(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044001
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】発光素子及び発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/44 20100101AFI20230323BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20230323BHJP
【FI】
H01L33/44
H01L33/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151797
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木津 紀幸
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA63
5F142AA72
5F142AA84
5F142BA02
5F142CA11
5F142CG03
5F142CG06
5F142CG26
5F142CG32
5F142FA14
5F142FA18
5F142FA42
5F142FA46
5F142GA31
5F241AA44
5F241CA05
5F241CA13
5F241CA40
5F241CA74
(57)【要約】
【課題】半導体発光素子本体の劣化を抑制することができる発光素子及び発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】発光素子1は、半導体発光素子本体2と、半導体発光素子本体2の表面を平坦化する内側被覆部3と、内側被覆部3を覆う、無機材料からなる外側被覆部4とを備える。発光素子1の製造方法は、半導体発光素子本体2を製造する工程と、半導体発光素子本体2の表面を平坦化するよう、半導体発光素子本体2の表面を内側被覆部3にて覆う工程と、内側被覆部3を無機材料からなる外側被覆部4にて覆う工程とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子本体と、
前記半導体発光素子本体の表面を平坦化する内側被覆部と、
前記内側被覆部を覆う、無機材料からなる外側被覆部と、
を備える発光素子。
【請求項2】
前記半導体発光素子本体は、
第1導電型を有する第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成された発光層と、
前記発光層上に形成されるとともに、前記第1導電型とは反対の第2導電型を有する第2半導体層と、
前記第1半導体層上に接続された第1コンタクト電極と、
前記第2半導体層上に接続された第2コンタクト電極と、を有し、
前記内側被覆部は、前記第1コンタクト電極と前記発光層と前記第2半導体層と前記第2コンタクト電極との表面を覆っている、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1コンタクト電極上に接続された第1パッド電極と、
前記第2コンタクト電極上に接続された第2パッド電極と、を更に備え、
前記内側被覆部には、前記内側被覆部を前記内側被覆部の厚み方向に貫通するとともに、一端が前記第1コンタクト電極に向かって開口したコンタクトホールが形成されており、
前記コンタクトホール内には、前記第1コンタクト電極と前記第1パッド電極とを電気的に接続するホール内導体が配されている、
請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記厚み方向に直交する前記ホール内導体の断面の面積は、前記厚み方向に直交する前記第1コンタクト電極の面積の5%以上95%以下の大きさである、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第2コンタクト電極の上面と前記内側被覆部の下面との間の前記厚み方向の長さをHとしたとき、前記内側被覆部の厚みT1は、0.8H≦T1≦1.2Hを満たす、
請求項3又は4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記ホール内導体は、前記第1コンタクト電極側の反対側ほど前記厚み方向に直交する断面の面積が大きくなる、
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記厚み方向における前記ホール内導体の長さは、前記第1コンタクト電極の厚みよりも長い、
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記内側被覆部は、フォトレジストからなる、
請求項3乃至7のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項9】
前記内側被覆部は、有機高分子材料からなる、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項10】
半導体発光素子本体を製造する工程と、
前記半導体発光素子本体の表面を平坦化するよう、前記半導体発光素子本体の前記表面を内側被覆部にて覆う工程と、
前記内側被覆部を無機材料からなる外側被覆部にて覆う工程と、
を有する発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記内側被覆部は、有機高分子材料からなり、
