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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043988
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】水処理システムおよび水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20230323BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D61/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151777
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】今田 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 健二
(72)【発明者】
【氏名】山崎 厚
(72)【発明者】
【氏名】古藤 慶彦
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA01
4D006HA61
4D006JA57Z
4D006KA01
4D006KA03
4D006KA16
4D006KA52
4D006KA53
4D006KA54
4D006KA55
4D006KA56
4D006KA57
4D006KB11
4D006KB13
4D006KB17
4D006KD17
4D006KE02P
4D006KE04P
4D006KE04Q
4D006KE15P
4D006KE19P
4D006MA01
4D006MA03
4D006PA01
4D006PB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】想定した量、品質の濃縮水および脱イオン水を安定的に得ることができる水処理システムおよび水処理方法を提供する。
【解決手段】導入ユニットから送出された被処理水aを、濃縮水と脱イオン水とに分離する脱塩用分離ユニットと、濃縮水を、膜によって濃縮し、さらに高濃縮度の濃縮水と、膜を透過した透過水とに分離する、直列配置された複数連の濃縮用膜分離ユニットと、脱塩用分離ユニットから最初連の濃縮用膜分離ユニットへ導入される濃縮水の第1流量を測定する第1測定装置と、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットから、導入ユニットへ導入される循環水の第2流量を測定する第2測定装置と、第1流量と第2流量とに基づいて、導入ユニットから分離ユニットへ送出される被処理水の送出流量、最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットから排出される濃縮水の排出流量等を調整する制御装置とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を送出する導入ユニットと、
前記導入ユニットから送出された前記被処理水を、濃縮水と、脱イオン水とに分離する脱塩用分離ユニットと、
前記濃縮水を、膜によって濃縮することによって、前記濃縮水よりもさらに濃縮度の高い濃縮水と、前記膜を透過した透過水とに分離する、直列配置された複数連の濃縮用膜分離ユニットであって、
前記複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットは、前記脱塩用分離ユニットによって分離された濃縮水を濃縮し、
前記複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニット以外の濃縮用膜分離ユニットは、直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水を濃縮し、この濃縮水から分離された透過水を、前記直前連、または前記直前連よりも前記最初連側に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流させるように、前記直前連、または前記直前連よりも前記最初連側に配置された濃縮用膜分離ユニットへ供給し、
前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットは、直後連、または前記直後連よりも最終連側に配置された濃縮用膜分離ユニットから導入された透過水と合流された、前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットの膜を透過した透過水を、循環水として前記導入ユニットへ供給する、
前記複数連の濃縮用膜分離ユニットと、
前記脱塩用分離ユニットから前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットへ導入される濃縮水の流量を測定する第1測定装置と、
前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットから、前記導入ユニットへ導入される前記循環水の流量を測定する第2測定装置と、
前記第1測定装置によって測定された流量と、前記第2測定装置によって測定された流量とに基づいて、前記導入ユニットから前記脱塩用分離ユニットへ送出される被処理水の送出流量と、前記複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水が、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットから排出される排出流量と、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水のうち、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流される濃縮水の流量である第1の合流流量とのうちの少なくとも何れかを調整する制御装置とを備える、水処理システム。
【請求項2】
前記導入ユニットは、前記被処理水を昇圧して送出するポンプを備え、
前記制御装置は、前記送出流量を調整する場合、前記ポンプを制御する、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記排出流量を調整する流量調整装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記排出流量を調整する場合、前記流量調整装置を制御する、請求項1または2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水の一部を、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流させるために分岐された流路に配置された減圧装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1の合流流量を調整する場合、前記減圧装置を制御する、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記制御装置が、前記第1測定装置によって測定された流量と、前記第2測定装置によって測定された流量とに基づいて前記調整することは、前記第1測定装置によって測定された流量に対する、前記第2測定装置によって測定された流量の比が、所定値になるように調整することである、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記所定値は、0.4以上0.9以下である、請求項5に記載の水処理システム。
【請求項7】
前記複数連の濃縮用膜分離ユニットのおのおのは、互いに並列に配置された1つまたは複数の膜モジュールを備え、
前記膜モジュールはおのおの、前記膜を備え、
前記濃縮用膜分離ユニットが備える前記膜モジュールの数は、直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットが備える前記膜モジュールの数より多くなることはない、請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項8】
前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水を加熱する熱処理ユニットをさらに備える、請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項9】
前記導入ユニットへ導入される前の前記被処理水に対して、固形分除去、有機成分除去、軟水化、脱気のうちの少なくとも何れかを含む前処理を行う前処理ユニットをさらに備える、請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項10】
前記前処理ユニットによって前処理された前記被処理水を、前記導入ユニットへ導入される前に濃縮する濃縮部をさらに備える、請求項9に記載の水処理システム。
【請求項11】
前記濃縮部によって濃縮された前記被処理水を貯留するタンクと、
貯水タンクに貯留された前記被処理水を、前記導入ユニットへ送出する送出部とをさらに備える、請求項10に記載の水処理システム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記第1の合流流量の代わりに、前記最終連の直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水のうち、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流される濃縮水の流量である第2の合流流量を調整する、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項13】
前記最終連の直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水の一部を、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流させるために分岐された流路に配置された減圧装置をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2の合流流量を調整する場合、前記減圧装置を制御する、請求項12に記載の水処理システム。
【請求項14】
前記循環水中に、平均径が1000(nm)以下のファインバブルが、1×10(個/mL)以上の濃度で含まれる、請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項15】
前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水のpHと、前記循環水のpHとは、6以下である、請求項1乃至14のうちいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項16】
被処理水を導入ユニットへ送出する第1ステップと、
前記導入ユニットから送出された前記被処理水を、脱塩用分離ユニットによって、濃縮水と、脱イオン水とに分離する第2ステップと、
前記濃縮水を、直列配置された複数連の濃縮用膜分離ユニットのおのおのにおいて、膜によって濃縮することによって、前記濃縮水よりもさらに濃縮度の高い濃縮水と、前記膜を透過した透過水とに分離する第3ステップであって、
前記複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットが、前記脱塩用分離ユニットによって分離された濃縮水を濃縮する第1サブステップと、
前記複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニット以外の濃縮用膜分離ユニットが、直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水を濃縮し、この濃縮水から分離された透過水を、前記直前連、または前記直前連よりも前記最初連側に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流させるように、前記直前連、または前記直前連よりも前記最初連側に配置された濃縮用膜分離ユニットへ供給する第2サブステップと、
前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットが、直後連、または前記直後連よりも最終連側に配置された濃縮用膜分離ユニットから送液された透過水と合流された、前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットの膜による分離によって得られた透過水を、循環水として前記導入ユニットへ供給する第3サブステップとを備える、前記第3ステップと、
前記脱塩用分離ユニットから前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットへ導入される濃縮水の流量を測定する第4ステップと、
前記最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットから、前記導入ユニットへ導入される前記循環水の流量を測定する第5ステップと、
前記第4ステップで測定された流量と、前記第5ステップで測定された流量とに基づいて、前記導入ユニットから前記脱塩用分離ユニットへ送出される被処理水の送出流量と、前記複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水が、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットから排出される排出流量と、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水のうち、前記最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流される濃縮水の流量である合流水量とのうちの少なくとも何れかを調整する第6ステップとを備える、水処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水処理システムおよび水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健全な水循環を実現するための法規制が強化されている。ZLD(Zero Liquid Discharge)とは、水質汚染リスクの低下、廃水の再生、および再利用の視点から、工場内で水を再生して利用すると共に、さらに工場から外部に出される排水をゼロにまで低下することで水環境保全を図ることである。排水をゼロまで低下するためには、最終的に蒸発法で固形分と脱イオン水とに分離する必要がある。
【0003】
