に進む。すなわち、制御部90は、再生運転を終了すると判定した場合、再生運転から吸着運転に切り替える。制御部90が再生運転を終了しないと判定した場合、処理はステップS316を繰り返す。
【0083】
例えば、制御部90は、ステップS315で取得した吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報に基づいて、再生運転を終了するか否かを判定する。具体的には、
図11に示すように、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が、所定の閾値(第1の閾値)L1を超えた場合に、再生運転を終了して吸着運転に切り替えると判定する。
【0084】
ヒータ58、60により加熱された室外空気A3が吸収材52を通過することで、吸収材52に含まれる水分が室外空気A3に奪われる。このとき、吸収材52を通過して水分を奪う際の気化熱により、ヒータ58、60により加熱された室外空気A3の温度が低下する。再生運転を続けることで吸収材52の乾燥が進むと、室外空気A3が吸収材52から奪う水分量が減少するため、ヒータ58、60により加熱された室外空気A3の温度はそれほど低下せずに吸収材52を通過する。したがって、吸収材52の乾燥が進むと、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が徐々に上昇する。吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が所定の第1の閾値L1を超えた場合、吸収材52が乾燥して室外空気A3によりこれ以上水分を奪うことができないため、制御部90は再生運転を終了して吸着運転に切り替える。
【0085】
このように、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報に基づいて、再生運転から吸着運転に切り替えることで、吸収材52の過乾燥を防ぎ、無駄な電力の投入を抑制することができる。
【0086】
または、制御部90は、再生運転の運転時間が所定の時間を経過した場合に、再生運転を終了して吸着運転に切り替えると判定してもよい。
【0087】
図8に戻って、再生運転が終わると、ステップS32で、制御部90が吸着運転を実施する。
【0088】
図10を参照して、吸着運転について説明する。吸着運転では、ダンパ装置64を制御して室外空気A3を室内Rinに振り分け、第1のファン62を回転駆動し、吸収材52に水分を捕集されて乾燥した室外空気A3を室内機20に送る。吸着運転を開始すると、ステップS321で、制御部90は、ヒータ58、60をOFFにする。
【0089】
次に、ステップS322で、制御部90は、ダンパ「開」制御を実施する。制御部90は、ダンパ装置64を開いて、第1の流路P1を流れる室外空気A3を、換気導管56に振り分ける。換気導管56は、第1の流路P1と室内機20とをダンパ装置64を介して接続している。したがって、制御部90は、ダンパ装置64を制御して、室外空気A3を換気導管56に振り分けることができる。
【0090】
ステップS323で、制御部90は、第1のファン62を回転させる。例えば、ヒータ58、60がPTCヒータである場合、
図11に示すように、吸着運転の開始時には、第1のファンの回転速度を減速させ、その後所定の回転数となるよう、制御部90は第1のファン62の回転数を制御してもよい。
【0091】
さらに、ステップS324で、制御部90は、モータ54をONにして吸収材52を回転させる。
【0092】
ステップS325で、制御部90は、第1温度センサ82により検出された、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報を取得する。なお、制御部90は、吸着運転が終了するまで継続して温度情報を取得する。
【0093】
ステップS326で、制御部90は、吸着運転を終了するか否かを判定する。制御部90が吸着運転を終了すると判定した場合、制御部90は、吸着運転を終了して、
図8のステップS31の再生運転を再び実施する。すなわち、制御部90は、吸着運転を終了すると判定した場合、吸着運転から再生運転に切り替える。制御部90が吸着運転を終了しないと判定した場合、処理はステップS326を繰り返す。
【0094】
例えば、制御部90は、ステップS325で取得した吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報に基づいて、吸着運転を終了するか否かを判定する。具体的には、
図11に示すように、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が、所定の閾値(第2の閾値)L2を下回った場合に、吸着運転を終了して再生運転に切り替えると判定する。
【0095】
または、制御部90は、吸着運転の運転時間が所定の時間を経過した場合に、吸着運転を終了して再生運転に切り替えると判定してもよい。
【0096】
室外空気A3が吸収材52を通過すると、室外空気A3に含まれる水分が吸収材52に奪われる。このとき、吸着熱により、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が高くなる。室外空気A3の水分を奪うことで吸収材52の保水量が増加すると、吸収材52の吸着能力が低下して、吸着熱による吸収材の下流側の室外空気A3の温度上昇が起こりにくくなる。このため、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が第2の閾値L2を下回った場合、吸収材52保水量が飽和して吸収材52の吸着能力が低下しているため、制御部90は吸着運転から再生運転に切り替える。
【0097】