前記半導体発光素子本体を前記内側被覆部にて覆う工程においては、前記内側被覆部を構成する前記有機高分子材料を前記半導体発光素子本体の前記表面に塗布して硬化させることにより、前記内側被覆部を形成する、
請求項10に記載の発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記半導体発光素子本体を製造する工程においては、第1導電型を有する第1半導体層を形成し、前記第1半導体層上に発光層を形成し、前記発光層上に前記第1導電型とは反対の第2導電型を有する第2半導体層を形成し、前記第1半導体層上に第1コンタクト電極を接続し、前記第2半導体層上に第2コンタクト電極を接続し、
前記半導体発光素子本体の前記表面を前記内側被覆部にて覆う工程においては、前記第1コンタクト電極と前記発光層と前記第2半導体層と前記第2コンタクト電極との表面を前記内側被覆部にて覆い、
前記内側被覆部に、前記第1コンタクト電極に開口するコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に、前記第1コンタクト電極に電気的に接続されたホール内導体を、蒸着により形成する工程と、を更に備える
請求項11に記載の発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、n型半導体層、発光層、p型半導体層、n型コンタクト電極及びp型コンタクト電極を備える半導体発光素子本体を、酸化シリコン(SiO2)等からなる絶縁層で直接的に被覆した半導体発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の半導体発光素子においては、半導体発光素子の最表面を構成している絶縁層が直接的に半導体発光素子本体を覆っている。そのため、半導体発光素子本体の表面の段差部及び角部等を起点として絶縁層にクラックが生じると、クラックを通って水分が半導体発光素子本体近傍に到達し、半導体発光素子本体が劣化するおそれがある。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子本体の劣化を抑制することができる発光素子及び発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、半導体発光素子本体と、前記半導体発光素子本体の表面を平坦化する内側被覆部と、前記内側被覆部を覆う、無機材料からなる外側被覆部と、を備える発光素子を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記の目的を達成するため、半導体発光素子本体を製造する工程と、前記半導体発光素子本体の表面を平坦化するよう、前記半導体発光素子本体の前記表面を内側被覆部にて覆う工程と、前記内側被覆部を無機材料からなる外側被覆部にて覆う工程と、を有する発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体発光素子本体の劣化を抑制することができる発光素子及び発光素子の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態における、発光素子の平面図である。
【
図3】実施の形態における、素子本体形成工程後の半導体発光素子本体の断面図である。
【
図4】実施の形態における、第1被覆工程後の半導体発光素子本体及び有機高分子材料の断面図である。
【
図5】実施の形態における、露光現像工程後の半導体発光素子本体及び内側被覆部の断面図である。
【
図6】実施の形態における、第2被覆工程後の半導体発光素子本体、内側被覆部及び外側被覆部の断面図である。
【
図7】実施の形態における、除去工程後の半導体発光素子本体、内側被覆部及び外側被覆部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、
図1乃至
図7を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0011】
(発光素子1)
図1は、発光素子1の平面図である。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
【0012】
本形態の発光素子1は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)又は半導体レーザ(LD:Laser Diode)を構成するものとすることができる。本形態において、発光素子1は、深紫外光を発する深紫外LEDを構成するものであり、例えば殺菌(例えば空気浄化、浄水等)、医療(例えば光線治療、計測・分析等)、UVキュアリング等の分野において用いることができる。本形態の発光素子1は、半導体発光素子本体2(以後、単に「素子本体2」ということもある。)と内側被覆部3と外側被覆部4と第1パッド電極5及び第2パッド電極6とを備える。
【0013】
(素子本体2)
図2に示すごとく、素子本体2においては、基板21と、バッファ層22と、第1導電型を有する第1半導体層23と、発光層24と、第2導電型を有する第2半導体層25とが積層されている。本形態において、第1導電型はn型であり、第1半導体層23はn型半導体からなる層である。また、第2導電型はp型であり、第2半導体層25はp型半導体からなる層である。さらに、素子本体2は、第1半導体層23に接続された第1コンタクト電極26と、第2半導体層25に接続された第2コンタクト電極27とを備える。