蒸発法は、廃水を加熱して水蒸気を発生させて、この水蒸気を冷却して脱イオン水を得て、固形分と脱イオン水とに分離する方法である。この方法は、2段フラッシュ蒸発法、多段フラッシュ蒸発法等が実用化され、非常に純度の高い脱イオン水が得られるという利点を有する。しかしながら、熱源を必要とするためにエネルギー効率が低いという欠点がある。そのため、エネルギー消費量低下の観点から、廃水の濃縮度を可能な限り高めることによって、蒸発法で処理する廃水量を極力低下することが求められている。
【0004】
このような要望から、蒸発法の前段階で、固形分を含有(または溶解)した濃縮廃水から真水を分離する逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜(以下、「RO膜」と称する場合がある)が用いられている。RO膜を利用した脱塩・濃縮システムは、被処理水をRO膜に加圧導入し、RO膜を透過した水である脱イオン水と、RO膜を透過せずに濃縮された濃縮水とを得る基本プロセスから構成されている。脱イオン水は再利用できるので、脱イオン水量は多く、濃縮水量は少ない方がよい。
【0005】
RO膜は、イオン性物質、微粒子、有機物、一部の溶存気体等、ほぼ全てに対する除去効果があり、さらに目詰まりやトラブルが発生しない限り、再生等の不連続の工程の実施が不要であるため、広く用いられている。また、濃縮水量を低下するために、RO膜を連結して多段式のRO膜を用いている。
【0006】
しかしながら多段式RO膜法は、被処理水の水質の変動および、硬度スケールなどによる膜ファウリングおよび、配管や流量調整弁などの目詰まりによって、廃水を安定して減容化し、かつ、水をリサイクルすることが困難となる。これによって、想定された濃縮度まで濃縮されていない濃縮水を蒸発処理することになり、結果として、蒸発のために要する熱エネルギーが増加し、全体的な処理コストの増加を招く。また、脱イオン水量が少なくなり、再利用する水の量が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-069198号公報
【特許文献2】特開2019-188330号公報
【特許文献3】特開2021-016823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、想定した量および品質の濃縮水および脱イオン水を、安定的に得ることができる水処理システムおよび水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の水処理システムは、導入ユニットと、脱塩用分離ユニットと、直列配置された複数連の濃縮用膜分離ユニットと、第1測定装置と、第2測定装置と、制御装置とを備える。導入ユニットは、被処理水を送出する。脱塩用分離ユニットは、導入ユニットから送出された被処理水を、濃縮水と、脱イオン水とに分離する。直列配置された複数連の濃縮用膜分離ユニットは、濃縮水を、膜によって濃縮することによって、濃縮水よりもさらに濃縮度の高い濃縮水と、膜を透過した透過水とに分離し、複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットは、脱塩用分離ユニットによって分離された濃縮水を濃縮し、複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニット以外の濃縮用膜分離ユニットは、直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水を濃縮し、この濃縮水から分離された透過水を、直前連、または直前連よりも最初連側に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流させるように、直前連、または直前連よりも最初連側に配置された濃縮用膜分離ユニットへ供給し、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットは、直後連、または直後連よりも最終連側に配置された濃縮用膜分離ユニットから導入された透過水と合流された、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットの膜を透過した透過水を、循環水として導入ユニットへ供給する。第1測定装置は、脱塩用分離ユニットから最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットへ導入される濃縮水の流量を測定する。第2測定装置は、最初連に配置された濃縮用膜分離ユニットから、導入ユニットへ導入される循環水の流量を測定する。制御装置は、第1測定装置によって測定された流量と、第2測定装置によって測定された流量とに基づいて、導入ユニットから脱塩用分離ユニットへ送出される被処理水の送出流量と、複数連の濃縮用膜分離ユニットのうち、最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水が、最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットから排出される排出流量と、最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットによって濃縮された濃縮水のうち、最終連に配置された濃縮用膜分離ユニットで分離された透過水と合流される濃縮水の流量である第1の合流流量とのうちの少なくとも何れかを調整する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図2図2は、導入ユニットの詳細構成例を示す概念図である。
図3図3は、第1の実施形態の変形例1の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図4図4は、第1の実施形態の変形例2の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図5図5は、第2の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図5A図5Aは、第2の実施形態の変形例の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図6図6は、第3の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図7図7は、第4の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図8図8は、第5の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図9図9は、第6の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図10図10は、第6の実施形態の変形例1の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図11図11は、第7の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図12図12は、第8の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
図13図13は、第9の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の各実施形態の水処理方法が適用された水処理システムを、図面を参照して説明する。
【0012】
なお、以下のすべての実施形態の説明において、すでに説明されている部位と同一部位については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0015】
水処理システム1は、導入ユニット10と、脱塩用膜分離ユニット20と、減圧ユニット30と、濃縮用膜分離ユニット1003と、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004と、濃縮水流量測定装置1006と、循環水流量測定装置1008と、濃縮水流量調整装置1010と、制御装置1012とを備えている。
【0016】
先ず、導入ユニット10について説明する。
【0017】
図2は、導入ユニット10の詳細構成例を示す概念図である。
【0018】
導入ユニット10は、液混和槽11と、流路211から導入される被処理水aを液混和槽11へ導入するポンプ14と、液混和槽11に貯液された液体(前述した被処理水aと、後述する循環水dとの混合水)を昇圧して、流路201を介して脱塩用膜分離ユニット20へ送出する昇圧ポンプ15とを備えている。
【0019】
液混和槽11は、貯液している液体の水質を計測する水質計16と、貯液している液体を撹拌する撹拌機17と、貯液している液体を循環させるための撹拌ライン1001とを備えている。また、撹拌ライン1001には、液混和槽11に貯液されている液体を撹拌ライン1001に取り込むための液混和槽撹拌ポンプ1002が配置されている。
【0020】
液混和槽11には、濃縮用膜分離ユニット1003からの循環水dの戻りラインである流路204も接続されている。これによって、液混和槽11には、流路211から導入された被処理水aと、流路204から導入された循環水dとの混合水が貯液される。液混和槽11にはさらに、薬液が導入される薬液供給ライン12と、ガスが導入されるガス供給ライン13とが接続されている。
【0021】
水質計16は、液混和槽11に貯液された混合水のpHを測定するpH計を含む。また、水質計16は液混和槽11に貯液された混合水の水位を測定する水位計、導電率を測定する導電率計、酸化還元電位を測定するORP計、ゼータ電位を測定するゼータ電位計、溶存酸素量を測定する溶存酸素計等を含んでいてもよい。
【0022】
薬液供給ライン12を介して液混和槽11に導入される薬液は、例えば、pH調整剤、殺菌剤、スケール防止剤、バイオファウリング防止剤および膜洗浄剤等を含む。薬液は、例えば水質計16により計測される水質、および脱塩用膜分離ユニット20や濃縮用膜分離ユニット1003で用いられるRO膜の材質、性能等により使い分けられる。薬液はさらに、水処理システム1の定常運転時、およびメンテナンス時等に応じて使い分けることもできる。
【0023】
pH調整剤は、例えば、苛性ソーダ、水酸化カリウム等のアルカリ剤を含む。これによって、導入ユニット10は、濃縮用膜分離ユニット1003から流路204を介して液混和槽11に循環される循環水dのpHと、濃縮用膜分離ユニット1003から流路1013を介して濃縮用膜分離ユニット1003外に排出される濃縮水cのpHとが、ともに2以上6以下となるように、液混和槽11における混合水のpHを調整する。
【0024】
ガス供給ライン13から液混和槽11に導入されるガスは、例えば空気または二酸化炭素である。
【0025】
被処理水aの溶存酸素量は、例えば、2mg/L以上のように、大きくすることが好ましい。このため、撹拌機17によって、液混和槽11内の混合水を撹拌したり、および/または、液混和槽撹拌ポンプ1002によって、液混和槽11内の混合水の一部を、撹拌ライン1001内に取り込んで、液混和槽11に戻すことを繰り返すことによって、液混和槽11内の混合水を撹拌する。
【0026】
被処理水a、循環水d、および流路1013を通して濃縮用膜分離ユニット1003から排出される濃縮水c中には、平均径が1000(nm)以下のファインバブルが、1.0×10(個/mL)以上の濃度で含まれていることが望ましい。そのため、液混和槽撹拌ポンプ1002には、例えばファインバブル発生ポンプなどを用いることができる。
【0027】
昇圧ポンプ15は、液混和槽11内の混合水のpH等の水質が、脱塩用膜分離ユニット20に送出されるのに適切な値になったことが水質計16によって検出された場合に起動され、制御装置1012によって制御された濃縮用膜分離ユニット導入圧力および流量になるように、液混和槽11内の混合水を昇圧して、脱塩用膜分離ユニット20に送出する。
【0028】
なお、昇圧ポンプ15は、インバータ15aが付設されている。制御装置1012は、インバータ15aに入力信号を送り、インバータ15aは、入力信号に対応する駆動周波数を昇圧ポンプ15に出力する。昇圧ポンプ15は、この駆動周波数に応じた回転速度で回転し、混合水を脱塩用膜分離ユニット20に吐出する。
【0029】
昇圧する圧力は、例えば、少なくとも混合水の浸透圧よりも高い圧力、かつ濃縮用膜分離ユニット1003からの循環水dの返流が可能な圧力よりも高い圧力であり、下限値を約4MPaとする。上限値は、後述する脱塩用膜分離ユニット20のRO膜モジュール21の最大耐圧である12MPaとする。
【0030】
次に、脱塩用膜分離ユニット20について説明する。
【0031】
図1に戻って示すように、脱塩用膜分離ユニット20は、導入ユニット10よりも下流側、すなわち、混合水の流れる方向側に配置されており、RO膜モジュール21を備えている。
【0032】
図1には、例として、1つのRO膜モジュール21しか示されていないが、脱塩用膜分離ユニット20は、1つ以上のRO膜モジュール21を備えることもできる。
【0033】
RO膜モジュール21は、例えば5MPa以上の耐圧密閉型の圧力容器(以下、単に「圧力容器」と称する)22を備え、圧力容器22内には、圧力容器22の内部を、第1チャンバ24と第2チャンバ25とに区切るRO膜エレメント23が配置されている。
【0034】
RO膜エレメント23には、例えば、スパイラル状、および中空糸状等のRO膜を用いることができる。
【0035】
第1チャンバ24には、導入ユニット10から延出された流路201が接続されている。第1チャンバ24には、この流路201を介して、導入ユニット10から混合水が導入される。この混合水は、前述したように、昇圧ポンプ15によって、約4MPa~12MPaに昇圧されている。
【0036】
この圧力は、導入ユニット10から導入された混合水の浸透圧よりも高いために、RO膜モジュール21では、導入ユニット10から導入された混合水のうち、脱イオン水bが、RO膜エレメント23を効率的に透過して、第2チャンバ25側に達し、第1チャンバ24側には、濃縮された溶解固形分(塩分)が残る。このようにして、RO膜モジュール21は、混合水を、第2チャンバ25側の脱イオン水bと、第1チャンバ24側の濃縮水cとに分離する。
【0037】
第2チャンバ25には、脱塩用膜分離ユニット20の外部に至る流路210が接続されており、脱イオン水bは、第2チャンバ25から、流路210内を流れて、脱塩用膜分離ユニット20の外部へ排出される。
【0038】
第1チャンバ24には、流路202が接続されており、第1チャンバ24で生成された濃縮水cは、流路202内を流れて、脱塩用膜分離ユニット20から排出される。流路202には、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004が設けられている。