このように、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報に基づいて、吸着運転から再生運転に切り替えることで、室内Rinへの湿度戻りを抑制することができる。
【0098】
図11に示すように、制御部90は、除湿運転制御を実施している間、再生運転と吸着運転とを交互に実施する。このとき、吸着運転の運転時間t21、t22は、再生運転の運転時間t11、t12、t13よりも短い。
【0099】
これは、吸着運転により吸収材52の保水量が飽和するまでの時間の方が、再生運転による吸収材52が乾燥するまでの時間よりも長いためである。再生運転では、ヒータ58、60を使用して吸収材52を乾燥させるため、吸着運転よりも短い時間で吸収材52を乾燥させることができる。このため、吸着運転の運転時間t21~t22を再生運転の運転時間t11~t13よりも長くすることで、室内Rinの除湿効率を向上させることができる。例えば、吸着運転の運転時間t21~t22を、再生運転の運転時間t11~t13の2倍以上6倍以下であるとよい。より好ましくは、吸着運転の運転時間t21~t22は、再生運転の運転時間t11~t13の3倍程度であるとよい。
【0100】
再生運転および吸着運転の運転時間がそれぞれ所定の時間を経過した場合に、運転を切り替えることにより、吸着運転の運転時間t21~t22を再生運転の運転時間t11~t13より長くなるよう制御することができる。
【0101】
ステップS40では、制御部90が、除湿運転制御を終了するか否かを判定する。制御部90が除湿運転制御を終了すると判定した場合、処理はステップS50に進む。制御部90が除湿運転制御を終了しないと判定した場合、処理はステップS30を繰り返す。
【0102】
例えば、除湿運転制御は、例えば、
図1に示すリモートコントローラ70に対するユーザの選択操作により、除湿運転がOFFになったときに終了する。あるいは、除湿運転制御の終了は、開始条件と同様の条件に基づいて判定されてもよい。
【0103】
ステップS50では、制御部90が、ヒータ余熱排除制御を実施する。ヒータ余熱排除制御は、ヒータ58、60の余熱を排除する制御である。制御部90は、ダンパ装置64を閉じて、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室外Routに振り分け、第1のファン62を回転させる。その後、制御部90がヒータ58、60をOFFにして、ヒータ58、60による加熱を停止する。第1のファン62から送風される室外空気A3により、ヒータ58、60が冷却される。
【0104】
以上のように、除湿運転がONになってからOFFになるまでに、制御部90がステップS10~S50を実施する。
【0105】
なお、
図8に示す処理は例示であって、除湿運転ONからOFFまでの全体の動作がこれに限定されるものではない。例えば、
図8に示す処理は、追加のステップをさらに含んでいてもよいし、ステップが削除、統合および/または分割されてもよい。
【0106】
また、本実施の形態では、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報に基づいて、再生運転と吸着運転との切り替えを実行する例について説明したが、これに限定されない。制御部90は、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度情報に基づいて、ヒータ58、60を停止する制御をしてもよい。例えば、制御部90は、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が第1の閾値L1を超えた場合に、ヒータ58、60をオフにしてもよい。このようにすることで、吸収材52の過乾燥を防ぐことができる。
【0107】
または、制御部90は、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が第1の閾値L1を超えた場合に、モータ54のトルクを制御してもよい。例えば、予期せずに吸収材52の回転が止まってしまった場合、吸収材52が部分的に過乾燥となってしまうことがある。このとき、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度は上昇し続ける。このとき、吸収材52の回転が何らかの原因で止まってしまった場合に、モータ54のトルクを増大させることで吸収材52を強制的に回転させて過乾燥を防ぐことができる。例えば、モータ54がステッピングモータである場合、パルスレート(PPS)を減少させることでトルクを増大させることができる。
【0108】
また、本実施の形態では、吸着運転時には、第1のファン62が所定の回転数で回転するよう制御する例について説明したが、これに限定されない。例えば、室内Rinの温度に基づいて、第1のファン62の回転数を制御してもよい。吸収材52を通過した室外空気A3は、吸着熱により温度が上昇している。このため、除湿運転により室内Rinの温度が下がりすぎている場合に、第1のファン62の回転数を上げて、より多くの室外空気A3を室内Rinに送ることで、室内Rinの顕熱負荷を調整し、適切な室温を維持することができる。
【0109】
また、吸着運転時に、ヒータ58、60をONにすることで、室外空気A3の温度を上昇させて、より顕熱負荷の高い室外空気A3を室内Rinに送ることもできる。このように、第1のファン62とヒータ58、60とを組み合わせて、室内Rinの顕熱負荷を調整することができる。
【0110】
次に、変形例の除湿運転制御について説明する。
図12は、変形例の空気調和機の構成を示すブロック図である。
図13は、変形例の換気装置の第1の流路P1の一部を示す部分断面図である。
【0111】
図12および