【0014】
以後、素子本体2を構成する複数の半導体層の積層方向を上下方向Zといい、上下方向Zの一方側であって、基板21に対して各半導体層が積層された側を上側、その反対側を下側という。なお、上下の表現は便宜的なものであり、例えば発光素子1の使用時における、鉛直方向に対する発光素子1の姿勢を限定するものではない。
【0015】
基板21は、発光層24が発する光(本形態においては深紫外光)を透過する性質を有する基板であり、例えばサファイア(Al2O3)基板とすることができる。また、基板21として、例えば窒化アルミニウム(AlN)基板又は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)基板等を用いてもよい。
【0016】
バッファ層22、第1半導体層23、発光層24及び第2半導体層25を構成する半導体としては、例えば、AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)にて表される2~4元系のIII族窒化物半導体を用いることができる。なお、深紫外LEDにおいては、インジウムを含まないAlzGa1-zN系(0≦z≦1)が用いられることが多い。
【0017】
バッファ層22は、基板21上に形成されている。バッファ層22は、アンドープのAlaGa1-aN(0≦a≦1)からなる。一例として、バッファ層22は、基板21上に形成された窒化アルミニウム(すなわちa=1)からなるAlN層と、AlN層上に形成されたアンドープの窒化アルミニウムガリウム(すなわち0<a<1)からなるAlGaN層とを有する。なお、これに限られず、バッファ層22は単層とすることも可能である。また、基板21が窒化アルミニウム基板又は窒化アルミニウムガリウム基板である場合、バッファ層22は必ずしも設けなくてもよい。
【0018】
第1半導体層23は、バッファ層22上に形成されている。第1半導体層23は、n型不純物がドープされたAl
bGa
1-bN(0≦b≦1)からなる。第1半導体層23は、単層構造でも複数層構造でもよい。上下方向に平行な断面視(例えば
図2)において、第1半導体層23の幅は、バッファ層22の幅よりも小さく、上側から見たときに第1半導体層23の外形は、バッファ層の外形の内側に収まる。
【0019】
発光層24は、第1半導体層23の上面の一部に形成されており、発光層24上に第2半導体層25が形成されている。ここで、第2半導体層25上に形成される第2コンタクト電極27は、
図1に示すごとく櫛状に形成されており、発光層24及び第2半導体層25は、第2コンタクト電極27と上下方向Zに重なる位置に、第2コンタクト電極27と同様な櫛状に形成されている。第2コンタクト電極27の形状については後述する。
【0020】
発光層24は、AlcGa1-cN(0≦c≦1)からなり、例えば井戸層を1つ有する単一量子井戸構造、又は井戸層を複数有する多重量子井戸構造とすることができる。発光層24においては、第1半導体層23から供給される電子と、第2半導体層25から供給される正孔とが再結合し、発光する。発光層24は、波長365nm以下の深紫外光を出力するために、バンドギャップが3.4eV以上となるよう構成されている。特に本形態において、発光層24は、中心波長が200nm以上365nm以下の深紫外光を発生することができるよう構成されている。
【0021】
第2半導体層25は、発光層24上に形成されている。第2半導体層25は、p型不純物がドープされたAldGa1-dN(0≦d≦1)からなる。第2半導体層25は、単層構造でも複数層構造でもよい。
【0022】
本形態において、第1半導体層23の側面231、発光層24の側面241及び第2半導体層25の側面251は、第1半導体層23、発光層24及び第2半導体層25が上側に向かうほど幅狭となるよう傾斜している。すなわち、本形態の素子本体2において、第1半導体層23、発光層24及び第2半導体層25は、メサ構造となるよう形成されている。
【0023】
第1半導体層23の上面における発光層24から露出した露出上面232には、第1コンタクト電極26が形成されており、第2半導体層25の上面には、第2コンタクト電極27が形成されている。第1コンタクト電極26は、第1半導体層23にオーミック接触しており、第2コンタクト電極27は、第2半導体層25にオーミック接触している。
【0024】
図1に示すごとく、第1コンタクト電極26は、上下方向Zに直交する方向に延在する第1基部261と、第1基部261の複数箇所から第2コンタクト電極27側に突出する第1突出部262とを有する。第2コンタクト電極27は、第1基部261と略平行に形成された第2基部271と、第2基部271の複数箇所から第1コンタクト電極26側に突出する第2突出部272とを有する。上側から見たとき、隣り合う第1突出部262の間に、複数の第2突出部272が1つずつ挿入されており、これにより第1コンタクト電極26と第2コンタクト電極27とが互いに噛み合った形となっている。以後、上下方向Zに直交する方向であって第1基部261及び第2基部271のそれぞれが延在する方向を横方向Xといい、上下方向Z及び横方向Xの双方に直交する方向を縦方向Yという。縦方向Yは、第1突出部262及び第2突出部272のそれぞれが延在する方向である。
【0025】
なお、素子本体2は、前述した構成のものに限られず、一般的な素子本体2の構成を採用することが可能である。
【0026】
(内側被覆部3)