【0039】
濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004は、流路202内を流れる濃縮水cの流量を測定する流量計1005を備えている。流量計1005は、溶液の流量を測定できればその種類を問わず、例えば、超音波式流量計や電磁式流量計とすることができる。濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004はまた、流量計1005によって測定された測定結果を、制御装置1012に送信する無線LAN等の通信機能を備えている。
【0040】
濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004は、濃縮用膜分離ユニット1003に至る流路203に接続されており、流量計1005によって流量を測定された濃縮水cは、流路203内を濃縮用膜分離ユニット1003に向かって流れる。
【0041】
次に、減圧ユニット30について説明する。
【0042】
流路203には、減圧ユニット30が設けられている。減圧ユニット30は、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004よりも濃縮用膜分離ユニット1003側に配置されることが好ましいが、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004よりも脱塩用膜分離ユニット20側に、すなわち、流路202に設けてもよい。
【0043】
減圧ユニット30は、例えば減圧弁のような減圧装置31を備えており、流路203内を流れる第1チャンバ24からの高圧の濃縮水cが通過する際に、濃縮水cの圧力を急激に減圧する。この減圧量は、0.5MPa以上であることが好ましい。流路203内を流れる第1チャンバ24からの濃縮水cを0.5MPa以上減圧することによって、濃縮水c中におけるファインバブルの発生量を増やし、下流側の濃縮用膜分離ユニット1003におけるスケールおよびバイオファウリングの防止効果を高めることができる。
【0044】
次に、濃縮用膜分離ユニット1003について説明する。
【0045】
濃縮用膜分離ユニット1003は、同一構成をした複数連の濃縮用RO膜分離ユニット40、・・・・、50を直列に配置して構成される。なお、本明細書では、直列に配置された複数の濃縮用RO膜分離ユニットの配置順を区別するために、「連」という用語を用いる。したがって、濃縮用膜分離ユニット1003では、濃縮水cが流れる方向に沿って最上流側に配置された濃縮用RO膜分離ユニットを「最初連」濃縮用RO膜分離ユニット40、最下流側に配置された濃縮用RO膜分離ユニットを「最終連」濃縮用RO膜分離ユニット50と称する。なお、図1では、一例として、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40と、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50との2つの濃縮用RO膜分離ユニットしか例示していないが、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40と、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50との間に、図示しない任意の数の中間連濃縮用RO膜分離ユニットを直列に配置してもよい。
【0046】
最初連濃縮用RO膜分離ユニット40は、RO膜モジュール21と類似の構成をしたRO膜モジュール41を備えている。
【0047】
RO膜モジュール41は、圧力容器42を備え、圧力容器42内には、圧力容器42の内部を、第1チャンバ44と第2チャンバ45とに区切るRO膜エレメント43が配置されている。RO膜エレメント43には、例えば、スパイラル状、および中空糸状等のRO膜を用いることができる。
【0048】
第1チャンバ44には、流路203が接続されている。したがって、流路203内を流れる濃縮水cが第1チャンバ44へ導入される。第1チャンバ44へ導入される濃縮水cの圧力と浸透圧との合計は、第2チャンバ45に導入される合流水gの圧力と浸透圧との合計よりも高い。なお、合流水の定義については、後述する。したがって、第1チャンバ44では、濃縮水cに含まれる水成分が、RO膜エレメント43を透過して、第2チャンバ45へ到達する。この水を透過水tと称する。これに応じて、第1チャンバ44では、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水cが得られる。
【0049】
第1チャンバ44にはさらに、流路205が接続されており、第1チャンバ44で得られた濃縮水cは、流路205内を流れて、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40から排出される。
【0050】
流路205はさらに、直後連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバに接続されている。したがって、第1チャンバ44で得られた濃縮水cは、流路205内を流れて、直後連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバに導入される。図1は、特に、直後連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットが、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50である例を示している。
【0051】
最終連濃縮用RO膜分離ユニット50も、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40のRO膜モジュール41と同様のRO膜モジュール51を備えている。RO膜モジュール51は、内部がRO膜エレメント53によって区切られた第1チャンバ54および第2チャンバ55を有する圧力容器52からなる。
【0052】
したがって、図1の例に示すように、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40の直後連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットが、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50である場合、第1のチャンバ44で得られた濃縮水cは、流路205内を流れて第1チャンバ54へ導入される。このとき、濃縮水cは、圧力と浸透圧との合計が、第2チャンバ55の圧力と浸透圧との合計よりも高い状態で導入される。
【0053】
なお、図1は、濃縮用膜分離ユニット1003が、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40と最終連濃縮用RO膜分離ユニット50との2つの濃縮用RO膜分離ユニットしか備えていない例であるが、前述したように、濃縮用膜分離ユニット1003は、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40と最終連濃縮用RO膜分離ユニット50との間に、直列に配置された任意の数の中間連濃縮用RO膜分離ユニットを備えている場合もあり得る。このような場合、第1チャンバ54へ導入される濃縮水は、第1のチャンバ44で得られた濃縮水cではないので、図1では、一般的に、第1チャンバ54へ導入される濃縮水を、第i連濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバによって得られた濃縮水cと表現している。
【0054】
第1チャンバ54では、濃縮水cに含まれる水が、RO膜エレメント53を透過することで、第2チャンバ55において透過水tが得られ、これに応じて、第1チャンバ54では、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水cが得られる。
【0055】
第1チャンバ54にはさらに、流路206が接続されており、第1チャンバ54で得られた濃縮水cは、流路206内を流れて、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50から排出される。
【0056】
流路206には、濃縮水流量測定装置1006が設けられている。濃縮水流量測定装置1006は、第1チャンバ54から排出され、流路206内を流れる濃縮水cの流量を測定する流量計1007を備えている。
【0057】
流量計1007は、溶液の流量を測定できれば種類を問わず、超音波式流量計や電磁式流量計等を適用できる。また、濃縮水流量測定装置1006は、流量計1007によって測定された測定結果を、無線LAN等の通信機能を使って制御装置1012に送信する。
【0058】
流路206にはまた、濃縮水流量調整装置1010が設けられている。濃縮水流量調整装置1010は、流路206において、好ましくは濃縮水流量測定装置1006の下流側に設けられ、流路206を流れる濃縮水cの流量を調整する流量調整装置1011を備えている。流量調整装置1011は、制御装置1012によって開度が調整される比例制御弁が好ましい。
【0059】
濃縮水流量調整装置1010には、流路1013も接続されており、流量調整装置1011によって流量を測定された濃縮水cは、流路1013内を流れて、水処理システム1の外部へ排出される。
【0060】
流路206にはさらに、濃縮水流量測定装置1006よりも上流側に、濃縮水cの一部を、第2チャンバ55へ導入するための流路208も分岐され接続されている。流路208には、循環水用減圧ユニット60が設けられている。
【0061】
循環水用減圧ユニット60は、減圧装置61を備えている。減圧装置61は、制御装置1012によって開度が制御される比例制御弁が好ましい。減圧装置61の吸入口は、流路208に接続され、減圧装置61の吐出口は、第2チャンバ55に接続された流路209に接続されている。
【0062】
制御装置1012が、減圧装置61の弁(図示せず)の開度を大きくする信号を出力すると、流路206から流路208へ取り込まれる濃縮水cの量が増加するので、第2チャンバ55へ導入される濃縮水cの量が増加する。
【0063】
逆に、制御装置1012が、減圧装置61の弁(図示せず)の開度を小さくする信号を出力すると、流路206から流路208へ取り込まれる濃縮水cの量が減少するので、第2チャンバ55へ導入される濃縮水cの量が減少する。
【0064】
このように、減圧装置61の弁の開度に応じて、第2チャンバ55へ導入される濃縮水cの量を調整することができる。
【0065】
このように、第1チャンバ54から排出された濃縮水cの大部分は、流路206内および流路1013内を流れて最終連濃縮用RO膜分離ユニット50から排出されるものの、一部は、減圧装置61によって流路208に取り込まれ、さらに流路209内を流れて、第2チャンバ55へ戻される。
【0066】
なお、循環水用減圧ユニット60は、減圧装置61によって、第2チャンバ55へ濃縮水cを導入するときに、第2チャンバ55に導入される濃縮水cの圧力を、第1チャンバ54内の濃縮水cの圧力よりも低下させる。具体的に、減圧装置61は、第2チャンバ55へ導入される濃縮水cの圧力を、1MPa以上低下させることが好ましく、特に、3MPa以上低下させることが、より好ましい。
【0067】
圧力を3MPa以上低下させることによって、第2チャンバ55へ導入される濃縮水cの圧力を、第1チャンバ54に導入される濃縮水cの圧力に比べて十分に低くすることが可能となり、第1チャンバ54内の濃縮水cに含まれる水成分が、RO膜エレメント53を透過して、透過水tとして第2チャンバ55に円滑に移動するようになる。
【0068】
このように、第2チャンバ55には、流路209から濃縮水cが導入されるので、第2チャンバ55では、RO膜エレメント53を透過した透過水tと、流路209から導入された濃縮水cとが合流して合流水gとなる。
【0069】
第2チャンバ55にはさらに、流路207が接続されており、合流水gは、流路207内を流れて、直前連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第2チャンバに導入される。図1は、特に、直前連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットが、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40である例を示している。
【0070】
したがって、直前連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットが、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40である場合、第2のチャンバ55からの合流水gは、流路207内を流れて、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40の第1チャンバ45へ導入される。
【0071】
なお、前述したように、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50と、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40との間には、1つまたは複数の図示しない中間連濃縮用RO膜分離ユニットが直列に配置され得る。したがって、一般的に表現すると、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40の第2チャンバ45には、第2連濃縮用RO膜分離ユニットの第2チャンバから排出された合流水gが導入されることになる。
【0072】
これによって、第2チャンバ45では、RO膜エレメント43を透過した透過水tと、流路207から導入された合流水gとが合流して、合流水gとなる。
【0073】
なお、図1において、流路205は、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40の圧力容器42の右側面から第1チャンバ44に、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50の圧力容器52の左側面から第1チャンバ54に接続されている。また、流路207は、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40の圧力容器42の右側面から第2チャンバ45に、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50の圧力容器52の左側面から第2チャンバ55に接続されている。