図13に示すように、変形例において、空気調和機10は、吸収材52の上流側に配置された第2温度センサ84をさらに備える。吸収材52の上流側とは、第1の流路P1において、ヒータ58、60よりも上流側を指す。すなわち、第2温度センサ84は、ヒータ58、60で加熱される前の室外空気A3の温度情報を取得する。
【0112】
制御部90は、第1温度センサ82で取得した吸収材52の下流側の温度情報と、第2温度センサ84で取得した吸収材52の上流側の温度情報と、に基づいて、吸着運転と再生運転との切り替えを実行する。第2温度センサ84は、吸収材52を通過する前の室外空気A3の温度を検出する。すなわち、第2温度センサ84により、室外Routの気温を検出することができる。
【0113】
図14は、変形例の再生運転の動作を示すフローチャートである。
図15は、変形例の吸着運転の動作を示すフローチャートである。
図16は、変形例の除湿運転制御のタイミングチャートである。
図16(a)は、吸収材の下流側の室外空気と、吸収材の上流側の室外空気と、の温度差を示す。
図16(b)は、第1のファンの回転数の制御を示す。
図16(c)は、ダンパ装置の開閉制御を示す。
図16(d)は、吸収材を回転駆動するモータのON/OFF制御を示す。
図16(e)は、ヒータのON/OFF制御を示す。
【0114】
図14に示すように、変形例の再生運転では、制御部90が、吸収材52の上流側の温度情報を取得するステップS315Aを含む点で、上述した実施の形態と異なる。この場合、ステップS316の再生運転を終了するか否かの判定は、吸収材52の上流側の温度情報と下流側の温度情報と、に基づいて実行される。具体的には、制御部90は、第2温度センサ84により取得した吸収材52の上流側の室外空気A3の温度と、第1温度センサ82により取得した吸収材52の下流側の室外空気A3の温度と、の差分である温度差を算出する。算出した温度差に基づいて、制御部90は、再生運転を終了するか否かを判定する。例えば、
図16に示すように、制御部90は、温度差が所定の閾値(第3の閾値)L3を超えた場合に、再生運転を終了し、吸着運転に切り替えると判定する。
【0115】
再生運転により吸収材52が乾燥してくると、吸収材52を通過する際の気化熱による室外空気A3の温度の低下が起こりにくくなる。再生運転を続けると、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が徐々に上昇する。一方で、吸収材52の上流側の室外空気A3の温度は、室外Routの気温と略等しく、大きな変化は起こりにくい。このため、ヒータ58、60で加熱され吸収材52を通過した後の室外空気A3の温度(下流側の室外空気A3の温度)は、上流側の室外空気A3の温度よりも高くなる。したがって、吸収材52の乾燥が進むにつれて、吸収材52の上流側の室外空気A3の温度と吸収材52の下流側の室外空気A3の温度との温度差が大きくなる。このため、温度差が第3の閾値を超えた場合に、制御部90は再生運転を終了すると判定する。
【0116】
吸収材52の上流側と下流側との温度差に基づいて、再生運転から吸湿運転への切り替えを行うことで、吸収材52の過乾燥を防いで、無駄な電力投入を防止することができる。
【0117】
また、
図15に示すように、変形例の吸着運転では、制御部90が、吸収材52の上流側の温度情報を取得するステップS325Aを含む点で、上述した実施の形態と異なる。この場合、ステップS326の吸着運転を終了するか否かの判定は、吸収材52の上流側の温度情報と下流側の温度情報と、に基づいて実行される。具体的には、制御部90は、第2温度センサ84により取得した吸収材52の上流側の室外空気A3の温度と、第1温度センサ82により取得した吸収材52の下流側の室外空気A3温度と、の差分である温度差を算出する。算出した温度差に基づいて、制御部90は、吸着運転を終了するか否かを判定する。例えば、
図16に示すように、制御部90は、温度差が所定の閾値(第4の閾値)L4を下回った場合に、吸着運転を終了し、再生運転に切り替えると判定する。
【0118】
吸着運転により吸収材52の保水量が増えてくると、吸収材52を通過する際の吸着熱による室外空気A3の温度の上昇が起こりにくくなる。吸着運転を続けると、吸収材52の下流側の室外空気A3の温度が徐々に低下する。一方で、吸収材52の上流側の室外空気A3の温度は、室外Routの気温と略等しく、大きな変化は起こりにくい。したがって、吸収材52の保水量の増加に伴い、吸収材52の上流側の室外空気A3の温度と吸収材52の下流側の室外空気A3の温度との温度差が小さくなる。このため、温度差が第4の閾値L4を超えた場合に、制御部90は吸着運転を終了すると判定する。
【0119】
吸収材52の上流側と下流側との温度差に基づいて、吸着運転から再生運転への切り替えを行うことで、吸収材52の保水量が飽和する前に吸着運転を終了させ、室内Rinへの湿度戻りを防ぐことができる。
【0120】
なお、本実施の形態では、吸収材52の上流側の室外空気A3の温度情報を、第2温度センサにより取得する例について説明したが、これに限定されない。吸収材52の上流側の室外空気A3の温度情報は、例えば、室外Routの気温情報等、空気調和機10の外部の情報を取得してもよい。
【0121】
なお、本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示は、室内機と室外機を備える空気調和機であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 空気調和機
20 室内機
30 室外機
40 四方弁
50 換気装置
52 吸収材
54 モータ
56 換気導管
58 第1のヒータ
60 第2のヒータ
62 ファン(第1のファン)
64 ダンパ装置
66 第2のファン
70 リモートコントローラ
82 第1温度センサ
84 第2温度センサ
90 制御部
P1 流路(第1の流路)
P2 第2の流路