内側被覆部3は、素子本体2の表面を覆うことで、素子本体2の表面形状に存在する段差及び角部を埋めて平坦化する。内側被覆部3は、電気的絶縁性を有する有機高分子材料から構成することができる。本形態において、内側被覆部3は、フォトレジストからなる。フォトレジストとしては、ポジ型及びネガ型のいずれかを採用することが可能である。
【0027】
本形態において、内側被覆部3は、第1半導体層23の上面と、第1コンタクト電極26、発光層24、第2半導体層25、及び第2コンタクト電極27のそれぞれの表面とを覆っている。特に、内側被覆部3は、第1半導体層23の上面と発光層24及び第1コンタクト電極26との間に形成される段差、第2半導体層25と第2コンタクト電極27との間に形成される段差、及び、第1コンタクト電極26、発光層24、第2半導体層25、及び第2コンタクト電極27のそれぞれに形成され得る角部を覆っている。そして、内側被覆部3の外面31(すなわち外側被覆部4に接する面)は、内側被覆部3の内面32(すなわち第1コンタクト電極26、発光層24、第2半導体層25、及び第2コンタクト電極27と接する面)よりも平坦となるよう構成されている。内側被覆部3の外面31は、上下方向Zに直交する上面311と、上下方向Zに平行な側面312とを備える。上面311と側面312との間の角部313は、角が丸まった曲面状に形成されている。なお、内側被覆部3の外面31の側面312は、例えば下側程、外方へ向かうように傾斜等していてもよい。
【0028】
ここで、
図2に示すごとく、第2コンタクト電極27の上面273と内側被覆部3の下面33との間の上下方向Zの長さをHとしたとき、内側被覆部3の厚みT1は、0.8H≦T1≦1.2Hを満たしている。すなわち、内側被覆部3の上面311は、第2コンタクト電極27の上面273と略面一に形成されている。内側被覆部3の上面311は、第2コンタクト電極27の上面273と面一に形成されることが好ましい。ここで、内側被覆部3の上面311と第2コンタクト電極27の上面273とを面一になるよう設計したものの、製造公差等により内側被覆部3の上面311と第2コンタクト電極27の上面273との位置が僅かにずれたような場合も、内側被覆部3の上面311と第2コンタクト電極27の上面273とは面一であるとする。そして、第2コンタクト電極27の上面273は、第2パッド電極6との導通を図るべく、内側被覆部3から露出している。
【0029】
内側被覆部3には、内側被覆部3を上下方向Zに貫通した複数のコンタクトホール34が形成されている。複数のコンタクトホール34は、第1コンタクト電極26と上下方向Zに重なる位置に形成されており、下端が第1コンタクト電極26に向かって開口している。複数のコンタクトホール34は、互いに同等の形状を有し、等間隔に形成されている。
図1に示すごとく、第1コンタクト電極26の第1基部261に開口する複数のコンタクトホール34は、横方向Xに等間隔に設けられており、第2コンタクト電極27の第1突出部262に開口する複数のコンタクトホール34は、縦方向Yに等間隔に形成されている。等間隔とは、厳密な等間隔に限られず、例えば、隣り合うコンタクトホール34間の間隔のうちの最大値と最小値との差が当該最大値の10%以下となるような、略等間隔も含む。
【0030】
図2に示すごとく、コンタクトホール34は、上下方向Zに長尺に形成されている。本形態において、コンタクトホール34の上下方向Zの長さ(本形態においては後述のホール内導体51の長さLと同等である。)は、第1コンタクト電極26の厚みT2よりも長い。コンタクトホール34は、上側の位置ほど内径が大きくなるテーパ状(本形態においては円錐台形状)に形成されている。
【0031】
本形態において、内側被覆部3は単層構造であるが、複数層構造であってもよい。また、内側被覆部3は、フォトレジストから構成したが、例えばフォトレジスト以外の有機材料等から構成することも可能である。
【0032】
(外側被覆部4)
外側被覆部4は、バッファ層22から上側に形成されており、内側被覆部3を覆っている。外側被覆部4は、電気的絶縁性を有するとともに、水分を通し難い無機材料からなる。本形態において、外側被覆部4は、二酸化ケイ素(SiO2)からなる。
【0033】
外側被覆部4は、バッファ層22の上面、第1半導体層23の側面231、及び内側被覆部3を少なくとも覆っている。外側被覆部4には、内側に第1パッド電極5が形成された第1開口部41と、内側に第2パッド電極6が形成された第2開口部42とが形成されている。第1開口部41は、第1コンタクト電極26と上下方向Zに対向する位置に形成されており、第2開口部42は、第2コンタクト電極27と上下方向Zに対向する位置に形成されている。
【0034】
本形態において、外側被覆部4は1層からなるが、複数層からなる構成であってもよい。
【0035】
(第1パッド電極5及び第2パッド電極6)
第1パッド電極5は、第1コンタクト電極26と電気的に接続されており、第2パッド電極6は、第2コンタクト電極27と電気的に接続されている。上側から見たとき、第1パッド電極5は、発光素子1の縦方向Yの中心位置よりも第1コンタクト電極26の第1基部261側に形成されており、第2パッド電極6は、前記中心位置よりも第2コンタクト電極27の第2基部271側の領域に形成されている。
【0036】
第1パッド電極5は、コンタクトホール34内に充填されるよう形成されたホール内導体51と、外側被覆部4の第1開口部41内に埋設された第1埋設部52と、外側被覆部4から上側に露出した第1露出部53とを一体的に備える。