【0074】
すなわち、流路205、207ともに、上流側の濃縮用RO膜分離ユニットの圧力容器の右側面から第1および第2チャンバへ、下流側の濃縮用RO膜分離ユニットの圧力容器の左側面から第1および第2のチャンバへ、それぞれ接続される。ただし、これは一例であって、圧力容器において、流路205、207が接続される場所は、適宜調整することができ、後述する別の実施形態では、そのような例も示されている。
【0075】
第2チャンバ45にはさらに、合流水gを、循環水dとして液混和槽11に循環するための流路204が接続されている。
【0076】
流路204には、循環水流量測定装置1008が設けられている。循環水流量測定装置1008は、流路204内を流れる循環水dの流量を測定する流量計1009を備えている。流量計1009は、溶液の流量を測定できれば種類を問わず、超音波式流量計や電磁式流量計等を適用できる。また、循環水流量測定装置1008も、流量計1009によって測定された測定結果を、無線LAN等の通信機能を使って制御装置1012に送信する。
【0077】
次に、制御装置1012について説明する。
【0078】
制御装置1012は、昇圧ポンプ15、循環水用減圧ユニット60、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004、濃縮水流量調整装置1006、循環水流量測定装置1008、および濃縮水流量調整装置1010と、無線LAN等の通信機能や、電気的接続等によって通信可能に接続されている。
【0079】
制御装置1012は、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004から送信された測定結果と、循環水流量測定装置1008から送信された測定結果とに基づいて、導入ユニット10から脱塩用膜分離ユニット20へ送出される混合水の流量(送出流量)と、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50によって濃縮された濃縮水cが、第1チャンバ54から排出される流量(排出流量)と、第1チャンバ54で濃縮された濃縮水cのうち、RO膜エレメント53を透過した透過水tと第2チャンバ55において合流される濃縮水cの流量(合流流量)とのうちの少なくとも何れかを調整する。
【0080】
具体的には、制御装置1012は、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004から送信された流量(すなわち、流量計1005によって測定された流量)に対する、循環水流量測定装置1008から送信された流量(すなわち、流量計1009によって測定された流量)の比(以下、「流量比」と称する)が、想定された所定値になるように、昇圧ポンプ15、減圧装置61、流量調整装置1011のうちの少なくとも何れかを制御する。
【0081】
制御装置1012は、昇圧ポンプ15を制御する場合には、昇圧ポンプ15の吐出量に対応する入力信号をインバータ15aに送信する。インバータ15aは、入力信号を受信すると、入力信号に対応する駆動周波数を、昇圧ポンプ15に出力する。昇圧ポンプ15は、この駆動周波数に応じた回転速度で回転する。このようにして、制御装置1012は、昇圧ポンプ15の吐出量を制御し、導入ユニット10から脱塩用膜分離ユニット20へ吐出される被処理水aの流量(吐出流量)を調整する。
【0082】
制御装置1012は、例えば比例制御弁のような流量調整装置1011を制御する場合も同様に、弁開度に対応する信号を流量調整装置1011に送り、弁開度を変化させることによって、第1チャンバ54から排出される濃縮水cの流量(排出流量)を調整する。
【0083】
制御装置1012は、例えば比例制御弁のような減圧装置61を制御する場合は、弁開度に対応する信号を減圧装置61に送り、弁開度を変化させることによって、第1チャンバ54から、流路206、208、209を流れて第2チャンバ55へ合流される濃縮水cの流量(合流流量)を調整する。
【0084】
次に、図1および図2に示す第1の実施形態の水処理システム1による被処理水aのように、例えば0、1%から数%程度の総溶解固形物TDS(Total Dissolved Solids)濃度の廃水の処理方法について説明する。
【0085】
まず、図2に示すように、ポンプ14を駆動することによって、流路211から液混和槽11に、例えば廃水のような被処理水aが導入される。
【0086】
液混和槽11にはさらに、流路204から循環水dも導入される。
【0087】
被処理水aと循環水dとの混合水のpHが6を超えると、カルシウムやマグネシウムなどの無機成分によって、下流側のRO膜モジュール21、41、51のRO膜エレメント23、43、53において膜ファウリングが発生したり、配管や弁等において目詰まりが生じやすくなる。
【0088】
このため、液混和槽11では、被処理水aと循環水dとの混合水に対して、薬液供給ライン12からpH調整剤も導入され、これによって、混合水のpHが2以上6以下に維持される。
【0089】
また、平均径が1000(nm)以下のファインバブルが、1×10(個/mL)以上の濃度で含まれている場合、膜ファウリングの発生や、配管や弁等における目詰まりを防止する効果が向上することが知られている。
【0090】
このため、液混和槽11内の混合水には、ガス供給ライン13から、空気等のガスも導入され、さらに、撹拌機17および液混和槽撹拌ポンプ1002による撹拌によって、混合水に、平均径が1000(nm)以下のファインバブルが、1×10(個/mL)以上の濃度で含まれるようになる。
【0091】
液混和槽11内の混合水は、昇圧ポンプ15によって、4MPaから12MPaの間に昇圧され、流路201内を流れて、脱塩用膜分離ユニット20のRO膜モジュール21の第1チャンバ24へ送出される。なお、昇圧量の上限である12MPaは、脱塩用膜分離ユニット20の圧力容器22の最大耐圧から決定される。
【0092】
昇圧ポンプ15による吐出量は、前述した流量比が、想定された所定値(例えば、40%以上、90%以下)になるように、制御装置1012によって制御される。
【0093】
RO膜モジュール21では、送出された混合水により昇圧された第1チャンバ24と、第2チャンバ25との間の大きな圧力差により、第1チャンバ24内の混合水の水成分が、RO膜エレメント23を透過して、脱イオン水bとなって第2チャンバ25に到達する。脱イオン水bは、第2チャンバ25から、流路210内を流れて、RO膜モジュール21から排出され、最終的には、水処理システム1の外部へ排出される。一方、第1チャンバ24に残った混合水は濃縮されて濃縮水cとなる。
【0094】
第1チャンバ24において得られた濃縮水cは、流路202内を流れて、RO膜モジュール21から排出される。流路202には、流量計1005を備えた濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004が設けられており、流路202内を流れる濃縮水cの流量は、流量計1005によって測定され、測定結果が、濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置1004によって制御装置1012へ送信される。
【0095】
流量計1005によって流量を測定された濃縮水cは、流路203内を、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40に向かって流れる。
【0096】
流路203には、減圧弁のような減圧装置31を備えた減圧ユニット30が設けられており、流路203内を流れる濃縮水cは、減圧装置31によって、0.5MPa以上減圧される。
【0097】
この減圧によって、濃縮水cに溶存している気体が膨張して気泡が生じる。気泡は、急激な圧力回復によって微細に粉砕されて、平均径が1000(nm)以下であるファインバブルとなる。減圧装置31による減圧量は、濃縮水cに、このようなファインバブルが、1×10(個/mL)以上の濃度で生成される値に設定される。
【0098】
ファインバブルは、水処理システム1内を流れるうちに消失していく可能性がある。したがって、減圧ユニット30よりも下流側である濃縮用膜分離ユニット1003では、濃縮水に含まれるファインバブルの量は一般に、減圧ユニット30において発生された量よりも少ない。
【0099】
このような場合においても、水処理システム1の最下流にあたる流路1013から排出される濃縮水cに、ファインバブルが少なくとも1×10(個/mL)以上の濃度で含まれていれば、それよりも上流側に配置されたRO膜モジュール41、51の膜エレメント43、53におけるスケール発生、バイオファウリングを防止することが可能である。
【0100】
このように十分な濃度のファインバブルを含む濃縮水cが、流路203内を流れて、RO膜モジュール41の第1チャンバ44へ導入される。
【0101】
第1チャンバ44では、濃縮水cの水成分が、RO膜エレメント43を透過して、透過水tとなって、第2チャンバ45へ到達する。これによって、第1チャンバ44では、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水cが得られる。
【0102】
第1チャンバ44には、直後連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバに至る流路205が接続されている。したがって、濃縮水cは、第1チャンバ44から、流路205内を流れて、直後連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバに導入される。そして、そこでも同様に、濃縮水cの水成分が、RO膜エレメントを透過して、透過水tとなって、第2チャンバ45へ到達することで、第1チャンバでは、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水cが得られ、この濃縮水cも同様に、この第1チャンバに接続されている流路205内を流れて、その直後連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバに導入され、そこでもまた同様にRO膜エレメントによって濃縮される。
【0103】
このような濃縮処理を繰り返すことによって、最終的には、最終から2つ目の連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバから、流路205内を流れて、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50の膜モジュール51の第1チャンバ54に、RO膜エレメント53の浸透圧よりも高い圧力で、濃縮水cが導入される。
【0104】
これに応じて、第1チャンバ54では、濃縮水cの水成分が、RO膜エレメント53を透過することで、第2チャンバ55において透過水tが得られる。これによって、第1チャンバ54では、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水cが得られる。
【0105】
第1チャンバ54内の濃縮水cは、流路206内を流れて第1チャンバ54の外部に排出される。しかしながら、流路206内を流れる濃縮水cの一部は、流路206から分岐された流路208を流れて循環水用減圧ユニット60の減圧装置61に達し、減圧装置61において減圧される。減圧された濃縮水cは、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50の第1チャンバ54に送出された濃縮水cよりも低い圧力となって、流路209内を流れて、第2チャンバ55に導入される。
【0106】
減圧装置61には、比例制御弁を用いることができ、その弁開度は、制御装置1012からの入力信号にしたがって制御される。
【0107】
第2チャンバ55に導入される濃縮水cの圧力低下量は、1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは3MPa以上である。
【0108】
第2チャンバ55に導入された濃縮水cは、第2チャンバ55において、RO膜エレメント53を透過した透過水tと合流して合流水gとなる。
【0109】
第2チャンバ55には、直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットの第2チャンバに接続された流路207が接続されており、合流水gは、流路207内を流れて、直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットの第2チャンバに導入され、そこでも同様に、RO膜エレメントを透過した透過水tn-1と合流して合流水gとなり、この合流水gは、流路207内を流れて、直前連に配置された濃縮用膜分離ユニットの第2チャンバに導入される。
【0110】
このような動作を繰り返すことによって、最終的には、最初から2つ目の連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットの第2チャンバから、第1チャンバ44の圧力と浸透圧との合計よりも、圧力と浸透圧との合計が低い合流水gが、流路207内を流れて、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40の第2チャンバ45に導入される。そして、第2チャンバ45では、合流水gは、透過水tと合流されて、合流水gとなる。
【0111】
第2チャンバ45にはさらに、液混和槽11に至る流路204も接続されており、合流水gは、流路204内を流れて、循環水dとして、液混和槽11へ戻される。
【0112】
以上説明したように、第1の実施形態の水処理システム1によれば、脱塩用膜分離ユニット20から排出された濃縮水cを、濃縮用膜分離ユニット1003における各連の濃縮用RO膜分離ユニットの第1チャンバにおいて、段階的に濃縮して行き、最終的に濃縮水cを得ることができる一方、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50の第1チャンバ54で得られた濃縮水cの一部を、循環水用減圧ユニット60の減圧装置61により減圧してから、第2チャンバ55へ導入することができる。
【0113】
この減圧操作により、第2チャンバ55内の濃縮水cの圧力は、第1チャンバ54内の濃縮水cの圧力よりも低くなるので、第1チャンバ54内の濃縮水cと、第2チャンバ55に導入される濃縮水cとの間の圧力差(第1チャンバ54内の濃縮水cの圧力>第2チャンバ55に導入される濃縮水cの圧力)を利用して、第1チャンバ54内の濃縮水cの水成分を、透過水tとして、RO膜エレメント53から第2チャンバ55に透過させることができる。
【0114】
これによって、第1チャンバ54に導入された濃縮水cから、より一層濃縮された濃縮水cを得ることができる。
【0115】
また、第2チャンバ55に導入された濃縮水cを、第1チャンバ54からの透過水tによって希釈することができる。
【0116】
さらに、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40のRO膜モジュール41の第2チャンバ45から、液混和槽11へ、循環水dを戻すことができる。
【0117】
この循環水dは、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50のRO膜モジュール51の第1チャンバ54で得られた濃縮水cの一部が、各連の濃縮用RO膜分離ユニットの第2チャンバにおいて透過水によって多段階にわたって希釈され生成されたものである。
【0118】
これによって、液混和槽11に戻される循環水dのTDS濃度を、例えば濃縮用膜分離ユニット1003から流路1013内を流れて排出される濃縮水cのTDS濃度の30%程度まで希釈し、循環水dのTDS濃度を、被処理水aのTDS濃度以下とすることができる。
【0119】
また、液混和槽11に向かって流路204内を流れる循環水dの流量を、流量計1009によって測定し、測定結果を、循環水流量測定装置1008から制御装置1012へ送信することができる。
【0120】
さらに、第1チャンバ54から排出され、流路206内を流れる濃縮水cの流量を、流量計1007によって測定し、測定結果を、濃縮水流量測定装置1006から制御装置1012へ送信することができる。
【0121】
制御装置1012は、前述した流量比が、想定した所定値になるように、昇圧ポンプ15、循環水用減圧ユニット60、および濃縮水流量調整装置1010を制御することができる。
【0122】
なお、前述した流量比は、40%以上、90%以下であることが望ましい。40%未満だと濃縮水量が多くなり、流路1013から排出される濃縮水cである廃水が減容化されず、処理コストが高くなる。一方、90%以上だと逆に、濃縮水cの水量が少なくなり、スケールが生じる可能性が高くなるからである。
【0123】
例えば、被処理水aの水質が変動し、濃縮水cの濃度が高くなると、濃縮用膜分離ユニット1003において、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40のRO膜モジュール41の第1チャンバ44から第2チャンバ45への透過水tの量および、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50のRO膜モジュール51の第1チャンバ54から第2チャンバ55への透過水tの量が少なくなるので、前述した流量比は小さくなり、濃縮水量が多くなり、処理コストが高くなる。
【0124】
このような場合には、制御装置1012は、循環水dの量を増やすことによって、前述した流量比を、想定した所定値にするために、循環水用減圧ユニット60に、減圧装置61の弁開度を大きくする信号を出力する。
【0125】
一方、被処理水aの水質が変動し、濃縮水cの濃度が低くなると、濃縮用膜分離ユニット1003において、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40のRO膜モジュール41の第1チャンバ44から第2チャンバ45への透過水tの量および、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50のRO膜モジュール51の第1チャンバ54から第2チャンバ55への透過水tの量が多くなるので、前述した流量比は大きくなり、濃縮水量が少なくなり、スケールが生じる可能性が高まる。
【0126】
このような場合には、制御装置1012は、循環水dの量を減らすことによって、前述した流量比を、想定した所定値にするために、循環水用減圧ユニット60に、減圧装置61の弁開度を小さくする信号を出力する。
【0127】
したがって、第1の実施形態の水処理システム1では、被処理水aは、0.1%から数%程度のTDS濃度の廃水に限定されず、例えば有機物を含有している食品工場排水等の廃水とすることもできる。
【0128】
また、想定通りの安定した処理を実現することによって、濃縮用膜分離ユニット1003から排出される濃縮水cの量および、脱塩用膜分離ユニット20から排出される脱イオン水bの量を安定化させることもできる。
【0129】
さらには、濃縮用膜分離ユニット1003から、想定通りの高い濃縮度を有する濃縮水cを回収できるようにもなるので、被処理水aから、減量された濃縮水cを効率的に得ることができる。その結果、排出された濃縮水cを回収して蒸発処理する際、蒸発に要する熱エネルギーを低下できるため、全体的な処理コストを低下させることができる。なお、濃縮水cの蒸発処理の詳細に関しては、後述する第4の実施形態を参照されたい。
【0130】
また、液混和槽11では、薬液供給ライン12からpH調整剤を供給することによって、貯液している被処理水aと循環水dとの混合水のpHを、2以上、6以下に調整することができる。これによって、流路1013から排出される濃縮水cを含め、水処理システム1によって取り扱われるすべての水のpHを、2以上、6以下に調整することができる。
【0131】
このように、水処理システム1によって取り扱われるすべての水のpHを、2以上、6以下にすることで、濃縮水c中の重炭酸イオン濃度を低下し、カルシウムやマグネシウムの炭酸塩の生成を抑制し、膜ファウリングおよび、配管や流量調整弁等の目詰まりを抑制することができる。
【0132】
液混和槽11では、撹拌機17、撹拌ライン1001、および液混和槽撹拌ポンプ1002によって被処理水aと循環水dの混合液を撹拌することによって、混合液内に、平均径が1000(nm)以下のファインバブルを、1.0×10(個/mL)以上の濃度で生成することができる。
【0133】
また、減圧ユニット30は、濃縮水cの圧力を、例えば0.5MPa以上低下させ、この減圧作用によって、濃縮水cに溶存している気体を膨張させる。さらにこの気泡が、その後の急激な圧力回復によって微細に粉砕され、平均径が1000(nm)以下のファインバブルをさらに生成することができる。
【0134】
このように、液混和槽11における撹拌作用および減圧ユニット30による減圧作用によって、水処理システム1によって取り扱われるすべての水中に、平均径が1000(nm)以下のファインバブルを、1.0×10(個/mL)以上の濃度で生成することができる。
【0135】
このようなファインバブルは、混合水中で高い安定性を有し、RO膜エレメント23、43、53に対して高い浸透性を有する。その結果、RO膜エレメント23、43、53におけるスケール発生、バイオファウリングを防止することができる。
【0136】
さらに、ファインバブルは表面が疎水性で、帯電しているため、導入ユニット10で薬液供給ライン12からスケール防止剤、バイオファウリング防止剤、殺菌剤、および膜洗浄剤を液混和槽11に供給した場合、それらの薬剤をRO膜エレメント23、43、53に容易に付着することができる。その結果、RO膜エレメント23、43、53におけるスケール発生、バイオファウリングをより効果的に防止することもできる。
【0137】
この結果、RO膜エレメント23、43、53のスケール発生、バイオファウリングに伴う目詰まりを抑制または防止し、もって、RO膜エレメント23、43、53の洗浄等の手間や頻度を軽減できるため、水処理システム1の稼働率の向上を図ることができる。
【0138】
なお、上記では、一例として、合流水gは、直前連のRO膜モジュールの第2チャンバに導入されるとして説明した。しかしながら、合流水gは、必ずしも直前連のRO膜モジュールの第2チャンバに導入されることに限定されない。例えば、合流水gを、直前連のRO膜モジュールの第2チャンバに導入せずに、代わりに、直前連よりも上流側、つまり最初連側のRO膜モジュールの第2チャンバに導入するようにしてもよい。
【0139】
(第1の実施形態の変形例1)
次に、第1の実施形態の変形例1について説明する。
【0140】
図3は、第1の実施形態の変形例1の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0141】
図3に例示する水処理システム1Aは、流路204、207、209の接続箇所が、図1に例示する水処理システム1とは異なる。
【0142】
まず、流路204は、水処理システム1では、図1に示すように、RO膜モジュール41の第2チャンバ45が位置する圧力容器42の左側面に接続されているのに対して、水処理システム1Aでは、図3に示すように、第2チャンバ45が位置する圧力容器42の右側面に接続されている。
【0143】
また、流路207は、水処理システム1では、図1に示すように、RO膜モジュール51の第2チャンバ55が位置する圧力容器52の左側面に接続されているのに対し、水処理システム1Aでは、図3に示すように、RO膜モジュール51の第2チャンバ55が位置する圧力容器52の右側面に接続されている。
【0144】
流路209は、水処理システム1では、図1に示すように、RO膜モジュール51の第2チャンバ55が位置する圧力容器52の右側面に接続しているのに対して、水処理システム1Aでは、図3に示すように、RO膜モジュール51の第2チャンバ55が位置する圧力容器52の左側面に接続されている。
【0145】
このような構成の第1の実施形態の変形例1の水処理システム1Aによれば、RO膜モジュール41の第1チャンバ44内を流れる濃縮水cの流れ方向と、第2チャンバ45内を流れる合流水gの流れ方向とが同一となり、RO膜モジュール51の第1チャンバ54内を流れる濃縮水cの流れ方向と、第2チャンバ55内を流れる合流水gの流れ方向とが同一となる。
【0146】
このような構成でも、第1の実施形態の水処理システム1と同様の作用効果を奏することができる。
【0147】
(第1の実施形態の変形例2)
次に、第1の実施形態の変形例2について説明する。
【0148】
図4は、第1の実施形態の変形例2の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0149】
図4に例示する水処理システム1Bは、図1に例示する水処理システム1に、新たな流路211を追加した構成をしている。
【0150】
流路211は、流路209から分岐されて設けられており、流路207に合流する。
【0151】
このような構成の水処理システム1Bによれば、RO膜モジュール51の第2チャンバ55内の合流水gが、流路207内を流れて、上流連の濃縮用RO膜分離ユニット(図4の場合、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40)のRO膜モジュールの第2チャンバに導入される前に、減圧装置61によって減圧された濃縮水cの一部と合流される。
【0152】
これによって、流路207内を流れる合流水gは減圧されてから、上流連の濃縮用膜分離ユニットのRO膜モジュールの第2チャンバへ導入される。一般的には、合流水gが、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40のRO膜モジュール41の第2チャンバ45に導入される。
【0153】
その結果、最初連濃縮用膜RO分離ユニット40のRO膜モジュール41では、第1チャンバ44に導入される濃縮水cと、第2チャンバ45に導入される合流水gとの間の圧力と浸透圧との合計の差(濃縮水cの圧力と浸透圧との合計>合流水gの圧力と浸透圧との合計)が十分大きくなるので、第1チャンバ44内の濃縮水c中の水成分が、RO膜エレメント43から第2チャンバ45に効率的に透過し、透過水tとなり、RO膜モジュール41における濃縮水cに対する濃縮効果を高めることができる。
【0154】
以上説明したように、第1の実施形態の水処理方法が適用された水処理システム1、1A、1Bによれば、多段式RO膜を用いる水の濃縮処理において、安定して想定した量および品質の濃縮水および脱イオン水を得ることが可能となる。
【0155】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
【0156】
図5は、第2の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0157】
図5に例示する水処理システム1Cは、図1に例示する水処理システム1の変形例であり、特に、濃縮用膜分離ユニット1003において、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40と、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50との間に、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020を付加している点が、水処理システム1と異なる。
【0158】
中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020は、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40および最終連濃縮用RO膜分離ユニット50と同一の構成をしており、RO膜モジュール41、51と同一構成のRO膜モジュール1021を備えている。
【0159】
すなわち、RO膜モジュール1021は、耐圧密閉式の圧力容器1022を備え、圧力容器1022内には、圧力容器1022の内部を、第1チャンバ1024と第2チャンバ1025とに区切るRO膜エレメント1023が配置されている。RO膜エレメント1023には、例えば、スパイラル状、および中空糸状等のRO膜を用いることができる。
【0160】
第1チャンバ1024には、RO膜モジュール41の第1チャンバ44から接続された流路212が接続されている。したがって、第1チャンバ1024には、第1チャンバ44から、濃縮水cが、流路212を流れて導入される。
【0161】
第1チャンバ1024に導入される濃縮水cの圧力と浸透圧との合計は、第2チャンバ1025に導入される合流水gi-1の圧力と浸透圧との合計よりも高い。したがって、濃縮水cに含まれる水成分が、第1チャンバ1024から、RO膜エレメント1023を透過し、透過水tとして、第2チャンバ1025へ到達する。これによって、第1チャンバ1024では、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水cが得られる。
【0162】
第1チャンバ1024にはさらに、RO膜モジュール51の第1チャンバ54へ接続された流路205が接続されている。したがって、第1チャンバ1024で得られた濃縮水cは、流路205内を流れて、RO膜モジュール51の第1チャンバ54へ導入される。
【0163】