【0037】
ホール内導体51は、各コンタクトホール34内に充填されている。そのため、ホール内導体51の形状は、当該ホール内導体51が配されたコンタクトホール34の内側領域と同等の形状となる。ホール内導体51は、上下方向Zに長尺に形成されている。ホール内導体51の上下方向Zの長さLは、第1コンタクト電極26の厚みT2よりも長く、第1コンタクト電極26の厚みT2よりも3倍以上長いことが好ましい。また、ホール内導体51は、コンタクトホール34の内側領域の形状と同様に、上下方向Zに直交する断面の面積が、上側の部位ほど大きくなるテーパ状(本形態においては円錐台形状)に形成されている。上下方向Zに直交するホール内導体51の断面の面積は、上下方向Zに直交する第1コンタクト電極26の面積の100%未満であることが好ましく、上下方向Zに直交する第1コンタクト電極26の面積の5%以上95%以下であることがより好ましい。第1コンタクト電極26の面積は、第1コンタクト電極26の上面の面積である。なお、本形態のように、ホール内導体51が複数形成されている場合において、上下方向Zに直交するホール内導体51の断面の面積とは、上下方向Zに直交するすべてのホール内導体51の断面の面積の合計を意味するものとする。また、本形態のように、各ホール内導体51がテーパ状に形成されているような場合は、上下方向Zの各位置において、ホール内導体51の断面の面積が、上下方向Zに直交する第1コンタクト電極26の面積の100%未満であることが好ましく、5%以上95%以下であることがより好ましい。ホール内導体51の下端部は、第1コンタクト電極26と電気的に接続されている。
【0038】
第1埋設部52は、第1開口部41内に充填されるよう形成されており、その下端部が各ホール内導体51の上端部に接続されている。図示は省略するが、第1埋設部52は、第1露出部53の下側の領域であって、第1コンタクト電極26と上下方向Zに対向する櫛状の領域に形成されている。
【0039】
第1露出部53は、上側から見たときの形状が横方向Xに長尺な略長方形状となるよう形成されており、その下端部が第1埋設部52に接続されている。
【0040】
第2パッド電極6は、外側被覆部4の第2開口部42に埋設された第2埋設部61と、外側被覆部4から上側に露出した第2露出部62とを一体に備える。
【0041】
第2埋設部61は、第2開口部42内に充填されるよう形成されており、その下端部が第2コンタクト電極27の上面273に接続されている。図示は省略するが、第2埋設部61は、第2露出部62の下側の領域であって、第2コンタクト電極27と上下方向Zに対向する櫛状の領域に形成されている。
【0042】
第2露出部62は、上側から見たときの形状が横方向Xに長尺な略長方形状となるよう形成されており、その下端部が第2埋設部61に接続されている。第1露出部53と第2露出部62とは、縦方向Yに間隔をあけて並んでいる。
【0043】
第1パッド電極5と第2パッド電極6とのそれぞれは、それぞれ単一部材にて構成した例を示したが、複数の部材を上下方向Z等に接続して構成してもよい。
【0044】
第1パッド電極5の第1露出部53及び第2パッド電極6の第2露出部62は、例えば図示しないサブマウントの電極に実装される。例えば、発光素子1は、基板21がサブマウントと反対側に位置する姿勢で、サブマウントの電極に、金(Au)バンプ等を介してフリップチップ実装される。この場合、発光素子1から発される光は、主に素子本体2の基板21からサブマウントと反対側に取り出される。
【0045】
(発光素子1の製造方法)
次に、本形態の発光素子1の製造方法の一例につき説明する。
発光素子1の製造方法は、素子本体形成工程、第1被覆工程、露光現像工程、第2被覆工程、除去工程、パッド電極形成工程を有する。
図3は、素子本体形成工程後の素子本体2の断面図である。
図4は、第1被覆工程後の素子本体2及び有機高分子材料30の断面図である。
図5は、露光現像工程後の素子本体2及び内側被覆部3の断面図である。
図6は、第2被覆工程後の素子本体2、内側被覆部3及び外側被覆部4の断面図である。
図7は、除去工程後の素子本体2、内側被覆部3及び外側被覆部4の断面図である。
【0046】
素子本体形成工程においては、基板21上にバッファ層22、第1半導体層23、発光層24及び第2半導体層25を、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、分子線エピタキシ法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハライド気相エピタキシ法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)等の周知のエピタキシャル成長法を用いて形成する。各層をエピタキシャル成長させるための成長温度、成長圧力、及び成長時間等の製造条件については、各層の構成に応じた一般的な条件とすることができる。
【0047】
基板21上にバッファ層22、第1半導体層23、発光層24及び第2半導体層25を形成した後、第2半導体層25の上面の所定箇所に図示しないマスクを形成する。そして、マスクに上下方向Zに重ならない位置に形成された第2半導体層25及び発光層24を、エッチングにより除去する。これにより、第1半導体層23に、発光層24から露出した露出上面232が形成される。露出上面232を形成した後、マスクを除去する。
【0048】
次いで、第1半導体層23の露出上面232上に第1コンタクト電極26を形成し、第2半導体層25上に第2コンタクト電極27を形成する。第1コンタクト電極26及び第2コンタクト電極27は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成することができる。素子本体形成工程後の素子本体2の断面図を、
図3に示している。
【0049】
次いで、
図4に示すごとく、第1被覆工程を行う。第1被覆工程においては、内側被覆部3を構成する液状の有機高分子材料30を、素子本体2におけるバッファ層22の上側の部位を覆うよう塗布する。塗布方法は、スプレーコート、スピンコートなど、種々の方法を採用することが可能である。第1被覆工程においては、第2コンタクト電極27の上面273が、内側被覆部3から上側に露出するようにする。なお、第1被覆工程後の状態において、第2コンタクト電極27の上面273が内側被覆部3に覆われていてもよいが、この場合は、後の露光現像工程において第2コンタクト電極27の上側に形成された有機高分子材料30を除去し、第2コンタクト電極27の上面273を露出させる。
【0050】
次いで、露光現像工程を行う。露光現像工程においては、有機高分子材料30に露光及び現像を行い、内側被覆部3を所定形状に形成する。露光現像工程では、有機高分子材料30から、第1半導体層23の上側に位置していない部位と、コンタクトホール34となる部位とを除去する。有機高分子材料30がネガ型のフォトレジストである場合は、有機高分子材料30における露光現像工程において除去される箇所以外の箇所を上側から露光し、現像する。これにより、有機高分子材料30における露光された箇所が現像後に残り、内側被覆部3となる。露光時の光の拡散により、現像後のコンタクトホール34は、下側程内径が小さくなるよう形成される。また、有機高分子材料30がポジ型のフォトレジストである場合は、有機高分子材料30における露光現像工程において除去される箇所を上側から露光し、現像する。これにより、有機高分子材料30における露光された箇所以外の箇所が現像後に残り、内側被覆部3となる。露光時、有機高分子材料30におけるコンタクトホール34となる部位は、上側の部位ほど強く光が当たるため、現像後のコンタクトホール34は、下側程内径が小さくなるよう形成される。露光現像工程後の状態を、
図5に示している。
【0051】
次いで、
図6に示すごとく、第2被覆工程を行う。第2被覆工程においては、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などの周知の技術を用いて、バッファ層22から上側の領域に外側被覆部4を形成する。外側被覆部4は、第2被覆工程直前の状態(すなわち
図5に示す状態)において露出しているバッファ層22、第1半導体層23の表面、内側被覆部3の表面及び第2コンタクト電極27の上面273に形成される。
【0052】
次いで、
図7に示すごとく、除去工程を行う。除去工程においては、外側被覆部4における第2コンタクト電極27の上側の部位を除去して第1開口部41を形成し、外側被覆部4におけるコンタクトホール34内に形成された部位を除去し、かつ、外側被覆部4における内側被覆部3の上側における第2開口部42となる箇所を除去して第2開口部42を形成する。
【0053】
次いで、パッド電極形成工程を行う。パッド電極形成工程においては、図示は省略するが、外側被覆部4の上面における、第1パッド電極5及び第2パッド電極6を形成する箇所以外の箇所にマスクを形成する。そして、蒸着により、第1パッド電極5及び第2パッド電極6を形成する。このとき、コンタクトホール34、第1開口部41、第2開口部42、及び図示しないマスクに形成された空間に、下側から順に第1パッド電極5及び第2パッド電極6が堆積されて、
図2に示すごとく、第1パッド電極5及び第2パッド電極6が形成される。
以上のように、本形態の発光素子1を製造することができる。
【0054】
(実施の形態の作用及び効果)
本形態の発光素子1は、素子本体2と、素子本体2の表面を平坦化する内側被覆部3と、内側被覆部3を覆う無機材料からなる外側被覆部4とを有する。このように、比較的クラックが入りやすい無機材料からなる外側被覆部4によって、段差及び角部がある素子本体2の表面を直接覆うのではなく、内側被覆部3によって平坦化された素子本体2を外側被覆部4にて覆うことにより、外側被覆部4にクラックが生じることを抑制することができる。外側被覆部4にクラックが生じると、例えばクラックを通して水分が通過し、素子本体2の劣化を招くおそれがあるところ、本形態の構成によれば、発光素子1の防水性を向上させることができ、その結果素子本体2の劣化を抑制することができる。
【0055】
また、内側被覆部3は、第1コンタクト電極26と発光層24と第2半導体層25と第2コンタクト電極27との表面を覆っている。これらは、段差又は角が形成されやすいため、本形態の構成によれば、外側被覆部4にクラックが生じることを一層抑制することができる。
【0056】
また、内側被覆部3には、内側被覆部3を内側被覆部3の厚み方向(すなわち上下方向Z)に貫通するとともに、一端が第1コンタクト電極26に向かって開口したコンタクトホール34が形成されている。そして、コンタクトホール34内には、第1コンタクト電極26と第1パッド電極5とを電気的に接続するホール内導体51が配されている。それゆえ、コンタクトホール34内のホール内導体51を介して、第1コンタクト電極26と第1パッド電極5とを電気的に接続させることができる。これにより、第1コンタクト電極26を内側被覆部3の外部に引き出すために、第1コンタクト電極26の厚みを大きくし、第1コンタクト電極26の上面の位置を第2コンタクト電極27の上面273の位置と揃える必要がない。それゆえ、第1コンタクト電極26の材料費削減、軽量化及び製造時間の削減の少なくとも1つが実現される。