一方、第2チャンバ1025には、RO膜モジュール51の第2チャンバ55から接続された流路207が接続されている。したがって、第2チャンバ1025には、第2チャンバ55から、合流水gが、流路207内を流れて導入される。合流水gは、チャンバ1025において、透過水tと合流され、合流水gとなる。
【0164】
第2チャンバ1025にはさらに、RO膜モジュール41の第2チャンバ45へ接続された流路213が接続されている。したがって、第2チャンバ1025からの合流水gが、流路213内を流れて、RO膜モジュール41の第2チャンバ45へ導入される。
【0165】
このような構成の第2の実施形態の水処理システム1Cによれば、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40と最終連濃縮用膜分離ユニット50との間に、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020を追加した構成となっているために、3連のRO膜モジュール41、1021、51が直列に配置されるようになるので、図1に示す第1の実施形態の水処理システム1に比べて、濃縮水の高濃縮化を実現できる。
【0166】
(第2の実施形態の変形例)
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。
【0167】
図5Aは、第2の実施形態の変形例の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0168】
図5Aに例示する水処理システム1Dは、図5に例示する水処理システム1Cの変形例であり、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020の中に、RO膜モジュール1021と直列的に、もう1つのRO膜モジュール1031を配置していることが、水処理システム1Cと異なる。
【0169】
RO膜モジュール1031もまた、RO膜モジュール1021と同様に、耐圧密閉式の圧力容器1032を備え、圧力容器1032内には、圧力容器1032の内部を、第1チャンバ1034と第2チャンバ1035とに区切るRO膜エレメント1033が配置されている。RO膜エレメント1033には、例えば、スパイラル状、および中空糸状等のRO膜を用いることができる。
【0170】
第1チャンバ1034には、RO膜モジュール1021の第1チャンバ1024から接続された流路1036が接続されている。したがって、第1チャンバ1034には、第1チャンバ1024から、濃縮水cが、流路1036内を流れて導入される。
【0171】
第1チャンバ1034に導入される濃縮水cの圧力と浸透圧との合計は、第2チャンバ1035に導入される合流水gi―2の圧力と浸透圧との合計よりも高い。したがって、濃縮水cに含まれる水成分が、第1チャンバ1034から、RO膜エレメント1033を透過し、透過水ti+1として、第2チャンバ1035へ到達する。これによって、第1チャンバ1034では、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水ci+1が得られる。
【0172】
第1チャンバ1034にはさらに、RO膜モジュール51の第1チャンバ54へ接続された流路205が接続されている。したがって、第1チャンバ1034で得られた濃縮水ci+1は、流路205内を流れて、RO膜モジュール51の第1チャンバ54へ導入される。
【0173】
一方、第2チャンバ1035には、RO膜モジュール51の第2チャンバ55から接続された流路207が接続されている。したがって、第2チャンバ1035には、第2チャンバ55から、合流水gが、流路207を流れて導入される。合流水gは、チャンバ1025において、透過水ti+1と合流され、合流水giー1となる。
【0174】
第2チャンバ1035にはさらに、RO膜モジュール1021の第2チャンバ1025へ接続された流路1037が接続されている。したがって、第2チャンバ1035からの合流水gi-1が、流路1037内を流れて、RO膜モジュール1021の第2チャンバ1025へ導入される。
【0175】
このような構成の第2の実施形態の変形例の水処理システム1Dによれば、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020の中に、RO膜モジュール1021と直列的に、もう1つのRO膜モジュール1031を配置することによって、合計4つのRO膜モジュール41、1021、1031、51が直列に配置されるようになるので、図5に示す第2の実施形態の水処理システム1Cよりも、さらに濃縮水の高濃縮化を実現できる。
【0176】
なお、図示は省略するが、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020の中に、RO膜モジュール1021、1031の下流側に、さらに任意の数のRO膜モジュールを直列に配置してもよい。このように、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020のRO膜モジュールの数を増やして行くことによって、濃縮水のさらなる高濃縮化を実現できる。
【0177】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。
【0178】
図6は、第3の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0179】
図6に例示する水処理システム1Eは、図5に例示する水処理システム1Cの変形例であり、特に、以下の点において、水処理システム1Cとは異なる。
【0180】
すなわち、水処理システム1Eは、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40に、互いに並列に配置された3つのRO膜モジュール41a、41b、41cを備え、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020に、互いに並列に配置された2つのRO膜モジュール1021a、1021bを備えている。RO膜モジュール41a、41b、41cの構成は、RO膜モジュール41と同様である。RO膜モジュール1021a、1021の構成は、RO膜モジュール1021と同様である。
【0181】
RO膜モジュール41a、41b、41cの第1チャンバ44a、44b、44cには、流路203から分岐して設けられた流路214、215、216がそれぞれ接続されている。これによって、流路203からの濃縮水cが、流路214、215、216をそれぞれ流れて、第1チャンバ44a、44b、44cへ導入される。
【0182】
流路214、215、216には、例えば流量計および弁を備えた流量制御装置410a、410b、410cがそれぞれ設けられている。流量制御装置410a、410b、410cは、流量計によって、流路214、215、216内を流れるそれぞれの濃縮水cの流量を測定し、測定結果を制御装置1012へ出力する。
【0183】
そして、それに応じて制御装置1012から出力された制御信号に応じて、流量制御装置410a、410b、410cは、弁の開度を変えることによって、流路214、215、216内を流れるそれぞれの濃縮水cの流量を調節することができる。
【0184】
例えば、制御装置1012は、各流量制御装置410a、410b、410cから出力された流量の測定結果に応じて、流路214、215、216内を流れるそれぞれの濃縮水cの流量が同じになるように、各流量制御装置410a、410b、410cの弁の弁開度を制御することができる。
【0185】
これによって、第1チャンバ44a、44b、44cには、同じ流量で、濃縮水cが導入される。そして、第1チャンバ44a、44b、44cでは、前述したように、濃縮水cが濃縮され、濃縮水cが得られる。
【0186】
第1チャンバ44a、44b、44cには、各第1チャンバ44a、44b、44cで得られた濃縮水cを、RO膜モジュール1021a、1021b側へ導入するための流路218がそれぞれ接続されている。第1チャンバ44a、44b、44cそれぞれに接続された合計3つの流路218は、1つの流路218に合流した後に、流路219に接続される。これによって、各第1チャンバ44a、44b、44cで得られた濃縮水cは、各第1チャンバ44a、44b、44cに接続された流路218内を流れて、流路219において合流する。
【0187】
流路219はその後、2つに分岐し、それぞれ、RO膜モジュール1021aの第1チャンバ1024aと、RO膜モジュール1021bの第1チャンバ1024bとに接続されている。
【0188】
分岐された流路219それぞれにも、例えば流量計および弁を備えた流量制御装置10210a、10210bがそれぞれ設けられている。流量制御装置10210a、10210bは、流量計によって、それぞれの流路219内を流れる濃縮水cの流量を測定し、測定結果を制御装置1012へ出力する。
【0189】
そして、それに応じて制御装置1012から出力された制御信号に応じて、流量制御装置10210a、10210bは、弁の開度を変えることによって、それぞれの流路219内を流れる濃縮水cの流量を調節することができる。
【0190】
例えば、制御装置1012は、各流量制御装置10210a、10210bから出力された流量の測定結果に応じて、それぞれの流路219内を流れる濃縮水cの流量が同じになるように、各流量制御装置10210a、10210bの弁の弁開度を制御することができる。
【0191】
これによって、第1チャンバ1024a、1024bには、同じ流量で、濃縮水cが導入される。そして、第1チャンバ1024a、1024bでもまた、前述したように、濃縮水cが濃縮され、濃縮水cが得られる。
【0192】
第1チャンバ1024aには、RO膜モジュール51の第1チャンバ54に接続された流路205が接続されている。また、第1チャンバ1024bには、流路207に合流される流路207が接続されている。
【0193】
これによって、第1チャンバ1024aで得られた濃縮水cは、流路205を流れて、第1チャンバ54に導入される。また、第1チャンバ1024bで得られた濃縮水cは、流路207内を流れ、さらに流路205と合流した後は、流路205内を流れて、第1チャンバ54に導入される。
【0194】
第1チャンバ54では、図5を用いて説明したように、濃縮水cがさらに濃縮された濃縮水cが得られ、第2のチャンバ55では、合流水gが得られる。
【0195】
第2チャンバ55には、第2チャンバ1025aへ接続された流路220が接続されている。また、流路220からは、第2チャンバ1025bへ接続された流路222が分岐されている。
【0196】
これによって、第2のチャンバ55で得られた合流水gの一部が、流路220内を流れて、第2チャンバ1025aへ導入され、残りは、流路220から流路222へ分岐して進み、流路222内を流れて、第2チャンバ1025bへ導入される。
【0197】
第2チャンバ1025a、1025bでは、図5を用いて説明したように、合流水gが得られる。
【0198】
RO膜モジュール1021a、1021bそれぞれには、合流水gをRO膜モジュール41a、41b、41c側へ導入するための流路224が接続されている。流路224は一旦合流した後に、流路225に接続されている。流路225は、3つに分岐されており、RO膜モジュール41a、41b、41cの第2チャンバ45a、45b、45cそれぞれに接続されている。
【0199】
これによって、第2チャンバ1025a、1025bからの合流水gが、流路224内を流れて、一旦合流した後に、流路225内を流れる。流路225は、3つに分岐されており、それぞれ第2チャンバ45a、45b、45cに接続されているので、合流水gは、それぞれの流路225から、第2チャンバ45a、45b、45cへ導入される。
【0200】
3つに分岐された流路225のおのおのには、例えば流量計および弁を備えた流量制御装置412a、412b、412cがそれぞれ設けられている。流量制御装置412a、412b、412cは、流量計によって、それぞれの流路225内を流れる合流水gの流量を測定し、測定結果を制御装置1012へ出力する。
【0201】
そして、それに応じて制御装置1012から出力された制御信号に応じて、流量制御装置412a、412b、412cは、弁の開度を変えることによって、それぞれの流路225内を流れる合流水gの流量を調節することができる。
【0202】
例えば、制御装置1012は、各流量制御装置412a、412b、412cから出力された流量の測定結果に応じて、それぞれの流路225内を流れる合流水gの流量が同じになるように、各流量制御装置412a、412b、412cの弁の弁開度を制御することができる。
【0203】
これによって、第2チャンバ45a、45b、45cには、同じ流量で、合流水gが導入される。そして、第2チャンバ45a、45b、45cでは、前述したように、合流水gが得られる。
【0204】
第2チャンバ45a、45b、45cには、流路204に合流される流路226、227、228がそれぞれ接続されている。これによって、第2チャンバ45a、45b、45cそれぞれからの合流水gが、それぞれ流路226、227、228内を流れて、流路204で合流し、循環水dとして、液混和槽11へ戻される。
【0205】
流路226、227、228にも、例えば流量計および弁を備えた流量制御装置411a、411b、411cがそれぞれ設けられている。流量制御装置411a、411b、411cは、流量計によって、流路226、227、228内を流れるそれぞれの合流水gの流量を測定し、測定結果を制御装置1012へ出力する。
【0206】
そして、それに応じて制御装置1012から出力された制御信号に応じて、流量制御装置411a、411b、411cは、弁の開度を変えることによって、流路214、215、216内を流れるそれぞれの合流水gの流量を調節することができる。
【0207】
流量制御装置410a、410b、410c、411a、411b、411c、412a、412b、412c、10210a、10210bはそれぞれ、流量計と弁とを備え、流量計は、流量を測定すると測定結果を制御装置1012へ出力し、制御装置1012は各流量計からの測定結果に応じて、弁の開度に対応する制御信号を出力する。
【0208】
したがって、制御装置1012は、流量制御装置410a、410b、410cからの測定結果に応じて、RO膜モジュール41a、41b、41cの第1チャンバ44a、44b、44cに導入される濃縮水cの流量を一致させたり、故障やメンテナンスにより運転できないRO膜モジュール41a、41b、41cの第1チャンバ44へ濃縮水cが導入されないように、特定の弁を閉めるように制御することができる。また、流量制御装置411a、411b、411cからの測定結果に応じて、RO膜モジュール41a、41b、41cの第2チャンバ45a、45b、45cからの合流水gの流量を一致させたり、故障やメンテナンスにより運転できないRO膜モジュール41a、41b、41cの第2チャンバ45から合流水gが排出されないように、特定の弁を閉めるように制御することができる。