【0057】
また、上下方向Zに直交するホール内導体51の断面の面積は、上下方向Zに直交する第1コンタクト電極26の面積の5%以上95%以下の大きさである。上下方向Zに直交するホール内導体51の断面の面積を上下方向Zに直交する第1コンタクト電極26の面積の95%以下とすることにより、ホール内導体51の材料費削減、軽量化、及び製造時間の削減の少なくとも1つを実現することができる。また、上下方向Zに直交するホール内導体51の断面の面積を上下方向Zに直交する第1コンタクト電極26の面積の5%以上とすることにより、ホール内導体51の電気抵抗率が過度に高くなることを抑制することができる。
【0058】
また、第2コンタクト電極27の上面273と内側被覆部3の下面33との間の上下方向Zの長さをHとしたとき、内側被覆部3の厚みT1は、0.8H≦T1≦1.2Hを満たす。内側被覆部3の厚みT1を0.8H以上とすることにより、第1コンタクト電極26、発光層24、第2半導体層25、第2コンタクト電極27の大部分を内側被覆部3にて被覆することができる。また、内側被覆部3の厚みT1を1.2H以下とすることにより、内側被覆部3の材料費削減、軽量化を図ることができる。
【0059】
また、ホール内導体51は、第1コンタクト電極26側の反対側(すなわち上側)ほど、上下方向Zに直交する断面の面積が大きくなる。すなわち、ホール内導体51は、第1パッド電極5の第1埋設部52と接続される側が大きくなるため、ホール内導体51が折れることが抑制される。
【0060】
また、上下方向Zのホール内導体51の長さLは、第1コンタクト電極26の厚みT2(すなわち第1コンタクト電極26の上下方向の寸法)よりも長い。そのため、第1コンタクト電極26を厚肉に形成しなくとも、第1コンタクト電極26と第1パッド電極5との電気的接続が可能となり、第1コンタクト電極26の材料費削減、軽量化及び製造時間の削減の少なくとも1つをより実現しやすい。
【0061】
また、内側被覆部3は、フォトレジストからなる。それゆえ、コンタクトホール34を容易に形成することができる。
【0062】
また、内側被覆部3は、有機高分子材料からなる。有機高分子材料は、無機材料等と比べてクラックが生じ難いため、素子本体2の表面の段差又は角を起点として、内側被覆部3にクラックが生じることを抑制することができる。
【0063】
また、発光素子1の製造方法における、素子本体2を内側被覆部3にて覆う工程においては、内側被覆部3を構成する有機高分子材料30を素子本体2の表面に塗布して硬化させることにより、内側被覆部3を形成する。このように、内側被覆部3を塗布方法により形成することにより、内側被覆部3によって素子本体2の表面を平坦化しやすい。
【0064】
また、発光素子1の製造方法は、コンタクトホール34内に、第1コンタクト電極26に電気的に接続されたホール内導体51を蒸着により形成する工程を備える。それゆえ、内側被覆部3に埋設された第1コンタクト電極26を内側被覆部3の外部に電気的に引き出す構成を、コンタクトホール34内へのホール内導体51の蒸着により、容易に実現することができる。
【0065】
以上のごとく、本形態によれば、素子本体の劣化を抑制することができる発光素子及び発光素子の製造方法を提供することができる。
【0066】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0067】
[1]本発明の第1の実施態様は、半導体発光素子本体(2)と、前記半導体発光素子本体(2)の表面を平坦化する内側被覆部(3)と、前記内側被覆部(3)を覆う、無機材料からなる外側被覆部(4)と、を備える発光素子(1)である。
これにより、半導体発光素子本体の劣化を抑制することができる。
【0068】
[2]本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記半導体発光素子本体(2)が、第1導電型を有する第1半導体層(23)と、前記第1半導体層(23)上に形成された発光層(24)と、前記発光層(24)上に形成されるとともに、前記第1導電型とは反対の第2導電型を有する第2半導体層(25)と、前記第1半導体層(23)上に接続された第1コンタクト電極(26)と、前記第2半導体層(25)上に接続された第2コンタクト電極(27)と、を有し、前記内側被覆部(3)が、前記第1コンタクト電極(26)と前記発光層(24)と前記第2半導体層(25)と前記第2コンタクト電極(27)との表面を覆っていることである。
これにより、外側被覆部にクラックが生じることを抑制することができる。
【0069】
[3]本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記第1コンタクト電極(26)上に接続された第1パッド電極(5)と、前記第2コンタクト電極(27)上に接続された第2パッド電極(6)と、を更に備え、前記内側被覆部(3)に、前記内側被覆部(3)を前記内側被覆部(3)の厚み方向(Z)に貫通するとともに、一端が前記第1コンタクト電極(26)に向かって開口したコンタクトホール(34)が形成されており、前記コンタクトホール(34)内に、前記第1コンタクト電極(26)と前記第1パッド電極(5)とを電気的に接続するホール内導体(51)が配されていることである。