【0209】
このようにして、第1チャンバ44a、44b、44cへ導入される濃縮水cの流量、第1チャンバ44a、44b、44cから排出される濃縮水cの流量、第2チャンバ45a、45b、45cへ導入される合流水gの流量、および第2チャンバ45a、45b、45cからの合流水gの流量を制御することができる。
【0210】
同様にして、第1チャンバ1024a、1024bへ導入される濃縮水cの流量、第1チャンバ1024a、1024bから排出される濃縮水cの流量、第2チャンバ1025a、1025bへ導入される混合水gの流量、および第2チャンバ1025a、1025bから排出される合流水gの流量を制御することができる。
【0211】
なお、水処理システム1Eのように、濃縮用膜分離ユニット1003において、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40の並列配置された3つのRO膜モジュール41a、41b、41cが、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020の並列配置された2つのRO膜モジュール1021a、1021bに直列的に配置され、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020の並列配置された2つのRO膜モジュール1021a、1021bが、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50のRO膜モジュール51に直列的に配置される構成は、本実施形態のあくまで典型例であって、水処理システム1Eの構成に限定されず、濃縮用RO膜分離ユニット1003が備えるRO膜モジュールの数が、直前連に配置された濃縮用RO膜分離ユニットが備えるRO膜モジュールの数より多くない構成であれば、本実施形態に含まれる。
【0212】
すなわち、図6の例では、「(最初連濃縮用RO膜分離ユニット40のRO膜モジュール41の数):(中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020のRO膜モジュール1021の数):(最終連濃縮用RO膜分離ユニット50の数)」が、「3:2:1」であるが、このような構成の他にも、例えば、「3:3:1」、「5:4:3」、「10:5:1」といった構成とすることもできる。また、直列に配置される濃縮用RO膜分離ユニットが、3連であることにも限定されず、例えば、直列に配置される濃縮用RO膜分離ユニットを、4連として、各濃縮用RO膜分離ユニットが備えるRO膜モジュール数の比を、「4:3:2:1」とするようなこともできる。
【0213】
以上説明したように、第3の実施形態の水処理システムによれば、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40における3つのRO膜モジュール41a、41b、41c、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020における2つのRO膜モジュール1021a、1021bのように、濃縮用RO膜分離ユニットが、上流側の濃縮用RO膜分離ユニットのRO膜モジュールの数よりも多くならないという条件で、並列配置された複数のRO膜モジュールを備えているので、処理能力の増大を図ることが可能となる。
【0214】
また、これによって、例えばRO膜モジュール41aのように1台のRO膜モジュール41が、故障やメンテナンスにより運転できない場合であっても、RO膜モジュール41b、41cのように他のRO膜モジュール41によって運転を継続することができるので、運転冗長性を高めることも可能となる。
【0215】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。
【0216】
図7は、第4の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0217】
図7に例示する水処理システム1Fは、図1に例示する第1の実施形態の水処理システム1の変形例であり、特に、熱処理ユニット70を備えている点において、水処理システム1とは異なる。
【0218】
熱処理ユニット70は、水処理システム1Fにおいて、流路1013に接続された流路236に接続されている。
【0219】
熱処理ユニット70は、例えば、蒸発濃縮装置や蒸発乾燥機等を備えることができる。
【0220】
熱処理ユニット70は、流路1013内を流れる濃縮水cを流路236から受け取り、濃縮水cを加熱して、水分を蒸発させることによって、濃縮水cをさらに濃縮し、濃縮された濃縮水cをさらに加熱し、乾燥させることによって、固形塩分にする。
【0221】
熱処理ユニット70には、流路237と流路238とが接続されており、固形塩分を、流路237から排出し、蒸発された水分を、流路238から排出する。
【0222】
このような構成の第4の実施形態の水処理システム1Fによれば、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50のRO膜モジュール51の第1チャンバ54から排出された高濃縮度の濃縮水cに対して、熱処理ユニット70においてさらに、濃縮、蒸発、乾燥処理等を施すことができる。
【0223】
この処理により、濃縮水cから固形塩分を回収することができる。例えば、濃縮水c中のイオン分の主成分が塩イオン分である場合、固形塩分として、塩イオン分を回収することができる。このような固形塩分は、流路237から系外へ排出される。また、水分は、流路238から系外へ排出される。
【0224】
熱処理ユニット70に、晶析装置、および遠心分離装置等をさらに備えていてもよい。晶析装置、および遠心分離装置等をさらに備えることにより、固形塩分の回収をより円滑に遂行できるようになる。
【0225】
熱処理ユニット70は、第1の実施形態の水処理システム1に付加されることに限定されず、他の実施形態の水処理システムにも同様に付加することができる。
【0226】
例えば、前述した水処理システム1C、1D、1Eのように、濃縮水cのさらなる高濃縮化を実現できる構成に、熱処理ユニット70を付加することができる。
【0227】
熱処理ユニット70は、前述したような濃縮、蒸発、乾燥処理のために、熱エネルギーを必要とする。しかしながら、濃縮水cの濃縮度が高いほど、濃縮水cに含まれる水分の量はより少なくなるので、例えば水処理システム1C、1D、1Eのように、濃縮水cのさらなる高濃縮化を実現できる構成に、熱処理ユニット70を付加した場合、熱処理ユニット70における濃縮、蒸発、乾燥処理の際に消費される熱エネルギーを低下できる。
【0228】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について説明する。
【0229】
図8は、第5の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0230】
図8に例示する水処理システム1Gは、図7に例示する第4の実施形態の水処理システム1Fの変形例であり、特に、水処理システム1Fの導入ユニット10の上流側に、前処理ユニット80を備えている点において、水処理システム1Fとは異なる。
【0231】
前処理ユニット80は、固形分・有機成分除去装置81、軟水化処理装置82、および脱気装置83を備えている。
【0232】
図8では、一例として、固形分・有機成分除去装置81、軟水化処理装置82、および脱気装置83が、被処理水aの流れ方向に沿って直列に配置された構成を示しているが、配置順はこれに限定される訳ではなく、適宜変更することができる。
【0233】
水処理システム1Gでは、前処理ユニット80の付加に伴い、被処理水aを受け入れるための流路211は、液混和槽11に接続されるのではなく、固形分・有機成分除去装置81に接続される。
【0234】
固形分・有機成分除去装置81と軟水化処理装置82との間の流路239、および軟水化処理装置82と脱気装置83との間の流路240には、図示しないポンプが配置されており、このポンプによって、被処理水aが下流側の装置へ送出される。
【0235】
なお、前処理ユニット80は、必ずしも固形分・有機成分除去装置81、軟水化処理装置82、および脱気装置83のすべてを備えている必要はなく、これらのうちいずれか1つを備えていてもよい。
【0236】
固形分・有機成分除去装置81は、例えば、精密ろ過(MF:Microfiltration)膜、限外ろ過(UF:Ultrafiltration)膜、およびMBR(Membrane Bioreactor)法等を備える膜分離装置を適用できる。このような固形分・有機成分除去装置81は、流路211から導入された被処理水aをろ過し、被処理水aから固形分・有機成分を除去する。固形分・有機成分を除去された被処理水aは、流路239に配置された図示しないポンプの駆動により、流路239内を流れて軟水化処理装置82に送出される。
【0237】
軟水化処理装置82は、例えばイオン交換樹脂や凝集沈殿装置を適用できる。軟水化処理装置82は、送出された被処理水a中のカルシウム、マグネシウム等の硬度成分を除去し、被処理水aを軟水化する。軟水化された被処理水aは、流路240に配置された図示しないポンプの駆動により、流路240内を流れて脱気装置83に送出される。
【0238】
脱気装置83は、例えば、充填式脱炭酸塔、曝気装置、脱気装置、真空脱気装置のように、純水製造等で用いられる既存の脱気装置を適用することが可能である。脱気装置83は、脱気効率の向上を目的として被処理水aに塩酸、硫酸等の酸を添加し、被処理水aのpHを7.0以下、好ましくは5.5以下に下げて処理を行うことが望ましい。脱気された被処理水aは、流路241内を流れる。流路241には、導入ユニット10のポンプ14が配置されており、脱気装置83からの被処理水aは、ポンプ14によって、液混和槽11へ送出される。
【0239】
このような構成の第5の実施形態の水処理システム1Gによれば、導入ユニット10の上流側に付加された前処理ユニット80によって、塩分を含む廃水の他に、例えば工場廃水のような被処理水aから、固形分や有機成分を除去し、さらに、軟水化および脱気を行うことができる。
【0240】
下流側の各RO膜モジュール21、41、51では、このように前処理された被処理水aを濃縮することになるので、水処理システム1Gは、RO膜エレメント23、43、53におけるスケールやバイオファウリングの防止効果を高めることができる。
【0241】
なお、前処理ユニット80は、第4の実施形態の水処理システム1Fに付加されることに限定されず、他の実施形態の水処理システムにも同様に付加することができる。
【0242】
(第6の実施形態)
第6の実施形態について説明する。
【0243】
図9は、第6の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0244】
図9に例示する水処理システム1Hは、図8に例示する第5の実施形態の水処理システム1Gの変形例であり、特に、水処理システム1Gの前処理ユニット80と導入ユニット10との間に、膜分離ユニット90を付加した点が、水処理システム1Gとは異なる。
【0245】
膜分離ユニット90は、RO膜モジュール91を備えている。RO膜モジュール91は、他のRO膜モジュール21、41、51と同様に、耐圧密閉式の圧力容器92を備え、圧力容器92内には、圧力容器92の内部を、第1チャンバ94と第2チャンバ95とに区切るRO膜エレメント93が配置されている。
【0246】
第1チャンバ94には、前処理ユニット80から、前処理された被処理水aが導入される。このために、第1チャンバ94が位置する圧力容器92には、前処理ユニット80の最下流側に配置された脱気装置83に接続された流路241が接続されている。流路241には、前処理された被処理水aを、脱気装置83から、第1チャンバ94へ送出する昇圧ポンプ101が配置されている。
【0247】
第1チャンバ94が位置する圧力容器92にはまた、導入ユニット10の液混和槽11に至る流路242も接続されている。
【0248】
さらに、第2チャンバ95が位置する圧力容器92には、流路243が接続されている。流路243は、流路210に合流している。
【0249】
このような構成の第6の実施形態の水処理システム1Hによれば、脱気装置83からの被処理水aが、昇圧ポンプ101によって昇圧され、流路241からRO膜モジュール91の第1チャンバ94へ送出される。
【0250】
RO膜モジュール91では、この被処理水a中の水成分が、第1チャンバ94から、RO膜エレメント93を透過して透過水tとなって、第2チャンバ95に移動する。これによって、第1チャンバ94側では、固形分(塩分)が濃縮された被処理水aが得られる。
【0251】
第1チャンバ94において得られた、濃縮された被処理水aは、流路242内を流れて、液混和槽11へ導入される。
【0252】
一方、第2チャンバ95へ透過した透過水tは、流路243内を流れてRO膜モジュール91外へ排出される。流路243は、流路210に合流しているので、流路243内を流れる透過水tは、流路210に達すると、第2チャンバ25から排出された脱イオン水bと合流して、流路210内を流れて系外へ排出される。
【0253】
このように、第6の実施形態の水処理システム1Hは、膜分離ユニット90において固形分(塩分)が濃縮された被処理水aを液混和槽11に導入することができる。
【0254】
これによって、例えばRO膜エレメント23、43、53のような下流側のRO膜エレメントに対する負荷が低減されるので、脱塩用膜分離ユニット20における脱イオン操作や、最初連濃縮用膜分離ユニット40および最終連濃縮用膜分離ユニット50における濃縮操作のための良好な条件を提供することができる。
【0255】
なお、膜分離ユニット90は、第5の実施形態の水処理システム1Gに付加されることに限定されず、他の実施形態の水処理システムにも同様に付加することができる。
【0256】
(第6の実施形態の変形例1)
次に、第6の実施形態の変形例1について説明する。
【0257】
図10は、第6の実施形態の変形例1の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0258】
図10に例示する水処理システム1Iは、図9に例示する水処理システム1Hの変形例1であり、特に、膜分離ユニット90と、導入ユニット10との間に、貯水タンク102を付加している。また、第1チャンバ94からは、流路242ではなく、流路244が接続され、第1チャンバ94において得られた、濃縮された被処理水aは、流路244内を流れて、貯水タンク102へ送られる。