これにより、第1コンタクト電極の材料費削減、軽量化及び製造時間の削減の少なくとも1つが実現される。
【0070】
[4]本発明の第4の実施態様は、第3の実施態様において、前記厚み方向(Z)に直交する前記ホール内導体(51)の断面の面積が、前記厚み方向(Z)に直交する前記第1コンタクト電極(26)の面積の5%以上95%以下の大きさであることである。
これにより、ホール内導体の材料費削減、軽量化、及び製造時間の削減の少なくとも1つを実現することができるとともに、ホール内導体の電気抵抗率が過度に高くなることを抑制することができる。
【0071】
[5]本発明の第5の実施態様は、第3又は第4の実施態様において、前記第2コンタクト電極(27)の上面(273)と前記内側被覆部(3)の下面との間の前記厚み方向(Z)の長さをHとしたとき、前記内側被覆部(3)の厚みT1が、0.8H≦T1≦1.2Hを満たすことである。
これにより、第1コンタクト電極、発光層、第2半導体層、及び第2コンタクト電極の大部分を内側被覆部3にて被覆することができるとともに、内側被覆部3の材料費削減、軽量化を図ることができる。
【0072】
[6]本発明の第6の実施態様は、第3乃至第5のいずれか1つの実施態様において、前記ホール内導体(51)が、前記第1コンタクト電極(26)側の反対側ほど前記厚み方向(Z)に直交する断面の面積が大きくなることである。
これにより、ホール内導体が折れることが抑制される。
【0073】
[7]本発明の第7の実施態様は、第3乃至第6のいずれか1つの実施態様において、前記厚み方向(Z)における前記ホール内導体(51)の長さ(L)が、前記第1コンタクト電極(26)の厚み(T2)よりも長いことである。
これにより、第1コンタクト電極の材料費削減、軽量化及び製造時間の削減の少なくとも1つをより実現しやすい。
【0074】
[8]本発明の第8の実施態様は、第3乃至第7のいずれか1つの実施態様において、前記内側被覆部(3)が、フォトレジストからなることである。
これにより、コンタクトホールを容易に形成することができる。
【0075】
[9]本発明の第9の実施態様は、第1乃至第8のいずれか1つの実施態様において、前記内側被覆部(3)が、有機高分子材料(30)からなることである。
これにより、内側被覆部にクラックが生じることを抑制することができる。
【0076】
[10]本発明の第10の実施態様は、半導体発光素子本体(2)を製造する工程と、前記半導体発光素子本体(2)の表面を平坦化するよう、前記半導体発光素子本体(2)の前記表面を内側被覆部(3)にて覆う工程と、前記内側被覆部(3)を無機材料からなる外側被覆部(4)にて覆う工程と、を有する発光素子(1)の製造方法である。
これにより、半導体発光素子本体の劣化が抑制された発光素子を製造することが可能となる。
【0077】
[11]本発明の第11の実施態様は、第10の実施態様において、前記内側被覆部(3)が、有機高分子材料(30)からなり、前記半導体発光素子本体(2)を前記内側被覆部(3)にて覆う工程において、前記内側被覆部(3)を構成する前記有機高分子材料(30)を前記半導体発光素子本体(2)の前記表面に塗布して硬化させることにより、前記内側被覆部(3)を形成することである。
これにより、内側被覆部によって半導体発光素子本体の表面を平坦化しやすい。
【0078】
[12]本発明の第12の実施態様は、第11の実施態様において、前記半導体発光素子本体(2)を製造する工程にて、第1導電型を有する第1半導体層(23)を形成し、前記第1半導体層(23)上に発光層(24)を形成し、前記発光層(24)上に前記第1導電型とは反対の第2導電型を有する第2半導体層(25)を形成し、前記第1半導体層(23)上に第1コンタクト電極(26)を接続し、前記第2半導体層(25)上に第2コンタクト電極(27)を接続し、前記半導体発光素子本体(2)の前記表面を前記内側被覆部(3)にて覆う工程において、前記第1コンタクト電極(26)と前記発光層(24)と前記第2半導体層(25)と前記第2コンタクト電極(27)との表面を前記内側被覆部(3)にて覆い、さらに、前記内側被覆部(3)に、前記第1コンタクト電極(26)に開口するコンタクトホール(34)を形成する工程と、前記コンタクトホール(34)内に、前記第1コンタクト電極(26)に電気的に接続されたホール内導体(51)を、蒸着により形成する工程と、を備えることである。
これにより、内側被覆部に埋設された第1コンタクト電極を内側被覆部外に電気的に引き出す構成を、コンタクトホール内へのホール内導体の蒸着により、容易に実現することができる。
【0079】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…発光素子
2…半導体発光素子本体
21…基板
23…第1半導体層
24…発光層
25…第2半導体層
26…第1コンタクト電極
27…第2コンタクト電極
273…第2コンタクト電極の上面
3…内側被覆部
30…有機高分子材料
34…コンタクトホール
4…外側被覆部
5…第1パッド電極
51…ホール内導体
6…第2パッド電極
H…第2コンタクト電極の上面と内側被覆部の下面との間の長さ
L…ホール内導体の長さ
T1…内側被覆部の厚み
T2…第1コンタクト電極の厚み
Z…内側被覆部の厚み方向