【0259】
貯水タンク102の下部側面には、流路245が接続され、流路245の他端にはポンプ103が設けられている。ポンプ103の吐出口は、液混和槽11に至る流路242に接続されている。
【0260】
このような構成の第6の実施形態の変形例1の水処理システム1Iによれば、膜分離ユニット90の第1チャンバ94内の濃縮された被処理水aは、流路244を流れて貯水タンク102へ送られ、貯水タンク102において貯留される。
【0261】
貯水タンク102に貯留された被処理水aは、任意のタイミングで駆動されるポンプ103によって、流路245、242内を流れて、導入ユニット10の液混和槽11に送出される。任意のタイミングとは、例えば、操作者の指示に応じたタイミング、指定された周期毎のタイミング、および熱処理ユニット70を駆動させるタイミング等である。
【0262】
これによって、液混和槽11に貯液される混合水を、常に適量に保つことができるので、液混和槽11における安定した液混和性能を発揮することが可能となる。
【0263】
(第6の実施形態の変形例2)
次に、第6の実施形態の変形例2について説明する。
【0264】
本変形例の水処理システムは、図9および図10に示す水処理システム1H、1Iにおいて、RO膜モジュール91の代わりに、ナノフィルトレーション膜モジュールを用いる。ナノフィルトレーション膜モジュールは、膜分離ユニット90の第1チャンバ94および第2チャンバ95を区画するために、RO膜エレメント93の代わりに、ナノフィルトレーション膜エレメント(図示せず)を適用する。
【0265】
ナノフィルトレーション膜エレメントは、例えばスパイラル状、および中空糸状等の膜を用いることができる。なお、ナノフィルトレーション膜エレメントは、圧力容器92内に複数設けてもよい。
【0266】
膜分離ユニット90は、前処理ユニット80から送出される被処理水aの性状に合わせて用いるか、ナノフィルトレーション膜エレメントを用いるかを選定することができる。
【0267】
このように、前処理ユニット80から送出される被処理水aの性状に合わせて、RO膜モジュール91の代わりに、適切な膜を用いることもできる。
【0268】
(第7の実施形態)
第7の実施形態について説明する。
【0269】
図11は、第7の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0270】
図7に示す第7の実施形態の水処理システム1Jは、図1に例示する第1の実施形態の水処理システム1の変形例であり、特に、動力回収ユニット110を備えている点において、水処理システム1とは異なる。
【0271】
動力回収ユニット110は、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50のRO膜モジュール51の第1チャンバ54から送出される高い圧力を持つ濃縮水cの圧力エネルギーを回収する装置である。
【0272】
動力回収ユニット110は、動力回収機構111とポンプ112を備える。動力回収機構111とポンプ112とは互いに接続されている。
【0273】
動力回収機構111は、流路1013に接続されており、第1チャンバ54から排出され、流路1013内を流れる濃縮水cを受け取る。
【0274】
図示しないが、動力回収機構111は、高塩分に適応可能に加工された例えばタービンまたはピストンを備えており、流路1013から濃縮水cを受け取ると、濃縮水cの圧力エネルギーを、タービンまたはピストンにより、運動エネルギーに変換する。
【0275】
動力回収機構111には、外部に至る流路246が接続されている。したがって、動力回収機構111は、圧力エネルギーを回収した濃縮水cを流路246から外部へ排出する。
【0276】
動力回収機構111は、運動エネルギーをポンプ112に伝達できるようにポンプ112に接続されている。このような接続は、限定される訳ではないが、例えば、動力回収機構111のタービンの回転軸と、ポンプ112の回転軸とを、直接的または間接的に接続することによって実現できる。
【0277】
したがって、動力回収機構111は、濃縮水cの圧力エネルギーを変換して得られた運動エネルギーを、ポンプ112へ伝達することができる。
【0278】
ポンプ112は、液混和槽11へ至る流路211に配置される。これによって、ポンプ112は、流路211を流れる被処理水aを昇圧して、液混和槽11へ送出するための導入ポンプとして機能することができる。
【0279】
このような構成の第7の実施形態の水処理システム1Jによれば、濃縮水cが持つ圧力エネルギーを、動力回収機構111で運動エネルギーに変換し、その運動エネルギーでポンプ112を駆動させ、被処理水aを液混和槽11へ送出できる。このようなエネルギーの有効利用によって、導入ユニット10のエネルギー消費量を低減することが可能となる。したがって、導入ユニット10におけるポンプ14を排除することも可能である。
【0280】
このような動力回収ユニット110は、第1の実施形態の水処理システム1に付加されることに限定されず、他の実施形態の水処理システムにも同様に付加することができる。
【0281】
また、動力回収ユニット110からポンプ112を排除し、動力回収機構111が、ポンプ112の代わりに、第1の実施形態の水処理システム1のみならず、他の実施形態の水処理システムにおいても使用されているあらゆるポンプ(例えば、ポンプ14、15、101、103、1002)と、運動エネルギーを伝達できるように接続することで、水処理システム1Jにおいて使用されているすべてのポンプの駆動エネルギーをさらに低減することもできる。
【0282】
(第8の実施形態)
第8の実施形態について説明する。
【0283】
図12は、第8の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0284】
図12に示す第8の実施形態の水処理システム1Kは、図1に例示する第1の実施形態の水処理システム1の変形例であり、特に、減圧装置61を備える循環水用減圧ユニット60の配置場所および第2チャンバ55における水の流れ方向が、図1に示す第1の実施形態の水処理システム1とは異なる。
【0285】
水処理システム1、1Kのいずれの場合も、減圧装置61は、吸入口が流路208に接続され、吐出口が流路209に接続されている。
【0286】
しかしながら、水処理システム1では、流路208は流路206から分岐しているのに対して、水処理システム1Kでは、流路208は流路205から分岐している。
【0287】
また、水処理システム1、1Kのいずれの場合も、流路209は、第2チャンバ55に接続されているが、水処理システム1の場合、流路209は、図中右側面から第2チャンバ55に接続されるのに対して、水処理システム1Kの場合、流路209は、図中左側面から第2チャンバ55に接続される。
【0288】
また、流路207は、水処理システム1では、第2チャンバ55の図中左側に接続されているが、水処理システム1Kでは、その逆に、第2チャンバ55の図中右側に接続されている。
【0289】
これによって、第2チャンバ55における水の流れは、水処理システム1では、図中右側から左側であるのに対して、水処理システム1Kでは、その逆に、図中左側から右側となる。
【0290】
このような構成の第8の実施形態の水処理システム1Kによれば、循環水用減圧ユニット60は、最終連の直前連の濃縮用RO膜分離ユニット(図12の例では、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40)のRO膜モジュール(図12の例では、RO膜モジュール41)の第1チャンバ(図12の例では、第1チャンバ44)からの濃縮水cの一部を減圧して、第2チャンバ55に送出する。
【0291】
これによって、第2チャンバ55には第1チャンバ54内の濃縮水cよりも低い圧力の濃縮水cが導入される。
【0292】
例えば、第2チャンバ55に導入される濃縮水cの圧力低下量を、1MPa以上とすることが好ましく、3MPa以上とすれば、より好ましい。
【0293】
圧力低下量を3MPa以上にすることによって、第1チャンバ54に導入される濃縮水cの圧力は、第2チャンバ55へ導入される濃縮水cの圧力よりも十分高くなるので、第1チャンバ54内の濃縮水cに含まれる水成分が、RO膜エレメント53を容易に透過して、第2チャンバ55に到達するので、第1チャンバ54内の濃縮水cをより高濃度の濃縮水cへ濃縮することが容易となる。
【0294】
なお、図12に例示するように、循環水用減圧ユニット60を、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50の直前に配置するという第8の実施形態の特徴は、図1に例示する水処理システム1のみならず、既に説明した他の水処理システムに対しても同様に適用可能である。そのうち、特に、図5に示す水処理システム1Cに第8の実施形態を適用した変形例を、以下に示す第9の実施形態として説明する。
【0295】
(第9の実施形態)
第9の実施形態について説明する。
【0296】
図13は、第9の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの機能構成例を示す概略図である。
【0297】
図13に示す第9の実施形態の水処理システム1Lは、図12に例示する第8の実施形態の水処理システム1Kの概念を、図5に例示する水処理システム1Cに適用した変形例である。
【0298】
したがって、水処理システム1Lは、濃縮用膜分離ユニット1003内に、最初連濃縮用RO膜分離ユニット40と最終連濃縮用RO膜分離ユニット50との間に、中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020を備えているという構成が、水処理システム1Kとは異なる。
【0299】
中間連濃縮用RO膜分離ユニット1020については、第2の実施形態において、図5を用いて説明した通りであるので、ここでは重複説明を避ける。
【0300】
このような構成の第9の実施形態の水処理システム1Lによれば、図12に示す水処理システム1Kよりも、濃縮用RO膜分離ユニットを1連増加したことにより、最終連濃縮用RO膜分離ユニット50から排出される濃縮水cの濃度を、より高めることが可能となる。
【0301】
なお、図13に示す第9の実施形態の水処理システム1Lにもまた、既に説明した他の実施形態の概念を同様に適用することができる。
【0302】
例えば、流路1013の下流側に、第4の実施形態で説明したように熱処理ユニット70を追加することができる。
【0303】
また、導入ユニット10の上流側に、第5の実施形態で説明したように前処理ユニット80を追加することができる。
【0304】
さらには、導入ユニット10の上流側に、第6の実施形態で説明したように前処理ユニット80および膜分離ユニット90を追加したり、第6の実施形態の変形例1で説明したようにさらに貯水タンク102を追加することができる。
【0305】
さらにまた、流路1013の下流側に、第7の実施形態で説明したように動力回収ユニット110を追加することができる。
【0306】
このように、本実施形態の水処理システム1Lに、様々な構成要素を追加した場合、これら構成要素の追加によって得られる作用効果が、本実施形態で得られる濃縮水cの高濃縮化という作用効果に加えて、得られるようになる。
【0307】
以上、第1~第9の実施形態の水処理方法が適用された水処理システムによれば、多段式RO膜を用いることによって、想定した量および品質の濃縮水および脱イオン水を、安定的に得ることが可能となる。
【0308】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0309】
例えば、上記実施形態では、脱塩用膜分離ユニット20および濃縮用膜分離ユニット1003において、濃縮のためにRO膜が適用されているが、RO膜の代わりに、ナノフィルトレーション膜を適用してもよい。そして、上記実施形態において、RO膜の代わりに、ナノフィルトレーション膜を適用した水処理システムもまた、本願発明の範囲に含まれると理解される。
【符号の説明】
【0310】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K、1L・・水処理システム、10・・導入ユニット、11・・液混和槽、12・・薬液供給ライン、13・・ガス供給ライン、14・・ポンプ、15・・昇圧ポンプ、15a・・インバータ、16・・水質計、17・・撹拌機、20・・脱塩用膜分離ユニット、21・・RO膜モジュール、22・・圧力容器、23・・RO膜エレメント、24・・第1チャンバ、25・・第2チャンバ、30・・減圧ユニット、31・・減圧装置、40・・最初連濃縮用RO膜分離ユニット、41・・RO膜モジュール、42・・圧力容器、43・・RO膜エレメント、44・・第1チャンバ、45・・第2チャンバ、50・・最終連濃縮用RO膜分離ユニット、51・・RO膜モジュール、52・・圧力容器、53・・RO膜エレメント、54・・第1チャンバ、55・・第2チャンバ、60・・循環水用減圧ユニット、61・・減圧装置、70・・熱処理ユニット、80・・前処理ユニット、81・・固形分・有機成分除去装置、82・・軟水化処理装置、83・・脱気装置、90・・膜分離ユニット、91・・膜モジュール、92・・圧力容器、93・・RO膜エレメント、94・・第1チャンバ、95・・第2チャンバ、101・・昇圧ポンプ、102・・貯水タンク、103・・ポンプ、110・・動力回収ユニット、111・・動力回収機構、112・・ポンプ、201~220、222、224~228、236~246・・流路、410~412・・流量制御装置、1001・・撹拌ライン、1002・・液混和槽攪拌ポンプ、1003・・濃縮用膜分離ユニット、1004・・濃縮用膜分離ユニット導入流量測定装置、1005・・流量計、1006・・濃縮水流量測定装置、1007・・流量計、1008・・循環水流量測定装置、1009・・流量計、1010・・濃縮水流量調整装置、1011・・流量調整装置、1012・・制御装置、1013・・流路、1020・・中間連濃縮用RO膜分離ユニット、1021・・RO膜モジュール、1022・・圧力容器、1023・・RO膜エレメント、1024・・第1チャンバ、1025・・第2チャンバ、1031・・RO膜モジュール、1032・・圧力容器、1033・・RO膜エレメント、1034・・第1チャンバ、1035・・第2チャンバ、1036・・流路、10210・・流量制御装置、a・・被処理水、b・・脱イオン水、c・・濃縮水、d・・循環水、g・・合流水、t・・透過水

図1
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図5
図5A
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